JP3214345B2 - プレス成形性とスポット溶接性に優れた積層鋼板 - Google Patents

プレス成形性とスポット溶接性に優れた積層鋼板

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JP3214345B2 JP06978996A JP6978996A JP3214345B2 JP 3214345 B2 JP3214345 B2 JP 3214345B2 JP 06978996 A JP06978996 A JP 06978996A JP 6978996 A JP6978996 A JP 6978996A JP 3214345 B2 JP3214345 B2 JP 3214345B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、 上下2枚の鋼板
の間に高分子樹脂層を挟持してなる亜鉛系めっき層を有
する積層鋼板であって、 耐食性を有し、 プレス成形性と
スポット溶接性にも優れる積層鋼板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】積層鋼板は、上下2枚の鋼板(表皮鋼
板)の間に高分子樹脂層を挟持したもので、高分子樹脂
の有する軽量性、制振性などの特性を鋼板に付与したも
のである。近年では、特に自動車の騒音低減や建材の静
粛性を目的として制振性を付与した制振鋼板が盛んに使
用されてきている。
【0003】積層鋼板を、前記したような用途、例え
ば、自動車用防錆鋼板などの用途に使用するためには、
耐食性は勿論のこと、車体製造工程において要求される
性能として、プレス成形性、スポット溶接性、接着剤と
の接着性などにも適宜優れていることが必要である。
【0004】積層鋼板に耐食性を付与するために、高分
子樹脂層を間に挟持する表皮鋼板に亜鉛系めっき鋼板を
使用した積層鋼板が用いられている。しかし、積層鋼板
は、挟持する高分子樹脂が電気的絶縁物であるので、そ
のままではスポット溶接ができない。
【0005】そのため、表皮鋼板として亜鉛系めっき鋼
板を使用した積層鋼板において、高分子樹脂中に各種の
導電金属粉を添加してスポット溶接を可能にする積層鋼
板が、特開平3-266640号公報、特開平4-94928 号公報、
特開平5-177762号公報などに開示されている(以下、総
称して先行技術1 という)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般に、亜鉛
系めっき鋼板は、冷延鋼板に比べてプレス成形性が劣る
という欠点がある。これは、亜鉛系めっき鋼板をプレス
成形する場合、亜鉛系めっき鋼板とプレス金型との摺動
抵抗が、冷延鋼板の場合に比較して大きく、このため、
プレス成形中に、特に亜鉛系めっき層とプレス金型との
摺動抵抗が大きい部分で鋼板が金型内に流入しにくくな
り、鋼板の破断が発生しやすくなるからである。
【0007】また、車体の防錆、部品接合の目的で各種
接着剤が適用されるが、近年になって亜鉛系めっき鋼板
の接着性が冷延鋼板の接着性に比べて劣ることが明らか
になってきた。
【0008】積層鋼板の性能は、その表皮鋼板の性能に
左右されることが多く、表皮鋼板として亜鉛系めっき鋼
板を使用した先行技術1に記載の積層鋼板の場合、前記
したような亜鉛系めっき鋼板の持つ特性がそのまま積層
鋼板の性能として発現され、耐食性は向上しているもの
の、プレス成形性や接着性が劣っている。
【0009】ところで、亜鉛系めっき鋼板の欠点である
プレス成形性を向上する方法として、特開平4-88196 号
公報には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、リン酸ナトリウ
ム50〜60g/l を含むpH2 〜6 の水溶液中にめっき鋼板を
浸漬するか、電解処理、または、上記水溶液を散布する
ことにより、P 酸化物を主体とした酸化膜を形成して、
プレス成形性を向上させる技術が開示されている。ま
た、特開平3-191093号公報には、亜鉛系めっき鋼板の表
面に電解処理、浸漬処理、塗布酸化処理また加熱処理に
より、Ni酸化物を生成させることによりプレス成形性を
向上させる技術が開示されている(以下、総称して先行
技術2 という)。
【0010】しかし、先行技術2 に開示される技術にお
いては、プレス成形性は向上するが接着性は劣ってい
る。そのため、この亜鉛系めっき鋼板を積層鋼板の表皮
鋼板に使用した場合、積層鋼板においては、プレス成形
性は改善されるが、接着性は改善されない。
【0011】また、先行技術1 に開示される積層鋼板で
は、スポット溶接は可能であるが、金属粉と接する側の
めっき層の消失が起こるために、冷延鋼板に比べて、ス
ポット溶接の安定性が乏しいことに加えて、スポット溶
接時に電極の主成分である銅が、積層鋼板の表層側の溶
融した亜鉛と反応して脆い合金層を形成するために、電
極の損耗が激しく、電極寿命が冷延鋼板に比べて劣ると
いう欠点がある。
【0012】したがって、耐食性を有し、プレス成形性
とスポット溶接性に優れるともに、さらに必要に応じて
接着性にも優れた亜鉛系めっき層を有する積層鋼板はな
い。
【0013】本発明は、上述の問題点を解決するため
に、耐食性を有し、プレス成形性とスポット溶接性に優
れることを前提とし、また必要に応じて接着性にも優れ
た亜鉛系めっき層を有する積層鋼板を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を解決するために、積層鋼板としての諸特性につい
て鋭意検討を行った。
【0015】まず、耐食性とプレス成形性とスポット溶
接性の両立を前提とする本発明の考え方を下記に説明す
る。 (1)耐食性については、表皮鋼板そのものの耐食性に
影響されるので、表皮鋼板として亜鉛系めっき層を有す
る鋼板を使用することを前提にした。
【0016】(2)プレス成形する場合、積層鋼板のプ
レス割れにつながるような成形上の問題と、挟持された
高分子樹脂層と表皮鋼板との間の剥離につながるような
積層鋼板固有の成形上の問題がある。
【0017】前者は、積層鋼板の特性に大きく依存する
ものであり、積層鋼板表層、即ち、表皮鋼板とプレス金
型との摺動抵抗を低下することが有効である。
【0018】また、後者は、積層鋼板がプレス金型のビ
ードやダイス肩Rを通過する時に、2枚の表皮鋼板間にず
れが生じ、そのずれにより高分子樹脂層と表皮鋼板との
間の剥離をもたらすものである。一般に、スポット溶接
性の付与を目的とする高分子樹脂層への導電金属粉の添
加は、高分子樹脂層と表皮鋼板との接着力を低下させる
傾向があり、剥離がより起こりやすいという問題があ
る。
【0019】この剥離が発生すると、使用中のプレス成
形された積層鋼板の表皮鋼板に疲労割れが起こる場合
や、積層鋼板としての性能、例えば優れた制振性等を十
分に発揮できない場合がある。
【0020】挟持された高分子樹脂層と表皮鋼板との接
着強度を大きくすることにより、この剥離の発生を改善
することができる。
【0021】(3)スポット溶接性については、スポッ
ト溶接そのものの可否に関係する問題と連続スポット溶
接性に関係する問題がある。
【0022】前者は、積層鋼板固有の問題であって、挟
持された高分子樹脂層への導電金属粉の添加状態に依存
する部分が大きい。以下に、この点について説明する。
【0023】積層鋼板の溶接メカニズムは、積層鋼板と
被溶接材とを電極で加圧しながら挟み、電極に電圧を印
加すると、高分子樹脂層中の導電金属粉を通じて電流が
流れる。その通電により、電極直下およびその周辺で表
皮鋼板が抵抗発熱を起こし、その熱で電極直下の高分子
樹脂が溶融、ガス化する。そして、溶融、ガス化した高
分子樹脂は、電極の加圧力で電極周りに排除され、表皮
鋼板同士が接触し、通常の鋼板と同様にスポット溶接が
行われる。
【0024】ここで、表皮鋼板が亜鉛系めっき鋼板の場
合、亜鉛は鉄に比べて融点が低いため、導電金属粉と接
触しためっき層は抵抗発熱により瞬時に溶融飛散ないし
は蒸発するため、通電が遮断される場合がある。したが
って、冷延鋼板に比べて安定した溶接を行うことが困難
であるが、導電金属粉の種類、粒径、添加量を適正化す
ることにより、この問題はある程度改善される。
【0025】後者は、表皮鋼板の特性に依存する部分が
大きい。以下に、この点について説明する。積層鋼板の
スポット溶接自体が可能であっても、 溶融した亜鉛が電
極の主成分である銅中に拡散し、電極先端部に銅-亜鉛
の脆い合金層が形成され、次の溶接打点時に電極から剥
離する現象が起こる。この現象が繰り返される結果、電
極先端部が凹状に損耗する。この損耗により、電極直下
の樹脂の排除が遅れるため、その間多くの電流が電極の
周りに流れ、電極周りの表皮鋼板がリング状に溶断した
り、あるいは、電極径が大きくなるために、電極直下の
電流密度が小さくなり、充分な大きさのナゲットが形成
されなくなったりすることにより、連続スポット溶接性
が劣るものである。したがって、この問題の改善には、
表皮鋼板自体のスポット溶接性の改善が不可欠である。
【0026】(4)また、車体の防錆、部品接合の目的
で各種接着剤が適用されるので、上記に示した耐食性や
プレス成形性に加えて、用途に応じて適宜接着性が必要
となる。この接着性は表皮鋼板の特性に依存するので、
表皮鋼板が接着性を合わせ持つことが望ましい。
【0027】また、この接着性の改善は、前記(2)に
記載した高分子樹脂層と表皮鋼板間の剥離(耐加工剥離
性)の改善にもつながる。
【0028】なお、本明細書においては、冷延鋼板や亜
鉛系めっき鋼板において認められる前者のようなプレス
割れと密接に関連するような成形性をプレス成形性と呼
び、また、積層鋼板固有の問題点である後者の積層鋼板
の高分子樹脂層と表皮鋼板間の剥離に関係する成形性を
耐加工剥離性、あるいは接着性と呼び、両者を区別して
いる。
【0029】以上の考え方を基本として、使用する表皮
鋼板に着目し、これを適正化することが重要と考え、め
っき層により耐食性を付与し、かつプレス成形性、スポ
ット溶接性、また必要に応じて接着性にも優れる積層鋼
板を提供することを目的として、検討した結果、本発明
を見いだすに至った。
【0030】上述の考え方に基づき、本発明者らは、積
層鋼板を構成する表皮鋼板において、亜鉛系めっき層に
より耐食性を付与し、その表面にFe-Ni-O系の適正な皮
膜を形成することにより、プレス成形性、スポット溶接
性、接着性を改善できることを見いだした。
【0031】すなわち、従来の表皮鋼板として亜鉛系め
っき鋼板を用いた積層鋼板は、プレス成形性が、冷延鋼
板を用いた場合に比較して劣る。 この原因は、 表皮鋼板
である亜鉛系めっき鋼板とプレス金型との摺動抵抗が大
きいため、高面圧下において低融点の亜鉛と金型とが凝
着現象を起こすことにある。これを防ぐには、亜鉛系め
っき鋼板の表面に、亜鉛または亜鉛合金めっき層より硬
質で、かつ高融点の皮膜を形成することが有効である。
この発明における亜鉛系めっき層の上に形成する皮膜
は、少なくとも、Ni酸化物、 Fe酸化物、 金属Niおよび金
属Feを含む混合皮膜( 以下、Fe-Ni-O系皮膜という)
で、硬質かつ高融点であるから、プレス成形時における
めっき層表面とプレス金型との摺動抵抗が低下し、積層
鋼板がプレス金型へ滑り込みやすくなり、プレス成形性
が向上する。
【0032】また、従来の亜鉛系めっき層を有する積層
鋼板は、スポット溶接における連続打点性が、冷延鋼板
と比較して劣る。その原因は、溶接時に溶融した亜鉛が
電極の主成分である銅に拡散し、電極先端部に脆い合金
層が形成され、次の溶接打点時に電極から剥離する現象
が起こり、この現象が繰り返される結果、電極先端部が
凹状に損耗することにある。したがって、亜鉛系めっき
層を有する積層鋼板の連続打点性を改善する方法として
は、めっき層表面に高融点の皮膜を形成し、めっき金属
と銅電極との反応を抑制することが有効と考えられる。
【0033】本発明者らは、各種皮膜について検討した
結果、Ni酸化物、Fe酸化物、金属Niおよび金属Feを含む
混合皮膜が特に有効であることを見いだした。この理由
の詳細は明らかでないが、非常に高融点のNi酸化物とFe
酸化物がZnの銅電極への拡散を抑制し、銅電極の損耗を
低減するため、あるいはNiがZnと反応し高融点のZn-Ni
合金となり、Znと銅電極の反応を抑制するためと考えら
れる。
【0034】また、 従来の亜鉛系めっき層を有する積層
鋼板は、 挟持される高分子樹脂層との接着性や部品組み
立て工程などで使用される接着剤との接着性が、冷延鋼
板に比較して劣ることが知られていたが、その原因は明
らかになっていなかった。
【0035】本発明者らが、その原因について調査した
結果、表面の酸化皮膜の組成により接着性が支配されて
いることが明らかとなった。すなわち、冷延鋼板の場合
には、表面の酸化皮膜はFe酸化物が主体であるのに対し
て、亜鉛系めっき鋼板の場合にはZn酸化物が主体であ
る。この酸化物の組成により接着性が異なっており、Zn
酸化物はFe酸化物に比べて接着性が劣っていた。したが
って、本発明のように、表皮鋼板の表層にFe酸化物を含
有する皮膜を形成することによって、接着性を改善する
ことが可能である。
【0036】本発明は上述の知見に基づいてなされたも
のである。以下に、本発明の手段について説明する。
【0037】第1 の発明は、上下2枚の鋼板の間に高分
子樹脂層を挟持してなる積層鋼板において、前記鋼板の
少なくとも一方の鋼板は、少なくとも高分子樹脂層と接
しない側の表面に、亜鉛系めっき層と、前記亜鉛系めっ
き層の上に形成したFe-Ni-O系皮膜を有しており、前記F
e-Ni-O 系皮膜の付着量が金属換算で合計10以上1500mg/
m2以下の範囲内にあり、前記Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有
量が0.5以上30wt%未満の範囲内にあり、かつ、前記Fe-N
i-O系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含有量(wt%)との和に
対する前記Fe含有量(wt%)の比率が0超え0.9以下の範囲
内にあり、さらに前記高分子樹脂層内には、圧潰前の平
均粒径Dが高分子樹脂層の厚さTに対してT≦D≦2Tの範囲
内で、ビッカース硬さが180Hv以下で、融点が鋼板と同
等以上の導電金属粉が、高分子樹脂層に対して3以上20w
t%以下添加された積層鋼板である。
【0038】第2 の発明は、上下2 枚の鋼板の間に高分
子樹脂層を挟持してなる積層鋼板において、前記一方の
鋼板は、その両面に亜鉛系めっき層と、このめっき層の
上に形成したFe-Ni-O 系皮膜を有しており、他方の鋼板
は、少なくとも高分子樹脂層と接する側の表面に亜鉛系
めっき層と前記亜鉛系めっき層の上に形成したFe-Ni-O
系皮膜を有しており、前記各々のFe-Ni-O 系皮膜の付着
量が金属換算で合計10以上1500mg/m2以下の範囲内にあ
り、前記Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有量が0.5以上30wt%未
満の範囲内にあり、かつ、前記Fe-Ni-O系被膜中のFe含
有量(wt%)とNi含有量(wt%)との和に対する前記Fe含有量
(wt%)の比率が0.05以上0.9以下の範囲内にあり、さらに
前記高分子樹脂層内には、圧潰前の平均粒径Dが高分子
樹脂層の厚さTに対してT≦D≦2Tの範囲で、ビッカース
硬さが180Hv以下で、融点が鋼板と同等以上の導電金属
粉が、高分子樹脂層に対して3以上20wt%以下添加された
積層鋼板である。
【0039】第3 の発明は、前記の第1 の発明または第
2の発明において、Fe-Ni-O系皮膜の付着量が金属換算
で合計10以上1200mg/m2以下の範囲内にあり、前記Fe-Ni
-O系皮膜の酸素含有量が0.5以上10wt%以下の範囲内にあ
り、かつ、前記Fe-Ni-O系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含
有量(wt%)との和に対する前記Fe含有量(wt%)の比率が0.
1以上0.3以下の範囲内にある積層鋼板である。
【0040】第 4の発明は、前記の第1の発明から第3
の発明において、高分子樹脂がガラス転移に基づく損失
正接(tanδ)の極大値が0.3以上で、この極大値を示す温
度が-40 〜80℃の範囲内にあり、かつ積層鋼板としての
損失係数 (η)の極大値が0.1以上で、この極大値を示す
温度が0 〜120℃の範囲内にある積層鋼板である。
【0041】以下に、上記発明の限定理由について説明
する。 <Fe-Ni-O系皮膜の付着量>Fe-Ni-O 系皮膜の形成によ
り、プレス成形性、スポット溶接性、接着性が向上す
る。しかし、Fe-Ni-O 系皮膜の付着量が、皮膜中の金属
換算で10mg/m2 未満の場合、プレス成形性、スポット溶
接性、接着性の改善効果が得られない。この付着量が15
00mg/m2 を超えると、前記した効果が飽和する。したが
って、Fe-Ni-O系皮膜の付着量は、10mg/m2 以上1500mg/
m2 以下にする必要がある。また、この付着量が1200mg/
m2 以下の場合、プレス成形性と接着性がより優れるこ
とに加えて、より製造しやすくなる。
【0042】<Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有量>Fe-Ni-O 系
皮膜に適正量の酸素が含有されることにより、プレス成
形性と接着性が改善される。しかし、Fe-Ni-O 系皮膜中
の酸素含有量が、0.5wt%未満の場合、皮膜の金属的な性
質が強くなるためプレス成形性の改善効果が発揮され
ず、また、金属の比率が大となり濡れ性が悪く接着性に
劣る。また、この量が30wt%を超えると皮膜中が全量酸
化物で構成され、金属単体が存在しなくなり、本発明の
必要要件を満たさないため、本発明の効果を発揮できな
くなる。したがって、Fe-Ni-O 系皮膜の酸素含有量は、
0.5 以上30wt% 未満にする必要がある。また、この量が
0.5 以上10wt% 以下の場合、プレス成形性と接着性がよ
り優れる。
【0043】<Fe-Ni-O 系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含
有量(wt%)との和に対する前記Fe含有量(wt%)の比率>Fe-
Ni-O系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含有量(wt%)との和に
対する前記Fe含有量(wt%)の比率( 以下、皮膜中のFe/Fe
+Niという) を特定することにより、プレス成形性に加
えて接着性を優れたものにできる。この比率が0 の場
合、Fe-Ni-O系皮膜の存在という本発明の必要要件を満
たさなくなる。また、この比率が0.05未満の場合、接着
性の改善効果が得られない。 さらに、この比率が0.9 を
超えると、 被膜中に存在するNi含有量が減少するため
に、 溶接時に形成される高融点のZn-Ni合金の比率が少
なくなり、 電極の損耗が激しくなるため、 スポット溶接
性の改善効果が発揮されない。 したがって、優れたプレ
ス成形性とスポット溶接性を得るためには、皮膜中のFe
/Fe+Niを0 超え0.9 未満にする必要があり、プレス成形
性とスポット溶接性に加えて優れた接着性を得るために
は、皮膜中のFe/Fe+Niを0.05以上0.9 未満にする必要が
ある。また、皮膜中のFe/Fe+Niが、0.1 以上0.3 以下の
場合、プレス成形性、スポット溶接性及び接着性がより
優れる。
【0044】<導電性金属粉>導電金属粉の圧潰前の大き
さは、 その平均粒径をD、高分子樹脂層の厚さをTとした
場合、 T≦D≦2Tを満足する必要がある。この理由は、
表皮鋼板の間に、高分子樹脂層を挟持する際に、この金
属粉を高分子樹脂層の厚さまで圧潰することにより、上
下の表皮鋼板をこの金属粉を介して充分に接触させるこ
とができるので、電気抵抗の小さい積層鋼板を得ること
ができる。
【0045】また、D>2Tでは導電金属粉を潰すのが困難
であり、また、 D<Tでは、積層鋼板の上下の表皮鋼板が
この金属粉を介して充分な接触を得ることができない。
【0046】導電金属粉の硬さは、ビッカース硬さが18
0Hvを超えると潰すのが困難となるので、ビッカース硬
さを180Hv以下にする必要がある。
【0047】導電金属粉の融点は表皮鋼板と同等以上と
する必要がある。スポット溶接は表皮鋼板が溶融するこ
とによってなされので、導電金属粉は表皮鋼板が溶融す
るまで、上下の鋼板の短絡点の役割を果たす必要がある
からである。
【0048】導電金属粉の添加量は高分子樹脂層に対し
て3 〜20wt%とする必要がある。導電金属粉を過剰に添
加すると、潰すのが困難になるだけでなく、接着力の低
下や制振性の低下を招くので、上限は20wt%とする。ま
た、この量が3wt%未満ではスポット溶接性が低下する。
【0049】また、前記した積層鋼板に使用する高分子
樹脂を、ガラス転移に基づく損失正接(tanδ)の極大値
が0.3以上で、この極大値を示す温度が-40 〜80℃の範
囲にあるようにして、この高分子樹脂を鋼板の間に挟持
して積層鋼板となし、積層鋼板としての損失係数(η)の
極大値が0.1以上で、この極大値を示す温度が0 〜120℃
の範囲にあるようにすることにより、積層鋼板に優れた
制振性を付与することができる。
【0050】また、本発明の効果は以下の通りである。
第1 の発明は、プレス成形性とスポット溶接性に優れ
る。第2 の発明は、プレス成形性、スポット溶接性、接
着剤との接着性や高分子樹脂層との接着性に優れる。第
3 の発明は、前記した第 1の発明あるいは第 2の発明の
効果がより優れる。第4 の発明は、前記した第1 の発明
〜第3 の発明の効果に加えて、さらに制振性に優れる。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明においては、表皮鋼板とし
て、予め亜鉛系めっき層とFe-Ni-O 系皮膜とを形成した
亜鉛系めっき鋼板を用いて、積層鋼板を製造することが
好適である。しかし、可能な場合には、積層鋼板とした
後に、亜鉛系めっき層やFe-Ni-O 系皮膜を形成したもの
であってもよい。
【0052】以下に、表皮鋼板として、亜鉛系めっき鋼
板を用いた場合の発明の実施の形態について説明する。
【0053】ここで、亜鉛系めっき鋼板とは、母材であ
る鋼板上に溶融めっき法、電気めっき法、または気相め
っき法等の方法の1種以上の方法で亜鉛系めっき層を形
成させた鋼板である。
【0054】亜鉛系めっき層の化学成分組成は、純亜鉛
の他、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、Mo、Al、Ti、Sn、W、Si、P
b、NbおよびTa等の金属もしくは酸化物、または有機物
のうち、一種または二種以上を所定量含有する単層また
は複数のめっき層からなるものであればよい。また、前
記めっき層にSiO2、Al2O3等の微粒子を含有してもよい
し、めっき層の成分元素が同じで組成の異なる複数層か
らなる複層めっきやめっき層の構成元素が同じで厚さ方
向に組成を連続的に変化させた機能傾斜めっき層であっ
てもかまわない。
【0055】前記した亜鉛系めっき層は、後記するFe-N
i-O系被膜の下層となる鋼板表面に形成するが、積層鋼
板の使用状態に応じて、適宜前記皮膜を形成しない鋼板
表面に形成してもよい。
【0056】前記した亜鉛系めっき層の上に、前記第 1
の発明〜第 3の発明に記載されるような所定構成のFe-N
i-O系被膜を形成する。このFe-Ni-O系被膜は、その形成
方法により限定されるものではなく、その形成方法とし
て、置換めっき法、酸化剤含有の水溶液中での浸漬によ
る方法、酸化剤含有の水溶液中での陰極電解処理や陽極
電解処理、所定溶液の噴霧法、ロール塗布法、各種CVD
法、真空蒸着法、スパッタ蒸着法等の気相めっき法など
を採用できる。
【0057】また、本発明のFe-Ni-O系被膜中には、下
層の亜鉛系めっき層中に含まれるZn、Co、Mn、Mo、Al、
Ti、Sn、W、Si、PbおよびTa等の元素が取り込まれた酸
化物、水酸化物または金属単体が含まれていても、上述
の効果を奏する。
【0058】上述したFe-Ni-O系皮膜を、積層鋼板の表
皮鋼板として使用する少なくとも一方の鋼板の少なくと
も一方の亜鉛系めっき層の上に形成する。皮膜形成面
は、例えば部品製造工程における必要性に応じて、片面
あるいは両面の被膜形成を適宜選択することができる。
【0059】また、表皮鋼板の樹脂と接する側の表面
に、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応
じて接着性を向上させるためにクロメート処理や樹脂皮
膜等を設けてもよい。
【0060】前記で得られた亜鉛系めっき層の上に所定
構成のFe-Ni-O 系皮膜を形成し亜鉛系めっき鋼板を、少
なくとも一方の表皮鋼板として用いた上下2 枚の鋼板間
に高分子樹脂層を常法により挟持させて本発明の積層鋼
板を得ることができる。
【0061】前記の挟持させる方法としては、高分子樹
脂フィルムを一方の鋼板にラミネートした後もう一方の
鋼板を熱圧着する方法や液状の高分子樹脂を一方の鋼板
に塗布した後もう一方の鋼板を重ねて加熱硬化する方法
等を例示できるが、この方法に限定されるものではな
い。
【0062】高分子樹脂としては、変性ポリエチレン
系、変性ポリプロピレン系、酢酸ビニル系、ポリエステ
ル系などの熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、
ウレタン系、ポリエステル系など、及びこれらとスチレ
ンブタジエンゴムなどのゴムとの重合体またはポリマー
アロイなどの熱硬化性樹脂が使用できる。また、 これら
の樹脂をベースにした樹脂物性の改良や複合化などによ
り、 貼合わせ面の端面耐食性や耐加工剥離性、 接着性を
改善したものであってもよい。
【0063】高分子樹脂層内に、 圧潰前の平均粒径Dが
高分子樹脂層の厚さTに対してT≦D≦2Tの範囲で、ビッカ
ース硬さが180Hv以下で、 融点が鋼板と同等以上の導電
金属粉を、 高分子樹脂と導電性金属粉の合計量に対し
て、3以上20wt%以下の範囲になるように添加する。導電
金属粉としては、ニッケル粉、鉄粉、ステンレス粉など
が適する。導電金属粉の高分子樹脂への添加は常法によ
ることができる。また、必要があれば、スポット溶接性
の改善のための公知の方法と併用することもできる。
【0064】2枚の表皮鋼板の間に挟持する高分子樹脂
層の厚さは、特に限定されず、常用される厚さでよい。
一般に、製造しやすい30〜100 μm 程度の厚さであるこ
とが多いが、この厚さに限定されるものではない。
【0065】なお、 耐加工剥離性の点から積層鋼板での
接着力(せん断密着力)は常温で90kgf/cm2以上、より
好ましくは110kgf/cm2以上であり、粘弾性スペクトロメ
ータで測定した0.5Hzでの動的弾性率は1×107dyne/cm2
以上であることが望ましい。
【0066】表皮鋼板の表面(平面部) 耐食性が優れて
いても、積層鋼板が使用される環境によっては、表皮鋼
板の高分子樹脂層側の端面で、めっき組成物自体が溶出
しやすかったり、合金めっきのめっき組成物の一部が優
先的に溶出しやすい場合があり、その結果、高分子樹脂
層と表皮鋼板との間で剥離が発生し、耐食性が低下する
場合がある。この場合、必要に応じて架橋された高分子
樹脂(熱硬化樹脂)などを使用して接着性を向上させる
等、端面耐食性や接着性を向上させる公知の方法によ
り、剥離の発生を抑制することができる。
【0067】成形条件が厳しく、良好な耐加工剥離性が
求められる場合、必要に応じて、高分子樹脂の弾性率と
伸び率のバランスを考慮しながら、弾性率を大きくして
プレス金型のビードやダイス肩R通過時に2枚の表皮鋼板
間のずれ量を抑制したり、伸び特性を向上させたり、接
着強度を大きくすること等により、さらに耐加工剥離性
を改善することができる。
【0068】また、積層鋼板に制振性が必要とされる場
合は、高分子樹脂のガラス転移に基づく損失正接(tan
δ)の極大値が0.3以上で、この極大値を示す温度が-40
〜80℃の範囲にあるようにして、積層鋼板としての損失
係数(η)の極大値が0.1以上で、この極大値を示す温度
が0 〜120℃の範囲にあるようにすればよい。
【0069】表皮鋼板の亜鉛系めっき層とその上にFe-N
i-O 系皮膜を形成しない面の処理については特に限定さ
れない。積層鋼板の使用状態に応じて適宜選定すること
ができる。亜鉛系めっき、亜鉛系以外のめっき、化成処
理皮膜、有機樹脂皮膜等の単一あるいは複合した皮膜で
あってもよく、特別な処理皮膜形成のない無処理の裸鋼
板であってもよい。
【0070】また、前記に使用する鋼板は、常法により
製造された冷延鋼板等の鋼板を使用することができる。
板厚は0.2 〜1.0mm程度のものが一般的である。しか
し、この板厚に限定されるものではなく、用途に応じて
適宜板厚を選定することができる。また、厳しいプレス
加工に際しては、前記鋼板のr値を大きくして、割れ限
界絞り比を大きくする等公知の成形性改善のための方法
を併用することができる。
【0071】
【実施例】
<実施例1>各種めっき鋼板の表面にFe-Ni-O系皮膜を形成
し、これを用いて積層鋼板を作製した。次に、積層鋼板
のプレス成形性、スポット溶接性、 接着性、制振性を評
価した。製造条件、試験条件を下記に示す。
【0072】(1)使用しためっき鋼板 GA:合金化溶融亜鉛めっき鋼板(10wt%Fe、 残部Zn)で、
付着量は両面共に60g/m2、板厚0.4mm 。 GI:溶融亜鉛めっき鋼板で、付着量は両面共に90g/m2
板厚0.4mm 。 EG:電気亜鉛めっき鋼板で、付着量は両面共に40g/m2
板厚0.4mm 。 Zn-Fe:電気Zn-Fe合金めっき鋼板(15wt%Fe)で、付着量
は両面共に40g/m2、板厚0.4mm 。 Zn-Ni:電気Zn-Ni合金めっき鋼板(12wt%Ni)で、付着量
は両面共に30g/m2、板厚0.4mm 。 Zn-Cr:電気Zn-Cr合金めっき鋼板(4wt%Cr)で、付着量は
両面共に20g/m2、板厚0.4mm 。 Zn-Al:溶融Zn-Al合金めっき鋼板(5wt%Al)で、付着量は
両面共に60g/m2、板厚0.4mm 。
【0073】(2)Fe-Ni-O 系皮膜の形成方法 上記めっき鋼板の表面に、下記の3種の方法のいずれか
によりFe-Ni-O系皮膜を形成した。
【0074】<形成法A>酸化剤を含有させた硫酸鉄と硫
酸ニッケルの混合溶液中で、原板を陰極電解処理するこ
とにより、原板の表面に所定のFe-Ni-O系皮膜を形成さ
せた。ここで、硫酸ニッケル濃度は100g/lで一定とし、
硫酸鉄濃度を種々の所定値に変化させ、また、pHは2.5
で一定、浴温は50℃で一定、酸化剤として過酸化水素を
用いて、濃度を種々の所定値に変化させて皮膜の酸素含
有量を調整した。
【0075】<形成法B>塩化ニッケル濃度120g/lおよび
種々の所定濃度の塩化鉄を含有する水溶液を原板に噴霧
し、空気とオゾンとの混合雰囲気中でFe-Ni-O系皮膜の
酸素含有量を調整しながら乾燥させることにより、原板
の表面に所定のFe-Ni-O系皮膜を形成させた。
【0076】<形成法C>塩化ニッケル濃度120g/lおよび
種々の所定濃度の塩化鉄を含有し、pHを2.5 〜3.5、浴
温が50℃の水溶液中に原板を浸漬処理した。浸漬時間の
調整により、Fe-Ni-O系皮膜の付着量を種々の所定値に
変化させた。また、pHの調整により、Fe-Ni-O系皮膜の
酸素含有量を種々の所定値に変化させた。また、酸素含
有量を調整するために適宜、水溶液中に所定の酸化剤を
添加し、そして、所定の酸化性雰囲気中で加熱処理する
などの方法で、原板の表面に所定のFe-Ni-O系皮膜を形
成させた。
【0077】(3)Fe-Ni-O 系皮膜の付着量、 酸素含有
量、 Fe/Fe+Niの測定方法 <付着量およびFe/Fe+Ni>めっき種がGI、EG、Zn-Cr、Zn-
Alのものについては、皮膜を下層のめっき表層部と共に
希塩酸により溶解剥離させ、ICP法によりFe、Niおよび
金属の定量分析を行い測定した。
【0078】次に、めっき種がGA、Zn-Fe、Zn-Niのもの
については、下層のめっき層中にFe-Ni-O 系皮膜中の成
分元素を含むので、ICP 法では上層のFe-Ni-O 系皮膜中
の成分元素と下層のめっき層中の成分元素を完全に分離
することは困難である。従って、ICP 法により、Fe-Ni-
O 系皮膜中の元素の内、下層のめっき層中に含まれてい
ない元素のみを定量分析した。更に、Arイオンスパッタ
した後、XPS 法によりFe-Ni-O 系皮膜中各成分元素の測
定を表面から繰り返すことによって、めっき層の深さ方
向に対する各成分元素の組成分布を測定した。この測定
方法においては、下層のめっき層中に含まれていないFe
-Ni-O 系皮膜の元素が最大濃度を示す表面からの深さ
(xとする) に、その元素が検出されなくなる表面から
の深さ(yとする)と上記最大濃度を示す表面からの深
さ(x)との差(y−x)の1/2を加えた表面からの
深さ(x+(y−x)/2)、即ち、最大濃度を示す表
面からの深さ(x)と、その元素が検出されなくなる表
面からの深さ(y)との、表面からの平均深さ((x+
y)/2)をFe-Ni-O 系皮膜の厚さと定義した。そし
て、ICP 法の結果とXPS 法の結果から、Fe-Ni-O 系皮膜
付着量および組成を決定した。次いで、皮膜中のFe/Fe+
Niを算定した。
【0079】<酸素含有量>酸素含有量は、オージェ電子
分光法(AES)による深さ方向分析結果から求めた。
【0080】(4)使用した高分子樹脂 AC:損失正接(tanδ) の極大値が0.7 で、この極大値を
示す温度が5 ℃、動的弾性率が2 ×107dyne/cm2 のゴム
変性アクリルエステル(熱硬化性樹脂) PP:損失正接(tanδ) の極大値が0.3 で、この極大値を
示す温度が50℃、動的弾性率が5 ×109dyne/cm2 のアク
リル酸変性ポリプロピレン(熱可塑性樹脂) PE:損失正接(tanδ) の極大値が0.2 で、この極大値を
示す温度が20℃、動的弾性率が6 ×108 dyne/cm2のアク
リル酸変性ポリエチレン(熱可塑性樹脂)
【0081】なお、高分子樹脂の損失正接(tanδ)は、
岩本製作所製粘弾性スペクトロメータ(VES-F3)にて、50
Hzで測定した。
【0082】また、前記の各高分子樹脂に、導電金属粉
として平均粒径68μm、ビッカース硬度90Hvのニッケル
粉を15wt% 添加した。
【0083】(5)積層鋼板の製造方法 前記で作製したFe-Ni-O系皮膜を形成した各種のめっき
鋼板に、比較のために、Fe-Ni-O系皮膜形成のないめっ
き鋼板を加えて、それぞれ上下の表皮鋼板として、めっ
き種類とFe-Ni-O 系皮膜が同一の亜鉛系めっき鋼板( 以
下、同一種類という) を使用し、以下の方法で積層鋼板
を作成した。
【0084】ゴム変性アクリルエステル(AC)について
は、導電金属粉を添加したゲル状の樹脂をナイフ状のコ
ーターにより、鋼板表面に塗布し、その後もう一方の鋼
板を、一対の樹脂ライニングロールにより、10〜20/cm2
の面圧を加えて積層し、170℃の温度で5分間保持して加
熱硬化させて、高分子樹脂層の厚さが50μm の積層鋼板
を作製した。
【0085】アクリル酸変性ポリプロピレン(PP)、アク
リル酸変性ポリエチレン(PE)については、予め導電金属
粉を添加して成形した樹脂フィルムを120℃に予熱した
鋼板表面に、ラミネートロールを用いて貼合わせ、その
後、180℃(樹脂の融点以上)に加熱し、このフィルム
が貼合わされた鋼板と別途180℃に加熱したもう一方の
鋼板とを、一対の樹脂ライニングロールにより、10〜20
kgf/cm2 の面圧を加えて積層することにより、高分子樹
脂層の厚さが50μm の積層鋼板を作製した。
【0086】(6)評価試験方法 <プレス成形性>プレス成形性を摺動抵抗により評価し
た。摺動抵抗を評価するために、図1に示す摩擦係数測
定装置により、摩擦係数を測定した。測定は、水平移動
可能なスライドテーブル3上にセットされた試料台2にサ
ンプル1 を固定し、所定荷重(N)でビード6を押し付けた
状態で、引き抜くことにより摺動抵抗(F)をロードセル8
により測定し、摩擦係数( μ)を式μ=F/Nから算出し
た。
【0087】なお、使用したビード6の形状・寸法(タ
イプAとする)を図2に示すが、サンプルとの接触面は幅
10mm、長さ3mmの平面を有している。また、試験には潤
滑油として、日本パーカライジング社製ノックスラスト
550HNをサンプルに塗布して使用した。また、押し付け
荷重(N):400kgf、引き抜き速度:1m/min. とした。
【0088】<スポット溶接性>スポット溶接性は、 200
×300mmの積層鋼板試験片と、この積層鋼板の表皮鋼板
と同一種類の板厚t が、0.8mm の亜鉛系めっき鋼板を重
ね合わせ、 打点間隔が16mmになるように連続打点性試験
を行い、ナゲット径が 4×t1/2以上を満足する打点数
(電極寿命)を求めた。なお、Fe-Ni-O 系皮膜が一方の面
のみに形成されている場合は、この皮膜形成面を電極側
にして試験した。
【0089】溶接条件は、 電極;DR型、先端径6mmφ、加圧力;200kgf、溶接
電流;10kA、溶接時間;12サイクル/60Hz、溶接速度;
1点/2秒、とした。
【0090】<接着性試験>まず、積層鋼板での高分子樹
脂との接着力は、せん断密着力(τ)にて評価した。測定
は、JIS K 6850に準拠し、25×150mmの試験片を用い、
ラップ寸法が25×12.5mmになるようにスリットを入れ、
引張り速度5mm/min.で行った。
【0091】一方、積層鋼板表層と接着剤との接着力
は、T型剥離密着力(TP)にて評価した。なお、試験片
は、200×300mmの積層鋼板の同一種類の表皮鋼板同士
を、塩化ビニル系のヘミング用接着剤で150μmの厚みと
なるように接着させた後、150 ℃で10分保持して作製し
た。測定は、JIS K 6854に準拠し、25×150mmの試験片
に切断して、引張り速度50mm/min.で行った。
【0092】<制振性>積層鋼板の制振性は、25×220mm
および25×280mmの試験片を、中央加振させて、共振応
答曲線からの半値幅法により1000Hzでの損失係数を測定
し評価した。
【0093】実施例1に基づく供試材の内容および試験
結果を、表1〜表3に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
【表3】
【0097】表1、表2から、下記のことがいえる。Fe-N
i-O系皮膜の付着量が、10以上1500mg/m2以下、Fe-Ni-O
系皮膜の酸素量が0.5以上30wt%未満、かつ、被膜中Fe/F
e+Niが0越え0.9以下の範囲( 以下、本発明の皮膜条件1
という)を満足する発明例1 は、 すべて摩擦係数が小さ
く、 また連続打点数が大きく、プレス成形性とスポット
溶接性に優れている。
【0098】Fe-Ni-O系皮膜の付着量が、10以上1500mg/
m2 以下、皮膜の酸素量が0.5以上30wt%未満、かつ被膜
中Fe/Fe+Niが0.05以上0.9以下の範囲( 以下、本発明の
皮膜条件2 という) を満足する発明例2 は、すべて摩擦
係数が小さく、連続打点数が大きく、さらに接着剤との
接着力(TP)や高分子樹脂の接着力( τ) が大きく、プレ
ス成形性、スポット溶接性、接着性に優れている。
【0099】また、Fe-Ni-O 系皮膜の付着量が10以上12
00mg/m2以下、Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有量が0.5以上10w
t%以下、かつ、被膜中Fe/Fe+Niが0.1以上0.3以下の範囲
( 以下、本発明の皮膜条件3 という)を満足する発明例
3 は、プレス成形性、スポット溶接性および皮膜が形成
された面の接着性がより優れている。
【0100】表皮鋼板に形成されたFe-Ni-O系皮膜のFe
比率Fe/Fe+Niが本発明の皮膜条件2の範囲を下回る表2
のNo.46 については、接着剤との接着力(TP)と高分子樹
脂層との接着力( τ) が上記した発明例2 に比べ劣って
おり、接着性が改善されていない。
【0101】表皮鋼板に形成されたFe-Ni-O系皮膜のFe
比率Fe/Fe+Niが、本発明の皮膜条件2を下回り、かつ表
皮鋼板の高分子樹脂層側にFe-Ni-O系皮膜が形成されて
いない表2 のNo.48 は、接着剤との接着力(TP)や高分子
樹脂層との接着力( τ) が低く、接着性が改善されてい
ない。
【0102】表皮鋼板の高分子樹脂層側にFe-Ni-O系皮
膜が形成されていない表1 のNo.18〜No.24 および表2
のNo.47 、No.49 は、高分子樹脂層との接着力( τ) が
発明例2 に比べて低く、高分子樹脂層との接着性が劣っ
ている。
【0103】次に、 表3から下記のことがいえる。Fe-Ni-
O系皮膜が形成されていない表3 のNo.1〜No.7は、めっ
きの種類に係わらず、何れも前記した発明例1 、発明例
2 に比べて摩擦係数が大きく、連続打点数が大きく、ま
た高分子樹脂層との接着力( τ) 、接着剤との接着力(T
P)が低く、プレス成形性、スポット溶接性、接着性が劣
っている。
【0104】Fe-Ni-O系皮膜の付着量が、本発明の皮膜
条件1 、皮膜条件2 の範囲を下回る表3 のNo.8〜No.10
、No.12 、No.13 、No.15 は、何れも前記した表1 、
表2 に記載の発明例1 、発明例2 に比べて、摩擦係数が
大きく、連続打点数が小さく、また高分子樹脂層との接
着力( τ) 、接着剤との接着力(TP)が低く、プレス成形
性、スポット溶接性、接着性が劣っている。
【0105】Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有量が本発明の皮
膜条件1 、皮膜条件2 の範囲を下回る表3 のNo.11 、N
o.14 は、発明例1 、発明例2 に比べて摩擦係数が高
く、また接着剤との接着力(TP)が低く、プレス成形性と
接着性が劣っている。
【0106】皮膜中Fe/Fe+Niが、本発明の皮膜条件1 、
皮膜条件2 を上回り、かつ高分子樹脂層側の面にFe-Ni-
O 系皮膜形成のない表3 のNo.16 〜No.18 は、何れも連
続打点数が小さく、スポット溶接性が劣り、また高分子
樹脂層との接着力( τ) が低く、高分子樹脂層と表皮鋼
板との接着性が劣る。
【0107】また、表1 〜表3 から制振性について下記
のことがいえる。高分子樹脂のガラス転移に基づく損失
正接(tanδ)の極大値が0.3以上で、この極大値を示す温
度が-40 〜80℃の範囲( 以下、本発明の高分子樹脂条件
という)を満足する高分子樹脂であるゴム変性アクリル
エステル(AC)を使用して積層鋼板を作製している表1 の
No.1およびアクリル酸変性ポリプロピレン(PP)を使用し
て積層鋼板を作製している表2 のNo.29 は、何れも積層
鋼板としての損失係数(η)の極大値が0.1以上で、極大
値を示す温度が0 〜120℃の範囲にあり、前記したプレ
ス成形性あるいはプレス成形性に加えて、さらに制振性
に優れる。
【0108】一方、本発明の高分子樹脂条件を外れる高
分子樹脂であるアクリル酸変性ポリエチレン(PE)を使用
して積層鋼板を作製している表3 のNo.6の積層鋼板は、
積層鋼板としての損失係数(η)の極大値が0.1未満であ
り、制振性が劣る。
【0109】<実施例2>実施例1に対して、Fe-Ni-O系皮
膜の付着量および組成を変更して、これらによる詳細な
影響を調査すると共に、プレス成形性についてもより厳
しい条件下で評価し、厳しい条件下での摩擦係数の低減
効果、すなわちプレス成形性の改善効果を一層明確にし
た。
【0110】試験条件については、実施例1に準拠した
が、プレス成形性については、下記の試験方法を追加し
て評価した。
【0111】<プレス成形性>前記した摩擦係数測定試験
において、図3に示すように、サンプルとの接触面が幅1
0mm、長さ60mmの平面としたビード(タイプBとする)を用
いての試験を追加した。
【0112】実施例2に基づく供試材の内容および試験
結果を、表4 〜表7に示す。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
【表7】
【0117】表4 〜表7 から、下記のことがいえる。Fe
-Ni-O系皮膜の付着量の影響について、本発明の範囲内
であれば、皮膜の付着量が増加するとともに摩擦係数が
減少し、プレス成形性が向上することが判る。
【0118】本発明の皮膜条件1 を満足する発明例1
は、何れもプレス成形性とスポット溶接性に優れる。本
発明の皮膜条件2 を満足する発明例2 は、何れもプレス
成形性、スポット溶接性および接着性に優れている。
【0119】また、Fe-Ni-O 系皮膜が、本発明の皮膜条
件3 を満足する発明例3 は、プレス成形性、接着性及び
スポット溶接性がより優れている。
【0120】一方、皮膜の付着量が、本発明の皮膜条件
1 、皮膜条件2 の範囲を下回る表4の比較例No.1001 〜N
o.1003 は、摩擦係数が大きく、連続打点数が小さく、
また高分子樹脂層との接着力( τ) 、接着剤との接着力
(TP)が低く、プレス成形性、スポット溶接性、接着性が
劣っている。
【0121】皮膜中Fe/Fe+Niが本発明の皮膜条件1、皮
膜条件2 の範囲を下回る表5 の比較例No.1018 は、、摩
擦係数が大きく、また高分子樹脂の接着力( τ) 、接着
剤との接着力(TP)が低く、プレス成形性、接着性が劣っ
ている。
【0122】皮膜中Fe/Fe+Niが本発明の皮膜条件1 、皮
膜条件2 の範囲を上回る表5 の比較例No.1034 は摩擦係
数が大きく、プレス成形性が劣っている。
【0123】皮膜中の酸素含有量が本発明の皮膜条件1
、皮膜条件2 を下回る表6 の比較例No.1035 、No.1036
は摩擦係数が大きく、また高分子樹脂の接着力( τ)
、接着剤との接着力(TP)が低く、プレス成形性、接着
性が劣っている。
【0124】また、Fe-Ni-O系皮膜の形成のない表7 のN
o.1052 、No.1061 は摩擦係数が大きく、高分子樹脂層
との接着力( τ) 、接着剤との接着力(TP)が低く、また
連続打点数が小さく、プレス成形性、接着性、スポット
溶接性が劣っている。
【0125】<実施例3>高分子樹脂層中に添加する導電
金属粉の影響を調査するために、導電金属粉の粒径、 硬
度、添加量を変化させて、スポット溶接性のみを評価し
た。溶接条件と評価方法は実施例1に準拠した。
【0126】実施例3 に基づく供試材の内容および試験
結果を表8に示す。
【0127】
【表8】
【0128】表8 から、導電金属粉の条件が、本発明の
範囲内にある発明例は、連続打点数が大きく、スポット
溶接性に優れている。一方、導電金属粉の条件が、本発
明の範囲外にある比較例は、溶接自体が不可能であった
り、 溶接が可能でも連続打点数が少なく、スポット溶接
性に劣っている。
【0129】
【発明の効果】以上のように、 本発明によれば、 耐食性
を有し、プレス成形性とスポット溶接性、 あるいは加え
て接着性に優れた積層鋼板を得ることができるので、 積
層鋼板部材の品質向上が達成でき、 用途拡大が見込ま
れ、 工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦係数測定装置を示す概略図。
【図2】摩擦係数の測定に用いたビードの形状・寸法を
示す概略図。
【図3】摩擦係数の測定に用いた他のビードの形状・寸
法を示す概略図。
【符号の説明】
1 サンプル 2 試料台 3 スライドテーブル 4 ローラ 5 スライドテーブル支持台 6 ビード 7 押し付け力測定用ロードセル 8 摺動抵抗測定用ロードセル 9 レール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫻井 理孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−75056(JP,A) 特開 平5−177762(JP,A) 特開 昭63−74634(JP,A) 特開 平1−176098(JP,A) 実開 昭63−192023(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 15/00 - 15/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下2枚の鋼板の間に高分子樹脂層を挟
    持してなる積層鋼板において、前記鋼板の少なくとも一
    方の鋼板は、少なくとも高分子樹脂層と接しない側の表
    面に、亜鉛系めっき層と、前記亜鉛系めっき層の上に形
    成したFe-Ni-O系皮膜を有しており、前記Fe-Ni-O 系皮
    膜の付着量が金属換算で合計10以上1500mg/m2以下の範
    囲内にあり、前記Fe-Ni-O系皮膜の酸素含有量が0.5以上
    30wt%未満の範囲内にあり、かつ、前記Fe-Ni-O系被膜中
    のFe含有量(wt%)とNi含有量(wt%)との和に対する前記Fe
    含有量(wt%)の比率が0超え0.9以下の範囲内にあり、さ
    らに前記高分子樹脂層内には、圧潰前の平均粒径Dが高
    分子樹脂層の厚さTに対してT≦D≦2Tの範囲内で、ビッ
    カース硬さが180Hv以下で、融点が鋼板と同等以上の導
    電金属粉が、高分子樹脂層に対して3以上20wt%以下添加
    された、プレス成形性とスポット溶接性に優れた積層鋼
    板。
  2. 【請求項2】 上下2 枚の鋼板の間に高分子樹脂層を挟
    持してなる積層鋼板において、前記一方の鋼板は、その
    両面に亜鉛系めっき層と、このめっき層の上に形成した
    Fe-Ni-O 系皮膜を有しており、他方の鋼板は、少なくと
    も高分子樹脂層と接する側の表面に亜鉛系めっき層と前
    記亜鉛系めっき層の上に形成したFe-Ni-O 系皮膜を有し
    ており、前記各々のFe-Ni-O 系皮膜の付着量が金属換算
    で合計10以上1500mg/m2以下の範囲内にあり、前記Fe-Ni
    -O系皮膜の酸素含有量が0.5以上30wt%未満の範囲内にあ
    り、かつ、前記Fe-Ni-O系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含
    有量(wt%)との和に対する前記Fe含有量(wt%)の比率が0.
    05以上0.9以下の範囲内にあり、さらに前記高分子樹脂
    層内には、圧潰前の平均粒径Dが高分子樹脂層の厚さTに
    対してT≦D≦2Tの範囲で、ビッカース硬さが180Hv以下
    で、融点が鋼板と同等以上の導電金属粉が、高分子樹脂
    層に対して3以上20wt%以下添加された、プレス成形性、
    スポット溶接性、接着性に優れた積層鋼板。
  3. 【請求項3】 Fe-Ni-O系皮膜の付着量が金属換算で合
    計10以上1200mg/m2以下の範囲内にあり、前記Fe-Ni-O系
    皮膜の酸素含有量が0.5以上10wt%以下の範囲内にあり、
    かつ、前記Fe-Ni-O系被膜中のFe含有量(wt%)とNi含有量
    (wt%)との和に対する前記Fe含有量(wt%)の比率が0.1以
    上0.3以下の範囲内にある請求項1 または請求項2に記載
    のプレス成形性とスポット溶接性に優れた積層鋼板。
  4. 【請求項4】 高分子樹脂がガラス転移に基づく損失正
    接(tanδ)の極大値が0.3以上で、この極大値を示す温度
    が-40 〜80℃の範囲内にあり、かつ積層鋼板としての損
    失係数 (η)の極大値が0.1以上で、この極大値を示す温
    度が0 〜120℃の範囲内にある請求項1から請求項3の何
    れか一項に記載のプレス成形性、スポット溶接性、制振
    性に優れた積層鋼板。
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