JPH0515826A - 浸漬塗布方法および浸漬塗布装置 - Google Patents
浸漬塗布方法および浸漬塗布装置Info
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- JPH0515826A JPH0515826A JP20003691A JP20003691A JPH0515826A JP H0515826 A JPH0515826 A JP H0515826A JP 20003691 A JP20003691 A JP 20003691A JP 20003691 A JP20003691 A JP 20003691A JP H0515826 A JPH0515826 A JP H0515826A
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- coating liquid
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- coated
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- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Coating Apparatus (AREA)
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 被塗布物から剥離した膜、および、あるいは
固形物等の再付着による塗膜欠陥を防止できる塗布方法
を提供する。 【構成】 塗布槽内に収容されている塗布液内に被塗布
物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げる事によって塗
布液を塗布する方法において、塗布槽側壁の上端部より
塗布液を供給し、かつ塗布槽底部より塗布液を排出する
事により、被塗布物の浸漬および引き上げの間、塗布液
をダウンフローする状態で行う事を特徴とする浸漬塗布
方法。
固形物等の再付着による塗膜欠陥を防止できる塗布方法
を提供する。 【構成】 塗布槽内に収容されている塗布液内に被塗布
物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げる事によって塗
布液を塗布する方法において、塗布槽側壁の上端部より
塗布液を供給し、かつ塗布槽底部より塗布液を排出する
事により、被塗布物の浸漬および引き上げの間、塗布液
をダウンフローする状態で行う事を特徴とする浸漬塗布
方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗布方法、塗布装置に関
し、特に電子写真感光体の製造において円筒状基体の外
周面に有機感光層を塗布形成する浸漬塗布方法、浸漬塗
布装置に関するものである。
し、特に電子写真感光体の製造において円筒状基体の外
周面に有機感光層を塗布形成する浸漬塗布方法、浸漬塗
布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体の感光層を構成す
る光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム、酸化
亜鉛等の無機化合物およびポリビニルカルバゾールに代
表される有機化合物が提案されており、また、感光層を
電荷発生層と電荷輸送層とに分離した積層型電子写真感
光体においては、電荷発生材料および電荷輸送材料とし
て、種々の有機化合物が提案され、有機感光体として実
用化されている。従来、このような有機感光体の製造方
法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピン塗布
法、ビード塗布法、ワイヤーバー塗布法、ブレード塗布
法、ローラー塗布法、押出し塗布法、カーテン塗布法等
の各種塗布方法が知られているが、特に円筒状の被塗布
物の外周面に均一な感光層を形成する方法としては、浸
漬塗布が広く用いられている。
る光導電材料としては、セレン、硫化カドミウム、酸化
亜鉛等の無機化合物およびポリビニルカルバゾールに代
表される有機化合物が提案されており、また、感光層を
電荷発生層と電荷輸送層とに分離した積層型電子写真感
光体においては、電荷発生材料および電荷輸送材料とし
て、種々の有機化合物が提案され、有機感光体として実
用化されている。従来、このような有機感光体の製造方
法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、スピン塗布
法、ビード塗布法、ワイヤーバー塗布法、ブレード塗布
法、ローラー塗布法、押出し塗布法、カーテン塗布法等
の各種塗布方法が知られているが、特に円筒状の被塗布
物の外周面に均一な感光層を形成する方法としては、浸
漬塗布が広く用いられている。
【0003】このような浸漬塗布方法においては、塗布
槽側壁の内側に塗布液が付着、乾燥して固形物が生じ、
これによる塗膜欠陥を防止するために所謂オーバーフロ
ー方式のものが知られている。図5はこの方式による浸
漬塗布装置の概略断面図を示すものである。塗布槽1内
には塗布液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの周囲に
はオーバーフロー受け1cが設けられている。塗布液2
は、タンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5に
よって圧送され、フィルター6を介して供給口1dより
塗布槽1内に供給される。オーバーフロー面1bからオ
ーバーフローした塗布液2aはオーバーフロー受け1c
により排出口7に導かれ排出配管8を通ってタンク3に
回収される。円筒状の被塗布物9は塗布槽1内の塗布液
2に浸漬され、次いで所定の速度で引き上げられ浸漬塗
布が行われる。この浸漬塗布時にも、塗布液2が常にオ
ーバーフロー面1bからオーバーフローし続けているの
で、塗布液2の液面の高さは一定に保たれる。
槽側壁の内側に塗布液が付着、乾燥して固形物が生じ、
これによる塗膜欠陥を防止するために所謂オーバーフロ
ー方式のものが知られている。図5はこの方式による浸
漬塗布装置の概略断面図を示すものである。塗布槽1内
には塗布液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの周囲に
はオーバーフロー受け1cが設けられている。塗布液2
は、タンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5に
よって圧送され、フィルター6を介して供給口1dより
塗布槽1内に供給される。オーバーフロー面1bからオ
ーバーフローした塗布液2aはオーバーフロー受け1c
により排出口7に導かれ排出配管8を通ってタンク3に
回収される。円筒状の被塗布物9は塗布槽1内の塗布液
2に浸漬され、次いで所定の速度で引き上げられ浸漬塗
布が行われる。この浸漬塗布時にも、塗布液2が常にオ
ーバーフロー面1bからオーバーフローし続けているの
で、塗布液2の液面の高さは一定に保たれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電子写
真感光体、特に積層型電子写真感光体の浸漬塗布におい
ては、円筒状の導電性支持体上、あるいはあらかじめ下
引き層を形成した導電性支持体上に電荷発生層を形成し
た後、上記のような浸漬塗布装置を用いて電荷発生層上
に電荷輸送層を塗布形成する際、電荷発生層の剥離が発
生し、剥離した膜が再度付着して異物欠陥(塗膜欠陥)
を生じる。さらに、下引き層あるいは、および、電荷発
生層の浸漬塗布後に導電性支持体下端部の不要部分の塗
布液あるいは塗膜を除去するような製造方法を用いるこ
とが知られているが、この場合に、不要部分の除去が完
全に行われれば問題ないが、実際には、除去すべき導電
性支持体下端部に固形物が残ってしまったり、あるい
は、必要部分と不要部分の境界がわずかに剥離した状態
になったりすることがあり、次の層を上記のような浸漬
塗布装置を用いて塗布形成する際、これらが剥離し、剥
離した固形物が再度付着して異物欠陥(塗膜欠陥)を生
じる。
真感光体、特に積層型電子写真感光体の浸漬塗布におい
ては、円筒状の導電性支持体上、あるいはあらかじめ下
引き層を形成した導電性支持体上に電荷発生層を形成し
た後、上記のような浸漬塗布装置を用いて電荷発生層上
に電荷輸送層を塗布形成する際、電荷発生層の剥離が発
生し、剥離した膜が再度付着して異物欠陥(塗膜欠陥)
を生じる。さらに、下引き層あるいは、および、電荷発
生層の浸漬塗布後に導電性支持体下端部の不要部分の塗
布液あるいは塗膜を除去するような製造方法を用いるこ
とが知られているが、この場合に、不要部分の除去が完
全に行われれば問題ないが、実際には、除去すべき導電
性支持体下端部に固形物が残ってしまったり、あるい
は、必要部分と不要部分の境界がわずかに剥離した状態
になったりすることがあり、次の層を上記のような浸漬
塗布装置を用いて塗布形成する際、これらが剥離し、剥
離した固形物が再度付着して異物欠陥(塗膜欠陥)を生
じる。
【0005】このような欠点を防止する方法が、例えば
特開平1−119372号公報に報告されている。特開
平1−119372号公報には、オーバーフロー方式の
浸漬塗布において、被塗布物の引上げ時に塗布槽内壁と
被塗布物の外面とにより挟まれた領域内における塗布槽
に対する塗布液の相対速度を、塗布槽に対する被塗布物
の相対速度以下にすることにより、塗膜欠陥が防止でき
ることが開示されている。しかし、本発明者等が実際に
検討を重ねた結果、この方法によっても剥離した膜が再
度付着して生じる異物欠陥(塗膜欠陥)を防止できない
事実が判明した。
特開平1−119372号公報に報告されている。特開
平1−119372号公報には、オーバーフロー方式の
浸漬塗布において、被塗布物の引上げ時に塗布槽内壁と
被塗布物の外面とにより挟まれた領域内における塗布槽
に対する塗布液の相対速度を、塗布槽に対する被塗布物
の相対速度以下にすることにより、塗膜欠陥が防止でき
ることが開示されている。しかし、本発明者等が実際に
検討を重ねた結果、この方法によっても剥離した膜が再
度付着して生じる異物欠陥(塗膜欠陥)を防止できない
事実が判明した。
【0006】本発明の目的は、被塗布物から剥離した
膜、および、あるいは固形物等の再付着による塗膜欠陥
を防止できる塗布方法を提供することにある。さらに、
本発明の目的は、上記目的を達成し得る塗布装置を提供
することにある。
膜、および、あるいは固形物等の再付着による塗膜欠陥
を防止できる塗布方法を提供することにある。さらに、
本発明の目的は、上記目的を達成し得る塗布装置を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々検討
の結果、異物欠陥(塗膜欠陥)の原因となる膜、およ
び、あるいは固形物の剥離は、浸漬塗布における被塗布
物外周面と塗布液の相対速度により生じるずり応力によ
って起こり、特に従来の浸漬塗布では被塗布物を塗布液
から引き上げるときよりも被塗布物を塗布液に浸漬する
ときにずれ応力が最大となり、このときに膜、および、
あるいは固形物の剥離が起こることを見いだした。した
がって、オーバーフロー方式の浸漬塗布においては、上
記の現象を回避するために、被塗布物の浸漬時に塗布液
の供給速度を低減することが有効となるが、たとえ塗布
液の供給速度を0にできても、被塗布物の浸漬に伴う排
除容積分の塗布液のオーバーフローは避けられないた
め、被塗布物外周面と塗布液の相対速度が0とはなら
ず、膜および、あるいは、固形物の剥離を完全に防止す
ることができないことが判明した。さらに、剥離した固
形物が塗布液のオーバーフローに伴い塗布槽を上昇し、
被塗布物表面を移動するので、固形物の被塗布物表面へ
の再付着確率も高くなり、塗膜欠陥を防止できないこと
が考えられる。
の結果、異物欠陥(塗膜欠陥)の原因となる膜、およ
び、あるいは固形物の剥離は、浸漬塗布における被塗布
物外周面と塗布液の相対速度により生じるずり応力によ
って起こり、特に従来の浸漬塗布では被塗布物を塗布液
から引き上げるときよりも被塗布物を塗布液に浸漬する
ときにずれ応力が最大となり、このときに膜、および、
あるいは固形物の剥離が起こることを見いだした。した
がって、オーバーフロー方式の浸漬塗布においては、上
記の現象を回避するために、被塗布物の浸漬時に塗布液
の供給速度を低減することが有効となるが、たとえ塗布
液の供給速度を0にできても、被塗布物の浸漬に伴う排
除容積分の塗布液のオーバーフローは避けられないた
め、被塗布物外周面と塗布液の相対速度が0とはなら
ず、膜および、あるいは、固形物の剥離を完全に防止す
ることができないことが判明した。さらに、剥離した固
形物が塗布液のオーバーフローに伴い塗布槽を上昇し、
被塗布物表面を移動するので、固形物の被塗布物表面へ
の再付着確率も高くなり、塗膜欠陥を防止できないこと
が考えられる。
【0007】そこで、被塗布物と塗布液の相対速度の大
きさのみならず方向にも着目し、塗布槽内の塗布液の流
れについて検討を加えた結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、塗布槽内に収容されている塗
布液内に被塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げ
ることによって塗布液を塗布する方法において、塗布槽
側壁の上端部より塗布液を供給し、かつ塗布槽底部より
塗布液を排出することにより、被塗布物の浸漬および引
き上げの間、塗布液をダウンフローする状態で行うこと
を特徴とする。さらに、本発明は、塗布槽内に収容され
ている塗布液内に被塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を
引き上げることによって塗布液を塗布する浸漬塗布装置
において、塗布槽側壁の上端部に設けられた塗布液供給
口、塗布槽底部に設けられた塗布液排出口を具備するこ
とを特徴とする。
きさのみならず方向にも着目し、塗布槽内の塗布液の流
れについて検討を加えた結果、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本発明は、塗布槽内に収容されている塗
布液内に被塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げ
ることによって塗布液を塗布する方法において、塗布槽
側壁の上端部より塗布液を供給し、かつ塗布槽底部より
塗布液を排出することにより、被塗布物の浸漬および引
き上げの間、塗布液をダウンフローする状態で行うこと
を特徴とする。さらに、本発明は、塗布槽内に収容され
ている塗布液内に被塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を
引き上げることによって塗布液を塗布する浸漬塗布装置
において、塗布槽側壁の上端部に設けられた塗布液供給
口、塗布槽底部に設けられた塗布液排出口を具備するこ
とを特徴とする。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。図1は本
発明の浸漬塗布装置概略の一例を示すものである。塗布
槽1内には塗布液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの
周囲には塗布液供給部1dが設けられ、さらに塗布槽1
の底部には排出口7が設けられている。塗布液2は、タ
ンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5によって
圧送され、フィルター6を介して塗布液供給部1dより
塗布槽1内に常に一定量供給される。塗布槽1内の塗布
液2は、塗布槽底部の排出口7から排出配管8を通して
排出用ポンプ10によってタンク3に回収される。排出
配管8の途中には流量計11が設けられ、フィードバッ
ク制御系12により排出用ポンプ10の流量を制御す
る。円筒状の被塗布物9は塗布槽1内の塗布液2に浸漬
され、次いで所定の速度で引き上げられ浸漬塗布が行わ
れる。この際、塗布液2の液面の高さが常に一定に保た
れ、かつ、塗布槽1の側壁1aと被塗布物9とにより挟
まれた塗布液の流速が常に一定になるように、排出用ポ
ンプ10によりその排出流量を調整する。
発明の浸漬塗布装置概略の一例を示すものである。塗布
槽1内には塗布液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの
周囲には塗布液供給部1dが設けられ、さらに塗布槽1
の底部には排出口7が設けられている。塗布液2は、タ
ンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5によって
圧送され、フィルター6を介して塗布液供給部1dより
塗布槽1内に常に一定量供給される。塗布槽1内の塗布
液2は、塗布槽底部の排出口7から排出配管8を通して
排出用ポンプ10によってタンク3に回収される。排出
配管8の途中には流量計11が設けられ、フィードバッ
ク制御系12により排出用ポンプ10の流量を制御す
る。円筒状の被塗布物9は塗布槽1内の塗布液2に浸漬
され、次いで所定の速度で引き上げられ浸漬塗布が行わ
れる。この際、塗布液2の液面の高さが常に一定に保た
れ、かつ、塗布槽1の側壁1aと被塗布物9とにより挟
まれた塗布液の流速が常に一定になるように、排出用ポ
ンプ10によりその排出流量を調整する。
【0009】図2は塗布液の排出流量の調整パターンを
模式的に表すグラフである。待ち時間(図中のステップ
)においては、排出流量をQ1とし、供給流量Q1と
等しくする。次に、被塗布物を塗布槽に浸漬するとき
(ステップ)は、被塗布物により排除される塗布液の
容積分だけ排出流量を増加させ、Q2とし、被塗布物を
塗布槽から引き上げるとき(ステップ)は、被塗布物
が塗布液から退出する容積分だけ排出流量を減少させ、
Q3とする。さらに、被塗布物を塗布槽に浸漬した後、
被塗布物を引き上げる前(ステップとステップの
間)に被塗布物を塗布液中に一定時間静止させる場合に
は、静止の時間内の排出流量をQ1とすればよい。ここ
で、Q1はQ1≧Q3の範囲であれば任意に設定するこ
とができるが、余りに大きくするとそれに伴いQ2が増
大し、送液容量の大きな排出用ポンプが必要となり、そ
の結果設備投資の増加を招くため、フィルターでの炉過
効率、あるいは、塗布液の均一化等を考慮し最小限に設
定されるべきである。さらに、Q2 ー Q1は被塗布
物の寸法および浸漬速度により決定され、また、Q1ー
Q3も被塗布物の寸法および引き上げ速度により決定
される値であるので、それらの製造条件に応じて設定す
ればよい。
模式的に表すグラフである。待ち時間(図中のステップ
)においては、排出流量をQ1とし、供給流量Q1と
等しくする。次に、被塗布物を塗布槽に浸漬するとき
(ステップ)は、被塗布物により排除される塗布液の
容積分だけ排出流量を増加させ、Q2とし、被塗布物を
塗布槽から引き上げるとき(ステップ)は、被塗布物
が塗布液から退出する容積分だけ排出流量を減少させ、
Q3とする。さらに、被塗布物を塗布槽に浸漬した後、
被塗布物を引き上げる前(ステップとステップの
間)に被塗布物を塗布液中に一定時間静止させる場合に
は、静止の時間内の排出流量をQ1とすればよい。ここ
で、Q1はQ1≧Q3の範囲であれば任意に設定するこ
とができるが、余りに大きくするとそれに伴いQ2が増
大し、送液容量の大きな排出用ポンプが必要となり、そ
の結果設備投資の増加を招くため、フィルターでの炉過
効率、あるいは、塗布液の均一化等を考慮し最小限に設
定されるべきである。さらに、Q2 ー Q1は被塗布
物の寸法および浸漬速度により決定され、また、Q1ー
Q3も被塗布物の寸法および引き上げ速度により決定
される値であるので、それらの製造条件に応じて設定す
ればよい。
【0010】図3は本発明の浸漬塗布装置概略の別の一
例を示すものである。図1の浸漬塗布装置における塗布
槽1の排出口7からの塗布液2の排出方式を変更したも
のである。塗布槽1の底部に設けられた排出口7は3つ
の排出経路7a、7b,および7cに分岐されており、
各排出経路には流量調整弁13a、13b、および13
c、と自動開閉弁14a、14b、および14cが設け
られており、排出配管8で合流するように接続されてい
る。この装置での排出流量の調整は排出経路の選択によ
って行われる。すなわち、第3図の待ち時間(ステップ
)においては、自動開閉弁14aのみを開き、排出経
路7aにより塗布液を排出する。次に、被塗布物を塗布
槽に浸漬するとき(ステップ)は、自動開閉弁14b
のみを開き、排出経路7bにより塗布液を排出し、被塗
布物を塗布槽から引き上げるとき(ステップ)は、自
動開閉弁14cのみを開き、排出経路7cにより塗布液
を排出する。さらに、被塗布物を塗布槽に浸漬した後、
被塗布物を引き上げる前(ステップとステップの
間)に被塗布物を塗布液中に一定時間静止させる場合に
は、待ち時間と同様に排出経路7aにより塗布液を排出
する。流量調整弁13a、13b、および13cは排出
流量が各々Q1、Q2、およびQ3となるようにあらか
じめ調整設定しておく。この方式によれば2台のポンプ
は必要なく、さらに複雑なフィードバック制御系も不要
となるため、設備が簡略化できることにより設備投資を
大幅に低減できる。
例を示すものである。図1の浸漬塗布装置における塗布
槽1の排出口7からの塗布液2の排出方式を変更したも
のである。塗布槽1の底部に設けられた排出口7は3つ
の排出経路7a、7b,および7cに分岐されており、
各排出経路には流量調整弁13a、13b、および13
c、と自動開閉弁14a、14b、および14cが設け
られており、排出配管8で合流するように接続されてい
る。この装置での排出流量の調整は排出経路の選択によ
って行われる。すなわち、第3図の待ち時間(ステップ
)においては、自動開閉弁14aのみを開き、排出経
路7aにより塗布液を排出する。次に、被塗布物を塗布
槽に浸漬するとき(ステップ)は、自動開閉弁14b
のみを開き、排出経路7bにより塗布液を排出し、被塗
布物を塗布槽から引き上げるとき(ステップ)は、自
動開閉弁14cのみを開き、排出経路7cにより塗布液
を排出する。さらに、被塗布物を塗布槽に浸漬した後、
被塗布物を引き上げる前(ステップとステップの
間)に被塗布物を塗布液中に一定時間静止させる場合に
は、待ち時間と同様に排出経路7aにより塗布液を排出
する。流量調整弁13a、13b、および13cは排出
流量が各々Q1、Q2、およびQ3となるようにあらか
じめ調整設定しておく。この方式によれば2台のポンプ
は必要なく、さらに複雑なフィードバック制御系も不要
となるため、設備が簡略化できることにより設備投資を
大幅に低減できる。
【0011】図4は本発明の浸漬塗布装置概略のさらに
別の一例を示すものである。この装置は、塗布槽内の塗
布液の液面高さの安定性を向上させるために図3に示し
た装置に改良を加えたものである。塗布槽1内には塗布
液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの周囲には塗布液
供給部1dが設けられ、さらに塗布液供給部1dの周囲
にはオーバーフロー受け1cが設けられている。塗布液
2は、タンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5
によって圧送され、フィルター6を介して塗布液供給部
1dに常に一定量供給される。塗布液供給部1dに供給
された塗布液2の一部は塗布槽1内に供給され、残りは
オーバーフロー面1bからオーバーフロー受け1cにオ
ーバーフローする。オーバーフローした塗布液2aは排
出口7’に導かれ排出配管8’を通ってタンク3に回収
される。
別の一例を示すものである。この装置は、塗布槽内の塗
布液の液面高さの安定性を向上させるために図3に示し
た装置に改良を加えたものである。塗布槽1内には塗布
液2が収容され、塗布槽1の側壁1aの周囲には塗布液
供給部1dが設けられ、さらに塗布液供給部1dの周囲
にはオーバーフロー受け1cが設けられている。塗布液
2は、タンク3から供給配管4を通して供給用ポンプ5
によって圧送され、フィルター6を介して塗布液供給部
1dに常に一定量供給される。塗布液供給部1dに供給
された塗布液2の一部は塗布槽1内に供給され、残りは
オーバーフロー面1bからオーバーフロー受け1cにオ
ーバーフローする。オーバーフローした塗布液2aは排
出口7’に導かれ排出配管8’を通ってタンク3に回収
される。
【0012】この装置における塗布槽底部の排出口7か
らの排出流量の調整機構は図3の装置とまったく同じで
あり、排出流量の調整パターンは図2と同じであるが、
供給流量Q4は異なっており、Q4>Q1となるように
設定する。したがって、塗布液供給部1dに供給された
塗布液の一部は常にオーバーフロー面1bからオーバー
フローすることになる。もし、浸漬塗布中の排出流量の
微妙な狂い、あるいは流量変更の時間的な遅れ等があっ
ても、これらの変動はオーバーフロー量が自動的に変わ
ることにより吸収することができ、これにより塗布液の
液面高さの安定性を向上させることができる。
らの排出流量の調整機構は図3の装置とまったく同じで
あり、排出流量の調整パターンは図2と同じであるが、
供給流量Q4は異なっており、Q4>Q1となるように
設定する。したがって、塗布液供給部1dに供給された
塗布液の一部は常にオーバーフロー面1bからオーバー
フローすることになる。もし、浸漬塗布中の排出流量の
微妙な狂い、あるいは流量変更の時間的な遅れ等があっ
ても、これらの変動はオーバーフロー量が自動的に変わ
ることにより吸収することができ、これにより塗布液の
液面高さの安定性を向上させることができる。
【0013】上記の浸漬塗布装置は、いずれも塗布液を
塗布槽に常に一定量供給し、塗布槽底部からの排出流量
を被塗布物の浸漬、引き上げのパターンに合わせて調整
することにより、塗布槽内の塗布液を常にダウンフロー
する状態にするものであるが、逆に、塗布槽底部から塗
布液を常に一定量排出し、被塗布物の浸漬、引き上げの
パターンに合わせて塗布槽への塗布液供給流量を調整す
ることによっても、塗布槽内の塗布液を常にダウンフロ
ーする状態にすることが可能であり、本発明は図1〜図
4に限定されるものではない。
塗布槽に常に一定量供給し、塗布槽底部からの排出流量
を被塗布物の浸漬、引き上げのパターンに合わせて調整
することにより、塗布槽内の塗布液を常にダウンフロー
する状態にするものであるが、逆に、塗布槽底部から塗
布液を常に一定量排出し、被塗布物の浸漬、引き上げの
パターンに合わせて塗布槽への塗布液供給流量を調整す
ることによっても、塗布槽内の塗布液を常にダウンフロ
ーする状態にすることが可能であり、本発明は図1〜図
4に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1 有機ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC
540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリン
グ剤(商品名:A1110、日本ユニカー(株)製)1
部、エタノール45部、n−ブタノール20部からなる
混合溶液を用意し、図1の浸漬塗布装置を用いてアルミ
ニウムパイプ(1mmt×84 mmφ×340mm)
の表面に塗布した。このとき用いた塗布槽の内径は12
0mmφであり、パイプの浸漬速度は500mm/mi
n、引き上げ速度は150mm/minに設定し、塗布
槽への塗布液供給量を1.0L/min、塗布槽からの
排出流量をパイプの浸漬時に3.77L/min、引き
上げ時に0.17L/min、パイプ未塗布時に1.0
L/minとなるように調整し、液面は常に一定に保つ
ようにした。塗布したパイプは風乾した後、乾燥機に入
れ、150°Cにおいて、10分間加熱乾燥し、膜厚
0.1μmの下引き層を形成した。
する。 実施例1 有機ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC
540、松本製薬(株)製)10部、シランカップリン
グ剤(商品名:A1110、日本ユニカー(株)製)1
部、エタノール45部、n−ブタノール20部からなる
混合溶液を用意し、図1の浸漬塗布装置を用いてアルミ
ニウムパイプ(1mmt×84 mmφ×340mm)
の表面に塗布した。このとき用いた塗布槽の内径は12
0mmφであり、パイプの浸漬速度は500mm/mi
n、引き上げ速度は150mm/minに設定し、塗布
槽への塗布液供給量を1.0L/min、塗布槽からの
排出流量をパイプの浸漬時に3.77L/min、引き
上げ時に0.17L/min、パイプ未塗布時に1.0
L/minとなるように調整し、液面は常に一定に保つ
ようにした。塗布したパイプは風乾した後、乾燥機に入
れ、150°Cにおいて、10分間加熱乾燥し、膜厚
0.1μmの下引き層を形成した。
【0015】次に、ジブロモアントアントロン顔料(商
品名:モノライトレッド2Y、ICI製)8部とポリビ
ニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学
(株)製)1部をシクロヘキサノン19部に添加混合
し、サンドミル装置で、顔料を分散させた。得られた分
散液にさらにシクロヘキサノンを加えて、固形分濃度が
約10%の塗布液を用意した。この塗布液を図1の浸漬
塗布装置を用いて下引き層の上に塗布し、風乾した後、
乾燥機に入れ、100°Cにおいて、10分間加熱乾燥
し、膜厚0.8μmの電荷発生層を形成した。電荷発生
層の塗布では、パイプの引き上げ速度100mm/mi
n、塗布槽からの排出流量を引き上げ時に0.45L/
minに設定した以外は、下引き層の塗布条件と同じで
ある。
品名:モノライトレッド2Y、ICI製)8部とポリビ
ニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学
(株)製)1部をシクロヘキサノン19部に添加混合
し、サンドミル装置で、顔料を分散させた。得られた分
散液にさらにシクロヘキサノンを加えて、固形分濃度が
約10%の塗布液を用意した。この塗布液を図1の浸漬
塗布装置を用いて下引き層の上に塗布し、風乾した後、
乾燥機に入れ、100°Cにおいて、10分間加熱乾燥
し、膜厚0.8μmの電荷発生層を形成した。電荷発生
層の塗布では、パイプの引き上げ速度100mm/mi
n、塗布槽からの排出流量を引き上げ時に0.45L/
minに設定した以外は、下引き層の塗布条件と同じで
ある。
【0016】更に形成された電荷発生層の上に、電荷輸
送層を形成した。すなわち、N,N’−ジフェニル−
N, N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’
−ビフェニル]−4, 4’ジアミン2部とポリ(4,
4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネイト)樹
脂3部をモノクロルベンゼン20部に溶解した。この塗
布液の粘度は、300mPa・Sであった。得られた塗
布液を図1の浸漬塗布装置を用いて電荷発生層の上に塗
布し、風乾した後、乾燥機に入れ、100°Cにおい
て、1時間加熱乾燥し、膜厚19μmの電荷輸送層を形
成した。このときの塗布条件は電荷発生層の塗布条件と
同じである。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評
価した結果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確
認された。
送層を形成した。すなわち、N,N’−ジフェニル−
N, N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’
−ビフェニル]−4, 4’ジアミン2部とポリ(4,
4−シクロヘキシリデンジフェニレンカーボネイト)樹
脂3部をモノクロルベンゼン20部に溶解した。この塗
布液の粘度は、300mPa・Sであった。得られた塗
布液を図1の浸漬塗布装置を用いて電荷発生層の上に塗
布し、風乾した後、乾燥機に入れ、100°Cにおい
て、1時間加熱乾燥し、膜厚19μmの電荷輸送層を形
成した。このときの塗布条件は電荷発生層の塗布条件と
同じである。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評
価した結果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確
認された。
【0017】実施例2
各層の塗布後にドラムの下端から10mmの塗膜を除去
した後に加熱乾燥した以外は実施例1と同様の方法で下
引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。ここ
で下端部の塗膜除去は、溶剤をしみ込ませた不織布をド
ラム下端部に押し当てて拭き取ることにより行い、溶剤
としては下引き層に対してはn−ブタノール、電荷発生
層および電荷輸送層に対してはジクロルメタンをそれぞ
れ使用した。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評
価した結果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確
認された。
した後に加熱乾燥した以外は実施例1と同様の方法で下
引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。ここ
で下端部の塗膜除去は、溶剤をしみ込ませた不織布をド
ラム下端部に押し当てて拭き取ることにより行い、溶剤
としては下引き層に対してはn−ブタノール、電荷発生
層および電荷輸送層に対してはジクロルメタンをそれぞ
れ使用した。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評
価した結果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確
認された。
【0018】実施例3
各層の塗布時のパイプの浸漬速度を1000mm/mi
nとし、塗布槽からの塗布液排出流量をパイプの浸漬時
に6.54L/minとした以外は実施例2と同様の方
法で下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成し
た。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評価した結
果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確認され、
浸漬速度を速くしても効果が変わらないことが判明し
た。
nとし、塗布槽からの塗布液排出流量をパイプの浸漬時
に6.54L/minとした以外は実施例2と同様の方
法で下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成し
た。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評価した結
果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確認され、
浸漬速度を速くしても効果が変わらないことが判明し
た。
【0019】実施例4
電荷輸送層に用いたポリ(4,4−シクロヘキシリデン
ジフェニレンカーボネイト)樹脂の分子量を高めること
によって塗布液の粘度を500mPa・Sとし、さらに
電荷輸送層塗布時のパイプ引き上げ速度を150mm/
min、塗布槽からの塗布液排出流量をパイプ引き上げ
時に0.17L/minとすることにより乾燥後の電荷
輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例3と同様の
方法で下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成し
た。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評価した結
果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確認され、
塗布液の粘度が比較的高い場合でも、効果が変わらない
ことが判明した。
ジフェニレンカーボネイト)樹脂の分子量を高めること
によって塗布液の粘度を500mPa・Sとし、さらに
電荷輸送層塗布時のパイプ引き上げ速度を150mm/
min、塗布槽からの塗布液排出流量をパイプ引き上げ
時に0.17L/minとすることにより乾燥後の電荷
輸送層の膜厚を25μmとした以外は実施例3と同様の
方法で下引き層、電荷発生層および電荷輸送層を形成し
た。得られた電子写真感光体ドラムの表面を評価した結
果、何ら欠陥のない良好な塗膜であることが確認され、
塗布液の粘度が比較的高い場合でも、効果が変わらない
ことが判明した。
【0020】実施例5
電荷輸送層塗布時の塗布液供給量を3.0L/min、
排出量をパイプの浸漬時に8.54L/min、引き上
げ時に2.17L/min、パイプ未塗布時に3.0L
/minとした以外は実施例4と同様の方法で下引き
層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。得られた
電子写真感光体ドラムの表面を評価した結果、何ら欠陥
のない良好な塗膜であることが確認された。
排出量をパイプの浸漬時に8.54L/min、引き上
げ時に2.17L/min、パイプ未塗布時に3.0L
/minとした以外は実施例4と同様の方法で下引き
層、電荷発生層および電荷輸送層を形成した。得られた
電子写真感光体ドラムの表面を評価した結果、何ら欠陥
のない良好な塗膜であることが確認された。
【0021】比較例1
図5のオーバーフロー方式の浸漬塗布装置を用いて、塗
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例1と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から50mmの範囲に
凸状の塗膜欠陥が生じていることが確認された。この欠
陥部分の幾つかを塗膜面に垂直に切断し、断面を走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、電荷輸送層中の
電荷発生層との界面近傍に異物が存在することが確認さ
れた。さらに、X線マイクロアナライザー(XMA)で
分析した結果、電荷輸送層中の異物には電荷発生層の顔
料の成分である臭素(Br)が含まれていることが判明
した。
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例1と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から50mmの範囲に
凸状の塗膜欠陥が生じていることが確認された。この欠
陥部分の幾つかを塗膜面に垂直に切断し、断面を走査型
電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、電荷輸送層中の
電荷発生層との界面近傍に異物が存在することが確認さ
れた。さらに、X線マイクロアナライザー(XMA)で
分析した結果、電荷輸送層中の異物には電荷発生層の顔
料の成分である臭素(Br)が含まれていることが判明
した。
【0022】比較例2
図5のオーバーフロー方式の浸漬塗布装置を用いて、塗
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例2と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から100mmの範囲
に凸状の塗膜欠陥が生じていることが確認された。この
欠陥部分の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し
た結果、電荷発生層中の下引き層との界面近傍および電
荷輸送層中の電荷発生層との界面近傍に異物が存在する
ことが確認された。さらに、X線マイクロアナライザー
(XMA)により、電荷発生層中の異物には、下引き層
の成分であるジルコニウム(Zr)が、電荷輸送層中の
異物には電荷発生層の顔料の成分である臭素(Br)が
含まれていることが判明した。
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例2と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から100mmの範囲
に凸状の塗膜欠陥が生じていることが確認された。この
欠陥部分の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し
た結果、電荷発生層中の下引き層との界面近傍および電
荷輸送層中の電荷発生層との界面近傍に異物が存在する
ことが確認された。さらに、X線マイクロアナライザー
(XMA)により、電荷発生層中の異物には、下引き層
の成分であるジルコニウム(Zr)が、電荷輸送層中の
異物には電荷発生層の顔料の成分である臭素(Br)が
含まれていることが判明した。
【0023】比較例3
図5のオーバーフロー方式の浸漬塗布装置を用いて、塗
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例3と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から150 mmの範
囲に凸状の塗膜欠陥が生じていた。従来のオーバーフロ
ー方式の浸漬塗布では、浸漬速度を上げることにより異
物の移動が促進されるものと思われ、塗膜欠陥が増加し
てしまい、好ましくないことが確認された。
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例3と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から150 mmの範
囲に凸状の塗膜欠陥が生じていた。従来のオーバーフロ
ー方式の浸漬塗布では、浸漬速度を上げることにより異
物の移動が促進されるものと思われ、塗膜欠陥が増加し
てしまい、好ましくないことが確認された。
【0024】比較例4
図5のオーバーフロー方式の浸漬塗布装置を用いて、塗
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例4と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から200mmの範囲
に凸状の塗膜欠陥が生じていた。したがって、従来のオ
ーバーフロー方式の浸漬塗布では、塗布液の粘度が比較
的高い場合には異物の移動が促進され、好ましくないこ
とが確認された。
布槽への塗布液供給量を1.0L/minとした以外は
実施例4と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラム下端から200mmの範囲
に凸状の塗膜欠陥が生じていた。したがって、従来のオ
ーバーフロー方式の浸漬塗布では、塗布液の粘度が比較
的高い場合には異物の移動が促進され、好ましくないこ
とが確認された。
【0025】比較例5
図5のオーバーフロー方式の浸漬塗布装置を用いて、塗
布槽への塗布液供給量を3.0L/minとした以外は
実施例5と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラムのほぼ全面に凸状の塗膜欠
陥が生じていることが確認された。
布槽への塗布液供給量を3.0L/minとした以外は
実施例5と同様の方法で下引き層、電荷発生層および電
荷輸送層を形成した。得られた電子写真感光体ドラムの
表面を評価した結果、ドラムのほぼ全面に凸状の塗膜欠
陥が生じていることが確認された。
【0026】さらに、実施例2〜実施例5および比較例
2〜比較例5の電子写真感光体ドラムを電子写真複写装
置に組込んで画質を調べたところ、比較例の場合におい
ては、ベタ黒画質部に白点が、さらに白紙部に黒点が生
じており、画質欠陥となっていたのに対し、実施例の場
合には、画質に異常が認められなかった。
2〜比較例5の電子写真感光体ドラムを電子写真複写装
置に組込んで画質を調べたところ、比較例の場合におい
ては、ベタ黒画質部に白点が、さらに白紙部に黒点が生
じており、画質欠陥となっていたのに対し、実施例の場
合には、画質に異常が認められなかった。
【0027】
【発明の効果】上記の比較から明らかなように、本発明
の浸漬塗布方法によれば、被塗布物の浸漬および引き上
げの間、常に塗布液をダウンフローする状態としている
ので、被塗布物外周面と塗布液の相対速度により生じる
ずり応力を常に小さく抑えることが可能であり、このず
り応力による異物の発生を防止でき、また、たとえ異物
の発生があっても、塗布液が常にダウンフローすること
により、発生した異物は塗布液により洗い流される作用
が加わり、被塗布物表面への再付着を防止できる。さら
に、このずり応力を増加させずに被塗布物の浸漬速度を
上げることも可能であり、生産性を向上させる点でも有
利である。
の浸漬塗布方法によれば、被塗布物の浸漬および引き上
げの間、常に塗布液をダウンフローする状態としている
ので、被塗布物外周面と塗布液の相対速度により生じる
ずり応力を常に小さく抑えることが可能であり、このず
り応力による異物の発生を防止でき、また、たとえ異物
の発生があっても、塗布液が常にダウンフローすること
により、発生した異物は塗布液により洗い流される作用
が加わり、被塗布物表面への再付着を防止できる。さら
に、このずり応力を増加させずに被塗布物の浸漬速度を
上げることも可能であり、生産性を向上させる点でも有
利である。
【0028】
【図1】 本発明の塗布装置の概略断面図である。
【図2】 塗布槽からの塗布液排出流量の調整パターン
を模式的に表すグラフである。
を模式的に表すグラフである。
【図3】 本発明の塗布装置の他の実施例を示す概略断
面図である。
面図である。
【図4】 本発明の塗布装置の他の実施例を示す概略断
面図である。
面図である。
【図5】 従来のオーバーフロー方式の塗布装置の概略
断面図である。
断面図である。
1…塗布槽、1a…塗布槽側壁、1b…オーバーフロー
面、1c…オーバーフロー受け、1d…塗布液供給口、
2…塗布液、2a…オーバーフロー塗布液、3…タン
ク、4…塗布液供給配管、5…塗布液供給用ポンプ、6
…フィルター、7、7’…塗布液排出口、7a、7b、
7c…塗布液排出経路、8、8’…塗布液排出配管、9
…被塗布物、10…塗布液排出用ポンプ、11…流量
計、12…フィードバック制御系、13a、13b、1
3c…流量調整弁、14a、14b、14c…自動開閉
弁。
面、1c…オーバーフロー受け、1d…塗布液供給口、
2…塗布液、2a…オーバーフロー塗布液、3…タン
ク、4…塗布液供給配管、5…塗布液供給用ポンプ、6
…フィルター、7、7’…塗布液排出口、7a、7b、
7c…塗布液排出経路、8、8’…塗布液排出配管、9
…被塗布物、10…塗布液排出用ポンプ、11…流量
計、12…フィードバック制御系、13a、13b、1
3c…流量調整弁、14a、14b、14c…自動開閉
弁。
Claims (2)
- 【請求項1】 塗布槽内に収容されている塗布液内に被
塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げることによ
って塗布液を塗布する方法において、塗布槽側壁の上端
部より塗布液を供給し、かつ塗布槽底部より塗布液を排
出することにより、被塗布物の浸漬および引き上げの
間、塗布液をダウンフローする状態で行うことを特徴と
する浸漬塗布方法。 - 【請求項2】 塗布槽内に収容されている塗布液内に被
塗布物を浸漬し、次いで被塗布物を引き上げることによ
って塗布液を塗布する浸漬塗布装置において、塗布槽側
壁の上端部に設けられた塗布液供給口、塗布槽底部に設
けられた塗布液排出口を具備する事により、被塗布物の
浸漬および引き上げの間、塗布液をダウンフローする状
態で行うことを特徴とする浸漬塗布装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20003691A JPH0515826A (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 浸漬塗布方法および浸漬塗布装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20003691A JPH0515826A (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 浸漬塗布方法および浸漬塗布装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0515826A true JPH0515826A (ja) | 1993-01-26 |
Family
ID=16417760
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20003691A Pending JPH0515826A (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 浸漬塗布方法および浸漬塗布装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0515826A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007033691A (ja) * | 2005-07-25 | 2007-02-08 | Fuji Xerox Co Ltd | 塗布装置、及び無端ベルトの製造方法 |
JP2019024035A (ja) * | 2017-07-24 | 2019-02-14 | シャープ株式会社 | 光電変換素子の製造方法 |
-
1991
- 1991-07-15 JP JP20003691A patent/JPH0515826A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007033691A (ja) * | 2005-07-25 | 2007-02-08 | Fuji Xerox Co Ltd | 塗布装置、及び無端ベルトの製造方法 |
JP4561514B2 (ja) * | 2005-07-25 | 2010-10-13 | 富士ゼロックス株式会社 | 塗布装置、及び無端ベルトの製造方法 |
JP2019024035A (ja) * | 2017-07-24 | 2019-02-14 | シャープ株式会社 | 光電変換素子の製造方法 |
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