JPH05148587A - ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金 - Google Patents
ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金Info
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- JPH05148587A JPH05148587A JP31038491A JP31038491A JPH05148587A JP H05148587 A JPH05148587 A JP H05148587A JP 31038491 A JP31038491 A JP 31038491A JP 31038491 A JP31038491 A JP 31038491A JP H05148587 A JPH05148587 A JP H05148587A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】耐全面腐食性、耐粒界腐食性および耐応力腐食
割れ性に優れ、高温強度の高いごみ焼却ボイラ伝熱管用
高耐食合金。 【構成】重量%で、C:0.05%以下、Si:2%以下、M
n:2.5 %を超え 7.5%以下、Cr:20〜35%、Ni:25〜5
5%および下記式を満足するMoを含有し、残部がFeお
よび不可避不純物からなるごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐
食合金。 0.5%≦Mo (%) ≦ 7.5−{Ni(%)/10}・・・・・ あるいは、これらの成分に加えて更に、N、Nb,Ti、Z
r、V、Cu、Co、W、希土類元素の中から選ばれた1種
以上を含有することができる。 【効果】本発明合金で製造したをボイラ管を使用すれ
ば、ごみ焼却ボイラーの操業条件を高温・高圧化するこ
とができるので、ごみの有するエネルギーを効率よく電
気エネルギーとして取り出すことができる。
割れ性に優れ、高温強度の高いごみ焼却ボイラ伝熱管用
高耐食合金。 【構成】重量%で、C:0.05%以下、Si:2%以下、M
n:2.5 %を超え 7.5%以下、Cr:20〜35%、Ni:25〜5
5%および下記式を満足するMoを含有し、残部がFeお
よび不可避不純物からなるごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐
食合金。 0.5%≦Mo (%) ≦ 7.5−{Ni(%)/10}・・・・・ あるいは、これらの成分に加えて更に、N、Nb,Ti、Z
r、V、Cu、Co、W、希土類元素の中から選ばれた1種
以上を含有することができる。 【効果】本発明合金で製造したをボイラ管を使用すれ
ば、ごみ焼却ボイラーの操業条件を高温・高圧化するこ
とができるので、ごみの有するエネルギーを効率よく電
気エネルギーとして取り出すことができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、都市ごみおよび産業
廃棄物、下水処理汚泥等(以下、「ごみ」と総称する)
を焼却する施設において、エネルギー回収を目的として
設置される廃熱ボイラの過熱器管、蒸発器管および水壁
器管等のボイラ管用として、特に高温・高圧下で利用さ
れるオーステナイト組織を有する高耐食合金に関する。
廃棄物、下水処理汚泥等(以下、「ごみ」と総称する)
を焼却する施設において、エネルギー回収を目的として
設置される廃熱ボイラの過熱器管、蒸発器管および水壁
器管等のボイラ管用として、特に高温・高圧下で利用さ
れるオーステナイト組織を有する高耐食合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、未利用のエネルギーを積極的に利
用する観点から、都市ごみの有するエネルギーの有効利
用が注目され、既に都市ごみを焼却したときに発生する
廃熱を利用して、地域暖房や焼却施設内の電力を賄うた
めの発電が一部の施設で行われている。しかしながら、
特に我が国においては、都市ごみの高カロリー化および
プラスチック分の増加等に伴い、ごみの焼却処理施設に
おける材料の腐食が懸念され、就中、廃熱の有効利用を
目的とする廃熱ボイラ用鋼管で、主として塩化水素ガス
による激しい金属材料の腐食損傷が問題となっている。
用する観点から、都市ごみの有するエネルギーの有効利
用が注目され、既に都市ごみを焼却したときに発生する
廃熱を利用して、地域暖房や焼却施設内の電力を賄うた
めの発電が一部の施設で行われている。しかしながら、
特に我が国においては、都市ごみの高カロリー化および
プラスチック分の増加等に伴い、ごみの焼却処理施設に
おける材料の腐食が懸念され、就中、廃熱の有効利用を
目的とする廃熱ボイラ用鋼管で、主として塩化水素ガス
による激しい金属材料の腐食損傷が問題となっている。
【0003】最近の切迫したエネルギー事情から、ごみ
もいまや貴重なエネルギー源の一つと考えられるように
なっているが、ごみを焼却したときの廃熱を電気エネル
ギーに変えて最大限に利用するには、発電効率を上げな
ければならない。そのためには廃熱ボイラーの蒸気条件
を高温・高圧化する必要がある。しかし、蒸気の高温化
はボイラ管の管壁温度の高温化をもたらし、管の腐食を
激化させる。また、蒸気の高圧化のためにはボイラ管材
料が高温強度にも優れるものでなければならない。従来
のごみ焼却廃熱回収ボイラでは、最も温度の高い過熱器
管の管壁温度でも 200〜350 ℃であったが、今後は管壁
温度が 500℃を超えるようなボイラが採用されることが
予想される。
もいまや貴重なエネルギー源の一つと考えられるように
なっているが、ごみを焼却したときの廃熱を電気エネル
ギーに変えて最大限に利用するには、発電効率を上げな
ければならない。そのためには廃熱ボイラーの蒸気条件
を高温・高圧化する必要がある。しかし、蒸気の高温化
はボイラ管の管壁温度の高温化をもたらし、管の腐食を
激化させる。また、蒸気の高圧化のためにはボイラ管材
料が高温強度にも優れるものでなければならない。従来
のごみ焼却廃熱回収ボイラでは、最も温度の高い過熱器
管の管壁温度でも 200〜350 ℃であったが、今後は管壁
温度が 500℃を超えるようなボイラが採用されることが
予想される。
【0004】前記のような、特にわが国のごみの特殊性
とボイラの高温・高圧化の趨勢を見れば、ボイラ管材料
として苛酷な腐食環境に耐える優れた耐食性と高い高温
強度を兼備した材料が必要とされることが明らかであ
る。
とボイラの高温・高圧化の趨勢を見れば、ボイラ管材料
として苛酷な腐食環境に耐える優れた耐食性と高い高温
強度を兼備した材料が必要とされることが明らかであ
る。
【0005】本発明者らは、先にAlと希土類元素を含有
する炭素鋼、またはAlと希土類元素を含有し、Cr量が13
%以下の合金鋼からなるごみ焼却廃熱ボイラ管用高耐食
鋼 (特開平2−213449号公報) 、Alと希土類元素を含有
し、Cr量が13%を超え16%までのごみ焼却廃熱ボイラ管
用高クロム鋼 (特開平2−217443号公報) 、希土類元素
を含有しない安価なごみ焼却廃熱ボイラ管用高クロム鋼
(特願平2−30429 号) 、溶接部の靭性を改善したごみ
焼却廃熱ボイラ管用高クロム・高マンガン鋼 (特願平2
−309113号) 、NiとMoの含有量を調整して応力割れ感受
性を著しく抑制すると共にAl添加により全面腐食に対す
る抵抗性を高めた合金鋼( 特願平3−161357号) および
Siの多量積極添加により耐全面腐食性と耐応力腐食割れ
性を高めた合金鋼(特願平3−188567号) を開発して特
許出願した。
する炭素鋼、またはAlと希土類元素を含有し、Cr量が13
%以下の合金鋼からなるごみ焼却廃熱ボイラ管用高耐食
鋼 (特開平2−213449号公報) 、Alと希土類元素を含有
し、Cr量が13%を超え16%までのごみ焼却廃熱ボイラ管
用高クロム鋼 (特開平2−217443号公報) 、希土類元素
を含有しない安価なごみ焼却廃熱ボイラ管用高クロム鋼
(特願平2−30429 号) 、溶接部の靭性を改善したごみ
焼却廃熱ボイラ管用高クロム・高マンガン鋼 (特願平2
−309113号) 、NiとMoの含有量を調整して応力割れ感受
性を著しく抑制すると共にAl添加により全面腐食に対す
る抵抗性を高めた合金鋼( 特願平3−161357号) および
Siの多量積極添加により耐全面腐食性と耐応力腐食割れ
性を高めた合金鋼(特願平3−188567号) を開発して特
許出願した。
【0006】これらの先願発明合金鋼は、Si多量添加の
特願平3−188567号の合金を除き、いずれも塩化水素ガ
スによる溶融塩腐食に対して有効であるといわれている
耐食性に優れた Al2O3の保護的酸化被膜が比較的低い温
度から鋼表面に生成するため、ごみ焼却施設におけるボ
イラ管の腐食軽減に大きく寄与するものである。そし
て、これらの先願発明合金鋼はいずれも後述するような
オーステナイト系高合金鋼のように高価なNiを多量に含
まぬため安価な材料といえる。しかしながら、これらの
合金鋼は、前述のような管壁温度が 500℃を超えるよう
な廃熱回収ボイラの管材としてはオーステナイトの安定
性と同時に応力腐食割れに対する高い抵抗性の維持およ
び高温度域における耐全面腐食性と耐粒界腐食性などの
高温強度の維持の点で、それぞれまだなお難点がある。
特願平3−188567号の合金を除き、いずれも塩化水素ガ
スによる溶融塩腐食に対して有効であるといわれている
耐食性に優れた Al2O3の保護的酸化被膜が比較的低い温
度から鋼表面に生成するため、ごみ焼却施設におけるボ
イラ管の腐食軽減に大きく寄与するものである。そし
て、これらの先願発明合金鋼はいずれも後述するような
オーステナイト系高合金鋼のように高価なNiを多量に含
まぬため安価な材料といえる。しかしながら、これらの
合金鋼は、前述のような管壁温度が 500℃を超えるよう
な廃熱回収ボイラの管材としてはオーステナイトの安定
性と同時に応力腐食割れに対する高い抵抗性の維持およ
び高温度域における耐全面腐食性と耐粒界腐食性などの
高温強度の維持の点で、それぞれまだなお難点がある。
【0007】超高温および高圧化プラントの高温部位、
例えば過熱器管等に使用される材料としては、高温強度
に優れるオーステナイト組織を有する高耐食性の材料が
望ましく、このようなオーステナイト組織を有する都市
ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料は、外国、特に米国におい
て種々のものが知られている。例えば、Corrsion,March
9-13,1987 には約42%のNiを含む 825合金(ASTM B163,
B423 に記載されているN08825合金) および約66%のNi
を含む625合金(ASTM B444に記載されているN06625合金)
を都市ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料として適用した事
例が報告されており、Niを多く含むこれらの高合金鋼
は、米国のごみ焼却炉の腐食環境で腐食減肉が少なく、
耐食性に優れていると述べられている。ところが、本発
明者らが825 合金等のCr−Niのオーステナイト系高合金
鋼が、我が国の都市ごみ焼却炉のように高濃度の溶融塩
化物が管表面に付着するような過酷な腐食環境で良好な
耐食性能を発揮するかどうかを調べた結果、 825合金等
のCr−Niのオーステナイト系高合金鋼は、我が国のごみ
焼却炉のような腐食環境では、廃熱ボイラーの使用温度
を高くしたときに応力集中が生じる箇所、例えば溶接継
手部で応力腐食割れが発生する危険性が高いことが判明
した。
例えば過熱器管等に使用される材料としては、高温強度
に優れるオーステナイト組織を有する高耐食性の材料が
望ましく、このようなオーステナイト組織を有する都市
ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料は、外国、特に米国におい
て種々のものが知られている。例えば、Corrsion,March
9-13,1987 には約42%のNiを含む 825合金(ASTM B163,
B423 に記載されているN08825合金) および約66%のNi
を含む625合金(ASTM B444に記載されているN06625合金)
を都市ごみ焼却廃熱ボイラ管用材料として適用した事
例が報告されており、Niを多く含むこれらの高合金鋼
は、米国のごみ焼却炉の腐食環境で腐食減肉が少なく、
耐食性に優れていると述べられている。ところが、本発
明者らが825 合金等のCr−Niのオーステナイト系高合金
鋼が、我が国の都市ごみ焼却炉のように高濃度の溶融塩
化物が管表面に付着するような過酷な腐食環境で良好な
耐食性能を発揮するかどうかを調べた結果、 825合金等
のCr−Niのオーステナイト系高合金鋼は、我が国のごみ
焼却炉のような腐食環境では、廃熱ボイラーの使用温度
を高くしたときに応力集中が生じる箇所、例えば溶接継
手部で応力腐食割れが発生する危険性が高いことが判明
した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
の先願発明の合金鋼と同様に高温で優れた強度を示すオ
ーステナイト組織を有し、しかも同時に応力腐食割れに
対する高い抵抗性を維持したまま、わが国のごみ焼却炉
の苛酷な腐食環境、特に高温度域において対全面腐食性
と粒界腐食に対する抵抗性を、前記先願発明の合金鋼お
よび既存合金鋼よりもさらに高めたごみ焼却ボイラ伝熱
管用材料を提供することにある。
の先願発明の合金鋼と同様に高温で優れた強度を示すオ
ーステナイト組織を有し、しかも同時に応力腐食割れに
対する高い抵抗性を維持したまま、わが国のごみ焼却炉
の苛酷な腐食環境、特に高温度域において対全面腐食性
と粒界腐食に対する抵抗性を、前記先願発明の合金鋼お
よび既存合金鋼よりもさらに高めたごみ焼却ボイラ伝熱
管用材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の化学組
成をもつごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金を要旨とす
る。
成をもつごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金を要旨とす
る。
【0010】(1) 重量%で、C:0.05%以下、Si:2%
以下、Mn:2.5 %を超え 7.5%以下、Cr:20〜35%、N
i:25〜55%および下記式を満足するMoを含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる化学組成。
以下、Mn:2.5 %を超え 7.5%以下、Cr:20〜35%、N
i:25〜55%および下記式を満足するMoを含有し、残
部がFeおよび不可避不純物からなる化学組成。
【0011】 0.5%≦ Mo(%)≦ 7.5−{Ni (%)/10}・・・・・ (2) 上記(1) の組成に更に下記の第1群、第2群および
第3群の1以上の群から選んだ1種以上の合金成分を含
む化学組成。
第3群の1以上の群から選んだ1種以上の合金成分を含
む化学組成。
【0012】第1群:それぞれ又は2種以上合計で 0.1
〜3.0 重量%のNb、Ti、ZrおよびV。
〜3.0 重量%のNb、Ti、ZrおよびV。
【0013】第2群:それぞれ又は2種以上の合計で
0.1〜5.0 重量%のCu、CoおよびW。
0.1〜5.0 重量%のCu、CoおよびW。
【0014】第3群:それぞれ又は2種以上の合計で0.
01〜0.1 重量%の希土類元素。
01〜0.1 重量%の希土類元素。
【0015】(3) 合金成分として更に、 0.1〜0.3 重量
%のNを含有する上記(1) または(2)のいずれかの化学
組成。
%のNを含有する上記(1) または(2)のいずれかの化学
組成。
【0016】本発明の高合金は、上記各合金成分の適切
な組合せの総合的な効果として、ごみ焼却ボイラ管、特
に高温・高圧のボイラ管用の材料にふさわしい優れた性
質をもつに到るのであるが、そのような化学組成を選定
した基礎となる主要な根拠を挙げれば次のとおりであ
る。
な組合せの総合的な効果として、ごみ焼却ボイラ管、特
に高温・高圧のボイラ管用の材料にふさわしい優れた性
質をもつに到るのであるが、そのような化学組成を選定
した基礎となる主要な根拠を挙げれば次のとおりであ
る。
【0017】(a)Mnは、オーステナイト組織の安定化
と同時に高温度域における全面腐食に対する抵抗性を高
めるのに有効であり、しかも応力腐食割れ抵抗性に対し
て著しい悪影響はなく、Mo含有合金鋼においてはかえっ
て応力割れ感受性を低める。
と同時に高温度域における全面腐食に対する抵抗性を高
めるのに有効であり、しかも応力腐食割れ抵抗性に対し
て著しい悪影響はなく、Mo含有合金鋼においてはかえっ
て応力割れ感受性を低める。
【0018】(b)Moの添加は耐粒界腐食性を高めるの
に有効である。従来、Moは、Clイオンを含む水溶液中で
オーステナイトステンレス鋼にみられる応力腐食割れ感
受性を低める効果があることが知られており、耐海水腐
食鋼である前記の 825合金が3%のMoを含むのもこのよ
うな理由からである。ところが本発明者らの検討結果で
は、我が国の都市ごみ焼却ボイラの腐食環境において
は、Moは従来の上記知見とは全く相反し、多量に添加す
ると応力腐食割れ感受性を高める元素であることがわか
った。しかし、Moの添加量をNi含有量に応じて適切に調
整すれば応力腐食割れ感受性を低くすることができる。
即ち、高Mn合金でしかもMoを含む合金でもその応力腐食
割れ感受性はNiとMoの含有量とに依存し、Moの含有量を
0.5 %≦Mo(%) ≦7.5 −{Ni(%)/10}の式で表
わされる広い範囲内に調整すれば、応力腐食割れ感受性
を低めることが可能であることがわかった。
に有効である。従来、Moは、Clイオンを含む水溶液中で
オーステナイトステンレス鋼にみられる応力腐食割れ感
受性を低める効果があることが知られており、耐海水腐
食鋼である前記の 825合金が3%のMoを含むのもこのよ
うな理由からである。ところが本発明者らの検討結果で
は、我が国の都市ごみ焼却ボイラの腐食環境において
は、Moは従来の上記知見とは全く相反し、多量に添加す
ると応力腐食割れ感受性を高める元素であることがわか
った。しかし、Moの添加量をNi含有量に応じて適切に調
整すれば応力腐食割れ感受性を低くすることができる。
即ち、高Mn合金でしかもMoを含む合金でもその応力腐食
割れ感受性はNiとMoの含有量とに依存し、Moの含有量を
0.5 %≦Mo(%) ≦7.5 −{Ni(%)/10}の式で表
わされる広い範囲内に調整すれば、応力腐食割れ感受性
を低めることが可能であることがわかった。
【0019】(c)オーステナイト組織の合金にCu、Co
およびWの1種以上を添加すれば、高温強度を上げるこ
とができ、さらにTi、Nb、ZrおよびVの1種以上の添加
は、合金中のCを安定化させ高温強度の低下を防止する
効果がある。
およびWの1種以上を添加すれば、高温強度を上げるこ
とができ、さらにTi、Nb、ZrおよびVの1種以上の添加
は、合金中のCを安定化させ高温強度の低下を防止する
効果がある。
【0020】上述の合金元素ならびにNi、Cr、Co、Al、
希土類元素およびN (窒素) などの作用効果と含有量の
限定理由については、以下に詳しく説明する。なお、以
下の説明では、重量%を単に%と記載する。
希土類元素およびN (窒素) などの作用効果と含有量の
限定理由については、以下に詳しく説明する。なお、以
下の説明では、重量%を単に%と記載する。
【0021】
【作用】C:Cは鋼中のCrと結合し、結晶粒界に塊状の
Cr炭化物として析出すると高温強度が劣化したり、管表
面に付着する腐食性溶融塩化合物と反応して粒界腐食が
発生したりするので、その含有量はできるだけ低くする
のが望ましい。0.05%は許容上限値である。
Cr炭化物として析出すると高温強度が劣化したり、管表
面に付着する腐食性溶融塩化合物と反応して粒界腐食が
発生したりするので、その含有量はできるだけ低くする
のが望ましい。0.05%は許容上限値である。
【0022】Si:Siは脱酸剤として必要であり、また、
一般に耐酸化性を高めるためにも有効な元素である。高
Mn合金鋼の場合では、過剰に含有すると特に溶接継手部
の高温割れ感受性が高くなるため、ボイラチューブ材と
しの溶接施工性を重視して 2%以下とした。 Mn:Mnはオーステナイト形成元素であると共に、脱酸剤
としても利用できる。特に500℃を超えるごみ焼却廃熱
ボイラ伝熱管の、主として塩化物と硫酸塩からなる溶融
塩が材料表面に付着するような腐食環境での耐食性をさ
らに高めるためには、Mnを2.5 %を超えて高めることが
有効である。Mnは合金の応力腐食割れ抵抗性に対しては
顕著な悪影響はなく、Ni、Moなどの他元素との適正な組
み合わせにより、その効果は 2.5%を超えると顕著とな
るが、7.5 %を超えると再び耐酸化性および熱間加工性
が共に劣化することから、その含有量を 7.5%以下とし
た。
一般に耐酸化性を高めるためにも有効な元素である。高
Mn合金鋼の場合では、過剰に含有すると特に溶接継手部
の高温割れ感受性が高くなるため、ボイラチューブ材と
しの溶接施工性を重視して 2%以下とした。 Mn:Mnはオーステナイト形成元素であると共に、脱酸剤
としても利用できる。特に500℃を超えるごみ焼却廃熱
ボイラ伝熱管の、主として塩化物と硫酸塩からなる溶融
塩が材料表面に付着するような腐食環境での耐食性をさ
らに高めるためには、Mnを2.5 %を超えて高めることが
有効である。Mnは合金の応力腐食割れ抵抗性に対しては
顕著な悪影響はなく、Ni、Moなどの他元素との適正な組
み合わせにより、その効果は 2.5%を超えると顕著とな
るが、7.5 %を超えると再び耐酸化性および熱間加工性
が共に劣化することから、その含有量を 7.5%以下とし
た。
【0023】Cr:Crは高温強度および高温での耐酸化性
の改善に優れた効果を示す。しかし、高Mn合金鋼の場合
はその含有量が20%未満では耐酸化性の改善が充分に得
られないから、20%を下限とした。一方、わが国のごみ
焼却設備の高温部位に用いられるボイラチューブ材のよ
うに、溶融塩化物と溶融硫酸塩とが付着するような腐食
環境下では、Crは全面腐食を抑制するのに有効である
が、Crの含有量をむやみに増やしても耐食性の改善効果
は小さく、また、Ni、MoおよびMnのような耐食性改善元
素が添加されていても、それらの良好な効果を相殺し
て、本来保護性を示すCr酸化物が溶融塩と反応し、揮発
性のCr2O2Cl2を形成するため、過剰添加ではかえって高
温耐食性を劣化させることになるので、高Mn含有合金の
場合でもその上限を35%とした。
の改善に優れた効果を示す。しかし、高Mn合金鋼の場合
はその含有量が20%未満では耐酸化性の改善が充分に得
られないから、20%を下限とした。一方、わが国のごみ
焼却設備の高温部位に用いられるボイラチューブ材のよ
うに、溶融塩化物と溶融硫酸塩とが付着するような腐食
環境下では、Crは全面腐食を抑制するのに有効である
が、Crの含有量をむやみに増やしても耐食性の改善効果
は小さく、また、Ni、MoおよびMnのような耐食性改善元
素が添加されていても、それらの良好な効果を相殺し
て、本来保護性を示すCr酸化物が溶融塩と反応し、揮発
性のCr2O2Cl2を形成するため、過剰添加ではかえって高
温耐食性を劣化させることになるので、高Mn含有合金の
場合でもその上限を35%とした。
【0024】Ni:Niはオーステナイト形成元素であり、
高温強度の確保や主として溶融塩化物系の腐食性燃焼ス
ラグによる全面腐食を抑制する重要な成分である。しか
し、Niは高価な元素であるから、材料コストと上記の効
果とのバランスを考慮して上限を55%とした。一方、Ni
含有量が25%未満では、Mnを多量添加した場合において
は耐高温腐食性が急激に劣化することから下限を25%と
した。
高温強度の確保や主として溶融塩化物系の腐食性燃焼ス
ラグによる全面腐食を抑制する重要な成分である。しか
し、Niは高価な元素であるから、材料コストと上記の効
果とのバランスを考慮して上限を55%とした。一方、Ni
含有量が25%未満では、Mnを多量添加した場合において
は耐高温腐食性が急激に劣化することから下限を25%と
した。
【0025】Mo:Moは通常湿食環境で耐食性を改善する
ために添加される元素であるが、前記のように我が国の
都市ごみ焼却ボイラの腐食環境においては、多量に添加
すると応力腐食割れ感受性を高める元素となる。その反
面、Moは粒界腐食を抑制する作用をもつ元素であるから
これを添加するのが望ましいことがある。
ために添加される元素であるが、前記のように我が国の
都市ごみ焼却ボイラの腐食環境においては、多量に添加
すると応力腐食割れ感受性を高める元素となる。その反
面、Moは粒界腐食を抑制する作用をもつ元素であるから
これを添加するのが望ましいことがある。
【0026】前述のように、本発明者らの研究結果によ
れば、Moの応力腐食割れ感受性に対する影響は合金鋼中
のNi含有量に強く依存している。高Mn含有合金では、前
記の式、 0.5%≦Mo(%)≦7.5−{Ni(%)/10}
を満たす範囲内で含有させれば、応力腐食割れ感受性が
高められることはなく、しかも合金の粒界腐食を抑制す
ることができる。なお、粒界腐食抑制の効果を確実にす
るには、0.5 %以上の含有量が必要である。特に、Mnを
2.5%を超えて含有させるような合金の場合には、Mnの
応力腐食割れ感受性を低める作用を維持させるために
も、Moの過剰な含有を避ける必要があり、したがってMo
含有量の適正な範囲は 0.5%≦Mo(%)≦7.5−{Ni
(%)/10}である。
れば、Moの応力腐食割れ感受性に対する影響は合金鋼中
のNi含有量に強く依存している。高Mn含有合金では、前
記の式、 0.5%≦Mo(%)≦7.5−{Ni(%)/10}
を満たす範囲内で含有させれば、応力腐食割れ感受性が
高められることはなく、しかも合金の粒界腐食を抑制す
ることができる。なお、粒界腐食抑制の効果を確実にす
るには、0.5 %以上の含有量が必要である。特に、Mnを
2.5%を超えて含有させるような合金の場合には、Mnの
応力腐食割れ感受性を低める作用を維持させるために
も、Moの過剰な含有を避ける必要があり、したがってMo
含有量の適正な範囲は 0.5%≦Mo(%)≦7.5−{Ni
(%)/10}である。
【0027】上記の成分の外に、次の元素を必要に応じ
て添加することができる。
て添加することができる。
【0028】Nb、Ti、ZrおよびV (第1群元素):Nb、
Ti、ZrおよびVはいずれも炭化物を形成しやすいので、
合金鋼中のCを固定してCr炭化物の析出を抑制し、高温
強度の低下を防ぐ作用をもつ。特に高温強度を重視する
場合に1種または2種以上を添加すればよい。オーステ
ナイト鋼の場合には、結晶粒界に析出するCr炭化物が管
表面に付着する腐食性の溶融塩化合物と反応して粒界腐
食を発生させるが、Cを低く抑えた上にこれらの元素を
添加すれば、粒界腐食は一段と生じ難くなる。これらの
元素の含有量が1種または2種以上の合計で 0.1%未満
の場合は添加の効果が現れず、3%を超えて含有させて
も効果が飽和し、コストのみが上昇する。
Ti、ZrおよびVはいずれも炭化物を形成しやすいので、
合金鋼中のCを固定してCr炭化物の析出を抑制し、高温
強度の低下を防ぐ作用をもつ。特に高温強度を重視する
場合に1種または2種以上を添加すればよい。オーステ
ナイト鋼の場合には、結晶粒界に析出するCr炭化物が管
表面に付着する腐食性の溶融塩化合物と反応して粒界腐
食を発生させるが、Cを低く抑えた上にこれらの元素を
添加すれば、粒界腐食は一段と生じ難くなる。これらの
元素の含有量が1種または2種以上の合計で 0.1%未満
の場合は添加の効果が現れず、3%を超えて含有させて
も効果が飽和し、コストのみが上昇する。
【0029】Cu、CoおよびW(第2群元素):これらの
元素は、固溶強化により合金鋼の高温強度を向上させる
作用がある。
元素は、固溶強化により合金鋼の高温強度を向上させる
作用がある。
【0030】第1群元素と同じく、必要に応じて1種ま
たは2種以上を添加することができるが、1種または2
種以上の合計含有量が 0.1%未満の場合は添加の効果が
顕著でなく、また、5%を超える範囲ではコスト上昇に
見合う効果の増大は殆どない。
たは2種以上を添加することができるが、1種または2
種以上の合計含有量が 0.1%未満の場合は添加の効果が
顕著でなく、また、5%を超える範囲ではコスト上昇に
見合う効果の増大は殆どない。
【0031】N(窒素):Nはオーステナイト組織の安
定化に寄与する。また、高温強度を高める作用も有する
ので、必要に応じて0.1 %以上含有させることができ
る。しかし、本発明合金の組成範囲では、通常の溶製法
で 0.3%を超える含有量にすることは困難である。
定化に寄与する。また、高温強度を高める作用も有する
ので、必要に応じて0.1 %以上含有させることができ
る。しかし、本発明合金の組成範囲では、通常の溶製法
で 0.3%を超える含有量にすることは困難である。
【0032】希土類元素(第3群元素):Y、La、Ce等
の希土類元素は合金表面に生成する保護性の酸化物被膜
(Cr2O3およびSiO2) の密着性を向上させる作用をもつ。
このような効果を期待する場合に、1種または2種以上
を合計で0.01%以上含有させればよい。ただし、0.1 %
を超えると合金の熱間加工性を劣化させる。
の希土類元素は合金表面に生成する保護性の酸化物被膜
(Cr2O3およびSiO2) の密着性を向上させる作用をもつ。
このような効果を期待する場合に、1種または2種以上
を合計で0.01%以上含有させればよい。ただし、0.1 %
を超えると合金の熱間加工性を劣化させる。
【0033】なお、溶製時の脱酸強化のために 0.5%以
下のAlを含有させることができる。
下のAlを含有させることができる。
【0034】しかし、Alが過剰に残ってその含有量が
0.5%を超えると高温での長時間使用後金属間化合物Ni3
Al が析出しクリープ延性を劣化させるためその含有量
は 0.5%以下にとどめるのが望ましい。本発明の合金
は、例えば、電気炉で溶製し、VODまたはAODで精
錬した後ビレットとし、このビレットを素材として熱間
押出法で製管して素管を得、この素管を冷間抽伸して所
定寸法の管とする。熱処理は、1050〜1200℃に加熱した
後に急冷する溶体化処理が望ましい。
0.5%を超えると高温での長時間使用後金属間化合物Ni3
Al が析出しクリープ延性を劣化させるためその含有量
は 0.5%以下にとどめるのが望ましい。本発明の合金
は、例えば、電気炉で溶製し、VODまたはAODで精
錬した後ビレットとし、このビレットを素材として熱間
押出法で製管して素管を得、この素管を冷間抽伸して所
定寸法の管とする。熱処理は、1050〜1200℃に加熱した
後に急冷する溶体化処理が望ましい。
【0035】
【実施例】表1(1) 〜(5) に化学組成を示す符号 1〜69
の合金(いずれも本発明合金)を真空溶解炉で17kgずつ
溶製し、インゴットに鋳造した後、1100〜1250℃の温度
に加熱し、熱間鍛造および熱間圧延して15mm厚のビレッ
トにした。次いで、これらを1100℃の温度で軟化焼鈍し
た後、冷間圧延して10.5mm厚の板にした。しかる後、12
00℃の温度に加熱して水冷する溶体化処理を行った。
の合金(いずれも本発明合金)を真空溶解炉で17kgずつ
溶製し、インゴットに鋳造した後、1100〜1250℃の温度
に加熱し、熱間鍛造および熱間圧延して15mm厚のビレッ
トにした。次いで、これらを1100℃の温度で軟化焼鈍し
た後、冷間圧延して10.5mm厚の板にした。しかる後、12
00℃の温度に加熱して水冷する溶体化処理を行った。
【0036】溶体化処理後のそれぞれの板の中央部から
2mm厚×10mm幅×10mm長さの腐食試験片と、図1に示す
寸法形状の応力割れ試験片を切り出し、ごみ焼却炉環境
を模擬した腐食試験を行った。併せて、表1(6)の符号 7
0 〜80に示す比較試験のための合金を本発明合金と同様
に溶製して試験片を作製し、さらに既存合金鋼として表
1(7)の符号 81 〜85に示す化学組成の市販ボイラ管の肉
厚中央部から前記と同じ寸法の試験片を切り出し、それ
ぞれ腐食試験に供した。
2mm厚×10mm幅×10mm長さの腐食試験片と、図1に示す
寸法形状の応力割れ試験片を切り出し、ごみ焼却炉環境
を模擬した腐食試験を行った。併せて、表1(6)の符号 7
0 〜80に示す比較試験のための合金を本発明合金と同様
に溶製して試験片を作製し、さらに既存合金鋼として表
1(7)の符号 81 〜85に示す化学組成の市販ボイラ管の肉
厚中央部から前記と同じ寸法の試験片を切り出し、それ
ぞれ腐食試験に供した。
【0037】高温腐食試験は、前記腐食試験片の表裏
に、モル%で、10%NaCl−10%KCl −15%FeCl2 −15%
PbCl2 −18.75 %Na2SO4−18.75 %K2SO4 −12.5%Fe2O
3 の合成灰を30mg/cm2の割合で塗付し、 これを0.15%
HCl −300ppmSO2 − 7.5%O2−7.5%CO2 −20%H2O −
bal.N2 のガス気流中において 550℃の温度で20時間加
熱する試験である。耐食性は、試験後の試験片を脱スケ
ールして重量測定を行い、試験前後の重量変化から腐食
減量を求めて評価した。
に、モル%で、10%NaCl−10%KCl −15%FeCl2 −15%
PbCl2 −18.75 %Na2SO4−18.75 %K2SO4 −12.5%Fe2O
3 の合成灰を30mg/cm2の割合で塗付し、 これを0.15%
HCl −300ppmSO2 − 7.5%O2−7.5%CO2 −20%H2O −
bal.N2 のガス気流中において 550℃の温度で20時間加
熱する試験である。耐食性は、試験後の試験片を脱スケ
ールして重量測定を行い、試験前後の重量変化から腐食
減量を求めて評価した。
【0038】耐粒界腐食性は、脱スケールした前述の腐
食試験片の表面部分を100倍もしくは 500倍の光学顕微
鏡で断面をミクロ観察して評価した。応力腐食割れ試験
は、図2に示すように治具1で前記応力腐食割れ試験片
2にそれぞれの合金鋼の 0.2%耐力相当の応力を負荷
し、この状態で試験片2の表面に前記の高温腐食試験で
用いたのと同じ合成灰を塗布した後、同じガス気流中で
400℃の温度に20時間保持する試験である。試験温度を
400℃としたのはオーステナイト組織の鋼 (合金) の応
力腐食割れ感受性は 400℃付近で最も高くなるという本
発明者の知見があったからである。応力腐食割れの有無
は、半円ノッチ部の断面ミクロ観察で調べた。ただし、
Mn が本発明の上限を超える比較合金符号80は熱間鍛造
時割れが発生し、試験片の調整ができなかったためこれ
らの試験対象から除外した。
食試験片の表面部分を100倍もしくは 500倍の光学顕微
鏡で断面をミクロ観察して評価した。応力腐食割れ試験
は、図2に示すように治具1で前記応力腐食割れ試験片
2にそれぞれの合金鋼の 0.2%耐力相当の応力を負荷
し、この状態で試験片2の表面に前記の高温腐食試験で
用いたのと同じ合成灰を塗布した後、同じガス気流中で
400℃の温度に20時間保持する試験である。試験温度を
400℃としたのはオーステナイト組織の鋼 (合金) の応
力腐食割れ感受性は 400℃付近で最も高くなるという本
発明者の知見があったからである。応力腐食割れの有無
は、半円ノッチ部の断面ミクロ観察で調べた。ただし、
Mn が本発明の上限を超える比較合金符号80は熱間鍛造
時割れが発生し、試験片の調整ができなかったためこれ
らの試験対象から除外した。
【0039】なお、表1(7) 中の既存合金鋼である符号
81 はASTMのB163に記載のあるNO8825合金、符号82はSU
S 304 、符号 83 はSUS 316L、符号 84 はSUS 310S、符
号 85 はASTMのB622に記載されているN08320鋼に、それ
ぞれ相当するものである。
81 はASTMのB163に記載のあるNO8825合金、符号82はSU
S 304 、符号 83 はSUS 316L、符号 84 はSUS 310S、符
号 85 はASTMのB622に記載されているN08320鋼に、それ
ぞれ相当するものである。
【0040】
【表1(1)】
【0041】
【表1(2)】
【0042】
【表1(3)】
【0043】
【表1(4)】
【0044】
【表1(5)】
【0045】
【表1(6)】
【0046】
【表1(7)】
【0047】表2 (1)〜(5) に各合金鋼の腐食減量、粒
界腐食深さおよび応力腐食割れの有無を示す。同表から
明らかなように、本発明合金はいずれの特性においても
比較合金および既存合金鋼に優っており、極めて厳しい
腐食環境にも十分適用できることが確認された。
界腐食深さおよび応力腐食割れの有無を示す。同表から
明らかなように、本発明合金はいずれの特性においても
比較合金および既存合金鋼に優っており、極めて厳しい
腐食環境にも十分適用できることが確認された。
【0048】また応力腐食割れ試験の結果、本発明合金
ではいずれも割れが認められず、特に合金中のMo含有量
を調整した本発明合金で応力腐食割れ感受性が十分に低
められていることが確認された。Mo含有量が本発明合金
の範囲よりも多く含まれた比較合金の符号 70 〜72はい
ずれも応力腐食割れを発生しており、Moの過剰添加は応
力腐食割れの点から不利であることも確認した。また、
Moを含有しない同じく符号 73 〜76の合金はいずれも結
晶粒界が腐食により侵食され粒界腐食深さが深いことか
ら、Moは本発明で規定された範囲内の適切な量を含有さ
せる必要があることがわかる。
ではいずれも割れが認められず、特に合金中のMo含有量
を調整した本発明合金で応力腐食割れ感受性が十分に低
められていることが確認された。Mo含有量が本発明合金
の範囲よりも多く含まれた比較合金の符号 70 〜72はい
ずれも応力腐食割れを発生しており、Moの過剰添加は応
力腐食割れの点から不利であることも確認した。また、
Moを含有しない同じく符号 73 〜76の合金はいずれも結
晶粒界が腐食により侵食され粒界腐食深さが深いことか
ら、Moは本発明で規定された範囲内の適切な量を含有さ
せる必要があることがわかる。
【0049】Cの含有量の多い比較合金の符号 79 は、
Moを所定量含有しているにもかかわらず粒界腐食が認め
られた。これはCr炭化物が結晶粒界に析出し、溶融塩化
物と反応したためである。一方、Cを0.04%しか含まな
い符号 7あるいは21などの合金には顕著な粒界腐食は認
められない。またCr含有量が多い比較合金の符号 78は
応力腐食割れは認められないものの、高Crであるため全
面腐食量が大きくなり、耐食性は劣る。Ni含有量が25%
未満の合金 (例えば既存合金鋼の符号 82 〜84) も、25
%以上含む本発明合金 (符号1 〜69) に比し全面腐食量
が増大し、耐食性が劣ることが明らかである。。既存合
金鋼のSUS316L(符号83) およびSUS310S(符号84) は、応
力腐食割れ感受性は低いものの、全面腐食量は極めて大
きく、ごみ焼却炉の腐食環境における耐食性は良くな
い。また同じく既存合金鋼の符号 81 は、他の既存合金
鋼よりも全面腐食量は小さ目であるが、Mnが低いため、
Moを本発明の範囲内で含有するものの、応力腐食割れが
生じ、良好な結果が得られなかった。
Moを所定量含有しているにもかかわらず粒界腐食が認め
られた。これはCr炭化物が結晶粒界に析出し、溶融塩化
物と反応したためである。一方、Cを0.04%しか含まな
い符号 7あるいは21などの合金には顕著な粒界腐食は認
められない。またCr含有量が多い比較合金の符号 78は
応力腐食割れは認められないものの、高Crであるため全
面腐食量が大きくなり、耐食性は劣る。Ni含有量が25%
未満の合金 (例えば既存合金鋼の符号 82 〜84) も、25
%以上含む本発明合金 (符号1 〜69) に比し全面腐食量
が増大し、耐食性が劣ることが明らかである。。既存合
金鋼のSUS316L(符号83) およびSUS310S(符号84) は、応
力腐食割れ感受性は低いものの、全面腐食量は極めて大
きく、ごみ焼却炉の腐食環境における耐食性は良くな
い。また同じく既存合金鋼の符号 81 は、他の既存合金
鋼よりも全面腐食量は小さ目であるが、Mnが低いため、
Moを本発明の範囲内で含有するものの、応力腐食割れが
生じ、良好な結果が得られなかった。
【0050】
【表2(1)】
【0051】
【表2(2)】
【0052】
【表2(3)】
【0053】
【表2(4)】
【0054】
【表2(5)】
【0055】
【発明の効果】実施例の試験結果からも明らかなよう
に、本発明合金はごみ焼却炉雰囲気という特殊できわめ
て苛酷な腐食環境中でも優れた耐全面腐食性を有し、し
かも応力腐食割れおよび粒界腐食に対しても強い抵抗性
を示す合金である。この合金はオーステナイト組織であ
るため、高温強度は勿論のこと、加工性および溶接性に
も優れている。
に、本発明合金はごみ焼却炉雰囲気という特殊できわめ
て苛酷な腐食環境中でも優れた耐全面腐食性を有し、し
かも応力腐食割れおよび粒界腐食に対しても強い抵抗性
を示す合金である。この合金はオーステナイト組織であ
るため、高温強度は勿論のこと、加工性および溶接性に
も優れている。
【0056】本発明合金からなる管を高温部位、例えば
過熱器管等に使用することによって、ごみ焼却の廃熱を
充分に利用した高温・高圧の廃熱ボイラとすることが可
能となり、都市ごみのもつエネルギーを従来以上に効率
よく電力エネルギーとして取り出すことができる。
過熱器管等に使用することによって、ごみ焼却の廃熱を
充分に利用した高温・高圧の廃熱ボイラとすることが可
能となり、都市ごみのもつエネルギーを従来以上に効率
よく電力エネルギーとして取り出すことができる。
【図1】高温腐食試験で腐食減量の測定に用いた腐食試
験片の形状を示す平面図および側面図である。
験片の形状を示す平面図および側面図である。
【図2】応力腐食割れ試験で使用した治具と試験片の取
付け方法を示す側面図である。
付け方法を示す側面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】重量%で、C:0.05%以下、Si:2%以
下、Mn:2.5%を超え 7.5%以下、Cr:20〜35%、Ni:
25〜55%および下記式を満足するMoを含有し、残部が
Feおよび不可避不純物からなるごみ焼却ボイラ伝熱管用
高耐食合金。 0.5 %≦ Mo(%)≦ 7.5−{Ni (%) /10}・・・・・ - 【請求項2】合金成分として更にNb、Ti、ZrおよびVの
うちから選ばれた1種または2種以上を合計で 0.1〜3.
0 重量%含有する請求項1のごみ焼却ボイラ伝熱管用高
耐食合金。 - 【請求項3】合金成分として更にCu、CoおよびWのうち
から選ばれた1種または2種以上を合計で 0.1〜5.0 重
量%含有する請求項1または2のごみ焼却ボイラ伝熱管
用高耐食合金。 - 【請求項4】合金成分として更にN:0.1 〜0.3 重量%
を含有する請求項1、2または3のごみ焼却ボイラ伝熱
管用高耐食合金。 - 【請求項5】合金成分として更に希土類元素の1種また
は2種以上を合計で0.01〜0.1 重量%含有する請求項
1、 2、 3または4のごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合
金。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31038491A JPH05148587A (ja) | 1991-11-26 | 1991-11-26 | ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金 |
US08/147,441 US5378427A (en) | 1991-03-13 | 1993-11-05 | Corrosion-resistant alloy heat transfer tubes for heat-recovery boilers |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31038491A JPH05148587A (ja) | 1991-11-26 | 1991-11-26 | ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05148587A true JPH05148587A (ja) | 1993-06-15 |
Family
ID=18004609
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31038491A Pending JPH05148587A (ja) | 1991-03-13 | 1991-11-26 | ごみ焼却ボイラ伝熱管用高耐食合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05148587A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008545889A (ja) * | 2005-06-03 | 2008-12-18 | エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド | オーステナイト系ステンレス鋼 |
EP2016031A1 (en) * | 2006-05-02 | 2009-01-21 | Sandvik Intellectual Property AB | A component for supercritical water oxidation plants, made of an austenitic stainless steel alloy |
-
1991
- 1991-11-26 JP JP31038491A patent/JPH05148587A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008545889A (ja) * | 2005-06-03 | 2008-12-18 | エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド | オーステナイト系ステンレス鋼 |
EP2016031A1 (en) * | 2006-05-02 | 2009-01-21 | Sandvik Intellectual Property AB | A component for supercritical water oxidation plants, made of an austenitic stainless steel alloy |
EP2016031A4 (en) * | 2006-05-02 | 2011-03-16 | Sandvik Intellectual Property | COMPONENT FOR SUPERCRITICAL WATER OXIDATION IN AUSTENITIC STAINLESS STEEL ALLOY |
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