JPH0513824B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、両面段ボールを製造する方法及び
装置に関する。

〔従来の技術〕

両面段ボールを製造する場合、一般に片面段ボ
ールを製造するシングルフエーサとそのシングル
フエーサから送り出される片面段ボールに表ライ
ナを貼合せて両面段ボールを製造するダブルフエ
ーサをシートの移動方向に同一平面上に配置し、
上記シングルフエーサの上流側には裏ライナ原紙
を支持する第１のミルロールスタンドを、シング
ルフエーサとダブルフエーサとの間には中しん原
紙を支持する第２のミルロールスタンド及び表ラ
イナ原紙を支持する第３のミルロールスタンドを
配置し、第１及び第２のミルロールスタンドから
送られる原紙からまず片面段ボールを製造し、次
にこれと表ライナ原紙から両面段ボールが順次製
造される。

しかし、上述した一般的な配置構成の両面段ボ
ール製造装置では全体の配置が長くなるため、そ
の主要構成部を立体配置して小型化を図つた両面
段ボール製造装置が特開昭50−70195号公報によ
り提案されている。この両面段ボール製造装置で
は、シングルフエーサを下段に、シングルフエー
サから送り出される片面段ボールを貯溜する通路
を中段に設け、さらに上記片面段ボールに表ライ
ナを貼合せした両面段ボールを中段の片面段ボー
ルの流れる方向と逆方向に供給、搬送するダブル
フエーサを上段に設け、全体として小型化を図つ
ている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、上記いずれの両面段ボール製造装置で
もシングルフエーサで作られた片面段ボールはダ
ブルフエーサに送られるまでの搬送経路途中に片
面段ボールを波状に貯溜しうる通路が設けられて
おり、これは両面段ボール製造装置のシングルフ
エーサ側に万一何らかの原因で一時的にその部分
を減速又は停止させる必要が生じたときでも、貯
溜されている片面段ボールを使用することにより
その減速、停止と無関係にダブルフエーサを通常
運転し、連続して両面段ボールを製造することに
よつて生産の低下を防止するためである。従つ
て、従来の両面段ボール製造装置では、ダブルフ
エーサの主要モータとは別に設けられているシン
グルフエーサの主要モータは通路貯溜部に片面段
ボールの一定余裕長さが残るように運転される。

しかしながら、片面段ボールの余裕長さが残る
ようにすることは、シングルフエーサでせつかく
加熱された片面段ボールが貯溜中に冷えてダブル
フエーサでの表ライナ原紙との貼合せの際に熱不
足を生じたり、あるいはその余裕長さの部分の波
状のたるみのため片面段ボールにしわや反りが生
じて良好な両面段ボールが得られないという難点
がある。

この発明は、上述のような両面段ボールの製造
方法及び装置における技術の現状に鑑みてなされ
たものであり、その目的はシングルフエーサから
送り出される片面段ボールがダブルフエーサに至
る走行経路途中に一般に設定される片面段ボール
の波状たるみの貯溜をなくし、片面段ボールを所
定の張力状態で供給するように駆動される両面段
ボールの製造方法及び装置を提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで、上記問題点を解決するための手段とし
てこの発明では、シングルフエーサ及びダブルフ
エーサの駆動部を基準速度信号で駆動し、シング
ルフエーサからダブルフエーサに至る走行経路上
で片面段ボールの張力を検出して、この検出張力
と片面段ボールの目標張力とを比較し、ダブルフ
エーサ又はシングルフエーサを基準速度で駆動す
る基準速度信号のいずれか一方を前記比較により
生ずる差に比例する補正信号で補正することによ
りその駆動速度を変化させて、片面段ボールの張
力を一定にする方法を採用したのである。

さらにもう１つの手段としてこの発明では、シ
ングルフエーサ及びダブルフエーサの駆動部を基
準速度で駆動するようこれらに基準速度信号を与
える基準速度指令回路と、シングルフエーサから
ダブルフエーサに至る片面段ボールの走行経路上
にその張力検出用に設けた張力検出装置の検出張
力信号と片面段ボールの目標張力に相当する目標
張力信号とを比較器で比較し、その差に比例する
補正信号でダブルフエーサ又はシングルフエーサ
の駆動部への基準速度信号のいずれか一方を補正
する補正回路とから成る張力補正制御回路を備
え、片面段ボールの張力を一定にするようにした
構成を採用したのである。

〔作用〕

以上のように構成した本発明によると、シング
ルフエーサ及びダブルフエーサは基本的には基準
速度信号により基準回転速度で回転する。片面段
ボールはその走行経路途中に波状のたるみを生じ
ないようにするためダブルフエーサの駆動部によ
り常に引張り状態となるように走行する。この張
力は、例えば前記走行経路途中に設けた張力検出
装置により検出される。

一方、片面段ボールに加え得る張力として最適
な目標張力を予め設定しておき、この目標張力を
表わす信号を前記実際の張力信号と比較する。こ
の場合、予め設定された目標張力信号は実際の張
力信号と共に補正回路に送り、この補正回路に設
けた比較器で比較すればよい。また、目標張力信
号はその段ボール製造装置で製造し得る最大紙幅
に対して小幅の段ボールシートを製造するときは
最大紙幅に対する紙幅比に応じて減少させるよう
にしてもよい。

上記比較の結果、目標張力信号に対して実際の
張力信号が大き過ぎると片面段ボールが切断され
ることがあり、また小さ過ぎるとたるみができた
りする。そこで、その差信号に比例した補正信号
を補正回路から出力し、シングルフエーサ又はダ
ブルフエーサのいずれか基準となる駆動部を有す
る以外の駆動部への基準速度信号を増減する補正
をする。この場合、例えばダブルフエーサを基準
側とし、シングルフエーサの駆動部への基準速度
信号を補正する場合は、検出張力が目標張力より
過大となるとシングルフエーサを増速し、小さく
なり過ぎると減速する。反対に、シングルフエー
サを基準側とするときは、張力と速度が反対の関
係になるようにダブルフエーサを増、減速する。

このようにシングルフエーサ又はダブルフエー
サを増速、あるいは減速して張力を常に所定範囲
内となるように制御することによつて、シングル
フエーサからダブルフエーサへ至る経路上で、従
来設けるのが当然と考えられていた片面段ボール
の余裕長さによる波状のたるみは省略され、常に
所定張力状態で片面段ボールは走行し、このため
良好な片面段ボールが供給される。

〔実施例〕

以下この発明による両面段ボール製造方法を実
施する装置の実施例について添付図を参照して説
明する。

第１図に示すように、床面上には左端から順に
裏ライナ原紙を支持する第１のミルロールスタン
ド１、シングルフエーサ２、中しん原紙を支持す
る第２のミルロールスタンド３、及び表ライナ原
紙を支持する第３のミルロールスタンド４が配置
されている。

第２のミルロールスタンド３からシングルフエ
ーサ２に送り込まれる中しんｂは上下に配置した
一対の段ロール５，５′間で段繰りされ、下段ロ
ール５′とその下方のグルーユニツト６との間で
段頂に糊付される。一方、第１のミルロールスタ
ンド１からシングルフエーサ２に送り込まれる裏
ライナａは、下段ロール５′とプレスロール７の
間で、前記段繰りされた中しんｂに接着され、そ
の接着により片面段ボールＡが形成される。片面
段ボールＡは、バーチカルコンベヤ８によりシン
グルフエーサ２の上方のブリツジ９上に搬送され
る。

ブリツジ９は第１のミルロールスタンド１から
第３のミルロールスタンド４に亘る長さを備え、
このブリツジ上に送り込まれた片面段ボールＡは
ブリツジ９の左端に向けて通路９ａ上を移送され
る。この通路９ａは第１のミルロールスタンド１
の上方に位置し、従来の両面段ボール製造装置で
はこの通路９ａ上で片面段ボールＡの余裕長さを
波状にたるませて貯溜するようにしていたが、本
発明のこの実施例では前記たるみを生じないよう
に所定の張力で引張られながら通過する。ブリツ
ジ９の左端に達した片面段ボールＡは上方に引き
上げられて案内ロール１０からブリツジ９の上方
のダブルフエーサ１２に送り込まれる。ダブルフ
エーサ１２に入る前の移送路にはグルーユニツト
１１が配置され、段頂を下向きに送られる中しん
ｂの段頂に糊が付着される。

第３のミルロールスタンド４からブリツジ９上
に導き出される表ライナｃは、複数のローラによ
り案内されてブリツジ９の左端付近へ送られ、そ
こで上方に反転してダブルフエーサ１２の入口に
移送される。このダブルフエーサ１２は、従来と
同様に上側にベルト１３を備え、そのベルト下方
の前半部に多数の加熱ヒータ１４と後半部に搬送
用の挟持ベルト１５が設けてある。

片面段ボールＡと表ライナｃはダブルフエーサ
１２に送り込まれると、加熱ヒータ１４により加
熱されて互いに接着され、両面段ボールＢが形成
される。この両面段ボールＢは、ベルト１３と挟
持ベルト１５で挟持されて通路９ａの片面段ボー
ルの走行方向とは逆方向に走行し、ダブルフエー
サ１２から搬出される。

両面段ボールＢの搬送路にはスリツタスコアラ
１６、ロータリカツタ１７が配置され、スリツタ
スコアラ１６により両面段ボールＢは移動方向に
切断されると同時に罫線が入れられ、ロータリカ
ツタ１７により幅方向に切断されて所望長さのシ
ートＳが形成される。シートＳは昇降可能に設け
たテーブル１８上に順次積み重ねられ、所要枚数
積み重ねられるとテーブル１８から排出される。

上記のように構成した両面段ボール製造装置の
シングルフエーサとダブルフエーサは第２図のブ
ロツク図で示す張力補正制御回路により駆動制御
され、この張力補正制御回路はシングルフエーサ
２とダブルフエーサ１２をそれぞれ所定の基準速
度で駆動する基準速度指令回路２０と、この指令
回路に対して補正信号を送る補正回路３０から成
る。

基準速度指令回路２０は、速度設定器２１を含
み、図示省略しているがシングルフエーサ２のモ
ータ２′、ダブルフエーサ１２のモータ１２′を駆
動するための駆動回路に対して速度設定器２１か
らの基準速度指令信号を与えてそれぞれを所定の
基準速度で駆動するように構成されている。速度
設定器２１はシングルフエーサ２とダブルフエー
サ１２に対して併用しているが、それぞれに対し
て独立のものを２つ設けてもよい。

補正回路３０は、片面段ボールＡの張力を検出
するためにその走行経路上に設けられた張力検出
装置３１、片面段ボールＡの紙幅に応じて最適の
基準張力信号を設定する張力設定器３２、段ボー
ル製造装置へ搬入される種々の原紙から両面段ボ
ールシートが生産される生産工程をコンピユータ
制御するために送り出される種々の信号のうちラ
イナー原紙、中しん原紙の紙幅データを供給する
生産管理装置３３、前記張力設定器３２からの信
号をインターフエース３２′から受け、これを生
産管理装置３３からの紙幅比信号と乗算する乗算
器３４及び前記張力検出装置３１の信号をインタ
ーフエース３１′を介して送られるとこれを乗算
器３４からの目標張力信号と比較し、その差信号
の大きさに応じた出力信号を補正信号として、基
準速度指令回路２０に設けられた加算器３６に出
力する比較器３５から成る補正信号発生回路３
０′を備えている。

張力検出装置３１は、例えばロードセルとその
検出信号を増幅表示するテンシヨンメータの組合
せを使用してもよい。ロードセルは第１図に示す
ように、シングルフエーサ２からダブルフエーサ
１２へ至る経路の途中の適宜位置に設ける。

張力設定器３２は、例えば可変抵抗器を用い、
そのつまみを設定する位置に比例する電圧を発生
させる。

以上のように構成した補正制御回路では、通常
運転中ダブルフエーサ１２の速度設定器２１の信
号はダブルフエーサ１２自身のモータ１２′へ送
られると同時にシングルフエーサ２のモータ２′
へも送られ、この信号を基準速度信号としてモー
タ２′が回転を制御されている。しかし、片面段
ボールＡがモータ２′の回転速度に正確に追従し
た速度で走行しているとは限らない。従つて、片
面段ボールＡの張力が過度に大きくなつたりある
いは小さくなつたりして、生産された両面段ボー
ルＢの品質や両面段ボール製造装置の正常な運転
に支障を来たす恐れがある。そこで、シングルフ
エーサからダブルフエーサへの経路途中に設けた
張力検出装置３１によつてその張力が検出され、
この張力信号が補正信号発生回路３０′へ送られ
る。

一方、張力設定器３２では例えば０〜100Kgｆ
の張力に対応して０〜10Vの電圧の信号が、紙質
に応じて適宜最大紙幅を基準とする張力に対応す
る信号として設定され、乗算器３４へ送られる。
なお、最も紙質が悪く引張力の弱い段ボールシー
トの材質で決まる最小限の張力、例えば30〜50Kg
ｆ程度に設定しておいてもよい。生産管理装置３
３からは紙幅のデータが送られてくるが、乗算器
３４にこのデータが入力されると例えば最大紙幅
を180cmとして、この紙幅に対する比の数値に換
算され、この比と基準となる前記張力信号とが乗
算される。即ち、 基準張力×紙幅の比＝目標張力 さらに、上記目標張力信号が乗算器３４から比
較器３５に送られ、ここでインターフエース３
１′から送られてくる前記実際の張力信号と比較
される。そして、検出された張力信号が目標張力
信号より大きいときは、その差信号に比例する正
の補正信号を比較器３５は加算器３６へ出力し、
これによつてシングルフエーサ２のモータ２′を
加速して片面段ボールＡの張力が減少するように
作動する。

検出された張力信号が基準張力信号より小さい
ときは、反対にシングルフエーサ２を減速して張
力を適正値まで上昇させる。こうして、シングル
フエーサ２の駆動速度を片面段ボールＡの張力が
常に所定範囲内の一定張力に保持されるように制
御することができる。

上述したこの実施例の両面段ボール製造装置で
は、ダブルフエーサの回転速度を基準として片面
段ボールの張力が所定の目標張力より過大に、又
は過小になるとその補正信号によりシングルフエ
ーサの回転速度を補正するようにしたが、反対に
シングルフエーサの回転速度を基準としてダブル
フエーサの回転速度を補正するようにしてもよ
い。この場合、張力と速度の関係が逆になる。

なお、目標張力に一定の許容範囲を持たせ、実
際の張力がこの範囲内にある場合には、加算器３
６への補正信号を送らないようにしてもよい。

また、この実施例では張力補正制御回路は、第
１図に示す立体配置構造の段ボール製造装置を制
御するものとして説明しているが、これ以外にも
一般的な平面配置のものを制御するようにしても
よいことは明らかであろう。

〔効果〕

以上詳細に説明したように、この発明ではシン
グルフエーサ又はダブルフエーサのいずれか一方
を基準速度で回転させ、もう一方を片面段ボール
走行経路中に設けた張力検出装置の張力信号と目
標張力信号とを比較しその差信号に比例する補正
信号によつてその基準速度を補正して片面段ボー
ルが常に所定張力でダブルフエーサに供給される
ようにしたから、シングルフエーサで製造される
片面段ボールはダブルフエーサに至る走行経路上
にその余裕長さによる波状のたるみを設ける必要
がなくなる。従つて、シングルフエーサで加熱さ
れた片面段ボールは、送られる長さのどの部分も
ほぼ所定の張力で送られ、経路途中で冷えること
がなくなり、波状のたるみを生じないためしわ、
反りが生じる虞れがなく、良好な片面段ボールが
ダブルフエーサに送られるから、得られる両面段
ボールの品質向上に極めて有益である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明による両面段ボール製造装置
の全体外観側面図、第２図は両面段ボール製造装
置制御用の張力補正制御回路の概略ブロツク図で
ある。 １，３，４……ミルロールスタンド、２……シ
ングルフエーサ、２′……モータ、９ａ……通路、
１２……ダブルフエーサ、２０……基準速度指令
回路、３０……補正回路、３０′……補正信号発
生回路、３１……張力検出装置、３２……張力設
定器、３５……比較器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 裏ライナ原紙と中しん原紙の供給を受けてシ
   ングルフエーサで片面段ボールを製造し、この片
   面段ボールと表ライナ原紙の供給を受けてダブル
   フエーサで連続して両面段ボールを製造する方法
   において、シングルフエーサ及びダブルフエーサ
   の駆動部を基準速度信号で駆動し、シングルフエ
   ーサからダブルフエーサに至る走行経路上で片面
   段ボールの張力を検出して、この検出張力と片面
   段ボールの目標張力とを比較し、ダブルフエーサ
   又はシングルフエーサを基準速度で駆動する基準
   速度信号のいずれか一方を前記比較により生ずる
   差に比例する補正信号で補正することによりその
   駆動速度を変化させて、片面段ボールの張力を一
   定にするようにしたことを特徴とする両面段ボー
   ルの製造方法。 ２ 裏ライナ原紙と中しん原紙を供給されて片面
   段ボールを製造するシングルフエーサと、この片
   面段ボールと表ライナ原紙を供給されて両面段ボ
   ールを製造するダブルフエーサとを備えた両面段
   ボールの製造装置において、シングルフエーサ及
   びダブルフエーサの駆動部を基準速度で駆動する
   ようこれらに基準速度信号を与える基準速度指令
   回路と、シングルフエーサからダブルフエーサに
   至る片面段ボールの走行経路上にその張力検出用
   に設けた張力検出装置の検出張力信号と片面段ボ
   ールの目標張力に相当する目標張力信号とを比較
   器で比較し、その差に比例する補正速度信号でダ
   ブルフエーサ又はシングルフエーサの駆動部への
   基準速度信号のいずれか一方を補正する補正回路
   とから成る張力補正制御回路を備え、片面段ボー
   ルの張力を一定にするようにしたことを特徴とす
   る両面段ボールの製造装置。