JPH05148660A - アルミニウム合金の表面処理方法 - Google Patents

アルミニウム合金の表面処理方法

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JPH05148660A
JPH05148660A JP33241691A JP33241691A JPH05148660A JP H05148660 A JPH05148660 A JP H05148660A JP 33241691 A JP33241691 A JP 33241691A JP 33241691 A JP33241691 A JP 33241691A JP H05148660 A JPH05148660 A JP H05148660A
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Mitsutaka Nakaso
中祖光隆
Hideo Fujimoto
藤本日出男
Akihiro Tsuruno
鶴野招弘
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼板との混流処理においても、リン酸亜鉛性
が優れ、しかもコイル処理を1段処理で可能にするアル
ミニウム合金の亜鉛メッキ処理方法を提供する。 【構成】 アルミニウム合金板を亜鉛メッキ処理するに
際し、処理液の流れの主方向が被処理板の進行方向と平
行で、かつ、板被処理との相対流速が0.1〜2.0m/s
ecであることを特徴としている。亜鉛メッキ処理は亜鉛
の化学置換メッキが好ましい。自動車パネル用として鋼
板と共にリン酸亜鉛処理を施しても、リン酸亜鉛の析出
量が多く、かつ均一微細に析出するために塗装仕上がり
性が向上し、また塗装後の耐糸錆性を著しく向上させる
ことができる。コイル処理、1段処理により幅広板の大
量生産化と歩留の向上、更には製作時間の短縮も可能で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金の表面
処理方法に係り、より詳細には、リン酸亜鉛性を改善
し、鋼板との混流処理においても良好な耐糸錆性が得ら
れ、自動車パネル用に好適なアルミニウム合金の亜鉛メ
ッキ処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アルミニウム合金は、軽量化を目
的として自動車の部品に採用されつつあるが、パネル材
のように耐糸錆性が要求される用途においては、クロム
酸クメート等の塗装下地処理が必要とされていた。しか
し、通常の自動車塗装ラインの下地処理にはリン酸亜鉛
処理が採用されており、鋼板との混流処理に際して、こ
のような下地処理をアルミニウム合金に適用した場合、
リン酸亜鉛の析出が充分でなく、耐糸錆性の点で充分な
効果が現状では得られていない。
【0003】そのため、従来、リン酸亜鉛の析出を促進
させるアルミニウム合金の表面処理方法として、表面に
亜鉛メッキを施す方法が既に特開昭61−157693
号で提案されている。
【0004】亜鉛メッキの方法としては、電気メッキ、
溶融メッキがあるが、薄膜用としてはメッキの下地処理
として通常行われている化学的置換メッキ(ジンケート
処理)がよく知られている。ジンケート処理は、メッキ
の下地処理として実施されるものであり、ジンケート皮
膜の密着性と均一性を確保するために、以下のような工
程が不可欠である。
【0005】アルカリエッチング→硝酸中和→1段目ジ
ンケート→硝酸剥離→2段目ジンケート(各工程の間に
は水洗が必要)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、ジンケート処理
としては、ディスク等で実用化されているとおり、0.
2m2以下の比較的小面積を対象にしたバッチ処理が行わ
れている。一方、自動車パネル等の部品は、1パーツ2
m2以上の大面積の処理が必要となり、工業的に大量生産
するためにはコイル処理が前提となる。
【0007】しかも、コイル処理においても、従来どう
りの2段ジンケート処理とすれば、密着性、及び均一性
は改善されるものの、1段目に付けたZnを落すこと、
2回目の皮膜生成速度が遅いこと、工程が長くなるなど
工業的に不利な点が多く、したがって、大量生産するた
めには1段処理とすることが必要である。
【0008】ところが、1段処理とすると、槽内の処理
液の流れにより均一なZn層を析出させることが困難で
あり、処理ムラが発生して更に密着性も悪くなるという
問題がある。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解決
し、鋼板との混流処理においても、リン酸亜鉛性が優
れ、しかもコイル処理を1段処理で可能にするアルミニ
ウム合金の表面処理方法を提供することを目的とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、亜鉛メッキ処理
法における被処理板に対する処理液の流れ方向並びに相
対流速を規制することにより可能であることを見い出
し、ここに本発明を完成したものである。
【0011】すなわち、本発明は、アルミニウム合金板
を亜鉛メッキ処理するに際し、処理液の流れの主方向が
被処理板の進行方向と平行で、かつ、板被処理との相対
流速が0.1〜2.0m/secであることを特徴とするアル
ミニウム合金の表面処理方法を要旨とするものである。
【0012】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0013】
【作用】
【0014】本発明においては、まず、処理液の流れの
主方向を被処理板の進行方向と平行にすることを特徴と
しており、これにより、流れに沿ったムラが防止され
る。
【0015】しかし、単に処理液の流れ方向を規制して
も、処理ムラの発生を防止し得るものの、密着性を向上
させることは困難であることが判明した。そこで、本発
明では、処理液の流れ方向を規制した上で、更に処理液
と被処理板の相対流速を0.1〜2.0m/secに設定する
ことにより、密着性を向上させることができることを見
い出したのである。この場合、相対流速が0.1m/sec
未満では、局部的な反応熱を抑制し、密着性を悪化させ
る。また、相対流速が2.0m/secを超えると、反応速
度が速くなり、粒子が粗大化し、パウダリング性が低下
するので好ましくない。
【0016】なお、通板速度、処理液の流速などは特に
制限されるものではないが、通常、通板速度が0.05m
/sec以下、処理液の流速が4m/secであり、これらの
範囲内で相対速度を決めれば良い。
【0017】また、上述のように、処理液の流れの主方
向を被処理板の進行方向と平行にするが、この場合、処
理液の流れ方向と被処理板の進行方向との関係について
は、同一方向(順方向)とするか、或いは反対方向(逆方
向)にするかは特に効果上違いはない。相対速度を上げ
るためには、逆方向の方が扱い易い。
【0018】処理液を被処理板に付加する方法として
は、スプレー方式、浸漬(ディップ)方式、流動層方式な
どが考えられる。スプレー方式は、短時間で皮膜量が得
られるが、流速が速すぎるためにジンケートの析出が粒
状となり、皮膜になりにくく、密着性が劣る。浸漬方式
は、表面均一性(ムラ)の問題があり、部品の処理面積が
大きくなるほど処理しにくくなる。これらに対し、流動
層方式は、密着性、表面均一性において良好な結果を得
るのが容易であるので、好ましい。流動層方式には処理
槽を横方向(水平方向)に設置する横型と、縦方向に設置
する縦型があるが、後者はシートでも対応可能である。
【0019】メッキ処理装置は、例えば、図1、図2に
示すような横型を挙げることができる。メッキ処理槽1
と水洗槽5をこの順に横方向に設置し、メッキ処理槽1
の上部には液出口スロット3を備えた液溜めボックス2
を設ける。処理液はポンプ5を用いてメッキ処理槽1及
び液溜めボックス2内を循環させる。被処理板Wは液溜
めボックス2を通過し、絞りロール6を介して、水洗槽
5内を通過するように通板させる。7はモーターで、絞
りロール6を回転させ被処理板Wを進行させる。水洗は
シャワー方式が望ましい。
【0020】また、縦型のメッキ処理装置は、図3に示
すように、反応槽又は反応部分8を縦方向に設置し、処
理液をこの上部から液供給装置9により供給し、被処理
板Wに沿わせて降下させ、反応させる。10はタンクで
処理液を反応槽7内を循環させる。11はロールであ
る。
【0021】亜鉛メツキ処理法の他の条件、例えば、処
理液の組成、液温度等々は特に制限されない。化学置換
メッキが好ましい。また、被処理材であるアルミニウム
合金の材質、板厚等も特に制限されない。
【0022】次に本発明の実施例を示す。
【0023】
【実施例】図1及び図2に示したメッキ処理装置を用
い、流動槽方式により、アルミニウム合金板(5182
相当、1mm厚)に亜鉛メッキ処理を行った。被処理板の
進行方向と処理液の流れ方向は同方向とした。また比較
のため、スプレー方式と浸漬方式も行った。処理条件を
【表1】 に示す。処理液には市販ジンケート浴(苛性ソーダ12
0g/l、酸化亜鉛20g/l、ロッセル塩10g)を用い
た。
【0024】表面均一性、密着性、パウダリングを調べ
た結果を表1に併記する。なお、相対流速は、被処理板
と液溜めボックスの距離が4mmと短く、直接測定するこ
とは不可能なため、薬液が接している部分において、ま
た被処理板に近い部分と遠い部分での流速はすべて同じ
と仮定して流量から流速を算定した。相対速度は通板速
度(0〜0.05m/sec)と処理液速度(0〜4m/sec)を
組み合わせて決定した。
【0025】密着性はテープ剥離方法で評価した。パウ
ダリングは、密着性と同様、テープ剥離方法を用いて調
査した。密着性とパウダリングの評価基準は、テープ
剥離試験において塗膜が界面剥離かこれに近い状態の場
合を密着性不良と判断し、テープ剥離試験において塗
膜の凝集破壊による密着不良をパウダリング不良と判断
した。
【0026】表1に示すように、本発明例(No.3〜N
o.7)は、いずれも表面均一性、密着性、パウダリング
の点で優れていることがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上詳述したように、アルミニウム合金
板を自動車パネル用として使用する場合、鋼板との同時
処理の必要からリン酸亜鉛処理が施されるが、この場
合、本発明によれば、リン酸亜鉛の析出量が多く、かつ
均一微細に析出するために塗装仕上がり性が向上し、ま
た塗装後の耐糸錆性を著しく向上させることができる。
また、コイル処理、1段処理により幅広板の大量生産化
と歩留の向上、更には製作時間の短縮も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】横型流動槽方式のメツキ処理装置を示す平面図
である。
【図2】横型流動槽方式のメツキ処理装置を示す断面図
である。
【図3】縦型流動槽方式のメツキ処理装置を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 メッキ処理槽 2 液溜めボックス 3 液出口スロット 4 ポンプ 5 水洗槽 6 絞りロール 7 モーター 8 反応槽間は反応部分 9 液供給装置 10 タンク 11 ロール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金板を亜鉛メッキ処理す
    るに際し、処理液の流れの主方向が被処理板の進行方向
    と平行で、かつ、板被処理との相対流速が0.1〜2.0
    m/secであることを特徴とするアルミニウム合金の表面
    処理方法。
  2. 【請求項2】 亜鉛メッキ処理が亜鉛の化学置換メッキ
    である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 被処理板がコイルである請求項1又は2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 亜鉛メッキ処理が1段処理である請求項
    1、2又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウム合金板が自動車パネル用で
    ある請求項1、2、3又は4に記載の方法。
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