JPH05171523A - 耐炎化装置 - Google Patents

耐炎化装置

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JPH05171523A
JPH05171523A JP35713491A JP35713491A JPH05171523A JP H05171523 A JPH05171523 A JP H05171523A JP 35713491 A JP35713491 A JP 35713491A JP 35713491 A JP35713491 A JP 35713491A JP H05171523 A JPH05171523 A JP H05171523A
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JP
Japan
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porous body
furnace
flameproofing
bubbles
fluidized bed
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JP35713491A
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English (en)
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Shunei Sekido
俊英 関戸
Seiji Tanaka
清次 田中
Masahiro Unno
雅弘 雲野
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Crucibles And Fluidized-Bed Furnaces (AREA)
  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 前駆体繊維への物理的損傷を与えることがな
く、耐炎化処理速度を向上することができる耐炎化装置
を提供する。 【構成】 耐炎化炉20の長手方向の両側に、前駆体繊維
101 を複数回折り返して炉内を通糸する炉外ローラ群12
a〜12c、13a〜13cを配設し、耐炎化炉20内に堆積し
た固体熱媒粒子30を、加熱した酸化性気体で流動化せし
めた流動層4中で、前駆体繊維101 を連続的に加熱処理
する耐炎化装置であって、流動層4内の前駆体繊維101
の各段の糸道間の少なくとも1箇所に、断面形状が波形
状の多孔体31を配設する。流動層4内の気泡が上昇する
途中で、波形状の多孔体31に衝突することにより、気泡
のベクトルが変わるとともに、気泡が破裂し、均一でか
つ微小な気泡となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前駆体繊維を耐炎化す
る耐炎化繊維の製造工程に利用される耐炎化装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】通常、耐炎化繊維は、ポリアクリロニト
リル(以下PANと略す)系繊維、再生セルローズ系繊
維、フェノール系繊維、ピッチ系繊維等の有機重合体か
ら成る前駆体繊維を先ず空気または他の酸化性ガス雰囲
気中にて、200 〜300 ℃で耐炎化(ピッチ系繊維では一
般に不融化と称しており、更に高温の450 ℃程度までの
処理を行っている)して得られる。このようにして耐炎
化された繊維は、次いで窒素、アルゴン等の不活性ガス
雰囲気中にて800 〜2000℃で炭化せしめて炭素繊維とし
たり、また、さらに2000℃以上の不活性ガス雰囲気中で
黒鉛化を行い、弾性率が一段と高い黒鉛繊維を製造する
ことも行われる。
【0003】上記耐炎化工程は酸化と還化を伴う反応で
あって、高温で処理する程反応速度を上げて耐炎化に必
要な処理時間を短縮できる。しかしながら、反応発熱を
伴うため、処理温度を高温にし過ぎたり、前駆体繊維を
高密度に多数充填したりすると、反応熱が該繊維内に蓄
積して単糸間の融着や糸切れ、場合によっては発火現象
を生じる。そのため、耐炎化工程の生産効率を上げるた
めには、当該繊維の反応発熱を効率良く除去しつつ可能
な限り高温で処理できるプロセスであることが肝要であ
る。
【0004】その耐炎化装置として、特開平1−192825
号公報に、熱媒粒子の流動層を用いて前駆体繊維を連続
的に加熱する耐炎化装置が提案されている。以下、この
耐炎化装置の縦断面を図7に示し、その構成を説明す
る。
【0005】耐炎化炉1は、分散板2によってその炉内
が2層に分割された状態になっている。分散板2の下方
(図面上の下側)はガス分散箱3に構成されており、ガ
ス分散箱3の下部には、加熱された酸化性気体(図中、
矢印で示している)を導くためのガス通路5が連通接続
されており、このガス通路5の外周にヒータ6が配設さ
れている。分散板2の上方は、熱媒粒子30を所定範囲の
糸道高さまで堆積した熱媒層4に構成されている。被処
理物である前駆体繊維101 は、ローラ7を介して炉の長
手方向の端部に設けた導出孔から熱媒層4に通糸され、
加熱耐炎化処理された後、炉の長手方向の他の端部に設
けた導入孔から耐炎化繊維102 として引き出される。
【0006】上記耐炎化炉1によると、ガス通路5に設
けられたヒータ6により、加熱された酸化性気体(図
中、矢印で示している)はガス分散箱3内に流入し、分
散板2を通過する前に、ガス分散箱3内で均一に広が
る。そして、分散板2で分散されたのち、熱媒層4内に
流入し、熱媒層4を流動化して流動層にするとともに、
その流動層を均一に加熱する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た耐炎化炉1で、さらに、耐炎化処理速度を速めて、耐
炎化繊維の生産性を向上させようとすると、次のような
不都合が生じる。
【0008】耐炎化処理速度を速めるには、まず、耐炎
化炉1の炉長を延ばし、炉1内に給糸される駆体繊維10
1 の処理速度を増加させることが考えられる。しかし、
この場合、耐炎化炉1を長尺化すると、熱媒粒子の流動
化作用により、耐炎化炉の中央部あたりに位置する前駆
体繊維101 の糸道に振れが生じて糸道が不安定となるた
め、隣接する糸束同士で接触を起こし、毛羽等の発生を
助長し、得られた耐炎化繊維の品位を著しく低下させる
おそれがある。また、耐炎化炉1の必要以上の長尺化
は、設備費の点でもコスト高につながり、好ましくな
い。
【0009】そこで、耐炎化炉1を長尺化せずに、前駆
体繊維101 の処理速度を増やすには、熱媒層4(以下、
流動層とも言う)を高くし、流動層4内を通過する前駆
体繊維101 の処理段数を増す、つまり、前駆体繊維101
を多段に折り返して、 ^1^炉当たりの処理長を増加さ
せることが考えられる。しかし、流動層4が高くなる
程、流動化させるための気体の圧力も上がり、これに伴
い熱媒粒子の運動エネルギが大きくなるので、流動層4
内で発生した酸化性気体の気泡の動きが著しくなる。そ
の結果、気泡が成長合体し易くなり、流動層4の表面付
近ではかなり大きな気泡となる。この成長した大きな気
泡が、前駆体繊維101 に衝突して破裂すると、そのとき
のショックで、前駆体繊維101 がばらけ、毛羽等の物理
的損傷を与えるという不都合が生じる。
【0010】また、気泡破裂のショックでもバラけない
ように、前駆体繊維101 に撚りを付与すれば、安定した
通糸が可能であるが、余り撚り数を増すと、前駆体繊維
101の内外層で反応にばらつきが生じ、得られた耐炎化
繊維の品位が低下する。あるいは、前駆体繊維101 内に
耐炎化反応熱が蓄熱し、暴走反応が発生し糸切れ、場合
によっては発火現象が起きることもある。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、上述した不都合を生じることなく、耐
炎化処理速度を向上させ、耐炎化繊維の生産性の向上を
図ることができる耐炎化装置を提供することを目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、本発明は、流動層加熱耐炎化炉の長手方向の両端側
に、前駆体繊維を複数回折り返して前記耐炎化炉内を通
糸する炉外ローラ群を配設し、前記耐炎化炉内に堆積し
た固体熱媒粒子を、加熱した酸化性気体で流動化せしめ
た流動層中で、前記前駆体繊維を連続的に加熱処理する
耐炎化装置において、前記流動層内の前駆体繊維の各段
の糸道間の少なくとも1箇所に多孔体を配設し、前記多
孔体の断面形状が波形状であることを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明の作用は次のとおりである。酸化性気体
の導入により、流動層の低部で発生した気泡は成長合体
しつつ上昇し、流動層内に折り返し通糸される前駆体繊
維の糸道間の間隙に取り付けられた断面形状が波形状を
呈する多孔体に衝突することにより、気泡のベクトルが
変わるとともに、気泡が破裂し、均一でかつ微小な気泡
となる。したがって、前駆体繊維に衝突して破裂する気
泡のショックも和らげられ、前駆体繊維に毛羽等の物理
的損傷を与えることなく、折り返し前駆体繊維を流動層
内に通糸することが可能になり、耐炎化処理速度が向上
する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。まず、図3を参照して、耐炎化装置の概略を説明
する。図中、符号8は前駆体繊維101 の供給部であり、
ここから送り出された前駆体繊維101 は、複数個のロー
ラ11a 〜11e を介して、耐炎化炉20内に導かれ、その
後、耐炎化炉20の長手方向の両側に配設された複数個の
折り返しローラ12a 〜12c 、13a 〜13c により、複数回
(この例では、5回)、耐炎化炉20内に通糸され、耐炎
化処理を施された後、ローラ14a,14b を介して巻取部15
に、耐炎化繊維102 として引き取られる。
【0015】折り返しローラ12a 〜12c 、13a 〜13c は
ともに、図4の斜視図に示すように、前駆体繊維101 を
折り返すための複数個の溝40を軸方向に並設した従動ロ
ーラとなっており、複数本の前駆体繊維101 を炉20内に
折り返し通糸することによって、大量の前駆体繊維101
を一度に耐炎化処理できるように構成されている。
【0016】図1に示すように、耐炎化炉20は、底面部
(図面の下側)に、酸化性気体を炉内に導入するための
2個の給気管21が連設され、上面部 (図面の上側) に、
前記酸化性気体を炉外に排出するための排気管22が連設
された中空体として形成されている。各給気管21にはヒ
ータ27が設けられており、給気管21を通る酸化性気体を
所要温度に加熱するように構成されている。
【0017】耐炎化炉20の長手方向の両側面部には、前
記折り返しローラ12a 〜12c 、13a〜13c によって複数
段に折り返された前駆体繊維101 の炉20内への導入を許
容する複数個の導入孔23と、炉20外への導出を許容する
複数個の導出孔24とが、互いに対向した状態で形成され
ており、各導入孔23および導出孔24をそれぞれ囲むよう
に、圧力シール室25,25 が、その両側面に取り付けられ
ている。
【0018】圧力シール室25は、炉内に導入された酸化
性気体と熱媒粒子30が、導入孔23や導出孔24から外部に
漏洩しないように各孔をシールするもので、加圧気体の
注入管26を備えた構成となっている。つまり、加圧気体
を圧力シール室25内に供給することで、圧力シール室25
内の雰囲気圧を、炉20内の雰囲気圧よりも若干高めに設
定し、酸化性気体と熱媒粒子30の外部漏洩を防ぐもので
ある。
【0019】なお、このシール機構としては、他のシー
ル機構を用いてもよく、例えば、炉20内へ向かって気体
流を生じさせるエジェクターであってもよいし、場合に
よってはシールせずに、各孔23,24 から流出した熱媒粒
子30を溜めてスクリューフィーダなどの返送手段で自動
的に炉20内に戻すような機構とすることも可能である。
【0020】耐炎化炉20の内部は、多孔性の分散板28に
よって、上下2室に分割されており、分散板28の下方が
ガス分散室29、上方が熱媒粒子30を充填した熱媒層4
(流動層4)となっている。
【0021】ガス分散室29は、炉20の底面部に連設され
ている給気管21と連通しており、給気管21から導入され
た高温の酸化性気体を均一に分散させる室である。
【0022】流動層4は、固体の熱媒粒子30を気体で流
動化した状態で加熱処理する手段であって、分散板28を
通過した酸化性気体で流動化され、かつ、所定温度つま
り200 ℃以上550 ℃以下、好ましくは240 ℃以上350 ℃
以下に加熱された状態をいう。また、酸化性気体は、空
気の他、含硫黄気体など、前駆体繊維101 に対して加熱
時に広義の酸化反応を生じる気体をいう。
【0023】熱媒粒子30としては、前記流動層4の加熱
温度に耐え得る耐熱性を有する、例えば、主成分として
炭素、アルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、シリカなど
が単独あるいは共存して構成されるセラミックやガラス
などの無機物粒子を用いることができる。
【0024】更に、当該熱媒粒子の内、炭素を主成分と
する粒子( 炭素粒子) であることが好ましい。前記炭素
粒子としては、カーボンブラック、サーマルブラック、
炭素中空球、活性炭粉末、球状活性炭、グラッシーカー
ボン粉末、メソフェーズピッチビース、天然黒鉛粉末等
に代表され、その組成上50%以上、好ましくは90%以上
の炭素成分からなる炭素粒子が良い。上記熱媒粒子は、
その組成中に炭化工程で炭素と反応する金属成分、例え
ばFe、Ca、Mg、Mn、Cu、Zn、Cr、Ni等
が少ない程好ましい。炭素を主成分とする熱媒粒子の場
合、その熱媒粒子が繊維に付着してたとえ炭化工程に持
ち込まれたとしても、粒子中に含まれる金属成分は該粒
子の炭素と反応するだけであるから、本質的に炭素繊維
の物性を低下させることがない。また、該粒子が耐炎化
時に当該繊維の単糸間中へ侵入することによって単糸間
融着を防止できるので、粒径の細かい方の限定は特にな
い。
【0025】また、粒径としては、JIS Z 8801、に定め
られた標準ふるいを用い、JIS Z 8815、によるふるい分
け試験方式で、重量の80%以上が10メッシュ (タイラー
式)以下、好ましくは28メッシュ以下の小径の粒子が良
い。粒径がこれ以上大き過ぎると、流動化に必要な気体
流量を多量に要し、粒子が前駆体繊維101 へ衝突する際
の運動エネルギーが大きくなるため毛羽等の物理的損傷
を生じ易い。逆に粒径が小さいと、流動化に必要な気体
流量も減少するし、前駆体繊維101 への損傷も低減でき
る。熱媒粒子の形状としては、特に限定しないがシャー
プエッジの無い球形状に近い粒子の方が前駆体繊維101
への物理的損傷が少ないため好ましい。
【0026】以上のような構成の流動層4に対して、折
り返しローラ12a 〜12c 、13a 〜13c により、複数段に
折り返されて通糸される前駆体繊維101 の2つの糸道間
に形成される間隙に、図5の(a)に示すように、断面
形状が波形状である多孔体31、31が取り付けられてい
る。この取りつけ数量は特に限定しないが、全ての段間
(間隙)に取りつけてもよい。
【0027】多孔体31を複数段にわたって取り付ける場
合、ある多孔体31をその波形状の山・谷が耐炎化炉の長
手方向に対して直角になるように配設したとき、前記多
孔体31の上下の多孔体31をその波形状の山・谷が耐炎化
炉の長手方向と平行になるように配設した方が、酸化性
気体の運動エネルギの方向がより多方向に変わるので好
ましい。
【0028】多孔体31の構成は、図5の(a)に示した
ものに限らず、例えば、図5の(b)に示すように波形
状多孔体だけで構成してもよい。しかし、気泡分割や多
孔体の強度向上の点で、図5の(a)のように波形状多
孔体の両面に平板状の多孔体を取り付けたり、図5の
(c)に示すように波形状多孔体の片面に平板状の多孔
体を取り付ける方が好ましい。また、図5(d)のよう
な立体型多孔体にすることにより、流動層の下から上昇
してきた気泡が、波形状多孔体を2回、平板状多孔体を
3回通過することになる。このため、酸化性気体の気泡
は短区間で波形状多孔体により、そのベクトル方向がほ
ぼ連続して分割されることになり、図5の(c)に示し
た単体構造のものより一層気泡を微小化することができ
る。
【0029】上述したような波形状多孔体に平板状の多
孔体を取り付けた立体型多孔体において、断面形状が波
形状である多孔体の目開き0.5 〜1.9 mm(32 〜10メッ
シュ) に対し、平板状の多孔体の目開きを同一としても
よいし、また、10メッシュ前後の広い目開きとしてもよ
い。また、波角度θは15〜120 度で、波高さhが5〜10
0 mmの範囲が好ましいが、経済面からθ=30〜90度、
h=20〜60mmがより好ましい。
【0030】上記多孔体31は、流動層4内で発生した酸
化性気体の運動エネルギの方向を変えるとともに、気泡
を分割して、その成長を阻害するためのもので、気泡を
分割させる適当な目開きを有し、かつ、熱媒粒子30が通
過する多孔体、例えば、ステンレス金網や、多孔板など
で構成される。
【0031】次に示す“表1 ”は、0.3 mmの熱媒粒子
を用いた場合における、図5の(a),(b),(c)
に示した各多孔体の波角度θ、波高さh、各多孔体のメ
ッシュを示したものである。なお、表中の上段の数字は
適正な範囲、下段の括弧内の数字は適用可能な範囲を示
している。
【0032】
【表1】
【0033】多孔体31の取り付け位置としては、上方に
位置する前駆体繊維101 との間隙高さをHとすると、10
mm≦H≦30mmの範囲に取りつけるのが好ましい。H
が10mm以上になると、多孔体31と前駆体繊維101 とが
接触するおそれがないから、前駆体繊維101 に損傷を与
えない。一方、Hが30mm以下になると、多孔体31で分
割された気泡が前駆体繊維101 に到達するまでに、再び
合体せずに細粒化したままであるから、前駆体繊維101
に毛羽等の損傷を与えるおそれがない。
【0034】次に示す“表2”は、波形状多孔体の種々
の波角度θに対する気泡の大きさおよび熱媒粒子の流動
性の評価を示したものである。気泡の最大径をdとした
場合、気泡の大きさの評価は小さい方から順に以下のよ
うに定めてある。 ◎:d≦20mm ○:20<d≦40 △:40<d≦60 ×:60<d
【0035】
【表2】
【0036】なお、多孔体31の取り付け方法は、図2に
示すように、炉20の内壁部の水平方向に沿ってガイドレ
ール32を配置し、このガイドレール32に対して摺動可能
であるとともに、多孔体31の辺縁部分を載置するステー
33を設けて取り付けるのが好ましい例である。このよう
な取り付け方法を適用することで、多孔体31をステー33
ごとガイドレール32から引き出すことができ、定期点検
時の清掃などにおける分解・組立が容易になる。
【0037】次に、上述した耐炎化炉20の作用について
説明する。給気管21を通る酸化性気体は、ヒータ27によ
り、所要温度に加熱され、ガス分散室29内で均一に分散
された後、分散板28を通って熱媒層4内に侵入し、熱媒
層4を流動化して流動層4とする。このとき、流動層4
内に酸化性気体の気泡10が発生し、徐々に成長しながら
上昇し、流動層4の表面に向かうが、前駆体繊維101 の
折り返し段の間に取りつけられている多孔体31に衝突す
ることにより、気泡10のベクトルが変わるとともに気泡
が破裂し、均一でかつ微小な気泡となる(図6参照)。
したがって、気泡が前駆体繊維101 と衝突して破裂する
際のショックも小さいものとなり、そのショックによっ
て前駆体繊維101 に毛羽等の物理的損傷を与えることが
ない。
【0038】<実施例1>図1に示した耐炎化炉20中に
前駆体繊維101 を10糸条12mm間隔に並行に引き揃えて
給糸し、糸道間隔150 mmで数往復させ、その間緊張下
で酸化性気体として5Ncm/Sの流速の空気を給気管
21の外壁に配設したヒータ27で加熱し、流動層中を260
℃に設定して10分間耐炎化処理した。上記において、前
駆体繊維として単糸0.73デニール24000 本のPAN系繊
維を撚り数7T/mで3本合糸し、熱媒粒子30として炭
素成分99.9%の黒鉛粉末( 表3参照)を充填し、給糸さ
れた最上段の前駆体繊維101 が熱媒粒子30で埋没するよ
うにした。
【0039】
【表3】
【0040】また、耐炎化炉20中の前駆体繊維101 の各
糸道間に、断面形状が波形状を呈した目開き0.9 mm(2
0 メッシュ) で、波高さが30mmの多孔体の上下面に、
波形状多孔体と同一目開きの平板状の多孔体を取り付け
た立体構造型多孔体( 図5の(a)に示した多孔体)
を、上方に位置する前駆体繊維101 との間隙高さH=20
mmで配設し、流動層4 の表面の気泡状態を調べ。次
に、得られた耐炎化繊維を1m/分の速度で、温度1350
℃に加熱されたN2 ガス雰囲気の炭化炉で連続的に炭化
し炭素繊維とし、その炭化物性を測定した。
【0041】上記の立体構成型多孔体を各糸道間に配設
した状態における流動層4の表面の気泡は、5〜20mm
で、その跳ね上がり高さは10〜30mmで流動層全体に均
一でかつ微小な気泡が、絶えず次から次へと無数に出現
した。また、流動層中を260℃の温度に制御するため、
ガス分散室29内で空気の温度を345 ℃に制御した。ま
た、得られた耐炎化繊維を炭化した結果、炭素繊維には
毛羽、毛玉等の物理的損傷はなく高品位のものが得られ
た。この炭素繊維のストランド物性を表4の実施例1に
示す。
【0042】<実施例2>図5の(d)に示した立体構
造型多孔体で、波形状および平板とも目開きが0.9 mm
(20 メッシュ) のものを耐炎化炉20中の前駆体繊維101
の各糸道間に配設した他は、上記実施例1と同一条件
で、流動層4の表面の気泡状態を調べた結果、3〜15m
mの微小気泡が流動層全体に隙間なく均一に絶えず次か
ら次へと無数に出現した。気泡の跳ね上がり高さは25m
m以下であった。得られた耐炎化繊維を炭化した後の炭
素繊維の品位は、実施例1とほぼ同じレベルであった。
この炭素繊維のストランド物性を表4の実施例2に示
す。
【0043】<比較例>図8に示した多孔体として目開
き0.9 mm(20 メッシュ) の平板状の多孔体3枚が一体
構成になっており、多孔体間が15mm隔たっている多孔
体を耐炎化炉20中の前駆体繊維101 の各糸道間に配設し
た他は上記実施例1と同一条件で流動層4の表面の気泡
状態を調べた結果、30〜90mmの巨大気泡が粗いピッチ
で、かつ間を開けて出現した。その跳ね上がり高さは、
50〜100 mm程度で、時として200 mm近くまで跳ね上
がることもあった。
【0044】また、流動層中を260 ℃の温度に制御する
ためには、ガス分散室29内で空気の温度を実施例1より
も10℃高めの355 ℃に制御する必要があった。ガス分散
室29内の空気温度を実施例1よりも高めなければならな
い理由は、巨大気泡でかつ気泡の出現数が少ないため、
実施例1の微小気泡に比べ表面積が少なく、熱媒粒子へ
の熱の伝達が悪いためである。また、得られた耐炎化繊
維を炭化した結果、炭素繊維には毛羽の物理的損傷が長
さ数メートルに1個程度認められた。この炭素繊維のス
トランド物性を表4の比較例に示す。なお、表4中の処
理結果の記号◎,○は、処理された繊維の品位を示す記
号で、作業者がその毛羽数と毛玉数を目視で確認した場
合に、以下のように定めてある。 ◎:毛羽数が60/100個/m以下で、かつ、毛玉数
が2/100個/m以下。 ○:毛羽数が150/100個/m以下で、かつ、毛玉
数が5/100個/m以下。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の耐炎化装置によれば、流動層内に対して多段に折り返
し、通糸された前駆体繊維の各糸道間の、少なくとも1
個所に断面形状が波形状である多孔体を取り付けた構成
としているので、流動層内に発生した酸化性気体の気泡
が、気泡の上昇方向に対して傾斜した多孔体によって、
その運動エネルギの方向が多方向に変わることにより分
割され、気泡の均一化と微小化を図ることができる。し
たがって、前駆体繊維に衝突して破裂する気泡のショッ
クをより和らげることができ、前駆体繊維に対して毛羽
等の物理的損傷を与えることなく、耐炎化処理速度を速
め、耐炎化繊維の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る耐炎化装置の縦断面図である。
【図2】波形状を呈した多孔体の取り付け例を示した断
面図である。
【図3】耐炎化装置の概略構成を示した図である。
【図4】折り返しローラの斜視図である。
【図5】波形状を呈した多孔体を備えた構造体の例を示
した断面図である。
【図6】波形状を呈した多孔体による気泡の細分化の様
子を示した図である。
【図7】従来例に係る耐炎化装置の縦断面図である。
【図8】比較例に係る平板状多孔体の構造を示した断面
図である。
【符号の説明】
4…流動層 12a, 12b, 12c, 13a, 13b, 13c…折り返しローラ 20…耐炎化炉 30…熱媒粒子 31…波形状多孔体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動層加熱耐炎化炉の長手方向の両端側
    に、前駆体繊維を複数回折り返して前記耐炎化炉内を通
    糸する炉外ローラ群を配設し、前記耐炎化炉内に堆積し
    た固体熱媒粒子を、加熱した酸化性気体で流動化せしめ
    た流動層中で、前記前駆体繊維を連続的に加熱処理する
    耐炎化装置において、前記流動層内の前駆体繊維の各段
    の糸道間の少なくとも1箇所に多孔体を配設し、前記多
    孔体の断面形状が波形状であることを特徴とする耐炎化
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の耐炎化装置において、
    前記波形状を呈した多孔体の目開きが0.5 〜1.9 mm
    (32〜10メッシュ)で、波角度が15〜120 度で、波高さ
    が5〜100 mmである耐炎化装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の耐炎化装置において、
    前記波形状を呈した多孔体の目開きLと熱媒粒子dとの
    比L/dが、1.1 <L/d<6.5 である耐炎化装置。
JP35713491A 1991-12-24 1991-12-24 耐炎化装置 Pending JPH05171523A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006200065A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Toho Tenax Co Ltd 耐炎化処理炉

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JP2006200065A (ja) * 2005-01-20 2006-08-03 Toho Tenax Co Ltd 耐炎化処理炉

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