JPH05168790A - ドラム式洗濯機およびその布量検知方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドラム式洗濯機の洗濯時間を短縮するため、
精度のよい布量検知方法を得る。 【構成】 水切り孔が設けられた回転ドラムの円周面に
給水が掛らない位置に給水口を設け、所定時間給水後に
得る第１水位情報と、さらに所定時間給水した後に得る
第２水位情報とから水道の水圧を推定し、さらに所定時
間給水した後に得る第３水位情報から布の吸水量を推定
して布量を検知する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ドラム式洗濯機の布量
検知方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ドラム式洗濯機は、全自動化が進
み、布を投入すると、洗濯機が自動的に布量を判定し、
洗浄時間、脱水時間などを決定する洗濯の効率化が行わ
れている。

【０００３】この種の従来のドラム式洗濯機について図
６ないし図９により、説明する。

【０００４】図６および図７は、従来のドラム式洗濯機
の断面図およびその要部正面断面図、図８(a),(b)はそ
の洗濯開始時の水位の変化と水位センサの出力の関係
図、図９は洗濯槽内の水位の変化を示す時系列状態図で
ある。

【０００５】図６において、従来のドラム式洗濯機は、
前面開口部に開閉自在の扉１aを設けた本体１と、上記
の扉１aの内側に配置された円筒状の洗濯槽２の中に回
転自在に装着された、図７に示すように円筒面に無数の
水切り孔３aが形成された回転ドラム３と、上記の回転
ドラム３をベルト駆動する電動機４と、上記の洗濯槽２
の円筒面の上部側方に給水口５aを開口した給水管５の
上部に設けた給水弁６と、洗濯槽２の最底部に開口する
連通管に装着された、給水水圧を空気圧に変換するエア
トラップ７と、その空気圧の変化を電気信号に変換する
水圧センサ８と、洗濯工程を制御する制御回路９とから
構成されている。

【０００６】以上のように構成されたドラム式洗濯機の
動作を説明する。

【０００７】まず、扉１aを開けて、図７に示すよう
に、洗濯する布10を入れてから、洗濯を開始すると、制
御回路９は、給水弁６を開け、給水口５aから洗濯槽２
に給水する。水圧センサ８は、洗濯槽２内の水量を、水
圧として検知し所定量が給水されると制御回路９に信号
を送り給水弁６を閉じ、給水を停止させる。

【０００８】図８に示すように、洗濯が進むと、布10の
給水により水位が低下し、水位センサ８は、これを検知
し、制御回路９に信号を送り、給水弁６を開かせて再給
水を開始する。

【０００９】このとき制御回路９は、図９に示すよう
に、吸水回数(１〜３，１'〜４')、あるいは給水と給水
の時間間隔(ｔ₁〜ｔ₇)などを情報として布量を判定し、
洗濯時間を決定していた。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
構成では、布10が給水を終るまでの時間が長くなる場合
があり、布量の判定後の洗濯時間の設定に時間がかか
り、従って全体の洗濯時間が長くなるという問題があっ
た。

【００１１】また、布10の種類による吸水量のばらつ
き、および給水量、水温などばらつきのため、布量判定
の信頼性が低いという問題もあった。

【００１２】さらに、給水口５aが洗濯槽12の円筒面に
開口しているため、給水口５aから供給される水が水切
り孔３aから回転ドラム３に侵入し、布10に吸収される
ため、所定の水位に達するまでの時間がばらついて正確
な布量判定ができないという問題もあった。

【００１３】本発明は上記の問題を解決するもので、布
量判定に要する時間が短く、しかも精度が高い簡単な構
成のドラム式洗濯機の布量検知方法を提供するものであ
る。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、給水の開始後、所定時間経過した時点の
第１水位情報と、さらに所定時間経過した時点の第２水
位情報から水道の水圧を推定し、さらに所定時間経過し
た時点の第３水位情報から布量を判定するものである。
さらに、布量判定の精度を向上するため、給水孔を洗濯
槽の後端面に配置するものである。

【００１５】

【作用】上記の構成により、水が回転ドラム３の底面に
達するまでの第１および第２水位情報により、水道の水
圧が推定できるので、後の時間制御の基礎データが得ら
れる。

【００１６】上記の基礎データにより洗濯槽２に一定の
水量が溜まる給水時間が設定でき、その後の布10がない
ときの水位の差が、布量に比例するので、布量を判定で
きる。

【００１７】給水口５aの位置の移動は、給水中に布10
が吸水するのを防ぐ。

【００１８】

【実施例】本発明の一実施例を図１ないし図５により説
明する。

【００１９】図１(a),(b)は、本発明によるドラム式洗
濯機の正面断面図および回転中心軸で切断した洗濯槽の
側面断面図、図２は給水管を含む面で切断した洗濯槽の
側面断面図、図３はその制御系統を示すブロック図、図
４は水位と水圧センサの出力特性図、図５は洗濯槽内の
水位変化を示す状態図である。

【００２０】図１および図２において、本実施例が、構
造上図６に示した従来例と異なる点は、給水口５aを洗
濯槽２の後端面上部に、駆動ベルトに干渉しない位置に
設けた点である。その他の主要構成部品は従来例と変り
がないので、同じ構成部品には同一符号を付してその説
明を省略する。

【００２１】以上のように構成したドラム式洗濯機を用
いた布量検知方法を説明する。

【００２２】洗濯を開始すると、まず制御回路９は、給
水弁６を所定時間開いて洗濯槽２に給水する。その際、
水圧センサ８の信号は、図４に示すように洗濯槽２内の
水位とリニアの関係で変化する。

【００２３】第１水位情報は、所定時間経過後給水弁６
を閉じ、洗濯槽２内の水面が安定した時点で水位を計測
する。図５において、給水弁６が開いている時間をＡ、
水圧センサ８の水位信号をＢとして制御回路９に入力す
る。

【００２４】次に、第２水位情報は、制御回路９は、再
び給水弁６を所定時間開いて所定時間給水し、水面が安
定した時点で水圧センサ８で水位を計測する。給水弁６
が開いている時間をＣ、水圧センサ８からの水位信号を
Ｄとして制御回路９に入力する。

【００２５】なお、ここまでの経過で洗濯槽２の水位
は、まだ回転ドラム３の底面に達していない。これは布
量に関係なく水道の水圧を推定するものである。

【００２６】図５から、傾きＥ、すなわち水道の水圧
は、次式で計算できる。

【００２７】

【数１】

【００２８】なお、図５では水位の変化を直線で描いた
が、円筒形回転ドラム３を水平に設置しているため、曲
線を描くことになるので、傾きＥは上記の式に加え若干
の補正値を考慮する必要がある。これにより流量センサ
などを用いないで水圧を推定できる。

【００２９】第３水位情報を得るため、再び給水弁６を
時間Ｇまで開いて、再給水すると、布10のない場合は、
一定水位をＦとすると、給水時間Ｇは次式で得られる。

【００３０】

【数２】

【００３１】ところが水位が回転ドラム３の底面を超え
ると、布10が吸水し始め、図５に破線のように低い傾斜
線を描く。

【００３２】布量により給水時間Ｇ後の水位は、Ｆ'あ
るいはＦ''になる現象から、布量を判定する。

【００３３】図２に示すように、給水口５aの位置は、
洗濯槽２の後端面に開口しているので、水は給水口５a
から直接底面に落下するので、第１および第２水位情報
を得る過程で水は布10に一切接触しない。従って、正確
な水圧情報を得ることができる。

【００３４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
簡単な構造の変更で、短時間で布量の判定ができるの
で、全体の洗濯時間が大幅に削減できるドラム式洗濯機
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるドラム式洗濯機の構成を示す正面
断面図および側面断面図である。

【図２】同給水管の位置で切断した要部側面断面図であ
る。

【図３】同制御系統を示すブロック図である。

【図４】同洗濯槽の水位と水圧センサの出力値の関係図
である。

【図５】同水槽内に溜まる水の水位と時間を示す状態図
である。

【図６】従来のドラム式洗濯機の構成を示す断面図であ
る。

【図７】同要部拡大正面断面図である。

【図８】同水位の変化と水位センサの出力の関係図であ
る。

【図９】同ドラム回転時間とドラム内の水位の関係を示
す時系列状態図である。

【符号の説明】

１…本体、 ２…洗濯槽、 ３…回転ドラム、 ３a…
水切り孔、 ４…電動機、５…給水管、 ５a…給水
口、 ６…給水弁、 ７…エアトラップ、 ８…水圧セ
ンサ、 ９…制御回路、 10…布。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水平に設置された円筒形の洗濯槽の内部
   に回転自在に装着された回転ドラムと、上記の洗濯槽に
   給水口を開口し、給水弁を備えた給水管と、上記の洗濯
   槽の水位を検知する水圧センサと、上記の給水弁の開閉
   を制御する制御回路とからなるドラム式洗濯機におい
   て、上記の給水口を洗濯槽の後方端面に開口したことを
   特徴とするドラム式洗濯機。
2. 【請求項２】 上記の給水弁を所定時間開いた時点の第
   １水位情報と、さらに所定時間給水弁を開いた時点の第
   ２水位情報から水道の水圧を推定することを特徴とする
   請求項１記載のドラム式洗濯機の布量検知方法。
3. 【請求項３】 水道の水圧を得た後、さらに所定時間給
   水弁を開いた時点の第３水位情報から回転ドラムに入れ
   られた布量を判定する請求項２記載のドラム式洗濯機の
   布量検知方法。