JPH05142401A - プラスチツクレンズ - Google Patents

プラスチツクレンズ

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JPH05142401A
JPH05142401A JP4103021A JP10302192A JPH05142401A JP H05142401 A JPH05142401 A JP H05142401A JP 4103021 A JP4103021 A JP 4103021A JP 10302192 A JP10302192 A JP 10302192A JP H05142401 A JPH05142401 A JP H05142401A
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JP
Japan
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plastic lens
refractive index
layer
primer layer
hard coat
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Application number
JP4103021A
Other languages
English (en)
Inventor
Shoji Mase
昇次 間瀬
Noboru Otani
昇 大谷
Motoaki Yoshida
元昭 吉田
Satoshi Ishizuka
聡 石塚
Hisayuki Kashiwagi
久往 栢木
Naoto Hirayama
直人 平山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Sheet Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Publication date
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Priority to EP19920305423 priority patent/EP0518687B1/en
Priority to KR1019920010250A priority patent/KR100267444B1/ko
Priority to AT92305423T priority patent/ATE157462T1/de
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 干渉縞が見えず、反射防止コート後の耐衝撃
性が優れ、耐候性(耐黄変性)の良好なプラスチックレ
ンズを提供する。 【構成】 屈折率ns が1.50から1.70の範囲に
あるプラスチックレンズ基材の表面上に、プライマー層
と、ハードコート層と、無機物質の蒸着による単数また
は多層の反射防止層を、プラスチックレンズ基材とプラ
イマー層との界面で反射される光と、プライマー層とハ
ードコート層との間の界面で反射される光との干渉によ
って生じる干渉縞が目立たなくなる所定の条件を満たす
ように、この順に積層してなるプラスチックレンズにお
いて、前記プライマー層は、Al、Ti、Zr、Sn、
Sbから選ばれるすくなくとも1種の金属の化合物とポ
リウレタンとからなり、屈折率nP が1.45〜1.6
0の範囲にある層であることを特徴とするプラスチック
レンズである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外観が改善され、か
つ、耐摩耗性、耐衝撃性、染色性、反射防止性、耐候
性、耐薬品性、被覆膜の付着性の優れたプラスチックレ
ンズに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、眼鏡用の素材としてガラスに比べ
て軽いプラスチックが注目を浴びており、それを受けて
高屈折率、低色収差のプラスチックレンズが数多く提供
されている。一般にプラスチックレンズは非常に傷つき
易いという欠点を有しているため、通常はレンズの表面
にシリコン系その他のハードコート膜が設けられ、さら
にハードコート膜の上に、像のチラツキの原因である表
面反射を抑えるために無機物質を蒸着した反射防止膜が
設けられた状態で提供されている。
【0003】通常、ハードコート層の屈折率は1.40
〜1.50の範囲にあり、プラスチックレンズ基材は通
常1.50以上の屈折率を有する。この屈折率との差が
大きくなると、ハードコート層の膜厚が均一ならば問題
はないが、もし、膜厚が不均一だと干渉縞が見え、外観
上、非常に見苦しいレンズになる。しかしながらハード
コート層の膜厚を均一にすることは、生産上非常に困難
である。
【0004】この問題を解決するために、特開昭62−
11801、特開平1−217402には、下記の2つ
の条件を満たすプライマー層をレンズ基材とハードコー
ト層の間に設けることが開示されている。 条件1 プライマー層の屈折率nPが、
【0005】
【数2】
【0006】(nsはプラスチックレンズ基材の屈折
率、nHはハードコート層の屈折率)で表わされる式を
満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/(4nP) (λは可視光の波長で450〜650nm)で表わされ
る式を満足すること。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−1180
1に開示された方法は、プライマー層の素材として、芳
香族ホモポリマー、芳香族ホモポリマーとアクリル化合
物の共重合体、エポキシ化合物、シリコン系化合物から
選ばれたものが用いられているが、反射防止層を設けた
後のプラスチックレンズの耐衝撃性が不十分である。ま
た、特開平1−217402には、プライマー層にポリ
ウレタンを用いることが、開示されているが、条件1の
式を満足させるために屈折率を1.50以上にするため
に、ポリオール、ポリイソシアネートのどちらかを芳香
族環を含有するものとしなければならず、これが、製品
のプラスチックレンズの耐候性劣化(黄変)の大きな原
因となる。即ち、干渉縞が見えず、反射防止コート後の
耐衝撃性が優れ、耐候性の良好なプラスチックレンズは
まだ得られていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の問題
点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、プラスチッ
クレンズ基材表面上に、Al、Ti、Zr、Sn、Sb
から選ばれる1種以上の金属化合物を含有するポリウレ
タンのプライマー層と、ハードコート層と、無機物質の
蒸着による単層または多層の反射防止層を、レンズ表面
からこの順に積層し、しかもプライマー層が前記条件1
および2の条件を満足するプラスチックレンズが、干渉
縞が見えず、反射防止コート後の耐衝撃性が優れ、耐候
性(耐黄変性)の良好なプラスチックレンズであること
を見い出した。
【0009】すなわち、本発明は、屈折率nsが1.5
0から1.70の範囲にあるプラスチックレンズ基材の
表面上に、下記の2つの条件をともに満足するプライマ
ー層と、ハードコート層と、無機物質の蒸着による単層
または多層の反射防止層をこの順に積層してなるプラス
チックレンズにおいて、前記プライマー層は、Al、T
i、Zr、Sn、Sbから選ばれる1種以上の金属の化
合物とポリウレタンとからなり、屈折率nPが1.45
から1.60の範囲にある層であることを特徴とするプ
ラスチックレンズである。 条件1 プライマー層の屈折率nP(波長が550nm
の光に対する)が、下記式3
【0010】
【数3】
【0011】(nsは波長が550nmの光に対するプ
ラスチックレンズ基材の屈折率、nHは波長が550n
mの光に対するハードコート層の屈折率)で表わされる
式を満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/(4nP) (λは可視光の波長で450〜650nmの範囲のいず
れかの値)で表わされる式を満足すること。
【0012】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】本発明では、プラスチックレンズ基材の種
類は特に限定されず、ポリカーボネート,アクリル樹
脂,スチレン樹脂,ウレタン樹脂,アリル樹脂などの透
明で1.50〜1.70の屈折率を有する樹脂を用いる
ことができるが、式(1)
【0014】
【化1】
【0015】で示されるジエチレングリコールビスアリ
ルカーボネートを主成分とするモノマーをラジカル重合
させて得られる重合体より成るレンズ、および、N−置
換フェニルマレイミド誘導体を含有するモノマー混合物
をラジカル重合させて得られる重合体より成るプラスチ
ックレンズが特に好ましく用いられる。これらのレンズ
の重合方法は通常のプラスチックレンズの重合方法とほ
とんど同じであり、モノマー混合物をガラスモールドと
エチレン−酢ビ共重合体製ガスケットにより組み立てら
れた鋳型中に流し込み、所定温度で所定時間加熱し、さ
らにガラスモールドから取り出した後所定温度で所定時
間ポストキュアすることによりレンズが得られる。
【0016】本発明では、上記のレンズ上に、まず、プ
ライマー層として、金属化合物とポリウレタンとからな
る層を設ける。ポリウレタンは活性水素化合物であるポ
リオールと、ポリイソシアネートを反応させて得られる
が、ポリオールの例としては、水酸基を一分子内に複数
個有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカプロラク
トン、ポリカーボネート、ポリアクリレートが挙げられ
る。
【0017】また、ポリイソシアネートにはブロック型
と非ブロック型があるが、本発明で用いられるポリイソ
シアネートはブロック型のものが好ましい。ブロック型
ポリイソシアネートとはイソシアネート基がブロッキン
グ剤と呼ばれるものにより保護されたものである。本発
明においてブロック型ポリイソシアネートが好ましい理
由は、非ブロック型ポリイソシアネートを用いるとポリ
オールの活性水素とイソシアネート基の反応が常温で進
行するするため、塗料のポットライフが非常に短くなっ
てしまうためである。これに対してブロック型ポリイソ
シアネートは、加熱してブロッキング剤が解離すること
により初めて活性水素と反応し得るため、常温でのポッ
トライフは非常に長い。
【0018】ポリイソシアネートの例としては、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、水添キシリレンジイソシアネート、及びその変性体
などが挙げられる。ポリイソシアネートの変性体の例と
しては、ビウレット、イソシアヌレート、アロファネー
ト、カルボジイミドなどが挙げられる。また、これらの
イソシアネート基をブロッキング剤で保護したブロック
型ポリイソシアネートも好ましい例として挙げられる。
ブロッキング剤には、β−ジケトン、オキシム、フェノ
ール、カプロラクタムなどがある。この中で、特に好ま
しい例は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシア
ヌレート(環状三量体)をβ−ジケトンでブロックした
ものである。その理由は、ブロッキング剤の解離温度が
低く、100℃以下の温度で硬化が可能であり、耐熱性
がそれぼど良くないレンズ、例えばガラス転移温度が1
10℃以下のプラスチックレンズにも使用できるからで
ある。β−ジケトンの例としては、アセチルアセトン、
2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、
3,5−ヘプタンジオン等が好ましいものとして挙げら
れる。
【0019】また、ポリオールの例としては、水酸基を
一分子内に複数個有するポリエステル、ポリエーテル、
ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアクリレ
ートが挙げられる。ブロック型ポリイソシアネートとポ
リオールの比率は、イソシアネート基と水酸基のモル比
で好ましくは0.5〜1.5であり、特に好ましくは
0.85〜1.2である。このモル比が0.5未満また
は1.5より大きいと硬化膜の架橋密度が小さすぎて耐
衝撃性が向上し難い傾向が認められるようになる。
【0020】上記ポリイソシアネートおよび/またはポ
リオールとして、屈折率を高める、芳香環を含有するも
の、例えばテレフタル酸とプロピレングリコールのポリ
エステル、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレー
トをβ−ジケトンでブロックしたものを用いることもで
きるが、製品のプラスチックレンズの耐候性劣化(黄
変)の大きな原因となるので、できるだけ使用しないこ
とが好ましい。
【0021】また、β−ジケトンでブロックしたブロッ
ク型ポリイソシアネートとポリオールを反応させる際に
は、特に硬化触媒は必要としない。
【0022】本発明においては、プライマー用塗料は溶
媒により希釈される。希釈に用いられる溶媒としてはア
ルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類が挙げ
られ、その他の公知の溶媒も使用が可能である。特に好
ましくは、ジアセトンアルコール、酢酸エチル、メチル
エチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルであるが、これらは単独で用いても良いし、2種以上
の混合溶媒としても良い。また、プライマー用塗料の中
には、塗布性を改善するためのレベリング剤や耐候性向
上のための紫外線吸収剤や酸化防止剤を添加することも
可能である。プライマー用塗料の塗布方法はスピンコー
ト法、ディッピング法等公知の方法であれば特に制限は
ない。また、レンズは、必要に応じてアルカリ処理、プ
ラズマ処理、紫外線処理等の前処理を行っておくことが
好ましい。
【0023】本発明において、プライマー層の屈折率を
高めるために、ポリウレタンに特定の金属化合物を用い
る。
【0024】本発明で用いる金属化合物とは、アルミニ
ウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Z
r)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)から選ばれるす
くなくとも1種の金属の化合物であり、(1)上記金属
の酸化物の微粒子、(2)上記金属のアルコラート、ア
シレート、キレートおよびこれらを分解縮重合して得ら
れるオリゴマーまたはポリマーなどの有機金属化合物で
ある。ここで言うアシレートとは、金属原子に結合して
いる置換基のうちの少なくとも1つが、アシル化によっ
て得られるカルボキシル基になっているものを指す。
【0025】上記金属酸化物微粒子としては、酸化アル
ミニウム、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、酸化ス
ズ、酸化アンチモンが挙げられ、これらは単独で用いて
もよいし、複数を組合わせて用いてもよい。微粒子の平
均粒子径は、1〜300mμが好ましく、この中でも5
〜200mμが特に好ましい。平均粒子径が1mμ未満
のものは作製が困難であり、コストが高くて実用的でな
い。また、300mμを越えるものではプライマー層が
白濁する。これらの金属酸化物微粒子の屈折率は、Zr
O2 2.0、SnO2 2.0、TiO2 2.1、S
b2O5 1.7、Al2O3 1.66であり、これらを
プライマー層中に等重量含有させた場合のプライマー層
の屈折率の上昇は上記金属酸化物微粒子の屈折率の大き
いものほど大きくなる。
【0026】また有機金属化合物としては、テトラ−n
−ブトキシチタン、テトラステアリルオキシチタン、ジ
−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタ
ン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコラー
ト、トリ−i−プロポキシアルミニウム、テトラ−n−
ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシアンチモ
ン、テトラ−n−ブトキシズズ等のアルコラート;チタ
ニウムステアレート、トリ−n−ブトキシチタンモノス
テアレート等のアシレート;プロパンジオキシチタンビ
ス(エチルアセトアセテート)、プロパンジオキシチタ
ン(アセチルアセトナト)(エチルアセトアセテート)
などのキレート;テトラ−n−ブトキシチタンの2量
体、および4量体などのオリゴマー;トリ−n−ブトキ
シチタンモノステアレートの重合体等のポリマー等が挙
げられ、これらは単独で用いてもよく、複数を組み合わ
せて用いてもよい。
【0027】この金属化合物の含有量は、1〜80重量
%が好ましく、特に好ましくは5〜70重量%、更に好
ましくは20〜60重量%である。1%未満ではプライ
マー層の屈折率の向上にほとんど効果がなく、プライマ
ー層の屈折率は1.45未満にとどまる。また逆に80
%を越えるとプライマー層が白濁する。
【0028】この金属化合物の種類および含有量は、プ
ライマー層の屈折率が1.45〜1.60の範囲内とな
り、かつ条件1の式を満足するように選択される。
【0029】本発明においては、プライマー層として、
上記に挙げたポリオールとポリイソシアネートから得ら
れたポリウレタンと、上記に挙げた金属化合物とからな
り、その屈折率nP(550nmの波長の光に対する)
が1.45〜1.60の範囲にあり、しかも上記式3の
計算式に基づいて算出される屈折率nPのものを選択
し、塗布する。
【0030】nPは次式
【0031】
【数4】
【0032】を満足することがより好ましい。
【0033】またプライマー層の厚みdが、下記の条件
2の式 d=λ/(4nP) (ここにおいてλは可視光の波長であって、450〜6
50nmの範囲のいずれかの値)を満足するように厚み
dを制御する。
【0034】上記条件1および条件2の式の両者を満足
させることにより、プラスチックレンズ基材とプライマ
ー層との界面で反射される光と、プライマー層とハード
コート層との間の界面で反射される光との干渉によって
生じる干渉縞がほとんど見えなくなる。
【0035】プライマー層の形成は、予めポリオールと
ポリイソシアネートを反応させて熱可塑性ポリウレタン
を合成し、そのポリウレタンと金属化合物を溶媒(金属
酸化物微粒子にとっては分散媒)と混合して得た塗料を
レンズ基材に塗布し、その後溶媒(分散媒)を揮発させ
る方法でもよく、またポリオール、ポリイソシアネー
ト、金属化合物、溶媒(分散媒)と必要に応じて用いら
れる硬化触媒からなる塗料をレンズ基材に塗布し、その
後溶媒(分散媒)を揮発させながらポリオールとポリイ
ソシアネートを反応させて熱硬化性ポリウレタンを得る
方法でもよい。しかし、プライマー層の上にハードコー
ト層を設けることを考慮すると溶媒に不溶の架橋タイプ
のポリウレタンを形成させることのできる後者の方法が
より好ましい.本発明では、前記のポリウレタンプライ
マー層上にハードコート層を設ける。ハードコート層の
形成に用いるハードコート剤はシリコン系樹脂が好まし
く、特に好ましくは(1)−a コロイダルシリカ、コ
ロイダルアンチモン酸化物のような50〜200オング
ストロームの平均粒子直径を有する無機酸化物粒子、ま
たは(1)−b 官能基を有しないシラン化合物と、
(2) エポキシ基、メタクリル基のような官能基を有
するシラン化合物、との共加水分解物を主成分とする組
成物である。(1)と(2)の合計に対して(1)は5
〜50%含有されることが好ましい。前記官能基を有す
るシラン化合物の例としては、γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メ
チル−ジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0036】ハードコート層としてのシリコン系樹脂
は、メラミン系、アクリル系の樹脂よりも硬いハードコ
ート層を与えるという理由で好適に用いられる。硬さを
あまり重視しないのであればハードコート層として、メ
ラミン系、アクリル系樹脂も用いられる。また、ハード
コート剤の塗布法はディッピング法、スプレー法、スピ
ンコート法等一般に実施されている方法であればどのよ
うな方法でもよい。作業性を考慮すればディッピング法
が最も適している。ハードコート剤を塗布した後、加熱
硬化、紫外線硬化、エレクトロンビーム硬化というよう
なそのハードコート剤の硬化手段に応じた方法で硬化処
理がなされる。かくしてプラスチックレンズ表面のポリ
ウレタンプライマー層上にハードコート層が形成され
る。このハードコート層(硬化後)の好ましい厚みは2
〜5μmであり、通常は1.40〜1.50の屈折率を
有する。
【0037】さらに、本発明では、ハードコート層上に
さらに単層または多層の反射防止膜を設ける。反射防止
膜形成に用いる物質としては、無機物質例えば金属、金
属または半金属の酸化物、フッ化物等が挙げられる。具
体的にはSiO2、ZrO2等の金属酸化物、MgF2
のフッ化物が好適な代表的な例である。単層または多層
の反射防止膜を形成させる方法としては、例えば、真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、
イオンビームアシスト法等が挙げられる。
【0038】多層の反射防止膜の例としては、ハードコ
ート層の側から、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO2
の膜を順にそれぞれλo/12、λo/12、λo/
2、λo/4の光学的膜厚みで形成させたものを挙げる
ことができる。ここでλoは光の波長520nmであ
る。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチックレンズと
ハードコート層の間に屈折率を制御されたプライマー層
が設けられているので、干渉縞が見えない。
【0040】また、プライマー層は金属化合物によって
屈折率を制御された熱可塑性または熱硬化性ポリウレタ
ンであるので、反射防止コート後の耐衝撃性が優れ、耐
候黄変性が良好である。
【0041】さらに、プライマー層として熱硬化性ポリ
ウレタンを有するものを使用する場合には、更に耐衝撃
性に優れ、米国のFDA規格を合格する。また、本発明
で熱硬化性ポリウレタンのプライマー層を設けたレンズ
をハードコート液に浸しても、プライマー成分であるポ
リウレタンが架橋構造を有しているためにハードコート
液中に溶出せず、ハードコート液を汚染する心配がな
い。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
がこれらによって限定されることはない。なお、複数の
膜を有するプラスチックレンズの性能評価は次の方法で
行った。 1)膜の付着性 膜の付着性を評価するためにクロスカットテープテスト
を次の方法で実施した。すなわち、膜を有するレンズの
表面をカッターで1mm角のゴバン目(100個)に切
傷をつけ、その上にセロハンテープを貼り付けた後、こ
のセロハンテープを勢いよく引き剥し、レンズから剥ぎ
取られずに残っている膜のゴバン目の数mを数えた。そ
して、結果を「m/100」のように表した。「100
/100」はクロスカットテープテストの結果、膜が全
く剥がれなかったことを示している。 2)耐摩耗性 プライマー層、ハードコート層を有するプラスチック基
材を#0000のスチールウールで摩擦して傷のつきに
くさを調べ、次のように判定した。
【0043】A:強く摩擦しても傷がつかない B:強く摩擦すると少し傷がつく C:弱い摩擦でも傷がつく 3)染色性 一般的な分散染料であるプラックスブラウンD((株)
服部セイコー製)2部、プラックス染色助剤3部を水1
000部に添加した染浴中で90℃、10分間の条件で
浸せき処理にて染色し、可視光線透過率をTOPCON
Sunglass Tester(東京光学機械製)
で測定し、この値が80%以下のものを染色性良好と判
定した。 4)反射防止コートの付着性 プライマー層、ハードコート層を有するプラスチック基
材上にSiO2/ZrO2系の4層反射防止膜を真空蒸着
法により形成させた後反射防止膜の上から#0000の
スチールウールで摩擦し、反射色の変化を調べて次のよ
うに判定した。
【0044】A:強く摩擦しても反射色が変化しない B:強く摩擦すると傷がつき、傷の部分が白くなるが、
傷以外の部分の反射色は変化しない C:弱い摩擦でも膜が削り取られ、摩擦した部分が完全
に白くなる 5)耐衝撃性 鋼球落下試験により評価した。表1に示した鋼球を軽い
ものから順に127cmの高さからレンズの中心部に向
かって自然落下させ、割れる1つ前の鋼球の重さをレン
ズの耐衝撃性とした。なお、本試験に用いたレンズの中
心厚は表2に示す。
【表1】 表1 鋼球重量対比表 −−−−−−−−−−−−−−−−−− No 直径(mm) 重量(g) −−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 6.35 1.04 2 7.96 2.04 3 8.73 2.72 4 9.53 3.53 5 10.00 4.08 6 10.32 4.48 7 11.11 5.59 8 11.96 6.88 9 12.30 7.60 10 12.70 8.36 11 13.49 10.02 12 14.29 11.90 13 15.08 13.99 14 15.88 16.32 15 16.66 18.89 16 17.46 21.72 17 18.26 24.52 18 19.05 28.20 19 19.84 31.87 20 20.64 35.85 21 21.43 40.15 22 22.23 44.78 23 23.02 49.75 24 23.81 55.07 25 24.00 56.88 26 25.00 63.73 27 25.40 66.84 28 26.99 80.17 29 28.58 95.17 30 30.16 111.9 31 31.75 130.5 32 33.34 151.1 33 34.93 173.8 34 36.51 198.5 35 38.10 225.6 36 41.28 286.8 37 44.45 858.2 38 17.63 440.6 39 50.80 534.7 −−−−−−−−−−−−−−−− 6)外観 暗室においてレンズに蛍光灯の光を当てて目視で透明度
を観察した。 7)干渉縞 暗室においてレンズに波長が550nmの単色光を当
て、反射による干渉縞の程度を目視で評価した。
【0045】評価は下記の基準で行った。
【0046】A:干渉縞がほとんど見えない B:干渉縞が少し目立つ C:干渉縞がはっきり目立つ 8)耐候黄変性 紫外線ロングライフフェードメーター(スガ試験機
(株)製)を用いて240時間の耐候性試験を行い、そ
の後の黄色度を測定した。
【0047】なお、外観、耐摩耗性、反射防止コート付
着性、耐衝撃性テストはプライマー層、ハードコート
層、反射防止コート層をすべて施したもので行い、膜の
付着性、染色性テスト、干渉縞、耐候黄変性テストは反
射防止コート層を施す前、すなわちプライマー層とハー
ドコート層のみを施した場合の性能テストである。
【0048】実施例1 (1)プラスチックレンズ基材の製造 2−クロロフェニルマレイミド 20重量部、2,2−
ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエ
トキシフェニル)プロパン 20重量部、トリブロモフ
ェニルメタクリレート 30重量部、ジアリルイソフタ
レート 25重量部、n=4のポリエチレングリコール
ジメタクリレート 5重量部、紫外線吸収剤として2−
(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジターシャリーブチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール 1重量
部と、ラジカル重合開始剤として、t−ブチルパーオキ
シ(2−エチルヘキサノエート) 2重量部から成る混
合液を、ガラスモールドとエチレン−酢ビ共重合体製ガ
スケットにより組み立てられた鋳型中に流し込み20時
間かけて40℃から120℃まで加熱した。レンズをガ
ラスモールドから取りだし120℃で1時間ポストキュ
アーした。得られたレンズは屈折率nsが1.595の
内部歪みのない光学用のプラスチックレンズとして良好
なものであった。以下において、これをプラスチックレ
ンズ基材として用いた。
【0049】(2)プライマー組成物の調製および塗布
硬化 市販のポリエステルタイプのポリオール「デスモフェン
1700」(住友バイエルウレタン(株)製)2.40
重量部、市販のブロック型ポリイソシアネート「デスモ
ジュールLS−2759」(ヘキサメチレンジイソシア
ネートの環状三量体のイソシアネート基をβ−ジケトン
でブロックしたもの、住友バイエルウレタン(株)製)
0.80重量部、市販の五酸化アンチモンゾル「サンコ
ロイドAME−130」(日産化学工業(株)製)3.
00重量部、レベリング剤として市販のフッ素系レベリ
ング剤「フロラードFC−430」(住友スリーエム
(株)製)0.01重量部、溶媒としてプロピレングリ
コールモノメチルエーテル46.90重量部、トルエン
46.89重量部からなる混合物を均一な状態になるま
で十分に攪拌し、これをプライマー組成物とした。
【0050】このプライマー組成物を、前処理としてア
ルカリ処理を行った(1)で得られたプラスチックレン
ズ基材上に浸せき法(引き上げ速度:10cm/分)に
て塗布し、このレンズを室温で15分間風乾させた後9
0℃で30分間加熱処理してプライマーを硬化させ、レ
ンズ上に、厚みが0.090μm屈折率nPが1.53
2のプライマー層を形成させた。
【0051】(3)シリコン系ハードコート剤の塗布硬
化 市販の可染タイプのシリコン系ハードコート剤「C−3
39」(日本エーアールシー(株)製)を(2)で得ら
れたプライマー層を有するプラスチックレンズ基材のプ
ライマー層上に浸せき法(引き上げ速度:40cm/
分)で塗布した。塗布したレンズを室温にて15分間風
乾させた後、120℃で60分間加熱処理して、最も薄
い部分の厚みが2μm、最も厚い部分の厚みが4μm、
屈折率nHが1.470のハードコート層を形成させ
た。
【0052】なお、プラスチックレンズ基材の屈折率n
s=1.595と、ハードコート層の屈折率nH=1.4
70から条件1の式の左辺および右辺の値を計算する
と、それぞれ1.562および1.500となり、プラ
イマー層の屈折率nP=1.532は条件1の式を満足
している。また、プライマー層の屈折率nP=1.53
2および可視光の波長λ=552nmから条件2の式の
右辺の値を計算すると0.090μmとなり、この値は
プライマー層の厚みd=0.090μmと一致した。 (4)反射防止膜の形成 上記(3)で得られたプライマー層、シリコン系ハード
コート層を有するプラスチックレンズ基材上にSiO2
/ZrO2系の4層反射防止膜を真空蒸着法により形成
させた。すなわちハードコート層の側から、ZrO2
SiO2、ZrO2、SiO2の膜を順にそれぞれλo/
12、λo/12、λo/2、λo/4の光学的膜厚み
で形成させたものである。ここでλoは光の波長520
nmである。このように作製した複合膜を有するプラス
チックレンズの試験結果は表2に示す。
【表2】 表 2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 膜の 耐 染 I反 耐 外 干 耐 付着性 摩 色 ト射 衝 渉 候 耗 性 の防 撃 観 縞 黄 性 付止 性 変 着コ (g) 性 性 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例1 100/100 A 良好 A 31.87 良好 A 2.2 実施例2 同上 A 良好 A 28.20 良好 A 1.9 実施例3 〃 A 良好 A 35.85 良好 A 2.0 実施例4 〃 A 良好 A 28.20 良好 A 2.2 実施例5 〃 A 良好 A 31.87 良好 A 1.9 実施例6 〃 A 良好 A 31.87 良好 A 2.1 実施例7 〃 A 良好 A 28.20 良好 A 1.9 実施例8 〃 A 良好 A 111.9 良好 A 2.0 比較例1 〃 A 不良 A 4.48 良好 C 2.0 比較例2 〃 A 不良 A 4.08 良好 A 2.1 比較例3 〃 A 良好 A 28.20 良好 A 5.2 実施例2 市販のアクリルポリオール「デスモフェンA−450」
(住友バイエルウレタン(株)製)4.49重量部、市
販のブロック型ポリイソシアネート「デスモジュールB
L−3175」(ヘキサメチレンジイソシアネートの環
状三量体をオキシムでブロックしたもの、住友バイエル
ウレタン(株)製)1.01重量部、市販の五酸化アン
チモンゾル「サンコロイドAME−130」(日産化学
工業(株)製)3.00重量部、硬化触媒としてジブチ
ルスズジラウレート0.01重量部、レベリング剤とし
て市販のフッ素系レベリング剤「フロラードFC−43
0」(住友スリーエム(株)製)0.01重量部、溶媒
としてプロピレングリコールモノメチルエーテル45.
74重量部、トルエン45.74重量部からなる混合物
を均一な状態になるまで十分に攪拌し、これをプライマ
ー組成物とした。
【0053】このプライマー組成物を用い、プライマー
を120℃で45分間加熱硬化させたこと以外はすべて
実施例1と同様とした。プライマー層の厚みおよび屈折
率はそれぞれ0.090μmおよび1.525であり、
条件1および条件2の式(λ=549nm)を満足し
た。試験結果は表2に示す。
【0054】実施例3 市販のアクリルポリオール「デスモフェンA−450」
(住友バイエルウレタン(株)製)4.49重量部、市
販のブロック型ポリイソシアネート「デスモジュールB
L−3175」(ヘキサメチレンジイソシアネートの環
状三量体をオキシムでブロックしたもの、住友バイエル
ウレタン(株)製)1.01重量部、市販の酸化スズゾ
ル(日産化学工業(株)製)4.00重量部、硬化触媒
としてジブチルスズジラウレート0.01重量部、レベ
リング剤として市販のフッ素系レベリング剤「フロラー
ドFC−430」(住友スリーエム(株)製)0.01
重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル45.24重量部、トルエン45.24重量部か
らなる混合物を均一な状態になるまで十分に攪拌し、こ
れをプライマー組成物とした。
【0055】このプライマー組成物を用い、プライマー
を120℃で45分間加熱硬化させたこと以外はすべて
実施例1と同様とした。
【0056】プライマー層の厚みおよび屈折率はそれぞ
れ0.090μmおよび1.520であり、条件1およ
び条件2の式(λ=547nm)を満足した。試験結果
は表2に示す。
【0057】実施例4 スチレン50部、2,2−ビス(3,5−ジブロム,4
−メタクリロイルオキシエトキシフエニル)プロパン4
8.5部、ジエチレングリコールビスアリルカーボネー
ト2.8部、t−ブチルパーオキシネオデカネート1.
5部、2−(2′−ヒドロオキシ−3′−メチルフエニ
ル)ベンゾトリアゾール0.2部を混合攪拌する。次に
この混合液の不溶物をフイルターで除去し、ロ液を軟質
ポリ塩化ビニルで成形されたガスケットと二枚のガラス
モールドで作られる空間内に注入した。次に30℃で4
時間、30℃から50℃まで直線的に10時間、50℃
から70℃まで直線的に2時間、70℃で1時間、80
℃で2時間加熱を行った後ガスケットと、ガラスモール
ドを分離した。更に得られたレンズを110℃で2時間
アニーリングを行いレンズ内部の歪をとった。このよう
にして得られたレンズは、屈折率が1.595の光学用
のプラスチックレンズとして良好なものであった。この
レンズのガラス転移温度を測定したところ、108℃で
あった。
【0058】これをプラスチックレンズ基材として用
い、ハードコートを90℃で6時間加熱処理して硬化さ
せたこと以外はすべて実施例1と同様とした。試験結果
は表2に示す。
【0059】実施例5 市販のポリエステルタイプのポリオール「デスモフェン
1700」(住友バイエルウレタン(株)製)2.40
重量部、市販のブロック型ポイリイソシアネート「デス
モジュールLS−2759」(ヘキサメチレンジイソシ
アネートの環状三量体のイソシアネート基をβ−ジケト
ンでブロックしたもの、住友バイエルウレタン(株)
製)0.80重量部、テトラ−n−ブトキシチタンの4
量体0.90重量部、レベリング剤として市販のフッ素
系レベリング剤「フロラードFC−430」(住友スリ
ーエム(株)製)0.01重量部、溶媒としてプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル47.95重量部およ
びトルエン47.94重量部からなる混合物を均一な状
態になるまで十分に攪拌し、これをプライマー組成物と
した。このプライマーを用いたこと以外はすべて実施例
1と同様の条件で処理した。
【0060】プライマー層の厚みおよび屈折率はそれぞ
れ0.089μmおよび1.530であり、条件1およ
び条件2の式(λ=545nm)を満足した。試験結果
は表2に示す。
【0061】実施例6 市販のポリエステルタイプのポリオール「デスモフェン
1700」(住友バイエルウレタン(株)製)2.40
重量部、市販のブロック型ポイリイソシアネート「デス
モジュールLS−2759」(ヘキサメチレンジイソシ
アネートの環状三量体のイソシアネート基をβ−ジケト
ンでブロックしたもの、住友バイエルウレタン(株)
製)0.80重量部、テトラ−n−ブトキシジルコニウ
ム 1.20重量部、レベリング剤として市販のフッ素
系レベリング剤「フロラードFC−430」(住友スリ
ーエム(株)製)0.01重量部、溶媒としてプロピレ
ングリコールモノメチルエーテル 47.80重量部お
よびトルエン 47.79重量部からなる混合物を均一
な状態になるまで十分に攪拌し、これをプライマー組成
物とした。このプライマーを用いたこと以外はすべて実
施例1と同様に処理した。
【0062】プライマー層の厚みおよび屈折率はそれぞ
れ0.089μmおよび1.535であり、条件1およ
び条件2の式(λ=546nm)を満足した。試験結果
は表2に示す。
【0063】実施例7 市販のポリエステルタイプのポリオール「デスモフェン
1700」(住友バイエルウレタン(株)製)2.40
重量部、市販のブロック型ポイリイソシアネート「デス
モジュールLS−2759」(ヘキサメチレンジイソシ
アネートの環状三量体のイソシアネート基をβ−ジケト
ンでブロックしたもの、住友バイエルウレタン(株)
製)0.80重量部、トリ−n−ブトキシチタンモノス
テアレート0.90重量部、レベリング剤として市販の
フッ素系レベリング剤「フロラードFC−430」(住
友スリーエム(株)製)0.01重量部、溶媒としてプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル 47.95重
量部およびトルエン 47.94重量部からなる混合物
を均一な状態になるまで十分に攪拌し、これをプライマ
ー組成物とした。このプライマーを用いたこと以外はす
べて実施例1と同様とした。
【0064】プライマー層の厚みおよび屈折率はそれぞ
れ0.091μmおよび1.533であり、条件1およ
び条件2の式(λ=558nm)を満足した。試験結果
は表2に示す。
【0065】実施例8 m−キシリレンジイソシアネート9.4gr(0.05
0モル)と、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカ
プトプロピオネート)12.2gr(0.025モル)
を室温で混合して均一とした後、シリコン系焼付タイプ
の離型剤で処理したガラスモールドとテフロン製ガスケ
ットよりなるモールド型中に注入した。次いで45℃で
3時間、60℃で2時間、80℃で24時間と連続して
加熱を行い硬化させた。こうして得られたレンズは屈折
率1.59、アッベ数36、比重1.34であり、内部
歪のない光学用のプラスチックレンズとして良好なもの
であった。
【0066】これをプラスチックレンズ基材として用
い、ハードコートを90℃で6時間加熱処理して硬化さ
せたこと以外はすべて実施例5と同様に処理した。試験
結果は表2に示す。 比較例1 プライマー層を一切設けないこと以外はすべて実施例1
と同様にして複合膜を有するプラスチックレンズを作製
した。試験結果は表2に示す。
【0067】比較例2 ビーカーに、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン6.8重量部、メチルイソブチルケトン84.0重
量部を加え攪拌し、続いてイソプロピルアルコール48
重量部、アセチルアセトン6重量部を加え均一な溶液と
した。次にテトラ−n−ブトキシチタンの4量体15.
5重量部を加え、30分攪拌した後、0.05N塩酸水
0.5重量部を加え加水分解を行った。24時間熟成
後、少量の過塩素酸アンモニウムと界面活性剤を加えプ
ライマー用組成物とした。
【0068】このプライマー組成物を用い、プライマー
の硬化温度を100℃とした以外はすべて実施例1と同
様とした。得られたプライマー層の膜厚は0.081μ
m、屈折率は1.545であった。試験結果は表2に示
す。
【0069】比較例3 市販の芳香族環を含有するポリエステルタイプのポリオ
ール「デスモフェン670−80B」(住友バイエルウ
レタン(株)製)6.60重量部、市販のブロック型ポ
リイソシアネート「デスモジュールLS−2759」
(ヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体のイソ
シアネート基をβ−ジケトンでブロックしたもの、住友
バイエルウレタン(株)製)6.30重量部、レベリン
グ剤として市販のフッ素系レベリング剤「フロラードF
C−430」(住友スリーエム(株)製)0.05重量
部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル87.05重量部からなる混合物を均一な状態になる
まで十分に攪拌し、これをプライマー組成物とした。
【0070】このプライマー組成物を用いたこと以外は
すべて実施例1と同様とした。得られたプライマー層の
屈折率は1.533であった。試験結果は表2に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 聡 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内 (72)発明者 栢木 久往 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内 (72)発明者 平山 直人 大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本 板硝子株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率nsが1.50から1.70の範
    囲にあるプラスチックレンズ基材の表面上に、下記の2
    つの条件をともに満足するプライマー層と、ハードコー
    ト層と、無機物質の蒸着による単層または多層の反射防
    止層をこの順に積層してなるプラスチックレンズにおい
    て、前記プライマー層は、Al、Ti、Zr、Sn、S
    bから選ばれるすくなくとも1種の金属の化合物とポリ
    ウレタンとからなり、屈折率nPが1.45〜1.60
    の範囲にある層であることを特徴とするプラスチックレ
    ンズ。 条件1 プライマー層の屈折率nPが、 【数1】 (nsはプラスチックレンズ基材の屈折率、nHはハード
    コート層の屈折率)で表わされる式を満足すること。 条件2 プライマー層の膜厚dが、 d=λ/4nP (λは可視光の波長で450〜650nmの範囲のいず
    れかの値)で表わされる式を満足すること。
  2. 【請求項2】 前記ポリウレタンは、熱硬化性ポリウレ
    タンである請求項1記載のプラスチックレンズ。
  3. 【請求項3】 前記熱硬化性ポリウレタンは、ブロック
    型ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られ
    るものである請求項2記載のプラスチックレンズ。
  4. 【請求項4】 前記ブロック型ポリイソシアネートは、
    ヘキサメチレンジイソシアネートの環状三量体をβ−ジ
    ケトンによってブロックしたものである請求項3記載の
    プラスチックレンズ。
  5. 【請求項5】 前記ポリオールは、ポリエステルポリオ
    ールおよび/またはアクリルポリオールである請求項1
    記載のプラスチックレンズ。
  6. 【請求項6】 前記プラスチックレンズ基材はガラス転
    移温度が110℃以下のレンズである請求項1記載のプ
    ラスチックレンズ。
  7. 【請求項7】 前記プラスチックレンズ基材は、N−置
    換フェニルマレイミド誘導体を含有するモノマー混合物
    をラジカル重合させて得られる重合体よりなる請求項1
    記載のプラスチックレンズ。
  8. 【請求項8】 前記ハードコート層はシリコン系樹脂よ
    りなるものである請求項1記載のプラスチックレンズ。
  9. 【請求項9】 前記金属化合物は金属酸化物の微粒子お
    よび/または有機金属化合物である請求項1記載のプラ
    スチックレンズ。
  10. 【請求項10】 前記有機金属化合物は、アルコラー
    ト、アシレート、キレートおよびこれらを分解縮重合し
    て得られるオリゴマーまたはポリマーから選ばれる少な
    くとも一種である請求項9記載のプラスチックレンズ。
  11. 【請求項11】 前記金属化合物が前記プライマー層中
    に1〜80重量%含有されている請求項1記載のプラス
    チックレンズ。
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