JPH05178048A - 自動車用キャスタ角制御装置 - Google Patents

自動車用キャスタ角制御装置

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JPH05178048A
JPH05178048A JP34723791A JP34723791A JPH05178048A JP H05178048 A JPH05178048 A JP H05178048A JP 34723791 A JP34723791 A JP 34723791A JP 34723791 A JP34723791 A JP 34723791A JP H05178048 A JPH05178048 A JP H05178048A
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vehicle
acceleration
center
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善紀 見市
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泰孝 谷口
Tadao Tanaka
忠夫 田中
Takao Morita
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    • B60G2204/12Mounting of springs or dampers
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    • B60G2204/00Indexing codes related to suspensions per se or to auxiliary parts
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  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車のサスペンションのキャスタ角を制御
する自動車用キャスタ角制御装置に関し、サスペンショ
ンのキャスタ角を制御することにより加速時や制動時に
おける車体の姿勢変化を確実に抑制できるようにして、
乗り心地の改善をはかることを目的とする。 【構成】 自動車のサスペンション2のキャスタ角を調
整しうるキャスタ角調整手段7と、キャスタ角が目標キ
ャスタ角になるようにキャスタ角調整手段7の作動を制
御する制御手段9と、自動車が加速状態にあることを検
出する加速状態検出手段8とをそなえ、制御手段9に目
標キャスタ角設定手段9bが設けられて、この目標キャ
スタ角設定手段9bが、加速状態検出手段8からの情報
により自動車が加速状態にあるとこの加速に伴う自動車
のピッチング運動を抑制すべく目標キャスタ角を設定す
るように構成されたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車のサスペンショ
ンのキャスタ角を制御する自動車用キャスタ角制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両は、加速時のノーズアップ
(フロント側の浮き上がり)や制動時のノーズダイブ
(リヤ側の浮き上がり)等の姿勢変化(ピッチング運
動)が生じ、荷重分担の変化等によりサスペンションジ
オメトリが不安定になる。ところで、サスペンションの
設定によっては、車両の姿勢変化を生じにくくすること
ができる。サスペンションの設定に際して、その瞬間回
転中心は、サスペンションの構造や形式を選択するとほ
ぼ決まってしまうので、設定自由度は狭く理想的な位置
とするのは難しいが、アンチピッチング角(アンチノー
ズダイブ角,アンチノーズアップ角,アンチテールリフ
ト角,アンチスクワット角)を負の領域に設定するのは
好ましくなく、できるだけ図5,図6に示すような理想
領域(斜線部分)に近づけるように設定することが望ま
しい。
【0003】なお、図5はフロントサスペンションにつ
いて設定されるアンチノーズダイブ角,アンチノーズア
ップ角を示し、図6はリヤサスペンションについて設定
されるアンチテールリフト角,アンチスクワット角を示
すもので、これらの図5,図6において、駆動輪に対す
る実際の設定値を●で示し、非駆動輪に対する実際の設
定値を○で示すとともに、理想領域を斜線部分により示
す。
【0004】次に、加速時や制動時にアンチピッチング
効果100%となるサスペンションの瞬間回転中心の位
置について図7に示すサスペンションジオメトリにより
説明する。この図7において、Gは車体の重心、F,G
はそれぞれ前輪および後輪の回転中心(車輪中心)、F
G,RGはそれぞれ前輪および後輪の接地位置、Rtは
タイヤ半径、Lはホイールベース、λは前輪の駆動力配
分比、λ′は前輪の制動力配分比、MCは加速時の自動
車の瞬間モーメント中心、MC′は制動時の自動車の瞬
間モーメント中心である。
【0005】そして、加速時には、サスペンションの瞬
間回転中心を、フロント側については前輪回転中心Fと
加速時の瞬間モーメント中心MCとを結ぶF−MC線上
にとるとともに、リヤ側については後輪回転中心Rと瞬
間モーメント中心MCとを結ぶR−MC線上に配置する
と、アンチピッチング効果が100%となる。一方、制
動時には、サスペンションの瞬間回転中心を、フロント
側については前輪接地位置FGと制動時の瞬間モーメン
ト中心MC′とを結ぶFG−MC′線上にとるととも
に、リヤ側については後輪接地位置RGと瞬間モーメン
ト中心MC′とを結ぶRG−MC′線上に配置すると、
アンチピッチング効果が100%となる。
【0006】したがって、加減速時,制動時ともに姿勢
変化(ピッチング運動)のないサスペンションの瞬間回
転中心は、図7に示すように、フロント側についてはF
−MCとFG−MC′との交点Mの位置になり、リヤ側
についてはR−MCとRG−MC′との交点Nの位置に
なる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図7に
示すM点に瞬間回転中心が位置するようにサスペンショ
ンを構成することは困難であり、サスペンションの設定
によって加速時,制動時の車体のピッチング運動を抑制
することは難しい。本発明は、上述の課題に鑑み創案さ
れたもので、サスペンションのキャスタ角を制御するこ
とにより加速時や制動時における車体の姿勢変化を確実
に抑制できるようにして、乗り心地の改善をはかった、
自動車用キャスタ角制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の自動
車用キャスタ角制御装置は、自動車のサスペンションの
キャスタ角を調整しうるキャスタ角調整手段と、上記キ
ャスタ角が目標キャスタ角になるように上記キャスタ角
調整手段の作動を制御する制御手段と、上記自動車が加
速状態にあることを検出する加速状態検出手段とをそな
え、上記制御手段に目標キャスタ角設定手段が設けられ
て、上記目標キャスタ角設定手段が、上記加速状態検出
手段からの情報により上記自動車が加速状態にあるとこ
の加速に伴う上記自動車のピッチング運動を抑制すべく
上記目標キャスタ角を設定するように構成されているこ
とを特徴としている。
【0009】また、上記目標キャスタ角設定手段を、上
記自動車の加速状態時にこの加速に伴う上記自動車のピ
ッチング運動を抑制すべく、上記サスペンションの瞬間
回転中心を、その車輪中心と上記自動車の瞬間モーメン
ト中心とを結ぶ直線上に位置させうるように上記目標キ
ャスタ角を設定するように構成してもよい。
【0010】
【作用】上述の本発明の自動車用キャスタ角制御装置で
は、加速状態検出手段からの情報により自動車が加速状
態にあることが検出されると、制御手段における目標キ
ャスタ角設定手段により、その加速に伴う自動車のピッ
チング運動を抑制しうる目標キャスタ角が設定される。
そして、制御手段によりキャスタ角調整手段の作動が制
御され、サスペンションのキャスタ角が目標キャスタ角
に調整されて、自動車のピッチング運動が抑制される。
【0011】また、目標キャスタ角設定手段により、目
標キャスタ角を、サスペンションの瞬間回転中心がその
車輪中心と上記自動車の瞬間モーメント中心とを結ぶ直
線上に位置するように設定することにより、サスペンシ
ョンストロークを引き起こさないようになり、自動車の
ピッチング運動が抑制される。
【0012】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の自動車用キャスタ角制御装置について説明すると、図
1はその模式的な構成図、図2はそのキャスタ角調整に
伴うサスペンションの瞬間回転中心の位置変化を説明す
るための模式図、図3,図4はそれぞれその加速時およ
び制動時における動作を説明すべくピッチングジオメト
リを示す車体の側面図である。
【0013】本実施例では、図1に示すように、車輪3
が、マクファーソンストラットタイプのサスペンション
2により自動車の車体1に支持されている場合について
説明する。このサスペンション2は、ストラット4,ボ
ールジョイント5,ロアアーム6を有して構成されてお
り、ストラット4の下端およびロアアーム6の外端が、
ボールジョイント5を介して、車輪3を枢支する図示し
ないナックルに接続されている。
【0014】また、ロアアーム6内端の前側端部6aお
よび後側端部6bは、それぞれ図示しないゴムブッシュ
を介して車長方向軸回りに回転可能に車体1側に支持さ
れている。このとき、本実施例では、ロアアーム6の前
側端部6aを支持するゴムブッシュの上下方向の剛性
が、後側端部6bを支持するゴムブッシュよりも軟らか
く設定され、図1,図2により後述するごとくストラッ
ト4の前後方向駆動に伴い、ロアアーム6の前側端部6
aが上下方向に変位できるようになっている。
【0015】さらに、ストラット4の上端は、キャスタ
調整手段としてのストラット駆動機構7を介して、車体
1の前後方向に移動可能に車体1側に支持されている。
このストラット駆動機構7は、図1,図2に示すよう
に、ストラット4の上端を車体1に対して前後に駆動す
ることにより、サスペンション2のキャスタ角(ストラ
ット4と鉛直方向との成す角度)を調整するもので、ス
トラット4の上端を前方へ移動させることでキャスタ角
を小さくできる一方、ストラット4の上端を後方へ移動
させることでキャスタ角を大きくできるようになってい
る。
【0016】一方、図1において、8は車体1の前後方
向の加速度(加速状態)を検出する加速状態検出手段と
してのGセンサ、9はキャスタ角が目標キャスタ角にな
るようにストラット駆動機構7の作動を制御する制御手
段としてのコントローラで、このコントローラ9は、加
速判定部9aおよび目標キャスタ角設定手段9bをそな
えて構成されている。
【0017】ここで、加速判定部9aは、Gセンサ8に
より検出された加速度に基づいて、車体1が加速中もし
くは制動中(減速中)といった加速状態にあるか否かを
判定するもので、例えば、Gセンサ8からの加速度が、
ある時間以上所定値を超え続けた場合に加速状態にある
と判定するものである。また、目標キャスタ角設定手段
9bは、加速判定部9aにより車体1が加速状態である
と判定された場合に、この加速もしくは制動に伴う車体
1のピッチング運動を抑制すべく、サスペンション2の
瞬間回転中心IC(図2〜図4参照)を、車輪3の中心
F,R(図3,図4参照)と車体1の瞬間モーメント中
心MCもしくはMC′(図3,図4参照)とを結ぶ直線
上に位置させうるように目標キャスタ角を設定するよう
に構成されている。
【0018】目標キャスタ角設定手段9bにより設定さ
れた目標キャスタ角は、ストラット4上端の前後位置情
報としてストラット駆動機構7へ送られ、このストラッ
ト駆動機構7によりストラット4の上端を所定位置まで
移動させることにより、サスペンション2のキャスタ角
が目標キャスタ角に調整されるようになっている。な
お、図1中においては、フロント側の車輪3のみを示し
ているが、リヤ側にも同様のサスペンション2およびス
トラット駆動機構7がそなえられ、コントローラ9およ
びストラット駆動機構7によりサスペンション2のキャ
スタ角が調整されるようになっている。
【0019】本発明の一実施例としての自動車用キャス
タ角制御装置は、上述のように構成されているので、加
速判定部9aにより、Gセンサ8の検出加速度に基づい
て車体1が加速中もしくは制動中の加速状態になったと
判定された場合、サスペンション2の瞬間回転中心IC
が、前後の各車輪3の中心F,Rと車体1の加速時の瞬
間モーメント中心MCもしくは制動時の瞬間モーメント
中心MC′とを結ぶ直線上に位置させうるように、目標
キャスタ角設定手段9bにより目標キャスタ角が設定さ
れる。
【0020】目標キャスタ角設定手段9bにより設定さ
れた目標キャスタ角は、ストラット4上端の前後位置情
報としてストラット駆動機構7へ送られ、このストラッ
ト駆動機構7によりストラット4の上端が所定位置まで
駆動され、サスペンション2のキャスタ角が目標キャス
タ角に調整される。このようなキャスタ角調整に伴うサ
スペンションの瞬間回転中心の位置変化を図2により説
明する。この図2において、A,A′,A″はロアアー
ム6の前側端部6aの位置、Bはボールジョイント5
(ストラット4の下端)の位置、C,C′,C″はスト
ラット4上端の位置、Dはロアアーム6の後側端部6b
の位置、IC,IC′,IC″はサスペンション2の瞬
間回転中心を示している。
【0021】実線で示す状態は通常の基準位置に対応す
るもので、ストラット4の上端が位置Cに配置され、ロ
アアーム6の前側端部6aが位置Aに配置された状態で
あり、このときのサスペンション2の瞬間回転中心IC
は、ストラット4の上端位置Cを通過しこのストラット
4の配置方向に直交する線と、ロアアーム6の前側端部
6aの位置Aと後側端部6bの位置Dとを結んだA−D
線との交点となる。
【0022】このような基準位置Cからストラット4の
上端位置をストラット駆動機構7により前方側の位置
C′へ駆動すると、キャスタ角が小さくなり、軟らかい
ゴムブッシュにより支持されたロアアーム6の前側端部
6aは、位置Aから下方側の位置A′へ移動する。これ
に伴いサスペンション2の瞬間回転中心は位置ICから
上方側の位置IC′へ変位することになる。
【0023】また、基準位置Cからストラット4の上端
位置をストラット駆動機構7により後方側の位置C″へ
駆動すると、キャスタ角が大きくなり、ロアアーム6の
前側端部6aは、位置Aから上方側の位置A″へ移動す
る。これに伴いサスペンション2の瞬間回転中心は位置
ICから下方側の位置IC″へ変位することになる。本
実施例の装置は、このようなキャスタ角調整に伴うサス
ペンション2の瞬間回転中心ICの位置変化を利用し
て、加速もしくは制動に伴う車体1のピッチング運動を
抑制するものである。
【0024】次に、本実施例の装置の動作原理、つま
り、サスペンション2の瞬間回転中心ICを、車輪3の
中心Fと車体1の加速時の瞬間モーメント中心MCもし
くは制動時の瞬間モーメント中心MC′とを結ぶ直線上
に位置させと、車体1のピッチング運動が抑制される理
由について、図3および図4により説明する。なお、図
3,図4には、それぞれ車体1の加速時および制動時
(減速時)のピッチングジオメトリが示されており、こ
れらの図において、Ffは前輪側の駆動力もしくは制動
力、Frは後輪側の駆動力もしくは制動力で、全駆動力
をFa、前輪の駆動力配分比,前輪の制動力配分比をそ
れぞれλ,λ′とすると、フロント側駆動力Ffはλ・
Fa、リヤ側駆動力Frは(1−λ)・Fa、フロント
側制動力Ffはλ′・Fa、リヤ側制動力Frは(1−
λ′)・Faとなる。
【0025】また、Lはホイールベース、HCGは重心
高、Rtは車輪3の半径、Gは車体1の重心である。こ
のとき、加速時の瞬間モーメント中心MCは、重心Gの
車輪3の半径Rtだけ上方のレベルにおいて、前後車輪
中心F,R間をλ:(1−λ)に分割する点であり、制
動時の瞬間モーメント中心MC′は、重心Gのレベルに
おいて、前後車輪中心F,R間をλ′:(1−λ′)に
分割する点となる。
【0026】さらに、以下の説明で用いる符号について
説明すると、Wは車体1の重量、kfは前輪位置バネ定
数、krは後輪位置バネ定数、ηfはフロント側のサス
ペンション2におけるロアアーム6の前側端部6aの位
置Aと瞬間回転中心ICとを結ぶ線と水平方向との成す
角度、ηrはリヤ側のサスペンション2におけるηfと
同様の角度、ηfoは前側の車輪中心Fと瞬間モーメン
ト中心MCもしくはMC′とを結ぶ線と水平方向との成
す角度、ηroは後側の車輪中心Rと瞬間モーメント中
心MCもしくはMC′とを結ぶ線と水平方向の線との成
す角度である。
【0027】まず、図3により車体1の加速時について
説明すると、サスペンション2経由の駆動力による重心
G回りのピッチングモーメントMは、 M=F・(HCG−Rt) となり、駆動系トルク反力Tは、 T=F・Rt となる。従って、全駆動力の重心回りのピッチングモー
メントは、M+T=F・HCGとなる。
【0028】このとき、フロント側からリヤ側への荷重
移動量ΔWは、 ΔW=(M+T)/L=F・HCG/L となり、フロント側のサスペンション2における伸びス
トロークδfは、 δf=(ΔW−λ・F・tanηf)/kf =(HCG/L−λ・tanηf)・F/kf となる。
【0029】車体1のピッチング運動を無くすために
は、この伸びストロークδfがゼロになればよく、δf
=0の条件は、 HCG/L−λ・tanηf=0 であり、この式から、 tanηf=HCG/(λ・L) が得られる。
【0030】また、同様にして、リヤ側の圧縮ストロー
クδrをゼロとする条件より、 tanηr=HCG/〔(1−λ)・L〕 が得られる。上述した式から分かるように、ηf=ηf
o,ηr=ηroになった時、つまり、サスペンション
2の瞬間回転中心ICが、前後の各車輪中心と加速時の
瞬間モーメント中心MCとを結ぶ直線上にあれば、前後
力を瞬間回転中心方向の力と上下力とに分解したときの
該上下力は、荷重移動量ΔWと打ち消し合い、サスペン
ションストロークを引き起こさなくなり、加速時におけ
る車体1のピッチング運動(ノーズアップ)が抑制され
ることになる。
【0031】一方、車体1の制動時には、全ての制動力
はサスペンション2から入り、図4に示すように、制動
時における重心G回りのピッチングモーメントMは、 M=F・HCG となり、リヤ側からフロント側への荷重移動量ΔWは、 ΔW=M/L=F・HCG/L となり、フロント側のサスペンション2における圧縮ス
トロークδfは、 δf=(ΔW−λ′・F・tanηf)/kf =(HCG/L−λ′・tanηf)・F/kf となる。
【0032】車体1のピッチング運動を無くすために
は、この圧縮ストロークδfがゼロになればよく、δf
=0の条件は、 HCG/L−λ′・tanηf=0 であり、この式から、 tanηf=HCG/(λ′・L) が得られる。
【0033】また、同様にして、リヤ側の伸びストロー
クδrをゼロとする条件より、 tanηr=HCG/〔(1−λ′)・L〕 が得られる。上述した式から分かるように、制動時も加
速時と同様に、ηf=ηfo,ηr=ηroになった
時、つまり、サスペンション2の瞬間回転中心ICが、
前後の各車輪中心と制動時の瞬間モーメント中心MC′
とを結ぶ直線上にあれば、前後力を瞬間回転中心方向の
力と上下力とに分解したときの該上下力は、荷重移動量
ΔWと打ち消し合い、サスペンションストロークを引き
起こさなくなり、制動時における車体1のピッチング運
動(ノーズダウン)が抑制されることになる。
【0034】なお、図3,図4では、前輪,後輪それぞ
れに駆動力がある場合、つまり、四輪駆動車の場合につ
いて説明しているが、FF車(前輪駆動車)であればλ
=1、FR車(後輪駆動車)であればλ=0と設定すれ
ばよい。このように、本実施例の自動車用キャスタ角制
御装置によれば、目標キャスタ角設定手段9bにより、
目標キャスタ角を、サスペンション2の瞬間回転中心I
Cがその車輪中心と瞬間モーメント中心MCもしくはM
C′とを結ぶ直線上に位置するように設定し、その目標
キャスタ角となるように各サスペンション2のストラッ
ト4の上端位置をストラット駆動機構7にて調整するこ
とにより、サスペンションストロークを引き起こさなく
なって、自動車の加速時や制動時のピッチング運動が抑
制され、乗り心地を大きく改善できるようになる。
【0035】なお、上述した実施例では、本発明の装置
をマクファーソンストラットタイプのサスペンションに
適用した場合について説明したが、本発明は、これに限
定されるものではなく、ウイッシュボーンタイプ,マル
チリンクタイプなど他の種類のサスペンションにも同様
に適用される。また、上述した実施例では、ストラット
4の上端位置をストラット駆動機構7により調整するよ
うにしてキャスタ角調整手段を構成したが、本発明の装
置は、これに限定されるものではなく、サスペンション
のタイプによってはアーム自体を回動させたりアームの
取付位置を直接調整したりしてキャスタ角調整手段を構
成してもよい。
【0036】さらに、上述した実施例では、加速状態検
出手段として、Gセンサ8を用いた場合について説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、車速セ
ンサ等の検出結果から加速状態を演算して求めるように
構成してもよい。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の自動車用
キャスタ角制御装置によれば、自動車のサスペンション
のキャスタ角を調整しうるキャスタ角調整手段と、上記
キャスタ角が目標キャスタ角になるように上記キャスタ
角調整手段の作動を制御する制御手段と、上記自動車が
加速状態にあることを検出する加速状態検出手段とをそ
なえ、上記制御手段に設けた目標キャスタ角設定手段に
て、上記加速状態検出手段からの情報により上記自動車
が加速状態にあるとこの加速に伴う上記自動車のピッチ
ング運動を抑制すべく上記目標キャスタ角を設定するよ
うに構成したので、サスペンションのキャスタ角の制御
によって加速時や制動時における車体の姿勢変化を確実
に抑制でき、自動車の乗り心地を大きく改善できる利点
がある。
【0038】また、上記目標キャスタ角設定手段を、上
記サスペンションの瞬間回転中心を、その車輪中心と上
記自動車の瞬間モーメント中心とを結ぶ直線上に位置さ
せうるように上記目標キャスタ角を設定するように構成
することにより、サスペンションストロークが引き起こ
されず、自動車のピッチング運動が確実に抑制されるこ
とになって自動車の乗り心地が大きく改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての自動車用キャスタ角
制御装置を示す模式的な構成図である。
【図2】本実施例の装置によるキャスタ角調整に伴うサ
スペンションの瞬間回転中心の位置変化を説明するため
の模式図である。
【図3】本実施例の装置の加速時における動作を説明す
べくピッチングジオメトリを示す車体の側面図である。
【図4】本実施例の装置の制動時における動作を説明す
べくピッチングジオメトリを示す車体の側面図である。
【図5】フロントサスペンションについて従来設定され
るアンチノーズダイブ角,アンチノーズアップ角とその
理想領域を示す図である。
【図6】リヤサスペンションについて従来設定されるア
ンチテールリフト角,アンチスクワット角とその理想領
域を示す図である。
【図7】従来の理想的なアンチピッチングサスペンショ
ンジオメトリを説明するための模式的な車体の側面図で
ある。
【符号の説明】
1 車体 2 サスペンション 3 車輪 4 ストラット 5 ボールジョイント 6 ロアアーム 7 キャスタ調整手段としてのストラット駆動機構 8 加速状態検出手段としてのGセンサ 9 制御手段としてのコントローラ 9a 加速状態判定部 9b 目標キャスタ角設定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 隆夫 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車のサスペンションのキャスタ角を
    調整しうるキャスタ角調整手段と、上記キャスタ角が目
    標キャスタ角になるように上記キャスタ角調整手段の作
    動を制御する制御手段と、上記自動車が加速状態にある
    ことを検出する加速状態検出手段とをそなえ、上記制御
    手段に目標キャスタ角設定手段が設けられて、上記目標
    キャスタ角設定手段が、上記加速状態検出手段からの情
    報により上記自動車が加速状態にあるとこの加速に伴う
    上記自動車のピッチング運動を抑制すべく上記目標キャ
    スタ角を設定するように構成されていることを特徴とす
    る、自動車用キャスタ角制御装置。
  2. 【請求項2】 上記目標キャスタ角設定手段が、上記自
    動車の加速状態時にこの加速に伴う上記自動車のピッチ
    ング運動を抑制すべく、上記サスペンションの瞬間回転
    中心を、その車輪中心と上記自動車の瞬間モーメント中
    心とを結ぶ直線上に位置させうるように上記目標キャス
    タ角を設定するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項1記載の自動車用キャスタ角制御装置。
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