JP2002221179A - 回転式圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイル溜りのオイルが安定してポンプに吸い
上げられるようにする。 【解決手段】 密閉容器１の下部のオイル溜りＳｏから
オイル７を吸い上げ可能にポンプ２を密閉容器１の下部
側に設置し、その上にモータ３を設置し、さらに上下が
連通した状態に密閉容器１の内部を上側空間Ｓ１と下側
空間Ｓ２とに区画する隔壁１１をポンプ２の噴出口５の
下側に設置し、その隔壁１１より下側の密閉容器側壁に
吐出口６を設けるようにした回転式圧縮機であり、吐出
口６の反対側の隔壁１１には切り欠きを設けて上下２空
間を連通する連通口１２とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空調用冷媒を圧縮
するための回転式圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】この種の圧縮機としては、例えば図３に
示した内部高圧式の回転式圧縮機（以下、単に圧縮機と
云う）１００Ｘが周知である。この圧縮機１００Ｘにお
いては、密閉容器１の内部に圧縮機構部としてのポンプ
２と、このポンプ２を駆動させるための駆動機構部とし
てのモータ３とが設置され、アキュムレータ４を介して
導入される気体の冷媒をポンプ２が圧縮し、その冷媒噴
出口５から密閉容器１の内部空間Ｓに噴出した高圧冷媒
を上部に設けた吐出口６から吐出して、図示しない冷媒
回路に高圧冷媒を供給するようになっている。

【０００３】なお、ポンプ２は、内部空間Ｓの最下部の
オイル溜りＳｏに溜っているオイル７を吸い上げるなど
してポンプ２の摺動部の潤滑に使用可能に、内部空間Ｓ
の下部側に設置されている。一方、モータ３はそのポン
プ２の上方に設置され、電源供給部８から供給される電
力によりロータ９が回転し、そのロータ９とポンプ２と
が共通の１本の回転軸１０に取り付けられているので、
モータ３の回転によりポンプ２が運転されるようになっ
ている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記構成の回転式圧縮
機においては、ポンプの冷媒噴出口の先に圧縮機からの
冷媒吐出口が設けられているので、ポンプが圧縮して機
内に噴出する冷媒は圧縮機から冷媒回路に速やかに吐出
される。

【０００５】そのため、冷媒圧縮時にオイル溜りから吸
い上げられるなどして、冷媒と共にポンプの冷媒噴出口
から機内空間に噴出したオイルは圧縮機から冷媒回路に
流出し易く、したがって冷媒回路にオイル分離器を設置
し、そこで冷媒から分離したオイルをオイル溜りに戻す
ように構成したときにも、オイル溜りのオイル量は不足
し勝ちであり、特に車載用圧縮機としたときにはオイル
溜りにあるオイルの液面は不安定になり易く、ポンプに
よる吸い上げなどが十分に行われず、摺動部の潤滑不良
に起因した故障を引き起こし易いと云った問題点があ
り、それが解決すべき問題となっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
課題を解決するため、回転式の圧縮機構部と、その圧縮
機構部に回転動力を付与する駆動機構部とを密閉容器内
に備えて外部から取り込む気体を圧縮機構部により圧縮
して吐出する回転式圧縮機において、密閉容器下部に設
けたオイル溜りからオイルを吸い上げ可能に、且つ、下
向き以外の方向に噴出口を向けて圧縮機構部を密閉容器
の下部側に設置し、その上に駆動機構部を設置し、さら
に上下が連通した状態に密閉容器を上下の２空間に区画
する隔壁を圧縮機構部の噴出口下側に設置し、その隔壁
より下側の密閉容器側壁に圧縮機からの吐出口を設ける
ようにした第１の構成の回転式圧縮機と、

【０００７】前記第１の構成の回転式圧縮機において、
密閉容器内の上下の２空間は、吐出口が設けられた側に
おいては隔壁により隔離されているようにした第２の構
成の回転式圧縮機と、

【０００８】前記第１または第２の構成の回転式圧縮機
において、自動車に搭載されるようにした第３の構成の
回転式圧縮機と、を提供するものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図１
と図２に基づいて詳細に説明する。なお、理解を容易に
するため、これらの図においても前記図３において説明
した部分と同様の機能を有する部分には、同一の符号を
付した。

【００１０】本発明の圧縮機１００も、図示したように
密閉容器１の内部にポンプ２とモータ３とを備えてい
る。そして、その内部を上側空間Ｓ１と下側空間Ｓ２と
に２分割する隔壁１１を、冷媒噴出口５の下側に備える
と共に、下側空間Ｓ２を囲繞形成している密閉容器１の
側壁部に冷媒噴出口５を備えている。

【００１１】なお、隔壁１１は、密閉容器１の内部を連
通不能に上側空間Ｓ１と下側空間Ｓ２とに分割している
のではなく、例えば図２に例示したように、吐出口６が
設置されていない側の複数箇所が切り欠かれて連通口１
２が設けられ、この連通口１２を介して上側空間Ｓ１と
下側空間Ｓ２とが連通している。

【００１２】このため、ポンプ２が圧縮し、冷媒噴出口
５から上側空間Ｓ１に噴出した高圧冷媒は連通口１２を
通って下側空間Ｓ２に至り、側壁部に設けられた吐出口
６から吐出される、

【００１３】すなわち、アキュムレータ４を経由して機
内に入った気体の冷媒はポンプ２により圧縮され、オイ
ル溜りＳｏから吸い上げられるなどしたオイル７の一部
と共に冷媒噴出口５から上方に噴出して上側空間Ｓ１に
入るが、連通口１２と吐出口６とが冷媒噴出口５より下
側に設けられているので、冷媒噴出口５から上向きに噴
出して上側空間Ｓ１に入った冷媒は、連通口１２に向か
うために向きを１８０度変えて下向きに進む。

【００１４】しかも、上側空間Ｓ１内では流路が冷媒噴
出口５より比較にならないほど拡がっているので、上側
空間Ｓ１で冷媒の圧力は低下し、流速は急激に遅くな
る。このため、冷媒に含まれていた蒸発温度が高く、比
重の大きいオイルの多くは冷媒から分離し、ミストとな
って隔壁１１の上に降り注ぐ。そして、隔壁１１の上に
降り注いだ図示しないオイルが、連通口１２を通って下
側空間Ｓ２に入り、オイル溜りＳｏのオイル７が補充さ
れる。

【００１５】また、上側空間Ｓ１から連通口１２を通っ
て下側空間Ｓ２に入った冷媒も、吐出口６から吐出する
ために向きを９０度変え、しかも下側空間Ｓ２内では流
路が連通口１２より比較にならないほど拡がっているの
で、下側空間Ｓ２内で冷媒の流速は急激に遅くなる。こ
のため、この下側空間Ｓ２においても、冷媒に含まれて
いたオイルは冷媒から分離し易く、ミストとなって降下
するので、オイル溜りＳｏのオイル７が補充される。

【００１６】したがって、上記構成の回転式圧縮機にお
いては、密閉容器１から冷媒と共に冷媒回路に吐出する
オイルの量が少なくなり、オイル溜りＳｏのオイル７が
不足する危険性が少ないので、車載用圧縮機としたとき
にもポンプ２が吸い上げるなどするオイル７が不足し、
ポンプ２の摺動部が潤滑不良で故障する、などと云った
不都合を引き起こすことがなくなった。

【００１７】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸
脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。

【００１８】例えば、隔壁１１はその上に降り注いだオ
イルが連通口１２を通って下側空間Ｓ２に入り易いよう
に、吐出口６側が高く、連通口１２側が低くなるように
設置することが好ましい。

【００１９】また、隔壁１１は、ポンプ２の上面に螺子
を用いて固定されても良いし、隔壁１１の吐出口６側の
外周部部分を密閉容器１の内周面に溶接により固定され
ても良い。

【００２０】そして、隔壁１１をポンプ２の上面に螺子
着して配設するときには、吐出口６側の上側空間Ｓ１と
下側空間Ｓ２とは厳密な意味では連通不能に区画するこ
とは困難であるが、連通口１２を通過して上側空間Ｓ１
から下側空間Ｓ２に流入する冷媒の量に比較すると、隔
壁１１の周端部を密閉容器１の内周面に当接すればその
部分を通過して上側空間Ｓ１から下側空間Ｓ２に流入す
る冷媒の量を無視し得る量とすることができるので、吐
出口６側では隔壁１１をこの状態に配設する。また、連
通口１２は他の適宜の形状に変更することができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、密閉容
器下部に設けたオイル溜りからオイルを吸い上げ可能
に、且つ、下向き以外の方向に噴出口を向けて圧縮機構
部を密閉容器の下部側に設置し、その上に駆動機構部を
設置し、さらに上下が連通した状態に密閉容器を上下の
２空間に区画する隔壁を圧縮機構部の噴出口下側に設置
し、その隔壁より下側の密閉容器側壁に圧縮機からの吐
出口を設けるようにした回転式圧縮機であるので、冷媒
圧縮時にオイル溜りから吸い上げられ、圧縮機構により
圧縮される冷媒と共に機内に噴出したオイルは機内で回
収され易い。

【００２２】このため、冷媒と共に冷媒回路に吐出する
オイルの量は減少し、オイル溜りのオイルが不足する危
険性が少ないので、車載用圧縮機としたときにも圧縮機
構が吸い上げるオイルが不足し、圧縮機構の摺動部が潤
滑不良で故障する、などと云った不都合を引き起こすこ
とがなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施形態を示す説明図である。

【図２】１実施形態の要部を示す説明図である。

【図３】従来技術を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 密閉容器 ２ ポンプ ３ モータ ４ アキュムレータ ５ 冷媒噴出口 ６ 吐出口 ７ オイル ８ 電源供給部 ９ ロータ １０ 回転軸 １１ 隔壁 １２ 連通口 Ｓ 内部空間 Ｓ１ 上側空間 Ｓ２ 下側空間 Ｓｏ オイル溜り １００、１００Ｘ 圧縮機

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 孝 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 松浦 大 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 Ｆターム(参考） 3H029 AA04 AA13 AB03 BB04 BB06 BB35 CC09 CC23 CC25 CC26 CC33 CC44

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転式の圧縮機構部と、その圧縮機構部
   に回転動力を付与する駆動機構部とを密閉容器内に備え
   て外部から取り込む気体を圧縮機構部により圧縮して吐
   出する回転式圧縮機において、密閉容器下部に設けたオ
   イル溜りからオイルを吸い上げ可能に、且つ、下向き以
   外の方向に噴出口を向けて圧縮機構部を密閉容器の下部
   側に設置し、その上に駆動機構部を設置し、さらに上下
   が連通した状態に密閉容器を上下の２空間に区画する隔
   壁を圧縮機構部の噴出口下側に設置し、その隔壁より下
   側の密閉容器側壁に圧縮機からの吐出口を設けたことを
   特徴とする回転式圧縮機。
2. 【請求項２】 密閉容器内の上下の２空間は、吐出口が
   設けられた側においては隔壁により隔離されていること
   を特徴とする請求項１記載の回転式圧縮機。
3. 【請求項３】 自動車に搭載されることを特徴とする請
   求項１または２記載の回転式圧縮機。