JPH051733A - 車両用デイスクブレーキの摩擦パツド製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 摩擦パッドの制動熱による反りを防止する。 【構成】 金属製プレート２にライニング層３を加熱・
加圧成形して固着し、これを焼成後にライニング層３表
面から加熱して、摩擦パッド１を彎曲させ、冷却後にラ
イニング層３表面と金属製プレート２背面を切削して平
板化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、制動熱による反りを防
止した車両用ディスクブレーキの摩擦パッド製造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】金属製プレートにライニング層を固着す
る摩擦パッドは、従来、図５に示されるように、金属製
プレートにライニング層を加熱・加圧成形して固着し、
これを焼成した後、後加工を施して製品化される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな製法による摩擦パッドは、制動作用の繰返しによ
り、摩擦パッドに制動熱が加わると、新品時と比較して
摩擦パッドに反りが発生し、ディスクロータとの引摺り
やブレーキフィーリングの低下を招くことがあり、ま
た、キャリパボディの剛性や挙動により偏摩耗を生じる
ことがある。

【０００４】そこで本発明は、制動熱による反りの防止
や、キャリパボディの剛性による偏摩耗を低減した摩擦
パッド製造方法を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的達成のため本発
明は、金属製プレートにライニング層を加熱・加圧成形
して固着し、これを焼成する車両用ディスクブレーキの
摩擦パッド製造方法において、前記焼成後にライニング
層表面から加熱して、摩擦パッドを彎曲させ、冷却後切
削することを特徴としている。

【０００６】

【作 用】これにより、金属製プレートやライニング層
の繊維は彎曲した状態に固定されるので、制動熱が加わ
っても反りが発生しない。また、加熱により彎曲した摩
擦パッドを切削加工するので、部位によって金属製プレ
ートまたはライニング層の厚さの異なる摩擦パッドを製
作でき、キャリパボディの剛性や挙動によって偏摩耗す
る部位に、金属製プレートまたはライニング層の厚い部
分を配置することにより偏摩耗を低減できる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００８】図１及び図２は本発明の第１実施例を示す
もので、摩擦パッド１は、金属製プレート２と、ライニ
ング層３とからなり、ライニング結着用の貫通孔を形成
した金属製プレート２に、ライニング層３を加熱・加圧
成形して固着し、これを焼成した後、ライニング層３の
表面から５００〜８００℃で加熱して、図１の（ｂ）に
示されるように、摩擦パッド１を彎曲させ、金属製プレ
ート２の温度が約２５０〜３５０℃程度になったら、冷
却してライニング層３の表面と金属製プレート２の背面
を切削し、図１の（ｃ）に示されるように、平板状に加
工して製品化される。

【０００９】これにより、摩擦パッド１は、金属製プレ
ート２の中央部が両端部よりも薄く、ライニング層３の
中央部が両端部よりも厚く形成され、また、金属製プレ
ート２と、ライニング層３の繊維が彎曲した状態に固定
されるので、制動熱が加わっても反りが発生しない。

【００１０】図３は本発明の第２実施例を、また、図４
は本発明の第３実施例をそれぞれ示すもので、両実施例
に用いられる一対の摩擦パッド１０ａ，１０ｂは、金属
製プレート１１ａ，１１ｂの一方が他方より薄く形成さ
れている。

【００１１】この摩擦パッド１０ａ，１０ｂは、次のよ
うにして製造される。先ず、１枚の金属製プレート１１
にライニング層１２を固着し、ライニング層１２の表面
から前記第１実施例と同様に加熱して、摩擦パッド１０
を彎曲させ、この摩擦パッド１０を２等分して、一対の
摩擦パッド１０ａ，１０ｂとする。

【００１２】次いで、ライニング層１２ａ，１２ｂの表
面を金属製プレート１１ａ，１１ｂの固着面と平行に切
削し、金属製プレート１１ａ，１１ｂの背面を彎曲部を
切削して平面化して、一対の摩擦パッド１０ａ，１０ｂ
を製作する。

【００１３】ところで、ディスクブレーキでは、制動作
用時にキャリパのディスクロータ内周側と外周側の剛性
の相違から、キャリパのディスクロータ内周側が外周側
よりも開き、摩擦パッドのディスクロータ外周側を内周
側よりも摩耗させる。

【００１４】このため、図３の第２実施例では、制動作
用時のキャリパ１３の変形角度を２θとすると、上述の
製法により、摩擦パッド１０ａ，１０ｂを、金属製プレ
ート１１ａ，１１ｂのディスクロータ内周側を外周側よ
りも角度θ分厚く形成し、この摩擦パッド１０ａ，１０
ｂを、ディスクロータ１４の両側に対向配置することに
より、制動作用時に、キャリパ１３の開きによる摩擦パ
ッド１０ａ，１０ｂの偏摩耗を低減することができる。

【００１５】また、ディスクブレーキでは、制動作用時
にキャリパが制動トルクによってディスク回出側へ引き
摺られて、ディスク軸方向に対して傾いた挙動をする。
これによって、ピストン側に配置された摩擦パッドは、
ディスク回入側が回出側よりも摩耗し、反力爪側の摩擦
パッドは、ディスク回出側が回入側よりも摩耗する。

【００１６】このため、図４の第３実施例では、キャリ
パ２０の挙動角度θに対応して、ピストン２１側に、金
属プレート１１ａのディスクロータ２２の回出側が回入
側よりも角度θ分厚い摩擦パッド１０ａを、反力爪２３
側に、金属プレート１１ｂのディスクロータ２２の回入
側が回出側よりも角度θ分厚い摩擦パッド１０ｂをそれ
ぞれ配置することにより、キャリパ２０の挙動による摩
擦パッド１０ａ，１０ｂの偏摩耗を低減することができ
る。

【００１７】

【発明の効果】本発明は以上のように、金属製プレート
にライニング層を加熱・加圧成形して固着し、これを焼
成後にライニング層表面から加熱して、摩擦パッドを彎
曲させ、冷却後に切削して摩擦パッドを製造するので、
金属製プレートやライニング層の繊維は彎曲した状態と
なり、制動熱が加わっても反りが発生しない。

【００１８】また、加熱により彎曲した摩擦パッドを切
削加工するので、部位によって金属製プレートまたはラ
イニング層の厚さの異なる摩擦パッドを製作でき、キャ
リパボディの剛性や挙動によって偏摩耗する部位に、金
属製プレートまたはライニング層の厚い部分を配置する
ことにより偏摩耗を低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の製造方法を示す摩擦パッドの断面図

【図２】 本発明の摩擦パッドの製造方法を示すフロー
チャート

【図３】 本発明の第２実施例を示すディスクブレーキ
の断面図

【図４】 本発明の第３実施例を示すディスクブレーキ
の断面図

【図５】 従来の摩擦パッドの製造方法を示すフローチ
ャート

【符号の説明】

１，１０，１０ａ，１０ｂ…摩擦パッド、２，１１，１
１ａ，１１ｂ…金属製プレート、３，１２，１２ａ，１
２ｂ…ライニング層、１３，２０…キャリパ、１４，２
２…ディスクロータ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 金属製プレートにライニング層を加熱・
   加圧成形して固着し、これを焼成する車両用ディスクブ
   レーキの摩擦パッド製造方法において、前記焼成後にラ
   イニング層表面から加熱して、摩擦パッドを彎曲させ、
   冷却後切削することを特徴とする車両用ディスクブレー
   キの摩擦パッド製造方法。