JP2917765B2 - 電気抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥の少ない積層鋼板 - Google Patents

電気抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥の少ない積層鋼板

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JP2917765B2
JP2917765B2 JP5225365A JP22536593A JP2917765B2 JP 2917765 B2 JP2917765 B2 JP 2917765B2 JP 5225365 A JP5225365 A JP 5225365A JP 22536593 A JP22536593 A JP 22536593A JP 2917765 B2 JP2917765 B2 JP 2917765B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スポット溶接、シー
ム溶接、シリーズ溶接などの電気抵抗溶接性に優れ、自
動車、電機、機械、建築材料用として必要な密着力、耐
熱性、耐トルクダウン性を有する積層鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】2枚の薄い鋼板の間に、高分子樹脂を挟
持した積層鋼板は、制振性および軽量性に優れることか
ら、騒音防止、振動防止、軽量化などを目的とし、自動
車、家電機器、建築材料などに多く使用されている。し
かしながら、高分子樹脂は、電気絶縁性が極めて高く、
そのままでは直接通電による電気抵抗溶接を行うことが
できない。また、これらの積層鋼板に使用される高分子
樹脂は従来熱可塑性樹脂が主流であったために、鋼板と
の密着力が低くプレス成形時に樹脂と鋼板とが剥離した
り、焼付け塗装時の熱で剥離したり、ネジ止め部でトル
クダウンが起こることなど、多くの適用上の問題点があ
った。
【0003】これらの問題を解決する方法としては、ま
ず、高分子樹脂に導電性金属粉を添加して電気抵抗溶接
性を付与する方法する方法が公知である(特開昭50−
79920、特公昭60−912、特開昭62−873
41、特開昭57−146649、特公昭61−292
61)。また、密着力や加工性および耐熱性を向上する
方法として、高分子樹脂の弾性率、伸びを限定し、表皮
鋼板との接着力を高めることにより、加工性を向上する
方法が公知である(特開昭60−82349)。さら
に、ボルト締め部を加熱した状態でボルト締めし、高分
子樹脂の厚みを薄くした状態にすることにより、トルク
ダウンを防止する方法も公知である(特公昭63−34
324)。さらに、最近では、特開昭63−74634
にみられるような、もともと密着力や耐熱性に優れた特
性を有する熱硬化性樹脂(架橋体)を用いて、これに金
属粉を添加して電気抵抗溶接性を付与する方法も知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来公知の技術におい
ては、高分子樹脂として熱硬化性樹脂(架橋体)を用
い、これに金属粉を添加することにより、上記の熱可塑
性樹脂の欠点である密着力低下、熱剥離、トルクダウン
などの問題点はある程度解決できるものの、電気抵抗溶
接性については、必ずしも充分とは言えず、反って熱可
塑性樹脂を使用した場合に比べて低下することが多く、
金属粉添加量を多くしたり、溶接条件を低電流で行うな
どの工夫をしたりして、対応しているのが現状である。
そのため、制振性能が低下したり、溶接性が低下した
り、さらには溶接作業性が悪いことなどの問題が依然と
して残されており、上記の必要特性を充分に満足する積
層鋼板は、未だ開発されていない。
【0005】本発明者らは、高分子樹脂を挟持してなる
積層鋼板に、密着力、耐熱性、耐トルクダウン性を付与
するには、分子間に架橋点をもつ熱硬化性樹脂を使用し
て、樹脂の剛性、耐熱性を向上させることが必要であ
り、次に、熱硬化性樹脂を挟持してなる積層鋼板に、ス
ポット溶接性で代表される電気抵抗溶接性を付与するこ
とは、基本的には樹脂に金属粉を添加する方法で可能で
あると考え、熱硬化性樹脂に金属粉を添加した積層鋼板
を対象として、スポット溶接のメカニズムについて鋭意
検討を行った。その結果、樹脂特性と金属粉に関して、
積層鋼板のスポット溶接性は、金属粉の影響だけでは解
決できず、高分子樹脂の特性を併せて加味する必要があ
るとの知見を得た。
【0006】本発明は、この知見に基づいてなされたも
ので、密着力、耐熱性、耐トルクダウン性に優れ、かつ
電気抵抗溶接性にも優れた積層鋼板を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の電気
抵抗溶接性に優れた積層鋼板は、一対の鋼板とこれら鋼
板間に挟着された高分子樹脂層と高分子樹脂層に圧潰さ
れて含有された導電性金属粉とを備え、高分子樹脂層
は、架橋された熱硬化牲樹脂で形成され、熱分解温度が
450℃以下、周波数1〜50Hzで測定した動的弾性
率が150℃以上の温度で3×107 dyn/cm2 以下であ
り、前記導電性金属粉は、高分子樹脂と導電性金属粉の
合計100重量部に対して3〜30重量部含まれ、圧潰
前の平均粒径Dが、高分子樹脂層の厚さTに対してT≦
D≦2Tの範囲内で、ビッカース硬さが180HV以
下、融点が前記鋼板と同等又はそれ以上である。導電性
金属粉は、圧潰され鋼板間に挟持された状態では、2≦
Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の70%以下
で、かつ1≦Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の
30%以上である(ただし、Dwは圧潰され鋼板間に挟
持された後の金属粉の幅方向径、Tは高分子樹脂層の厚
さ)である。また、めっき鋼板の場合は、導電性金属粉
は、高分子樹脂と導電性金属粉の合計100重量部に対
して10〜30重量部含まれるのがよい。
【0008】また、高分子樹脂は、耐トルクダウン性の
点から、周波数1〜50Hzで測定した動的弾性率が1
20℃以下の温度で5×106 dyn/cm2 以上がよい。制
振性能が必要な場合は、ガラス転移に基づく損失正接
(tan δ)の極大値が0.3以上で、この極大値を示す
温度が−40〜100℃の範囲にあり、かつ積層鋼板と
しての損失正接の極大値が0.1以上で、この極大値を
示す温度が0〜120℃の範囲にあるのがよい。
【0009】
【作用】本発明の作用について、本発明者の検討結果に
基づいて説明する。まず、スポット溶接メカニズムにつ
いて述べる。スポット溶接時に果たす金属粉の役割は、
全部で10サイクル程度からなるスポット溶接における
溶接初期段階(約3サイクル以内)において、積層鋼板
を挟んだ状態の溶接用電極間に電流を流すことにある。
すなわち、積層鋼板と被溶接材とを溶接用電極で加圧し
ながら挟み、電極間に通電すると、電極直下およびその
周辺の金属粉を通じて電流が流れる。その通電により、
電極直下およびその周辺で、表皮鋼板および金属粉が抵
抗発熱を起こし、その熱で高分子樹脂が溶融あるいは熱
分解する。電極直下の溶融、あるいは熱分解によりガス
化した高分子樹脂は電極の加圧力で電極の周りに排除さ
れ、表皮鋼板同士が接触し、通常鋼板と同様にスポット
溶接が行われる。従来、熱可塑性樹脂であろうが熱硬化
性樹脂であろうがある程度軟化した状態であれば、電極
加圧力により、電極の周りに排除されるものと考えられ
ていたが、熱硬化性樹脂の場合は、熱分解によるガス化
温度も併せて重要な因子であることが判った。
【0010】ここで、電極周りへの樹脂排除が、スポッ
ト溶接性に関して重要な因子である理由を述べる。つま
り、樹脂の排除が遅れれば、表皮鋼板をその幅方向に流
れる電流により、電極周りの表皮鋼板が抵抗発熱し、溶
断が発生する。通常スポット溶接は、10kA程度の電
流が通電されるわけであるが、その際、溶断を防ぐため
には、溶接初期の2.5サイクル以内で上下の鋼板を接
触させ、表皮鋼板を幅方向に流れる電流を中止させるこ
とが必要である。つまり、単に金属粉を多く添加すれば
よいという従来の考え方だけでは、スポット溶接性を向
上させることはできず、高分子樹脂の熱的な特性を限定
する必要があり、樹脂排除を2.5サイクル以内で起こ
す条件が必要である(図3)。もちろん、電流が低い場
合は、表皮鋼板の抵抗発熱量が小さいため、溶断までの
時間も長くなるが、その際には充分な溶接部強度が得ら
れなかったり、また溶接時間を長くしたりすれば作業性
が悪くなったりして、実用性ではない。
【0011】一方、金属粉の数が少ないと、表皮鋼板の
溶断に至る前に、瞬時に金属粉が抵抗発熱を起こし、溶
融飛散して電流が流れなくなる。また、金属粉の中で鋼
板との接触が極めて良好なものが存在すると、そこに電
流が集中し、金属粉と接触している表皮鋼板が急速加熱
され、溶融飛散し、ピンホール状の欠陥を引き起こす。
一方、金属粉の量が多くても、表皮鋼板との接触状態が
悪い場合には、抵抗が高くなるために電流が流れにくく
なり、溶接性は低下する。さらに、表皮鋼板に亜鉛めっ
き鋼板を使用する場合には、亜鉛は鉄に比べて融点が低
いため、金属粉と接した亜鉛めっき層が、抵抗発熱によ
り瞬時に溶融飛散あるいは蒸発することがあり、冷延鋼
板を使用した場合比べて、金属粉の添加量を増大するこ
とが望ましい。
【0012】さらに、熱硬化性樹脂の特性と樹脂排除と
の関係について検討を進めた結果、以下の結論を得た。
高分子樹脂としては、高温時の柔らかさと熱分解温度の
低さを合わせ持つことが必要である。すなわち、熱分解
温度が450℃以下であり、かつ周波数1〜50Hzで
測定した動的弾性率が150℃以上の温度においては3
×107 dyn/cm2 以下であることが必要である。
その理由は、この範囲外では、樹脂排除時間が2.5サ
イクルを越えるため、表皮鋼板の溶断が発生するためで
ある。当初高温時にある程度の柔らかさを有していれ
ば、電極の加圧力により、樹脂排除は行われるものと考
えられていたが、併せて熱分解が450℃以下で起こる
ことが必要であることを得た。
【0013】金属粉は、圧潰前のもとの大きさが、高分
子樹脂層の厚さよりも大きいものを使用する。その理由
は、積層する際に高分子樹脂層の厚さまで圧潰すること
によって、金属粉を上下の鋼板と充分な状態で接触さ
せ、その結果、低い抵抗を得ることができ、溶接性が安
定するからである。具体的には、金属粉の平均粒径D
が、高分子樹脂層Tに対して、T≦D≦2Tの範囲のも
のを用いる。D>2Tでは、金属粉を潰すのが困難とな
り、その結果、高分子樹脂層と表皮鋼板との界面に気泡
が混入し、密着力が低下する。また、D<1Tでは、充
分な接触が得られず溶接性が低下する。なお、金属粉は
圧潰される前のもとの形状がほぼ球状をしたものが望ま
しい。その理由は、粒径分布を正確に把握でき、これに
より潰したときの表皮鋼板と金属粉との接触した部分の
面積を簡単に求めることができ、ピンホール欠陥などの
溶接欠陥が発生しないための金属粉の添加量を最小限
に、かつ正確に決定できるからである。圧潰後の金属粉
では、Dwを圧潰され鋼板間に挟持された後の金属粉の
幅方向径、Tを高分子樹脂層の厚さとすると、2≦Dw
/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の70%以下で、か
つ1≦Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の30%
以上とする。この理由は、2≦Dw/Tの範囲の個数が
全金属粉の個数の70%を越えると金属粉を潰すのが困
難となり、かつ1≦Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の
個数の30%未満では充分な接触が得られず溶接性が低
下するためである。
【0014】また、金属粉としては、ビッカース硬さが
180Hv以下のものを用いる。その理由は、積層する
際に金属粉を容易に高分子樹脂の厚みまで潰すことがで
き、表皮鋼板との接触面積を充分に確保することがで
き、かつ高分子樹脂層と表皮鋼板の界面に気泡が入るこ
となく、良好な密着力を得ることができるからである。
冷延鋼板のビッカース硬さは100〜130Hv程度で
あり、また合金化亜鉛めっき鋼板では300Hv程度で
あり、表皮鋼板の硬さの範囲は、おおよそ100〜30
0Hvである。さらに、金属粉の硬さが表皮鋼板の硬さ
の1.8倍以下であれば一層望ましい。表皮鋼板の1.
8倍を越える硬さの金属粉を使用すると、積層する際の
圧下力を高くしても、金属粉は表皮鋼板に簡単に食い込
むことができず、さらに潰そうと圧下力を高くした場
合、むしろ表皮鋼板の変形が生じ、結果として金属粉と
表皮鋼板が点接触となり、接触が不充分となり、スポッ
ト溶接性が低下しやすい。さらに、金属粉が潰れないた
めに、高分子樹脂層との接合面に気泡が混入し、密着力
低下の弊害が生ずやすい。以上のように、ビッカース硬
さが180Hv以下の金属粉を使用することにより、あ
らゆる種類の表皮鋼板を使用しても、良好な溶接性が得
られるだけでなく、良好な密着力をも得ることができ
る。さらに、最小限の金属粉添加量でよいため、制振性
能の低下が少なく、良好な制振性能をも得ることができ
る。
【0015】導電性金属粉の硬度を所望の硬度とするに
は、硬くする場合には、焼き入れ又は加工して歪みを与
える加工硬化法を、軟らかくする場合には焼鈍(再結晶
化)がある。いずれも当業者が適宜おこなうことができ
る硬度調整技術である。
【0016】次に、金属粉の融点は、2枚の表皮鋼板の
融点と同等以上であることが望ましい。その理由は、ス
ポット溶接は表皮鋼板が溶融してなされるわけであるか
らして、金属粉は表皮鋼板が溶融するまで上下の鋼板の
短絡点の役割を果たす必要がある。溶接時には、電流は
金属粉を通じて流れ、金属粉自体も抵抗発熱を起こすた
め、温度上昇によっては、溶融し、消失する可能性は大
きいので、少なくとも、表皮鋼板の融点以上であること
が望ましい。この条件を満足する金属粉としては、ニッ
ケル粉、鉄粉、ステンレス粉、銅粉などがある。
【0017】また、金属粉の添加量は、3〜30重量%
とする。その理由は、前述のスポット溶接のメカニズム
からも判るように、溶接を行うためには、金属粉と表皮
鋼板との充分な接触面積を確保することが必要であり、
そのためには、最低3重量%以上が必要であり、特に、
めっき鋼板の場合には10重量%以上の添加量が望まし
い。めっき鋼板の場合に、添加量を多くすることが望ま
しいのは、めっき層の融点が400〜500℃程度であ
るため、金属粉と接しためっき層が抵抗発熱し、溶接初
期段階で瞬時に溶融飛散ないし、蒸発することがあるか
らで、これを防ぐために金属粉の添加量を多くして、金
属粉への電流密度を小さくして、これに接するめっき層
の抵抗発熱を防ぐためである。また、上限は30重量%
以下とする。その理由は、30重量%以上では、積層時
に潰すことが困難となり、気泡の混入により密着力の低
下や、スポット溶接性の低下を引き起こしたり、仮に潰
せたとしても、密着力の低下は避けられず、また、制振
性能の低下が起こる。
【0018】高分子樹脂としては、アクリル系、エポキ
シ系、ウレタン系、ポリエステル系などおよびこれらと
SBRなどのゴムとの重合体またはポリマーアロイなど
の熱硬化性樹脂(架橋した樹脂)を使用する。その他積
層鋼板に使用する架橋した樹脂であれば、その材質は特
に限定しない。耐トルクダウン性の点から、周波数1〜
50Hzで測定した動的弾性率が120℃以下の温度に
おいては5×106 dyn/cm2 以上の高分子樹脂を
用いることが望ましい。その理由は、トルクダウンの原
因は、高温度での樹脂の軟化により、ボルト−ナット間
に締め付けられている積層鋼板中の樹脂厚が減少し、ボ
ルトの張力低下が起こり発生するためで、積層鋼板の場
合120℃以下の温度で適用されるのが通常であり、1
20℃で評価した場合、5×106 dyn/cm2 以下
の動的弾性率では、たとえ熱硬化性樹脂であっても、ト
ルクダウンが発生することがあるためである。また、積
層鋼板に制振性能が必要な場合は、上記高分子樹脂がガ
ラス転移に基づく損失正接(tanδ)の極大値が0.
3以上であり、この極大値を示す温度が−40〜100
℃の範囲にある高分子樹脂を使用して、積層鋼板の損失
係数の極大値を0.1以上とし、この極大値を示す温度
を0〜120℃の範囲とすればよい。
【0019】上述した高分子樹脂の特性を得るには、高
分子樹脂の架橋個数の調整(架橋剤の種類、添加量、硬
化条件の調整),高分子樹脂の分子量の選択、耐熱性向
上剤の添加等により適宜行われる
【0020】表皮鋼板としては、冷延鋼板、ステンレス
鋼板をはじめ、亜鉛、ニッケル、錫、クロム、銅などの
各種めっき鋼板や、鉄−亜鉛系、ニッケル−亜鉛系など
の溶融あるいは電気合金化めっき鋼板などいずれでも使
用できる。また、耐食性などを向上する目的で、クロメ
ート処理、あるいは有機系皮膜が施されていてもかまわ
ない。
【0021】
【実施例】本発明の実施例について、説明する。図1
(a),(b)は本発明の実施態様を示す断面図、図2
はスポット溶接要領を示す正面図である。図面におい
て、1,1′は積層鋼板、2,2′は表皮鋼板、3,
3′は高分子樹脂、4,4′は金属粉、5′はめっき
層、6は電極、7は単一鋼板(被溶接材)である。
【0022】表1に示す本発明の積層鋼板と単一鋼板と
をスポット溶接した。また、比較のために本発明の範囲
外の積層鋼板についても同様に行った(表3)。表皮鋼
板、高分子樹脂、金属粉、動的弾性率測定条件、熱分解
温度測定条件、積層条件、スポット溶接条件を下記に示
す。また、積層鋼板の密着力測定結果、スポット溶接結
果をまとめて表2(本発明),表4(比較例)に示す。
なお、表3,表4中に、本発明の範囲外のもの、結果の
劣るところにアンダーラインを付した。表1,2では、
本発明の範囲内であるが、好適な範囲から外れる場合に
アンダーラインが付してある。 (1)表皮鋼板 (1) 冷延鋼板(アルミキルド鋼板)、板厚0.4mmt (2) 亜鉛−ニッケル合金化電気めっき鋼板(素材は上記
(1) )、板厚0.4mmt (2)高分子樹脂 (1) 変成アクリル系樹脂(a),(b),(c),
(d),(e),(f)、厚み0.05mmt (2) エポキシ−合成ゴム系樹脂(a),(b)、厚み
0.05mmt (3) SBR合成ゴム系樹脂、厚み0.05mmt (4) エポキシ系樹脂(a),(b)、厚み0.05mm
t (5) 比較としてポリエチレン系(熱可塑性樹脂)、厚み
0.05mmt ※(a),(b),(c),(d),(e),(f)
は、架橋度あるいは添加剤を変えたもの (3)金属粉 (1) ニッケル粉 ・平均粒径;120μm(分布90〜150)、68μ
m(63〜74)、58μm(53〜63)、48μm
(44〜53) ・硬さ ;ビッカース硬さで90Hv,180Hv,
280Hv ・添加量 ;2〜40重量%の範囲で添加 (2) ステンレス粉 ・平均粒径;58μm(分布53〜63) ・硬さ ;ビッカース硬さで180Hv ・添加量 ;5〜15重量%の範囲で添加 (4)高分子樹脂の動的弾性率の測定 岩本製作所製 粘弾性スペクトロメーター(VES−F
3)にて、0.5〜50Hzでの動的弾性率を測定 (5)高分子樹脂の熱分解温度の測定 セイコウ電子工業製 熱分析システムSSC−5000
にて、熱重量測定を行い、TG点を測定した。 (6)積層条件 いずれの熱硬化性樹脂ともに、あらかじめ金属粉を添加
した樹脂を、表皮鋼板表面にナイフ状のコーターによっ
て、塗布し、90℃×5分乾燥後、もう一方の表皮鋼板
を、樹脂をライニングした1対のピンチロールによっ
て、10kgf/cm2 〜100kgf/cm2 の面圧
の範囲で金属粉の添加量に応じて選択して積層し、17
0℃×10分保持して、加熱硬化させて、積層鋼板を得
た。 (7)スポット溶接条件 (1) 電 極 ;ドーム型、銅−クロム電極(先端
径6mmφ) (2) 加圧力 ;200kgf (3) 電 流 ;10kA (4) 通電時間 ;12サイクル(60Hz) (5) 制御方法 ;定電流制御(0.5サイクル制
御) (6) 試験片組合わせ;30×100mmの積層鋼板と
0.8mm厚の単一鋼板を重ね合わせ、溶接した。
【0023】(7) 溶接性の評価 ;積層鋼板1本につき
一か所のスポット溶接を500本行い、ピンホール、表
皮鋼板の溶断などの欠陥発生数を求めた。不良本数の数
によって、○(0本)、△(1〜10本)、×(11本
以上)で評価した。なお、欠陥発生数の1)はピンホー
ル欠陥、2)は表皮鋼板の溶断が主な欠陥であったこと
を示す。 (8)トルクダウン試験 50×50mmの積層鋼板と20t ×50×50mmの
架台とをM6ボルトで初期トルク85kgf・cmで締
付け、120℃×12時間放置し、常温に戻して、保持
トルクを測定した。トルク保持率が80%以上を○、8
0%未満を×で評価した。 実施例の結果 表2,表4から明らかなように、本発明範囲内の実施例
No.1〜No18は、樹脂排除時間が2.5サイクル
以内となり、スポット溶接性が良好であった。また、N
o.1〜No.16は、併せて、密着力、耐トルクダウ
ン性、制振性能も良好であった。
【0024】これに対して、比較例No.1は、金属粉
添加量が3%未満なので溶接性が不良であった(ピンホ
ール欠陥)。比較例No.2は、金属粉添加量が30%
を越えているので、密着力と制振性能が不良であった。
【0025】比較例No.3は、金属粉のビッカース硬
さが180Hvを越えているので、溶接性が不良であっ
た(ピンホール欠陥)。併せて、密着力が不良であっ
た。比較例No.4は、金属粉の粒径がD>2T(2≦
Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の85%)なの
で、密着力が不良であった。
【0026】比較例No.5は、金属粉の粒径がD<T
(1≦Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の20
%)なので、溶接性が不良であった(ピンホール欠
陥)。比較例No.6,No.10およびNo.14
は、150℃以上での動的弾性率が3×107 dyn/
cm2 を越えているので、樹脂排除時間が2.5サイク
ルを越え、溶接性が不良であった(表皮鋼板の溶断)。
【0027】比較例No.7,No.11およびNo.
15は、熱分解温度が、450℃を越えているので、樹
脂排除時間が2.5サイクルを越え、溶接性が不良であ
った(表皮鋼板の溶断)。
【0028】比較例No.8,No.12は、150℃
以上での動的弾性率が3×107 dyn/cm2 を越え
ており、かつ熱分解温度が、450℃を越えているの
で、樹脂排除時間が2.5サイクルを越え、溶接性が不
良であった(表皮鋼板の溶断)。
【0029】比較例No.9およびNo.13は、熱可
塑性樹脂であり、架橋されていない点で、本発明の範囲
外のもの。樹脂排除時間は、熱硬化性樹脂に比べて、早
く溶接性も良好であるが、密着力が劣り、また、120
℃以下での動的弾性率が5×106 dyn/cm2 未満
であり、耐トルクダウン性が不良であった。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、密着
力、耐熱剥離性にすぐれるとともに、金属粉添加量を増
大することなく、また溶接条件を工夫することなく、電
気抵抗溶接性に優れた積層鋼板を確実に得ることが可能
となり、自動車、電機、機械、建築材料など従来におい
て、密着力、耐熱性、溶接性、場合によっては、耐トル
クダウン性、制振性能などのバランスの問題から不具合
が生じたり、またその解決策が不明であることから、適
用することが困難であった用途への大幅な適用拡大が可
能となり、工業上有用な効果がもたらされる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層鋼板の断面図で、(a)は表
皮鋼板にめっき層を形成していない実施例を示し、
(b)は表皮鋼板にめっき層を形成した実施例を示す。
【図2】本発明に係る積層鋼板をスポット溶接する作用
説明図。
【図3】樹脂排除時間と欠陥発生数との関係を示す図。
【符号の説明】
1,1´…積層鋼板、2,2´…表皮鋼板、3,3´…
高分子樹脂層、4,4´…金属粉、5´めっき層、6…
電極、7単一鋼板(被溶接材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松田 恭典 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−177762(JP,A) 特開 平4−77246(JP,A) 特開 平4−263938(JP,A) 特開 平5−138800(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 15/08 F16F 15/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の鋼板とこれら鋼板間に挟着された
    高分子樹脂層と高分子樹脂層に圧潰されて含有された導
    電性金属粉とを備え、高分子樹脂層は、架橋された熱硬
    化性樹脂で形成され、熱分解温度が450℃以下、周波
    数1〜50Hzで測定した動的弾性率が150℃以上の
    温度で3X10dyn/cm2以下であり 、前記導電性金属
    粉は、高分子樹脂と導電性金属粉の合計100重量部に
    対して3〜30重量部含まれ、圧潰前の平均粒径Dが、
    高分子樹脂層の厚さTに対してT≦D≦2Tの範囲内
    で、ビッカース硬さが180HV以下、融点が前記鋼板
    と同等又はそれ以上である電気抵抗溶接性に優れかつ溶
    接欠陥の少ない積層鋼板。
  2. 【請求項2】 一対の鋼板とこれら鋼板間に挟着された
    高分子樹脂層と高分子樹脂層に圧潰されて含有された導
    電性金属粉とを備え、高分子樹脂層の高分子樹脂は、架
    橋され、熱分解温度が450℃以下、周波数1〜50H
    zで測定した動的弾性率が150℃以上の温度で3X1
    dyn/cm2以下であり、前記圧潰さ れた導電性金属粉
    は、ビッカース硬さが180HV以下、融点が前記鋼板
    と同等又はそれ以上で、高分子樹脂と導電性金属粉の合
    計100重量部に対して3〜30重量部含まれ、2≦Dw
    /Tの範囲の個数が全金属粉の個数の70%以下で、か
    つ1≦Dw/Tの範囲の個数が全金属粉の個数の30%以
    上である電気抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥の少ない
    層鋼板。ただし、Dwは圧潰され鋼板間に挟持された後の
    金属粉の幅方向径、Tは高分子樹脂層の厚さである。
  3. 【請求項3】 鋼板はめっき鋼板で、導電性金属粉は、
    高分子樹脂と導電性金属粉の合計100重量部に対して
    10〜30重量部含まれている請求項1又は2に記載の
    電気抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥の少ない積層鋼板。
  4. 【請求項4】 高分子樹脂は、周波数1〜50Hzで測
    定した動的弾性率が120℃以下の温度で5X10dy
    n/cm2以上である請求項1〜3のいずれかに 記載の電気
    抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥の少ない積層鋼板。
  5. 【請求項5】 高分子樹脂は、ガラス転移に基づく損失
    正接(tanδ)の極大値が0.3以上で、この極大値を
    示す温度が−40〜100℃の範囲にあり、勝つ積層鋼
    板としての損失正接の極大値が0.1以上で、この極大
    値を示す温度が0〜120℃の範囲にある請求項1〜4
    のいずれかに記載の電気抵抗溶接性に優れかつ溶接欠陥
    の少ない積層鋼板。
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