JPH0514821Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、射出成形機のトンネルランナゲート
の構造に関する。

〔従来技術〕

射出成形においては、製品の端末部に相当する
部分に、ゲートを設けて溶融樹脂をキヤビテイ内
に充填するのが一般的である。

従来は、樹脂の特性で決る流動性と製品の形状
によつて決るキヤビテイ内の流動長さの両方を考
慮して、多くのゲート（多点ゲート）が設けら
れ、更に製品の肉厚を調整してひけなどの欠陥を
なくすようにしていた。

又、実開昭58−120021号公報には、射出成形品
の表面にゲート痕跡を残さないようにトンネルゲ
ートを用いて、成形品の裏面にゲートを形成した
ものが示されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の多点ゲート方式の場合は、第７図に
示すように樹脂が充分注入されない部分イが発生
したり、ゲート１１の間の製品５の表面に筋状の
欠陥１２（ウエルト）が発生する。又第７図にお
けるイ部が発生しないようにゲート１１の数を第
８図に示すように増した場合は、ゲート１１の数
に応じてウエルト１２が多数発生する。

そのため、製品の外観が悪くなり、外観のきれ
いな製品が要求される現代においては、品質の点
で問題がある。

又ウエルトの発生を少なくするために、ゲート
の数を少なくして、流動性のよい樹脂の開発をす
ることも考えられるが、現段階では、まだそのよ
うな樹脂はなく、又、射出圧力を高くしたとき
は、バリの発生や艶むらが生ずるので、やむなく
多点ゲート方式によるしかないのが実情である。

又、実開昭58−120021号公報に示されたもの
は、トンネルランナゲートを用いて、製品の表面
にゲートの痕跡が出ないようにしたものであり、
ひけ等の欠陥発生の可能性が大きいという問題が
ある。

〔問題を解決するための手段〕

上記の実情に鑑みて本考案は、射出成形品の仮
想中心に相当する位置であつて成形品の裏側にキ
ヤビテイに連通するボス部を設け、このボス部と
ランナとの間にトンネルランナゲートを設けて当
該ボス部とランナとを連通したことを特徴とす
る。

〔作用〕

このように構成することにより、スプルーから
注入された樹脂は、ランナ、トンネルゲート及び
ボス部を通して、キヤビテイの中央より平均して
注入される。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例について詳細に説明す
る。第１図において、１はボス部であり、成形品
５のほぼ中央に相当しその裏側にキヤビテイに連
通して設けられている。２はトンネルランナゲー
トであり、ボス部１とランナ６との間に設けられ
て、ランナ６とボス部１は連通されている。この
トンネルランナゲート２は、第２図に示すように
傾斜コア４の側面に部分入子３を嵌め込み、この
部分入子３に凹溝を形成することにより設けられ
る。部分入子３は、例えばステンレス鋼のような
断熱性の高い金属が用いられる。１０は傾斜コア
ロツドである。７はスプルー、８は可動入子、９
は固定入子である。

第３図において、ボス部１はスリーブ状になつ
ており、トンネルランナゲート２との連結部は、
絞ぼられた流路になつている。又、ランナ６とト
ンネルランナ２とは、流路面積が違つており、ラ
ンナ６とトンネルランナ２との流路面積は、樹脂
の流動性や製品形状による流動抵抗と射出圧力等
の関係から決定される。ひけやバリ発生を防止す
るためである。

その一例を示せば、トンネルランナゲート２の
流路面積S₁、ランナ６の流路面積をS₂とすると、 S₁＝（0.5〜1.2）S₂cm² ……(1) の範囲で決められる。

例えば流動性のよい樹脂を使う場合は、S₁＝
0.5S₂を採用し、流動性の悪い樹脂を使う場合は
S₁＝1.2S₂という具合に決められる。

又、ボス部１は、第４図乃至第６図に示すよう
に、成形品５の形状に合せて円形スリーブ、楕円
スリーブ、角形スリーブ或は、不定形スリーブ等
が採用される。そして成形品５の隅部イ〜ニとボ
ス部１のスリーブ（ボス部１の中心ではない）と
の間の距離ｌ及び成形品５の形状によつて左右さ
れる流動抵抗との関係から、ボス部１から流出す
る樹脂が平均して成形品５（キヤビテイ）の隅々
まで流動する位置（成形品の仮想中心という）に
設けられる。従つて、この仮想中心と成形品の中
心とは必ずしも一致しない。

以上のように構成した本実施例において、スプ
ルー７から注入された樹脂は、ランナ６、トンネ
ルランナゲート２を経てボス部２より流出する。
この過程において、樹脂の流動性、トンネルラン
ナゲート２の流動性抵抗、キヤビテイ内の流動抵
抗等の諸要素により、ボス部１のスリーブから均
一に樹脂が流出する。

例えば、トンネルランナゲート２の流動抵抗が
大きくボス部２の位置が不適当であると、キヤビ
テイ内では射出圧力が不足しかつ流動抵抗の小さ
い方に偏流し、ボス部１のスリーブから均一に流
出しなくなる。

ボス部１から均一に流出した樹脂は、成形品
（キヤビテイ）の仮想中心裏側から均一にキヤビ
テイ内に流出し、射出圧力によつて隅々まで注入
される。

本実施例では、成形品５の裏面にボス部１を１
個設けているが大きな成形品の場合は必要に応じ
複数のボス部１をそれぞれの仮想中心に設けても
よい。

そして、ボス部１の位置及び大きさを、成形品
の性能に影響しないようにすることにより、ボス
部１の除去が不要になる。又、トンネルランナゲ
ート２とボス部１との接続部が実質上のゲートに
相当するから、成形品５の表面にウエルトが発生
しない。

そして射出成形完了後に、傾斜コア４を下降す
ることにより、トンネルランナゲート２とボス部
１及びランナ６との接続部が剪断される。これに
より、成形品５は、通常の通りエジエクタピンに
て押し出される。

〔考案の効果〕

以上詳述した通り本考案によれば、成形品の仮
想中心に相当する位置であつてその裏側にキヤビ
テイに連通するボス部を設け、ランナから注入さ
れる樹脂をトンネルランナゲート及びボス部を通
してキヤビテイ内に注入するようにしたので、注
入された樹脂はキヤビテイの隅々にまで注入さ
れ、ひけ等の欠陥は発生しない。

又、成形品には、ゲートが直接に設けられない
のでウエルト発生はなく、かつ成形品からゲート
部分を除去するための後処理が不要になる。

そして、成形品の仮想中心にボス部を設けてい
るので流動抵抗（流動長さ）が極端に大きい部分
はなく射出圧力を必要以上に高くするようなこと
はない。

従つてバリ発生や艶むらが発生せず、上記ウエ
ルトの発生がないことと相まつて製品の外観がき
れいになり品質が大巾に向上することができた。

又、外観不良やひけ等の欠陥が減少して歩留り
が向上すると共に製品の肉厚を厚くして流動性を
よくするという必要性も軽減されて樹脂材料の消
費が軽減され、良品で安価な製品にすることがで
きるなど優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す縦断面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線における傾斜コアの縦
断面図、第３図は、第１図のＢ−Ｂ矢視図、第４
図乃至第６図は第１図のボス部の実施例であり、
第４図は円形スリーブ、第５図は楕円スリーブ、
第６図は角形スリーブをそれぞれ示す平面図であ
る。第７図及び第８図は従来例であり、第７図は
ゲートを二個設けた場合の成形品の平面図、第８
図はゲートを四ケ設けた場合の成形品の平面図で
ある。 １……ボス部、２……トンネルランナゲート、
６……ランナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 射出成形品の仮想中心に相当する位置であつて
   成形品の裏側にキヤビテイに連通するボス部を設
   け、該ボス部とランナとの間にトンネルランナゲ
   ートを設けて当該ボス部とランナとを連通したこ
   とを特徴とする射出成形用トンネルランナゲート
   の構造。