JPH0515583A - 生体細胞接着性材料 - Google Patents

生体細胞接着性材料

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JPH0515583A
JPH0515583A JP3198840A JP19884091A JPH0515583A JP H0515583 A JPH0515583 A JP H0515583A JP 3198840 A JP3198840 A JP 3198840A JP 19884091 A JP19884091 A JP 19884091A JP H0515583 A JPH0515583 A JP H0515583A
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cell
cells
adhesive material
vital
cell adhesive
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JP3198840A
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Tadashi Samejima
正 鮫島
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Terumo Corp
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生体内基底膜の構成成分に近似し、高い生体
細胞接着性を有する生体細胞接着性材料を提供する。 【構成】 水晶体上皮細胞または角膜内皮細胞を、血清
存在下で培養し、増殖させることにより、前記細胞が産
生したシート状組成物を用いた生体細胞接着性材料であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医生物学研究用若しく
は治療用に用いられる培養用基材、移植用材料あるいは
治療用原材料などに使用される生体細胞接着性材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】生体内基底膜は、上皮細胞、内皮細胞お
よび中皮細胞の基底面に存在するコラーゲンと糖蛋白質
を主成分とする細胞間質であり、タイプIVコラーゲン、
ラミニン、フィブロネクチンなどの糖タンパク質により
構成されているといわれている。現在、基底膜は、細胞
の接着層としての役割に加えてガンの転移や上皮−間充
織系における上皮細胞の増殖制御の調整など、生物学的
重要な役割を果たしていることが判明してきている。そ
して、医生物学研究用若しくは治療用に用いられる培養
用基材、移植用材料あるいは治療用原材料などに使用さ
れる生体細胞接着性材料としては、人工基底膜がある。
しかし、生体内基底膜を人工的に作成することは極めて
困難である。
【0003】従来の人工基底膜としては、例えば、タイ
プIコラーゲンを培養皿を用いて培養し膜状としたもの
があるが、この人工基底膜は、細胞接着性は良好である
が、天然の基底膜とはその性質が大きく異なっている。
すなわち、天然の基底膜はコラーゲン、ラミニン等の複
合体であるのに対し、タイプIコラーゲンは単一物質で
あり、細胞接着に関する機序が全く同一であるとは考え
られない。また、天然の基底膜の主成分であるタイプIV
コラーゲンはシート状網目構造を形成するのに対し、タ
イプIコラーゲンはコラーゲン原繊維を形成する解き、
構造的な面においても大きく相違する。
【0004】また、人工基底膜として、ラミニン、タイ
プIVコラーゲン、HSPGS(ヘパラン硫酸、プロテオ
グリカンなど)を主成分として再構成させる方法により
形成するものがある(特開昭62−270162号公
報)。しかし、この方法で作成された人工基底膜は、生
体組織内のものとは著しくその構造が異なっていた。さ
らに、マウス腫瘍細胞である Engelbreth-Holm-Swarm S
arcoma(EHS)が産生する基底膜様物質からは、不溶
性のマトリックスになる前の種々の基底膜成分の抽出が
可能であることから基底膜成分の原料としてや細胞と基
底膜との接着、相互作用の試験用の材料として用いられ
ている。しかし、容易に成分の抽出が可能であることか
ら、逆に生体内での基底膜構造を正確に再現したもので
はない。
【0005】そこで、生体内で最も厚い基底膜のひとつ
である水晶体カプセルをそのまま培養用基材として用い
る報告もあるがカプセルのみを単離するのが難しく、ま
た、一個体から採取できるものは、そのままの大きさで
あり、かつ2枚のカプセルのみしか得られず、効率の点
においても問題もある。そして、人工基底膜として、コ
ラーゲン中で培養した繊維芽細胞を基板とし、そのうえ
にIV型コラーゲン、糖タンパク質、ムコ他糖類を含む構
造成分を重層し、生理的条件でゲル化させることにより
得られたものが提案されている(特開昭62−2701
62号公報)。しかしながら、この方法で作成された人
工基底膜も、生体組織内のものとは著しく異なってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、このような従来の種々の問題点に鑑みてなされたも
のであり、生体内基底膜の構成成分に近似し、高い生体
細胞接着性を有する生体細胞接着性材料を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するもの
は、水晶体上皮細胞または角膜内皮細胞を、血清存在下
で培養し、増殖させることにより、前記細胞が産生した
シート状組成物を用いたことを特徴とする生体細胞接着
性材料であある。そして、前記細胞は、哺乳動物由来の
細胞であることが好ましい。さらに、前記血清が、哺乳
動物の胎児血清であることが好ましい。
【0008】そこで、本発明の生体細胞接着性材料につ
いて、実施例を用いて説明する。本発明の生体細胞接着
性材料は、水晶体上皮細胞または角膜内皮細胞を、血清
存在下で培養し、増殖させることにより、前記細胞が産
生したシート状組成物を用いたものである。このため、
この材料は、生体基底膜に構造および成分が近似してお
り、きわめて高い生体細胞接着性を有している。
【0009】水晶体上皮細胞とは、水晶体の上面を構成
する細胞であり、この細胞が、生体基底膜の一種である
水晶体カプセルを産出することが知られている。また、
角膜内皮細胞とは、角膜の内面を構成する細胞であり、
この細胞が、生体基底膜の一種であるデスメ膜を産出す
ることが知られている。そこで、本発明では、水晶体上
皮細胞または角膜内皮細胞を血清存在下で培養させ、細
胞が産出する組成物を使用したものである。水晶体上皮
細胞および角膜内皮細胞としては、哺乳動物由来の細胞
である事が好ましい。なぜなら、基底膜の構成成分の構
造が哺乳動物同志では近いと考えられ、応用しやすいた
めである。
【0010】また、血清は哺乳動物胎児血清であること
が好ましい。なぜなら、胎児血清はフェチェイン(fe
tain)というシアロ糖タンパクが多く含まれ、この
物質が細胞の増殖に効果的であるとされている。このた
め、培養では胎児血清がよく用いられている。また、哺
乳動物以外の血清は入手が困難である。水晶体上皮細胞
または角膜内皮細胞を適当な条件下に血清を含有する培
養液で培養することによって、細胞は、容器の内面にシ
ート状組成物(マトリックス)を形成する。シート状組
成物は、光学顕微鏡で十分確認できるため、このシート
状組成物の形成が十分と判断した時点で細胞を、例え
ば、酵素処理で剥離処理することにより、本発明の生体
細胞接着性材料のみを得ることができる。このようにし
て、作成された本発明の生体細胞接着性材料は、そのま
ま基底膜成分がコートされた材料として培養用、移植用
材料として使用できる。
【0011】また、その形状は水晶体上皮細胞が増殖可
能であれば、種々の形状の材料に形成することができ
る。また、得られた生体細胞接着性膜状材料を酵素等で
可溶化することにより、生体細胞接着性材料の溶液とす
ることも可能である。膜状のまま剥離する場合、感温性
ポリマー(一定温度でゾル−ゲル転移する)上でマトリ
ックスシートを作らせて温度を変えて剥離する方法が考
えられる。そして、水晶体上皮細胞また角膜内皮細胞
は、基底膜成分を産生する細胞であることから、形成さ
れた材料は、極めて生体基底膜成分に近似しており、言
い換えれば、ほとんど同一に近く、きわめて高い生体細
胞接着性を有している。また、水晶上皮細胞および角膜
内皮細胞を増殖させたものにより産生させるものである
ので、材料の産生能は高く、容易かつある程度の量を作
成することができる。
【0012】
【実施例】そこで、本発明の生体細胞接着性材料の具体
的実施例を説明する。 (実施例1)家兎(2.5〜3.0kg)を麻酔死さ
せ、外科的に眼球を取り出した後、実体顕微鏡下でチン
氏帯を切断し、水晶体を摘出し、ピンセットで水晶体カ
プセルを剥離した。水晶体上皮細胞は水晶体カプセルに
付着しているため、0.25%トリプシン、1mMED
TA入りPBS(Ca++およびMg++フリー)で37
℃、30分処理して細胞を剥離した。剥離した水晶体上
皮細胞を回収して10%FBS(fetal bovine serum)
入りDMEM(Delbecco's modified eagle medium)に
懸濁して、シャーレ(Falcom社製)に接種した。
培養液は2日に一回交換して、37℃、5%CO2、9
5%大気の条件下で培養を行った。この結果、接種後、
2週間で、シャーレの内側底面にシート状組成物が形成
されていた。この後、0.25%トリプシン、1mME
DTA入りPBSで37℃、30分処理し、シート状組
成物のみを残して、細胞を剥離し、本発明の生体細胞接
着性材料が付着したシャーレを作成した。
【0013】(実施例2)家兎(2.5〜3.0kg)
を麻酔死させ、外科的に眼球を取り出した後、眼球から
角膜を切断し、角膜内皮細胞が付着しているデスメ膜を
剥離した。このデスメ膜を、0.25%トリプシン、1
mMEDTA入りPBS(Ca++およびMg++フリー)
で37℃、30分処理して、角膜内皮細胞を剥離した。
剥離した角膜内皮細胞を回収して10%FBS(fetal
bovine serum)入りDMEM(Delbecco's modified ea
gle medium)に懸濁して、シャーレ(Falcom社
製)に接種した。培養液は2日に一回交換して、37
℃、5%CO2、95%大気の条件下で培養を行った。
この結果、接種後、2週間で、シャーレの内側底面にシ
ート状組成物が形成されていた。この後、0.25%ト
リプシン、1mMEDTA入りPBSで37℃、30分
処理し、シート状組成物のみを残して、細胞を剥離し、
本発明の生体細胞接着性材料が付着したシャーレを作成
した。
【0014】[実験]実施例1、実施例2および比較例
として上記のような材料が付着していないシャーレを用
いて、以下の実験を行った。ヒト表皮細胞(初代)をG
reenらのMedium(J.G.Rheinwald.,et al,Cel
l,6,331-344,1975)を改変した培養液に懸濁して実施例
1で得られた生体細胞接着性材料付着シャーレ上に1×
105cells/cm2の接種密度で接種した。培養液
は2日に一回交換し、37℃5%CO2,95%Air
の条件下で培養を行った。同様に、実施例2で得られた
生体細胞接着性材料付着シャーレについても行った。そ
れぞれのシャーレには、接種後5日目には表皮細胞の付
着と増殖が確認され、細胞接着用基材としての効果は明
らかであった。上記と同じ条件でヒト表皮細胞をマトリ
ックスの付着していないシャーレ(比較例)に接種・培
養を行ったところ、5日目でごくわずかな細胞がシャー
レに付着するのみであった。
【0015】
【発明の効果】本発明の生体細胞接着性材料は、水晶体
上皮細胞または角膜内皮細胞を、血清存在下で培養し、
増殖させることにより、前記細胞が産生したシート状組
成物を用いたものであるので、この材料は、生体基底膜
に構造および成分が近似しており、きわめて高い生体細
胞接着性を有している。よって、医生物学研究用若しく
は治療用に用いられる培養用基材、移植用材料あるいは
治療用原材料などに有効である。さらには、基底膜成分
(例えばコラーゲンタイプIV、ラミニン等)を精製する
際の原料としての利用が可能である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水晶体上皮細胞または角膜内皮細胞を、
    血清存在下で培養し、増殖させることにより、前記細胞
    が産生したシート状組成物を用いたことを特徴とする生
    体細胞接着性材料。
  2. 【請求項2】 前記細胞は、哺乳動物由来の細胞である
    請求項1記載の生体細胞接着材料。
  3. 【請求項3】 前記血清が、哺乳動物の胎児血清である
    請求項1または2に記載の生体細胞接着性材料。
JP3198840A 1991-07-11 1991-07-11 生体細胞接着性材料 Pending JPH0515583A (ja)

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JP3198840A JPH0515583A (ja) 1991-07-11 1991-07-11 生体細胞接着性材料

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JP (1) JPH0515583A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003038170A (ja) * 2001-07-26 2003-02-12 Mitsuo Okano 前眼部関連細胞シート、3次元構造体、及びそれらの製造法
US8642338B2 (en) 2003-02-06 2014-02-04 Cellseed Inc. Anterior ocular segment related cell sheets, three-dimensional structures, and processes for producing the same

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