JPH051668A - 気液分離用タンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 全体として気泡の含有率が多い場合でも気泡
の含有率が少ない液相オイルを吸入させ、且つ傾斜され
た状態であっても安全性高く使用できるような気液分離
用タンクを提供することにある。 【構成】 液相オイルが貯溜されるオイル溜室部１ｂの
底部に設けられ、液相オイルを吸入して濾過した後、コ
ンプレッサ部に循環させるためのオイルフィルタ５に対
し、オイル溜室部１ｂの底部及びオイルフィルタ５に対
して隙間を有するようにフィルタカバー１０を覆ってい
る。このフィルタカバー１０は、オイルフィルタ５自体
に設けられた支軸５ｂに対して取り付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主としてエアコンプレ
ッサ等に用いられ、オイルと圧縮気体とを含む圧力準気
相媒体を吸入してオイルを分離することで液相オイルを
溜め、更に溜められた液相オイルを吸入して循環させる
ことで圧縮気体を吐出する構造のオイル潤滑式圧縮機の
気液分離用タンクに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の気液分離用タンクは、一
般にエアコンプレッサ等に用いられるもので、例えば図
３（Ａ）は気液分離用タンクの一例の側断面を、同図
（Ｂ）はその円形断面を示している。図示の如く、気液
分離用タンクの円筒型タンク本体１は、内部に設けられ
た仕切板２によって、配管を通してコンプレッサ部（図
示せず）より吐出されるオイル及び圧縮気体を含む圧力
準気相媒体（気相状態の圧縮気体に対し、オイルが霧状
に混入された状態のこと）のうち、分離されたオイルを
貯溜するための一方のオイル溜室部１ｂと、圧縮気体の
みを吐出するための他方のエア溜室部１ａとに分室され
ている。

【０００３】このうち、オイル溜室部１ｂ内の底部に
は、液相オイルを吸入して濾過した後、オイルフィルタ
５及びコンプレッサ部の間に接続されたオイル戻し配管
５ａを通してコンプレッサ部に循環させるためのオイル
フィルタ（吸入濾過手段）５が設けられている。又、オ
イル溜室部１ｂ内の液相オイルに対する貯溜領域外の仕
切板２面には、吸入された圧力準気相媒体からオイルを
分離させ、圧縮気体をエア溜室部１ａ内に吐出する一
方、液相オイルをオイル溜室部１ｂ内に貯溜させるため
のオイルセパレータ４が設けられ、円筒型タンク本体１
の液相オイルに対する貯溜領域外には、コンプレッサ部
より吐出される圧力準気相媒体を吸入させるための吸入
口３が設けられている。

【０００４】この為、コンプレッサ部より吐出されたオ
イルと圧力準気相媒体は、吸入口３よりオイル溜室部１
ｂに入り、そのうちオイルは重力で落下しオイル溜め部
に溜まる。又、オイルミストを含む圧力準気相媒体は、
導入口４ｂよりオイルセパレータ４に入り、ここで圧力
準気相媒体からオイルが分離される。更に、ここで分離
されたオイルは、セパレータカバーに設けてあるオイル
戻し口（図示せず）よりオイル溜めに流下する。

【０００５】一方、円筒型タンク本体１のエア溜室部１
ａ内には、吐出口６が設けられ、エア溜室部１ａ内に吐
出された圧縮気体を、円筒型タンク本体１外に吐出でき
るようになっている。この為、仕切板２には、オイルセ
パレータ４によって分離された圧縮気体を吸入させるた
めの吸入孔２ａが設けられている。

【０００６】このような構成による気液分離用タンクを
エアコンプレッサに用いると、コンプレッサ部より吐出
されるオイル及び圧縮気体を含む圧力準気相媒体が、オ
イルセパレータ４に吸入され、オイルセパレータ４によ
って液相オイルと圧縮気体とに分離されるので、液相オ
イルがオイル溜室部１ｂ内に貯溜される一方、圧縮気体
がエア溜室部１ａ内に貯溜される。従って、例えば吐出
口６から配管を通して吐出される圧縮気体を、調圧弁
（図示せず）等を介することにより、釘打ち等の圧縮空
気を要する作業に用いることができる。

【０００７】ところで、オイル溜室部１ｂ内上部には、
高圧の圧縮気体Ａのみが貯溜され、オイル溜室部１ｂ内
には、高圧の空房層Ａ´に対して気泡Ｂを生じた状態の
液相オイルＯが貯溜される。このとき、液相オイルＯに
気泡Ｂが生じるのは、コンプレッサ部より吐出されたオ
イルに、圧縮された気体が混入しているためと、更に圧
力準気相媒体で貯溜されたオイルが攪拌されるためであ
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】従来の気液分離用タン
クがエアコンプレッサに用いられた場合、上述の如く、
気泡の含有率が多い状態の液相オイルであっても、これ
をオイルフィルタによって吸入して濾過し、コンプレッ
サ部に戻して循環させている為、圧縮効率が低下し、加
えてオイルに循環量も低下するため、コンプレッサの潤
滑、冷却に悪影響を及ぼすことになり、極端な場合では
コンプレッサの破損にもつながる。

【０００９】更に、気泡の含有率が多くなくても、例え
ば気液分離用タンクが可搬式エアコンプレッサに用いら
れた場合等、傾斜された使用状態にあってオイルフィル
タの一部が、液相オイルより気相側に露出された場合で
は、液体のよりもかなり粘性の低い気体の方が流れ易く
なり、結果として、オイルがコンプレッサに殆ど戻され
なくなる。こうした場合も、コンプレッサが破損される
危険がある。この為、可搬式エアコンプレッサ自体を安
全性良く構成することが困難になっている。

【００１０】本発明は、かかる事情を鑑みなされたもの
で、その目的は、全体として気泡の含有率が多い場合で
も気泡の含有率が少ない液相オイルを吸入させ得ると共
に、傾斜された使用状態が想定される可搬式エアコンプ
レッサであっても、安全性高く使用できるような気液分
離用タンクを提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、オイル
及び圧縮気体を含む圧力準気相媒体から分離された液相
オイルを溜め、オイル溜まりを生成するオイル溜室部
と、オイル溜まり内の液相オイルを吸入しながら濾過す
るために、オイル溜室部の底部に設けられた吸入濾過手
段とを備えた気液分離用タンクにおいて、オイル溜室部
の底部近傍に設けられると共に、その底部及び吸入濾過
手段に対して隙間を有するように吸入濾過手段を覆った
フィルタカバーを備えた気液分離用タンクが得られる。
又、実施態様としては、フィルタカバーが吸入濾過手段
に設けられた支軸によって取り付けられた気液分離用タ
ンクが得られる。

【００１２】

【作用】本発明は、主としてエアコンプレッサにおける
気液分離用タンクの構造を改良したもので、液相オイル
が貯溜されるオイル溜室部の底部に設けられ、液相オイ
ルを吸入して濾過した後、コンプレッサ部に循環させる
ためのオイルフィルタに対し、オイル溜室部の底部及び
オイルフィルタに対して隙間を有するようにフィルタカ
バーを覆っている。この結果、液相オイル自体は、貯溜
されたものの下層から吸入されることになるので、全体
として気泡の含有率が多い場合であっても、気泡の含有
率が極めて低い状態の液相オイルを循環させることがで
きる。更に、下層から液相オイルを吸入しているので、
気液分離用タンクが傾斜された状態にあってもオイルを
循環させることができる。

【００１３】

【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明の気液分離用タ
ンクについて詳細に説明する。図１（Ａ）及び（Ｂ）
は、本発明の一実施例であるエアコンプレッサにおける
気液分離用タンクの基本的な構成を示したものである。
ここで、図１（Ａ）は気液分離用タンクを断側面で示
し、同図（Ｂ）では、それを円形断面で示している。

【００１４】本発明の気液分離用タンクも、円筒型タン
ク本体１内が内部に設けられた仕切板２によって仕切ら
れることで分室されており、円筒型タンク本体１には、
略図するコンプレッサ部から配管を通して吐出されるオ
イル及び圧縮気体を含む圧力準気相媒体のうち、分離さ
れた液相オイルを貯溜するための一方のオイル溜室部１
ｂと、圧縮気体のみを吸入して吐出するための他方のエ
ア溜室部１ａとが備えられている。

【００１５】又、オイル溜室部１ｂ内の底部には、貯溜
された状態の液相オイルを吸入して濾過した後、コンプ
レッサ部（図示せず）に循環させるためのオイルフィル
タ５が設けられている。そして、オイルフィルタ５自体
は、オイル溜室部１ｂ内の底部近傍に設けられ、底部及
びオイルフィルタ５に対して隙間を有するフィルタカバ
ー１０によって覆われている。

【００１６】このフィルタカバー１０は、図１（Ａ）に
示す如く、オイルフィルタ５自体に設けられた支軸５ｂ
によって取り付けられており、オイルフィルタ５及びコ
ンプレッサ部の間は、オイル戻し配管５ａによって接続
されている。更に、オイル溜室部１ｂ内の仕切板２面に
は、圧力準気相媒体を液相オイルと圧縮気体とに分離さ
せ、圧縮気体をエア溜室部１ａ内に吐出する一方、液相
オイルをオイル溜室部１ｂに貯溜させるためのオイルセ
パレータ４が液相オイルに対する貯溜領域を避けて設け
られている。又、円筒型タンク本体１側には、コンプレ
ッサ部より吐出される圧力準気相媒体を吸入させるため
の吸入口３が設けられている。

【００１７】加えて、オイルセパレータ４自体は、圧力
準気相媒体を吸入させるための導入口４ｂを有するセパ
レータカバー４ａによって覆われ、このセパレータカバ
ー４ａに開かれている導入口４ｂによってコンプレッサ
部より吐出される圧力準気相媒体をオイルセパレータ４
に吸入できるようになっている。そして、オイルセパレ
ータカバー４ａには、分離した液相オイルを流下させる
オイル戻し口（図示せず）が設けられている。

【００１８】一方、円筒型タンク本体１のエア溜室部１
ａには、圧縮気体に対する吐出口６が設けられ、エア溜
室部１ａ内に吸入された圧縮気体を、円筒型タンク本体
１外に吐出できるようになっている。そして、仕切板２
には、オイルセパレータ４によって分離された圧縮気体
を吸入させるための吸入孔２ａが設けられている。

【００１９】このような構成による気液分離用タンク
は、コンプレッサ部より配管を通して吐出されるオイル
及び圧力準気相媒体を、一旦オイル溜室部１ｂ内に吸入
し、そのうち圧力準気相媒体をオイルセパレータ４に吸
入させ、オイルセパレータ４がオイル及び圧縮気体を分
離し、液相オイルのみを円筒型タンク本体１の内部に設
けられた仕切板２によって分室されたオイル溜室部１ｂ
に貯溜し、同時に圧縮気体をエア溜室部１ａに吐出す
る。即ち、オイル溜室部１ｂ内には、高圧の空房層Ａ´
に対して気泡Ｂを生じた状態の液相オイルＯが貯溜され
る。

【００２０】このとき、オイル溜室部１ｂの底部には、
フィルタカバー１０によって覆われ、液相オイルを吸入
するためのオイルフィルタ５が設けられているので、オ
イル溜室部１ｂ内に貯溜された液相オイルは、図１
（Ｂ）に示す如く、下層のものがオイルフィルタ５及び
コンプレッサ部の間に接続されたオイル戻し配管５ａを
通してコンプレッサ部に循環される。

【００２１】本発明の気液分離用タンクは、フィルタカ
バー１０を設けてオイル溜室部１ｂ内に貯溜された液相
オイルの下層を循環させているので、図１（Ｂ）に示す
如く液相オイルＯに気泡Ｂが多く含有されていても、気
泡Ｂの含有率が低い下層の液相オイルＯを循環させるこ
とことができ、コンプレッサ部によるオイル全体の循環
を効率良く行わせることができる。

【００２２】しかして、本発明の気液分離用タンクは、
傾斜された使用状態が想定される可搬式エアコンプレッ
サあっても有効に使用することができる。図２は、可搬
式エアコンプレッサに使用され、且つ傾斜された状態の
気液分離用タンクを示すもので、同図（Ａ）はその断側
面を示し、同図（Ｂ）ではそのときの円形断面を示して
いる。

【００２３】即ち、気液分離用タンクは傾斜された状態
であっても、オイルフィルタ５がフィルタカバー１０に
よって覆われているので、オイルフィルタ５が液相オイ
ルから気相側に露出することがない為、オイルフィルタ
による液相オイルの吸入を充分に行うことができる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明の気液分離用タン
クによれば、全体的に気泡の含有率が多い場合でも気泡
の含有率の少ない液相オイルを吸入させているので、固
定式のエアコンプレッサに用いればオイル全体の循環率
が従来のものに比較して格段に向上し、これに伴ってコ
ンプレッサ部による圧縮機能も極めて安定し、結果とし
てオイルセパレータによるオイル及び圧縮気体の分離効
率が向上される。しかも、傾斜された使用状態であって
も安定性高く液相オイルを吸入させ得るので、可搬式エ
アコンプレッサであっても信頼性高く使用できるように
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例であるエアコンプレッサにお
ける気液分離用タンクの基本的な構成を示したものであ
る。

【図２】図１に示す気液分離用タンクが可搬式エアコン
プレッサに用いられて傾斜された状態を示したものであ
る。

【図３】従来のエアコンプレッサにおける気液分離用タ
ンクの基本的な構成を示したものである。

【符号の説明】

１ 円筒型タンク本体 １ａ エア溜室部 １ｂ オイル溜室部 ２ 仕切板 ３ 吸入口 ４ オイルセパレータ ５ オイルフィルタ ５ａ オイル戻し配管 ６ 吐出口 １０ フィルタカバー

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オイル及び圧縮気体を含む圧力準気相媒
   体から分離された液相オイルを溜め、オイル溜まりを生
   成するオイル溜室部と、前記オイル溜まり内の前記液相
   オイルを吸入しながら濾過するために、前記オイル溜室
   部の底部に設けられた吸入濾過手段とを備えた気液分離
   用タンクにおいて、前記底部近傍に設けられると共に、
   前記底部及び吸入濾過手段に対して隙間を有するように
   前記吸入濾過手段を覆ったフィルタカバーを備えたこと
   を特徴とする気液分離用タンク。
2. 【請求項２】 請求項１に記載された気液分離用タンク
   において、前記フィルタカバーは、前記吸入濾過手段に
   設けられた支軸によって取り付けられたことを特徴とす
   る気液分離用タンク。