JPH09216107A - ツールの支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チャック本体に付与される回転をツールに確
実に伝えることができるツールの支持装置を提供する。 【解決手段】 チャック本体１に先端面で開口する軸方
向のシャンク挿入孔５を形成し、そのシャンク挿入孔５
に挿入されるツール２０のシャンク２１の先端部外周に
ねじれ溝２２を設ける。チャック本体１には外周面から
シャンク挿入孔５に貫通するねじ孔１０を形成する。ね
じ孔１０にねじ係合した係合ねじ１１の先端部をシャン
ク挿入孔５に挿入されたシャンク２１のねじれ溝２２に
係合し、その係合ねじ１１を介してチャック本体１に付
与される回転をツール２０に伝達すると共に、係合ねじ
１１によってシャンク２１を抜け止めする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、エンドミルやド
リルのようにシャンクを有する回転切削用のツールを保
持するツールの支持装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エンドミルのようなツールでワ
ークを切削加工する場合、工作機械の主軸にチャックを
取付け、そのチャックによってツールを挾持している。

【０００３】上記チャックには、押ねじの締付けによっ
てツールのシャンクをシャンク挿入孔の内周に押し付け
るスクリューチャックや、油圧室に封入された油の加圧
によりチャックチューブを内径方向に弾性変形させて、
その内側に挿入されたツールのシャンクを外径面から挾
持するチューブチャックが従来から知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、スクリュー
チャックにおいては、押ねじの締付け力が一定せず、シ
ャンクの保持力が弱い場合に、ツールに作用する切削抵
抗により、チャックに形成されたシャンク挿入孔とツー
ルのシャンクとの間で滑りが生じ、ときにはツールのシ
ャンクがシャンク挿入孔から抜け落ちる場合があった。

【０００５】一方、チューブチャックにおいては、チャ
ックにねじ係合された締付ねじのねじ込みによって油圧
室の油を加圧する構成であるため、締付けねじの締付け
量が一定せず、シャンクの挾持力が弱い場合に、上記ス
クリューチャックと同様の問題点が生じる。

【０００６】この発明の課題は、チャックに付与される
回転力をツールに確実に伝達することができると共に、
ツールの脱落を確実に防止することができるようにした
ツールの支持装置を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、工作機械の主軸に対して着
脱自在に取付けられるチャック本体に、そのチャック本
体の先端面で開口する軸方向のシャンク挿入孔を形成
し、そのシャンク挿入孔にツールシャンクを挿入し、チ
ャック本体の先端部に設けられた保持手段により上記シ
ャンクを保持するツールの支持装置において、前記シャ
ンクの先端部外周にツールの切削回転方向にねじれるね
じれ溝を設け、前記チャック本体には外周面からシャン
ク挿入孔に貫通するねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係
合した係合ねじを前記ねじれ溝に係合させた構成を採用
している。

【０００８】ここで、保持手段は、チャック本体にねじ
込まれた押ねじによってツールのシャンクをシャンク挿
入孔の内周に押し付けるようにしたものであってもよ
く、あるいは、油圧室に封入された油の加圧によりチャ
ックチューブを内方向に弾性変形させ、そのチャックチ
ューブでツールのシャンクを保持するようにしたもので
あってもよい。

【０００９】

【作用】上記のように、チャック本体のねじ孔にねじ係
合した係合ねじをツールのシャンクに形成したねじれ溝
に係合させたことにより、チャック本体の回転をツール
に確実に伝達することができる。また、上記ねじれ溝を
ツールの切削回転方向のねじれとしたことにより、ねじ
れ溝の上側傾斜面が係合ねじの外周上部で受けられるた
め、ツールの脱落を防止することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。

【００１１】図１および図２に示すように、チャック本
体１は、工作機械の主軸に着脱自在に取付けられるテー
パシャンク２の大径端部にフランジ３を設け、そのフラ
ンジ３の先端にホルダ部４を形成している。

【００１２】ホルダ部４には先端面で開口する軸方向の
シャンク挿入孔５が形成され、そのシャンク挿入孔５の
先端部内周に周溝６が形成されている。

【００１３】周溝６にはばねリング７が組込まれ、その
ばねリング７は周方向の一部が切り離されて内方向に変
形可能とされている。

【００１４】前記ホルダ部４の先端部には、外径面から
周溝６に貫通する複数のねじ孔８がホルダ部４の周方向
に所要の間隔をおいて形成され、各ねじ孔８にねじ係合
した押ねじ９を締付けることにより、前記ばねリング７
が内方向に変形し、シャンク挿入孔５に挿入されるツー
ル２０のシャンク２１をシャンク挿入孔５の内周に押し
付ける。

【００１５】また、ホルダ部４の後端部には外径面から
シャンク挿入孔５に貫通するねじ孔１０が設けられ、そ
のねじ孔１０に係合ねじ１１がねじ係合されている。

【００１６】図３は、チャック本体１によって保持され
る前記ツール２０の詳細を示す。ツール２０に設けられ
たシャンク２１の先端部外周にはねじれ溝２２が形成さ
れている。ねじれ溝２２はツール２０の切削回転方向に
ねじれている。

【００１７】上記ツール２０のセットに際しては、その
ツール２０のシャンク２１をシャンク挿入孔５に挿入
し、ねじれ溝２２が係合ねじ１１の先端と対向する状態
において、押ねじ９および係合ねじ１１の締付を行な
う。

【００１８】上記押ねじ９の締付けにより、ばねリング
７が内方向に変形し、シャンク２１がシャンク挿入孔５
の内周に押し付けられる。また、係合ねじ１１の締付け
により、その係合ねじ１１の先端部がねじれ溝２２と係
合し、チャック本体１にツール２０が取付けられる。な
お、係合ねじ１１はねじれ溝２２の底面を押圧する位置
までねじ込むようにしてもよい。

【００１９】上記のようなツールの取付状態において、
チャック本体１を工作機械の主軸にセットしてチャック
本体１に回転力を付与すると、その回転は、シャンク挿
入孔５および押ねじ９の先端とシャンク２１の接触部お
よびねじれ溝２２に係合する係合ねじ１１を介してツー
ル２０に伝達される。

【００２０】このように、ねじれ溝２２に係合する係合
ねじ１１からもチャック本体１の回転がツール２０に伝
達されるため、押ねじ９がシャンク２１を押圧する押圧
力が弱い場合でも、シャンク２１がシャンク挿入孔５に
対して滑るという不都合の発生は皆無であり、ツール２
０を確実に回転させることができる。

【００２１】ここで、チャック本体１と共に回転するツ
ール２０がワークを切削するとき、ツール２０にはシャ
ンク挿入孔５から抜け出す方向の切削力分力が作用す
る。

【００２２】このとき、係合ねじ１１が係合するねじれ
溝２２は、ツール２０の切削回転方向にねじれているた
め、ねじれ溝２２の上側傾斜面２３が係合ねじ１１の先
端部における外周上部に当接しており、上記切削力分力
は係合ねじ１１の先端部で受けられる。このため、ツー
ル２０はシャンク挿入孔５から抜け出すのが防止され
る。

【００２３】図４及び図５はこの発明の第２の実施の形
態を示す。この実施の形態では、第１の実施の形態で示
す押ねじ９に代えて、チャックチューブ１２を用い、そ
のチャックチューブ１２の内径方向への弾性変形により
シャンク挿入孔５に挿入されたツール２０のシャンク２
１を挾持するようにしている。

【００２４】すなわち、チャック本体１に形成されたシ
ャンク挿入孔５の先端部に大径孔部１３を形成し、その
大径孔部１３内に上記チャックチューブ１２を挿入して
チャック本体１に溶接等の手段で固着し、上記チャック
チューブ１２の外周と大径孔部１３の内周間に密閉され
た油圧室１４を形成している。

【００２５】また、チャック本体１の先端部外周に半径
方向に延びるねじ孔１５と、その先端に上記油圧室１４
に連通するシリンダ室１６とを設け、上記ねじ孔１５に
ねじ係合した調整ねじ１７の締付けによりシリンダ室１
６内に組み込まれたピストン１８をチャック本体１の半
径方向に移動させて、油圧室１４に封入された油を加圧
し、その加圧によりチャックチューブ１２を内方向に弾
性変形させてシャンク挿入孔５に挿入されたツール２０
のシャンク２１を外径面から掴むようにしている。

【００２６】他の構成は、係合ねじ１１のねじ込み位置
が第１の実施の形態と異なるのみであるため、第１の実
施の形態と同じ部品に同一符号を付して説明を省略す
る。

【００２７】上記第２の実施の形態においては、シャン
ク２１を挾持するチャックチューブ１２およびねじれ溝
２２に係合する係合ねじ１１を介してチャック本体１の
回転をツール２０に伝達する。この第２の実施の形態に
おいても、第１の実施の形態と同様の効果を奏する。

【００２８】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、ね
じれ溝に係合ピンを係合させたので、ツールのシャンク
がシャンク挿入孔との間で回転方向に滑りが生じるのを
防止することができ、チャック本体に付与される回転力
をツールに確実に伝達することができる。

【００２９】また、ねじれ溝はツールの切削回転方向に
ねじれているため、係合ピンによりツールの抜け出しを
確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の第１の実施の形態を示す縦断正面図

【図２】図１のII−II線に沿った断面図

【図３】ツールの正面図

【図４】この発明の第２の実施の形態を示す一部切欠正
面図

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿った断面図

【符号の説明】

１ チャック本体 ５ シャンク挿入孔 ８ ねじ孔 ９ 押ねじ １０ ねじ孔 １１ 係合ねじ １２ チャックチューブ １３ 大径孔部 １４ 油圧室 ２０ ツール ２１ シャンク ２２ ねじれ溝

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 工作機械の主軸に対して着脱自在に取付
   けられるチャック本体に、そのチャック本体の先端面で
   開口する軸方向のシャンク挿入孔を形成し、そのシャン
   ク挿入孔にツールシャンクを挿入し、チャック本体の先
   端部に設けられた保持手段により上記シャンクを保持す
   るツールの支持装置において、前記シャンクの先端部外
   周にツールの切削回転方向にねじれるねじれ溝を設け、
   前記チャック本体には外周面からシャンク挿入孔に貫通
   するねじ孔を設け、そのねじ孔にねじ係合した係合ねじ
   を前記ねじれ溝に係合させたことを特徴とするツールの
   支持装置。
2. 【請求項２】 前記保持手段が、チャック本体の先端部
   に外径面からシャンク挿入孔に貫通するねじ孔を形成
   し、そのねじ孔に押ねじをねじ係合し、上記押ねじでツ
   ールのシャンクをシャンク挿入孔の内周に押し付けるよ
   うにした構成から成る請求項１に記載のツールの支持装
   置。
3. 【請求項３】 前記保持手段が、シャンク挿入孔の先端
   部に大径孔部を設け、その大径孔部にチャックチューブ
   を取付けて大径孔部の内周面間に密封された油圧室を形
   成し、その油圧室に封入された油の加圧によりチャック
   チューブを内径方向に弾性変形させてツールのシャンク
   を挾持するようにした構成から成る請求項１に記載のツ
   ール支持装置。