JPH05178741A - 生体用粘着材 - Google Patents

生体用粘着材

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JPH05178741A
JPH05178741A JP3359314A JP35931491A JPH05178741A JP H05178741 A JPH05178741 A JP H05178741A JP 3359314 A JP3359314 A JP 3359314A JP 35931491 A JP35931491 A JP 35931491A JP H05178741 A JPH05178741 A JP H05178741A
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Kaoru Tsuta
薫 蔦
Masahiko Taniguchi
雅彦 谷口
Hiroyuki Kawarada
裕之 川原田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐汗性に優れた生体用粘着材を提供する。 【構成】 アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタ
ン粘着剤中に吸水繊維を含む繊維層を具備させた構成と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスター材、ハップ
材、パッチ材等の貼付薬用又は器具等の固定用粘着剤、
創傷面の被覆用粘着剤等の生体用粘着材、或は心電図測
定用粘着剤、低周波治療用粘着剤、電気メス用対極板等
の医療分野で好適に使用される生体用粘着材に関する。
【0002】
【従来の技術】生体用粘着材としては、近年種々のもの
が開発され、上記医療分野において多用されている。例
えば、本発明者らが先に提案した特願平1−83038
号等は人体への安全性、密着性、粘着力等の多くの点で
優れた特性を有するものであり、しかも、耐汗性能の改
良がなされたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
粘着剤は吸水能力において未だ改良すべき点があるもの
であった。例えば、運動負荷心電図測定での発汗や電気
メス用対極板の長時間使用時の発汗や、風呂上がり時な
ど、急激で多量の発汗が起こった場合に、粘着力の低下
が起こるという問題があった。そこで本発明者らは、従
来の粘着剤がもっている多くの長所をそのまま生かしつ
つ、耐汗性能をさらに向上させるためには次のような条
件を克服する必要があることがわかった。即ち、
【0004】ポリオール成分とポリイソシアネート成
分を反応してセグメントポリウレタンを合成するとき
に、水が介在するとイソシアネートと水が反応するので
目的とする粘着物質が得られない。
【0005】同様に介在すべき物質の化学構造にイソ
シアネートとの反応性に富んだ水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基を多く含んでいないこと。
【0006】解離基を含まない方が皮膚への刺激が少
ない。特にアルカリ性解離基の存在は好ましくない。
【0007】ポリウレタンの原料であるプレポリマー
のセグメント、特にポリオール成分との親和性が良いこ
と。
【0008】水の吸収、放出があまり容易でなく、ま
た水により容易に溶出しないこと、つまりある一定量の
保水性を有して、その状態で粘着性を発現し続けるこ
と。
【0009】保湿状態でも雑菌、カビを発生させない
もの。
【0010】一定品質が常に保証されているもの、な
どである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に鋭意研究の結果、本発明を完成したもので、本発明の
生体用粘着材は、アルキレンオキサイド鎖を有するポリ
ウレタンポリオールプレポリマー又は/及びアルキレン
オキサイド鎖を有するポリオールと、アルキレンオキサ
イド鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポ
リマーとを反応させてなる高分子粘着剤中に吸水繊維を
含む繊維層を具備させることを特徴とする構成としたも
のである。
【0012】ここで、本発明について更に詳細に述べる
と、本発明に用いるポリウレタンポリオールプレポリマ
ーは例えば下記の構造式[I]、ポリオールは例えば下
記の構造式[II]〜[IV]で表され、これを単独又は混
合して使用する。また、ポリウレタンポリイソシアネー
トプレポリマーは例えば下記の構造式[V]〜[VIII]
を単独又は混合して使用する。
【0013】これら各々のプレポリマーは、−OH基又
は−NCO基の官能基を有しており、この官能基が反応
して粘着性を有する貫入形(Interpenetrated Networ
k)のセグメントポリウレタンが形成される。
【0014】ここで構造式[I]〜[IV]のポリオール
としてのプレポリマーについて既述する。
【0015】構造式[I]はポリエーテルポリオールと
ジイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオー
ルプレポリマーである。両末端成分がポリエーテルポリ
オールからなり、両末端は−OH基である。ここで使用
されるジイソシアネート化合物は後に記載のポリウレタ
ンポリイソシアネートのプレポリマーの中のそれと同じ
ものである。例えばフェニレンジイソシアネート、2,
4−トルイレンジイソシアネート(TDI)、4,4′
−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフ
タリン1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート(HMDI)、テトラメチレンジイソシア
ネート(TMDI)、リジンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート(XDI)、水添加TDI、水添
加MDI、ジシクロヘキシルジメチルメタンp,p′−
ジイソシアネート、ジエチルフマレートジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが任
意に使用できる。
【0016】構造式[II]はグリセロール(l=1)又
はソルビトール(l=4)にポリエーテルポリオールを
付加(adduct)したものである。[III]はトリメチロ
ールプロパンにポリエーテルを付加したものである。同
様に下記構造式で示される1,2,6−ヘキサトリオー
ルやトリメチロールエタン、或はペンタエリスリットC
(CH2 OH)4、 或は下記構造式で示されるポリグリ
セリン(n=2〜30の正の整数)やその部分エステル
などの多価アルコールとポリエーテルポリオールの付加
物も使用できる。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】この場合(AO)はホモポリマーであって
もブロックコポリマーあるいはランダムコポリマーであ
ってもよい。
【0021】構造式[IV]はアルキレンオキサイド鎖を
有するポリエーテルポリオールであり、両末端が−OH
基の場合と、片末端がアルキル基、芳香族基などで封鎖
されている場合があり、市販品として容易に入手でき
る。 構造式[I]
【0022】
【化4】 (但し、R1 ,R2 はアルキル化合物、脂環式化合物、
芳香族化合物のいずれかであり、(AO)はアルキレン
オキサイド鎖である。) 構造式[II]
【0023】
【化5】 構造式[III]
【0024】
【化6】 構造式[IV]
【0025】
【化7】 (但し、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、R
は水素原子もしくはアルキル化合物、脂環式化合物、芳
香族化合物のいずれか、lは1又は4の整数である。) 構造式[V]−1
【0026】
【化8】 構造式[V]−2
【0027】
【化9】 構造式[VI]
【0028】
【化10】 構造式[VII]
【0029】
【化11】 構造式[VIII]
【0030】
【化12】 (但し、Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物
のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサイド
鎖、lは1又は4の整数である。)
【0031】ポリイソシアネートプレポリマーは[V]
〜[VIII]の式で表される。[V]−1,[V]−2は
トリメチロールプロパン、グリセロールにジイソシアネ
ートと反応して得られるトリイソシアネートの2分子を
(AO)の1分子で2量化したもので4官能であるテト
ライソシアネートである。トリメチロールプロパンの代
わりにグリセロールを用いたものが[V]−2である。
この種のテトライソシアネートは(AO)の2分子又は
3分子でトリイソシアネートが2量化され易いので反応
を微妙に張設する必要がある。そのため未反応のトリイ
ソシアネートが混在するが、ポリオールと反応した場合
にセグメントポリウレタン分子の大きさのバラツキが生
じ、粘着性をコントロールするのに都合のよい方に作用
することもある。[VI]はポリオールである[II]にジ
イソシアネートを反応したものである。[VII]は同様
に[III]にジイソシアネートを反応したものであり、
3官能である。[VIII]はポリエーテルポリオールとジ
イソシアネートの反応物で2官能である。
【0032】次に、本発明に適する構造式中(AO)で
表記されるアルキレンオキサイド鎖について既述する。
【0033】アルキレンオキサイド鎖はセグメントポリ
ウレタンが常温にて粘着物質であること、粘着力、保持
力、タックなどの粘着特性に優れたものであることか
ら、その殆ど乃至全てが常温で液体状態の化合物である
のが良い。
【0034】アルキレンオキサイド鎖を構成する化合物
は、例えばポリメチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコール、ポペンタメチレングリコール、ポリヘキ
サメチレングリコール、ポヘプタメチレングリコールな
どが挙げられる。しかし、導電性粘着剤を得る場合に
は、エーテル酸素のメチレン基の炭素数に対する比率が
比較的大きくて、イオン化合物と錯体を形成する機会の
大きいこと、及び常温で液状物質として入手する機会の
多いことなどを考慮すれば、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。また、これらの共重合体、例えば下記
構造式で表されるポリマーも使用できる。
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】 (但し、l,m,nは1以上の整数である)
【0037】これらの共重合体は、人体に貼付けること
を考慮すれば、ランダムコポリマーであることが望まし
いが、必ずしもこれに限定されず、ブロックコポリマー
であってもよい。この場合、一つのプレポリマー中のセ
グメントが異なった種類のアルキレンオキサイド鎖で構
成されていてもよい。
【0038】アルキレンオキサイド鎖のその殆ど乃至全
てが常温で液体状態の物質であることから、分子量の上
限が規制される。ポリエチレングリコールはMW:15
0〜1000、好ましくは300〜800であり、ポリ
プロピレングリコールは分子量が数万でもいぜんとして
液体であり、使用できる範囲は広いが、末端基の比率が
小さいと反応確立が低くなり、またあまりに長鎖である
場合は粘着剤が流動性に富み、保形性が乏しくなるので
望ましくはない。好ましくは大略200〜数1000の
範囲が使用できる。ポリテトラメチレングリコールは重
合度が大きいと固体となるために大略MW300〜30
00の範囲が使用できる。また、これらの共重合体はポ
リプロピレングリコールと同様に分子量が100〜数1
000の範囲が使用できる。
【0039】さて、本発明のポリオール又はポリイソシ
アネートの各々のプレポリマーは、それを構成するセグ
メントであるアルキレンオキサイド鎖が常温で固体であ
れば、それ自身が固体であり、液体であればそれ自身が
液体であると大略言えるものである。この事実はセグメ
ントの直鎖分子が分子量の大半を占めるものについて、
更に確かである。ポリオールとポリイソシアネート基両
方のプレポリマーが、ともに常温で粘稠な液状であれ
ば、反応によって得られるセグメントポリウレタンは粘
着性のある樹脂となる。しかし、その一方が固体である
か、両方がすこぶる粘稠な液体乃至固体であれば、反応
により得られるセグメントポリウレタンは常温で粘着性
のない固体状の樹脂となるので、本発明には適さない。
但し、セグメントが全て液体である場合には、これとは
別に半固体乃至固体状のプレポリマーを粘着性の調整の
ために一部混合してもよい。
【0040】一方、これとは逆に、常温で液体のセグメ
ントであっても、低分子量のセグメントのみで構成され
たプレポリマーの反応物であるセグメント化ポリウレタ
ンの場合は、粘性の高い粘着剤とはならない。というの
は、セグメント長さの短いものばかりで構成されたもの
は、液状セグメントの分子がウレタン結合の分子の交錯
点、つまり結び目の点により、拘束されて自由に運動す
ることを束縛されるためである。換言すれば、網目鎖濃
度の高い状態ではセグメントが液状であっても弾性の優
位な粘弾性体となり、比較的粘着力、保持力の乏しい粘
着剤となる。そのためセグメントの一部乃至その多くが
適度の分子長を有していることが充分な粘着性を発現す
るために不可欠であり、その長さが先述の値であると言
える。そして、この充分に長い鎖長のアルキレンオキサ
イドはそのエーテル酸素が種々のイオン化合物と錯体を
形成する「場」として有効であり、これによってイオン
伝導性が発現される。
【0041】さて、ポリオールとポリイソシアネートの
反応比について以下に既述する。経験的に言えば、粘着
物質の分子集合体は比較的嵩高い構造の分子が適当な分
子量を有し、且つ自由に運動可能であるセグメント長、
又は直鎖 (linear)の末端分子を多く有していることが
必要である。従って、ポリオールとポリイソシアネート
は各々が単一化合物であれば一方が2官能で、他の一方
が3官能以上の化合物の組み合わせである必要がある。
どちらかが1官能であれば連鎖しない。2官能同士では
直鎖分子となり、プレポリマーにはじめから分岐がなけ
れば嵩高い分子の集合とならず、適当でない。つまりど
ちらか一方が2官能で他が3官能以上の多官能である
か、互いに3官能以上の組み合わせが良い。但し、いず
れもあまり官能数が大きすぎるものの反応物の場合は網
目鎖濃度が高すぎるので、よほど長いセグメントが存在
しないと、弾性が粘性を上回って好ましい粘着性は得ら
れ難い。良好な粘着性が得やすい官能数は大略2〜4の
夫々の組み合わせであると言える。この場合であれば、
粘着性の微調整のために官能基が一つのものを嵩高さを
増すために混合して使用できる。また、ポリオール、ポ
リイソシアネートプレポリマーの(AO)鎖がかなり長
いものばかりの場合は、多官能の多価アルコール、又は
多価イソシアネート[いずれも(AO)セグメントをも
たない]を混用してもよい。
【0042】ポリオールとポリイソシアネートの各々の
プレポリマーの反応比は末端の官能基の比率、すなわち
OH/NCOの価によって規制できる。未反応の−NC
Oが残ると後反応が生じるのでOH/NCOは1以上で
なければならない。経験的には、1≦OH/NCO≦5
で良好な粘着剤が得られる。OH/NCOが1以上5以
下の状態では嵩高い分子の集まりにおいて末端にOH基
を有する直鎖セグメントが尾(tail)を出して自由に運動
している状態であると想像できる。5に近いほどフリー
の尾が長くて多い状態である。そして、このポリマー分
子は粘着性を発現するに適した大きさとなって集合して
いる。本発明の粘着物質を構成するポリオールとポリイ
ソシアネートの分子量の範囲は(AO)、イソシアネー
トの種類、分子形状及び(AO)がホモポリマーである
か、コポリマーであるかによって広い範囲で変わるが、
ポリウレタンポリオールプレポリマーで大略1400〜
10000、ポリオールで大略150〜6000、ポリ
ウレタンポリイソシアネートプレポリマーは大略500
〜10000であるが、好ましくは各々大略1000〜
6000、300〜3000、大略1000〜6000
の範囲で選択できる。
【0043】そして、高分子粘着剤中に具備される繊維
層としては、アクリル系吸水繊維が5〜60%(重量
%、以下同様)含まれているもので、他にナイロン繊
維、ポリエステル繊維等を含む不織布、あるいは織布等
が好適に使用される。特に、アクリル系吸水繊維が20
〜40%のものは吸水性能も望ましく、品質の安定性も
非常に良い。吸水繊維が5%以下の場合は、吸水性能が
悪く、逆に60%以上の場合は過剰吸水が起こりやす
く、粘着剤が膨潤した状態となりやすく、また布として
のほつれやすさ等の取り扱い上の問題がある。
【0044】本発明で使用される繊維層には、吸水繊維
が含まれていれば一応の効果は発揮されるが、粘着剤と
反応するものや人体に有害なもの、かぶれ等を起こすも
のは使用されないことは言うまでもない。
【0045】また、繊維層の粘着剤に占める割合は、吸
水繊維の比率にもよるが、0.5〜3%程度が適当であ
り、好ましくは1%前後である。繊維層の割合が少な過
ぎると吸水性が乏しく、多すぎると粘着剤としての特性
が損なわれる。しかしながら吸水繊維の比率の高い繊維
層の場合は、量を少なくすることができる。例えば吸水
繊維50%を含む繊維層の場合は、吸水繊維25%のも
のを使用する場合より量的には約半分で良い。この繊維
層は粘着剤中の体表に最も近い位置になるように具備さ
せるのが望ましい。
【0046】また、本発明の生体用粘着材において、イ
オン化合物を含有させればイオン導電性の粘着剤として
使用できるものであり、その場合、導電性に対する繊維
層の影響は殆どないことが確認されている。
【0047】尚、イオン化合物としては、例えばNaC
l、KCl、LiCl、LiCl4、NH4Cl、KCl
4、AlCl3、CuCl2、CuCl、FeCl2、F
eCl3、NH4SO4、KNO3、NaNO3、Na2CO
3、LiBF4、KBF4、NaSCN、KSCN、Li
SCN、NH4SCN、RbSCN、CsSCN、Li
SO3、CF3、NaI、KI、LiI、NaBr、Li
Br、CH3COOLi、CF3COOLi、CF3、C
2COOLi、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソ
ーダなどの金属塩が挙げられ、これらのうち(AO)の
エーテル酸素と錯体を形成しやすいアルカリ金属塩が好
適に使用される。また、アルカリ金属塩のうちリチウム
化合物は良いイオン伝導性を示す。例えばLiCl、L
iClO4、LiBF4、LiSO3、CF3などである。
このうち、LiClO4 は(AO)や可塑剤に溶解しや
すく、また入手が容易であるので、特に実用的である。
但し、生体電極材など人体の皮膚表面に貼付する用途で
あるから安全性を考慮して選択される。また錯体を形成
して分子分散されるためにプレポリマー(主としてアル
キレンオキサイド)に溶解することも一つの条件であ
る。かかる種々のイオン化合物は、ポリオールプレポリ
マーに予め混合、溶解しておき、それをポリイソシアネ
ートと混合して反応してもよいし、また反応後に粘着剤
をこれらイオン化合物の水溶液又は有機溶媒中に浸漬し
て、その後水溶液又は溶媒を乾燥、除去する方法をとっ
てもよい。これらイオン化合物の配合量はセグメントの
アルキレンオキサイドの種類と比率によって変わるが、
経験的にはエーテル酸素が大略5〜30に対して錯体を
形成するイオン数が一個の割合で配合すればよい。これ
より多い場合は、錯体形成によりセグメントの運動が抑
制され硬くなるため粘着性が低下する。一方、少ない場
合は導電性が低下する。このようにアルキレンオキサイ
ドのエーテル酸素とイオン化合物が錯体を形成した粘着
剤に電位を与えると、ポリマーと錯体を形成しているイ
オンが移動して電流が流れる。つまり、イオンの伝導に
より粘着剤が導電性を有する。この場合の導電率は大略
10-3〜10-7Ω-1cm-1(抵抗値が10-3〜10-7Ω
cm)であり、他の導電性プチスチックと言われるもの
に比してもかなり良い導電性を示す。
【0048】
【作用】本発明の生体用粘着材は、アルキレンオキサイ
ド鎖を有するポリウレタンポリオールプレポリマー又は
/及びアルキレンオキサイド鎖を有するポリオールと、
アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソ
シアネートプレポリマーとを反応させてなる高分子粘着
剤をベースとしているので、粘着性、柔軟性の度合を自
由に調整でき、しかも高い安全性はもとより透明で清潔
感があり、吸水繊維を含む繊維層を粘着剤中に具備させ
たので、吸水能力の大きな粘着材とすることができたも
のである。
【0049】特に、粘着剤中に繊維層が存在するためポ
リマーの間を通り抜ける水の分子が繊維層にどんどん吸
水されるため、急激で多量の発汗が生じた場合でも、そ
れに充分対応できるものであり、また繊維と粘着剤とが
うまくからみ合っているため、繊維だけが分離した状態
で膨潤することはない。従って人体に貼付された粘着材
は多量の発汗があっても、離脱することはない。
【0050】また、粘着剤中に繊維層が具備されている
ので、繊維層が粘着剤の芯材の役目をし、粘着性を強く
した場合でも、粘着材としての保形性を維持することが
でき、過剰な伸びを抑える役割もするものである。
【0051】
【実施例】以下、本発明の実施例について述べる。 (実施例1)
【0052】下記の表1に示すポリオール、ポリイソシ
アネート及び触媒を同表に示す割合で混合し、表2に示
す5種類の不織布の上にそれぞれ充填し、50℃にて反
応硬化させて厚み100μmの粘着剤を得た。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表2は繊維層として使用した不織布の各繊
維の割合(重量%)を表している。この5種類の不織布
を粘着剤に対して1%の割合で各々用いた。粘着剤を基
材にそれぞれ貼り合わせ、試験用の粘着材とした。そし
て、この試験用粘着材をそれぞれ40×50mmの大き
さに切断して試験片を作成した。
【0056】この試験片について体温付近温度、高湿度
下(37℃、90%RH)の条件下の吸水率の測定を行
った。また、この試験片についてビクスタックテスター
II(東洋精機株式会社製)で粘着力を測定した。その結
果を表4に示す。尚、測定条件は表3に示す通りであ
る。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】表4に示すように、吸水繊維の割合が増加
すればするほど同一時間後の吸水率は増加する。しか
し、吸水率が急激に増加すると、粘着剤が膨潤し、粘着
力が低下する。従って、吸水繊維の割合が5〜60%の
ものが好ましいものである。 (実施例2)
【0060】前記表1に示すポリオール、ポリイソシア
ネート及び触媒を同表に示す割合で混合し、ポリエステ
ル100%の不織布、及びナイロン70%、アクリル系
吸水繊維30%の不織布の上に充填し、50℃にて反応
硬化させて厚み100μmの粘着剤を得た。この粘着剤
を基材に貼り合わせ、試験用粘着材とした。この試験用
粘着材を40×40mmの大きさに切断して試験片を作
成した。
【0061】上記試験片を皮膚に貼付け、急激な発汗を
伴う風呂上がりの状態で接着(粘着)状態を検討した。
ポリエステル100%の不織布を使用した試験片はすぐ
に皮膚から脱落した。これに対し、ナイロン70%、ア
クリル系吸水繊維30%の不織布を使用した試験片は、
皮膚から脱落することなく粘着力を充分維持するもので
あった。 (実施例3)
【0062】前記表1に示すポリオール、ポリイソシア
ネート及び触媒を同表に示す割合で混合し、ポリエステ
ル100%の不織布、及びナイロン70%、アクリル系
吸水繊維30%の不織布の上に充填し、粘着剤を得た。
そして、リチウム塩を溶解させた溶媒中に上記粘着剤を
5時間浸漬した後、粘着剤を取り出して溶媒を除去し、
イオン導電性粘着剤を得た。このイオン導電性粘着剤を
基材に貼り合わせ、試験用粘着材とした。この試験用粘
着材を25Φの大きさに切断して試験片を作成した。
【0063】上記試験片を皮膚に貼付け、運動負荷心電
図測定での急激な発汗を伴う状態で心電図を測定し、接
着(粘着)状態を検討した。ポリエステル100%の不
織布を使用した試験片の場合、発汗と同時に端面部分か
ら剥離が起こり、測定途中で皮膚から脱落した。これに
対し、ナイロン70%、アクリル系吸水繊維30%の不
織布を使用した試験片の場合は、発汗状態においても皮
膚から脱落することなく鮮明な心電図波形が得られ、心
電図測定終了後も実用粘着力を維持するものであった。 (実施例4)
【0064】下記の表5に示すポリオール、ポリイソシ
アネート及び触媒を同表に示す割合で混合し、ポリエス
テル100%の不織布、及びナイロン70%、アクリル
系吸水繊維30%の不織布の上に充填し、粘着剤を得
た。そして、リチウム塩を溶解させた溶媒中に上記粘着
剤を5時間浸漬した後、粘着剤を取り出して溶媒を除去
し、イオン導電性粘着剤を得た。
【0065】
【表5】
【0066】このイオン導電性粘着剤を厚さ100μm
のアルミ板に貼り合わせ、試験用粘着材とした。この試
験用粘着材を140×200mm(R30)の大きさに
切断して試験用電気メス対極板を作成した。
【0067】上記試験片を皮膚に貼付け、電気メス用対
極板として使用し、その時の粘着力の変化及び皮膚の状
態を検討した。その結果、ポリエステル100%の不織
布を使用した対極板の場合、発汗を伴う状態での長時間
の電気メス使用後、粘着力の低下によって皮膚と粘着層
の間に隙間が生じていた。また、皮膚状態は、火傷を起
こしていた。これに対し、ナイロン70%、アクリル系
吸水繊維30%の不織布を使用した対極板の場合は、長
時間の電気メス使用後においても実用粘着力を維持して
おり、また、皮膚状態に変化は認められなかった。
【0068】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の生体用粘着材は、人体に安全で清潔感の有る透明性を
有しており、保形性、粘着力等も優れている。また、粘
着剤が肌残りすることなく、しかも多量の発汗が一度に
起こったときでも、粘着力の低下による離脱の心配がな
く、長時間使用しても肌にかぶれ等の問題を起こすこと
がないという極めて優れた効果を奏する。また、粘着剤
として粘着力の調節が可能であるので、用途により粘着
力を加減できるという利点もある。
【表1】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川原田 裕之 大阪市中央区安土町2丁目3番13号 タキ ロン株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレ
    タンポリオールプレポリマー又は/及びアルキレンオキ
    サイド鎖を有するポリオールと、アルキレンオキサイド
    鎖を有するポリウレタンポリイソシアネートプレポリマ
    ーとを反応させてなる高分子粘着剤中に吸水繊維を含む
    繊維層を具備させたことを特徴とする生体用粘着材。
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