JPH0516109U - チヤツク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 チャック本体の内周面とチャック筒部に嵌合
される工具の掴持部との間を積極的にシールして、切削
油が油流通路から外部に漏出することのないようにした
チャックを提供することを目的とする。 【構成】 チャック本体１にチャック筒部４に連通する
油流通路５を形成し、チャック筒部４にオイルホール付
き工具Ｔを装着するようにしたチャックにおいて、その
先端部１１ｂが工具Ｔの基端面または外周面に接し、そ
の後端部１１ａ外周面がチャック本体１の内周面に接す
る油密パッキン１１を内装したことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、チャック本体にチャック筒部に連通する油流通路を形成し、チャッ ク筒部にオイルホール付き工具を装着するようにしたチャックに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のチャックの使用にあたっては、チャック筒部内に工具の基端側ストレ ートシャンク部をコレットを介して嵌合するか、またはコレットを介することな く直接に嵌合し、チャック筒部に外嵌されている締付用回転筒を締付け方向に回 転させることにより工具を掴持固定した状態で、チャック本体のテーパシャンク 部を工作機械の主軸内に嵌合する。しかして、例えばセンター給油式チャックの 場合、切削油は、主軸内の給油管よりテーパシャンク部内の通じて油流通路に導 入され、この油流通路から工具のオイルホールに供給されることになる。尚、端 面給油式の場合には、テーパシャンク部とチャック筒部との間のマニピュレータ 把持部の端面からその内部を貫通して油流通路に給油され、またサイド給油式の 場合にはチャック本体を回転可能に支持する非回転支持部材の油路を通じてチャ ック本体の油流通路に給油される。

【考案が解決しようとする課題】

【０００３】 従来のチャックでは、油流通路におけるチャック本体内周面と工具の掴持部と の間を積極的にシールするためのシール手段が設けられていないため、切削油が チャック本体の油流通路から工具のオイルホールへ供給される際に、チャック本 体の内周面、特に工作上形成された逃げ及びチャック溝と、工具の掴持部外周面 との隙間、あるいはコレットとチャック本体内周面及び工具掴持部外周面との隙 間から切削油が外部に漏れ出るという問題があった。

【０００４】 本考案は、上記の課題に鑑みて、チャック本体内周面と工具の掴持部との間を 積極的にシールして、切削油が油流通路から外部に漏出することのないようにし たチャックを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案のチャックにおいては、その先端が工具Ｔの基端面に接し、その後端外 周面がチャック本体１の内周面に接する油密パッキン１１を内装したことを特徴 とするものである。

【０００６】

【作用】

チャック本体１の外部より油流通路５に導入された切削油の圧力は、油密パッ キン１１の全面に対して、所謂パスカルの原理によって均一に作用する。即ち、 パスカルの原理により、油密パッキン１１の後端外周面がチャック本体１の内周 面に均一に押圧されて密着し、また同パッキン１１の先端が工具Ｔの基端面また は外周面に前記同様に均一に押圧されて密着する。それにより、チャック本体１ の内周面と工具Ｔの基端部外周面との隙間、あるいはコレット１０とチャック本 体１内周面及び工具Ｔの基端部外周面との隙間が完全にシールされる。

【０００７】

【実施例】

実施例について図面を参照して説明すると、図１はセンター給油式チャックの 縦断面図、図２はその横断面図である。これらの図において１は、チャック本体 で、テーパシャンク部２、マニピュレータ把持部３及びチャック筒部４を有し、 このチャック本体１の内部にはその全長に亘って油流通路５が同心状に形成され ている。６はチャック筒部４に外嵌される締付用回転筒で、チャック筒部４のテ ーパ状外周面４ａに対応するテーパ状内周面６ａを有し、この回転筒６とチャッ ク筒部４との間に、当該チャック筒４の外周面４ａに対し螺旋状に公転する多数 のニードルローラ７が介装されている。

【０００８】 前記チャック筒部４にはその内周面に、断面が図２に示すような形状を有して チャック本体１の軸線方向に延びる複数のチャック溝８が周方向に等間隔で配設 されており、このチャック筒部４内に、オイルホール９付き工具Ｔのストレート シャンク部ｓが割りコレット１０を介して嵌合される。しかして、締付用回転筒 ６を締付け方向に回転させ、チャック筒部４を弾性変形させて縮径させることに より、コレット１０を介して工具Ｔのストレートシャンク部ｓを掴持固定するよ うにしている。

【０００９】 一方、チャック本体１内には、図２に示すように油流通路５の中央部位に、油 密パッキン１１が内装されている。この油密パッキン１１は、合成ゴム等により ほぼ円筒状に形成されたもので、後端部１１ａが若干径大に形成されていて、こ の径大端部１１ａの外周面がチャック本体１の内周面に接し、また先端部には半 径方向内向きに突出するフランジ部１１ｂが形成してあって、このフランジ部１ １ｂの先端面が工具Ｔの基端面に接するように取り付けられる。

【００１０】 このチャックの使用にあたっては、チャック本体１のテーパシャンク部２を工 作機械の主軸（図示せず）に嵌合し、このテーパシャンク部２内の雌ねじ部２ａ に螺合されたプルスタッドボルト（図示せず）によってテーパシャンク部２を内 側へ引き込んで固定したとき、前記主軸内の給油管と前記プルスタッドボルトの 給油孔とが互いに連通状態に接続される。しかして、前記主軸側給油管から一定 圧力の切削油が前記プルスタッドボルトの給油孔を通じてチャック本体１内の油 流通路５内に導入され、この油流通路５より工具Ｔのオイルホール９に供給され る。

【００１１】 前記油流通路５に導入された切削油の圧力は、前記油密パッキン１１の接油面 に対して作用する際、所謂パスカルの原理によって、このパッキン１１接油面全 域に対し均一に作用し、該圧力によって、油密パッキン１１の後端部１１ａ外周 面がチャック本体１の内周面に押圧されて密着すると共に、同パッキン１１のフ ランジ部１１ｂ先端面が工具Ｔの基端面に押圧されて密着する。

【００１２】 これにより、チャック本体１の内周面とチャック筒部４内に嵌合されている割 りコレット１０との間の隙間、及びこの割りコレット１０とこれに嵌合されてい る工具Ｔのシャンク部ｓ外周面との隙間が完全にシールされることになり、した がって切削油が油流通路５から工具Ｔのオイルホール９へ供給される際に、その 切削油がチャック本体１の外部へ漏れ出ることが全くなくなる。

【００１３】 図１で示した油密パッキン１１はその先端面が工具Ｔの基端面に接する場合で あるが、図３に示す油密パッキン１２は先端部が工具Ｔの基端部外周面に接する ようにしたものである。即ち、この油密パッキン１２はその先端部１２ｂが工具 Ｔの基端部外周面に接するように配設され、また後端部１２ａは図１の場合と同 様にチャック本体の内周面に配設されている。その他の構成については図１と同 様であるため、同一符号を付し、その説明を省略する。

【００１４】 尚、実施例では、工具Ｔのシャンク部ｓが割りコレット１０を介してチャック 筒部４に嵌挿されるタイプのチャックについて説明したが、本考案は、このよう なコレットを有していないタイプのチャックにも適用可能である。また実施例で は、切削油の給油方式がセンター給油式のチャックについて説明したが、このセ ンター給油式のものに限定されることはなく、前述した周知の端面給油式やサイ ド給油式のチャックにも適用可能ことはもちろんである。また実施例では、締付 用回転筒がニードルローラ式のものについて説明したが、締付ナットのようなネ ジ式の締付用回転筒も使用可能である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案のチャックによれば、チャック本体に内装した油密パッキンによりチャ ック本体の内周面とオイルホール付き工具の基端部（掴持部）外周面との隙間、 あるいはコレットとチャック本体内周面及び工具基端部外周面との隙間がパスカ ルの原理により均一且つ完全にシールされるため、工具のオイルホールへの切削 油の供給中に切削油が油流通路の外部に漏れ出ることがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るチャックを示す半縦断面図であ
る。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本考案に係る他のチャックを示す半縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１ チャック本体 ２ テーパシャンク部 ４ チャック筒部 ５ 油流通路 ６ 締付用回転筒 ８ チャック溝 Ｔ 工具 ｓ 工具のシャンク部 ９ 工具のオイルホール １０ 割りコレット １１ 油密パッキン １１ａ 油密パッキンの後端部 １１ｂ 油密パッキンの先端部 １２ 油密パッキン １２ａ 油密パッキンの後端部 １２ｂ 油密パッキンの先端部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 チャック本体にチャック筒部に連通する
   油流通路を形成し、チャック筒部にオイルホール付き工
   具を装着するようにしたチャックにおいて、その先端が
   工具の基端面に接し、その後端外周面がチャック本体の
   内周面に接する油密パッキンを内装したことを特徴とす
   るチャック。
2. 【請求項２】 チャック本体にチャック筒部に連通する
   油流通路を形成し、チャック筒部にオイルホール付き工
   具を装着するようにしたチャックにおいて、その先端が
   工具の外周面に接し、その後端外周面がチャック本体の
   内周面に接する油密パッキンを内装したことを特徴とす
   るチャック。