JPH05175588A - Qスイッチ及びレーザ共振装置 - Google Patents

Qスイッチ及びレーザ共振装置

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JPH05175588A
JPH05175588A JP4053584A JP5358492A JPH05175588A JP H05175588 A JPH05175588 A JP H05175588A JP 4053584 A JP4053584 A JP 4053584A JP 5358492 A JP5358492 A JP 5358492A JP H05175588 A JPH05175588 A JP H05175588A
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JP
Japan
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light
laser
resonator
pressure
switch
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JP4053584A
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English (en)
Inventor
Kimio Asaka
公雄 浅香
Yoshihito Hirano
嘉仁 平野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低電圧で駆動できる、耐パワ−密度の高いQ
スイッチを得ることを目的とする。 【構成】 レ−ザ共振器の光軸上に、偏光子と石英硝子
のような透明な等方性媒質をおき光学系を構成し、剛性
の高いフレ−ムでその等方性媒質と圧電素子のような圧
力発生素子を互いに隣接するように保持し、圧力発生素
子により等方性媒質に対し圧力を加え、それにより生じ
る光弾性効果により等方性媒質の偏光状態を変え、偏光
子における透過損失を制御し、共振器のQを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、レーザ発振器におい
て出力ピークの非常に大きな光パルスを得るために、励
起時には共振器のQを低くしておき、その後、急激に発
振が行われるようにQを高くするスイッチング動作を行
うQスイッチに関するものである。
【0002】また、この発明はレーザ共振装置に関する
もので、特にレーザ共振器内で共振する光の偏光状態を
変化させることにより、上記レーザ共振器の出力結合量
またはQ値を制御するレーザ共振装置に関するものであ
る。
【0003】
【従来の技術】固体レーザは励起された物質から放出さ
れる光を共振器で共振させて、位相の揃った単色光を得
るものである。Qスイッチは固体レーザの共振器の共振
の程度を表わすQを変化させることにより、急激な発振
をおこなわせ光パルスを得るものである。
【0004】従来のQスイッチの例には図9に示すもの
がある。図9はSolid−State Laser
Engineering(W.Koechner著、p
415 Springer−Verlag 1988)
に記載されているポッケルスセル(ある種の物質に電圧
を加えると屈折率が変化するというポッケルス効果を利
用して偏光状態を変えるもの)と偏光子(単一の直線偏
光を通過させるもの)により構成されるE/OQスイッ
チ(Electro−Optic:電気光Qスイッチ)
を用いたQスイッチ固体レーザ装置の断面を示す構成図
である。
【0005】図において、1は高反射鏡、2は出力結合
鏡で、高反射鏡1と出力結合鏡2は同じ光軸上にあり、
共振器を構成している。3は外部から励起されることに
よって光を発生するレーザロッド、4はレーザロッドで
発生した光が入射する偏光子、5はポッケルスセルであ
る。偏光子4とポッケルスセル5がE/OQスイッチを
構成している。6は上記発振器の光軸である。高反射鏡
1、出力結合鏡2、レーザロッド3、偏光子4およびポ
ッケルスセル5は光軸6上にある。7は出力結合鏡2か
ら出力されるレーザ出力光、8はレーザロッド9を励起
するための励起光源、9は励起光源8で発生した励起
光、10はポッケルスセル5に電圧を印加するための電
源、11は電源10を制御するQスイッチ制御回路であ
る。
【0006】次に動作について図9に基づき説明する。
励起光源8は励起光9を発生し、レーザロッド3を励起
し、光を発生させる。この光が高反射鏡1と出力結合鏡
2により構成される共振器に入ると、Qスイッチを有し
ないレーザ発振器の場合であればQが一定であるので励
起がしきい値を越えると、光が増幅されて共振器固有の
共振条件を満たす光だけが発振する。
【0007】図9において、発生した光は偏光子4によ
り一定の直線偏光のみ取り出され、ポッケルスセル5に
入る。ポッケルスセル5はある種の物質に電圧を加える
と屈折率が変化するというポッケルス効果(Pocke
ls effect)を利用して偏光状態を変えるもの
である。同様の効果としてポッケルス効果以外にカー効
果(Kerr effect)があるが、ポッケルス効
果の方が低い印加電圧で偏光状態を制御できるため、も
っぱらポッケルスセルが用いられる。
【0008】ポッケルスセル5に電圧が印加されていな
いとき、ポッケルスセル5の入口と出口とで偏光状態は
変わらない。しかしポッケルスセル5に電圧を印加する
と、ポッケルスセル5を透過する光の偏光状態が変化す
る。このことを詳しく説明すると次のようになる。
【0009】光軸に平行にポッケルスセルに対し電圧を
加えれば、ポッケルスセル内部の屈折率は一様でなくな
る。すなわちポッケルスセルの結晶軸に対して+45
度、−45度の角度をなす2つの軸の方向についての屈
折率は、1つは電界に比例して増加し、他方は減少す
る。その変化量の絶対値は等しい。そのとき結晶軸の方
向に直線偏光された光が入った場合、上記2つの軸それ
ぞれの光の偏光成分について考えると、光の速さは屈折
率に反比例するので、一方の光は早くなり、他方は遅く
なる。したがってポッケルスセルの出口において2つの
光の偏光成分に位相差が生じる。ポッケルスセルから出
てくる光はそれら2つの光を合成したものであるから、
位相差に応じて偏光状態が変化することになる。位相差
が90度であれば円偏光に、180度であれば入射され
た光を90度回転させた直線偏光となる。またそれら以
外の位相差であれば楕円偏光となる。位相差は印加電圧
に比例するので、印加電圧によって偏光状態を制御する
ことができる。
【0010】偏光状態の変化した光は出力結合鏡2で反
射され、再びポッケルスセル5を透過し、その際さらに
偏光状態が変化する。次に偏光子4に入るが、そのとき
に偏光面が異なるため偏光状態に応じた損失を受ける。
一方、ポッケルスセル5に電圧が印加されていないとき
は、偏光面は同一であるから偏光子4における損失はな
い。
【0011】ポッケルスセル5における偏光状態の変化
量はポッケルスセル5に印加する電圧に比例するから、
上記E/OQスイッチにおける損失はポッケルスセル5
に印加する電圧により制御することができる。共振器の
Qは損失が小さいほど大きく、損失が大きいほど小さい
という関係があるので、結局、偏光状態を変化させるこ
とにより上記発振器のQを制御することができる。図9
の構成におけるE/OQスイッチの透過率Tr (損失は
(1−Tr )で与えられる)と印加電圧Vの関係は次式
で表わされる。
【0012】 Tr=cos2{(π/2)・(V/V1/4 )}(1) V1/4 :1/4波長電圧
【0013】印加電圧が0のときE/OQスイッチの透
過率は1、したがって損失は0であり、印加電圧が1/
4波長電圧のときE/OQスイッチの透過率は0、損失
は1で最大損失となる。
【0014】Qスイッチをもちいて出力ピークの非常に
大きな光パルスを得るためは、まずポッケルスセル5に
電圧Vを印加し、上記発振器を低Q状態にする。励起光
源8からの励起光9によりレーザロッド3を励起する。
このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出を抑制するの
に十分な損失を与える値とする。レーザロッド3が十分
励起された後、上記印加電圧Vを0とする。するとQス
イッチの損失は0になり、上記発振器が急激に高Q状態
となるので、急激に誘導放出が行われ、レーザ発振が起
こる。このとき、パルスレーザ光が出力結合鏡2よりレ
ーザ出力光7として出力される。
【0015】誘導放出を抑制するためにポッケルスセル
に印加する電圧Vは一般に高電圧となる。ポッケルスセ
ルには通常KDP(Potassium dihydr
ogen phosphate:燐酸二水素カリウム:
KH2 PO4 ),ニオブ酸リチウムLiNbO3 等の結
晶を用いるが、例えば、ポッケルスセルに5mm×5m
m×15mmのニオブ酸リチウムLiNbO3 結晶を用
いたとき、波長1.54μmの光に対するE/OQスイ
ッチの損失が最大となる1/4波長電圧V1/4は約2.
1kV、損失が1dBとなる電圧は約620Vである。
【0016】次に、図10を用いて従来のレーザ装置に
ついて説明する。図10は細川他により赤外線技術第1
0号(1985)に示されたレーザ装置の構成図であ
る。図10において、1は第1のルーフプリズム、3は
レーザロッド、30は台形プリズム、4は偏光子、5は
ポッケルスセル、2は出力鏡、6は共振器の光軸、7は
レーザ出力光、8は励起光源、9は励起光、10はポッ
ケルスセル5に電圧を印加するための電源、11はQス
イッチ制御回路である。
【0017】次に図10に基づいて説明する。第1のル
ーフプリズム1と出力鏡2はレーザ発振器を構成してい
る。第1のルーフプリズム1および台形プリズム30に
より上記レーザ共振器を自己補償型としている。上記発
振器内で共振する光は上記発振器内にある偏光子4によ
り定まる直線偏光となる。第1のルーフプリズム1の稜
線は上記発振器内で共振する光の偏光面に対し平行もし
くは垂直としている。偏光子4とポッケルスセル5はE
/OQスイッチを構成している。
【0018】まず、偏光子4とポッケルスセル5で構成
されるE/OQスイッチについて説明する。ポッケルス
セル5に電圧を印加すると、電気光学効果により上記発
振器内で共振する光はポッケルスセル5を透過する際、
偏光状態が変化する。上記偏光状態の変化した光は偏光
子4を透過するときに損失を受ける。ポッケルスセル5
における偏光状態の変化はポッケルスセル5に印加する
電圧に依存する。したがって、上記E/OQスイッチに
おける損失はポッケルスセル5に印加する電圧により制
御することができる。即ち、上記発振器のQ値を制御す
ることができる。この構成におけるE/OQスイッチの
損失Lと印加電圧Vの関係は次式で表される。
【0019】 L=cos2 (δ) (2) δ=(π/2)・(V/V1/4 ) (3) V1/4 :1/4波長電圧
【0020】印加電圧が0のときE/OQスイッチの損
失は0であり、印加電圧が1/4波長電圧のときE/O
Qスイッチの損失は最大となる。
【0021】レーザ発振動作について説明する。ポッケ
ルスセル5に電圧Vを印加し、上記発振器を低Q状態に
する。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3
を励起する。このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出
を抑制するのに十分な損失を与えるものとする。レーザ
ロッド3が十分励起された後、上記印加電圧Vを0とす
る。上記発振器が高Q状態となるので、急激に誘導放出
が行われ、レーザ発振が起こる。このとき、パルスレー
ザ光が出力鏡2よりレーザ出力光7として出力される。
【0022】図11はM.K.Chun,E.A.Te
ppoによりAPPLIED OPTICSvol.1
5,No.8(1976)に示されたレーザ装置の構成
図である。25は第2のルーフプリズム、26はカルサ
イトプリズム、27は第1の高反射鏡、28は共振器外
に出される光、29は第2の高反射鏡である。
【0023】次に図11に基づいて説明する。第1の高
反射鏡27を介して第1のルーフプリズム1、第2のル
ーフプリズム25により折り返し型の共振器を構成して
いる。第1のルーフプリズム1と第2のルーフプリズム
25の稜線を互いに垂直となるようにして上記共振器を
自己補償型としている。上記共振器内で共振する光は偏
光子として用いるカルサイトプリズムにより定まる直線
偏光即ち常光線(o−ray)のみとなる。レーザ出力
はカルサイトプリズム26へ入射する第1のルーフプリ
ズム1の反射光の異常光線成分(e−ray)を第2の
高反射鏡29より取り出すことにより行う。上記第1の
ルーフプリズム1の反射光の異常光線成分量は第1のル
ーフプリズム1の稜線と入射光の偏光面のなす角によ
る。したがって、このレーザ共振器の出力結合量は第1
のルーフプリズム1の稜線と入射光の偏光面のなす角に
より設定できる。仮想的に出力鏡を考えると実効出力鏡
反射率Reff は次式で表される。
【0024】 Reff =cos2(P/2) +sin2(P/2)・cos2(2β)(4)
【0025】ここで、Pは第1のルーフプリズム1にお
ける反射光の位相シフト量、βは第1のルーフプリズム
1の稜線と入射光の偏光面のなす角である。Pは次式で
表される。
【0026】 P=π+4tan-1{[cos(i)・ (sin2 (i)−n-21/2 ] /sin2 (i)} (5)
【0027】ここで、iは第1のルーフプリズム1の斜
面に対する入射角、nは第1のルーフプリズム1の屈折
率である。図12に第1のルーフプリズム1における
β、iの関係を示す。
【0028】ルーフプリズムの斜面のなす角度はπ/2
であるので、iはπ/4近傍の値をとる。したがって、
上記位相シフト量Pは第1のルーフプリズム1の材質に
よりほぼ一定となる。
【0029】Qスイッチ動作はポッケルスセル5に印加
する電圧を制御回路11により制御することにより行
う。上記共振器内で共振する光はカルサイトプリズム2
6からポッケルスセル5を経て第2のルーフプリズム2
5で反射する。反射光は再びポッケルスセル5を経てカ
ルサイトプリズム26に戻る。上記第2のルーフプリズ
ム25からの反射光はポッケルスセル5と第2のルーフ
プリズム25により偏光状態が変化し、一部異常光成分
を持つ。異常光成分はカルサイトプリズム26より共振
器外に出される。ポッケルスセル5に印加する電圧によ
り異常光成分の量を制御することで、共振器のQを制御
できる。Jones Matrix法によるカルサイト
プリズム26−ポッケルスセル5−第2のルーフプリズ
ム25−ポッケルスセル5−カルサイトプリズム26の
経路における行列Mf は次式のようになる。
【0030】
【数1】
【0031】ここで、Mp 、Mc 、Mr はそれぞれ偏光
子であるカルサイトプリズム14、ポッケルスセル5、
第2のルーフプリズム25を表す行列である。式(6)
において*は共役複素数を示す。各行列要素A、B、
C、D、Fは次式で表される。
【0032】 F=AC2 −2BCD−A* D (7) A=cos(P/2) +j・sin(P/2)・cos(2β) (8) B=sin(P/2)・sin(2β) (9) C=cos(δ/2) +j・sin(δ/2)・cos(2α)(10) D=sin(δ/2)・sin(2α) (11)
【0033】ここで、αはポッケルスセル5の主軸と入
射光の偏光面のなす角、δは式(3)に示したポッケル
スセル5における位相シフト量である。
【0034】上記経路における透過率即ち上記反射光が
共振器内に残留する強度の割合Tは次式で表される。
【0035】 T=Mf * ・Mf (12)
【0036】レーザ発振動作について説明する。ポッケ
ルスセル5に電圧Vを印加し、上記発振器を低Q状態に
する。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3
を励起する。このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出
を抑制するのに十分な損失を与えるものとする。レーザ
ロッド3が十分励起された後、上記印加電圧Vを上記残
留強度Tを1とする電圧にスイッチする。上記発振器が
高Q状態となるので、急激に誘導放出が行われ、レーザ
発振が起こる。このとき、パルスレーザ光がカルサイト
プリズム26よりレーザ出力光31として出力される。
【0037】電気光学効果を利用するE/OQスイッチ
では共振器のQ値を制御するために、共振器内に偏光を
制御するポッケルスセルを挿入する必要がある。ポッケ
ルスセルには通常KDP,LiNbO3 等の結晶を用い
る。これらの結晶は破壊閾値がそれほど大きくない。よ
って、レーザ共振器内部のレーザ光パワー密度が数10
0MW/cm2 に達する高パワー密度の条件では使用す
ることができない。また、図9に示したような偏光子か
らレーザ出力を取り出すレーザ装置では、ルーフプリズ
ムまたは偏光子を回転させることにより出力結合量を調
整する。しかし、ルーフプリズムにより出力結合量を調
整するには、自己補償型とするために2つのルーフプリ
ズムを共に回転させる必要がある。また、偏光子の回転
により出力結合量を調整すると、その回転によりレーザ
出力光の出力方向が変わる。このため、レーザ出力光を
同一方向に出力するためにはレーザ出力光を取り出す高
反射鏡の位置を調整する必要がある。このように出力結
合量を調整するには、複数の素子を調整しなければなら
ない。
【0038】
【発明が解決しようとする課題】従来のQスイッチは以
上のようにポッケルスセルを用いて構成されているの
で、ポッケルスセルに用いられる結晶の耐パワー密度は
低いため数百MW/cm2という高パワー密度において
は焼けてしまい使用することができない。従来のQスイ
ッチには以上のような問題がある。
【0039】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、耐パワー密度の高いQスイッチ
を得ることを目的とする。
【0040】また、従来のレーザ装置は以上のように構
成されているので、Qスイッチ動作を行うには共振器内
に偏光を制御する素子を挿入する必要がある。このた
め、共振器の構成が複雑であった。さらに、上記偏光を
制御する素子に用いる結晶は破壊閾値がそれほど大きく
なく、高パワー密度の条件では使用することができず、
レーザ装置の高出力化が困難であった。また、従来の偏
光子からレーザ出力を取り出すレーザ装置では、レーザ
装置組立て時などにおいて出力結合量を調整する際に
は、複数の素子の調整が必要である。このため、出力結
合量を調整するのに時間が掛かる欠点があった。
【0041】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、簡単な構成で高出力化が可能な
Qスイッチ動作を行えるとともに、その出力結合量の調
整も簡単に行えるレーザ共振装置を得ることを目的とす
る。
【0042】
【課題を解決するための手段】請求項1に係るQスイッ
チは、レーザ発振器の光軸上に置かれ、入射された光の
所定の偏光成分を透過する偏光手段と、圧力を加えるこ
とによって屈折率が変化し圧力に応じて透過する光の偏
光状態が変化する等方性媒質からなり、上記光軸上に置
かれ上記偏光手段を透過した光が入射され透過する光学
部材と、上記光学部材に対し圧力を加える加圧手段と、
上記光学部材と上記加圧手段を保持する保持手段を備え
たものである。
【0043】また請求項2に係るQスイッチは、請求項
1における加圧手段を2つ有し光学部材の両側から圧力
を加えるようにしたものである。
【0044】また請求項3に係るQスイッチは、請求項
1における加圧手段に複数の圧力素子を重ねたものを用
いるようにしたものである。
【0045】また、請求項4に係るレーザ共振装置は、
少なくとも一つの透明な等方性媒質よりなるルーフプリ
ズム(光学部材の一例)を用いて構成するレーザ共振器
において、上記ルーフプリズムに圧力を与える加圧手段
を備えたことを特徴とする。さらに、上記ルーフプリズ
ムに与える圧力を制御する圧力制御手段を設けるように
してもよい。上記ルーフプリズムの光弾性効果を利用
し、上記ルーフプリズムに与える圧力を制御することに
より、Qスイッチ動作及び出力結合量の調整を行う。
【0046】
【作用】第1〜第3の発明に係るQスイッチおいては、
圧力素子(加圧手段の一例)は透明な等方性媒質からな
る光学部材に圧力を加え、上記光学部材の特定方向の屈
折率を変えることにより透過する光の偏光状態を変化さ
せ、偏光子における光の損失を制御する。
【0047】第4の発明に係るレーザ共振装置において
は、石英ガラスのような透明な等方性媒質の光弾性効果
を利用している。レーザ共振器を構成する透明な等方性
媒質よりなるルーフプリズム(光学部材の一例)に入射
する光は上記ルーフプリズムの斜面において全反射して
上記ルーフプリズムより出射される。上記ルーフプリズ
ムは等方性媒質よりなるので、上記出射光の偏光状態の
変化は全反射における位相シフトによる変化のみであ
る。上記ルーフプリズムに圧力を与えることにより歪み
や応力を生じさせると、上記ルーフプリズムは光弾性効
果により一時的に異方性を持つ。このとき、上記出射光
の偏光状態の変化量は全反射における位相シフトによる
変化量と光弾性効果により生じた異方性に起因する位相
シフトによる変化量の足し合わせとなる。上記異方性に
起因する位相シフトは上記ルーフプリズムに生じた歪み
や応力に対応する。したがって、上記ルーフプリズムに
与える圧力を制御することにより、Qスイッチ動作を行
うことができる。同様に、透明な等方性媒質よりなる2
個のルーフプリズムを用い偏光子からレーザ出力を取り
出すレーザ装置において、上記ルーフプリズムに圧力を
与えることにより、上記共振器内で共振する光の偏光状
態の変化量を調整できる。上記共振器内で共振する光の
変化した偏光成分は上記偏光子より出力される。よっ
て、偏光子からのレーザ出力の出力結合量を調整するこ
とができる。
【0048】
【実施例】実施例1.以下この発明の一実施例を図につ
いて説明する。図1はこの発明によるQスイッチの一実
施例の構成図である。4は偏光子、6は共振器の光軸、
12は透明な等方性媒質よりなる光学素子、13は光学
素子12に圧力を加える圧力発生素子、14は上記光学
素子12と圧力発生素子13を保持する剛性の高いフレ
ームである。偏光子4および光学素子12は光軸6上に
ある。15は上記圧力発生素子13で発生する圧力を制
御する圧力制御装置である。光学素子12と偏光子4と
は光学系を構成している。
【0049】図2は図1の実施例1によるQスイッチを
用いたQスイッチ固体レーザ装置の構成図である。図に
おいて、1は高反射鏡、2は出力結合鏡であり、高反射
鏡1と出力結合鏡2はレーザ発振器を構成している。3
はレーザロッド、4はレーザロッドで発生した光が入射
する偏光子である。12は光学素子、13は圧力発生素
子、14は剛性の高いフレームで図1に示したものと同
一である。これらと偏光子4が実施例1によるQスイッ
チを構成している。6は上記発振器の光軸である。高反
射鏡1、出力結合鏡2、レーザロッド3、Qスイッチの
光学素子12は光軸6上にある。7はレーザ出力光、8
はレーザロッド9を励起するための励起光源、9は励起
光、15は圧力制御装置である。
【0050】次に上記実施例1のQスイッチの動作を図
1について説明する。光学素子12は直方体の形状をな
しており、共振器の光軸6が光学素子12を通りかつ光
学素子12の端面に垂直となるように置かれる。圧力発
生素子13は光学素子12に接するように置かれ、圧力
発生素子13は光学素子12に十分圧力を加え歪を生じ
させることができるように、光学素子12とともに剛性
の高いフレーム14により保持される。圧力発生素子1
3は制御装置15により制御され、光学素子12に圧力
を加える。説明の便宜上、光学素子12に圧力を加えた
ときの応力の方向をx軸をとり、それに垂直にyz平面
をとる。z軸は共振器の光軸6に平行とる。必ずしも光
軸と平行でなくても機能する。このとき応力テンソルの
主軸はx,y,z軸となる。圧力発生素子13から光学
素子12への圧力はyz平面からx軸方向に与えること
になる。
【0051】図2に示すように、励起されたレーザロッ
ド3において発生した光は偏光子4に入る。偏光子4は
共振器の光軸6を横切るようにレーザ発振器中に置かれ
ている。次に図1に示すように、偏光子4上に光学素子
12のx,y軸と平行にX,Y軸をとる。偏光子4はY
軸に対しθ傾いた直線偏光のみを透過するので、偏光子
4を透過する光はY軸に対しθ傾いた直線偏光となる。
その光のY軸に対する角度θを説明の便宜上、0<θ<
π/2とする。偏光子4を透過する光は共振器の光軸6
とX軸を含む平面内に振動する偏光成分とこれと垂直な
面内に振動する偏光成分に分けることができる。偏光子
4を透過する光はY軸に対しθ傾いた直線偏光であるの
で、上記2つの直交する偏光成分の位相は同相である。
【0052】次に偏光子4を透過した光は、光学素子1
2に入る。透明な等方性媒質よりなる光学素子12は圧
力発生素子13より圧力をうけない場合、等方性である
ので、共振器の光軸6とx軸を含む平面内に振動する光
とこれと垂直な面内に振動する光の屈折率は等しい。し
たがって光学素子12を透過した光は、上記2つの直交
する偏光成分の位相は同相であるので、偏光状態は変わ
らず、Y軸に対しθ傾いた直線偏光である。図2におい
て、光学素子12を透過した光は出力結合鏡2で反射さ
れ、再び光学素子12を透過する。その際、上記の様に
偏光状態は変化しない。次に偏光子4を透過するが、そ
のときの光はY軸に対しθ傾いた直線偏光であるため、
光は偏光子4において損失を受けない。
【0053】しかし、圧力発生素子13から光学素子1
2へyz平面からx軸方向に圧力を与え、光学素子12
を歪ませた場合、光弾性効果により発振器の光軸6とx
軸を含む平面内に振動する光とこれと垂直な面内に振動
する光の屈折率が異なるようになる。すなわち、光軸6
とx軸を含む平面内の屈折率は大きくなり、これと垂直
な面内の屈折率はほとんど変わらない。その変化量は光
学素子12の歪に比例する。そのとき入ってくる光はY
軸に対しθ傾いた直線偏光であるので、x軸およびy軸
それぞれの光の偏光成分について考えると、光の速さは
屈折率に反比例するので、一方の偏光成分は他方に比べ
遅く進むようになる。光学素子12からでてくる光はそ
れら2つの偏光成分を合成したものであるから、2つの
偏光成分の位相差にしたがって透過する光の偏光状態が
変化する。Y軸に対する角度が45度のとき位相差が9
0度であれば円偏光に、180度であれば入射された光
を90度回転させた直線偏光となる。またそれら以外の
位相差であれば楕円偏光となる。位相差は歪すなわち石
英硝子の変位量(圧電素子の変位量に等しい)に比例す
るので、圧電素子の印加電圧によって偏光状態を制御す
ることができる。
【0054】その偏光状態の変化した光は、図2に示す
出力結合鏡2で反射され、再び光学素子12を透過し、
その際さらに偏光状態が変化する。次に偏光子4を透過
するが、そのときに偏光面が異なるため、偏光子4にお
いて偏光状態の変化量に応じた損失を生じる。偏光子の
Y軸に対する偏光角θを45度とした場合、屈折率変化
量Δnと歪Sの関係、2つの直交する偏光成分の位相差
Δθと屈折率変化量Δnの関係および透過率Tr (損失
=1−Tr )と2つの直交する偏光成分の位相差Δθの
関係は次式のようになる。
【0055】
【数2】
【0056】光学素子12の歪Sは圧力発生素子13の
変位に対応する。したがってこの実施例のQスイッチに
おける損失(透過率)は、圧力発生素子13が圧力を光
学素子12にかけ、その結果生じる変位量により制御す
ることができる。共振器のQは損失が小さいほど大き
く、損失が大きいほど小さいという関係があるので、圧
力発生素子13が圧力を加えることにより上記発振器の
Qを制御することができる。よって、圧力発生素子13
からの圧力を制御装置15により制御することにより、
損失を制御でき、Qスイッチ動作をおこなうことができ
る。
【0057】一般的に、等方性媒質における応力Tと歪
Sの関係は次のテンソル式で表わされる。
【0058】 T=C:S (16) C:スティフネス
【0059】また、圧電素子における応力T’と歪S’
と電界Eの関係は次のテンソル式で表わされる。
【0060】 S′=d・E+SE :T′ (17) d:圧電定数 SE :E=0におけるコンプライアンス
【0061】例えば、光学素子12に石英硝子、圧力発
生素子13に圧電セラミクスのジルコン酸チタン酸鉛
(Lead Titanate−Zirconate)
の一種である圧電素子PZT−5Hを用いた場合を考え
る。圧電素子PZT−5Hは他の圧電素子に比べ低い印
加電圧で必要な変位を得ることができるので本実施例に
使用した。
【0062】本実施例において、等方性媒質のx軸のみ
に応力が働くようにする。また圧電素子にPZT−5H
には圧電素子のz軸方向に電界を加えるとその方向に変
位するので、等方性媒質のx軸と圧電素子のz軸を一致
するように構成するものとする(これはPZT−5Hの
圧電特性による)。このとき歪s、変位量Δl,応力T
および電圧Vの関係は次式に示すスカラー式で簡単に表
わすことができる。
【0063】 S =ΔL/L (18) S′=ΔL/L′ (19) T =C11S (20) S′=dz3z +S33T′ (21) V =Ez L′ (22) ΔL:光学素子および圧電素子の変移量 L:光学素子の長さ L′:圧電素子の長さ C11:等方性媒質のスティフネスの要素 dz3:圧電素子の圧電定数の要素 S33:圧電素子のコンプライアンスの要素 Ez :圧電素子のz軸に印加された電界
【0064】式(18)から式(22)をまとめると、
圧電素子によって光学素子12に生じる歪sと印加電圧
Vの関係は次式に示すようになる。
【0065】
【数3】
【0066】ここで具体的な透過率Tr と印加電圧Vの
値を求めてみる。例えば、光学素子12に5mm×5m
m×15mmの石英硝子、圧力発生素子13に厚さ2.
5mmの圧電素子PZT−5Hを用いた場合を考える。
光の波長が1.54μmの場合の石英硝子の圧力がない
ときの屈折率n0 、光弾性係数p、スティフネスの要素
11および圧電素子PZT−5Hの圧電定数の要素
z3,コンプライアンスの要素s33は次に示す値をと
る。
【0067】 no =1.46 (24) P =0.2 (25) C11=7.85×1010 N/m2 (26) dz3=593 ×10-12 C/m2 (27) S33=20.7×10-122/N (28)
【0068】これらの値を式(23)に代入すると、圧
電素子に380V加えたとき圧電素子が発生する変位に
より石英硝子に生じる歪は−7.2×10-5となり。し
たがって式(13)(14)(15)により透過率Tは
0.80となり、約1dBのQスイッチ損失を与える。
同様に圧電素子に1.2kV加えたとき、石英硝子に生
じる歪は−2.3×10-4である。透過率Tは0.01
となり、最大のQスイッチ損失を与える。この電圧は従
来のE/OQスイッチにおける1/4波長電圧V1/4
相当し、本実施例の光学素子と同じ大きさのニオブ酸リ
チウムLiNbO3 結晶を使ったポッケルスセルを用い
た場合の印加電圧のおよそ半分となる。
【0069】また、石英硝子の耐パワー密度は数GW/
cm2 程度であり、ポッケルスセルに用いる燐酸二水素
カリウムKDP,ニオブ酸リチウムLiNbO3 等の結
晶に比べ、耐パワー密度は数倍高い。なお石英硝子はこ
れら結晶に比べ、媒質による散乱、吸収による挿入損失
も少ない。
【0070】実施例2.図3はこの発明に係る他の実施
例を示す構成図である。16は光学素子12に隣接する
第1の圧力発生素子、17は光学素子12の第1の圧力
発生素子16の反対側の面に隣接する第2の圧力発生素
子である。光学素子12および第1の圧力発生素子16
と第2の圧力発生素子17は剛性の高いフレーム14に
より支持される。
【0071】次に動作について説明する。Qスイッチの
動作の原理は図1におけるこの発明に係る一実施例と同
じである。本実施例は圧力を加える方法の点で実施例1
と異なる。圧電素子の変位は圧電素子内部の電界に比例
するため、圧電素子の両端にかける電圧が一定であれ
ば、変位は圧電素子の長さによらず一定となる。したが
って、印加電圧あたりの変位(歪S)を大きくするに
は、圧電素子を2つ用意しそれぞれに電圧をかければよ
い。そこで図3に示すように、圧電素子を2つ用意し、
光学素子をはさみこむようにする。光学素子12は第1
の圧力発生素子16と第2の圧力発生素子17の二つの
圧力発生素子から圧力を受け歪み、光弾性効果を生じ
る。光学素子12で発生する歪を二つの圧力発生素子で
分担することになる。このため、同じ損失を生じるのに
必要な印加電圧は圧力発生素子が一つのときに比べて小
さくなる。
【0072】光学素子12に5mm×5mm×15mm
の石英硝子、第1の圧力発生素子16と第2の圧力発生
素子17に厚さ1.25mmの圧電素子PZT−5Hを
用いた場合、第1の圧力発生素子16と第2の圧力発生
素子17それぞれに印加する電圧Vと石英硝子の歪Sの
関係は次式のようになる。
【0073】
【数4】
【0074】実施例1の場合に比べ、同一電圧に対し2
倍の歪を生じさせるので、1dBのQスイッチ損失を与
える印加電圧は約190V、最大のQスイッチ損失を与
える印加電圧は約600Vとなり、圧力発生素子が一つ
のときにくらべさらに低電圧駆動のQスイッチを得るこ
とができる。
【0075】実施例3.なお本実施例では光学素子12
を圧力発生素子16ではさみこむようにしたが、図4
(a)に示すように光学素子12の片側にまとめるよう
にしてもよい。また図4(b)に示すように圧力発生素
子16をさらに細分化してもよい。この場合、実施例1
の場合に比べ、同一電圧に対し4倍の歪を生じさせるの
で、さらに低電圧駆動のQスイッチを得ることができ
る。このように圧電素子が細分化される限度において駆
動電圧を低くすることができる。
【0076】実施例4.なお本実施例では等方性媒質の
形状を直方体としたが、2つの平面をもてばよく、6角
柱、8角柱、円柱でもよい。また光学素子に用いること
のできる等方性媒質として、石英硝子のほかに、フリン
トガラス、クラウンガラス、パイレックスガラス等があ
る。また圧力発生素子としてチタン酸バリウム、ニオブ
酸バリウムナトリウム等がある。また圧電素子に限らず
スイッチング速度がμs以下のオ−ダ−であれば本発明
における圧力発生手段に用いることができる。
【0077】実施例5.以下この発明に係るレーザ共振
装置の実施例を図について説明する。図5はこの発明に
よるレーザ共振装置の第1の実施例の構成図である。1
8は第3のルーフプリズム、19a,19bは第3のル
ーフプリズム18に圧力を与える第1の加圧装置、20
は第1の加圧装置19a,19bで発生する圧力を制御
する圧力制御回路である。
【0078】図5について説明する。第3のルーフプリ
ズム18と出力鏡2により共振器を構成している。光軸
6上に置かれた偏光子4により上記共振器内で共振する
光は直線偏光となる。上記共振器内で共振する光の偏光
面を第3のルーフプリズム18の稜線と平行もしくは垂
直となるようにする。第3のルーフプリズム18は透明
な等方性媒質よりなり、側面に少なくても一組の平行平
面を持つ。第1の加圧装置19a,19bは上記一組の
平行平面上にあり、上記一組の平行平面間に圧力を与え
る。第3のルーフプリズム18に加わる圧力の方向を上
記共振器内で共振する光の偏光面に対しπ/4の角度を
持つようにする。
【0079】第1の加圧装置19a,19bにより第3
のルーフプリズム18に圧力を加えると、光弾性効果に
より一時的に異方性を持つ。上記共振器内で共振する光
は第3のルーフプリズム18において偏光状態が変化す
る。このため、偏光子4において損失を受ける。偏光子
4−第3のルーフプリズム18−偏光子4の経路におけ
る行列Mf は次式で表される。
【0080】 Mf =Mp ・M0 ・Mr ・M0 ・Mp (30)
【0081】ここで、MO は第3のルーフプリズム18
における光弾性効果を表す行列である。
【0082】
【数5】
【0083】ここで、δ´は上記共振器内で共振する光
は第3のルーフプリズム18を通過するときに受ける位
相シフト量、θは第3のルーフプリズム18に加わる圧
力の方向を上記共振器内で共振する光の偏光面のなす角
度である。
【0084】式30より求まるMf を用いて上記経路の
透過率Tを式12より求めることができる。上記経路の
透過率Tは上記位相シフト量δ´により制御することが
できる。δ´は次式で表される。
【0085】 δ´=−π・n0 3 ・p・s・L/λ (34)
【0086】ここで、pは光弾性係数、n0 は圧力がな
いときの屈折率、sは第3のルーフプリズム18に圧力
を加えられたことにより生じた歪み、Lは第3のルーフ
プリズム18の圧力が働いている範囲の光路長、λは光
の波長である。
【0087】歪みsは第1の加圧装置19a,19bに
より第3のルーフプリズム18に与える圧力に対応す
る。したがって、上記経路の透過率Tは第1の加圧装置
19a,19bにより第3のルーフプリズム18に与え
る圧力により制御できる。
【0088】Qスイッチ動作は以下のように行う。上記
共振器内で共振する光の偏光面と第3のルーフプリズム
18に加わる圧力の方向の関係を考えるため、第3のル
ーフプリズム18上で図6に示すように光軸6をZ軸と
し、X,Y軸とx,y軸を考える。上記共振器内で共振
する光の偏光面をXZ面とし、第3のルーフプリズム1
8の稜線をX軸に平行とする。また、第3のルーフプリ
ズム18に加わる圧力の方向をx軸に平行とする。した
がって、上記一組の平行平面はyZ平面に平行になる。
この実施例において、X軸とx軸のなす角θはπ/4で
ある。
【0089】第1の加圧装置19a,19bより圧力を
受けない場合、第3のルーフプリズム18は等方性であ
るので、第3のルーフプリズム18を通過する上記共振
器内で共振する光はその偏光状態が保存される。また、
第3のルーフプリズム18の稜線はX軸に平行であるの
で、第3のルーフプリズム18の斜面における全反射を
行った後も、XZ面を偏光面とする直線偏光である。よ
って、第3のルーフプリズム18から反射した上記共振
器内で共振する光は偏光子4で損失を受けない。第1の
加圧装置19a,19bからの圧力が0の時、共振器は
高Q状態となる。それに対し、第1の加圧装置19a,
19bより圧力を第3のルーフプリズム18に与える
と、光弾性効果により式(12)に応じた損失を受け
る。よって、共振器は低Q状態になる。
【0090】レーザ発振動作について説明する。第3の
ルーフプリズム18に圧力を与え共振器を低Q状態にす
る。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3を
励起する。このとき、上記第3のルーフプリズム18に
与える圧力は誘導放出を抑制するのに十分な損失を与え
るものとする。レーザロッド3が十分励起された後、上
記第3のルーフプリズム18に与える圧力を0とする。
上記発振器が高Q状態となるので、急激に誘導放出が行
われ、レーザ発振が起こる。このとき、パルスレーザ光
が出力鏡2よりレーザ出力光7として出力される。
【0091】第3のルーフプリズム18には例えば石英
ガラス等の透明な等方性媒質、第1の加圧装置19a,
19bには例えばPZT系セラミックのような圧電素子
を用いる。圧電素子はμsec以下のオーダーでスイッ
チングを行なうことができる。これは、Er:ガラス等
の低利得のレーザ媒質を用いたレーザ装置のQスイッチ
として十分使用することができる。また、石英ガラスは
ポッケルスセルに用いるKDP,LiNbO3 等の結晶
に比べ、耐パワー密度は数倍高い。
【0092】以上のように、この実施例によるレーザ共
振装置の構成により、特に偏光を制御するための素子を
共振器内に挿入することがないので構造が簡単な、また
耐パワー密度が高いので高出力化が可能な、Qスイッチ
動作を行うレーザ共振装置を得ることができる。
【0093】以上のように、対向する一対の反射鏡の少
なくとも一方をルーフプリズムとしたレーザ共振器にお
いて、レーザ共振器の光軸に配置されたレーザ媒質と、
レーザ共振器の光軸に配置された偏光子と、上記ルーフ
プリズムに圧力を与える加圧手段と、上記圧力を制御す
る手段とを、有することを特徴とするレーザ共振装置を
説明した。
【0094】実施例6.図7はこの発明に係わるレーザ
共振装置の第2の実施例を示す構成図である。図は前述
した第1の実施例の構成に台形プリズム30を加えて折
り返し型の共振器としたものである。第3のルーフプリ
ズム18と台形プリズム30により自己補償型の構成と
している。Qスイッチの動作の原理は図5におけるこの
発明に係るレーザ共振装置の第1の実施例に等しい。
【0095】実施例7.図8はこの発明に係るレーザ共
振装置の第3の実施例を示す構成図である。21は第4
のルーフプリズム、22a,22bは第2の加圧装置、
23は誘電体多層膜よりなる薄膜偏光子、24は共振器
外に出される光である。第4のルーフプリズム21は透
明な等方性媒質よりなり、第3のルーフプリズム18と
同様の形状を持つ。
【0096】図8について説明する。第3のルーフプリ
ズム18と第4のルーフプリズム21により薄膜偏光子
23を介して共振器を構成している。第3のルーフプリ
ズム18と第4のルーフプリズム21の稜線を互いに垂
直にして自己補償型の構成としている。上記共振器内で
共振する光は薄膜偏光子23により直線偏光となる。第
3のルーフプリズム18と第4のルーフプリズム21の
稜線は上記直線偏光の偏光面に対し平行または垂直とす
る。また、第1の加圧装置19aと19b第2の加圧装
置22a,22bが第3のルーフプリズム18および第
4のルーフプリズム21へ圧力を与える方向は上記直線
偏光の偏光面にそれぞれπ/4の角度をなすものとす
る。第3のルーフプリズム18と薄膜偏光子23により
Qスイッチを構成している。Qスイッチの動作の原理は
図5におけるこの発明に係るレーザ共振装置の第1の実
施例に等しい。
【0097】レーザ出力8は薄膜偏光子23より出力さ
れる。出力結合量は第4のルーフプリズム21における
上記直線偏光した共振器内で共振する光の偏光状態の変
化量により決まる。したがって、第2の加圧装置22
a,22bにより第4のルーフプリズム21に与える圧
力により、出力結合量を調整することができる。出力結
合量は第3のルーフプリズム18におけるQスイッチの
損失と同様に、式(12)、式(34)から求めること
ができる。
【0098】第2の加圧装置22a,22bから第4の
ルーフプリズム21に与える圧力は、Qスイッチ動作と
は異なり、一定の大きさであれば良い。したがって、第
2の加圧装置22a,22bには圧電素子を用いても良
いが、例えば剛性の高い板を挟んでねじで締めるという
ような簡単な構成でも構わない。
【0099】通常、偏光子からレーザ出力を取り出すレ
ーザ装置では、偏光子またはルーフプリズムを回転させ
ることにより出力結合量を調整する。しかし、複数の素
子を調整しなければならない欠点があった。それに対
し、上記のような共振器構成ではルーフプリズムに与え
る圧力を調整するだけで出力結合量を簡単に調整できる
と言う利点がある。
【0100】実施例8.なお、上記この発明に係るレー
ザ共振装置の第1,第2,第3の実施例において、第3
のルーフプリズム18と第4のルーフプリズム21の稜
線は上記直線偏光の偏光面に対し平行または垂直として
いる。これらのなす角度は上記以外の角度であっても構
わない。同様に上記ルーフプリズムに圧力を加える方向
は上記直線偏光の偏光面に対しπ/4としているが上記
以外の角度であっても構わない。ただし、Qスイッチ動
作において、偏光状態の変化量が異なるので、それに応
じて各ルーフプリズムに与える圧力を調整する必要があ
る。
【0101】
【発明の効果】以上のように第1〜第3の発明によれ
ば、偏光状態を変化させる手段として、等方性媒質を用
いた光学部材と加圧手段を組み合わせ、等方性媒質に圧
力が加えられることによって生じる光弾性効果を用いて
おり、等方性媒質の耐パワー密度は従来のQスイッチに
使われているポッケルスセルの耐パワー密度より数倍高
いため、高パワー密度において動作可能なQスイッチを
得ることができる。
【0102】また、第4の発明によれば、ルーフプリズ
ム等の光学部材に圧力を与えることにより、上記レーザ
共振器のQ値を制御することより、特に偏光を制御する
ための素子を共振器内に挿入する必要がない。また、等
方性媒質は従来のQスイッチに使われているポッケルス
セルより耐パワー密度が高いので、構造が簡単で高出力
化が可能なQスイッチ動作を行うレーザ共振装置を得る
ことができる効果がある。
【0103】また同様に、透明な等方性媒質よりなる2
個のルーフプリズムを用いて偏光子からレーザ出力を取
り出すレーザ共振器の場合には、上記ルーフプリズムに
圧力を与えることにより、上記共振器内で共振する光の
偏光状態の変化量を調整できる。これにより、レーザ共
振装置組立て時などにおける出力結合量の調整を容易に
行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるQスイッチの一実施例の構成図
である。
【図2】この発明によるQスイッチを用いたQスイッチ
固体レーザ装置の構成を示す断面図である。
【図3】この発明に係るQスイッチの他の実施例を示す
構成図である。
【図4】この発明に係るQスイッチの他の実施例を示す
構成図である。
【図5】この発明によるレーザ共振装置の第1の実施例
の構成図である。
【図6】ルーフプリズムにおける偏光面と圧力のかかる
方向を示す説明図。
【図7】この発明によるレーザ共振装置の第2の実施例
の構成図である。
【図8】この発明によるレーザ共振装置の第3の実施例
の構成図である。
【図9】従来のQスイッチを用いたQスイッチ固体レー
ザ装置の構成を示す断面図である。
【図10】従来のQスイッチを用いたレーザ装置の構成
図である。
【図11】従来のQスイッチを用いたレーザ装置の構成
図である。
【図12】ルーフプリズム1における角度β、iの関係
を示す説明図。
【符号の説明】
1 高反射鏡/第1のルーフプリズム 2 出力結合鏡/出力鏡 3 レーザロッド 4 偏光子 5 ポッケルスセル 6 発振器の光軸 7 レーザ出力光 8 励起光源 9 励起光 10 電源 11 Qスイッチ制御装置 12 光学素子 13 圧力発生素子 14 剛性の高いフレーム 15 圧力制御装置 16 第1の圧力発生素子 17 第2の圧力発生素子 18 第3のルーフプリズム 19a,19b 第1の加圧装置 20 圧力制御回路 21 第4のルーフプリズム 22a,22b 第2の加圧装置 23 薄膜偏光子 24 共振器外に出される光 25 第2のルーフプリズム 26 カルサイトプリズム 27 第1の高反射鏡 28 共振器外に出される光 29 第2の高反射鏡 30 台形プリズム
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】図において、1は高反射鏡、2は出力結合
鏡で、高反射鏡1と出力結合鏡2は同じ光軸上にあり、
共振器を構成している。3は外部から励起されることに
よって光を発生するレーザロッド、4はレーザロッドで
発生した光が入射する偏光子、5はポッケルスセルであ
る。偏光子4とポッケルスセル5がE/OQスイッチを
構成している。6は上記共振器の光軸である。高反射鏡
1、出力結合鏡2、レーザロッド3、偏光子4およびポ
ッケルスセル5は光軸6上にある。7は出力結合鏡2か
ら出力されるレーザ出力光、8はレーザロッド9を励起
するための励起光源、9は励起光源8で発生した励起
光、10はポッケルスセル5に電圧を印加するための電
源、11は電源10を制御するQスイッチ制御回路であ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】ポッケルスセル5における偏光状態の変化
量はポッケルスセル5に印加する電圧に比例するから、
上記E/OQスイッチにおける損失はポッケルスセル5
に印加する電圧により制御することができる。共振器の
Qは損失が小さいほど大きく、損失が大きいほど小さい
という関係があるので、結局、偏光状態を変化させるこ
とにより上記共振器のQを制御することができる。図9
の構成におけるE/OQスイッチの透過率Tr (損失は
(1−Tr )で与えられる)と印加電圧Vの関係は次式
で表わされる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】Qスイッチをもちいて出力ピークの非常に
大きな光パルスを得るためは、まずポッケルスセル5に
電圧Vを印加し、上記共振器を低Q状態にする。励起光
源8からの励起光9によりレーザロッド3を励起する。
このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出を抑制するの
に十分な損失を与える値とする。レーザロッド3が十分
励起された後、上記印加電圧Vを0とする。するとQス
イッチの損失は0になり、上記共振器が急激に高Q状態
となるので、急激に誘導放出が行われ、レーザ発振が起
こる。このとき、パルスレーザ光が出力結合鏡2よりレ
ーザ出力光7として出力される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】次に図10に基づいて説明する。第1のル
ーフプリズム1と出力鏡2はレーザ共振器を構成してい
る。第1のルーフプリズム1および台形プリズム30に
より上記レーザ共振器を自己補償型としている。上記
振器内で共振する光は上記共振器内にある偏光子4によ
り定まる直線偏光となる。第1のルーフプリズム1の稜
線は上記共振器内で共振する光の偏光面に対し平行もし
くは垂直としている。偏光子4とポッケルスセル5はE
/OQスイッチを構成している。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】まず、偏光子4とポッケルスセル5で構成
されるE/OQスイッチについて説明する。ポッケルス
セル5に電圧を印加すると、電気光学効果により上記
振器内で共振する光はポッケルスセル5を透過する際、
偏光状態が変化する。上記偏光状態の変化した光は偏光
子4を透過するときに損失を受ける。ポッケルスセル5
における偏光状態の変化はポッケルスセル5に印加する
電圧に依存する。したがって、上記E/OQスイッチに
おける損失はポッケルスセル5に印加する電圧により制
御することができる。即ち、上記共振器のQ値を制御す
ることができる。この構成におけるE/OQスイッチの
損失Lと印加電圧Vの関係は次式で表される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】L=sin2 (δ) (2) δ=(π/2)・(V/V1/4 ) (3) V1/4 :1/4波長電圧
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】レーザ発振動作について説明する。ポッケ
ルスセル5に電圧Vを印加し、上記共振器を低Q状態に
する。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3
を励起する。このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出
を抑制するのに十分な損失を与えるものとする。レーザ
ロッド3が十分励起された後、上記印加電圧Vを0とす
る。上記共振器が高Q状態となるので、急激に誘導放出
が行われ、レーザ発振が起こる。このとき、パルスレー
ザ光が出力鏡2よりレーザ出力光7として出力される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】レーザ発振動作について説明する。ポッケ
ルスセル5に電圧Vを印加し、上記共振器を低Q状態に
する。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3
を励起する。このとき、上記印加電圧Vの値は誘導放出
を抑制するのに十分な損失を与えるものとする。レーザ
ロッド3が十分励起された後、上記印加電圧Vを上記残
留強度Tを1とする電圧にスイッチする。上記共振器
高Q状態となるので、急激に誘導放出が行われ、レーザ
発振が起こる。このとき、パルスレーザ光がカルサイト
プリズム26よりレーザ出力光31として出力される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】電気光学効果を利用するE/OQスイッチ
では共振器のQ値を制御するために、共振器内に偏光を
制御するポッケルスセルを挿入する必要がある。ポッケ
ルスセルには通常KDP,LiNbO3 等の結晶を用い
る。これらの結晶は耐パワー密度がそれほど大きくな
い。よって、レーザ共振器内部のレーザ光パワー密度が
数百MW/cm2 に達する高パワー密度の条件では使用
することができない。また、図9に示したような偏光子
からレーザ出力を取り出すレーザ装置では、ルーフプリ
ズムまたは偏光子を回転させることにより出力結合量を
調整する。しかし、ルーフプリズムにより出力結合量を
調整するには、自己補償型とするために2つのルーフプ
リズムを共に回転させる必要がある。また、偏光子の回
転により出力結合量を調整すると、その回転によりレー
ザ出力光の出力方向が変わる。このため、レーザ出力光
を同一方向に出力するためにはレーザ出力光を取り出す
高反射鏡の位置を調整する必要がある。このように出力
結合量を調整するには、複数の素子を調整しなければな
らない。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】また、従来のレーザ装置は以上のように構
成されているので、Qスイッチ動作を行うには共振器内
に偏光を制御する素子を挿入する必要がある。このた
め、共振器の構成が複雑であった。さらに、上記偏光を
制御する素子に用いる結晶は耐パワー密度がそれほど大
きくなく、高パワー密度の条件では使用することができ
ず、レーザ装置の高出力化が困難であった。また、従来
の偏光子からレーザ出力を取り出すレーザ装置では、レ
ーザ装置組立て時などにおいて出力結合量を調整する際
には、複数の素子の調整が必要である。このため、出力
結合量を調整するのに時間が掛かる欠点があった。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【課題を解決するための手段】請求項1に係るQスイッ
チは、レーザ共振器の光軸上に置かれ、入射された光の
所定の偏光成分を透過する偏光手段と、圧力を加えるこ
とによって屈折率が変化し圧力に応じて透過する光の偏
光状態が変化する等方性媒質からなり、上記光軸上に置
かれ上記偏光手段を透過した光が入射され透過する光学
部材と、上記光学部材に対し圧力を加える加圧手段と、
上記光学部材と上記加圧手段を保持する保持手段を備え
たものである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正内容】
【0049】図2は図1の実施例1によるQスイッチを
用いたQスイッチ固体レーザ装置の構成図である。図に
おいて、1は高反射鏡、2は出力結合鏡であり、高反射
鏡1と出力結合鏡2はレーザ共振器を構成している。3
はレーザロッド、4はレーザロッドで発生した光が入射
する偏光子である。12は光学素子、13は圧力発生素
子、14は剛性の高いフレームで図1に示したものと同
一である。これらと偏光子4が実施例1によるQスイッ
チを構成している。6は上記共振器の光軸である。高反
射鏡1、出力結合鏡2、レーザロッド3、Qスイッチの
光学素子12は光軸6上にある。7はレーザ出力光、8
はレーザロッド9を励起するための励起光源、9は励起
光、15は圧力制御装置である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正内容】
【0051】図2に示すように、励起されたレーザロッ
ド3において発生した光は偏光子4に入る。偏光子4は
共振器の光軸6を横切るようにレーザ共振器中に置かれ
ている。次に図1に示すように、偏光子4上に光学素子
12のx,y軸と平行にX,Y軸をとる。偏光子4はY
軸に対しθ傾いた直線偏光のみを透過するので、偏光子
4を透過する光はY軸に対しθ傾いた直線偏光となる。
その光のY軸に対する角度θを説明の便宜上、0<θ<
π/2とする。偏光子4を透過する光は共振器の光軸6
とX軸を含む平面内に振動する偏光成分とこれと垂直な
面内に振動する偏光成分に分けることができる。偏光子
4を透過する光はY軸に対しθ傾いた直線偏光であるの
で、上記2つの直交する偏光成分の位相は同相である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】しかし、圧力発生素子13から光学素子1
2へyz平面からx軸方向に圧力を与え、光学素子12
を歪ませた場合、光弾性効果により共振器の光軸6とx
軸を含む平面内に振動する光とこれと垂直な面内に振動
する光の屈折率が異なるようになる。すなわち、光軸6
とx軸を含む平面内の屈折率は大きくなり、これと垂直
な面内の屈折率はほとんど変わらない。その変化量は光
学素子12の歪に比例する。そのとき入ってくる光はY
軸に対しθ傾いた直線偏光であるので、x軸およびy軸
それぞれの光の偏光成分について考えると、光の速さは
屈折率に反比例するので、一方の偏光成分は他方に比べ
遅く進むようになる。光学素子12からでてくる光はそ
れら2つの偏光成分を合成したものであるから、2つの
偏光成分の位相差にしたがって透過する光の偏光状態が
変化する。Y軸に対する角度が45度のとき位相差が9
0度であれば円偏光に、180度であれば入射された光
を90度回転させた直線偏光となる。またそれら以外の
位相差であれば楕円偏光となる。位相差は歪すなわち石
英硝子の変位量(圧電素子の変位量に等しい)に比例す
るので、圧電素子の印加電圧によって偏光状態を制御す
ることができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】光学素子12の歪Sは圧力発生素子13の
変位に対応する。したがってこの実施例のQスイッチに
おける損失(透過率)は、圧力発生素子13が圧力を光
学素子12にかけ、その結果生じる変位量により制御す
ることができる。共振器のQは損失が小さいほど大き
く、損失が大きいほど小さいという関係があるので、圧
力発生素子13が圧力を加えることにより上記共振器
Qを制御することができる。よって、圧力発生素子13
からの圧力を制御装置15により制御することにより、
損失を制御でき、Qスイッチ動作をおこなうことができ
る。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正内容】
【0083】ここで、δ´は上記共振器内で共振する光
が第3のルーフプリズム18を通過するときに受ける位
相シフト量、θは第3のルーフプリズム18に加わる圧
力の方向を上記共振器内で共振する光の偏光面のなす角
度である。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0084
【補正方法】変更
【補正内容】
【0084】式(30)より求まるMf を用いて上記経
路の透過率Tを式(12)より求めることができる。上
記経路の透過率Tは上記位相シフト量δ´により制御す
ることができる。δ´は次式で表される。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正内容】
【0090】レーザ発振動作について説明する。第3の
ルーフプリズム18に圧力を与え共振器を低Q状態にす
る。励起光源8からの励起光9によりレーザロッド3を
励起する。このとき、上記第3のルーフプリズム18に
与える圧力は誘導放出を抑制するのに十分な損失を与え
るものとする。レーザロッド3が十分励起された後、上
記第3のルーフプリズム18に与える圧力を0とする。
上記共振器が高Q状態となるので、急激に誘導放出が行
われ、レーザ発振が起こる。このとき、パルスレーザ光
が出力鏡2よりレーザ出力光7として出力される。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるQスイッチの一実施例の構成図
である。
【図2】この発明によるQスイッチを用いたQスイッチ
固体レーザ装置の構成を示す断面図である。
【図3】この発明に係るQスイッチの他の実施例を示す
構成図である。
【図4】この発明に係るQスイッチの他の実施例を示す
構成図である。
【図5】この発明によるレーザ共振装置の第1の実施例
の構成図である。
【図6】ルーフプリズムにおける偏光面と圧力のかかる
方向を示す説明図。
【図7】この発明によるレーザ共振装置の第2の実施例
の構成図である。
【図8】この発明によるレーザ共振装置の第3の実施例
の構成図である。
【図9】従来のQスイッチを用いたQスイッチ固体レー
ザ装置の構成を示す断面図である。
【図10】従来のQスイッチを用いたレーザ装置の構成
図である。
【図11】従来のQスイッチを用いたレーザ装置の構成
図である。
【図12】ルーフプリズム1における角度β、iの関係
を示す説明図。
【符号の説明】 1 高反射鏡/第1のルーフプリズム 2 出力結合鏡/出力鏡 3 レーザロッド 4 偏光子 5 ポッケルスセル 6 共振器の光軸 7 レーザ出力光 8 励起光源 9 励起光 10 電源 11 Qスイッチ制御装置 12 光学素子 13 圧力発生素子 14 剛性の高いフレーム 15 圧力制御装置 16 第1の圧力発生素子 17 第2の圧力発生素子 18 第3のルーフプリズム 19a,19b 第1の加圧装置 20 圧力制御回路 21 第4のルーフプリズム 22a,22b 第2の加圧装置 23 薄膜偏光子 24 共振器外に出される光 25 第2のルーフプリズム 26 カルサイトプリズム 27 第1の高反射鏡 28 共振器外に出される光 29 第2の高反射鏡 30 台形プリズム

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の要素を有するQスイッチ (a)レーザ発振器の光軸上に置かれ、入射された光の
    所定の偏光成分を透過する偏光手段、 (b)圧力を加えることによって屈折率が変化し屈折率
    に応じて透過する光の偏光状態を変化させる等方性媒質
    からなり、上記偏光手段を透過した光が入射され透過す
    る光学部材、 (c)上記光学部材に対し圧力を加える加圧手段、 (d)上記光学部材と上記加圧手段を保持する保持手
    段。
  2. 【請求項2】 光学部材の両側から圧力を加える2つの
    加圧手段と、上記光学部材と上記2つの加圧手段を保持
    する保持手段を備えることを特徴とする請求項1記載の
    Qスイッチ。
  3. 【請求項3】 光学部材に対し圧力を加える加圧手段に
    複数の圧力素子を重ねたものを用いることを特徴とする
    請求項1記載のQスイッチ。
  4. 【請求項4】 以下の要素を有するレーザ共振装置 (a)光を発生する光発生手段、 (b)上記光発生手段により発生された光を反射する光
    学部材、 (c)上記光学部材に対して圧力を加える加圧手段。
JP4053584A 1991-10-25 1992-03-12 Qスイッチ及びレーザ共振装置 Pending JPH05175588A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011040264A1 (ja) * 2009-09-30 2011-04-07 三菱電機株式会社 レーザ発振器およびレーザ増幅器

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