JPH05170924A - 粒子の複合化方法 - Google Patents

粒子の複合化方法

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JPH05170924A
JPH05170924A JP3357163A JP35716391A JPH05170924A JP H05170924 A JPH05170924 A JP H05170924A JP 3357163 A JP3357163 A JP 3357163A JP 35716391 A JP35716391 A JP 35716391A JP H05170924 A JPH05170924 A JP H05170924A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は比較的粒子径の大きな熱可塑性物質
粒子の表面に、該粒子よりも小さく、かつ耐熱性の優れ
た物質を固定化する粒子の複合化方法を提供する。 【構成】 本発明は平均粒子径100μm〜10mmの
熱可塑性物質の表面に、該熱可塑性物質よりも小さく、
かつ耐熱性の優れた物質を固定化する粒子複合化方法に
おいて、攪拌機構と加熱機構とを有する装置内で、まず
前記熱可塑性物質よりも小さく、かつ耐熱性の優れた物
質を攪拌しながら該熱可塑性物質の軟化温度以上に昇温
し、次に前記装置に前記熱可塑性物質を投入して、該熱
可塑性物質の表面に前記耐熱性の優れた物質を固定化す
ることを特徴とする粒子の複合化方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的粒子径の大きな
熱可塑性物質粒子の表面に、該粒子よりも小さく、かつ
耐熱性の優れた物質を固定化する粒子の複合化方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に固体粒子の固結防止、変色
変質防止、分散性の向上、流動性の改善、触媒効果の向
上、消化・吸収の制御、磁性特性の向上、耐候性の向上
等を目的として、各種の表面改質が行なわれてきた。広
い意味で、粉体粒子の表面改質方法は、(1)コーティ
ング法による改質方法、(2)粒子の表面官能基を利用
した化学的改質方法であるトポケミカルな改質方法、
(3)機械的作用によって粒子の表面に現われた活性点
を利用するメカノケミカル反応による改質方法、(4)
カプセル化による改質方法、(5)紫外線、放射線,プ
ラズマなどを利用する高エネルギー利用の改質方法、
(6)沈澱反応による改質方法とに大別することができ
る。この中で、固体粒子(以下、「母粒子」という)の
表面に、該固体粒子よりも粒子径の小さな他の固体粒子
(以下、「子粒子」という)を固定化して、機能性複合
粉体材料を得る方法としては、上記(4)のカプセル化
による改質方法の1技法であるところの、高速気流中衝
撃法(例えば特開昭62−83029)が有用な改質方
法である。この方法は、衝撃室内に、ハンマー型または
ブレード型の衝撃ピンを周設した回転盤を配置すると共
に、該衝撃ピンの最外周軌道面に沿い、かつそれに対し
て一定の空間を置いて衝突リングを配置し、前記衝撃ピ
ンの回転によって発生した気流を、前記衝突リングの一
部から前記回転盤の中心部付近に開口する循環回路を介
して前記衝撃室に誘導・循環させ、該気流と共に前記母
粒子と前記子粒子とから構成される粉体粒子群の全量
を、繰り返し前記衝撃室と前記循環回路とを通過させ、
前記衝撃ピンによる機械的打撃、及び前記衝突リングへ
の衝突による衝撃式打撃作用により、前記母粒子の表面
に前記子粒子を付着させながら、または付着させた後、
該子粒子を埋設または固着させることによって固体粒子
の表面改質を行なう方法である。この方法により、子粒
子は母粒子の全表面に均一にしかも強固に固定化され、
安定した特性を有する機能性複合粉体材料を、極めて短
時間(数十秒から数分間)で、効率よく生産することが
できる方法である。上記の固体粒子の表面改質の場合、
すなわち母粒子の表面に子粒子を埋没または固着させる
場合は、母粒子よりも子粒子の方が硬度が大きい場合で
ある。一方、母粒子の硬度の方が大きく、子粒子のガラ
ス転移温度が100℃前後と低い場合は、該子粒子は上
記衝撃室内で上記衝撃式打撃作用を受けることによって
母粒子の表面に強固に固着され、さらに継続して衝撃式
打撃作用による(熱)エネルギーを受けることにより、
該子粒子は該衝撃式打撃作用を受けた瞬時のみ軟化・溶
融して、一個の母粒子の表面に固着された隣合う該粒子
の全部あるいは一部が互いに融着して、該母粒子の表面
に膜状に固定化される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記高速気流
中衝撃法は、上述した通り、高速で回転する回転盤に周
設された衝撃ピンによる衝撃力を主として利用する改質
方法であるため、おのずと上記方法が利用できる粉体粒
子は限られてしまう。すなわち、粉体粒子の物性によっ
ても異なるが、一般的に前記改質方法が利用できる母粒
子の平均粒子径は、0.1〜100μmである。これ以
上大きな粒子の場合は、前記衝撃力により粉砕されてし
まう可能性が大きいからである。粉砕を抑えるために
は、回転盤の周速度を低くすればよいのであるが、低く
すると衝撃力が弱くなるばかりか、該回転盤の回転によ
って発生する気流量が減り、すなわち気流速度が遅くな
るため、該気流に同伴する粉体粒子の単位時間当りの衝
撃回数が減るので、改質に要する時間が長くなり、機能
性複合粉体材料を効率よく生産することはできなくな
る。本発明は、このような問題点に鑑み、比較的粒子径
の大きな熱可塑性物質粒子の表面に、該粒子よりも小さ
く、かつ耐熱性の優れた物質を固定化する粒子の複合化
方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的に添い、本発明
は、平均粒子径100μm〜10mmの熱可塑性物質
(母粒子)の表面に、該熱可塑性物質よりも小さく、か
つ耐熱性の優れた物質(子粒子)を固定化する粒子複合
化方法において、攪拌機構と加熱機構とを有する装置内
で、まず上記子粒子を攪拌しながら上記母粒子の軟化温
度以上に昇温し、次に上記装置に上記母粒子を投入して
攪拌し、該母粒子の表面に母粒子の軟化温度以上の温度
に達した前記子粒子を固定化する粒子の複合化方法によ
って、前記課題を解消した。この方法により、すなわち
母粒子と該母粒子の軟化温度以上に加熱された子粒子と
を強制的に攪拌して両者を接触させることにより、該母
粒子は該子粒子と接触したときのみ、しかもその表面部
位のみが軟化・溶融して、該子粒子は、該母粒子の表面
に少なくともその一部が露出した状態で、該母粒子の内
部に打ち込まれたように固定化される。このようにし
て、母粒子は粒子そのものの形状を変えることなく、子
粒子も粉砕したり、変形したりすることなく、熱可塑性
物質の見かけ上の耐熱性を向上させた複合粒子を調製す
ることができる。
【0005】本発明の方法の実施に使用できる装置は、
上述した通り攪拌機構と加熱機構とを有する装置であれ
ばよいので、該機構を有する伝導伝熱型の溝型攪拌乾燥
機、高速攪拌型混合造粒機、転動造粒機、混練機、ボー
ルミル、乳化機等の各種装置を使用することができる。
複合粒子の母粒子としては、ABS、AS、MBS、塩
化ビニル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リスチレン、ポリカーボネート、アクリル等の一般に上
市されている各種熱可塑性樹脂ペレット、またはビーズ
を使用することができる。上記母粒子の平均粒子径は、
100μm〜10mmであることが好ましい。100μ
m以下であると分散性が悪くなるので、個々の母粒子の
表面に子粒子を均一に固定化することは難しいからであ
る。一方、子粒子としては、上記母粒子よりも軟化温度
が高ければよく、特に耐熱性・耐摩耗性に優れたシリカ
粒子(ガラスビーズ等)、アルミナ粒子、ジルコニア粒
子等の無機物質の粒子、及び各種金属粒子が適してい
る。上記子粒子の平均粒子径としては、母粒子よりも小
さく、該母粒子の1/10程度以下(すなわち、平均粒
子径、1μm〜1mm程度)であることが好ましい。
【0006】上記子粒子が上記母粒子である熱可塑性物
質よりも耐熱性に加えて強度の点でも優れた物質であれ
ば、該熱可塑性物質の見かけ上の耐熱性を向上させると
共に、強度も向上させた複合粒子を調製することができ
る。また、上記子粒子が上記母粒子である熱可塑性物質
よりも耐熱性に加えて滑り性においても優れた物質であ
れば、該熱可塑性物質の見かけ上の耐熱性を向上させる
と共に、滑り性も向上させた複合粒子を調製することが
できる。上記何れの場合においても、上記子粒子は、上
記母粒子の表面に少なくともその一部が露出した状態で
固定化されるので、調製された複合粒子は、その表面に
凹凸を有している。なお、上記本発明の粒子の複合化方
法には、連続的に行なう方法と回分的に行なう方法とが
あるが、母粒子及び子粒子の物性に応じてどちらでも使
用が可能である。
【0007】
【実施例】図1は、本発明を実施するために使用する攪
拌機構と加熱機構とを有する装置の一例であるところの
ジャケット付の伝導伝熱型の溝型攪拌乾燥機を、その前
後処理装置と共に系統的に示した説明図である。同図に
基づいて、本発明を連続的に実施する方法について詳細
に説明する。ケーシング1は比較的横に長い容器であっ
て支持台2,2′によって支えされており、該ケーシン
グ1の底面及び側面の全面にわたって熱交換用のジャケ
ット3が設けてある。4,5は各々ジャケット3への熱
交換媒体の入口及び出口である。ケーシング1の内部に
は、2本の中空軸6が並列に貫通し、ケーシング1の前
部に設けた軸受7、及び後部の軸受8によって回転する
ように軸支されている。そして各軸の前部にはギヤー9
を設けて、互いに噛み合わせ、互いに逆方向に回転する
ようにしてあり、前記中空軸の一本にはスプロケット1
0を設けて、チェーン(以下、図示省略)を噛合し、モ
ーターに連結してある。そして各軸の前端は、ロータリ
ージョイント11を介して熱交換媒体供給管12に、ま
た後端はロータリージョイント13を介して熱交換媒体
排出管14を連結されている。各中空軸6には、多数の
熱交換器を一定の間隔をもって配置してある。この熱交
換器は、例えば楔型の中空回転体15である。前記中空
回転体15の後端部には、粉体粒子層をかき揚げるため
のかき揚げ板16を取り付けてある。ケーシング1の上
部には、カバー17が設けてあり、該カバー17の前端
部及び中間部には原料(子粒子)の投入口18、及び原
料(母粒子)の投入口19を設けてあり、各々ロータリ
ーバルブ20,21を介して子粒子の定量供給装置2
2、及び母粒子の定量供給装置23に連結されている。
また、ケーシング1の末端部には、複合処理品の排出口
24が設けられており、該排出口24には、ロータリー
バルブ25を介して振動篩等の分離器26が連結されて
いる。この分離器26には子粒子の最大粒子径より大き
く、かつ母粒子の最小粒子径よりも小さな目開きの網2
7が張られている。前記分離器26において、28は複
合化処理された製品の排出口、29は母粒子に固定化さ
れずに余った子粒子の排出口である。余剰子粒子は、再
び原料(子粒子)の投入口18より投入され、再利用さ
れる。
【0008】次に、この装置を用いて、粒子の複合化方
法を説明する。まず、2本の中空軸6をモーターにより
スプロケット10を介して一定の回転数で回転させる。
次に熱交換媒体入口4からジャケット3に所定の温度に
加熱した温水、スチーム、熱媒油等の熱交換媒体を供給
し、ジャケット3を一定の温度に加熱すると同時に、熱
交換媒体供給管12、ロータリージョイント11を介し
て中空軸6にも熱交換媒体を供給する。熱交換媒体がス
チームの場合、ジャケット3を加熱した後、該スチーム
は凝縮液となって熱交換媒体出口5から排出される。他
方、中空軸6に供給されたスチームは、中空軸6及び中
空回転体15を一定の温度に加熱した後、恐縮液となっ
てロータリージョイント13、熱交換媒体排出口14を
通して排出される。ジャケット3及び中空回転体15の
温度が一定になった後、子粒子を原料投入口18からケ
ーシング1内に連続的に供給する。ケーシング1内に供
給された子粒子は、中空回転体15の回転により、ケー
シング1と平行な方向の推力を受けて或程度の充満度を
保ちながら、次第にケーシング1内を排出口24側へと
移動していく。この過程において、子粒子は、中空回転
体15の回転に伴って攪拌されるので、中空軸6、該中
空回転体15及びジャケット3からの伝導伝熱により、
均一に一定温度に昇温されていく。当然のことながら、
前記子粒子は、ケーシング1内のほぼ中央部、すなわち
母粒子の投入口19の下部に到着するまでに該母粒子の
軟化温度以上の所定の温度に昇温されるように中空回転
体15の伝熱面積、回転数及び熱交換媒体の温度等を調
整する。
【0009】初期に投入された子粒子が排出口24に達
すると、次第に子粒子層の粉面高さが上がってくる。し
かし、該粉面高さは排出口24の直上に設けられた堰板
(図示省略)の上端まで達すると、連続的に供給された
子粒子の量と該堰板の上端からオーバーフローして排出
される子粒子の量とが丁度等しくなってバランスし、該
粉面高さはそれ以上高くなることはなく、一定の高さに
保たれた状態になる。前記子粒子層の粉面高さが前記オ
ーバーフロー堰板の上端部に達し、ほぼ中空回転体15
及びジャケット3の上部まで上昇したところで、母粒子
を原料投入口19からケーシング1内に連続的に供給す
る。ここで、予め子粒子を中空回転体15及びジャケッ
ト3の上部まで入れておくのは、耐熱温度の低い母粒子
が、中空軸6、中空回転体15及びジャケット3に直接
接触して、該中空回転体15及び該ジャケット3等に付
着したり、軟化した母粒子同士が融着によってブロック
化するのを防止するためである。ケーシング1内に供給
された母粒子は、中空回転体15の回転により攪拌さ
れ、子粒子と均一に混合される。子粒子は予め母粒子の
軟化温度以上に昇温されているので、子粒子は接触した
母粒子の表面部位のみを軟化・溶融させながら、該母粒
子の内部に打ち込まれたように固定化される。ここで、
上記子粒子は、上記母粒子の表面に少なくともその一部
が露出した状態で、該母粒子の内部に打ち込まれたよう
に固定化されることが好ましい。上記子粒子の露出割合
は、熱交換媒体の温度、粉体粒子の滞留時間(投入され
た粉体粒子が排出されるまでの時間)とによって、制御
することができる。しかし、母粒子は軟化・溶融及び強
制的な攪拌によって、粒子そのものの形状を変えること
なく、子粒子も強制的な攪拌によって粉砕したり、変形
したりしないように、中空軸6の回転数,熱交換媒体の
温度及び滞留時間等の条件を設定する必要がある。同様
の操作が繰り返された後、複合化処理された粉体粒子は
排出口24から排出され、分離器26により製品(複合
粒子)と、母粒子に固定化されなかった余剰子粒子とに
分離され、各々排出口28,29から排出される。ここ
で、複合化処理された粉体粒子が分離器26に排出され
る前に、該分離器26を作動させておくことが好まし
い。なお、前記余剰子粒子は、スピンダー等の輸送機に
より、子粒子の定量供給装置22に戻して、再度利用す
ることができる。
【0010】図2は、本発明を実施するために使用する
一般的な高速攪拌型混合造粒機を、その後処理装置と共
に系統的に示した説明図である。同図に基づいて、本発
明を回分的に実施する方法について詳細に説明する。上
記造粒機は、ベースボックス31と容器32とからな
り、該ベースボックス31内にはモーター(図示省略)
が配置されている。容器32内には、駆動軸33に取り
付けられた主攪拌羽根34と、該主攪拌羽根34の軸方
向に対して垂直な方向に突出した補助羽根35とが配設
され、該補助羽根35は、駆動軸36を介してモーター
37によって駆動するようになっている。容器32の側
面には排出装置38が付設され、該排出装置38は、排
出口39、これに嵌合する排出弁40、排出ロッド4
1、排出シュート42及び排出用エアーシリンダー43
とから構成されている。前記排出シュート42の下部に
は、本発明を連続的に実施する場合(図1)と同様に、
分離機44が連接されている。図1と同様に、前記分離
器44において、45は網、46は製品(複合粒子)の
排出口、47は余剰子粒子の排出口である。容器32の
上面には、ヒンジ48によって開閉自在の上蓋49が配
設されており、該上蓋49は、締付金具50によって容
器32の上面に密接する構造になっている。また、容器
32の底面及び側面はジャケット51構造となってお
り、熱交換媒体供給口及び排出口(共に図示省略)を介
して、該ジャケット51内部に熱交換媒体を連続的に供
給することができる。
【0011】次に、この装置を用いて、粒子の複合化方
法を説明する。まず、熱交換媒体供給口を介して、ジャ
ケット51内に所定の温度に加熱した熱交換媒体を一定
流量で供給する。熱交換媒体がスチームの場合、ジャケ
ット51を加熱した後、該スチームは凝縮液となって排
出口から排出される。該ジャケット51の温度が一定に
なった後、上蓋49を開け、計量した子粒子を容器32
内に投入する。主攪拌羽根34及び補助羽根35を所定
の回転数で回転させると、子粒子は主攪拌羽根34の回
転に伴って容器32の中で水平方向に激しく回転運動を
すると同時に、遠心力を受けて容器32の外周壁に到着
し、該容器32の上部収縮部による反転作用を受けて素
早く主攪拌羽根33の中心部付近に戻る。このように子
粒子は容器32内でいわゆる縄ない運動による対流作用
と、補助羽根35による局所的な高速剪断混合作用との
複合作用を受けながら、ジャケット51からの伝導伝熱
により短時間で均一に所定温度まで昇温される。容器3
2内に挿入されている機内温度計(図示省略)により、
容器32内の子粒子層が所定の温度に達したら、一旦主
攪拌羽根34及び補助羽根35の回転を停止する。次
に、上蓋49を開け、計量した母粒子を容器32内に投
入した後、再び該上蓋49を閉じ、再度主攪拌羽根34
及び補助羽根35を所定の回転数で回転させる。両粒子
は前述の複合作用を受け、極めて短時間に精密に混合さ
れる。このとき、子粒子は予め母粒子の軟化温度以上に
昇温されているので、子粒子は接触した母粒子の表面部
位のみを軟化・溶融させ、該子粒子は、該母粒子の内部
に打ち込まれたように固定される。ここで、前記本発明
を連続的に実施する場合について説明したと同様に、上
記子粒子は、上記母粒子の表面に少なくともその一部が
露出した状態で、該母粒子の内部に打ち込まれたように
固定化されることが好ましい。上記子粒子の露出割合
は、熱交換媒体の温度、主攪拌羽根34及び/または補
助羽根35の回転数、処理時間とによって、制御するこ
とができる。また、母粒子が容器32の内壁に付着する
のを防止するために、母粒子を容器32内に投入した後
は、ジャケット51に熱交換媒体を供給しない等の運転
方法を行なってもよい。しかし、母粒子は軟化・溶融及
び両羽根の複合作用によって、粒子そのものの形状を変
えることなく、子粒子も上記複合作用によって粉砕した
り、変形したりしないように、主攪拌羽根・補助羽根の
回転数,熱交換媒体の温度及び処理時間等の条件を設定
する必要がある。一定時間、同様の操作が繰り返された
後、排出弁40を排出用エアーシリンダー43の作用に
より排出ロッド41を介して図2中左方(点線の位置)
へ移動させて排出口39を開口すれば、複合化処理され
た粉体粒子は排出シュート42を通ってすばやく分離器
44に排出され、該分離器44により、製品と、母粒子
に固定化されなかった余剰子粒子とに分離され、各々排
出口46,47から排出される。なお、前記余剰子粒子
は、次回以降の改質処理に再度利用することができるこ
とは、前記連続的処理の場合と同様である。
【0012】次に本発明の粒子複合化方法の実施例を、
具体的な例により説明する。 1) 母粒子に円柱状の塩化ビニルペレット(φ4mm
×4mm)、子粒子に球形のガラスビーズ(平均粒子径
50μm)を用いて連続的に複合化処理を行なった。使
用した伝導伝熱型の溝型攪拌乾燥機は、有効容積77リ
ットルのバドルドライヤー(NPD−1.6W:(株)
奈良機械製作所製)である。まず、バドルドライヤーの
ジャケット及び中空軸に4kg/cm2 (G)のスチー
ムを導入し、供給装置から500kg/Hrでガラスビ
ーズをバドルドライヤー内に供給し、攪拌しながら予め
ガラスビーズを昇温した。ガラスビーズが充分昇温(品
温100℃)されていることを機内温度計で確認した
後、塩化ビニルペレットを300kg/Hrで供給し、
さらに加熱・攪拌を行なった。約10minの滞留時間
後、複合化処理された粉体粒子は、排出口よりオーバー
フローし、分離器に排出され、そこで塩化ビニルペレッ
トの表面にガラスビーズが固定化された複合粒子と、固
定化されずに余ったガラスビーズとに分離排出された。 2) 母粒子に球形の発泡性アクリル樹脂ビーズ(1〜
2mm)、子粒子に球形のガラスビーズ(平均粒子径5
0μm)を用いて回分的に複合化処理を行なった。使用
した高速攪拌型混合造粒機は、全容積10リットル、有
効容積6リットルのラボラトリーマトリックス(LMA
−10:(株)奈良機械製作所製)である。まず、ラボ
ラトリーマトリックスのジャケットに3kg/cm
2 (G)のスチームを供給し、次に上蓋を開けて容器内
にガラスビーズ4kgを投入し、主攪拌羽根を150r
pm、補助羽根を1500rpmで回転させ、攪拌しな
がら前記ガラスビーズを昇温した。ガラスビーズが充分
昇温(品温90℃)されていることを機内温度計で確認
した後、一旦主攪拌羽根及び補助羽根の回転を停止し、
アクリル樹脂ビーズ5kgを投入し、再び主攪拌羽根及
び補助羽根の回転させて、アクリル樹脂ビーズとガラス
ビーズとを充分攪拌して、複合化処理を行なった。5分
間経過後、排出弁を移動させて排出口を開けると、複合
化処理された粉体粒子は、短期間で排出され、分離器で
アクリル樹脂ビーズの表面にガラスビーズが固定化され
た複合粒子と、固定化されずに余ったガラスビーズとに
分離排出された。
【0013】〔複合粒子の評価〕前記具体的な例の1)
で得られた複合粒子の粒子構造の走査形電子顕微鏡(以
下、「SEM」という)写真を図3〜図5に示した。図
3及び図4から、ガラスビーズは円柱状の塩化ビニルペ
レットの底面及び側面にも均一に隙間なく、固定化され
ていることがわかる。また、図5から、塩化ビニルペレ
ットの表面に固定化された個々のガラスビーズは、ほぼ
半分位まで、塩化ビニルペレットの内部に埋設されてい
ることがわかる。さらに、いずれの写真からも、ガラス
ビーズは粉砕されることなく、塩化ビニルペレットに固
定化されていることがわかる。また、塩化ビニルペレッ
トも、それ自身の形状を変えていないことがわかる。ま
た、前記具体的な例の2)で得られた複合粒子の粒子構
造のSEM写真を図6に示した。発泡性アクリル樹脂ビ
ーズは、加熱されたガラスビーズと接触することにより
発泡するが、冷えると収縮するので、同図から、1)の
場合と同様に、該ガラスビーズは該樹脂ビーズの表面に
均一に隙間なく固定化されていることがわかる。また、
1)の場合と同様に、ガラスビーズは粉砕されることな
く、発泡性アクリル樹脂ビーズに固定化されていること
がわかる。また、発泡性アクリル樹脂ビーズも、それ自
身の形状を変えていないことがわかる。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、攪拌機構と
加熱機構とを有する装置内で、まず熱可塑性物質(母粒
子)よりも小さく、かつ耐熱性の優れた物質(子粒子)
を攪拌しながら該熱可塑性物質の軟化温度以上に昇温
し、次に上記装置に該熱可塑性物質を投入して攪拌する
ことによって、比較的粒子径の大きな上記熱可塑性物質
の表面に、上記粒子よりも小さく、かつ耐熱性の優れた
物質を固定化することができた。上記方法によって、熱
可塑性物質の見かけ上の耐熱性を向上させた複合粒子を
調製することができた。熱可塑性物質より、強度の点で
も優れた物質を子粒子とすることによって、該熱可塑性
物質の見かけ上の耐熱性を向上させると共に、硬度も向
上させた複合粒子を調製することができた。熱可塑性物
質より、滑り性においても優れた物質を子粒子とするこ
とによって、該熱可塑性物質の見かけ上の耐熱性を向上
させると共に、滑り性を向上させた複合粒子を調製する
ことができた。表面に凹凸を有する複合粒子を調製する
ことができた。熱可塑性物質は粒子そのものの形状を変
えることなく、各種子粒子も粉砕したり、変形したりす
ることなく、複合粒子を調製することができた。また、
上記熱可塑性物質粒子が着色樹脂ペレットの場合、本発
明の方法により、該ペレットの表面に反射剤であるガラ
スビーズを固定化した複合粒子を用いて、再帰反射性塗
料を調製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を連続的に実施するために使用す
る装置の一例であるところの伝導伝熱型の溝型攪拌乾燥
機の側面図を、その前後処理装置と共に系統的に示した
説明図である。
【図2】本発明の方法を回分的に実施するために使用す
る装置の一例であるところの高速攪拌型混合造粒機の側
断面図を、その後処理装置と共に系統的に示した説明図
である。
【図3】本発明の実施例で得られた複合粒子の走査形電
子顕微鏡による粒子構造の写真である。
【図4】図3に示す複合粒子側面の走査形電子顕微鏡に
よる粒子構造の写真である。
【図5】図4を拡大した走査形電子顕微鏡による粒子構
造の写真である。
【図6】本発明の他の実施例で得られた複合粒子の走査
形電子顕微鏡による粒子構造の写真である。
【符号の説明】
1 ケーシング 2,2′ 支持台 3 ジャケット 4 熱交換媒体の入口 5 熱交換媒体の出口 6 中空軸 7 前部の軸受 8 後部の軸受 9 ギヤー 10 スプロケット 11 前端のロータリージョイント 12 熱交換媒体供給管 13 後端のロータリージョイント 14 熱交換媒体排出管 15 中空回転体 16 かき揚げ板 17 カバー 18 原料(子粒子)の投入口 19 原料(母粒子)の投入口 20 ロータリーバルブ 21 ロータリーバルブ 22 子粒子の定量供給装置 23 母粒子の定量供給装置 24 排出口 25 ロータリーバルブ 26 分離器 27 網 28 製品の排出口 29 余り子粒子の排出口 31 ベースボックス 32 容器 33 (主攪拌羽根の)駆動軸 34 主攪拌羽根 35 補助羽根 36 (補助羽根の)駆動軸 37 モーター 38 排出装置 39 排出口 40 排出弁 41 排出ロッド 42 排出シュート 43 排出用エアーシリンダー 44 分離器 45 網 46 製品の排出口 47 余り子粒子の排出口 48 ヒンジ 49 上蓋 50 締付金具 51 ジャケット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径100μm〜10mmの熱可
    塑性物質の表面に、該熱可塑性物質よりも小さく、かつ
    耐熱性の優れた物質を固定化する粒子複合化方法におい
    て、攪拌機構と加熱機構とを有する装置内で、まず前記
    熱可塑性物質よりも小さく、かつ耐熱性の優れた物質を
    攪拌しながら該熱可塑性物質の軟化温度以上に昇温し、
    次に前記装置に前記熱可塑性物質を投入して、該熱可塑
    性物質の表面に前記耐熱性の優れた物質を固定化するこ
    とを特徴とする粒子の複合化方法。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性物質よりも小さく、かつ耐
    熱性の優れた物質が、該熱可塑性物質より強度において
    優れた物質であることを特徴とする請求項1記載の粒子
    の複合化方法。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性物質よりも小さく、かつ耐
    熱性の優れた物質が、該熱可塑性物質より滑り性におい
    ても優れた物質であることを特徴とする請求項1記載の
    粒子の複合化方法。
  4. 【請求項4】 複合化された粒子が、その表面に凹凸を
    有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    に記載の粒子の複合化方法。
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