JPH05155665A - 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法

Info

Publication number
JPH05155665A
JPH05155665A JP3349479A JP34947991A JPH05155665A JP H05155665 A JPH05155665 A JP H05155665A JP 3349479 A JP3349479 A JP 3349479A JP 34947991 A JP34947991 A JP 34947991A JP H05155665 A JPH05155665 A JP H05155665A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon fiber
fibers
sliding member
carbon
oriented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3349479A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Kikuchi
菊池  茂
Hideo Arakawa
英夫 荒川
Hiroshi Sakamoto
広志 坂本
Joshiro Sato
譲之良 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP3349479A priority Critical patent/JPH05155665A/ja
Publication of JPH05155665A publication Critical patent/JPH05155665A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 適正な炭素繊維の配向性を有し、耐摩耗特性
に優れ、あらゆる環境下で用いられる各種軸受材、摺動
部材等に適用可能な炭素繊維複合セラミックス摺動部材
とその製造方法を提供する。 【構成】 セラミックスと炭素繊維を含み、焼結して得
られる炭素繊維複合セラミックス焼結体からなる摺動部
材において、該焼結体中に摺動面となる面に対して繊維
軸が40〜90°の角度をなして配向している炭素繊維
が、焼結体の体積に対し1.5 vol%以上あり、該炭素
繊維は、連続長繊維が一方向、あるいは二方向又は三方
向に交差して配向又は短繊維が二次元ランダムに配向し
ているものであり、その製造方法は、マトリックス成分
となるセラミックス粉末に炭素繊維を所望の配向性をも
たせて混合・添加した後、焼結し、その焼結体をある割
合の炭素繊維が摺動面に対し上述の角度に配向するよう
に加工することである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種軸受材、摺動部材
等に適用可能な、耐摩耗性に優れた炭素繊維複合セラミ
ックス摺動部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、発電用ポンプ水車軸受材など、各
種軸受材、摺動部材等にはたとえば硬質ゴム、ホワイト
メタル等が用いられてきたが、さらに長寿命、高性能の
摺動部材として、現在はセラミックス材料が注目されて
いる。中でも、炭素繊維の自己潤滑性を利用し、耐食性
に優れたセラミックスをマトリックスとする炭素繊維複
合セラミックス材料は、高性能摺動部材として期待され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでにも
炭素繊維複合セラミックス摺動部材の報告例はいくつか
見られるが、炭素繊維の結晶配向異方性と摺動特性との
関連については明らかではない。従って、炭素繊維複合
セラミックス材料において、炭素繊維をどの方向に配向
すれば、低摩擦で優れた摺動性能が得られるのか不明で
あった。本発明は、自己潤滑性をもつ炭素繊維はその結
晶配向に異方性があることから、結晶の方向により摺動
特性が異なる可能性があることを考え、炭素繊維複合セ
ラミックスにおける炭素繊維の望ましい配向の仕方を明
らかにし、これにより摺動性能に優れた長寿命の摺動部
材を提供することを目的とする。繊維配向の仕方として
は、連続長繊維が一方向、二方向又は三方向に配向した
もの、あるいは短繊維が二次元ランダムに配向したもの
などが考えられるが、連続長繊維をマトリックス中に均
一に特定方向に配向させることや、短繊維を均一に分散
させることは、技術的に易しくはない。従って、いずれ
の場合もその配向性を得るためのプロセス技術の工夫が
重要な課題となる。本発明の他の目的は、繊維の配向性
を制御する方法を明らかにし、各種軸受材、摺動部材と
して好適な炭素繊維複合セラミックス摺動部材を提供す
ることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素繊維
はその結晶配向に異方性をもつため、繊維の断面と側面
とで摺動特性に差が生じる可能性を考え、炭素短繊維が
二次元ランダムに配向した炭素繊維複合セラミックスを
作製し、繊維配向面及びそれに垂直な面を摺動面とし
て、水中及び大気中において各種材料を相手材として摩
擦係数を測定した。その結果、摺動面が繊維配向面であ
る場合よりもそれに垂直な面の方が、摩擦係数が小さく
なることがわかった。すなわち、炭素繊維軸に垂直な面
が主に摺動面に露出していることが、低摩擦化に有効に
作用することが確認された。この知見を基に、更に詳細
に調査したところ、前記の目的を達成するための本発明
に係る炭素繊維複合セラミックス摺動部材は、焼結体中
に少なくとも焼結体の1.5vol %以上の炭素繊維が、
摺動面に対して40〜90°の角度をなして存在してい
ることを特徴とする。ところで、本発明における炭素繊
維の含有量であるが、各繊維がすき間なく並んだ場合で
76vol%である。しかし、この場合には成形が困難
になり、焼結体としての密度も小さくなるため、技術的
には工夫が必要である。従って、50vol%以下が好
ましい。可能であれば40vol%以下が好ましい。い
ずれにしても、焼結体の体積に対して1.5vol%以
上の炭素繊維が、摺動面に対して40〜90°の角度を
なして存在していればよく、これらは本発明の直接的な
問題ではない。
【0005】一方、前記の目的を達成するための本発明
に係る炭素繊維複合セラミックス焼結体の製造方法の構
成は、マトリックス成分となるセラミックス粉末に炭素
繊維を所望の配向性が得られるように混合・添加し成形
した後、焼結するようにしたことである。連続長繊維を
一方向あるいは二方向に配向させるには、マトリックス
成分をグリーンシート化し、その上に繊維を一方向に均
一に配列し、それらを繊維が同一方向に配向するよう
に、あるいは繊維が交互に交差して配向するように数段
積層することによって可能となる。連続長繊維を三方向
に配向させるには、長繊維を三方向に交差させた炭素繊
維プリフォーム材に、スラリー化したマトリックス成分
を含浸させることにより可能となる。短繊維を二次元ラ
ンダムに配向させるには、マトリックス成分と炭素繊維
を混合した後、混合粉を数層に分けて加圧成形すること
により可能となる。マトリックス成分の粉末と炭素短繊
維の混合は、水又は有機溶媒を用いた湿式混合法によ
り、均一に混合することができる。
【0006】また、本発明に係る炭素繊維複合セラミッ
クス摺動部材の、焼結体からの製造方法の構成は、摺動
面に対して炭素繊維の、繊維軸に垂直な断面を主に露出
するように加工することである。炭素短繊維が二次元ラ
ンダムに配向、あるいは炭素連続長繊維が二方向に配向
する焼結体から摺動部材を製造する場合、繊維配向面に
対して40〜90°の角度で、例えば中ぐり加工などに
よって切断すれば、その切断面は摺動面として適した繊
維配向をもつ。炭素連続長繊維が一方向に配向する焼結
体から摺動部材を製造する場合、繊維配向方向に対して
40〜90°の角度で切断すれば、その切断面は摺動面
として適した繊維配向をもつ。
【0007】
【作用】前述したように本発明者らは、炭素繊維複合セ
ラミックスにおいて、炭素繊維軸に垂直な断面が主に摺
動面に露出している場合に、水中及び大気中で低摩擦化
の効果が比較的大きいことを見出した。炭素繊維は結晶
配向に異方性を持ち、繊維側面は主に六方晶のc軸に垂
直な{001}面が現われ、繊維軸に垂直な断面には主
にc軸に平行な結晶面が現われる。炭素繊維の繊維軸に
垂直な断面が、水中摩耗に対して低摩擦化の効果が大き
いのは、炭素結晶の{001}面に比べてそれに垂直
な結晶面の方が水分子の吸着が大きいため、及び炭素
繊維がマトリックスから脱落しにくいためであると推測
される。また、大気中摩擦に対する低摩擦化の効果は、
上記の理由によると考えられる。更に、上記の効果
は水中、大気中以外の環境、例えば油中、真空中、各種
ガス中などにおいても同様の効果が得られる。
【0008】以上述べた炭素繊維複合セラミックスにお
ける摺動面の違いによる低摩擦化効果の差は、炭素繊維
の結晶配向の異方性によるものであり、従ってマトリッ
クスのセラミックスとしては各種のもの、例えば炭化ケ
イ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミなどのセラミ
ックスを用いることができ、それぞれ上記に述べた効果
が得られる。また、同様の理由により、各種相手材に対
して相対的に上述した効果が得られる。炭素繊維の結晶
配向性について調べた文献(大谷杉郎:炭素繊維 15
4頁から158頁;近代編集社(1983))によれ
ば、炭素繊維において、黒鉛結晶の{001}面は、そ
の大半が繊維軸に対して0〜約40°の角度をなし、4
0°以上では大半が{001}面に垂直な結晶面が現わ
れる。そして、繊維軸に対して90°の角度をなす面に
おいて、{001}面に垂直な結晶面の占める割合が最
も大きくなる。従って、炭素繊維複合セラミックスで
は、炭素繊維軸に対し40〜90°の角度をなす面を摺
動面とすることで、低摩擦化の効果が得られたものと考
えられ、その効果は繊維軸に対し90°の角度をなす面
を摺動面としたときに最大となる。
【0009】短繊維が二次元ランダムに配向している場
合、焼結体中の繊維量が5 vol%以上において、摺動面
に露出する炭素繊維の結晶面の差による低摩擦化効果の
違いが現われることが実験で明らかになった。短繊維が
二次元ランダムに配向している場合、繊維軸が摺動面に
対し40〜90°の角度をなして配向することのできる
繊維量は、統計的に、含まれる炭素繊維の28%であ
る。従って、焼結体中の1.5 vol%以上の炭素繊維が
摺動面に対し40〜90°の角度をなして配向する場合
に、低摩擦化の効果が得られることがわかった。このこ
とを炭素繊維の結晶面からみると、次のように示すこと
ができる。短繊維が二次元ランダムに配向している場
合、繊維軸が摺動面に対し40〜90°の角度をなして
配向することのできる繊維量は、前述したように含まれ
る炭素繊維の28%であるが、この炭素繊維の摺動面に
露出する炭素繊維面において、およそ95%の繊維面が
六方晶c軸に対し0〜40°の角度をなしている。従っ
て、摺動面に露出する炭素繊維面のうちの、25%以上
が六方晶c軸に対し0〜40°の角度をなしている場合
に、低摩擦化の効果が得られると言える。
【0010】炭素繊維軸に対してある特定の角度をなす
面を摺動面とするには、連続長繊維が一方向、二方向あ
るいは三方向、又は短繊維が二次元にランダムに配向さ
れることが望ましい。これらの繊維配向性は、次に示す
製造方法により得ることができる。マトリックス成分を
グリーンシート化し、その上に連続長繊維を配向し積層
することにより、連続長繊維を一方向あるいは二方向に
配向させることができ、連続長繊維のプリフォーム材に
スラリー化したマトリックス成分を含浸させれば、連続
長繊維を三方向に配向させることができる。また、マト
リックス成分の粉末と短繊維の混合粉を数層に分けて加
圧成形することにより、短繊維を二次元ランダムに配向
させることができる。マトリックス成分の粉末と短繊維
の混合は、水又は有機溶媒を用いた湿式混合により、均
一に混合することができる。一方、炭素繊維軸に対して
ある特定の角度をなす面を摺動面とした摺動部材を作製
するには、本発明に係る製造方法により得ることができ
る。すなわち、炭素短繊維が二次元ランダム、あるいは
炭素連続長繊維が二方向に配向する焼結体から摺動部材
を作製する場合、繊維配向面に対して40〜90°の角
度で、例えば中ぐり加工によって切断すれば、その切断
面は摺動面に適した面となる。炭素連続長繊維が一方向
に配向する焼結体から摺動部材を作製する場合、繊維配
向方向に対して40〜90°の角度で切断すれば、その
切断面は摺動面に適した面となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されない。 実施例1 炭素繊維には、その製法の違いから主にポリアクリロニ
トリル系炭素繊維とピッチ系炭素繊維がある。本発明に
係る実施例として、表1に示すような物性値をもつポリ
アクリロニトリル系炭素繊維A、ピッチ系炭素繊維Bを
用いて、短繊維が二次元ランダムに配向し、マトリック
スに対し繊維が5〜20 vol%含まれる炭素繊維複合セ
ラミックス摺動部材を作製した。また、比較のために、
短繊維が三次元ランダムに配向する炭素繊維複合セラミ
ックス摺動部材も併せて作製した。本実施例では、マト
リックスを炭化ケイ素とした。
【表1】
【0012】まず、本材料の製造方法について説明す
る。炭化ケイ素粉末と焼結助剤としてのBeO粉末2wt
%を、ライカイ機(自動攪拌機)により乾式混合し、更
にこの混合粉末と適当な長さに切断した炭素繊維所定量
を、ライカイ機により水を用いて湿式混合した。乾燥し
た後、得られた混合粉末を成形型に充填し、加圧して成
形体を造るが、この際混合粉末を数層に分けてそれぞれ
加圧することにより、短繊維を二次元ランダムに配向さ
せることができる。また、混合粉末を静水圧加圧成形す
ることにより、短繊維を三次元ランダムに配向させるこ
とができる。これらの成形体をホットプレスにより高真
空中、2100℃で1時間の加熱、繊維配向面に垂直方
向に30MPa の加圧で焼結を行い、表1に示すA、Bの
炭素短繊維を5〜20 vol%添加し、二次元あるいは三
次元ランダムに配向する炭素繊維複合炭化ケイ素摺動部
材を得た。得られた摺動部材について、相手材にステン
レス鋼SUS304を用いて水中で摩擦係数を測定し
た。二次元ランダムに配向する摺動部材については、繊
維配向面(‖)及びそれに垂直な面(⊥)を摺動面とし
て、摩擦係数を測定した。その結果を、炭素繊維にAを
用いた場合を図1に、炭素繊維にBを用いた場合を図2
に示す。
【0013】図1、図2からわかるように、いずれの繊
維種の場合も繊維配向面(‖)よりもそれに垂直な面
(⊥)の方が摩擦係数は小さくなった。また、三次元ラ
ンダムに配向する場合と比べても、繊維配向面に垂直な
面(⊥)の方が摩擦係数が小さい。これにより、摺動面
には繊維軸に垂直な断面が主に露出している方が、複合
体の耐摩耗特性向上に比較的大きな効果が得られること
が確認された。繊維配向面に垂直な面(⊥)と三次元ラ
ンダムに配向する場合とを比較すると、摩擦係数の差は
繊維量が5 vol%以上において現われる。このことか
ら、摺動面となる炭素繊維の結晶面の差から生ずる低摩
擦化効果は、短繊維が二次元ランダムに配向する場合、
炭素繊維量が5 vol%以上の場合において得られる。短
繊維が二次元ランダムに配向するときに、摺動面に対し
40〜90°の角度をなして配向される繊維量は、含ま
れる繊維の28%であり、従って低摩擦化の効果を得る
ためには、少なくとも焼結体中の1.5 vol%以上の炭
素繊維が摺動面に対し40〜90°の角度で配向される
ことが必要となる。
【0014】得られた摺動部材のうち、炭素繊維量が2
0 vol%の二次元ランダムに配向する摺動部材につい
て、繊維配向面(‖)及びそれに垂直な面(⊥)を摺動
面として、相手材にステンレス鋼SUS304を用いて
大気中で摩擦係数を測定した。その結果を図3に示す。
図3からわかるように、水中の場合と同様に、いずれの
繊維種の場合も繊維配向面(‖)よりもそれに垂直な面
(⊥)の方が摩擦係数は小さくなった。以上のように、
水中及び大気中において、摺動面には繊維軸に垂直な断
面が主に露出している方が、複合体の耐摩耗特性向上に
比較的大きな効果が得られることを示したが、真空中、
油中など、他の環境下においても炭素繊維が脱落しにく
いなどの理由により、相対的に同様の効果が得られる。
また、上記実施例はマトリックスが炭化ケイ素の場合で
あるが、摺動面の違いによる低摩擦化効果の差は、炭素
繊維の結晶配向の異方性によるものであり、従ってマト
リックスが炭化ケイ素以外のセラミックスであっても、
相対的に同様の効果が得られる。さらに同様の理由によ
り、相手材がステンレス鋼以外の材料であっても、相対
的に同様の効果が得られる。なお、マトリックスに炭化
ケイ素を用いた場合、硬度、熱伝導率が大きいことか
ら、摺動部材として特に優れた性質が得られ、例えば水
中軸受で土砂が含まれるなどの苛酷な条件下でも使用可
能である。更に、BeO添加炭化ケイ素の場合、熱伝導
率が特に大きいため、摺動部材として極めて有用であ
る。
【0015】実施例2 次に、軸受材等への適用方法例と、加工方法例について
説明する。図4は、摺動部材を軸受へ適用する場合の
例、図5は、摺動部材を軸受へ部分的に適用する場合の
例を示したものである。図4、図5の構成は、1は主に
金属系材料製の構造支持部材、2は回転軸の取外しある
いは支持圧調整のためのボルト、3は本発明に係る摺動
部材である。図4において、摺動部材3は軸受摺動部全
面にわたって設置されるが、この場合一般に数分割さ
れ、それぞれの間にはわずかな隙間が設けられる。これ
は、水、油などの潤滑媒体を流通しやすくし、また摩耗
粉を摺動面から逃がすとともに、摩擦熱による熱膨張か
ら生ずる熱応力を緩和するために設けられるものであ
る。図5において、摺動部材3は軸受摺動部に部分的に
設置され、主に固形潤滑材源として用いられる。いずれ
の場合においても、摺動部材3を構造支持部材1に固定
するとき、摺動部材3の摩擦による損耗後の取替え時の
便宜性を考慮し、ミゾはめこみやネジ押えなどの機械的
接合によって固定されることが望ましい。また、ろう付
けなどによる冶金的接合も可能である。
【0016】実施例3 上記の摺動部材は、焼結体の状態から図6、図7に示す
ような方法で作製することができる。図6は、炭素短繊
維が二次元ランダムに配向、あるいは炭素連続長繊維が
二方向に配向している焼結体から摺動部材を作製する
例、図7は、炭素連続長繊維が一方向に配向する焼結体
から摺動部材を作製する例を示す。図6、図7の構成
は、4は焼結体中の炭素繊維、5はマトリックスを示
し、6は摺動面となる部分である。図6において、得ら
れた焼結体は、摺動面6に炭素繊維4の繊維軸に垂直な
断面が主に露出するように、繊維配向面に垂直に中ぐり
加工によって摺動部材に加工されるものである。得られ
た摺動部材は、一般に周方向に数分割されて用いられ
る。図7において、得られた焼結体は、摺動面6に炭素
繊維4の繊維軸に垂直な断面が主に露出する方向に、お
うぎ形に加工され、それを数個組み合わせて摺動部材と
するものである。
【0017】
【発明の効果】以上のように、本発明による炭素繊維複
合セラミックス摺動部材では、少なくとも焼結体中の
1.5 vol%以上の炭素繊維が摺動面に対し40〜90
°の角度をなすように配向することにより、耐摩耗性向
上に大きな効果が得られる。そのためには、連続長繊維
が一方向、二方向あるいは三方向に、又は短繊維が二次
元にランダムに配向されることが望ましく、本発明に係
る製造方法により、炭素繊維をそれらの方向に配向させ
ることができ、ある割合の炭素繊維が摺動面に対し特定
の角度をなして配向する摺動部材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る炭素繊維Aを用いた摺
動部材の、相手材をステンレス鋼SUS304としたと
きの水中での摩擦係数を示すグラフである。
【図2】本発明の実施例1に係る炭素繊維Bを用いた摺
動部材の、相手材をステンレス鋼SUS304としたと
きの水中での摩擦係数を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例1に係る、炭素繊維含有量が2
0 vol%である摺動部材の、相手材をステンレス鋼SU
S304としたときの大気中の摩擦係数を示すグラフで
ある。
【図4】摺動部材を軸受の摺動面全面に適用する場合の
適用例を示す断面図である。
【図5】摺動部材を軸受の摺動面に部分的に適用する場
合の適用例を示す斜視図である。
【図6】炭素短繊維が二次元ランダムに配向した焼結
体、あるいは炭素長繊維が二方向に配向した焼結体か
ら、摺動部材を加工する場合の加工例を示す説明図であ
る。
【図7】炭素長繊維が一方向に配向した焼結体から、摺
動部材を加工する場合の加工例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…構造支持部材、2…ボルト、3…摺動部材、4…炭
素繊維、5…マトリックス、6…摺動面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 譲之良 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスと炭素繊維を含み、焼結し
    て得られる炭素繊維複合セラミックス焼結体からなる摺
    動部材において、該焼結体中に摺動面となる面に対して
    繊維軸が40〜90°の角度をなして配向している炭素
    繊維が、焼結体の体積に対し1.5 vol%以上あること
    を特徴とする炭素繊維複合セラミックス摺動部材。
  2. 【請求項2】 前記セラミックスは、焼結助剤を含むこ
    とを特徴とする請求項1記載の炭素繊維複合セラミック
    ス摺動部材。
  3. 【請求項3】 前記炭素繊維は、連続長繊維であり、こ
    の繊維が一方向、二方向又は三方向に交差して配向して
    いることを特徴とする請求項1又は2記載の炭素繊維複
    合セラミックス摺動部材。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維は、短繊維であり、この繊
    維が二次元ランダムに配向していることを特徴とする請
    求項1又は2記載の炭素繊維複合セラミックス摺動部
    材。
  5. 【請求項5】 請求項1において、摺動面に露出する炭
    素繊維面のうち、25%以上が六方晶c軸に対し0〜4
    0°の角度をなしていることを特徴とする炭素繊維複合
    セラミックス摺動部材。
  6. 【請求項6】 炭素短繊維が二次元ランダムに配向する
    か、又は炭素連続長繊維が二方向に配向する炭素繊維複
    合セラミックス焼結体を、繊維配向面に対し40〜90
    °の角度で切断し、その切断面を摺動面とすることを特
    徴とする請求項1記載の炭素繊維複合セラミックス摺動
    部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 炭素連続長繊維が一方向に配向する炭素
    繊維複合セラミックス焼結体を、繊維配向方向に対し4
    0〜90°の角度で切断し、その切断面を摺動面とする
    ことを特徴とする請求項1記載の炭素繊維複合セラミッ
    クス摺動部材の製造方法。
JP3349479A 1991-12-09 1991-12-09 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法 Pending JPH05155665A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3349479A JPH05155665A (ja) 1991-12-09 1991-12-09 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3349479A JPH05155665A (ja) 1991-12-09 1991-12-09 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05155665A true JPH05155665A (ja) 1993-06-22

Family

ID=18404025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3349479A Pending JPH05155665A (ja) 1991-12-09 1991-12-09 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05155665A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10224857A1 (de) * 2002-06-05 2003-12-24 Sintec Keramik Gmbh & Co Kg Gleitelement für Hochgeschwindigkeitsanwendungen
JP2011159878A (ja) * 2010-02-02 2011-08-18 Toyota Motor Corp 異方性摺動材料の製造方法および異方性摺動材料
JP2013145026A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Ntn Corp 圧縮機用滑り軸受および圧縮機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10224857A1 (de) * 2002-06-05 2003-12-24 Sintec Keramik Gmbh & Co Kg Gleitelement für Hochgeschwindigkeitsanwendungen
DE10224857B4 (de) * 2002-06-05 2008-05-29 Cvt Gmbh & Co. Kg Gleitelement für Hochgeschwindigkeitsanwendungen und Verfahren zu dessen Herstellung
JP2011159878A (ja) * 2010-02-02 2011-08-18 Toyota Motor Corp 異方性摺動材料の製造方法および異方性摺動材料
JP2013145026A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Ntn Corp 圧縮機用滑り軸受および圧縮機

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8906522B2 (en) Hard non-oxide or oxide ceramic / hard non-oxide or oxide ceramic composite hybrid article
JP2722182B2 (ja) 三様式の細孔構成を有する多孔性SiCのベアリング材料及びその製造方法
WO2011126078A1 (ja) 黒鉛添加樹脂系しゅう動材料及びしゅう動部材
US20020160902A1 (en) Composite material based on silicon carbide and carbon, process for its production and its use
US5998318A (en) Sintered silicon carbide with graphite added thereto, sintered composite containing the same, and mechanical seal
JP3122074B2 (ja) 炭化珪素からなるスライド材料
JP5057193B2 (ja) 均質性、緻密性が高くかつ高硬度の立方晶窒化ホウ素焼結体の製造法
JP4550994B2 (ja) ベアリング転動体用材料
JPH05155665A (ja) 炭素繊維複合セラミックス摺動部材及びその製造方法
JP2012246172A (ja) 金属材とセラミックス−炭素複合材との接合体及びその製造方法
CN104328368A (zh) 一种自润滑耐磨铜基复合材料及其制备方法
JP2004026513A (ja) 酸化アルミニウム耐摩耗性部材及びその製造方法
CN110372391A (zh) 一种SiC/石墨复合材料及其制备方法和应用
JP4176184B2 (ja) ドライガス用摺動部材
JPS59131577A (ja) 炭化ケイ素質材料およびその製造法
JPS62148384A (ja) 炭化珪素質複合材料
JP2002106720A (ja) 熱水用メカニカルシール
JPH01320254A (ja) セラミックス―炭素系複合材料の製造方法
KR20140031891A (ko) 금속-탄소 복합재 및 그의 제조 방법
JP2744856B2 (ja) メカニカルシール用硼化チタン複合炭化珪素焼結体およびメカニカルシール
JPS596837B2 (ja) 工具用セラミック焼結体及びその製造法
JP2543093B2 (ja) シ−ル用摺動部品
JP2024036132A (ja) 炭化ケイ素焼結体、炭化ケイ素焼結体を用いた摺動部品および炭化ケイ素焼結体の製造方法
JPS6353316A (ja) 摺動部材及びその製造方法
JPH0812474A (ja) 炭素−SiC複合材料の製造方法