JPH05156386A - 繊維強化複合材料 - Google Patents
繊維強化複合材料Info
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- JPH05156386A JPH05156386A JP32265891A JP32265891A JPH05156386A JP H05156386 A JPH05156386 A JP H05156386A JP 32265891 A JP32265891 A JP 32265891A JP 32265891 A JP32265891 A JP 32265891A JP H05156386 A JPH05156386 A JP H05156386A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 アルミニウムをマトリックスとした、軽量か
つ高強度な繊維強化複合材料を提供すること。 【構成】 気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とニッケ
ル微粒子とで構成された強化材をアルミニウム中に分散
させてなる繊維強化複合材料であり、前記黒鉛化繊維の
表面に、ニッケル粒子が、黒鉛化繊維の表面積に対し
て、5〜80%の割合で結合していることを特徴とする
繊維強化複合材料。
つ高強度な繊維強化複合材料を提供すること。 【構成】 気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とニッケ
ル微粒子とで構成された強化材をアルミニウム中に分散
させてなる繊維強化複合材料であり、前記黒鉛化繊維の
表面に、ニッケル粒子が、黒鉛化繊維の表面積に対し
て、5〜80%の割合で結合していることを特徴とする
繊維強化複合材料。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、繊維強化複合材料に
関する。さらに詳しくは、アルミニウムをマトリックス
とした軽量かつ高強度な繊維強化複合材料に関する。
関する。さらに詳しくは、アルミニウムをマトリックス
とした軽量かつ高強度な繊維強化複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、ア
ルミニウム合金は軽合金として最も一般的であるので、
その機械的強度を改善する目的で、炭素繊維などをマト
リックス(複合母材)中に強化材として分散させた炭素
繊維複合材料などが検討されている。しかしながら、炭
素繊維はアルミニウムに比べて軽量ではあるものの、ア
ルミニウムとの反応の問題が生じる。
ルミニウム合金は軽合金として最も一般的であるので、
その機械的強度を改善する目的で、炭素繊維などをマト
リックス(複合母材)中に強化材として分散させた炭素
繊維複合材料などが検討されている。しかしながら、炭
素繊維はアルミニウムに比べて軽量ではあるものの、ア
ルミニウムとの反応の問題が生じる。
【0003】そのほかの強化材として針状単結晶である
ウイスカーがある。その機械的特性は理論値に近い値を
示すことから、繊維強化複合材料の一般的な強化材、例
えばカーボンファイバー、アラミド繊維等の繊維よりも
一層優れた強化材として注目されている。ウイスカーと
しては、炭化ケイ素、チタン酸カリウム、アルミナ等の
ウイスカーが知られているが、いずれもマトリックスで
あるアルミニウムよりも比重が大きく、機械的強度と共
に繊維強化複合材料にとって重要な課題である、軽量化
の要求に応えることができない。
ウイスカーがある。その機械的特性は理論値に近い値を
示すことから、繊維強化複合材料の一般的な強化材、例
えばカーボンファイバー、アラミド繊維等の繊維よりも
一層優れた強化材として注目されている。ウイスカーと
しては、炭化ケイ素、チタン酸カリウム、アルミナ等の
ウイスカーが知られているが、いずれもマトリックスで
あるアルミニウムよりも比重が大きく、機械的強度と共
に繊維強化複合材料にとって重要な課題である、軽量化
の要求に応えることができない。
【0004】ところで、ベンゼン、メタン等の原料と水
素等のキャリアガスとの混合ガスを、触媒となる金属超
微粒子の存在下に、あるいは、触媒となる金属化合物と
共に、加熱することにより気相中で製造される気相成長
炭素繊維[VGCF(VaporGrown Carbon Fiber)]
は、PAN系炭素繊維(ポリアクリロニトリル系炭素繊
維)よりも機械的特性に優れていることが知られてい
る。この気相成長炭素繊維の表面は比較的に結晶欠陥が
少なくて耐酸化性にも優れている。また、この気相成長
炭素繊維は易黒鉛化性であり、熱処理温度が高くなるに
したがい繊維内に存在する結晶欠陥は減少し、2,80
0℃以上の温度で熱処理するとほとんど結晶欠陥がなく
なり、この時点ではグラファイトウイスカーと呼ぶこと
ができる。一方、繊維の強度は結晶欠陥が少なくなるほ
ど強くなる。
素等のキャリアガスとの混合ガスを、触媒となる金属超
微粒子の存在下に、あるいは、触媒となる金属化合物と
共に、加熱することにより気相中で製造される気相成長
炭素繊維[VGCF(VaporGrown Carbon Fiber)]
は、PAN系炭素繊維(ポリアクリロニトリル系炭素繊
維)よりも機械的特性に優れていることが知られてい
る。この気相成長炭素繊維の表面は比較的に結晶欠陥が
少なくて耐酸化性にも優れている。また、この気相成長
炭素繊維は易黒鉛化性であり、熱処理温度が高くなるに
したがい繊維内に存在する結晶欠陥は減少し、2,80
0℃以上の温度で熱処理するとほとんど結晶欠陥がなく
なり、この時点ではグラファイトウイスカーと呼ぶこと
ができる。一方、繊維の強度は結晶欠陥が少なくなるほ
ど強くなる。
【0005】しかし、気相成長炭素繊維や面間隔(d
002 )が3.45Å以下で、Lcが350Å以上である
黒鉛化繊維はマトリックスに対する濡れ性や接着性に問
題があり、繊維強化複合材料の強化材として使用する場
合に、前記気相成長炭素繊維や黒鉛化繊維の表面改質を
行なうことが必要である。金属をマトリックスとした繊
維強化複合材料を製造する場合、前記繊維の表面改質方
法として、繊維にコーティングを施す方法が知られてい
る。前記コーティング材としては、例えばNi、Ag、
Cu、Ta、B、Si等を挙げることができる。アルミ
ニウムをマトリックスとした場合の、繊維表面改質方法
としては、繊維の全表面に化学蒸着、物理蒸着などによ
って、ニッケルの金属皮膜をコーティングする方法が知
られている。
002 )が3.45Å以下で、Lcが350Å以上である
黒鉛化繊維はマトリックスに対する濡れ性や接着性に問
題があり、繊維強化複合材料の強化材として使用する場
合に、前記気相成長炭素繊維や黒鉛化繊維の表面改質を
行なうことが必要である。金属をマトリックスとした繊
維強化複合材料を製造する場合、前記繊維の表面改質方
法として、繊維にコーティングを施す方法が知られてい
る。前記コーティング材としては、例えばNi、Ag、
Cu、Ta、B、Si等を挙げることができる。アルミ
ニウムをマトリックスとした場合の、繊維表面改質方法
としては、繊維の全表面に化学蒸着、物理蒸着などによ
って、ニッケルの金属皮膜をコーティングする方法が知
られている。
【0006】しかしながら、気相成長炭素繊維は、金属
を均一にコーティングするのが困難であり、コーティン
グしたとしても気相成長炭素繊維と金属との十分な接着
力が得られない。一方、繊維表面のニッケルとマトリッ
クスであるアルミニウムとが強力に結合するので、繊維
とコーティングとの間に剥離が生じ易く、結果として繊
維強化複合材料の強度を低下させてしまうといった問題
がある。本発明は、前記事情に基ずいてなされたもので
ある。すなわち、本発明の目的は、アルミニウムをマト
リックスとした、軽量かつ高強度な繊維強化複合材料を
提供することにある。
を均一にコーティングするのが困難であり、コーティン
グしたとしても気相成長炭素繊維と金属との十分な接着
力が得られない。一方、繊維表面のニッケルとマトリッ
クスであるアルミニウムとが強力に結合するので、繊維
とコーティングとの間に剥離が生じ易く、結果として繊
維強化複合材料の強度を低下させてしまうといった問題
がある。本発明は、前記事情に基ずいてなされたもので
ある。すなわち、本発明の目的は、アルミニウムをマト
リックスとした、軽量かつ高強度な繊維強化複合材料を
提供することにある。
【0007】
【前記課題を解決するための手段】前記目的を達成する
ための本発明は、ニッケル微粒子を気相成長炭素繊維の
表面に、気相成長炭素繊維の全表面積の5〜80%の割
合で、被覆してなる強化材を、アルミニウム中に分散し
てなることを特徴とする繊維強化複合材料である。
ための本発明は、ニッケル微粒子を気相成長炭素繊維の
表面に、気相成長炭素繊維の全表面積の5〜80%の割
合で、被覆してなる強化材を、アルミニウム中に分散し
てなることを特徴とする繊維強化複合材料である。
【0008】
【作用】表面にニッケル微粒子をメカノケミカル結合さ
せた気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維を強化材とし、
これをマトリックスであるアルミニウム中に分散させる
ことで、気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とアルミニ
ウムとの境界領域に高強度なNi3 Alが形成され、前
記気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維がアルミニウム中
に固定される。本発明では、気相成長炭素繊維または黒
鉛化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割り合
いが5〜80%の範囲なので、気相成長炭素繊維単体ま
たは黒鉛化繊維単体が有する弾性を、繊維強化複合材料
に付与することができ、しかも、気相成長炭素繊維また
は黒鉛化繊維とニッケル微粒子とが結合しているので、
その結果、マトリックスであるアルミニウムの機械的強
度の向上が達成されると共にマトリックスであるアルミ
ニウムと気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維の表面との
剥離も生じないから、機械的強度の低下がない。
せた気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維を強化材とし、
これをマトリックスであるアルミニウム中に分散させる
ことで、気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とアルミニ
ウムとの境界領域に高強度なNi3 Alが形成され、前
記気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維がアルミニウム中
に固定される。本発明では、気相成長炭素繊維または黒
鉛化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割り合
いが5〜80%の範囲なので、気相成長炭素繊維単体ま
たは黒鉛化繊維単体が有する弾性を、繊維強化複合材料
に付与することができ、しかも、気相成長炭素繊維また
は黒鉛化繊維とニッケル微粒子とが結合しているので、
その結果、マトリックスであるアルミニウムの機械的強
度の向上が達成されると共にマトリックスであるアルミ
ニウムと気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維の表面との
剥離も生じないから、機械的強度の低下がない。
【0009】
【実施例】以下、本発明の好適な態様について詳細に説
明する。なお、本発明は以下に説明する好適な態様に限
定されず、本発明の要旨の範囲で様々に変形して実施す
ることができる。 (1)気相成長炭素繊維及び黒鉛化繊維 気相成長炭素繊維としては、例えば所謂創生微細炭素繊
維を挙げることができる。
明する。なお、本発明は以下に説明する好適な態様に限
定されず、本発明の要旨の範囲で様々に変形して実施す
ることができる。 (1)気相成長炭素繊維及び黒鉛化繊維 気相成長炭素繊維としては、例えば所謂創生微細炭素繊
維を挙げることができる。
【0010】前記創生微細炭素繊維としては、たとえ
ば、シード法や、流動法による気相成長炭素繊維等を挙
げることができる。この気相成長炭素繊維は、たとえ
ば、ベンゼン、メタン、一酸化炭素等の炭素化合物と、
触媒である鉄、ニッケル等を含有する有機繊維金属化合
物のガスと、水素等のキャリヤガスとの混合ガスを1,
000〜1,300℃の炉内で加熱して得ることができ
る。
ば、シード法や、流動法による気相成長炭素繊維等を挙
げることができる。この気相成長炭素繊維は、たとえ
ば、ベンゼン、メタン、一酸化炭素等の炭素化合物と、
触媒である鉄、ニッケル等を含有する有機繊維金属化合
物のガスと、水素等のキャリヤガスとの混合ガスを1,
000〜1,300℃の炉内で加熱して得ることができ
る。
【0011】前記気相成長炭素繊維は、前記例示の製造
方法により得られるものに限定されず、要するに、炭素
源となる化合物を遷移金属の触媒作用により浮遊状態で
炭素繊維を形成することができる製造方法により得られ
るものであれば、どのような製造方法により得られるも
のであっても良い。なお、基板上で生成した基板成長炭
素繊維を使用することもできる。
方法により得られるものに限定されず、要するに、炭素
源となる化合物を遷移金属の触媒作用により浮遊状態で
炭素繊維を形成することができる製造方法により得られ
るものであれば、どのような製造方法により得られるも
のであっても良い。なお、基板上で生成した基板成長炭
素繊維を使用することもできる。
【0012】本発明においては、前記気相成長炭素繊維
を熱処理して得られる黒鉛化繊維を特に好適に使用する
ことができる。前記黒鉛化繊維は、たとえば、前記気相
成長炭素繊維を、不活性雰囲気中、2,000℃以上で
5分間以上加熱することにより得ることができる。
を熱処理して得られる黒鉛化繊維を特に好適に使用する
ことができる。前記黒鉛化繊維は、たとえば、前記気相
成長炭素繊維を、不活性雰囲気中、2,000℃以上で
5分間以上加熱することにより得ることができる。
【0013】なお、前記黒鉛化繊維のアスペクト比は、
通常、200以下、好ましくは2〜150、さらに好ま
しくは50〜100である。このアスペクト比が200
を超えると、グラファイトウイスカー間の凝集力が高ま
るので、黒鉛化繊維の均一な分散が困難になることがあ
る。
通常、200以下、好ましくは2〜150、さらに好ま
しくは50〜100である。このアスペクト比が200
を超えると、グラファイトウイスカー間の凝集力が高ま
るので、黒鉛化繊維の均一な分散が困難になることがあ
る。
【0014】(2)強化材の製造 本発明においては気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維の
表面にニッケル微粒子を結合し、これを強化材として使
用する。なお、アルミニウムマトリックスに対する強化
材は、ニッケル微粒子を結合した気相成長炭素繊維だけ
であっても良いし、ニッケル微粒子を結合した黒鉛化繊
維だけであっても良いし、又、ニッケル微粒子を結合し
た気相成長炭素繊維とニッケル微粒子を結合した黒鉛化
繊維との混合物であっても良い。
表面にニッケル微粒子を結合し、これを強化材として使
用する。なお、アルミニウムマトリックスに対する強化
材は、ニッケル微粒子を結合した気相成長炭素繊維だけ
であっても良いし、ニッケル微粒子を結合した黒鉛化繊
維だけであっても良いし、又、ニッケル微粒子を結合し
た気相成長炭素繊維とニッケル微粒子を結合した黒鉛化
繊維との混合物であっても良い。
【0015】前記ニッケル微粒子の粒子径は、0.1μ
m以下の範囲であって、細かいほど良く、通常は0.0
1〜0.05μmが用いられる。
m以下の範囲であって、細かいほど良く、通常は0.0
1〜0.05μmが用いられる。
【0016】本発明では、気相成長炭素繊維または黒鉛
化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割り合い
が5〜80%の範囲であり、好ましくは、10〜50%
の範囲である。 ニッケル微粒子の被覆割合が前記範囲
内にあることにより、マトリックスであるアルミニウム
と気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維との親和性が向上
し、繊維強化複合材料の強度が向上する。
化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割り合い
が5〜80%の範囲であり、好ましくは、10〜50%
の範囲である。 ニッケル微粒子の被覆割合が前記範囲
内にあることにより、マトリックスであるアルミニウム
と気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維との親和性が向上
し、繊維強化複合材料の強度が向上する。
【0017】ニッケル微粒子を気相成長炭素繊維および
/または黒鉛化繊維の表面に結合させるには次の方法が
有効である。すなわち、気相成長炭素繊維及び黒鉛化繊
維を、ニッケル製の内壁面を備える容器内で、撹乱混合
する。
/または黒鉛化繊維の表面に結合させるには次の方法が
有効である。すなわち、気相成長炭素繊維及び黒鉛化繊
維を、ニッケル製の内壁面を備える容器内で、撹乱混合
する。
【0018】前記容器は、少なくともその内壁面が前述
ニッケル製であれば良く、内壁面以外の部分を前述の内
壁面形成材料とは異なる材料で形成してなるものであっ
てもよい。
ニッケル製であれば良く、内壁面以外の部分を前述の内
壁面形成材料とは異なる材料で形成してなるものであっ
てもよい。
【0019】本発明の方法においては、気相成長炭素繊
維及び/または黒鉛化繊維を前記容器内で撹乱混合し
て、前記容器の内壁面を形成するニッケルを、前記気相
成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に付着させ
る。ここで、撹乱混合とは、具体的には、たとえば図1
に示すように、内壁面がニッケルからなるとともに、気
流の通路である自己循環回路1、衝撃羽根2を有する容
器3に、前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維
を入れて、高速回転、高速衝撃を与えつつ前記気相成長
炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を混合すればよい。こ
の撹乱混合により、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維に、高圧縮力、高衝撃力が加えられて、前記
気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に前記
容器の内壁面形成材料であるニッケルの粒子が付着し
て、これにより前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛
化繊維の表面にニッケル微粒子が結合する。
維及び/または黒鉛化繊維を前記容器内で撹乱混合し
て、前記容器の内壁面を形成するニッケルを、前記気相
成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に付着させ
る。ここで、撹乱混合とは、具体的には、たとえば図1
に示すように、内壁面がニッケルからなるとともに、気
流の通路である自己循環回路1、衝撃羽根2を有する容
器3に、前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維
を入れて、高速回転、高速衝撃を与えつつ前記気相成長
炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を混合すればよい。こ
の撹乱混合により、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維に、高圧縮力、高衝撃力が加えられて、前記
気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に前記
容器の内壁面形成材料であるニッケルの粒子が付着し
て、これにより前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛
化繊維の表面にニッケル微粒子が結合する。
【0020】また、たとえば高速振動、高速衝撃を与え
つつ前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を混
合することによっても撹乱混合することが可能である。
さらにまた、内壁面がニッケル製である前記容器内に気
相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維とニッケル粉と
を収容し、高速で前記容器を回転させることにより、撹
乱混合を行い、気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊
維の表面にニッケル微粒子を結合させることができる。
つつ前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を混
合することによっても撹乱混合することが可能である。
さらにまた、内壁面がニッケル製である前記容器内に気
相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維とニッケル粉と
を収容し、高速で前記容器を回転させることにより、撹
乱混合を行い、気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊
維の表面にニッケル微粒子を結合させることができる。
【0021】なお、この場合、前記撹乱混合を行うと何
故に気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に
ニッケル微粒子が結合するのかの、理論的解明は未だな
されていない。理論的に解明されていないにもかかわら
ず、現象として、撹乱混合することにより、気相成長炭
素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に単なる付着では
なく、付着以上の何らかの結合力によりメカノケミカル
的にニッケル微粒子が結合することは、驚くべきことと
言うべきである。本発明は、かかる現象を利用して成り
立つものである。
故に気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に
ニッケル微粒子が結合するのかの、理論的解明は未だな
されていない。理論的に解明されていないにもかかわら
ず、現象として、撹乱混合することにより、気相成長炭
素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面に単なる付着では
なく、付着以上の何らかの結合力によりメカノケミカル
的にニッケル微粒子が結合することは、驚くべきことと
言うべきである。本発明は、かかる現象を利用して成り
立つものである。
【0022】撹乱混合に要する時間は、前記容器の回転
数や振動数、前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化
繊維の種類、ニッケル微粒子の結合量、容器の規模等に
より相違するので、一様に規定することはできない。
数や振動数、前記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化
繊維の種類、ニッケル微粒子の結合量、容器の規模等に
より相違するので、一様に規定することはできない。
【0023】このような撹乱混合によりニッケル微粒子
が気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面にメ
カノケミカル的に化学結合する。特にこの撹乱混合をす
ると、黒煙化繊維の中でも、面間隔(d002 )が3.4
5Å以下、LCが350Å以上の黒鉛化繊維の表面に、
ニッケル微粒子を好適に結合することができる。
が気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維の表面にメ
カノケミカル的に化学結合する。特にこの撹乱混合をす
ると、黒煙化繊維の中でも、面間隔(d002 )が3.4
5Å以下、LCが350Å以上の黒鉛化繊維の表面に、
ニッケル微粒子を好適に結合することができる。
【0024】なお、ニッケル微粒子を表面に結合する前
記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を、アルミ
ニウム中に分散させるに当たり、たとえばコロナ放電処
理、酸処理、金属メッキ処理、処理等の表面処理を組み
合わせることも可能である。
記気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維を、アルミ
ニウム中に分散させるに当たり、たとえばコロナ放電処
理、酸処理、金属メッキ処理、処理等の表面処理を組み
合わせることも可能である。
【0025】(3)繊維強化複合材料の製造 本発明の繊維強化複合材料は、表面にニッケル微粒子を
結合させた気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維で
ある強化材とマトリックスであるアルミニウム粉とを延
性のある金属カプセルに充填、密封した後、高圧容器中
に収納し、高温、高圧ガスを導入することで焼結させる
焼結法や、金型内に前記強化材を設置した後、金属溶湯
を注入し、静水圧加圧を与えて凝固させる溶湯鍛造法
等、従来から公知の方法により製造することができる。
結合させた気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維で
ある強化材とマトリックスであるアルミニウム粉とを延
性のある金属カプセルに充填、密封した後、高圧容器中
に収納し、高温、高圧ガスを導入することで焼結させる
焼結法や、金型内に前記強化材を設置した後、金属溶湯
を注入し、静水圧加圧を与えて凝固させる溶湯鍛造法
等、従来から公知の方法により製造することができる。
【0026】気相成長炭素繊維及び/または黒鉛化繊維
の表面に結合しているニッケル微粒子とアルミニウムと
が化合することで、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維とアルミニウムとの境界部分に高強度なNi
3 Alが形成され、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維がアルミニウム中に固定される。前述したよ
うに、本発明では、気相成長炭素繊維及び/または黒鉛
化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割合が5
〜80%の範囲なので、気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維が本来有している弾性を失うことがなく、ニ
ッケル被覆されていない気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維単体の部分が、繊維強化複合材料に前記弾性
を付与することができる。
の表面に結合しているニッケル微粒子とアルミニウムと
が化合することで、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維とアルミニウムとの境界部分に高強度なNi
3 Alが形成され、前記気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維がアルミニウム中に固定される。前述したよ
うに、本発明では、気相成長炭素繊維及び/または黒鉛
化繊維の表面積に対するニッケル微粒子の被覆割合が5
〜80%の範囲なので、気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維が本来有している弾性を失うことがなく、ニ
ッケル被覆されていない気相成長炭素繊維及び/または
黒鉛化繊維単体の部分が、繊維強化複合材料に前記弾性
を付与することができる。
【0027】マトリックスであるアルミニウムに対し、
前記強化材の配合量は、体積含有率(Vf)で5〜30
%の範囲が好ましい。以下、具体的な実施例により本発
明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例
に限定されるものではない。
前記強化材の配合量は、体積含有率(Vf)で5〜30
%の範囲が好ましい。以下、具体的な実施例により本発
明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例
に限定されるものではない。
【0028】(実施例1)気相成長炭素繊維を、アルゴ
ンガス雰囲気中、温度2,800℃で30分間処理する
ことにより、平均繊維径1μm、平均繊維長80μmの
黒鉛化繊維を得た。次に、黒鉛化繊維とニッケル微粒子
[粒径0.02μm、真空冶金(株)製]とを、黒鉛化
繊維対ニッケル微粒子の重量比が5:1になるように混
合し、混合装置を使用して、回転数7,200(回転/
分)で2分間回転処理を行ない強化材を製造した。この
強化材中には、表面積の50%の割合でニッケル微粒子
が含まれていた。
ンガス雰囲気中、温度2,800℃で30分間処理する
ことにより、平均繊維径1μm、平均繊維長80μmの
黒鉛化繊維を得た。次に、黒鉛化繊維とニッケル微粒子
[粒径0.02μm、真空冶金(株)製]とを、黒鉛化
繊維対ニッケル微粒子の重量比が5:1になるように混
合し、混合装置を使用して、回転数7,200(回転/
分)で2分間回転処理を行ない強化材を製造した。この
強化材中には、表面積の50%の割合でニッケル微粒子
が含まれていた。
【0029】その後、アルミニウムをマトリックスと
し、マトリックス中で前記強化材の占める体積含有率
(Vf)が10%になるように、前記強化材を加えて、
圧力250kg/cm2 、温度600℃の条件下1時
間、焼結法により繊維強化複合材料を製造した。得られ
た繊維強化複合材料の曲げ強度および曲げ弾性率を測定
した。結果を表1に示す。曲げ強度及び曲げ弾性率は、
3点曲げ法によった。
し、マトリックス中で前記強化材の占める体積含有率
(Vf)が10%になるように、前記強化材を加えて、
圧力250kg/cm2 、温度600℃の条件下1時
間、焼結法により繊維強化複合材料を製造した。得られ
た繊維強化複合材料の曲げ強度および曲げ弾性率を測定
した。結果を表1に示す。曲げ強度及び曲げ弾性率は、
3点曲げ法によった。
【0030】(比較例1)金属アルミニウム単体に対
し、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率
を測定した。結果を表1に示す。
し、実施例1と同様にして、曲げ強度および曲げ弾性率
を測定した。結果を表1に示す。
【0031】(比較例2)黒鉛化繊維とニッケル微粒子
とを混合し、前記実施例と同様にして、5%未満のニッ
ケル微粒子が含まれている強化材を製造した。
とを混合し、前記実施例と同様にして、5%未満のニッ
ケル微粒子が含まれている強化材を製造した。
【0032】この強化材を使用して前記実施例と同様に
実施して繊維強化複合材料を製造した。
実施して繊維強化複合材料を製造した。
【0033】この繊維強化複合材料につき、前記実施例
1と同様にして、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
その結果を表1に示す。
1と同様にして、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
その結果を表1に示す。
【0034】(比較例3)黒鉛化繊維とニッケル微粒子
とを混合し、前記実施例と同様にして、80%をはるか
に越える量のニッケル微粒子が含まれている強化材を製
造した。
とを混合し、前記実施例と同様にして、80%をはるか
に越える量のニッケル微粒子が含まれている強化材を製
造した。
【0035】この強化材を使用して前記実施例と同様に
実施して繊維強化複合材料を製造した。
実施して繊維強化複合材料を製造した。
【0036】この繊維強化複合材料につき、前記実施例
1と同様にして、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
その結果を表1に示す。
1と同様にして、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
その結果を表1に示す。
【0037】(実施例2)前記実施例1における黒鉛化
繊維の代わりに前記実施例1における気相成長炭素繊維
を使用した他は前記実施例1と同様に実施した。
繊維の代わりに前記実施例1における気相成長炭素繊維
を使用した他は前記実施例1と同様に実施した。
【0038】前記実施例1と同様に繊維強化複合材料を
製造し、前記実施例1と同様に評価した。結果を表1に
示す。
製造し、前記実施例1と同様に評価した。結果を表1に
示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明によると、マトリックスであるア
ルミニウム中に分散されている強化材が、比重の小さい
気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とニッケル微粒子と
で形成されており、前記ニッケル微粒子が気相成長炭素
繊維または黒鉛化繊維の表面積に対して5〜80%の割
り合いでこれを被覆し結合しているので、軽量かつ高強
度な繊維強化複合材料を提供することができる。
ルミニウム中に分散されている強化材が、比重の小さい
気相成長炭素繊維または黒鉛化繊維とニッケル微粒子と
で形成されており、前記ニッケル微粒子が気相成長炭素
繊維または黒鉛化繊維の表面積に対して5〜80%の割
り合いでこれを被覆し結合しているので、軽量かつ高強
度な繊維強化複合材料を提供することができる。
【図1】図1はニッケル微粒子を黒鉛化繊維の表面に結
合するための一装置を示す説明図である。
合するための一装置を示す説明図である。
1 自己循環回路 2 衝撃羽根 3 容器
Claims (2)
- 【請求項1】 ニッケル微粒子を気相成長炭素繊維の表
面に、気相成長炭素繊維の全表面積の5〜80%の割合
で、被覆してなる強化材を、アルミニウム中に分散して
なることを特徴とする繊維強化複合材料。 - 【請求項2】 面間隔(d002 )が3.45Å以下、L
Cが350Å以上の黒鉛化繊維にニッケル微粒子を黒鉛
化繊維の全表面積の5〜80%の割合で被覆してなる強
化材を、アルミニウム中に分散してなることを特徴とす
る繊維強化複合材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32265891A JPH05156386A (ja) | 1991-12-06 | 1991-12-06 | 繊維強化複合材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32265891A JPH05156386A (ja) | 1991-12-06 | 1991-12-06 | 繊維強化複合材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05156386A true JPH05156386A (ja) | 1993-06-22 |
Family
ID=18146157
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32265891A Withdrawn JPH05156386A (ja) | 1991-12-06 | 1991-12-06 | 繊維強化複合材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05156386A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002059257A (ja) * | 2000-08-11 | 2002-02-26 | Yazaki Corp | 複合材料 |
JP2002348741A (ja) * | 2001-03-21 | 2002-12-04 | Morinobu Endo | 気相成長法による炭素繊維およびこれを用いた複合材 |
JP2013231245A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 表面処理された炭素繊維および炭素繊維−樹脂複合材料。 |
-
1991
- 1991-12-06 JP JP32265891A patent/JPH05156386A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002059257A (ja) * | 2000-08-11 | 2002-02-26 | Yazaki Corp | 複合材料 |
JP2002348741A (ja) * | 2001-03-21 | 2002-12-04 | Morinobu Endo | 気相成長法による炭素繊維およびこれを用いた複合材 |
JP2013231245A (ja) * | 2012-04-27 | 2013-11-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 表面処理された炭素繊維および炭素繊維−樹脂複合材料。 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990311 |