JPH05155779A - 細菌毒素性ショックの予防・治療薬 - Google Patents

細菌毒素性ショックの予防・治療薬

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JPH05155779A
JPH05155779A JP4015448A JP1544892A JPH05155779A JP H05155779 A JPH05155779 A JP H05155779A JP 4015448 A JP4015448 A JP 4015448A JP 1544892 A JP1544892 A JP 1544892A JP H05155779 A JPH05155779 A JP H05155779A
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JP
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toxic shock
bacterial
shock
administered
preventing
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JP4015448A
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English (en)
Inventor
Kenichi Yoshizawa
健一 吉澤
Takashi Miwa
敬史 三和
Masanobu Naruto
昌信 成戸
Nobutaka Ida
亘隆 井田
Susumu Okamoto
岡本  将
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インターロイキン6を有効成分とする細菌毒
素性ショックの予防・治療薬。 【効果】 インターロイキン6は、効率よく細菌毒素性
ショックを治療もしくは予防する活性を有し、また生体
由来の生理活性物質であるため、優れた細菌毒素性ショ
ックの治療および予防薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な細菌毒素性ショッ
クの予防・治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】細菌毒素性ショックは悪寒・発熱・発汗
などとともに急激な血圧降下・末梢循環不全から始ま
り、全身ショックにより肺・腎臓・肝臓・心臓・消化管
の障害、さらには中枢神経系等の障害が同時にまたは続
発し、その治療は難しく、しばしば重要臓器障害により
死亡する疾患である。さらに、細菌毒素性ショックが引
き金となり播種性血管内凝固症候群が誘発され、予後は
非常に悪くなる。そして、このような細菌毒素性ショッ
クは内科領域では劇症肝炎、化膿性胆管炎、肝硬変、輸
血後重症肝炎、悪性腫瘍、外科領域では熱傷、腹膜炎、
腸管循環不全等の疾病が原因となって起こる。
【0003】このような細菌毒素性ショックの原因は、
大腸菌をはじめとするグラム陰性菌の細胞膜成分をなす
内毒素や、黄色ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌
の産生する外毒素であることが知られている。この内毒
素のうち、リポポリサッカライド(LPS )の生物活性は
きわめて多彩で、前述した発熱・血圧低下をはじめとし
て体重減少・低血糖・血清鉄減少反応・白血球減少・血
小板減少・インターフェロン産生作用のほかショックに
より死にいたらしめることが報告されている(本間ら、
内毒素,141-391,1982 )。
【0004】このような重症な症状を引き起こす細菌毒
素性ショックに対する治療法としては原因となる感染巣
の制御および除去である。そのため、抗生物質投与・オ
プソニン活性物質の投与・副腎皮質系ホルモン剤の投与
等が行われている。また、近年では内毒素ショックの治
療としてインターロイキン1レセプターアンタゴニスト
の投与(Alexander,H.et.al.,J.Exp.Med.,173,1029-103
2,1991)や抗TNF 抗体の投与(Exley,A.R.et.al.,Lancet,
335,1275-1277,1990)といったことがことが試みられて
いる。しかしながら、いったん細菌毒素性ショックにな
るとその治療はむずかしく、しばしば多臓器不全により
死亡する。このため、細菌毒素性ショックの治療方法
は、細菌毒素によるショックが起こる前に治療を開始
し、播種性血管内凝固症候群や多臓器不全に陥らないよ
うにすることが重要である。
【0005】従って、事前に生体防御機能を高めること
ができれば、感染症や外科手術によって引き起こされ
る、細菌毒素性ショックを回避できるものと期待でき
る。患者へ投与することにより、患者自身の生体防御機
能を高め、細菌毒素性ショックを防ぐ生理活性物質とし
てインターロイキン1(IL−1)や腫瘍壊死因子(T
NF)が知られている。しかしながら、IL−1を大量
に投与した場合では敗血症ショック類似の病態を招来
し、TNF大量投与ではショックによる死亡がみられ、
医薬品として生体内投与した場合、安全性に大いに問題
がある(斎藤ら、外科治療、65,156-164,1991 )。
【0006】本来、生体内に存在し、目的の機能を有し
ている物質を医薬として応用することは、生体のリズム
を乱さない点においてより望ましいと言えるが、生体由
来の生理活性物質で細菌毒素性ショックの治療および予
防薬として安全かつ有用なものはまだ開発されていな
い。
【0007】一方、インターロイキン6(以下、IL−
6と略す)は、インタ−フェロンβ2 (Zilberstein,A.
et.at., EMBO J. 5,2529-2537,1986)、B細胞分化因子
(BSF−2):(Hirano,T. et.al.,Nature,324,73-76,
1986) 、26−KDaプロテイン(Hageman,G.et.al.,E
ur.J.Biochem., 159,625-632, 1986)、ハイブリド−マ
/プラズマサイト−マ増殖因子(VanDamme,J.et.al.,
J.Exp.Med., 165,914-919,1987 )、肝細胞刺激因子
(HSF):(Andus,T.et.al.,FEBS Lett.,221,18-22,
1987;Gauldie,J.et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7
251-7255,1987 )、など、別々に研究されてきた生理活
性物質が同一分子であることが分かり、その生理活性の
多様性からIL−6と呼ぶことが提唱され、その名称が
定着している。このようにIL−6については多くの生
理活性が報告されているが、このうちラットにLPSと
IL−6を同時に気管内投与したところ、気管支肺胞洗
浄液中の好中球数が対照に対して半減し、IL−6の抗
炎症作用が示唆されている(Ulich, T. R. et al., Am.
J. Pathol., 138, 1097-1101, 1991 )。しかしなが
ら、現在までのところ細菌毒素性ショックに対するIL
−6の明確な効果は示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明で解決しようと
するのは、本来生体内で作用を有する生理活性物質を医
薬として提供することにある。なかんずく本発明の目的
は、生体内で効率よく細菌毒素性ショックを治療および
予防する作用を有する生体内生理活性物質を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的は以下の本発明
により達成される。すなわち本発明は、インターロイキ
ン6を有効成分とする細菌毒素性ショックの予防、治療
および細菌毒素性ショックにともなう諸症状の緩和薬に
関する。本発明は、IL−6が効率良く血中細菌毒素の
増加による細菌毒素性ショックを予防・治療、および播
種性血管内凝固症候群をはじめとする細菌毒素性ショッ
クにともなう諸症状を緩和することを見出し、IL−6
が、従来得られなかった新規な細菌毒素性ショックの予
防および治療薬として有用であることを示すものであ
る。
【0010】本発明で使用するIL−6にはとくに制限
はなく、既知の方法で得られるIL−6が好適に使用さ
れる。例えばIL−6産生細胞を培養して得られたも
の、あるいは遺伝子組換え法により得られた組換え型I
L−6でも良い。より好ましくは、IL−6産生ヒト細
胞を培養して得られるものが使用される。
【0011】培養ヒト細胞から取得したIL−6は、ヒ
ト以外の種由来の不純物の混入を避けることができ、得
られるIL−6は本来生体内で働くIL−6に近いもの
となるため好ましい。すなわち糖鎖および微細修飾を含
んだ構造がヒト生体内IL−6に近いものとなるため
に、ヒトに医薬として投与したときに抗体産生を相対的
に排除することができるため好ましい。したがって、ヒ
ト培養細胞が産生するIL−6は生体内でのより効率的
な有効性を期待することができる。
【0012】本発明の培養ヒト細胞が産生するIL−6
とは、ヒト由来の細胞を培養することによって得られる
IL−6を意味し、さらに特定すれば、正常細胞すなわ
ち、癌化(極端な形質転換)していない、あるいは癌細
胞由来でない付着性ヒト細胞を培養することによって得
られるIL−6が好ましい。これらの条件によって得ら
れるIL−6は通常糖鎖の付加した構造を有する。癌細
胞由来でない正常ヒト細胞としては、特に線維芽細胞、
内皮細胞、ストロ−マ細胞などが生体内でのIL−6の
源の一つと考えられており、その一部は正常細胞に近い
形で培養できるので特に好適に用いられるが、特にこれ
らに限定されるものではない。
【0013】本発明で好ましく用いられる正常ヒト細胞
のうち、特に好適な細胞は付着性であるので、一般的な
細胞培養条件にて培養できる。一般的な培養フラスコ、
ロ−ラ−ボトル、マイクロキャリア(微粒子)を用いる
培養法などが好適に用いられるがこれに限定されるもの
ではない。こうしてヒト細胞の培養によって得られた培
養液から通常の精製法により、ほぼ純粋なIL−6を得
ることができる。これら培養および精製法については実
施例でその一例を示すが勿論これに限定されるものでは
ない。
【0014】一方、組換え型IL−6は、既知の方法に
より製造することができる。一例として、大腸菌を宿主
とした例を実施例として示したが、これ以外でも広く知
られた遺伝子操作法を用いることによって製造すること
ができる。たとえば、ハムスター細胞、マウス細胞、サ
ル細胞などの動物細胞や昆虫細胞あるいは酵母に、IL
−6遺伝子をその宿主で機能するプロモーターなどの下
流に連結して導入することによっても調製することがで
きる。
【0015】本発明の予防・治療薬は前述した方法で製
造されるヒトIL−6を主成分として含有する。他の成
分としては、一般的な医薬添加物が選ばれる。もちろん
添加物が無くとも本発明の目的は達成される。一般的に
は主として安定化のために添加物が加えられる。そのよ
うな医薬添加物としては、通常、局法に記載された、医
薬添加物として使えるタンパク質および/または糖類の
中から選ばれる。特に好適にはヒト血清アルブミン(H
SA)、ゼラチン、マンニト−ル、ソルビト−ル、ラク
ト−スなどの中から適宜あるいは組み合わせて選ばれる
が、もちろんこれらに限定するものではない。
【0016】本発明の目的である細菌毒素性ショックの
治療および予防活性を具体的に達成するためには、こう
して得られたIL−6を主成分とする組成物を生体に投
与する。投与対象は、細菌毒素性ショックの発症が予測
される場合、あるいは既に発症している場合であるが特
に限定されるものではない。具体的には外科手術施行の
前後、各種肝疾患状態、感染症、熱傷、播種性血管内凝
固症候群などが対象となる。しかしながら、細菌毒素性
ショック状態は患者個々の状態により様々な臨床症状を
示すことから、細菌毒素の関与を疑わせる患者は、全て
本発明の予防・治療薬の対象となり得る。
【0017】投与方法としては、特に限定するものでは
ないが、一般的な注射、すなわち静脈注射、皮下注射、
筋肉注射、点滴静脈内注入などの内適当な一つが選ばれ
る。経口、経鼻、経肺、経腸のような経粘膜投与法も場
合により、好適に実施される。また、他のサイトカイン
類のある種のものと組合わせて投与することによっても
本発明の目的は達成される。
【0018】有効投与量としては、1日につき体重1K
g当たり0.0001から10000μgの範囲で選ば
れる。好適には体重1Kg当たり0.001−1000
μgの範囲で選ばれる。前述の投与量は症状によっても
異なり、これらの値に限定されるものでは勿論ない。投
与回数としては通常1日1ないし2回、もしくは2ない
し数日に1回の範囲で選ばれるがこれに限定されるもの
ではない。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例によって、より詳細
に、より具体的に説明するが、もちろんこれによって本
発明が制限されるものではない。なお、IL−6の活性
評価法は以下の方法により行なった。
【0020】生物活性の評価法:株細胞7TD1(IL
−6依存ハイブリド−マ細胞(J. van Snick et al., E
uropean J. Immunol., 18, 193-197(1988))を用いて、
それに適当量のIL−6を添加することにより、7TD
1の細胞増殖をMTT法により測定し、別途標準IL−
6の段階希釈サンプルについての増殖活性との比較によ
り、IL−6の生物活性評価を行った。標準IL−6と
しては、下記に示す東レ株式会社ヒトIL−6ELIS
Aキットに添付されているのと同じものを使用した。
【0021】ELISA(酵素免疫評価法)法:抗IL
−6抗体(N.Ida et al.、Biochem.Biophys.Res.Commun.,
165,728-734,(1989)) を用いたELISA法で測定し
た。東レ株式会社製造、ト−レ・フジバイオニクス販
売、ヒトIL−6ELISAキットを用いてIL−6の
評価を行った。
【0022】実施例1 大腸菌由来IL−6の調製:既知文献(T. Hirano ら、
Nature,vol.324,73(1986))と
同じ遺伝子配列を持つIL−6cDNAを骨格とするI
L−6発現ベクタ−を下記の方法で作成した。
【0023】甲状腺癌由来細胞株NIM−1細胞(通山
薫ら、日本血液学会雑誌、53巻、805(199
0))を培養して通常の方法で調製したmRNAから、
逆転写酵素で合成したcDNA混合物から下記2本のD
NAオリゴマ− CCGATCGATGCCAGTACCCCCAGGA および GCCACGGATCCTACATTTGCCGAAG をプライマ−としてPCR反応を行った。得られた増幅
DNAを制限酵素ClaIとBamHIで消化した後、
得られたDNA断片を大腸菌発現ベクタ−pKM6(Tan
aka et al., J. Interferon Res., 6,429-35(1986)) の
ClaI部位とBglII部位の間に挿入して、発現I
L−6ベクタ−pKMIL−6を得た。このpKMIL
−6を大腸菌HB101に導入し、組換え体を得た。こ
の組換え体を下記のように培養して大腸菌組換え型IL
−6を調製した。
【0024】ヒトインターロイキン−6発現プラスミド
を保持する大腸菌HB101/pKMIL−6を、30
L容ジャーを用いて培養した。30Lの増殖用培地(リ
ン酸1カリウム0.3%、リン酸2ナトリウム0.6
%、塩化ナトリウム0.5%、塩化アンモニウム0.1
%、グルコース0.5%、カザミノ酸0.5%、硫酸マ
グネシウム1mM、硫酸第1鉄3μM、ビタミンB1 6
μg/ml、アンピシリン50μg/ml)を30L容
ジャーに仕込み、上記組換え体を植菌した。ジャーは、
攪拌数300rpm、通気量1VVM、25℃の条件で
運転した。トリプトファンオペロンの誘導物質であるイ
ンドールアクリル酸を加え、グルコースとカザミノ酸を
添加しながら60時間培養した。培養菌体を10,00
0×g、20分間の遠心分離操作により集めた。菌体
は、約895g得られた。集めた菌体を1mMEDT
A、100mMNaClを含む50mMトリス塩酸バッ
ファーpH8.0にOD550nm が20となるように懸濁
した。菌体をマントンゴーリンにより破砕し、遠心分離
を行い、破砕抽出物を回収した。抽出液中の蛋白量は2
35g、インターロイキン−6は495mgであった。
ここでIL−6の量は、前記のELISA法で測定した
(以下同じ)。
【0025】抽出液をシリカカラム5.5Lに吸着さ
せ、酸性溶液で溶出した。IL−6は462mg回収し
た。溶出液に硫酸アンモニウムを終濃度1.33M添加
して、遠心により、不溶性不純物を除去した。次にブチ
ルカラム(ブチルトヨパール東ソー社製)200mlに
吸着させ、低塩中性溶液で溶出した。SDS−PAGE
純度検定法により純度84%のIL−6を237mg得
た。溶出したIL−6をそのままヘパリンカラム(AF
ヘパリントヨパール 東ソー社製)80mlに吸着させ
た。中性塩バッファーで溶出した。純度91%のIL−
6を114mg得た。溶出液をさらにブチルカラム(ブ
チルトヨパール 東ソー社製)200mlで再度精製し
て、IL−6を66mg得た。上記で調製したIL−6
の純度は逆相HPLC法で95%以上であった。上記I
L−6は実施例1に記載した評価法で活性を持ったIL
−6であることを確認した。
【0026】実施例2 ヒト細胞由来IL−6の調製:本発明のIL−6は一例
として次の方法で調整された。2Lのガラス製培養槽に
1Lの5%のNCSを含むイーグルMEM培地中で、細
胞数が106 /mlになるようにヒト線維芽細胞をビーズ
培養した(ビーズ:“サイトデックス1”、(ファルマ
シア社)、37℃)。その後、培地を少量のカルボキシ
メチルセルロースを含む無血清イーグルMEM培地1L
に交換し、プライミングとして10万単位/Lのヒト天
然型インターフェロンβを添加した。翌日さらにポリ
I:ポリC50mg/L、シクロヘキシミド10mg/L添
加した。その4時間後、アクチノマイシンDを4mg/L
投入し、そして、さらに1時間後、産生培地として少量
のメチルセルロースを含むイーグルMEM培地に置換
し、スーパーインダクション処理を行なった。その後2
日間そのまま培養を続けた(37℃)。
【0027】撹拌を停止し、マイクロキャリアを沈降さ
せた後、上清および産生培地での洗液をろ過し、1Lを
別の撹拌装置付き容器に移した。この産生液に滅菌した
“ブル−セファロ−スCL−6BFF”(ファルマシア
社)を投入し、15℃,4日間撹拌しながらバッチ吸着
させた。撹拌停止後、ブル−担体を沈降させ上清を別の
容器に移した。シリカ担体は、リン酸ナトリウム緩衝液
中で高圧蒸気滅菌(121℃、30分)したのち、4m
lずつ2本のカラムに充填して直列に接続させた。これ
に、ブル−担体の素通り上清を流速20ml/hrで流
した。全量流した後、2本のカラムを別々に精製した。
それぞれリン酸ナトリウム緩衝液25mlを流した後、
20mM塩酸を流してインターロイキン−6含有画分1
0mlを回収した。この塩酸回収液にさらに硫酸アンモ
ニウムを1.33Mになるように添加し、4℃、1晩ゆ
るやかに撹拌した。沈殿物を3000rpm,30分遠
心分離(4℃)、除去した。
【0028】分離した上清を疎水性クロマトグラフィ−
用担体であるブチルトヨパ−ル650M”1ml(東ソ
−社)を充填したカラムに流し、吸着させた。このカラ
ムを1.33Mの硫酸アンモニウムを含む20mM塩
酸、1.33Mの硫酸アンモニウムを含む50mMリン
酸ナトリウム緩衝液で洗浄した後、50mMリン酸ナト
リウム緩衝液で回収した。その後、逆相系のクロマトグ
ラフィ−であるODSカラム(C18)(YMC−Pac
k ODS A−312 S−5 120A,YMC
社)を装着した高速液体クロマトグラフィ−(島津LC
−4A)を用いて、0.1%トリフロロ酢酸を含有する
水と0.1%トリフロロ酢酸を含有するアセトニトリル
でグラジエント溶出させヒト天然型インターロイキン−
6ピ−クを分取した。こうして得られたヒト天然型イン
ターロイキン−6を“セファデックスG−25”(ファ
ルマシア社)で5mMギ酸を溶媒としてゲルろ過しアセ
トニトリルを含まないインターロイキン−6溶液を得
た。
【0029】上記で調製したIL−6の純度は逆相HP
LC法で95%以上であった。上記IL−6は前記に示
す評価法で活性を持ったIL−6であることを確認し
た。
【0030】実施例3 IL−6皮下投与による細菌毒素性ショックの予防効
果:IL−6を生理食塩水で100ug/mlに希釈し、BALB/c
マウス(雄性、7週令、日本チャールズリバー)12匹に
各100ul を皮下投与した。対照群は生理食塩水のみを皮
下投与した。IL−6または生理食塩水投与1時間後
に、細菌毒素として生理食塩水で1.9mg/mlに溶解したL
PS E.coli 055:B5(DIFCO) をマウスの尾静脈より100u
l 投与した。また、IL−6もLPSも全く投与しない
LPS,IL−6未投与群(6匹)を設けた。測定はL
PS投与後、24時間ごとに6日間マウスの生死判定を行
った。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】 表1に示すようにIL−6を投与した群では対照群に比
し、細菌毒素性ショックにより死にいたるマウスの数が
減少し、IL−6は生体内投与により細菌毒素性ショッ
クを予防する作用が認められた。
【0032】実施例4 IL−6皮下投与により細菌毒素性ショックにともなう
諸症状の緩和:実施例3で実験に使用したマウスを、I
L−6投与開始前および開始後6日目に体重測定し、細
菌毒素性ショックにともなう体重変動を計測した。結果
を表2に示す。
【0033】
【表2】 表2に示すようにIL−6を投与することにより、細菌
毒素性ショックでみられる体重減少を抑制することがで
きた。
【0034】次に体重測定したマウスをエーテル麻酔
下、えき下静脈より採血し、抗凝固剤としてEDTA・
2Kを添加し血小板数を自動血球計測装置(東亜医用電
子)で測定した。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】 表3で示すように細菌毒素性ショックによりみられる血
小板減少をIL−6により抑制することができた。すな
わち生理食塩水を投与した対照群と比し、IL−6を投
与した群では血小板数減少を有意差をもって抑制した。
【0036】実施例5 IL−6静脈内投与による細菌毒素性ショックの治療お
よび予防効果:IL−6を生理食塩水で100ug/mlに希釈
し、BALB/cマウス(雄性、7週令、日本チャールズリバ
ー)6 匹に各100ul を静脈内投与した。IL−6投与
後、16時間、1 時間目に細菌毒素として生理食塩水で1.
9mg/mlに溶解したLPS E.coli055:B5(DIFCO) をマウ
スの尾静脈より100ul 投与した。また、LPSのみを投
与した対照群、IL−6もLPSも全く投与しないLP
S・IL−6未投与群、LPSを投与した直後にIL−
6を静脈内投与したLPS・IL−6同時投与群を設け
た。測定はLPS投与後、24時間ごとに6日間マウスの
生死判定を行った。結果を表4に示す。
【0037】
【表4】 表4に示すようにIL−6を投与した群では対照群に比
し、細菌毒素性ショックにより死にいたるマウスの数が
減少し、IL−6は静脈内投与により細菌毒素性ショッ
クを予防および治療する作用が認められた。
【0038】実施例6 IL−6皮下投与による細菌毒素性ショックの治療およ
び予防効果:細菌毒素として生理食塩水で3.5mg/mlに溶
解したLPS、E.coli 055:B5 (DIFCO) をC3H/HeN マウ
ス(雄性、8週令、日本エスエルシ−)11〜12匹に各10
0ulを腹腔内投与した。LPS投与前または同時に、生
理食塩水で100ug/mlに希釈したIL−6を、マウスの皮
下に100ul 投与した。また、対照群としてIL−6のか
わりに生理食塩水を100ul 皮下投与する群を設けた。測
定はLPS投与後、24時間ごとに10日間マウスの生死判
定を行った。結果を表5に示す。
【0039】
【表5】 表5に示すようにIL−6を24時間前、 4時間前、 1時
間前または同時に投与した群では対照群に比し、細菌毒
素性ショックにより死にいたるマウスの数が減少し、I
L−6には皮下投与により細菌毒素性ショックを予防お
よび治療する作用が認められた。
【0040】実施例7 IL−6皮下投与による細菌毒素性ショックの予防効
果:0 〜10ugのIL−6を1%同種血清を含む生理食塩水
で希釈し、C3H/HeNマウス(雄性、8週令、日本エスエ
ルシ−)12匹に各100ul を皮下投与した。IL−6また
は1%同種血清のみを含む生理食塩水を投与して4時間後
に、細菌毒素として生理食塩水で3.5mg/mlに溶解したL
PS、E.coli 055:B5 (DIFCO) をマウスへ100ul 腹腔内
投与した。測定はLPS投与後、24時間ごとに8日間マ
ウスの生死判定を行った。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】 表6に示すように1.0 および10ugのIL−6を投与した
群では、細菌毒素性ショックにより死にいたるマウスの
数が減少し、IL−6には生体内投与により細菌毒素性
ショックの致死作用を防ぐことが認められた。
【0042】
【発明の効果】本発明によって、生体内で効率よく細菌
毒素性ショックを治療もしくは予防する活性を有する治
療薬を得ることができる。また、IL−6は生体内に存
在するものであるため、合成医薬に比べより生体と調和
するという優れた細菌毒素性ショックの治療および予防
薬が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井田 亘隆 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内 (72)発明者 岡本 将 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インターロイキン6を有効成分とする細
    菌毒素性ショックの予防・治療薬。
  2. 【請求項2】 インターロイキン6が培養ヒト細胞が産
    生するものである請求項1記載の細菌毒素性ショックの
    予防・治療薬。
JP4015448A 1991-10-11 1992-01-30 細菌毒素性ショックの予防・治療薬 Pending JPH05155779A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996004013A1 (en) * 1994-08-05 1996-02-15 Schering Corporation Use of il-6 to treat toxic shock

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