JPH05177762A - 耐食性および溶接性に優れた積層鋼板 - Google Patents

耐食性および溶接性に優れた積層鋼板

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JPH05177762A
JPH05177762A JP35993791A JP35993791A JPH05177762A JP H05177762 A JPH05177762 A JP H05177762A JP 35993791 A JP35993791 A JP 35993791A JP 35993791 A JP35993791 A JP 35993791A JP H05177762 A JPH05177762 A JP H05177762A
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康司 藤井
Yukichi Watanabe
裕吉 渡辺
Akihiko Nishimoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐食性および溶接性に優れた積層鋼板を提供
する。 【構成】 高分子樹脂層2を挟持している上下2枚の鋼
板6の各々に、高分子樹脂層2に向けた側の表面にの
み、下層としての合金化溶融亜鉛めっき層5と上層とし
ての電気めっき層4とで形成される2層めっきが形成さ
れており、高分子樹脂層2と接しないもう一方の側の表
面に合金化溶融めっき層5が形成されており、高分子樹
脂層2内には、圧潰され鋼板6の間に挟持される前の形
状がほぼ球状をしており、平均粒径Dが、高分子樹脂層
2の厚さTに対して、T≦D≦2Tの範囲内であり、ビ
ッカース硬度がHv180 以下であり、且つ、融点が電気め
っき層4より高い導電金属粉3が添加されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は溶接性に優れるととも
に耐食性にも優れた積層鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2枚の薄い鋼板の間に、高分子樹脂を挟
持した積層鋼板は、制振性および軽量性に優れるため
に、騒音防止、振動防止および軽量化等を目的とし、自
動車、家電機器および建築材料等に多く使用されてい
る。しかしながら、高分子樹脂は、電気絶縁性が極めて
高く、電流が流れないために、そのままでは直接通電に
よるスポット溶接を行うことができない。そのため、高
分子樹脂に金属粉、グラファイト粉、螺旋状の導電体等
の導電材料を添加し、表皮鋼板間の導電性を確保し、直
接通電によるスポット溶接を可能とした技術が、従来数
多く提案されている(例えば、特開昭50-79920号公報、
特公昭60-912号公報、特開昭62-87341号公報、特開昭57
-146649 号公報、特公昭61-29261号公報等) 。
【0003】これらのスポット溶接を可能とした積層鋼
板において、表皮鋼板が冷延鋼板の場合には、表面が錆
び易いだけでなく、切断面の端部より、高分子樹脂と鋼
板との接合面に錆が侵入し、剥離を引き起こすことがあ
り、耐食性を付与することが要求されている。そのため
に、表皮鋼板に鉄−亜鉛合金めっき鋼板を使用する方法
(例えば、特開昭63-158242 号公報) 、高分子樹脂との
接合面側をクロメート処理面とし、外面を亜鉛めっき面
とする方法(特開昭63-205227 号公報)、めっき被覆の
最表層におけるアルミニウムに対する亜鉛の原子数を制
限し、且つ、その表面上にクロメート処理層を有する鋼
板を使用する方法(特開平1-280543号公報)等が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来技術においては、
高分子樹脂と表皮鋼板との接合面における、錆の侵入に
よる剥離を防ぐことには効果があるものの、スポット溶
接性については、必ずしも充分とはいえない。本発明
は、上述の問題点を解決するためになされたものであっ
て、耐食性に優れるとともに溶接性、特にスポット溶接
性に優れた積層鋼板を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】高分子樹脂に導電金属粉
等を添加し、スポット溶接性を付与することは、基本的
には前述した種々の従来技術で可能である。本発明者ら
は、導電金属粉を添加した積層鋼板を対象として、スポ
ット溶接性付与のメカニズムについて鋭意検討を行い、
以下の知見を得た。
【0006】スポット溶接時に果たす導電金属粉の役割
は、全部で10サイクル程度からなるスポット溶接の初期
段階(およそ2サイクル以内)において、積層鋼板を挟
んだ状態の溶接用電極間に電流を流すことにある。即
ち、積層鋼板と被溶接材とを溶接用電極で加圧しながら
挟み、電極に電圧を印加すると、導電金属粉を添加しな
い場合は、前述したように高分子樹脂層が電気絶縁層で
あるため電流は流れないが、導電金属粉を添加すると、
電極直下およびその周辺の導電金属粉を通して電流が流
れる。そして通電により電極直下およびその周辺で、表
皮鋼板が抵抗発熱を起こし、その熱で高分子樹脂が溶融
する。電極直下の溶融した高分子樹脂層は、電極の加圧
力で排除され、表皮鋼板同士が接触し、通常鋼板と同様
にスポット溶接が行われる。
【0007】従って、高分子樹脂と表皮鋼板との接合面
に、クロメート皮膜のように、導電性の悪い被膜が介在
すると、通電性が悪くなり、スポット溶接性が低下す
る。また、スポット溶接初期段階における極めて短い時
間ではあるが、導電金属粉を通して電流が流れる際に、
導電金属粉は抵抗発熱を起こす。従って、導電金属粉の
数が少ないと、瞬時に導電金属粉が抵抗発熱を起こし、
溶融飛散して電流が流れなくなる。また導電金属粉の中
で、鋼板との接触が極めて良好なものが存在すると、電
流がそこに集中し、導電金属粉と接している表皮鋼板を
も急速加熱し、表皮鋼板が溶融飛散し、ピンホール状の
欠陥を引き起こすことがある。導電金属粉の数が多くて
も、表皮鋼板との接触状態が悪い場合、抵抗が高くなる
ため電流が流れにくく、スポット溶接生は低下する。さ
らに、亜鉛めっき鋼板を使用する場合、亜鉛は鉄に比べ
て融点が低いため、導電金属粉と接触した亜鉛めっき層
は抵抗発熱により瞬時に溶融飛散ないしは蒸発すること
があり、冷延鋼板に比べスポット溶接性が著しく低下す
る。
【0008】一方、亜鉛めっき鋼板、および、鉄および
ニッケル等との合金化溶融亜鉛めっき鋼板の連続スポッ
ト溶接においては、電極の主材質である銅と亜鉛とが反
応し、電極先端部に銅−亜鉛の合金層が形成される。こ
の銅−亜鉛合金層はもろいため、次の溶接打点時に電極
から剥離する。そして、この現象は繰り返され、その結
果として電極先端部が凹状に損耗する。または、電極先
端径が大きくなる場合があることが知られている。前述
の電極先端部の損耗によって、積層鋼板の溶接において
は、電極直下の樹脂の排除が遅れるため、その間に多く
の電流が電極の周りの表皮鋼板を流れ、電極周りの表皮
鋼板がリング状に溶断する場合がある。また、一方で
は、電極径が大きいため、電極直下の電流密度が小さく
なり、十分な大きさのナゲットが形成されない場合があ
る。
【0009】この発明は上述の知見をもとになされたも
のであり、高分子樹脂層を上下2枚の鋼板の間に挟持し
てなる積層鋼板において、各々の前記鋼板は前記高分子
樹脂層に向けた側の表面上にのみ、下層としての合金化
溶融亜鉛めっき層と上層としての電気めっき層とで形成
される2層めっきが形成され、前記高分子樹脂層と接し
ないもう一方の側の表面上には合金化溶融亜鉛めっき層
が形成され、前記高分子樹脂層内には、圧潰され鋼板の
間に挟持される前の形状がほぼ球状をしており、平均粒
径Dが、前記高分子樹脂層の厚さTに対して、T≦D≦
2Tの範囲内であり、ビッカース硬度がHv180 以下であ
り、且つ、融点が前記電気めっき層より高い導電金属粉
が添加されていることに特徴を有するものである。
【0010】
【作用】次ぎに本発明の作用について図面を参照しなが
ら説明する。図1は本発明の1実施態様を示す断面図、
図2はスポット溶接要領を示す正面図である。図面にお
いて、1は積層鋼板、2は高分子樹脂層、3は導電金属
粉、4は電気めっき層、5は合金化溶融亜鉛めっき層、
6は表皮鋼板、7は電極、8は単一鋼板(被溶接材)で
ある。
【0011】この発明の積層鋼板においては、上下2枚
の鋼板の各々の前記高分子樹脂層に向けた側の表面上に
のみ、下層としての合金化溶融亜鉛めっき層と上層とし
ての電気めっき層とからなる2層めっきを形成する。上
層に電気めっき層4を形成するのは、主としてめっき層
の抵抗発熱による溶融飛散を防ぐためである。即ち、下
層の合金化溶融亜鉛めっき層5中の鉄含有量は4から17
wt.%の範囲内であり、融点は純亜鉛(420 ℃)よりは高
くなるものの、たかだか800 ℃程度であり、必ずしも充
分なものとはいえない。電気めっきの種類としては、鉄
−亜鉛、亜鉛−ニッケル、亜鉛−マンガン等の合金電気
めっき、または、鉄電気めっき、ニッケル電気めっき等
が使用できるが、合金化溶融亜鉛メッキと同一組成であ
ることから鉄含有量が50から100wt.% の範囲内の鉄電気
めっきまたは鉄−亜鉛合金電気めっきを使用することが
望ましい。
【0012】高分子樹脂層2に向けた側の表面で、上層
に電気めっき層4を形成する効果としては、上述したス
ポット溶接性を向上する効果だけでなく、以下に示す効
果がある。即ち、合金化溶融亜鉛めっき層5に比べ、電
気めっき層4は表面酸化膜が少なく、また表面が平滑で
あり、導電金属粉3との電気的な接触状態が良好となる
効果がある。更に、電気めっき層4の鉄含有量が高いた
め、濡れ性が良好になり、高分子樹脂との接着力を高く
する効果もあり、そして、更に、高分子樹脂と表皮鋼板
との接合面における、錆びの侵入による剥離を防ぐ効果
もある。電気めっき層4の鉄含有量は、下層の合金化溶
融亜鉛めっき層5の鉄含有量よりも高いことが必要であ
る。NKK 社製 PZBM を例にとると、電気めっき層4の鉄
含有量は50wt.%以上が好ましい。電気めっき層4の鉄含
有量が50wt.%未満では、溶接性が低下する。
【0013】一方、高分子樹脂層2と接しない側の表面
に、合金化溶融亜鉛めっき層5を形成するのは、合金化
溶融亜鉛めっき層5は、上述した連続スポット溶接にお
いて、電極の損耗を防ぎ、電極の寿命を延ばす効果を有
するからである。即ち、電気めっき層4に比べ、合金化
溶融亜鉛めっき層5は、その表層に多くの酸化膜が形成
されているため、連続スポット溶接時に、電極の銅と亜
鉛との合金化反応を防ぐ効果がある。電気めっき層4の
付着量は、1から10g/m2、好ましくは2から5g/m2の範
囲内とする。また、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板5の付着
量は、20から300g/m2 、好ましくは30から120 g/m2の範
囲内とする。
【0014】導電金属粉3には、圧潰前のもとの大きさ
が、高分子樹脂層2の厚さよりも大きなものを使用す
る。その理由は、積層する際に高分子樹脂層2の厚さま
で圧潰することによって、導電金属粉3を上下の鋼板と
接触させ、その結果、低い抵抗を得ることができるから
である。導電金属粉3の大きさとしては、平均粒径D
が、高分子樹脂層2の厚さTに対して、T≦D≦2Tな
る範囲内のものを用いる。D>2Tでは、導電金属粉3
を潰すのが困難となる。また、導電金属粉3は圧潰され
る前のもとの形状が、ほぼ球状をしたものを用いる。そ
の理由は、粒径分布を正確に把握すれば、潰したときに
表皮鋼板6と導電金属粉3とが接した部分の面積を、簡
単に求めることができるからである。一方、D<Tで
は、充分な接触を得ることができない。
【0015】導電金属粉3としてはビッカース硬度がHv
180 以下のものを用いる。その理由は、導電金属粉3を
容易に潰すことができるからである。即ち、電気めっき
層4のビッカース硬度は、例えば鉄含有量が10wt.%前後
の鉄−亜鉛合金めっきでは、およそHv300 である。従っ
て、硬い導電金属粉3を使用すると、積層する際に、圧
下力を高くしても、導電金属粉3はめっき層に簡単に食
い込むことができず、さらに、潰そうと、圧下力を高く
した場合、むしろ表皮鋼板6の変形が生じ、結果として
導電金属粉とめっき層とが点接触となり、接触が不充分
となり、そして、スポット溶接性が低下し易い。さら
に、導電金属粉3が潰れないために、高分子樹脂層2と
の接合面に気泡が入り、密着力を低下する等の弊害が生
ずる。以上のように、ビッカース硬度がHv180 以下の導
電金属粉3を使用することにより、良好な導電性が得ら
れるだけでなく、高分子樹脂層2と表皮鋼板6との接合
面に気泡が入ることもなく、良好な密着力を得ることが
できる。
【0016】導電金属粉3の融点は、電気めっき層4の
融点より高いことが望ましい。即ち、電気めっき層4を
上層に形成する目的は、主として電気めっき層4の融点
を高め、スポット溶接性を向上することにあり、導電金
属粉3の融点は、電気めっき層4よりさらに高いことが
必要である。導電金属粉3としては、ニッケル粉、鉄
粉、ステンレス粉および銅粉等を使用する。
【0017】高分子樹脂層としては、例えば、エチレン
系共合体、プロピレン系共合体、ブテン−1系重合体に
代表されるポリオレフィンおよびポリアミド等の熱可塑
性樹脂、または、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂
等の熱硬化性樹脂を使用する。更に、ポリオレフィンの
場合には、鋼板との接着性を高めるために、前記ポリオ
レフィンを制振用樹脂層とし、変性ポリエチレン、変性
ポリプロピレン等の2層の変性ポリオレフィンを接着層
として、前記制振用樹脂層を挟み込んだ3層からなるフ
ィルムを使用することが好ましい。制振層のみの1層で
は、鋼板との接着力が劣る。
【0018】
【実施例】次ぎに本発明の実施例を、比較例とともに説
明する。表1に示す、本発明積層鋼板と単一鋼板(被溶
接材)とを、単純スポット溶接または連続スポット溶接
によって溶接した。また、比較のため、この発明の範囲
外の積層鋼板と単一鋼板(被溶接材)とを、実施例と同
一の単純スポット溶接または連続スポット溶接によって
溶接した。単一鋼板、高分子樹脂、導電金属粉、積層条
件およびスポット溶接条件を下記に示す。そして、実施
例および比較例における、単純スポット溶接での溶接欠
陥の発生数、連続スポット溶接でのナゲット部の引張り
せん断強さが低下しないまでの連続打点数(即ち、電極
寿命)、および、高分子樹脂と表皮鋼板とのせん断密着
力の評価結果をまとめて表1に示す。また、下記に示す
塩水噴霧試験によって積層鋼板の耐食性を評価しその結
果を表1に併せて示す。
【0019】
【表1】
【0020】(1) 鋼板 鉄−亜鉛溶融合金めっき鋼板《両面めっき》(素材
は下記の冷延鋼板):鉄含有量10.0wt.%、めっき付着
量片面当り45g/m2または60g/m2、板厚0.4 mm、クロ
メート処理有りまたは無し、クロム(Cr)付着量40〜50mg
/m2。 鉄−亜鉛溶融合金めっき層の上層に、鉄−亜鉛合金
電気めっき層が形成された、上記の鋼板《上層めっき
は、高分子樹脂に向けた側のみの片面または両面》(素
材は下記の冷延鋼板):鉄−亜鉛合金電気めっき層の
鉄含有量は、80.4wt.%、付着量は片面当り4.0g/m2。 冷延鋼板(アルミキルド鋼板、板厚0.4 mm)。
【0021】(2) 高分子樹脂 エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂をフィルム
状としたもの。変性ポリエチレン/エチレンアクリル酸
エステル共重合体/変性ポリエチレンの3層。厚さは50
μm 。
【0022】(3) 導電金属粉 種類;析出法にて製造した、ほぼ球状をしたニッケ
ル粉を使用。 平均粒径;82μm (分布74〜90μm )、68μm (分
布63〜74μm)、59μm(分布44〜74μm)および48μm(分布
44〜53μm)のものを使用。 硬度;ビッカース硬度でHv100 、Hv180 およびHv28
0 のものを使用。 添加量;10〜30wt.%の範囲内で選択した。なお、導
電金属粉は、上記フィルムの成形時に添加した。
【0023】(4) 積層条件 実施例1から5は、次の方法によって積層した。即ち、
予熱した鋼板(約120℃)の片面に、ラミネーターを使
用して、ニッケル粉を添加した高分子樹脂フィルムを貼
りつけ、その後、更に高分子樹脂の融点以上(約180
℃)に加熱し、別途加熱炉にて同じく高分子樹脂の融点
以上に加熱した鋼板と、耐熱性樹脂をライニングした一
対のピンチロールにて、10Kgf /cm2 以上の面圧をかけ
積層した。積層後は室温まで空気中で徐冷した。実施例
6は、次の方法によって積層した。即ち、高分子樹脂と
してアクリル系樹脂を使用し、鋼板の表面にニッケル粉
を添加したアクリル系樹脂をコーターによって塗工し、
その後、鋼板を、樹脂をライニングした1対のピンチロ
ールによって、10Kgf/cm2 以上の面圧をかけて積層し、
170 ℃の温度を10分間保持して貼り合わせた。貼り合わ
せた後は、室温にまで空気中で徐冷した。
【0024】(5) 単純スポット溶接条件 電極;ドーム型、銅−クロム電極(先端径、6mm
φ)。 加圧力;180 Kgf 。 電流;10kA。 通電時間;12サイクル(60Hz)。 制御方式;定電流制御(0.5 サイクル制御) 。 溶接;30mm×100mm のサンプルと、0.8 mm厚の単一
鋼板(積層鋼板がめっき鋼板の場合は、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を使用し、積層鋼板が冷延鋼板の場合は、冷
延鋼板を使用)を重ね合わせ、溶接した。
【0025】(6) 連続スポット溶接条件 電極、 加圧力、 電流、 通電時間、
制御方式は、上述の単純スポット溶接条件と同一。 溶接;30mm幅のサンプルと、0.8mm 厚の単一鋼板
(上述の単純スポット溶接と同様に使い分け)を重ねあ
わせ、26mmピッチで連続溶接した。なお、溶接は1打点
/1秒のペースで連続20回行い、40秒間休止を1サイク
ルとし、このサイクルを繰り返し行った。
【0026】(7) 塩水噴霧試験 耐食性を評価するため、サンプルに対して1000時間の塩
水噴霧試験(JIS Z 2371)を行い、上下の鋼板を引きは
がし、高分子樹脂の接合面での錆の侵入量を、目視にて
調べた。
【0027】〔評価方法〕単純スポット溶接性について
は、サンプル500 本に、1本に付き1ケ所のスポット溶
接を行い、トータルで 500本の溶接を行い、スパーク、
未通電および電極周辺での溶断等の欠陥発生数を求め
た。不良本数の数によって、○:良好、△:やや不良、
×:不良として評価した。また、連続スポット溶接につ
いては、2000打点おきに、別に用意した30mm×100 mmの
サンプルと単一鋼板とを溶接し、それについてナゲット
部の引張りせん断強さを測定し、ナゲット部の強度が低
下するまでの総打点数を求め、電極寿命として求めた。
総打点数によって、◎:最良、○:良好、△:やや不良
として評価した。耐食性については、端面からの錆の侵
入量で評価し、端面からの錆の侵入量が1mm以下を◎、
1mm超〜5mm未満を○、5mm以上を×として定義した。
【0028】表1から明らかなように、本発明範囲内の
実施例Nos.1から6は単純スポット溶接、連続スポット
溶接、耐食性およびせん断密着力のいずれもが良好であ
った。
【0029】これに対して、比較例No. 1およびNo. 2
は高分子樹脂層と接しない側に電気めっき層(上層)が
有り、連続スポット溶接性がやや劣っていた。比較例N
o. 3は高分子樹脂層に向けた側に電気めっき層が無
く、単純スポット溶接性がやや不良、導電断密着力は劣
っていた。比較例No. 4は、導電金属粉の平均粒径がD
<Tであり、単純スポット溶接性が劣っていた。比較例
No. 5は、導電金属粉のビッカース硬度がHv180 を超え
ており、単純スポット溶接性が不良であった。比較例N
o. 6は、電気めっき層が無く、クロメート処理が有る
ので、単純スポット溶接性が不良であった。比較例No.
7は電気めっき層が無く、クロメート処理が有り、ビッ
カース硬度がHv180 を超えてるので、溶接性がやや不良
であった。比較例No. 8、No. 9は冷延鋼板であり、比
較例No. 8は耐食性が、No. 9は単純スポット溶接性が
劣っていた。比較例No.10 は、導電金属粉の平均粒径が
D>2Tであり、単純スポット溶接性がやや劣り、せん
断密着力も劣っていた。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、耐食性に優れるとともに、溶接性、特に単純スポッ
ト溶接性および連続スポット溶接性に優れ、且つ、密着
力に優れる積層鋼板を得ることができ、自動車、家電機
器および建築材料等、従来において耐食性およびスポッ
ト溶接性の問題から適用することができなかった用途へ
の大幅な適用拡大が可能となり、かくして、工業上有用
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の1実施態様を示す断面図
【図2】スポット溶接要領を示す正面図
【符号の説明】
1 積層鋼板 2 高分子樹脂層 3 導電金属粉 4 電気めっき層 5 合金化溶融亜鉛めっき層 6 表皮鋼板 7 電極 8 単一鋼板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 Q 9138−3J

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂層を上下2枚の鋼板の間に挟
    持してなる積層鋼板において、各々の前記鋼板は前記高
    分子樹脂層に向けた側の表面上にのみ、下層としての合
    金化溶融亜鉛めっき層と上層としての電気めっき層とで
    形成される2層めっきが形成され、前記高分子樹脂層と
    接しないもう一方の側の表面上には合金化溶融亜鉛めっ
    き層が形成され、前記高分子樹脂層内には、圧潰され鋼
    板の間に挟持される前の形状がほぼ球状をしており、平
    均粒径Dが、前記高分子樹脂層の厚さTに対して、T≦
    D≦2Tの範囲内であり、ビッカース硬度がHv180 以下
    であり、且つ、融点が前記電気めっき層より高い導電金
    属粉が添加されていることを特徴とする耐食性および溶
    接性に優れた積層鋼板。
  2. 【請求項2】 前記電気めっき層は、鉄含有量が50から
    100 wt.%の範囲内の鉄または鉄−亜鉛合金めっきからな
    る請求項1記載の耐食性および溶接性に優れた積層鋼
    板。
  3. 【請求項3】 前記高分子樹脂層は、2層の接着層と、
    前記2層の接着層の間に挟まれた制振用樹脂層の3層か
    らなるフィルムである請求項1または2記載の耐食性お
    よび溶接性に優れた積層鋼板。
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Cited By (4)

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