JPH0513720U - 射出成形機のリングバルブ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リングバルブを確実に開閉制御するとともに
スクリュヘッドおよびリングバルブの摩擦に起因する寿
命短縮および焼き付きを防止する。 【構成】 軸部29にピン32を突設する一方、リングバル
ブ９の内壁面にはピン32係合し、かつ、スクリュ10の可
塑化計量時にはリングバルブ９をスクリュヘッド12の頭
部30に、またスクリュ10の逆回転時にはリングバルブ９
をウェアプレート34に移動当接可能ならしめるねじ溝32
を設け、可塑化計量時にはリングバルブ９と頭部30とを
一体に回転させ、可塑化計量終了後にはスクリュ10を逆
転させることによって溶融樹脂の流路35をリングバルブ
９によって強制的に閉止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、計量済溶融樹脂が射出時にスクリュ後方に逆流することを防止する ために使用する射出成形機のリングバルブに関する。

【０００２】

【従来の技術】

射出成形機のスクリュは加熱筒内に嵌装され、回転することによって溶融樹脂 をスクリュの先端に移送するとともに成形型に溶融樹脂を射出する役目をする。 このスクリュの先端には、射出時において溶融樹脂がスクリュの後方に逆流しな いように逆流防止弁が設けられ、逆流防止弁としてリングバルブを設けた射出成 形機がある。つぎに射出成形機のリングバルブの従来例を図６について以下に説 明する。

【０００３】 図６は射出成形機のスクリュ先端部を示しており、１はスクリュ、２は加熱筒 である。スクリュ１は加熱筒２内に嵌装され、スクリュ１の先端部にはスクリュ ヘッド３が連結されている。スクリュヘッド３の基端寄りにはおよび先端間基端 寄りには軸部４が設けられ、軸部４はスクリュヘッド３の頭部５よりも小径に形 成されている。

【０００４】 この頭部５は軸部４側から先端側にかけて尖頭形状に形成され、頭部５の最大 径は加熱筒２の内径よりもわずかに小径に定められている。頭部５にはさらに軸 部４の外周と段差なく、かつ、連続する複数の溝が形成されている。そして軸部 ４の外周と、それに連通する頭部５に設けた複数の溝とにより溶融樹脂の流路６ が形成されている。この流路６は、軸部４側からスクリュヘッド３の前方側への 溶融樹脂の流れを可能にしている。

【０００５】 ７はリングバルブで、リングバルブ７は軸部４に移動可能に装着されており、 加熱筒２内に嵌装しうる外径寸法を備えている。また図６に実線で示した８は、 ウェアプレートを示している。

【０００６】 このように構成された従来の射出成形機のリングバルブは、スクリュ１の可塑 化計量時における回転に伴って溶融樹脂がリングバルブ７を頭部５側に押圧する 。これによりリングバルブ７は図６の実線で示すように、ウェアプレート８およ びリングバルブ７間を開いて流路６を連通可能に設け、加熱筒２およびスクリュ １間の溶融樹脂が流路６からスクリュ１の前方に押し出される。

【０００７】 計量が完了し、やがて射出が開始されると、停止しているリングバルブ７に対 し、相対的にリングバルブ７を閉鎖する方向に前進するスクリュ１の動きと、ス クリュヘッド３の前進に逆らって逆流しようとする溶融樹脂の圧力（以下、後樹 脂圧力という）とによって、リングバルブ７はウェアプレート８側に押圧される 。このためリングバルブ７は図６の仮想線Ａで示すように流路６を閉止し、ウェ アプレート８およびリングバルブ７間は連通不能になることから、溶融樹脂の逆 流が防止される。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

このように従来のリングバルブ７の閉鎖作動は、どちらかというと成り行き(2 ) 依存していおり、その閉鎖のタイミングは必ずしも一定ではない。その結果、 成形品重量のバラツキなどの不具合を招くと言う問題を招いていた。

【０００９】 また計量時には溶融樹脂圧によって頭部５の大径部位とリングバルブ７とは当 接しており、この状態でスクリュ１が回転されるので、頭部５とリングバルブ７ との摺動面で摩擦が生じるため、頭部５およびリングバルブ７の寿命が短縮され 易いのみでなく、場合によっては焼き付きを招く。

【００１０】 そこで本考案は上述したリングバルブの開閉に係る制御が容易であり、しかも 計量時にスクリュヘッドとリングバルブとを一体に回転しない射出成形機のリン グバルブの提供を目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、軸部に突設されたピンと、該ピンと係合 するとともにリングバルブの内壁面に形成されスクリュの正回転時における可塑 化計量時にはリングバルブをスクリュヘッドの頭部に移動当接可能ならしめスク リュの逆回転時にはリングバルブをウェアプレートに移動当接可能ならしめるね じ溝とを設けた構成を備えている。

【００１２】

【作 用】

本考案は上記のように構成したので、スクリュが可塑化計量のために回転され たとき、リングバルブはスクリュヘッドの頭部に移動当接するが、ピンおよびね じ溝の係合によって、リングバルブと頭部とは一体に回転する。

【００１３】 他方スクリュが逆方向に回転されると、リングバルブはウェアプレートに移動 当接するため、流路が閉止される。

【００１４】

【実施例】

以下に、本考案の一実施例を図面に基いて詳細に説明する。図１および図２に おいて、９は本考案の射出成形機のリングバルブを示している。また図２は、射 出成形機における射出機構の概略を示している。図２中、10で示したスクリュ10 は加熱筒11内に嵌装され、スクリュ10の先端部にはスクリュヘッド12が連結され 、詳細は後述するがリングバルブ９はスクリュヘッド12に装着されている。なお 13は射出機構の制御系を示している。

【００１５】 スクリュ10の基端部にはボールネジ14およびボールスプライン15が設けられ、 ボールスプライン15はボールネジ14よりもスクリュ10の先端部よりに位置してい る。ボールネジ14はベアリング16を介してプーリ17に取り付けられ、ボールスプ ライン15はベアリング16を介してプーリ18に取り付けられている。

【００１６】 19，20はサーボモータで、サーボモータ19は射出用であり、サーボモータ20は スクリュ10の回転用に設けられている。サーボモータ19の回転軸とプーリ17との 間にはベルト21が巻回され、サーボモータ20の回転軸とプーリ18との間にはベル ト22が巻回されている。

【００１７】 サーボモータ19はサーボアンプ23によって制御され、サーボモータ20はサーボ アンプ24によって制御され、さらにサーボアンプ23，24はコントローラ25によっ て制御される。また26，27はエンコーダで、各エンコーダ26，27はそれぞれサー ボモータ19，20の動作に係るデータをそれぞれサーボアンプ23，24およびコント ローラ25にフィードバックする。これによりサーボアンプ23，24およびコントロ ーラ25はサーボモータ19，20によってスクリュ10を制御できる。なお図２におい て28はホッパである。

【００１８】 図１に戻り、リングバルブ９は加熱筒11内に嵌装しうる外径寸法を備え、スク リュヘッド12の軸部29に移動可能に装着されている。軸部29は図３に示すように スクリュヘッド12の基端寄りに位置し、スクリュヘッド12の頭部30よりも小径に 形成されている。スクリュヘッド12の頭部30は軸部29側から先端側にかけて尖頭 形状に形成され、頭部30の最大径は加熱筒11の内径よりもわずかに小径に定めら れている。

【００１９】 頭部30にはさらに軸部29の外周と段差なく、かつ、連続する複数の溝が形成さ れている。そして軸部29の外周と、それに連通する頭部30に設けた複数の溝とに より溶融樹脂の流路35が形成されている。この流路35は、軸部29側からスクリュ ヘッド12の前方側への溶融樹脂の流れを可能にしている。

【００２０】 リングバルブ９の内壁面には実線および仮想線で示した２条のねじ溝31，31が 両側端間に形成されている。このねじ溝31，31は２点鎖線で示した軸線Ｌを中心 として、対称すなわち１８０度位相をずらして配置されている。また軸部29には 各ねじ溝31，31に係合するピン32，32が図１に仮想線で示すように軸線Ｌを中心 として対称に突設されている。このピン32，32は溶融樹脂から受ける圧力に充分 耐え得る強度を備えている。なお図３において33は、スクリュ10のねじ山、34は ウェアプレートを示している。

【００２１】 ねじ溝31，31はピン32，32に係合可能な深さおよび幅を備え、その傾斜は、ピ ン32，32との係合においてリングバルブ９の一側端面がスクリュヘッド12の頭部 30に当接する位置およびリングバルブ９の他側端面がウェアプレート34に当接す る位置の間の余裕を持ったストロークで移動可能なものとして定めている。

【００２２】 さらにスクリュ10の可塑化計量時における回転を正転とした場合、ねじ溝31， 31は、正転時においてスクリュヘッド12の頭部30側にリングバルブ９を移動当接 可能ならしめる向きに、またスクリュ10の逆転時にはリングバルブ９をウェアプ レート34に移動当接可能ならしめる向きに形成されている。本実施例では図３に 示すようにピン32，32および溝31，31が緩嵌合するように深さおよび幅を定めて いる。

【００２３】 ピン32，32がねじ溝31，31のスクリュ10側の端部に位置するとき、図４に示す ようにリングバルブ９は頭部30側に当接する。これにより加熱筒11およびスクリ ュ10間の溶融樹脂は軸部の流路35から、破線で示した頭部30の流路35を通ってス クリュ10の前方に押し出され、溶融樹脂が計量される。他方ピン32，32がねじ溝 31，31の頭部30側の端部に位置するとき、図５に示すようにリングバルブ９の一 端面がウェアプレート34を押圧する。これにより流路35は閉止される。

【００２４】 なおピン32，32がねじ溝31，31の両端に到達するためのスクリュ10回転数に係 るデータは、コントローラ25の図示を省略したメモリに格納されており、同デー タは各エンコーダ26，27からフィードバックされる制御信号またはスクリュ10の 回転数に対応する回転（起動）時間に基いてコントローラ25によって予め演算さ れている。また36は逃げ溝で、逃げ溝36はねじ溝31の端部に位置し、ピン32がね じ溝31のいずれかの端部に位置するときに溶融樹脂の流動を良好にするためのも のである。

【００２５】 このように構成された本考案の射出成形機のリングバルブは、スクリュ10が可 塑化計量のために正方向に回転すなわち正転されると、リングバルブ９は、スク リュ10の正転に伴って正転するピン32，32によって、スクリュ10の頭部30に向け て移動させられる。そして加熱筒11およびスクリュ10間の溶融樹脂は、流路35を 通ってスクリュヘッド12の前方に押し出されることによって計量される。

【００２６】 また頭部30およびリングバルブ９は当接するが、ピン32，32およびねじ溝31， 31の係合によって、リングバルブ９と頭部30とは一体に回転することから、頭部 30とリングバルブ９との間に摩滅および焼き付きが惹き起こることはない。

【００２７】 計量終了後、予め定められた回転数および回転時間に基いてスクリュ10が逆方 向に回転されると、リングバルブ９は、スクリュ10の逆転に伴って逆転するピン 32，32によって、スクリュ10のウェアプレート34に向けて移動させられ、リング バルブ９とウェアプレート34とは強制的に当接される。

【００２８】 すなわち流路35は溶融樹脂から受ける圧力に関わらず、リングバルブ９によっ て強制的に閉止されることから、ウェアプレート34およびリングバルブ９間が連 通不能になる。これにより溶融樹脂の逆流は防止され、同時に計量済の溶融樹脂 が射出される。

【００２９】 上述したスクリュ10の逆回転は、スクリュ10の溝部（図示省略）における溶融 樹脂圧値を計量済の溶融樹脂圧値よりも低下させるので、リングバルブ９による 上記閉鎖能力を良好にする。こののち所定順序にしたがって成形品が得られ、次 回ショットが上記同様に実施される。

【００３０】 なお、本実施例においてはピン32，32を軸部29に形成し、ねじ溝31，31をリン グバルブ９の内壁面に突設した場合についてを説明したがこれに限定されるもの ではなく、ねじ溝31，31を軸部29に形成し、ピン32，32をリングバルブ９の内壁 面に突設しても、上述した実施例と同様に動作することは明白である。

【００３１】 さらにピン32，32の突設数も２個に限定されるものではなく、ピン32を軸部29 またはリングバルブ９に単数または３個以上設けてもさしつかえない。この場合 にはピン32の設置数に対応する数のねじ溝31をリングバルブ９または軸部29に設 ければよい。

【００３２】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成したものなので、スクリュを正または逆方向に回転 制御し、リングバルブに設けられたねじ溝と、軸部に設けられたピンとを係合さ せることにより、成形条件に応じてリングバルブを制御することができる。これ により溶融樹脂の流路をリングバルブによって、成形条件に依存することなく強 制的にしかも綿密に開閉できるので、リングバルブの開閉タイミングを一定にで き、良好な品質の成形品を容易に得ることができる。

【００３３】 また可塑化計量時にはスクリュヘッドとリングバルブとが一体に回転するので 、スクリュヘッドおよびリングバルブの摩擦に起因する寿命短縮および焼き付き を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の構成を示した断面図であ
る。

【図２】図１に示すリングバルブを設けた射出成形機の
射出機構の概略を示す正面図である。

【図３】図１のリングバルブをスクリュヘッドに取り付
けた状態の断面図である。

【図４】図３と異なる状態を示す断面図である。

【図５】図４と異なる状態を示す断面図である。

【図６】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

９ リングバルブ 10 スクリュ 11 加熱筒 12 スクリュヘッド 29 軸部 30 頭部 31 ねじ溝 32 ピン 33 ねじ山 34 ウェアプレート 35 流路

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ウェアプレートを介してスクリュヘッド
   が連結されたスクリュを加熱筒内に嵌装し前記スクリュ
   ヘッドの先端に形成された頭部と前記スクリュとの間に
   位置する軸部を前記頭部よりも小径に形成し該軸部およ
   び頭部間に前記加熱筒およびスクリュ間に連通する流路
   を形成し前記軸部には環状のリングバルブを前記流路を
   開閉可能に装着した射出成形機のリングバルブにおい
   て、 前記軸部に突設されたピンと、該ピンと係合するととも
   に前記リングバルブの内壁面に形成され前記スクリュの
   正回転時における可塑化計量時には前記リングバルブを
   前記スクリュヘッドの頭部に移動当接可能ならしめ前記
   スクリュの逆回転時には前記リングバルブを前記ウェア
   プレートに移動当接可能ならしめるねじ溝とを設けたこ
   とを特徴とする射出成形機のリングバルブ。