JPH0517236A - 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体

Info

Publication number
JPH0517236A
JPH0517236A JP3185849A JP18584991A JPH0517236A JP H0517236 A JPH0517236 A JP H0517236A JP 3185849 A JP3185849 A JP 3185849A JP 18584991 A JP18584991 A JP 18584991A JP H0517236 A JPH0517236 A JP H0517236A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum nitride
sintered body
powder
weight
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3185849A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0672058B2 (ja
Inventor
Kazuyuki Hiruta
和幸 蛭田
Minoru Takano
実 高野
Akira Miyai
明 宮井
Kazuo Kato
和男 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denki Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denki Kagaku Kogyo KK filed Critical Denki Kagaku Kogyo KK
Priority to JP3185849A priority Critical patent/JPH0672058B2/ja
Publication of JPH0517236A publication Critical patent/JPH0517236A/ja
Publication of JPH0672058B2 publication Critical patent/JPH0672058B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来に比べて信頼性に優れたパワーモジュー
ル用基板等の回路基板の製造が可能となる窒化アルミニ
ウム焼結体の提供。 【構成】 窒化アルミニウムとアルミン酸イットリウム
とを特定割合で含有してなる窒化アルミニウム焼結体及
びそれと銅板との接合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回路基板特にパワーモ
ジュール用基板として銅板等の厚い金属板を接合する際
に使用される窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた
接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業機器の高性能化に伴い、大電
力・高能率インバーター等パワーモジュールの変遷が進
んでおり、半導体素子から発生する熱も増加の一途をた
どっている。特に、近年、熱伝導性・電気絶縁性に優
れ、しかも熱膨張係数がシリコンのそれに近い窒化アル
ミニウム基板の出現により、基板上に金属板特に銅板を
接合し回路を形成後、そのまま銅板上に半導体素子を搭
載する構造も採用されつつある。
【0003】従来、窒化アルミニウム基板に銅板を接合
するには、銅板と窒化アルミニウム基板とを直接接合す
る、いわゆるDBC 法、及び銅板と窒化アルミニウム基板
との間にTi、Zr等の活性金属を含むろう材を介在させて
接合する、いわゆる活性金属ろう付け法がある。このう
ち、活性金属ろう付け法は、延性をもつ接合層が銅板と
窒化アルミニウム基板間に存在するため、両者の熱膨張
係数の差に起因する応力を緩和しやすく、ヒートサイク
ル・ヒートショック等の信頼性を低下させる原因となる
基板のクラックの発生が起こりにくいので広く利用され
ているが、最近の電子部品の高性能に伴い、さらに高い
信頼性が求められている。
【0004】一方、窒化アルミニウムのもつ優れた熱伝
導性を発現させるため、従来から酸化イットリウムなど
のイットリウム化合物を添加することが行われている。
しかし、窒化アルミニウムを基板として使用するには、
その表面状態も重要なポイントとなるが、一般に市販さ
れている窒化アルミニウム粉の酸素量は、通常1.0重量
%以上であるため、高熱伝導性を発現させるには、多量
のイットリウム化合物を必要とする。そのため、生成す
る液相量が多くなり、緻密化に際し多量の液相が表面に
押し出され、結果的に表面酸化物量が多くなると共にそ
の存在状態も不規則なため、良好な表面状態が得にくい
という問題があった。
【0005】また、上記のように表面に酸化物量が多い
基板を、とくにパワーモジュールに使用した場合、弱い
酸化物相からクラックが発生するという考えから、でき
るだけ表面酸化物の少ない基板が一般に使用され、本来
の窒化アルミニウム基板のもつ優れた熱伝導性を充分に
発揮できていないのが現状である。
【0006】ある一定量の酸素を有する窒化アルミニウ
ム粉にイットリウム化合物の添加量を順次増加していく
と、熱伝導率は向上し、酸化物相は、順次、3Y2O3・5
Al2O3 、(3Y2O3・5Al2O3 +Y2O3・Al2O3 )、Y2O3
Al2O3 、(Y2O3・Al2O3 +2Y2O3・Al2O3 )と変化して
いき、その量も増加する。そのため、とくに信頼性を低
下させるクラックの発生要因として従来考えられてきた
表面酸化物量も増加することとなり、それを抑えるため
には、添加量を少なくして3Y2O3・5Al2O3 の構成相が
生成している基板を使用し、熱伝導率をある程度犠牲に
するか、もしくは基板の内部を表面に比べて酸化物量が
少ないという性質を利用し、厚み方向に基板をかなりの
量まで除去したものを使用して経済性を犠牲にするしか
なかった。
【0007】また、高い熱伝導性を有しつつ、しかも酸
化物量を抑える方法としては、低酸素含有量の窒化アル
ミニウム粉を使用する方法もあるが、現状の技術レベル
を考慮した場合、入手が困難であり、仮に入手できたと
しても、はなはだ高価であるため、経済性に劣るという
問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況に鑑
み、本発明者らは、主にパワーモジュール用基板として
耐ヒートサイクル性・耐ヒートショック性を従来よりも
さらに向上させた窒化アルミニウム基板を開発すること
を目的として鋭意検討を重ねた結果、熱伝導性向上効果
のあるイットリウム化合物を添加して製造された窒化ア
ルミニウム焼結体であって、ある特定構成相からなるも
のは上記目的を達成できることを見い出し、本発明を完
成したものである。
【0009】すなわち、本発明は、以下を要旨とする窒
化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体である。 (請求項1) 窒化アルミニウムとアルミン酸イットリ
ウムを構成相としてなり、次の(1)〜(3)の関係を
有してなることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。 (1)アルミン酸イットリウムが3Y2O3・5Al2O3 とY2
O3・Al2O3 からなること。 (2)焼結体の厚み方向に5μmまでの範囲で除去した
表面を粉末X線回折法にて測定した際、窒化アルミニウ
ムの101 反射の強度I101 、3Y2O3・5Al2O3 の400 反
射の強度I400 、及びY2O3・Al2O3 の121 反射の強度I
121 の間に以下の関係があること。 0.02≦I400 /I101 ≦0.18 及び 0.01 ≦I121 /I
101 ≦0.45 (3)焼結体の粉砕物の粉末X線回折法により測定した
結果が以下の関係にあること。 0.01≦I400 /I101 ≦0.06 、 0.02 ≦I121 /I
101 ≦0.20 及び 0.07≦(I400 /I101 )+(I121/I101 )≦0.21 (請求項2) 請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体
と銅板とを一体化してなることを特徴とする接合体。
【0010】以下、さらに詳しく本発明について説明す
る。
【0011】本発明者らは、窒化アルミニウム基板表面
ならびに内部に存在する酸化物相、具体的には、3Y2O3
・5Al2O3 と3Y2O3・5Al2O3 及びY2O3・Al2O3 を有す
る窒化アルミニウム基板を種々作製し、銅板を活性金属
ろう付け法にて接合し回路を形成後、信頼性試験を実施
し基板のクラック発生状況を検討したところ、従来考え
られてきた表面酸化物が多い程、クラックが発生しやす
いということが必ずしも正しくないことを見い出した。
【0012】従来、3Y2O3・5Al2O3 とY2O3・Al2O3
共存する窒化アルミニウム基板は、3Y2O3・5Al2O3
みを含む基板に比べて熱伝導性は優れるが表面酸化物量
が多くなるため、パワーモジュール用基板には向かない
ものと考えられてきた。しかし、本発明者らは、たとえ
酸化物量が多くなったとしても、3Y2O3・5Al2O3 とY2
O3・Al2O3 がある一定量の範囲にあると、逆に耐ヒート
サイクル性・耐ヒートショック性が優れ、高い信頼性を
有するパワーモジュール用基板が得られることを見い出
したのである。
【0013】本発明において、アルミン酸イットリウム
とは、窒化アルミニウム粉が含有する酸素とイットリウ
ム化合物が反応してなるイットリウムとアルミニウムと
酸素を構成元素とした化合物である。通常、窒化アルミ
ニウム粉は少量の金属不純物を含み、さらに焼成工程で
も不純物が加わるが、これらの不純物がアルミン酸イッ
トリウムに固溶等により取り込まれた場合も、本発明に
おいてはすべてアルミン酸イットリウムとみなす。
【0014】また、本発明においては、アルミン酸イッ
トリウムを3Y2O3・5Al2O3 とY2O3・Al2O3 に限定して
いるが、これらY2O3−Al2O3 系の反応では、一部反応が
不均一なため2Y2O3・Al2O3 相の生成も起こり得るが、
本発明においては、X線回折法にて2Y2O3・Al2O3 の存
在を確認できない量の範囲においては、その存在を何ら
制限するものではない。
【0015】本発明において、窒化アルミニウム焼結体
に含まれる3Y2O3・5Al2O3 とY2O3・Al2O3 の含有量を
規定しているが、その方法は以下のとおりである。ま
ず、窒化アルミニウム焼結体の表面を粉末X線回折法に
て測定する。その方法は通常行われている方法でよく、
その一例を示せば、X線源としてCuを使い、測定条件は
以下のとおりである。 電圧 電流:40KV 30mA SLITS :DS 1°、RS 0.15mm 、SS 1° 走査速度:2deg /分
【0016】各構成相の存在量の数値化は次の規準で
行う。窒化アルミニウムの101 反射のピーク高さ又はピ
ークの積分強度値をI101 、3Y2O3・5Al2O3 の400 反
射又はピークの積分強度値をI400 、Y2O3・Al2O3 の12
1 反射又はピークの積分強度値をI121 としたとき、3
Y2O3・5Al2O3 量をI400 /I101 、Y2O3・Al2O3 量を
121 /I101 として数値化する。ただし、ピーク高さ
を用いる場合は、すべての相についてそのようにしなけ
ればならないし、ピークの積分強度値を用いる場合は、
すべてをそれに統一しなければならない。
【0017】本発明において、パワーモジュール基板と
して銅板を接合し、回路形成後、ヒートサイクル試験や
ヒートショック試験等の信頼性試験において、優れた信
頼性を示す領域は、焼成後に焼結体の表面を研削・研磨
等の手段により厚み方向に5μmまでの範囲内で除去し
たいずれかの表面を粉末X線回折法にて測定した際に、
0.02≦I400 /I101 ≦0.18 及び 0.01≦I121 /I
101 ≦0.45の関係を有し、しかも窒化アルミニウム焼結
体の粉砕後の粉末について粉末X線回折法により測定し
た結果が、以下の関係にある場合である。 0.01≦I400 /I101 ≦0.06 、 0.02 ≦I121 /I
101 ≦0.20 及び 0.07≦(I400 /I101 )+(I121/I101 )≦0.21
【0018】なお、本発明において、X線回折の測定を
焼結体の5μmまでの表面及び粉砕後の粉末について行
っているのは、前者では焼結体表面及びその近傍の酸化
物量を、後者では全体の酸化物量をつかむためである。
本発明では、焼結体表面と粉末の酸化物量を測定した場
合、とくに表面酸化物量の最大値が粉末の最大値よりも
大きいという特徴、すなわち表面の酸化物の存在量が内
部よりも多いという特徴がある。
【0019】本発明の窒化アルミニウム焼結体は上記酸
化物相により構成され、しかも酸化物量が上記の範囲に
あることが何故、信頼性を向上させるかは未だ明かでは
なく、本発明者らは、これらの相と窒化アルミニウム粒
子との高温時における濡れ性の点や、酸化物相とろう材
中に含まれているTi、Zrなどの活性金属との反応性の点
から検討を進めている。
【0020】以下、上記窒化アルミニウム焼結体と銅板
を接合して製造された基板、とくにパワーモジュール用
基板として用いられる接合体について説明する。
【0021】(原料混合工程)本発明の表面及び内部で
の酸化物量を有する窒化アルミニウム焼結体を得るに
は、成形体の焼成条件を充分検討しなければならない
が、基本的には、原料混合段階での窒化アルミニウム粉
とイットリウム化合物の混合比に大きく左右される。窒
化アルミニウム粉は、広範囲の酸素含有量を有するもの
が市販されており、3Y2O3・5Al2O3 とY2O3・Al2O3
生成させるには、原料の酸素量に応じてイットリウム化
合物を添加すればよいが、酸化物相を所定量生成させる
には、窒化アルミニウム粉の酸素量に応じてイットリウ
ム化合物の添加量を調節する。
【0022】本発明では、酸素量が0.8 〜1.5 重量%の
窒化アルミニウム粉を使用することが好ましい。なぜな
ら、酸素量が1.5 重量%を越える原料粉を使用すると、
上記酸化物相を生成させるには、多量のイットリウム化
合物を添加せねばならず、これにより得られる焼結体
は、本発明の酸化物量の上限を越え、クラックが発生し
やすくなると共に、銅板等の金属板を接合した際、金属
板との接合強度が低くなりやすいからである。一方、酸
素量が0.8 重量%未満の原料粉を使用した場合、イット
リウム化合物を少なくすることで上記2相を生成するこ
とができるが、酸化物量は本発明の範囲外となり、パワ
ーモジュール用基板とし使用した場合、クラックが発生
しやすくなる。
【0023】本発明において使用されるイットリウム化
合物とは、具体的にはイットリウムの酸化物、フッ化
物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等があげられるが、とくに
酸化イットリウムが好適である。ここで、酸化イットリ
ウムを例にとり、その添加量を具体的に説明すると、酸
素量が0.8 重量%の窒化アルミニウム粉に対しては、窒
化アルミニウム粉と酸化イットリウム粉の総量中、酸化
イットリウム粉が3.0 〜4.0 重量%となるように、一
方、酸素量が1.2 重量%の原料粉に対しては4.0 〜5.0
重量%となるように、また酸素量が1.5 重量%の原料粉
に対しては5.0 〜6.0 重量%となるように添加する。
【0024】本発明では、混合段階で有機成分を添加す
るが、成形方法たとえばプレス成形法とシート成形法で
は添加する有機成分が異なる。本発明は成形法には限定
されるものではないが、とくに経済性を考慮した場合に
はシート成形法が好ましい。
【0025】シート成形を行うためのスラリー調整につ
いて説明すると、窒化アルミニウム粉と酸化イットリウ
ム粉との合計100 重量部に対し、有機結合剤、可塑剤、
分散剤、溶剤を加える。有機結合剤としては、通常アル
ミナ基板の製造に用いられているポリビニルブチラー
ル、ポバール、アクリルポリマーなどが使用できる。そ
の添加量をポリビニルブチラールの例で示すと4〜12重
量部である。また、可塑剤としてはジブチルフタレート
やジオクチルフタレート、分散剤としては、脂肪族エス
テルが使用され、その量はそれぞれ2〜10重量部、1〜
3重量部程度である。さらに溶剤としては、塩素系、ケ
トン系、芳香族系、アルコール系及びパラフィン系が使
用できる。具体例を示すと、トルエン30〜40重量部、イ
ソプロパノール10〜20重量部などである。これらをボー
ルミルポットに投入し、さらにセラミックボールを加
え、充分混合しスラリーを調整する。
【0026】(成形工程)上記のように、本発明は成形
方法に限定されるものではないが、シート成形法がより
好ましく、そのなかでもドクターブレード法が最適であ
る。成形にあたっては、前工程として脱泡を行い、粘度
等のスラリー調整を行うことが好ましい。
【0027】(脱脂・焼成工程)成形後のシートはプレ
ス装置にて所定形状に打ち抜かれ、脱脂、焼成される。
脱脂条件は、使用した有機結合剤により異なるが、通常
は窒素又は空気中もしくは窒素と空気の混合ガス中で行
うのがよく、温度も900 ℃を越えない温度、とくに空気
を含む雰囲気を使用する場合は600 ℃を越えない温度で
行うのが望ましい。空気を含む雰囲気中、600 ℃を越え
る温度で脱脂を行うと窒化アルミニウムが酸化されやす
く、熱伝導率の低下を招くと共に酸素量が増加するた
め、本発明の窒化アルミニウム焼結体が得られにくくな
る。
【0028】脱脂後のシートは焼成工程に移される。そ
の際、焼成条件は本発明の窒化アルミニウム焼結体を得
るうえで大きく影響を与えるので注意を要する。本発明
で使用される窒化アルミニウム粉の製造方法としては、
任意の方法で製造されたもの、例えば金属アルミニウム
の直接窒化法、アルミナの還元窒化法、気相合成法等が
可能であり、また製造方法により窒化アルミニウムの緻
密化温度自体も異なるが、とくに安価に入手できること
及び粉の性状が安定していることなどから直接窒化粉又
はアルミナ還元窒化粉が好ましい。本発明の窒化アルミ
ニウム焼結体の表面ならびに内部での酸化物量を所定の
範囲におさめるためには、焼成温度、保持時間さらには
冷却速度の制御が必要である。
【0029】焼成温度は、1800℃以上1950℃以下が望ま
しい。また、この温度範囲にあっても保持時間によって
は表面及び内部での酸化物量は変化するので、本発明の
窒化アルミニウム焼結体を得るためには各温度において
焼成時間を設定することが望ましい。たとえば、1900℃
で焼成する場合は30分保持、1850℃で焼成する場合は1.
5 時間保持などである。仮に、1800℃を越えない温度で
焼成した場合、緻密化しにくくなると共にたとえ緻密化
できたとしても、所定の表面酸化物量を有する窒化アル
ミニウム焼結体は得られにくくなる。また、1950℃を越
える温度で焼成した場合、たとえ焼成時間が短くても粒
成長が活発化し、焼成時に存在する液相の表面への移動
量が多くなる結果、得られる焼結体の表面酸化物量が過
剰になってしまう。なお、焼成時の雰囲気としては非酸
化性雰囲気下とくに窒素中で行うのが望ましい。
【0030】本発明の窒化アルミニウム焼結体を得るた
めには、焼成後の冷却速度の制御がとくに重要である。
通常の冷却速度は、焼結体の割れ防止の点から炉冷する
ので5℃/分以上となる。これに対し、本発明では、温
度1700℃までの冷却速度を3℃/分以下好ましくは2℃
/分以下とする。3℃/分を越える冷却速度では、本発
明の窒化アルミニウム焼結体は得られにくい。
【0031】(表面処理工程)焼成後の焼結体の表面
は、従来、過剰な酸化物がその後の物性に悪影響を及ぼ
すと考えられてきたため、この酸化物を除去することを
目的に、また表面粗さを小さくすることを目的に、研削
・研磨等の加工が行われ、コスト的にもあわない工程で
あったが、本発明の窒化アルミニウム基板では、所定量
の表面酸化物の存在は、とくにその後のパワーモジュー
ル用基板の信頼性試験ではよい結果をもたらすことか
ら、従来の加工は必要でなくなる。従って、研削量はわ
ずかでよく、例えばセラミックス砥粒などを吹きつける
ホーニング処理で充分であり、ブラスト処理や研磨をす
るにしてもバレル研磨処理でよく、通常、表面から5μ
mまでの範囲内の研削で充分である。
【0032】(金属板の接合及び回路形成工程)次に、
銅板を接合し回路を形成する方法について説明すると、
まず、窒化アルミニウム焼結体上にペースト状もしくは
箔状の接合材を所定の位置に配置し、さらにそのうえに
銅板を搭載する。配置の形態は、その後の回路形成方法
によって異なるが、通常、回路を銅板接合後そのまま形
成してしまうには、接合材と銅板の両方とも回路状に配
置する。また、エッチングにより形成する場合は、接合
材は回路状に配置し、銅板は窒化アルミニウム焼結体と
同形状のものを搭載する。なお、この接合材には様々な
種類があるが、とくに本発明で使用される接合材の組成
は、AgとCuもしくはCuを主成分としていることが望まし
く、さらにTi、Zrなどの活性金属成分を含有するものが
最適である。
【0033】銅板の搭載後、炉内にて加熱接合されて本
発明の接合体となる。この際、雰囲気は不活性雰囲気で
なければならないが、とくに真空が望ましい。
【0034】エッチングによる回路形成については、銅
板が接合された接合体に回路を形成するために、まず回
路形状にレジストを塗布後、エッチング液で不要銅板部
を除去する。
【0035】(回路基板の評価工程)従来の窒化アルミ
ニウム焼結体を使用した回路基板の問題点である耐ヒー
トサイクル性・耐ヒートショック性等の信頼性試験時に
発生するクラックによる絶縁不良を窒化アルミニウム焼
結体の改良により防止したことが本発明の特徴である。
【0036】ここで信頼性試験方法について説明すれば
以下のとおりである。 (i) ヒートサイクル試験 −40℃、30分保持後、室温にて10分保持、さらに125 ℃
にて30分保持する。その後、室温にて10分保持後、再
度、−40℃にて30分保持する。これを繰り返す。なお、
−40℃及び125 ℃はフロリナート中で実施する。 (ii)ヒートショック試験 −40℃にて5分保持後、約2秒にて150 ℃に移す。その
温度で5分保持後、再度、約2秒後−40℃にもどす。こ
の操作を繰り返す。
【0037】
【実施例】以下、実施例及び比較例をあげてさらに具体
的に本発明を説明する。
【0038】実施例1 酸素量が1.2 重量%の窒化アルミニウム粉95重量部、酸
化イットリウム粉5重量部、ポリビニルブチラールを8
重量部、ジブチルフタレートを4重量部、グリセリント
リオレートを1重量部、さらにはトルエンを35重量部、
イソプロパノールを15重量部秤量し、これらを内張りが
ジルコニア製であるボールミルポットに投入し充分混合
した。ただし、ボールもジルコニア製のものを使用し
た。上記スラリーを脱泡槽にかけ、粘度を15000CPSとし
た後ドクターブレード装置により、厚みが0.75mmのシー
ト状に成形した。
【0039】上記シートをプレス装置にて80mm×40mmの
形状に打ち抜き後、各成形体の表面にBN粉を塗布したも
のを5枚重ね、脱脂炉に投入した。脱脂条件は500 ℃、
5時間保持であり、初めの2時間は窒素中で、残りの3
時間は空気中で行った。
【0040】その後、脱脂した成形体の焼成を行い、68
mm×34mmの焼結体を得た。焼成条件は1850℃で45分保
持、窒素常圧下で行い、焼成後1700℃までの冷却速度を
1.5 ℃/分とした。得られた窒化アルミニウム焼結体の
表面をホーニング処理で2μm除去した。この焼結体に
ついて、表面酸化物量ならびに焼結体全体での酸化物量
を粉末X線回折装置にて測定した。
【0041】X線走査条件は以下のとおりとし、機器と
して理学電機社製「ガイガーフレックスRAD-IIB 」を使
用した。 X線源 :Cu 電圧 電流:40KV 30mA 走査速度 :2deg /分 スリット :DS 1°、RS 0.15mm 、SS 1°
【0042】また、焼結体を10mmに加工後、レーザーフ
ラッシュ法熱伝導率測定装置にて熱伝導率を測定した。
【0043】次に、上記窒化アルミニウム焼結体に銅板
を接合して接合体を得た後、回路を以下の方法により形
成した。窒化アルミニウム焼結体の片方の表面には、回
路パターン状に、またもう一方の表面にはほぼ全面にろ
う材ペーストをスクリーン印刷した。なお、片面にほぼ
全面に印刷するのは、この面に後の組立工程でヒートシ
ンク材を半田付けするためである。
【0044】使用したろう材ペースト中の金属成分は、
銀72重量部、銅28重量部、チタン20重量部であり、ペー
ストの単位面積当りの塗布量は6.5mg/cm2 とした。
【0045】印刷された窒化アルミニウム焼結体上に窒
化アルミニウム焼結体と同形状の無酸素銅板を搭載した
後、860 ℃、30分、真空中にて接合処理を行った。次い
で、この接合体に回路を形成するため、まず銅板にレジ
ストを回路形状に印刷し、さらに塩化第2鉄液でレジス
ト塗布域以外の銅板部分を除去した。
【0046】以上のような方法で得られた基板が銅板を
回路とするパワーモジュール用基板であり、その基板に
ついて、ヒートサイクル試験とヒートショック試験を上
記に従い実施した。
【0047】実施例2 窒化アルミニウム粉を96重量部、酸化イットリウム粉を
4重量部とし、成形体の焼成温度を1900℃、冷却速度を
2.5 ℃/分、ホーニング処理による表面除去厚みを3μ
m、ろう材の金属成分としてチタンのかわりにジルコニ
ウムを使用し、その量を30重量部、さらには接合処理温
度を920 ℃としたこと以外は実施例1と同じ方法でパワ
ーモジュール用基板を作製した。
【0048】実施例3 酸素量が0.8 重量%の窒化アルミニウム粉96.5重量部、
酸化イットリウム粉を3.5 重量部、有機結合剤としてポ
バールを7重量部とし、成形体の焼成温度を1950℃、保
持時間を20分、冷却速度を3.0 ℃/分、バレル研磨によ
る表面除去厚みを0.5 μm、さらにはろう材中のチタン
量を5重量部としたこと以外は実施例1と同様な方法に
てパワーモジュール用基板を作製した。なお、窒化アル
ミニウム基板の形状は、68.5mm×34.5mmであった。
【0049】実施例4 実施例3と同じ窒化アルミニウム粉を96重量部、酸化イ
ットリウム粉を4重量部、成形体の焼成条件を1920℃で
30分、ホーニング処理による表面除去厚みを2μmとし
たこと以外は実施例3と同様な方法にてパワーモジュー
ル用基板を作製した。
【0050】実施例5 酸素量が1.5 重量%の窒化アルミニウム粉を94重量部、
酸化イットリウム粉を6重量部、成形体の焼成条件を18
30℃で45分、冷却速度を1.0 ℃/分とし、さらに得られ
た焼結体の表面を5μm除去したこと以外は実施例1と
同様な方法にてパワーモジュール用基板を作製した。
【0051】実施例6 実施例5の窒化アルミニウム粉を96重量部、酸化イット
リウム粉を4重量部、成形体の焼成条件を1800℃で1時
間、冷却速度を0.8 ℃/分としたこと以外は実施例2と
同様な方法にてパワーモジュール用基板を作製した。
【0052】比較例1 酸素量が1.2 重量%の窒化アルミニウム粉を98重量部、
酸化イットリウム粉を2重量部、冷却速度を8.0 ℃/分
としたこと以外は実施例1と同様な方法にてパワーモジ
ュール用基板を作製した。
【0053】比較例2 酸素量が1.2 重量%の窒化アルミニウム粉を97重量部、
酸化イットリウム粉を3重量部、冷却速度を7.0 ℃/分
としたこと以外は実施例2と同様な方法にてパワーモジ
ュール用基板を作製した。
【0054】比較例3 酸素量が0.8 重量%の窒化アルミニウム粉を98.5重量
部、酸化イットリウム粉を1.5 重量部、冷却速度を5.0
℃/分としたこと以外は実施例3と同様な方法にてパワ
ーモジュール用基板を作製した。
【0055】比較例4 酸素量が0.8 重量%の窒化アルミニウム粉を99重量部、
酸化イットリウム粉を1重量部、冷却速度を5.0 ℃/分
としたこと以外は実施例4と同様な方法にてパワーモジ
ュール用基板を作製した。
【0056】比較例5 酸素量が1.5 重量%の窒化アルミニウム粉を96.5重量
部、酸化イットリウム粉を3.5 重量部、冷却速度を10.0
℃/分としたこと以外は実施例5と同様な方法にてパワ
ーモジュール用基板を作製した。
【0057】比較例6 酸素量が1.5 重量%の窒化アルミニウム粉を98重量部、
酸化イットリウム粉を2重量部、冷却速度を8.0 ℃/分
としたこと以外は実施例6と同様な方法にてパワーモジ
ュール用基板を作製した。
【0058】実施例1〜6の結果を表1に、比較例1〜
6の結果を表2に示す。なお、信頼性試験結果の評価は
次のとおりである。 A:微小クラックがわずかに発生。 B:微小クラックがAより多めに発生。 C:耐圧不良。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明の窒化アルミニウム焼結体を基板
として用いることにより、従来に比べて信頼性に優れた
パワーモジュール用基板等の回路基板の製造が可能とな
る。
フロントページの続き (72)発明者 加藤 和男 東京都町田市旭町3丁目5番1号 電気化 学工業株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウムとアルミン酸イットリ
    ウムを構成相としてなり、次の(1)〜(3)の関係を
    有してなることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。 (1)アルミン酸イットリウムが3Y2O3・5Al2O3 とY2
    O3・Al2O3 からなること。 (2)焼結体の厚み方向に5μmまでの範囲で除去した
    表面を粉末X線回折法にて測定した際、窒化アルミニウ
    ムの101 反射の強度I101 、3Y2O3・5Al2O3 の400 反
    射の強度I400 、及びY2O3・Al2O3 の121 反射の強度I
    121 の間に以下の関係があること。 0.02≦I400 /I101 ≦0.18 及び 0.01 ≦I121 /I
    101 ≦0.45 (3)焼結体の粉砕物の粉末X線回折法により測定した
    結果が以下の関係にあること。 0.01≦I400 /I101 ≦0.06 、 0.02 ≦I121 /I
    101 ≦0.20 及び 0.07≦(I400 /I101 )+(I121/I101 )≦0.21
  2. 【請求項2】 請求項1記載の窒化アルミニウム焼結体
    と銅板とを一体化してなることを特徴とする接合体。
JP3185849A 1991-07-01 1991-07-01 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体 Expired - Lifetime JPH0672058B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3185849A JPH0672058B2 (ja) 1991-07-01 1991-07-01 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3185849A JPH0672058B2 (ja) 1991-07-01 1991-07-01 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0517236A true JPH0517236A (ja) 1993-01-26
JPH0672058B2 JPH0672058B2 (ja) 1994-09-14

Family

ID=16177958

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3185849A Expired - Lifetime JPH0672058B2 (ja) 1991-07-01 1991-07-01 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0672058B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022210517A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022210517A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06
WO2022210517A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 デンカ株式会社 窒化アルミニウム焼結体、及びその製造方法、回路基板、並びに、積層基板

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0672058B2 (ja) 1994-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5673106B2 (ja) 窒化珪素基板の製造方法、窒化珪素基板、窒化珪素回路基板および半導体モジュール
JP5038565B2 (ja) セラミックス回路基板およびその製造方法
KR102139194B1 (ko) 질화물 세라믹스 활성금속 브레이징 기판의 제조방법
JP3629783B2 (ja) 回路基板
EP1914213B1 (en) Silicon nitride circuit board
JP2698780B2 (ja) 窒化けい素回路基板
JP2002201076A (ja) 窒化ケイ素基板および回路基板
JP6124103B2 (ja) 窒化珪素回路基板およびその製造方法
JP3450570B2 (ja) 高熱伝導性窒化けい素回路基板
US6316116B1 (en) Ceramic circuit board and method of manufacturing the same
JP2012111671A (ja) 窒化アルミニウム焼結体加工物の製造方法
JPH1067586A (ja) パワーモジュール用回路基板およびその製造方法
JP2004231513A (ja) 高強度・高熱伝導性に優れた回路基板
JP3537241B2 (ja) 窒化珪素焼結体の製造方法
JPS6184037A (ja) 窒化アルミニウム系セラミツクス基板
JP5073135B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体、その製造方法及び用途
JPH11100274A (ja) 窒化珪素質焼結体、その製造方法及びそれを用いた回路基板
JPH0517236A (ja) 窒化アルミニウム焼結体及びそれを用いた接合体
JP3518841B2 (ja) 基板およびその製造方法
JPH11236270A (ja) 窒化ケイ素質基板及びその製造方法
JP2677748B2 (ja) セラミックス銅回路基板
JP2002201072A (ja) AlN焼結体およびこれを用いたAlN回路基板
JP4761617B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法、並びにそれを用いた電子用部品
JPH11100276A (ja) 電子部品搭載用窒化ケイ素質基板及びその製造方法
JP2620326B2 (ja) 金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090914

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100914

Year of fee payment: 16

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110914

Year of fee payment: 17

EXPY Cancellation because of completion of term