JPH0513180U - 食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 手羽と胸肉との切断分離する作業を人手を介
することなく行うことができ、かつ商品価値の高い胸肉
を手羽側に残さずに切断分離することができる、食鳥の
手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置を提供す
る。 【構成】 手羽から胸肉を引き剥す力を手羽と胸肉とに
印加しつつ手羽付胸肉を前進させる前進手段と、手羽付
胸肉が前進する際に胸肉に対する手羽の相対位置を所定
位置に保持する保持手段と、前進する手羽と胸肉とを切
断分離する切断手段と、手羽と胸肉とを切断分離する際
に、手羽の骨を含む面内で手羽を胸肉に対して回転させ
る回転手段とから、食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに
切断分離する装置を構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

食鳥の解体作業において、手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する工程は、 従来人手により行われていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の手作業による手羽と胸肉との切断分離は、刃物を扱うため危険 を伴うという問題があった。また、手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する場 合、商品価値の高い胸肉を手羽側に残さずに切断分離する必要がある。しかし、 このように切断分離するには、熟練を要するところ作業員の全てが熟練者とは限 らないので、しばしば胸肉が手羽側に残り、生産された胸肉の商品価値が低下す るという問題があった。

【０００４】 したがって、本考案の目的は、手羽と胸肉との切断分離する作業を人手を介す ることなく行うことができ、かつ商品価値の高い胸肉を手羽側に残さずに切断分 離することができる、食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置を提 供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案においては、手羽から胸肉を引き剥す力を手 羽と胸肉とに印加しつつ手羽付胸肉を前進させる前進手段と、手羽付胸肉が前進 する際に胸肉に対する手羽の相対位置を所定位置に保持する保持手段と、前進す る手羽と胸肉とを切断分離する切断手段と、手羽と胸肉とを切断分離する際に、 手羽の骨を含む面内で手羽を胸肉に対して回転させる回転手段とから成ることを 特徴とする食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置を提供する。

【０００６】

【作用】

本考案の上記構成によれば、前進手段と保持手段とが協働して、手羽付胸肉を 所定の姿勢に保持しつつ、且つ手羽と胸肉の間に引っ張り力を印加しつつ、切断 手段まで搬送する。そして、回転手段と切断手段とが協働して、手羽の骨を含む 面内で手羽を胸肉に対して回転させつつ、手羽と胸肉とを切断分離する。従って 手羽と胸肉との切断分離作業は人手を介することなく容易に行われ、且つ商品価 値の高い胸肉を手羽側に残すことなく行われる。

【０００７】

【実施例】

以下添付図を参照しつつ、本考案の実施例を説明する。 図１において、Ａは本考案の一実施例に係る食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉と に切断分離する装置である。装置Ａは、前後方向に延びる左右一対のトップオー ガ１、ボトムオーガ２及びサイドオーガ３と、左右一対のカッター４と、左右一 対のストッパー５とを有する。装置Ａの前記左右一対の構成部材は、左右のトッ プオーガ１の中間位置を通り前後に延びる垂直の平面Ｐに関して面対称に配設さ れており、これらの作動も垂直の平面Ｐに関して面対称の関係にあるので、以下 においては、右側すなわち図１において平面Ｐよりも手前側の構成部材に就いて 説明する。

【０００８】 トップオーガ１は前後に延びる円形断面の鋼棒から成る。トップオーガ１は、 前端がベアリング１ａを介して、装置のフレーム６ａに、長手軸回りに回転自在 に支持され、後端がユニバーサルジョイント７を介してギヤボックス８内の図示 しない駆動ギヤに連結されている。ユニバーサルジョイント７は、後方端が前方 端よりも高くなるよに配設されている。またトップオーガ１は、後端に隣接する 部分が、摺動自在に外嵌したスリーブ９を介して、装置のフレーム６ｂに支持さ れている。トップオーガ１は、ギヤボックス８内の前記図示しない駆動ギヤによ り、図１の矢印方向に、すなわち、前方から後方に見て時計回りに回転駆動され る。

【０００９】 ボトムオーガ２は、トップオーガ１の下方に所定の間隔を隔てて配設され、且 つトップオーガ１と並行に前後に延びる円形断面の鋼棒から成る。ホトムオーガ ２は、前端がベアリング２ａを介して、フレーム６ａの下端から所定間隔を隔て て下方に配設された装置のフレーム６ｃに、長手軸回りに回転自在に支持され、 後端がギヤボックス８内の図示しない駆動ギヤに連結されている。ボトムオーガ ２はギヤボックス８内の前記図示しない駆動ギヤにより、図１の矢印方向に、す なわち前方から後方に見て反時計回りに回転駆動される。またボトムオーガ２に は、前記回転により前方から後方への駆動力を生ずるように、円形断面の線材 ２ｂが螺旋状に巻かれている。図２に示すように、トップオーガ１とボトムオー ガ２との間隔は、線材２ｂの直上位置では、胸肉の厚みに略等しい値Ｓ₁ に、線 材２ｂと線材２ｂとの中間位置では、胸肉の厚みよりは大きく且つ手羽の肩関節 の直径よりは小さな値Ｓ₂ に設定されている。

【００１０】 サイドオーガ３は、ボトムオーガ２の右方に所定の間隔を隔てて配設され、且 つボトムオーガ２と並行に前後に延びる円形断面の鋼棒から成る。サイドオーガ ３は、前端がベアリング３ａを介して、装置のフレーム６ｃに、長手軸回りに回 転自在に支持され、後端がギヤボックス８内の図示しない駆動ギヤに連結されて いる。サイドオーガ３はギヤボックス８内の前記図示しない駆動ギヤにより、図 １の矢印方向に、すなわち前方から後方に見て時計回りに回転駆動される。又サ イドオーガ３には、前記回転により前方から後方への駆動力を生ずるように、円 形断面の線材３ｂが螺旋状に巻かれている。

【００１１】 トップオーガ１の後方部分には、前方から後方へ向けて半径が直線的に増大す る円錐形の切欠部１ｂが形成されており、切欠部１ｂに沿ってカッター４が配設 されている。カッター４は、切欠部１ｂの右斜め上方から切欠部１ｂに向けて配 設され、且つ前記円錐の母線に沿って、母線から所定間隔を隔てて配設された丸 刃ブレード４ａと、丸刃ブレード４ａを回転駆動するモータ４ｂとから成る。前 記母線からの所定間隔は、前方で狭く後方で広くなるように設定されている。

【００１２】 カッター４の右方には、環状のストッパー５が、前後方向に摺動可能にサイド オーガ３に堅く外嵌している。 以上、本実施例に係る切断分離装置Ａの右側の構成部材を説明したが、本装置 の左側の構成部材、すなわち図１において、垂直面Ｐよりも反手前側の構成部材 は、前述のごとく、垂直面Ｐに関して、右側の構成部材と面対称の構成を有し、 又作動も面対称の関係にある。

【００１３】 ギヤボックス８の図示しないギヤ群は、図示しないモータにより回転駆動され る。 以上にように構成された、本実施例に係る食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに 切断分離する装置Ａの作動を以下に説明する。なお以下の説明も、右側の構成部 材に着目して行う。

【００１４】 図示しないモータを図示しない電源に接続することにより、ギヤボックス８内 の図示しない駆動ギヤが前記図示しないモータによって駆動され回転する。これ により、トップオーガ１、ボトムオーガ２、サイドオーガ３が図１の矢印の方向 に回転する。 この状態で、手羽付胸肉Ｏを図１に示す態様でオーガに懸架する。すなわち、 胸肉Ｏ₁ を左右のトップオーガ１の間に位置決めし、右側の手羽Ｏ₂ に隣接する 胸肉Ｏ₁ の部分をトップオーガ１とボトムオーガ２とにより挟持させ、右側の手 羽Ｏ₂ の中央部をサイドオーガ３の上に載置する。この懸架作業は、人手により 行う。

【００１５】 トップオーガ１とボトムオーガ２とは、それぞれ図の矢印の方向に回転してい るので、胸肉Ｏ₁ のトップオーガ１とボトムオーガ２とにより挟持された部分は 胸肉Ｏ₁ の方向に引きずり込まれる。一方手羽Ｏ₂ は、肩関節の直径がトップオ ーガ１とボトムオーガ２との間隔Ｓ₂ よりも大きいので、トップオーガ１とボト ムオーガ２との間隙を通過できない。従って、胸肉Ｏ₁ のトップオーガ１とボト ムオーガ２とにより挟持された部分には、胸肉Ｏ₁ を手羽Ｏ₂ から引き剥がそう とする引っ張り力が働く。一方ボトムオーガ２、サイドオーガ３は、それぞれ線 材２ｂ、３ｂにより前方から後方への駆動作用を有するので、手羽付胸肉Ｏはオ ーガ１〜３に沿って後方へ移動する。この移動の際、胸肉Ｏ₁ は手羽Ｏ₂ に隣接 する部分がトップオーガ１とボトムオーガ２とにより挟持され、手羽Ｏ₂ はサイ ドオーガ３により支持されるので、手羽付胸肉Ｏはオーガに懸架された時点での 姿勢、及び胸肉Ｏ₁ と手羽Ｏ₂ との相対位置関係を維持する。ボトムオーガ２、 サイドオーガ３の線材２ｂ、３ｂは、円形断面を有するので、手羽付胸肉の懸架 工程及び移送工程において、肉に傷が付くおそれはない。

【００１６】 手羽付胸肉Ｏがカッター４の位置に到達すると、胸肉Ｏ₁ のトップオーガ１と ボトムオーガ２とにより挟持された部分が、回転する丸刃ブレード４ａによって 手羽Ｏ₂ から切り離される。前述のごとく、丸刃ブレード４ａは、トップオーガ １の円錐形の切欠部１ｂに沿って配設されているので、すなわち、トップオーガ １に食い込んだ状態で配設されているので、更に、切欠部１ｂの表面と丸刃ブレ ード４ａとの間の間隙は、前方部で狭く設定されているので、丸刃ブレード４ａ は、トップオーガ１に極く接近した位置で胸肉Ｏ₁ を手羽Ｏ₂ から切り離すこと になる。従って手羽Ｏ₂ の肩関節を傷付けることなく、胸肉Ｏ₁ を手羽Ｏ₂ から 切り離すことができる。胸肉Ｏ₁ には切断方向に直交する引っ張り力が働いてい るので、切断は容易に行われる。更に、図３乃至図５に示すごとく、切断が開始 された時点で、手羽の肘関節がストッパー５に当接し、以降手羽の肘関節の後方 への移動がストッパー５により規制される。これにより、手羽付胸肉Ｏが、後方 （図中矢印方向）に移動するにつれて、すなわち切断工程が進むに従って、手羽 Ｏ₂ は上方から見て、手羽の骨を含む平面内で肘関節を中心にして時計回りに回 転する。この回転により、切断は手羽Ｏ₂ の肩関節に沿って円弧を描いて行われ る。この結果、胸肉Ｏ₁ を手羽Ｏ₂ 側に残すことなく、胸肉Ｏ₁ が手羽Ｏ₂ から 切り離される。

【００１７】 サイドオーガ３の後方への駆動速度を、ボトムオーガ２の後方への駆動速度よ りも若干大きく設定すれば、手羽付胸肉Ｏが、カッター４の位置に到達した時点 で、手羽Ｏ₂ の肘関節を肩関節よりも後方に、すなわち進行方向前方に位置させ ることかできるので、前記ストッパー５回りの手羽Ｏ₂ の回転による肩関節に沿 った切断の範囲を、より一層拡げることができる。

【００１８】 切断が完了すると、トップオーガ１とボトムオーガ２とに挟持された胸肉Ｏ₁ の部分は、左右のトップオーガ１の間に押し出され、胸肉Ｏ₁ は左右のトップオ ーガ１の間を下方に落下する。一方手羽Ｏ₂ はサイドオーガ３の時計回りの回転 によりサイドオーガ３の右下方に落下する。下方に落下した胸肉Ｏ₁ と手羽Ｏ₂ とは、図示しないシュートによりそれぞれ別々に収集される。

【００１９】 尚、何らかのトラブルで切断が不完全に行われ、胸肉Ｏ₁ と手羽Ｏ₂ とが繋が ったままで丸刃ブレード４ａを通過したとしても、これらはオーガ後端部に滞留 することなく、ユニバーサルジョイント７とボトムオーガ２との間の拡げられた 隙間から下方に落下する。従って、切断が不完全な場合でも、装置を停止する必 要はない。

【００２０】 上記実施例では、ストッパー５をサイドオーガに外嵌させていたが、図１で想 像線で示すように、ストッパー５を、サイドオーガ３の右方に且つサイドオーガ ３に接近して、装置のフレーム６ｄに前後方向に移動可能に取付けても良い。

【００２１】

【効果】

以上説明したごとく、本考案によれば、前進手段と保持手段とが協働して、手 羽付胸肉を所定の姿勢に保持しつつ、且つ手羽と胸肉の間に引っ張り力を印加し つつ、切断手段まで搬送する。そして、回転手段と切断手段とが協働して、手羽 の骨を含む面内で手羽を胸肉に対して回転させつつ、手羽と胸肉とを切断分離す る。従って、手羽と胸肉との切断分離作業は人手を介することなく行われ、且つ 商品価値の高い胸肉を手羽側に残すことなく行われる。

【００２２】 従って本考案により、手羽と胸肉との切断分離する作業を人手を介することな く行うことができ、かつ、商品価値の高い胸肉を手羽側に残さずに切断分離する ことができる、食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置が提供され る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る食鳥の手羽付胸肉を手羽
と胸肉とに切断分離する装置の斜視図である。

【図２】トップオーガとボトムオーガとの距離を示す概
略側面図である。

【図３】図１の装置により手羽付胸肉を手羽と胸肉とに
切断分離する工程の序盤の状態を示す図である。

【図４】図１の装置により手羽付胸肉を手羽と胸肉とに
切断分離する工程の中盤の状態を示す図である。

【図５】図１の装置により手羽付胸肉を手羽と胸肉とに
切断分離する工程の終盤の状態を示す図である。

【符号の説明】

Ａ 手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置 １ トップオーガ ２ ボトムオーガ ３ サイドオーガ ４ カッター ５ ストッパー

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 手羽から胸肉を引き剥す力を手羽と胸肉
   とに印加しつつ手羽付胸肉を前進させる前進手段と、手
   羽付胸肉が前進する際に胸肉に対する手羽の相対位置を
   所定位置に保持する保持手段と、前進する手羽と胸肉と
   を切断分離する切断手段と、手羽と胸肉とを切断分離す
   る際に、手羽の骨を含む面内で手羽を胸肉に対して回転
   させる回転手段とから成ることを特徴とする食鳥の手羽
   付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置。
2. 【請求項２】 前記前進手段は、左右方向に所定の間隔
   を隔てて配設された一対のオーガ組立体から成り、各オ
   ーガ組立体は、前後方向に延在する棒材からなるトップ
   オーガと、トップオーガと平行に且つトップオーガの下
   方に所定間隔を隔てて配設された棒材からなるボトムオ
   ーガとを備え、更に右側のオーガ組立体のトップオーガ
   を前方から後方に見て時計回りに、ボトムオーガを前方
   から後方に見て反時計回りに回転駆動し、左側のオーガ
   組立体のトップオーガを前方から後方に見て反時計回り
   に、ボトムオーガを前方から後方に見て時計回りに回転
   駆動する駆動手段を備え、左右のオーガ組立体のボトム
   オーガには、前記回転によって前方から後方への駆動力
   を発生させるように、線材が螺旋状に巻かれていること
   を特徴とする、請求項１に記載の食鳥の手羽付胸肉を手
   羽と胸肉とに切断分離する装置。
3. 【請求項３】 前記保持手段は、右側のボトムオーガの
   右方に、該ボトムオーガに並行に配設された棒材から成
   る右側のサイドオーガと、左側のボトムオーガの左下方
   に、該ボトムオーガに平行に配設された棒材から成る左
   側のサイドオーガとから成り、前記保持する手段は更
   に、右側のサイドオーガを前方から後方に見て時計回り
   に回転駆動し、左側のサイドオーガを前方から後方に見
   て反時計回りに回転駆動する駆動手段を備え、左右のサ
   イドオーガには、前記回転によって前方から後方への駆
   動力を発生させるように、線材が螺旋状に巻かれている
   ことを特徴とする、請求項１に記載の食鳥の手羽付胸肉
   を手羽と胸肉とに切断分離する装置。
4. 【請求項４】 前記切断手段は、左右のトップオーガに
   対してそれぞれ隣接して且つ所定の角度を以て配設され
   た丸刃ブレードと、該丸刃ブレードを回転駆動する駆動
   手段とにより成ることを特徴とする、請求項１に記載の
   食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分離する装置。
5. 【請求項５】 前記回転手段は、設置位置を前後方向に
   移動可能に、左右のサイドオーガにそれぞれ設置され
   た、左右のストッパーから成ることを特徴とする、請求
   項１に記載の食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切断分
   離する装置。
6. 【請求項６】 前記回転手段は、設置位置を前後方向に
   移動可能に、左右のサイドオーガにそれぞれ隣接して設
   置された左右のストッパーから成ることを特徴とする、
   請求項１に記載の食鳥の手羽付胸肉を手羽と胸肉とに切
   断分離する装置。