JP2002502257A - グリコシル化腫瘍壊死因子の調製 - Google Patents

グリコシル化腫瘍壊死因子の調製

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Abstract

(57)【要約】 グリコシル化された組換え体のヒト腫瘍壊死因子アルファはチャイニーズハムスター卵巣細胞で産生され、該細胞から単離される。非グリコシル化のヒトTNF−αで知られているものと同じ適応症のために使用され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 グリコシル化腫瘍壊死因子の調製 発明の分野 本発明は、グリコシル化ヒト腫瘍壊死因子−アルファ(TNF−α)、それを含む 医薬組成物、その調製法および使用方法に関する。 発明の背景 サイトカイン類は、他の細胞の機能に影響し、免疫系の細胞間の相互作用に重 要な役割を果たす細胞によって分泌されるポリペプチド媒体である。サイトカイ ン類は、他の物質とともに、炎症および免疫の分子言語(molecular language)を 構成し、身体の防御反応を調整するシグナルが相互に作用しオーバーラップする 複雑なネットワークを形成する。そのようなサイトカインの1つが、腫瘍壊死因 子(TNF)である。 TNFは、損傷および感染に対する身体の著しく複雑な応答を調整するタンパク 質ファミリーの1つである。TNFは、広範囲の様々なヒトの疾病に関連し、ある 種の癌に対して有効であり、敗血症性ショックと悪液質において機能を果たし、 いろいろな免疫反応での炎症の媒体であり、さらに、マラリアおよび髄膜炎菌性 敗血症に見られるいくつかの病理学上の作用において重要と思われる。身体によ って産生される他の多数の因子と同様に、腫瘍壊死因子では有益性と不都合との 間に微妙なラインがあるようである。すなわち、損傷および感染の局所制御に 有用な薬剤が、大量にまたは間違った箇所に放出された場合、有毒となることが ある(オールド(Old.)、「腫瘍壊死因子」、サイエンティフィック アメリカン(Scientific American )、258巻、59頁〜60頁、69頁〜75頁(1988年5月)を参照。 TNFは、細胞膜上の特異的な受容体に結合し、その受容体のクラスタリング(cl ustering)を起こすことによって作用を発揮する。55,000ダルトンおよび75,000 ダルトンの分子量を持つ2種のTNF受容体が知られている。TNFがその受容体に結 合した後、その複合体は細胞内に内在化し分解される。受容体のクラスタリング によって、プロテインキナーゼ類およびホスホリパーゼ類が活性化されて、シグ ナル媒体と第2メッセンジャーが産生され、細胞死に至る。 TNF「ファミリー」は、構造的および機能的に関連する2種のタンパク質、TNF −アルファおよびTNF−ベータを含んでいる。これらのタンパク質の密接な関連 性については1984年まで知られていなかったが、1984年に、ヒトTNF−アルファ およびTNF−ベータのcDNAのコーディングによって、予想外にも、それらがアミ ノ酸レベルで約30%相同であることが明らかになった。TNF−アルファおよびTNF −ベータはともに同じ細胞表面受容体に結合し、それらの活性のスペクトルは( 同一でないが)非常に類似している。しかしながら、TNF−アルファおよびTNF− ベータ遺伝子の発現の調節、および産生細胞による2種の対応タンパク質のプロ セシングは完全に異なる。 TNF−αは以前はカケクチンと呼ばれており、主とし て、マクロファージおよび単核細胞のような単核性食細胞によって産生される。 また、神経膠星状細胞、内皮細胞および数種の形質転換細胞によっても産生され る。成熟ヒトTNF−アルファは、157のアミノ酸残基のポリペプチドである。ヒト TNF−アルファの見掛け分子量は17,000ダルトンである。天然の形態において、T NF−アルファは三量体である。既知のTNF−αの適応症には、黒色腫、EL−4リ ンパ腫、Meth−A腫瘍、メラニン形成細胞、白血病、肝臓または肺の癌腫、転移 癌あるいは乳癌、胸部、肛門、結腸直腸、頭部、頚部および他の身体器官の癌が ある。TNFは、潜在的な抗菌特性を有することが見出され、かつマラリアおよび 他の寄生生物に非常に効力がある。TNFは、数種のウィルス感染症から細胞を保 護し、I型糖尿病のような自己免疫疾患を防ぐことが分かっている。TNFは脂質 の蓄積および脂肪特異的RNAの変化を阻止する。TNFは、脂肪の蓄積に重要な 酵素の産生に関与している遺伝子の発現を防ぐ。TNFは、インターフェロンの相 乗的な細胞毒性活性を示す。 TNF−ベータは、リンホトキシンとしても知られ、主にリンパ球によって産生 されるが、171の残基を含んでおり、25,000ダルトンの見掛け分子量を有してい る。TNF−ベータのアミノ末端に存在する14の付加アミノ酸に加えて、これら2 つの分子の大きさの相違は、TNF−ベータに1つのN−グリコシル化部位が存在 するのに対して、ヒトTNF−アルファにはN−グリコシル化部位がないことによ る(ビルセック(Vilcek)ら、ジャーナル オブバイオロジカル ケミストリー(J .Biol.Chem. )266巻、7313頁〜7316頁(1991年))。マウスのTNF−アルフ ァは糖タンパク質であるが、ヒトTNF−アルファがグリコシル化されていること を示唆する証拠はない。実際、グリコシル化されていないとして文献に記述され ている(マークハム(Markham)ら、ヨーロピアン サイトカインネットワーク(Eur .Cytokine Netw. )、6巻、49頁〜54頁(1995年);フィアーズ(Fiers)、フェブス レター(FEBS letters)、285巻、199頁〜212頁(1991年))。 ヒトTNF−アルファは、ヒト細胞から単離するか、または組換え技術によって 調製することができる。理論的に、任意のタイプの細胞を使用して組換え方法に よりヒトTNF−アルファを調製することができるが、通常、トランスフェクショ ンされた大腸菌(E.Coli)を使用してTNF−アルファを調製することができる(ウ ォーレス(Wallace)ら、米国特許第4,879,226号、およびアガーワル(Aggarwal) ら、欧州特許0168214号を参照)。実際、アガーワルらは、宿主として多細胞生物 由来の細胞の培養物を使用することができるが、この方法は、TNF発現微生物を 用いないと優れた結果が得られないので好ましくないと具体的に述べている。 天然ヒトTNF−アルファと組換えヒトTNF−アルファとの間に微妙な相違が見出 されている。天然TNF−アルファの等電点は5.6であるが、大腸菌で調製された組 換えヒトTNF−アルファの等電点は5.3である。 コーン(Korn)ら、リンホカイン リサーチ(Lvmvhokine Res )、7巻、349頁 〜358頁(1988年)には、真核性のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における TNFの産生を報告し、また真核性の発現ベクターの長所は内毒素混入による問題 を軽減することであり、その理由 は、内毒素が敗血症性ショックを引き起こす可能性があるからであると報告して いる。この文献で実際に用いられたTNFを単離する特異的な方法は、培養上清を ポリクローナルウサギ抗−TNF抗体で免疫沈降させ、その免疫沈降物質を、セフ ァロース(SEPHAROSE)ビーズから、SDSとベーターメルカプトエタノールを含有す る試料緩衝液中で煮沸することによって放出させ、次いで15%SDS−ポリアクリ ルアミドゲル上を30mAで2時間泳動させる方法である。そのような処理は、該タ ンパク質の生物学的に活性の実質的な低下を引き起こす。したがって、コーンの 文献の実際の産物は、変性されており、単離された生物学的に活性のグリコシル 化TNFではない。さらに、コーンらは、その方法によって産生されたTNFがグリコ シル化されていたことを認識していなかった。 マーメヌート(Marmenout)ら、ヨーロピアン ジャーナル オブ バィオケミ ストリー(Eur .J.Biochem)、152巻、512頁〜522頁(1985年)には、サルのCOS細 胞におけるTNF cDNAの組換え発現が開示されている。この文献は培地中のTNF活 性の発現を報告しているが、TNFをどのように培地から単離したかについては全 く開示していない。実際、それがSDS−PAGEクロマトグラフィにかけられたこと さえ記載されていない。マーメヌートは、利用可能なデータが、ヒトTNFがグリ コシル化されていないことを示唆していると述べている。実質的にCOS細胞から の発現より優れた発現が大腸菌で達成されたので、マーメヌートの文献に報告さ れた残りの実験は大腸菌発現産物で行われたが、それは当然グリコシル化されて いない。 マリク(Malik)らは、ヨーロピアン ジャーナル オブ カンサー(European J ournal of Cancer )、26巻(1)号、1031頁〜1034頁(1990年)において、TNFが腫瘍 の進行を刺激することができることを実証するため、チャイニ−ズハムスター卵 巣(CHO)細胞を腫瘍として機能させることによって、腫瘍促進剤としてのTNFの作 用を研究した。この場合、ヒトTNFの遺伝子をトランスフェクションしたCHO細胞 をマウスへ直接移植したが、これらの細胞によって産生されたTNFは全く単離さ れなかった。 発明の要旨 純粋な組換えヒトTNF−アルファをチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産 生させ、次に均質になるまで精製した。この精製されたTNF−アルファは、驚い たことにグリコシル化されていることが見出された。 CHO細胞で産生された純粋な組換えヒトTNF−アルファは、キャピラリー電気泳 動、炭水化物組成、炭水化物マッピング、等電点電気泳動、SDS−PAGEおよびRP −HPLCを含む様々な方法によって、一部、特性が決定された。これらの分析値は 、CHO細胞で産生された組換えヒトTNF−アルファが大腸菌で産生された組換えヒ トTNF−アルファとは異なっていることを示した。 ヒトTNF−アルファは非グリコシル化タンパク質として文献に記述されている が、本発明によってCHO細胞から得られた組換えヒトTNF−アルファは、複数の帯 電種を含むことがと分かった。CHO組換えヒトTNF−アルファの複数の帯電種は、 シアル酸を開裂する酵素であるノイラミニダーゼによって消化した場合、等電点 電気泳動 およびキャピラリー電気泳動によって測定したところ、一つの主要なイソ型/帯 電型まで崩壊した。これは、イソ型/帯電型の変動性がシアル酸から生じ、その ためその分子がグリコシル化されていることを示している。炭水化物組成および マッピングは、O−グリコシル化の存在を証明した。 ノイラミニダーゼおよびO−グリカナーゼで消化したCHO組換えヒトTNF−アル ファは、SDS−PAGE、等電点電気泳動ゲル上で大腸菌組換えヒトTNF−アルファと 共泳動し、キャピラリー電気泳動および逆相高性能液体クロマトグラフィー(RP −HPLC)では共溶出された。これは、両タンパク質がポリペプチドコア(polypept ide core)は類似しているが、CHO組換えヒトTNF−アルファ中のO−結合オリゴ 糖の存在が異なっていることを示している。 グリコシル化TNFは、非グリコシル化ヒトTNFと比較して、体液中での半減期が 増大し、受容体への結合性が改善され、そしてプロテアーゼの作用に対し良好に 保護されているので、本発明によって調製されたグリコシル化ヒト組換えTNFは 、とくに有用である。 図面の簡単な説明 図1Aおよび図1BはCHO組換えヒトTNF−アルファのオリゴマップ(oligomap) である。図1Aは「O」モードを示し、このモードではO−結合グルコシド結合 が優先的に遊離される。また、図1Bは「N+O」モードを示し、このモードで はN−結合およびO−結合グリコシド結合が遊離される。これらのオリゴマップ は、主要な1つのO−結合オリゴ型(oligoform)の存在のみ示す。 図2A〜2Eは、CHO組換えヒトTNF−アルファのキャピラリー電気泳動分析を 示す。図2AはCHO組換えh−TNFを示し、図2Bは、CHO組換えh−TNF+ノイラ ミニダーゼを示し、図2Cは、CHO組換えh−TNF+ノイラミニダーゼ+O−グ リカナーゼを示し、図2Dは、CHO組換えh−TNF+ノイラミニダーゼ+O−グリ カナーゼ+N−グリカナーゼを示す。図2Eは大腸菌組換え型ヒトTNFを示す。 発明の詳細な説明 本発明の目的においては、腫瘍壊死因子−アルファは腫瘍壊死因子またはTNF と称し、また、腫瘍壊死因子−ベータはリンホトキシンと称す。 グリコシル化腫瘍壊死因子を合成する場合、腫瘍壊死因子をコード化するDNA を複製可能な(再現可能な)ベクターに連結し、そのベクターを用いて、宿主の CHO細胞を形質転換し、そのCHO宿主細胞を培養し、次いでその培地からTNFを回 収する。この一般的な工程は、グリコシル化ヒトTNFを構築するために使用され る。本明細書においては、合成可能な腫瘍壊死因子の種は、成熟(バリルアミノ 末端)腫瘍壊死因子、プレ腫瘍壊死因子(本明細書では「プレ−TNF」と定義する )、および、融合タンパク質を含むTNFの誘導体(この場合、成熟腫瘍壊死因子 を含むTNFはそのアミノおよび/またはカルボキシル末端のアミノ酸にペプチド 結合で他のタンパク質またはポリペプチドが結合されている)がある。CHO組換 え培養で合成されたヒト腫瘍壊死因子は、腫瘍壊死因子と同時に患者に投与する ことが生理学的に許容できる量 と特性の、タンパク質を含む非ヒト細胞成分が存在していることが特徴である。 これらの成分は、通常、1重量%未満のオーダーで、無害の混入物量で存在して いる。さらに、CHO組換え細胞培養によって、相同タンパク質が全く存在しない 腫瘍壊死因子の産生が可能である。 相同タンパク質は、通常、腫瘍壊死因子と関連しているタンパク質である。と いうのは、腫瘍壊死因子は、たとえば、細胞、細胞滲出液、または体液中のよう な自然界で見つかるからである。たとえば、ヒト腫瘍壊死因子に対する相同タン パク質は、ヒト血清アルブミンである。異種タンパク質はその反対であり、すな わち、それらは本来本件の腫瘍壊死因子と関係していないか、一緒に発見される ことはない。 「実質的に均質の」グリコシル化TNFは、グリコシル化TNFが単離された供給源 に本来存在している他のタンパク質を実質的に含有していないグリコシル化TNF を意味する。これは、その均質のグリコシル化TNFが、アルブミン、フィブリノ ーゲン、セリンプロテアーゼ類、アルファ−グロブリン類、リンホトキシンもし くはインターフェロンのような非TNF細胞毒性ポリペプチド類、または全細胞お よび粒状の細胞デブリスを含むグリコシル化TNFの合成起源として有用な細胞も しくは生物の他のタンパク質などの血漿タンパク質を実質的に含有していないこ とを意味している。 通常、(a)(5’開始コドンを含む)腫瘍壊死因子構造遺伝子全体を含んでい るベクター、または(b)成熟腫瘍壊死因子、またはTNF分泌リーダープレ配列(TN F secretary leader presequence)も含んでいてもよい分泌 リーダーに作動可能に連結したTNF誘導体の遺伝子で哺乳動物細胞を形質転換し 、次いでその細胞を培養すると、培養培地から成熟TNFが回収される。 同様に、TNFをコードするDNAが、ベクター中で、形質転換される宿主細胞によ って適切にプロセシングされる分泌リーダーに作動可能に連結され、その宿主が そのベクターで形質転換され、次いで培養されると、アミノ末端のメチオニルま たはブロックされたメチオニルなしの腫瘍壊死因子が合成される。また、細胞周 縁細胞質へ成熟型タンパク質の不適当な輸送をもたらす分泌リーダーおよび宿主 細胞を選択することができる。 細胞バイオプロセス(cell bioprocess)によって腫瘍壊死因子を調製したら、 通常、培養液上清を回収し、固形物を除去し、上清混合物(TNFおよび他のタン パク質を含む)からTNFを疎水性物質へ吸収させ、その物質からTNFを溶出させ、 第三級アミノ陰イオンの交換樹脂にTNFを吸着させ、その樹脂からTNFを溶出させ 、実質的に均一の粒度を有する(好ましくは、第四級アミノ置換の)陰イオン交 換樹脂にTNFを吸着させ、次いでその樹脂からTNFを溶出することによってTNFを 精製する。TNF組成物は任意に濃縮し、次に、精製工程中のあらゆる時点で、等 電点電気泳動あるいはセファデックス(SEPHADEX)G−25のようなふるい分けゲル を通す濾過などによるクロマトフォーカシングによって精製することができる。 トランスフェクションされたCHO細胞から本発明によって得られる腫瘍壊死因 子は、常に、糖たんぱく質として得られる。 組換え細胞培養からの精製されたグリコシル化TNF は、治療用途のために、薬学的に許容し得る担体および賦形剤、たとえば生理学 上無害の安定剤および賦形剤等と組みあわせ、投与用バイアルビン中の凍結乾燥 された剤形、または安定化した水性製剤として貯蔵される剤形で調製される。あ るいはTNFは、腫瘍または腫瘍を切除した外科的部位へ移植するため高分子マト リックス中に組み込むことができる。それによって、局所化された高勾配濃度で 腫瘍壊死因子の徐放が実施される。 治療への適用においては、グリコシル化TNFは、予め決められた量のリンホト キシンおよび/またはインターフェロンのような他のタンパク質とうまく組み合 わせてもよい。 グリコシル化腫瘍壊死因子は、多量体の形態のものも含んでいる。TNFは、自 然に凝集して、多量体、通常二量体以上の多量体になる。多量体は細胞傷害性で あり、したがってインビボにおける治療用途に適している。実質的に均質の多量 体または単量体としてグリコシル化TNFを発現させ回収することが望ましいが、 異なる多量体の混合物としてグリコシル化TNFを治療に使用してもよい。 グリコシル化TNFの誘導体は、本発明の範囲内に含まれる。この誘導体は、他 の化学的部分との共有結合体または凝集体を含んでいる。共有結合の誘導体は、 当該技術分野で既知の方法により、グリコシル化TNFアミノ酸側鎖またはN−も しくはC−末端に見られる基に対する官能性結合によって調製される。これらの 誘導体は、たとえば、カルボキシ末端、またはカルボキシル側鎖を含んでいる残 基の脂肪族エステルまたはアミド;水酸基含 有残基のO−アシル誘導体;リジンまたはアルギニンのようなアミノ末端のアミ ノ酸またはアミノ基含有残基のN−アシル誘導体を含んでいてもよい。アシル基 は、アルカノイル種を形成するC3〜C10の直鎖アルキルを含むアルキル部分、お よびアロイル種を形成する炭素環式化合物あるいは複素環式化合物からなる群か ら選択される。反応基は、好ましくは、反応側鎖基を介して不溶性マトリックス に架橋結合するタンパク質に使用することが知られている二官能基性化合物であ る。好ましい誘導体化部位は、システインおよびヒスチジン残基である。 共有結合または凝集誘導体は、免疫検定またはアフィニティ精製法における試 薬として有用である。たとえば、グリコシル化TNFは、抗TNF抗体、細胞表面受容 体、またはそれらの可溶性細胞外部分の検定または精製に使用するため、グルタ ルアルデヒドの架橋結合が有る状態または無い状態で、従来法による臭化シアン 活性化セファロースに共有結合させることによって不溶性にされるか、またはポ リオレフィン表面へ吸着される。また、グリコシル化TNFは、診断検定、とくに 競合型免疫検定による生物学的試料中のグリコシル化TNFレベルの診断に用いる ため、たとえば、クロラミンT法により放射性ヨウ素標識させた、または希土類 キレート剤に共有結合させた、または他の蛍光性部分と共役させた検出可能な基 で標識され得る。そのような誘導体は細胞傷害性活性を示す必要はなく、抗TNF との交差反応性のみ必要である。 グリコシル化TNFをコード化するDNAは、化学合成、末梢血リンパ球または細胞 系統培養からのmRNAの逆転写産物のスクリーニング、または任意の細胞からのゲ ノ ムライブラリーのスクリーニングによって得ることができる。グリコシル化TNF は、TNFをコードするDNAを含むベクターで形質転換された宿主CHO(または他の真 核性)細胞で合成される。ベクターは複製可能なDNA構築物である。ベクターは、 TNFをコードするDNAを増幅するため、および/またはTNFをコードするDNAを発現 するために使用される。発現ベクターは、複製可能なDNA構築物であり、TNFをコ ードするDNA配列が、CHO宿主細胞中でTNFを発現できる適当な制御配列に作動可 能に連結されている。そのような制御配列としては、転写プロモーター、転写を 制御する任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする 配列、および転写と翻訳の停止を制御する配列がある。 ベクターは、プラスミド、ウイルス(ファージを含む)、および組み込み可能な DNA断片(すなわち、組換えによってCHOゲノムへ組み込むことができる)からな る。ベクターは、CHO宿主を形質転換したならば、複製し、宿主ゲノムとは無関 係に機能し、または場合によって、ゲノム自身へ組み込まれる。本明細書では、 「ベクター」は「プラスミド」に対する総称である。しかしながら、同等の機能 を提供し、当該技術分野ですでに公知であるか公知となる他のすべての形態のベ クターも、本明細書で使用するのに適している。適切なベクターは、CHO宿主細 胞と適合可能な種に由来する制御配列とレプリコンを含んでいる。形質転換され た宿主細胞は、組換えDNA技術を用いて構築された腫瘍壊死因子ベクターで形質 転換またはトランスフェクションされたCHOまたは他の真核細胞である。形質転 換されたCHOまたは他の真核宿主 細胞は、通常TNFを発現する。 DNA領域が互いに機能的に関係する場合、それは作動可能に連結されている。 たとえば、プレ配列または分泌レーダーに対するDNAは、ポリペプチドの分泌に 関与するプレタンパク質として発現する場合、ポリペプチドに対するDNAに作動 可能に連結している。プロモーターは、コード配列の転写を制御する場合、コー ディング配列に作動可能に連結している。リボソーム結合部位は、翻訳できるよ うに配置されている場合、コーディング配列に作動可能に連結している。しかし 、一般的に作動可能な結合は必ずしも隣接していることを意味せず、分泌リーダ ーの場合には、隣接していて読み取り相(reading phase)内にある。 ベクターは、宿主生物によって認識されるプロモーターを含んでいなければな らない。通常、これは目的の宿主に対して相同なプロモーターである。 CHO細胞の発現ベクターは、必要であれば、通常、複製開始点、リボソーム結 合部位とともに、発現される遺伝子から上流域に位置するプロモータ、RNAスプ ライス部位(イントロン含有ゲノムDNAを使用する場合)、ポリアデニル化部位 、および転写終結配列を含んでいる。CHO細胞を形質転換するのに使用される発 現ベクターの転写および翻訳制御配列は、ウイルス源により提供されることが多 い。たとえば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス 2、およびシミアンウイルス40(SV40)に由来する。初期および後期プロモータ ーは、ともに、SV40のウイルス性起源または複製も含んでいる断片としてウイル スから容易に得られるの でとくに有用である。もし、ウイルスの複製開始点に位置したHind III部位から Bgl I部位へ伸展している約250塩基の配列が含まれているならば、より小さいま たはより大きいSV40の断片を使用してもよい。さらに、また、ヒトゲノムプロモ ーター、通常TNFに関連した制御および/またはシグナル配列を使用することが でき、多くの場合それは望ましい。 複製開始点は、SV40または他のウイルス(たとえば、ポリオーマ、アデノウイ ルス、VSV、またはBPV源)に由来するような外因性開始点を含むようにベクター を構築することにより提供されるか、またはCHO細胞複製メカニズムによって提 供され得る。CHO宿主細胞染色体へベクターを組み込む場合、後者は大抵の場合 充分である。 好ましい宿主細胞としてCHO細胞が開示されているが、任意の真核宿主細胞系 で組換えで産生されたTNF−αがCHO細胞から得られたTNF−αと同様の方法でグ リコシル化されると予想される。したがって、グリコシル化ヒトTNF−αを提供 するため、任意の適切な真核宿主細胞系を使用することができる。 最初に、グリコシル化TNFを培養基から回収する。形質転換された非分泌細胞 は超音波処理あるいは他の許容し得る方法によって溶解し、細片は遠心分離によ って分離し、一方、(誘導細胞系などの)分泌細胞からの上清は単に遠心分離に よって細胞から分離される。その後、以下の工程の任意の一つ以上を使用しでも よく、また、完全に他の方法と置き換えてもよい。配列決定を行うのに充分な程 度までグリコシル化TNFを精製するために、以下の方法を用いた。これは、治療 用産生物に対して要 求される精製と必ずしも同一のものではない。 最初の精製工程としては、培養基上清を溶解した培養物からの疎水性物質へグ リコシル化TNFを吸着させる。その疎水性の物質は、好ましくはケイ酸塩かポリ オレフィンのようなゼラチン状でない疎水性表面であるが、アルキルセファロー ス(Sepharose)も適当である。好ましい態様は制御された細孔ガラスである。約 1容量部の割合の制御された細孔ガラスを50容量部の上清と混合し、その吸着を わずかにアルカリ性の条件下で約30分から2時間、好ましくは約1時間かけて約 4℃で撹拌なしで進行させた。通常、吸着物はその後適当な緩衝液で洗浄して、 とられられた混入タンパク質を除去しなければならない。 周囲の媒体の溶媒和特性を変えることによって、吸着されたグリコシル化TNF を疎水性物質から溶出させる。溶出は、1Mの塩、および、たとえばエチレング リコールまたはグリセリン、通常、10〜30パーセントv/v、好ましくは約20パー セントv/vの範囲のエチレングリコールなど有効量の水混和性有機ポリオール水 溶液を含むpHが約7〜8.5、好ましくは約8の緩衝溶液を通過させることによって 行うことができる。もちろん、最適条件は、使用されるポリオールで決まる。グ リコシル化腫瘍壊死因子を含有する溶出画分を、通常の検定法によって検出する 。 第三級または第四級アミノ陰イオン交換樹脂にTNFを吸着させることによって 、さらに精製することができる。この目的に対する好ましい樹脂は、架橋ポリス チレン、デキストラン、またはアルキル第三級もしくは第四級アミノ基で置換し たセルロースのような親水性マトリック ス樹脂である。 実質的に均質になるまでの精製は、SDS−PAGE電気泳動またはC4−逆相高圧液 体クロマトグラフィーでさらなる分離を行うことによってのみ達成できる。しか しながら、この産物は、SDSまたはHPLC有機溶媒にさらされると実質的な活性を 失う可能性があるので、治療用途に望ましくないことがある。 本発明によって調製されるグリコシル化腫瘍壊死因子は、生理学上許容し得る 担体、すなわち使用される投与量および濃度において受容者に無毒な担体と所望 の純度を有するグリコシル化TNFとを混合して投与のために調製される。通常、 これは、グリコシル化TNFを緩衝液、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量(約 10残基未満)のポリペプチド類、タンパク質類、アミノ酸類、グルコースまたは デキストリンを含む炭水化物、EDTAのようなキレート剤、および他の安定剤と賦 形剤を組み合わせることが必要であろう。担体は、グリコシル化TNFを二量体お よび/または好ましくは三量体として安定化させるため配合しなければならない 。これは、腫瘍壊死因子が単量体に解離する濃度の塩類または洗浄剤を避けるこ とによって達成される。あるいは、より高次の多量体へグリコシル化TNFを凝集 させる条件も避けるべきである。通常、凍結乾燥または水性保存並びに精製の間 の過度の凝集をなくすため、ツイーン20(TWEEN 20)のような非イオン性界面活性 剤を使用する。治療投与に用いられるグリコシル化TNFは滅菌されていなければ ならない。これは、滅菌濾過膜を通す濾過によって容易に行うことができる。通 常、グリコシル化TNFは凍結乾燥形態で保管 されるが、単に凍結されてもよい。 ヒトTNFは、単独で、またはインターフェロンのような他の有効成分もしくは 、不活性の担体、希釈剤もしくは賦形剤とともに、多くのヒトの疾患と症状を治 療するのに有用であることが知られている。本発明のグリコシル化ヒトTNFは、 このような用途において、非グリコシル化組換え産生TNFと置き換えることがで き、また、体液中で半減期が増大し、受容体への結合性が改良され、プロテアー ゼの影響に対して保護される。そのような適用症の例としては、黒色腫、EL−4 リンパ腫、Meth−A腫瘍、メラノサイト、肝臓または肺の癌腫、転移あるいは乳 癌、および胸部、肛門、直腸、頭部、頚部および他の身体器官の癌を含む充実性 腫瘍、白血病、ウイルス感染症、悪液質等がある。さらに、グリコシル化ヒトTN Fは、寄生虫、バクテリア、またはウイルスによる感染症の予防または緩和、並 びに自己免疫疾患の予防に使用することができる。本発明のグリコシル化ヒトTN Fは、注射剤、点眼薬、点鼻薬、吸入剤、外用剤、経口製剤、直腸製剤、または 膣製剤として配合し、投与してもよい。グリコシル化組換えヒトTNFの一日投与 量は、通常、50から約100,000,000単位の範囲内にある。使用方針および受容者 の症状によって、一日投与量は増減することができる。 投与されるグリコシル化組換えヒト腫瘍壊死因子の量は、たとえば、投与経路 、問題の症状、および患者の症状に依存する。したがって、治療者は、投与量を 力価試験し、また、患者に対して最適の活性を得るために要求される投与の経路 を改変する必要がある。そのような変 更は、過度の実験を行うことなく当業者は行うことができる。 非グリコシル化ヒトTNFと比較して、グリコシル化TNFは体液中で増加した半減 期を有し、受容体に対する結合性が改善され、プロテアーゼの影響に対してより 良好に保護されているので本発明によって調製されたグリコシル化ヒト組換えTN Fは、とくに有用である。したがって、本発明のグリコシル化TNF−αは、先行技 術の非グリコシル化TNF−αに現在知られているあらゆる適応症に対して用いる ことができると理解されるべきである。予期される半減期の増加およびグリコシ ル化形態の改善された有効性を考慮して実験的な変更を行うことを条件として、 非グリコシル化TNF−αの配合、投与および投与量の公知の手順を、まず本発明 のグリコシル化TNF−αに対して用いることができることを、当業者は理解する であろう。 グリコシル化TNFは、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、アクラシノマ イシンA等の化学療法抗生物質のような他の抗腫瘍性薬剤とまたは腫瘍の細胞表 面抗原に対し親和性を有する免疫グロブリン類を含むガンマグロブリン等の免疫 グロブリンのような、免疫学的応答を増大するかまたは剌激する薬剤と任意に組 み合わせることができる。さらに、インターフェロンが細胞溶解検定においてTN Fと相乗的に作用するので、アルファ、ベータまたはガンマインターフェロンを グリコシル化TNFの組成物、またはグリコシル化TNF、およびリンホトキシン含有 組成物と組み合わせることが望ましい。代表的な配合物は、約0.1:1から200:1、 通常10:1の単位活性割合 のグリコシル化TNFおよびガンマインターフェロンからなり、グリコシル化TNFの 部分の代わりにリンホトキシンを含んでいてもよい。もちろん、これらの割合は 治療経験によって要求されるとおりに変更されることがある。 グリコシル化TNF組成物は、腫瘍がある動物に投与できる。投与のルートは、 公知の方法によるものであり、たとえば、滅菌したグリコシル化TNF液の、静脈 内、腹腔内、筋肉内、病巣内注入または注射であるか、または下記の徐放システ ムによるものである。グリコシル化TNFは、病巣内へ投与、すなわち、充実性腫 瘍へ直接注射してもよい。白血病のような播種性腫瘍の場合には、静脈内投与ま たはリンパ系への投与が好ましい。卵巣癌のような腹部臓器の腫瘍は、腹膜透析 装置および腹膜適合液を使用して腹腔内注入によって有利に治療することができ る。ボーラス注入は許容されるけれども、通常、グリコシル化TNFは連続的な注 入によって投与される。 また、グリコシル化TNFは、移植可能な徐放性物から投与され得る。グリコシ ル化TNF二量体または三量体の分子量を有するタンパク質に対して適切な系の例 には、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタミン酸塩との共重合体、ポ リ(2−ヒドロエチル−メタクリル酸塩)またはエチレン酢酸ビニルが含まれる 。このような製品を、腫瘍を切除した外科的部位に移植する。あるいは、グリコ シル化TNFを、腫瘍へ注入するために、半透過性マイクロカプセルまたはリポソ ーム中へ封じこめる。この投与形態は、脳腫瘍のような外科的に摘出困難な腫瘍 にとくに有用である。投与されるグリコシル化TNFの量は、たとえば、投与のル ート、問題の腫瘍および患者 の症状に依存する。病巣内注射は、静脈内注入よりも体重当たり少ないグリコシ ル化TNFを要求するが、いくつかの腫瘍タイプ、たとえば、充実性腫瘍は、他の 腫瘍タイプ、たとえば白血病よりもグリコシル化TNFに対して一層抵抗性がある ようである。したがって、増やした投与量で生じるいかなる組換え毒性をも考慮 しながら、たとえば腫瘍の生検、または癌胎児性抗原のような推定上の癌マーカ に対する診断検定によって決定することができるので、臨床医は、投与量を力価 試験し、および標的腫瘍に対して最適の細胞毒性活性を得るために要求されるよ うに投与ルートを改変する必要がある。実施例1:チャイニーズハムスター卵巣細胞からの組換えヒトTNFの産生 本明細書によって参照文献として組み込まれる全内容である前出のコーンらに よって記載された方法で作製された、組換えヒトTNFを発現するクローンは、イ スラエルのレホボトにあるワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Scien ce)のディー・ウォラック(D.Wallach)教授の研究室から得た。産生物を開始す るまで、クローンはプロリン、グルタミンおよび10%のウシ胎児血清を補足した ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で増殖させた。ディスクキャリアを備えた1 リットルの撹拌培養器で産生を実施した。その撹拌培養器に2.5×109の細胞を播 種し、5日間、血清補足培地で保持された後、その培地は、産生培地(DMEM、ADC −1補足、バイト ハエマック インダストリー(Beit Haemck Industries)、イ スラエル)、1ml当たり0.2μgのインシュリンおよび 血清活性画分1ml当たり0.5μgのタンパク質に変更された。産生は無血清培地の 中で行なった。毎日2つの収集物を回収し、撹拌培養器は3ヶ月間の産生におい て操行した。粗濃縮した組換えヒトTNFは、トソーハース(Toso−Haas)製の樹脂 であるフラケトゲル(Fractogel)TSK−AF−CDIの樹脂に結合した組換えヒト腫瘍 壊死結合蛋白質を含んだアフィニティカラムで精製した。 より明確には、グリコシル化ヒトTNFは、以下の工程を用いて精製する。 1.清澄化および濃縮 2.アフィニティクロマトグラフィーカラム 3.濃縮、最終緩衝液への透析および最終濾過濾過と濃縮 組換えヒトTNFの粗収集物を1.2ミクロンのフィルタで清澄化し、次に、10kDa カットオフ膜(cut−off membrance)を用いたペリコン(Pellicon)システムで20倍 に濃縮した。濃縮粗収集物は、使用するまで−70℃に保持した。カラムにかける 前に、凍結/解凍操作の結果生じた微生物および粒子を除去するため、その解凍 された粗成物を0.2ミクロンのフィルタを通して濾過した。 一般に、2%血清タンパク質のさらなる濃縮は粗製物中の生物学的活性タンパ ク質を損傷することがあるかもしれないので、20倍以上に粗製グリコシル化TNF を濃縮することは薦められない。しかしながら、低タンパク質含有量の無血清培 地でTNFは産生されるので、この制限は本発明には無関係である。アフィニティ クロマトグラフィーカラム 粗製の濃縮組換えヒトTNFは、組換えヒトTNF結合タンパク質−1(TBP−1)、TN F受容体、56mlのフラクトゲル(Fractogel)TSK−AF−CDI樹脂(メルク(Merck)) に結合させた可溶性p55を含んでいるアフィニティカラムで精製した。組換えヒ トTNF結合タンパク質は、その可溶性受容体、TBP−1に対するTNFの高い会合定数 に基づき本目的のために選択された。カップリング法には、0.1M燐酸緩衝液(pH7 .5)中の4.5mg/mlの濃縮組換えヒトTBP−1と該樹脂との一晩の振盪が含まれる。 結合比率は、1mlの樹脂当たり7〜8mgの組換えヒトTBP−1である。反応液で懸濁 した場合、1gの樹脂が3.5mlまで自己膨張することに注意すること。TBP −CDIカラム クロマトグラフィ法には、溶出を開始する前に、PBSであらかじめ平衡化され 、30ベッド体積のHSPBで洗浄し、次いでPBS(30ベッド体積)でウォッシュバック したカラムに粗製物を注入することからなる。50mMクエン酸(pH2.5)中の100mM塩 化ナトリウムで溶出を実行した。溶出主要ピークをその距離の65%でカットし、 pH8までの(TNF活性を破壊する)酸性pHの滴定のため2Mのトリス(pH8.5)中へ 収集した。滴定は、溶出緩衝液5ml当たり400マイクロリットルのトリスの比率 で行った。溶出ピークがベースラインへ戻った後、塩化ナトリウムなしの10ベッ ド体積の50mMクエン酸でそのカラムを再生し、次いで20ベッド体積のHSPBで再生 した。以下のフローチャートはすべてのカラムの実行工程を列挙して いる: TBP1 −CDIのカラムアフィニティークロマトグラフィー 注:この産生方法では、溶出前のPBS洗浄を省略した。 クロマトグラフィーサイクルの終わりに、20ベッド体積の1M NaClおよび0.05 %NaN3でカラムを洗浄し、4℃でこの緩衝液中に保持した。 表1は、分光測光法の測定(A280/EC)およびバイオアッセイによって測定した 場合のカラム画分によって、組換えヒトTNFの典型的な分布を示す。 濃縮と透析 いくつかのクロマトグラフィーサイクル由来の溶出画分を合わせてプールし、 10KDaカットオフ膜を備えたフィルトロンミニセッテ(Filtron Minisette)システ ムで、吸収度(吸光係数で割算したA280、A280/EC)により1.65mg/mlの濃度ま で濃縮した。濃縮プールを20mMトリス−CHl;100mM NaCl(pH8.0)で透析した。カラム全体の物質分布 物質収支の試験結果の概要を下記の表に示す。 表2はCDI−TBP−1アフィニティーカラムの代表的な収率を示す。 表3は、A280/ECとバイオアッセイによって測定した場合のリプロセス(repro cess)クロマトグラフィーのカラム画分によるr−hTNFの代表的な分布を示す。 * N.D.=非実行 ** U.L.=LOD下=検出限界下 表4は代表的な収率とカラム収支の概要を示す。 * N.D.=非実行 純粋な組換えヒトTNFを、6つの分析技術によって試験した。すなわち、炭水 化物組成、炭水化物マッピング、ゲル電気泳動(SDS−PAGE)、等電点電気泳動、 キャピラリー電気泳動および逆相高速液体クロマトグラフィーである。単糖類の組成 上記のように調製した組換えヒトTNFの一部を、3つ の異なる組の条件を使用して加水分解した。 (1) 4M HClによるアミノ糖類の遊離、 (2) 2Mトリフルオロ酢酸を用いた中性糖類の遊離、 (3) 0.1M HClによるシアル酸の遊離。 遊離された単糖類をダイオネックス(Dionex)システムで分離した。このシステム は、ポンプ、パルス型電気化学検出器、オートサンプラーおよび陰イオン交換カ ラムで構成されている。16mM NaOHを用いる無勾配溶離を、中性のアミノ単糖類 の分離、同定および定量に用いた。シアル酸は、100mM NaOH中の30〜990mM酢酸 ナトリウムの勾配を用いて同一の陰イオン交換カラムで分離した。オリゴ糖マッピング オックスフォードグリコシステム(Oxford GlycoSystems)のグライコウプレッ プ(GlycoPrep)−1000システムでオリゴ糖の化学的遊離を行った。GP−1000は、 無水ヒドラジンでグリコシド結合を自動的に開裂する卓上型化学反応器である。 GP−1000は、3つのモード、すなわちN、N+OおよびOで作動することができ る。これらのモードは、より低い回収率(約85%)によって、N−結合、O−結 合、またはその両方の優先的な遊離を行う。 2つの分画をGP−1000によってヒドラジン化した。1つはO−モード(図1A )であり、第二はN+Oモード(図1B)である。遊離したオリゴ糖を、PA−10 0カラムを用いたダイオネックスシステム(Dionex system)によって分離し同定し た。ゲル電気泳動(SDS−PAGE) 縦長のマイティ スモール(Mighty Small)装置(ヘッファー(Hoeffer))を用い る20%アクリルアミドSDSゲルが、チャイニーズハムスター卵巣細胞および大腸 菌からの組換えヒトTNF試料を分離し比較するために使用され、TNFの一部を酵素 とともにインキュベートした。各サンプルの3マイクログラムのタンパク質をゲ ルにかけ、クマシーR−250で30分間染色した。等電点電気泳動 帯電グライコウ型(charged glycoforms)の分離を、13×26cmキャスティングユ ニット中で0.25mmの厚みのゲルを用いて行った。ゲルの組成は2.6%のアクリル アミド、4%の両性電解質および10%のグリセロールであった。5マイクログラ ムの各サンプルをかけた。陰極溶液として0.2MのNaOH、陽極溶液として0.2MのH3 PO4を用いて、そのゲルを5000ボルト−時間走行した。キャピラリー電気泳動 ABIキャピラリー電気泳動システム(270A−HT、アプライド バイオシステム(A pplied Biosystems))のキャピラリーゾーン電気泳動によってTNF試料を分離した 。電気泳動条件は以下のとおりであった。 緩衝液:100mM燐酸塩(pH2.5) キャピラリー:72mmの長さのキャピラリー 検出:200nm 電圧量:20kV 逆相高速液体クロマトグラフィー この試験中に使用されるクロマトグラフィーの条件は、欧州特許第168214号に 記載されたものに基づいた。このクロマトグラフィは、C4 RP−HPLCカラム25cm ×4.6mmを用いて室温で実施し、0.1%トリフルオロ酢酸中の1−プロパノールの 勾配で溶出した。検出はUV検出器で280nmにて行った。試験結果 炭水化物の組成 ドイネックス(Doinex)システムで検定された単糖類組成の結果は、ガラクトー スアミン、ガラクトースおよびシアル酸が本発明によって産生されたTNF分子の 中に存在することを示した。1:1:1.5の比率が得られ、再確認した。この比 率および組成は、O−結合オリゴ糖を示している。炭水化物マッピング チャイニーズハムスター卵巣細胞から産生された組換えTNFがO−結合オリゴ 糖を有する糖たんぱく質であることを実証するために、グライコウプレップ(Gly coPrep)−1000を用いてオリゴ糖の化学的遊離を行った。遊離されたオリゴ型を ダイオネックスシステムの高性能陰イオン交換パルス型電気化学検出器によって 分離した。得られたオリゴマップの結果を図1Aおよび図1Bに示す。グライコ ウプレップ−1000の「Oモード」(図1A)においては、オリゴ糖の一つのピー クのみが検出され、O−結合オリゴ糖標準を別に走行させると同時にクロマト グラムに溶出された(データは図示されていない)。「N+O」モード(図1B) において遊離されたオリゴ糖は、付加的なピークのない同じクロマトグラムを示 した。これは公知のN−結合オリゴ糖が存在しないことを示している。他のオリ ゴ糖が微量に存在するかもしれない。ゲル電気泳動 本発明によって調製したTNFを、シアル酸を除去するために、2時間ノイラミ ニダーゼとともにインキュベートして、シアル酸を除去した。一部をさらに18時 間O−グリカナーゼとともにインキュベートした。その試料から、一部をさらに 18時間N−グリカナーゼとともにインキュベートした。分析するまで試料を−70 ℃で凍結保存した。 得られたゲルは、主としてTNFの17,000ダルトンの主要バンド(示していない )、およびおそらく組換えヒトTNFのグリコシル化した形態である、より高分子 量の付加的なバンドを示した。ノイラミニダーゼとインキュベートしたところ、 ほとんどのグリコシル化形態は17,000ダルトンのバンドへ変わった。そのゲルは 、酵素感受性グライコウ型(glycoforms)の存在を示し、主としてシアル酸および O−結合グリカン類に作用する。等電点電気泳動 チャイニーズハムスター卵巣細胞から産生された組換えTNFおよび大腸菌から 産生された組換えTNFで行った等電点電気泳動は、主要なバンドが類似している ことを示した(図示されていない)。CHO細胞で産生されたT NFとともに観察された別のバンドは、酵素消化に対し感受性であった。 ノイラミニダーゼとインキュベートしたところ、pI=5.85および5.2における 余分なバンドの大部分が除去された。酸性荷電グループであるシアル酸が除去さ れると、塩基性型のレベルが増加した。他の酵素とのインキュベーションはさら に電荷に影響せず、したがって、等電点電気泳動分析における泳動は変化しなか った。キャピラリー電気泳動 図2は、キャピラリー電気泳動検定において得られた電気泳動図を示す。図2 Aは、CHO細胞由来の組換えヒトTNFのキャピラリー電気泳動の結果を示し;2B は、CHO細胞+ノイラミニダーゼからの組換えヒトTNFに対する結果を示し;2C は、CHO細胞+ノイラミニダーゼ+O−グリカナーゼからの組換えヒトTNFの結果 を示し、;2Dは、CHO細胞+ノイラミニダーゼ+O−グリカナーゼ+N−グリ カナーゼからの組換えヒトTNFに対する結果を示し;そして2Eは、大腸菌で産 生された組換えヒトTNFのキャピラリー電気泳動分析の結果を示す。 CHO細胞によって産生されたTNFのプロファイルである、図2Aは、主要ピーク を示し、それはおそらく非グリコシル化組換えヒトTNFであり、付加的ピークは 図2Eの大腸菌(E.Coli)組換えヒトTNFには存在していない。グリコシル化した ピークは、分子の約35%に相当する。 図2Bは、ノイラミニダーゼがほとんどの電荷、すなわちシアル酸を除去し、 図2Cに示すようにO−グリカ ナーゼがオリゴ糖コアを除去したことを示している。図2Dは、N−グリカナー ゼとともに行った追加インキュベーションが電気泳動図を変えなかったことを示 している。逆相高速液体クロマトグラフィー CHO細胞で調製された組換えヒトTNFおよび大腸菌で調製された組換えヒトTNF を逆相高速液体クロマトグラフィーにかけたとき、2つの化合物が同時に溶出し 、タンパク質コアの類似が示された。CHOおよび大腸菌からの組換えヒトTNFのク ロマトグラムは、同時に泳動するタンパク質として2種のタンパク質を示した。特徴づけ試験の概要 上記の検定により、CHO細胞で調製した組換えヒトTNFが、大腸菌から得られた 組換えヒトTNFには存在しない付加型を有することを明らかに証明した。CHO細胞 からの型は、O−グリコシル化されていることが分かった。実施したすべての試 験は、CHO細胞から得られる組換えヒトTNFが、大腸菌からの組換えヒトTNFに、 タンパク質コアが類似しているが、CHOのTNFはグリコシル化されている点で異な ることを示した。組成分析、オリゴマップおよびキャピラリー電気泳動によって 、グリコシル化型の性質を決定した。SDS −PAGE分析による精製TNFの純度決定 様々な量の最終精製TNFによる限界試験をSDS−PAGEで実施し、クマシーブル ーによって染色した。ゲル上 のHSAの検出限界は150ngであり、TNFの最大負荷重は1レーン当たり40マイクロ グラムであった。TNFレーン中には目視可能の不純バンドはなかった。したがっ て、0.37%より大きい単一の混入バンドはないという結論である。 これらの検定を行う場合、ゲルにかけられた試料は(1)試料緩衝液、(2)10マイ クログラムの精製TNF−2、(3)20マイクログラムの精製TNF−2、(4)40マイクログ ラムの精製TNF−2、(5)75ngのHSA、(6)100ngのHSA、(7)150ngのHSA、(8)LMWマ ーカである。 定性的純度は、銀染色されたSDS−PAGEによって得られた。試験結果を得る際 に、9および18マイクログラムの最終精製TNF本体をSDS−PAGEで泳動し、銀染色 によって染色した。ゲル上にかけられた試料は、(1)試料緩衝液、(2)9マイクロ グラムの精製TNF−1、(3)9マイクログラムの精製TNF−2、(4)18マイクログラム の精製TNF−2、(5)LMWマーカである。不純物は見られなかった。精製TNFの濃度 最終精製濃度は、種々の分析試験方法、すなわちブラッドフォード(Bradford) 、A280/E.C.、エリザ法およびバイオアッセイによって決定した。その結果を表 5に要約する。 サイズ排除クロマトグラフィー サイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)を実施した 。その目的は、最終本体中に存在するTNF型の純度および分子量を決定すること であった。SECのプロファイルは、保持時間による見かけ分子量が約50kDの主要 な一つのピークを示した。文献および本発明者のSDS−PAGE分析から、TNFの分子 量は17kDであることがわかっている。TNFが、生理活性型であると報告されてい る三量体型で精製物内に存在しているということが結論である。等電点電気泳動 等電点電気泳動を実施した。最終精製物は、5〜7のpH範囲に7種の等電型を有 する。r−h精製TNF−1は、ノイラミニダーゼで処理したところ、崩壊して、1種 の等電型になった。結論は、他のすべての型がおそらくグリコシル化されている ということである。 r−h精製TNF試料の等電点電気泳動を、5%全アクリルアミド、2%両性電解 質を含む2.6%ビス−アクリルアミド、32%(v/v)グリセロール、10mM GLU、10m M LYS、pH勾配3〜10、15cm幅(陽極から陰極まで)のゲ ル上で、操作条件:15℃、20,000V/hrで行った。 ゲルにかけた試料は、(1)内部のマーカ(シトクロムC)、(2)pHマーカ、(3) 5マイクロリットルの0.5mg/ml精製TNF−1、(4)5マイクロリットルの0.5mg/m 1精製TNF−1、(5)5マイクロリットルの0.5mg/ml精製TNF−2、(6)0.5mg/ml精 製TNF−2、(7)0.5マイクロリットルの1.65mg/ml精製TNF−2、(1)5マイクロリッ トルの1.65mg/ml精製TNF−2、(9)pHマーカである。 最終精製物をそのアミノ酸組成について調べ、その結果を表6に示す。 ガス相による加水分解された N−末端のアミノ酸配列 N−末端アミノ酸の配列について最終精製物を調べ、その結果は、文献由来の 公知配列 Val−Arg−Ser−Ser−Ser−Arg−Thr−Pro−Ser−Asp−Lys−Pro−Val−Ala−Hi s(配列番号1) を示した。 内毒素の濃度 LAL試験によって、内毒素の濃度について最終精製物を調べ、その試験結果は 、0.25EU/ml未満の、または0.15EY/mg未満の内毒素濃度を示した。 組換え精製TNFに対する試験結果を表7に示す。 * 吸光係数=1.226(mg/mlあたりのA280) ** 文献の既知の配列と同一 *** NBSB標準 本発明の範囲内には、グリコシル化TNFの断片、または、グリコシル化TNFの変 異体もしくはその断片(成熟TNFを含む)があり、そしてこのような断片または 変異体がr−hTNF−アルファの生物学的活性を保持しながら1つ以上のアミノ酸 残基が置換、挿入または欠失されている。 本明細書のグリコシル化腫瘍壊死因子の断片または変異体の定義範囲内のポリ ペプチドをもたらすアミノ酸配列の相同性の程度は、候補タンパク質とグリコシ ル化腫瘍壊死因子の間の相同性が細胞傷害性活性の原因である腫瘍壊死因子の領 域内にあるか否かによって変化する。細胞傷害性活性に重要なドメインが定義内 に含まれるためには高い相同性の程度を示さねばならないが、グリコシル化TNF の立体配座を保持すること、または受容体結合をもたらすことに関与しない配列 は比較的低い相同性を示す。さらに、重要なドメインは細胞障害性活性を示すが 、機能的に類似するアミノ酸側鎖を含む残基が置換された場合でも、本明細書に 定義されるような相同性を保持している。機能的に類似する、ということは、塩 基性、中性または酸性のような側鎖の優性特質、または精製ステロイドの有無を 指す。しかしながら、本明細書でとくに定義される腫瘍壊死因子には、リンホト キシン、またはTNF−ベータ、並びにマウスTNF−アルファのような他の種のグリ コシル化TNFは含まれていない。 グリコシル化TNFとしてのポリペプチドの本質を確立する重要な要素は、成熟 グリコシル化TNFの細胞障害性活性を実質的に中和して、問題のポリペプチドの 細胞障害性活性を実質的に中和することもできる抗血清性能で ある。しかしながら、免疫学的本質および細胞傷害性本質が必ずしも同一ではな いことを認識するべきである。 本明細書で定義されるグリコシル化腫瘍壊死因子は、たとえば、挿入変異体、 欠失変異体あるいは上記の融合蛋白質のようなTNF誘導体を含んでいる。これら の誘導体は、天然のヒトグリコシル化TNFの確立された分子量以外のグリコシル 化TNFを生じる。同様に、グリコシル化TNFは、トリプシンや他のプロテアーゼに よる加水分解に対する感受性を低下させるかまたは除去するため処理することが できる。 インビボ腫瘍壊死をもたらす細胞傷害活性が「可能である」という文言は、腫 瘍壊死因子という用語が、酵素加水分解による場合のように、酵素前駆体に類似 している不活性な状態から所望の生物学的活性を示すポリペプチド断片に変換さ れることが可能なポリペプチドを含むことを意味する。典型的には、不活性な前 駆体は、成熟グリコシル化TNFが、そのカルボニル末端でヒトのタンパク質また はその断片にペプチド結合によって結合している融合タンパク質である。このペ プチド結合またはその付近の配列は、インビボでまたは製造手順の一部としての インビトロで、グリコシル化TNFを遊離するタンパク質加水分解に対し感受性で あるように選択される。このようにして生成されるグリコシル化TNF因子は、定 義的に必要とされる細胞傷害性活性を示す。 変異体のグリコシル化TNF誘導体は、予め決められた、すなわち、グリコシル 化TNFまたはその断片の部位特異的変異を含んでいる。突然変異誘発の目的は、 上記に定義したグリコシル化TNF、すなわち、インビトロの腫瘍 細胞に対し細胞傷害性活性を示すか、インビボでグリコシル化TNFのように作用 し、グリコシル化TNFと残基の相同性を保持するが、改良された特性と活性をも 示すグリコシル化TNFをコードするDNAを構築することである。変異体のグリコシ ル化腫瘍壊死因子は、本明細書で述べたグリコシル化腫瘍壊死因子に対する相同 性の定義内にある別のポリペプチドとして定義されるが、それは欠失、置換ある いは挿入によるいずれかによるグリコシル化TNFとは異なるアミノ酸配列を有す る。たとえば、グリコシル化TNFのリジンまたはアルギニン残基を、タンパク質 をタンパク質分解作用に対し不安定にしないヒスチジンまたは別のアミノ酸残基 に変異させてもよい。同様に、酸化安定性を付与するためにシステインを他の残 基によって置換し化学的に架橋させることができる。変異体はグリコシル化TNF に対する活性要件を必ずしも満たさない。というのは、さらに生物学的に不活性 の変異体は免疫検定の試薬としての標識化または固定化を行うのに有用であるか らである。しかしながら、この場合、変異体は、グリコシル化TNFに対する抗体 と交差反応性がある少なくとも1つのエピトープ部位を保持している。 グリコシル化TNFをコード化するDNAの変異は、最終の分泌産物で必ずしも発現 されない。たとえば、DNA置換変異の主なクラスは、異なる分泌リーダーまたは シグナルが、リーダー配列内の欠失または置換により天然のヒト分泌リーダーに 置換されているものであり、その場台、天然のリーダーの全部または大部分がCH O細胞によってより認識されそうなリーダーに交換されている。分泌リーダーが 宿主CHO細胞によって「認識される」際、 グリコシル化TNFとリーダーからなる融合タンパク質は、通常、グリコシル化TNF が分泌された場合にはリーダー−グリコシル化TNFのペプチド結合で開裂される 。 グリコシル化TNF誘導体として発現されない他の主要クラスのDNA変異体は、発 現を増強するため、転写されたmRNA中のアミノ末端ループを主として回避するた め、またはCHOによって一層容易に転写されるコドン、たとえば、CHO発現用の公 知のCHO優先コドン(CHO preference codon)を提供するために作製されたヌクレ オチド置換体である。 本発明について充分に説明してきたが、本発明は、本発明の精神および範囲か ら逸脱することなく、かつ過度の実験を行うことなく、均等なパラメーター、濃 度および条件の広い範囲内で同じことが実施できることが当業者によって認識さ れるであろう。 本発明はその特定の態様とともに説明してきたが、さらなる変更が可能である ことも理解されるであろう。本出願は、一般に、本発明の原理に従い、そして、 本発明が関係する当該技術分野内の公知または、通例の実施の範囲内にあり、か つ添付した請求の範囲の範囲内で以下のように述べる前明細書中の本質的な特徴 に相当する本開示からの発展を含む本発明の任意の変更、用途または適応を包合 することが意図されている。 雑誌の記事または要約、公開または対応の米国または諸外国の特許出願、発行 された米国特許または諸外国の特許、または他の文献を含む本明細書で引用され たすべての文献は、引用文献中で提示されたすべてのデータ、表、図および本文 を含めて、本明細書に参照文献として 完全に組みこまれる。さらに、本明細書に引用された参照文献内で引用された参 照文献の全内容もまた参照文献として完全に組みこまれる。 公知の方法工程、従来の方法工程、公知の方法、または従来の方法に対する参 照文献は、本発明の側面、記載または実施態様が関連技術分野において開示、教 示、示唆されていることを容認するものではない。 特定の実施態様の前記記載は、本発明の一般的な本質を非常に充分に示すもの であり、他人は、(本明細書に引用された参照文献の内容を含む)当該分野に属 する知識を適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱することなく 、過度の実験をせずに、特定の実施態様などの種々の用途のために容易に変更し および/または適用することができる。したがって、そのような適用および変更 は、本明細書に示された教示および手引きをもとに、開示された実施態様の均等 物の意味および範囲内にあることを意図している。本明細書における表現または 専門用語は、説明を目的とするもので限定を意図するものではなく、本明細書の 表現または専門用語は、当該技術分野の通常の技術の知識とあいまって、本明細 書で提示した教示および指針にてらし合わせて当業者によって解釈可能であると 解釈されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 37/06 35/02 43/00 111 37/06 C07K 14/525 43/00 111 C12P 21/02 L C07K 14/525 (C12P 21/02 C12P 21/02 C12R 1:91) //(C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA C12R 1:91) A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ゼエヴィ、メナケム イスラエル国、52408 ラマト ガン、ヒ バト ツィオン ストリート 6

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 単離された生物学的に活性な、グリコシル化されたヒト腫瘍壊死因子。 2. グリコシル化されたヒト腫瘍壊死因子を調製するための方法であって、 (a)ヒトTNFまたはその生理学的に活性な変異体をコードするDNAを複製可能な 発現ビヒクルに連結し、該DNAおよび該複製可能な発現ビヒクルからなる複製可 能な組換えDNAを得ること、 (b)該複製可能な組換えDNAを用いて真核細胞を形質転換して、形質転換体を形 成すること、 (c)該形質転換体を培養して、該形質転換体が該グリコシル化されたヒト腫瘍 壊死因子を発現すること、および (d)該グリコシル化されたヒト腫瘍壊死因子を培養された形質転換体から単離 すること からなる方法。 3. 前記単離されグリコシル化されたヒト腫瘍壊死因子を精製する工程をさらに 有してなる請求の範囲第2項記載の方法。 4. 前記真核細胞がチャイニーズハムスター卵巣細胞である請求の範囲第2項記 載の方法。 5. 有効量のグリコシル化されたヒト腫瘍壊死因子および少なくとも1つの薬学 的に許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤からなる医薬組成物。 6.有効量のヒトTNFを単独で、または他の有効成分または不活性な担体、希釈剤 、もしくは賦形剤と組み合 わせて投与することにより治療可能なヒトの疾患または状態を治療するための方 法において、改良が前記ヒトTNFが生物学的に活性なグリコシル化されたヒトTNF である方法。
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