JPH05131446A - ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法 - Google Patents

ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法

Info

Publication number
JPH05131446A
JPH05131446A JP3292805A JP29280591A JPH05131446A JP H05131446 A JPH05131446 A JP H05131446A JP 3292805 A JP3292805 A JP 3292805A JP 29280591 A JP29280591 A JP 29280591A JP H05131446 A JPH05131446 A JP H05131446A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
strand
widening
die
molten resin
prepreg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3292805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3136704B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Ishizaki
利之 石崎
Tetsuyuki Kyono
哲幸 京野
Mikio Hayashi
実喜夫 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP03292805A priority Critical patent/JP3136704B2/ja
Publication of JPH05131446A publication Critical patent/JPH05131446A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3136704B2 publication Critical patent/JP3136704B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 一端部にストランド1の導入口11a、他端
部にプリプレグ前駆体1'の導出口13aが形成され、内
部はストランドが走行する空胴部になっているダイであ
って、前記空胴部には、ストランド1の走行方向に対し
て交差する方向に延びる凸曲面部15aを有する一対の
バー部材15、15を前記凸曲面部15a、15aを対
向させて配置して前記凸曲面部15a、15aの間に隙
間を形成してなるストランド拡幅部Aと、前記ストラン
ド拡幅部Aの、前記ストランド導入口側に配置した溶融
樹脂充填部Bとを設けたストランド拡幅用ダイ。ストラ
ンドを、緊張状態で、前記ストランド拡幅部における凸
曲面部15a、15a間の隙間を通過させる。 【効果】 ストランド拡幅部では、溶融樹脂に絞り膜作
用が発生し、そのときの膜圧力でストランドが拡幅さ
れ、同時に各単糸間への溶融樹脂の含浸が進む。ストラ
ンドの毛羽立ちを防止でき、またストランドの高速走行
も可能で、プリプレグを高生産性の下で製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はストランド拡幅用ダイと
それを用いたプリプレグの製造方法に関し、さらに詳し
くは、熱可塑性樹脂をマトリクスとするプリプレグ、と
りわけテープ状のプリプレグを、高い生産性の下で連続
的に製造するときに用いるストランド拡幅用ダイとそれ
を用いたプリプレグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維
や、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの有機繊維で
熱可塑性樹脂を強化した複合材料(以下、FRTPとい
う)は、これらの繊維で熱硬化性樹脂を強化した複合材
料(以下、FRPという)に比べて、耐衝撃性や成形性
に優れているので、宇宙・航空分野、自動車工業分野、
エネルギー分野、スポーツ用品分野、レジャー用品分野
などの各種産業分野における今後の需要増大が期待され
ている。
【0003】このようなFRTPの製造方法としては、
たとえば、個々のストランド(連続繊維束)に分離した
ロービングを熱可塑性樹脂の粉末の中に通して各ストラ
ンドにその粉末を付着させたのち、全体を前記粉末の融
点以上の温度に加熱して溶融することにより、両者を複
合する方法がある(特公昭52−3985号公報参
照)。また、特開昭60−36136号公報には、スト
ランドまたはその帯状物を溶融熱可塑性樹脂中に通した
のち、板状の加熱ローラでストランドまたはその帯状物
を押圧して、各単糸間に熱可塑性樹脂を含浸させる方法
が開示されている。
【0004】さらに、特開平2−22336号公報で
は、熱可塑性樹脂を有機溶媒に溶解し、この溶液をスト
ランドに含浸して中間プリプレグとし、最後に溶媒を揮
散させる方法が開示されている。また、特開昭64−1
6612号公報には、ストランドを予め拡幅しておき、
その状態で溶融した熱可塑性樹脂の中に通して各単糸間
に溶融樹脂を含浸させる方法が開示されている。
【0005】これらの方法のうち、加熱溶融した熱可塑
性樹脂を各単糸間に含浸させてFRTPを製造する方法
は、他の方法に比べて、製造コストが低く、後加工も容
易であるという点で、工業的に有用であるといえる。し
かし、熱可塑性樹脂は、概して、熱硬化性樹脂に比べて
溶融時の粘度が高い。そして、この高粘度の溶融樹脂を
ストランドの各単糸間に、均一かつ連続的に含浸させる
ことは可成り困難であり、このことが溶融樹脂の含浸法
によってプリプレグを製造するときの大きな問題になっ
ている。
【0006】上記問題に対しては、たとえば、溶融した
熱可塑性樹脂が供給されるクロスヘッドの中に、ストラ
ンドの走行方向と直交して複数個の含浸ローラを配置
し、ストランドを、これらの含浸ローラのローラ面に交
互に架け渡して緊張下で連続走行させることによりスト
ランドを拡幅すると同時に各単糸間に溶融樹脂を含浸さ
せたのち、クロスヘッドから引き出す方法が提案されて
いる(特開平1−263005号公報参照)。
【0007】しかしながら、この方法の場合、緊張して
連続走行するストランドは、常時、含浸ローラと圧接し
ているので、そのときに生ずる摩擦力によって、ストラ
ンドに毛羽が発生しやすくなる。また、生産性の向上を
目的としてストランドの走行速度を大きくすると、スト
ランドは含浸ローラに交互に架け渡されていて“く”字
型に屈曲しているので、ストランドの張力が大きくなり
すぎ、単糸の切断や巻取り不能などの問題が生じやす
い。張力を低減するために、屈曲の程度を小さくする
と、今度は、ストランドと含浸ローラとの圧接状態が悪
くなって溶融樹脂のストランドへの含浸が満足に進ま
ず、得られたプリプレグにボイドなどが多発するように
なる。
【0008】また、特開平1−178411号公報で
は、ダイ内の溶融樹脂の中にストランドを緊張状態で連
続走行させ、そのときに、加圧部材でストランドをその
走行方向と直角に押圧して拡幅すると同時に、各単糸間
に溶融樹脂を押し込む方法が提案されている。しかしな
がら、この方法の場合も、前記特開平1−263005
号公報記載の方法と同じように、ダイ内においては、連
続走行するストランドと加圧部材とが圧接状態にあるた
め、ストランドに毛羽が発生しやすくなるというという
問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スト
ランドを拡幅して各単糸間に溶融した熱可塑性樹脂を含
浸する連続的なプリプレグの製造方法における上記問題
を解決し、ストランドにおける毛羽発生を防止すること
ができ、また、ストランドに別の外力を加えて拡幅する
こともなく、しかも各単糸間への溶融樹脂の含浸性を良
好にすることができ、さらに高速でストランドを連続走
行させることができるストランドの拡幅用ダイとそれを
用いたプリプレグの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、一端部にストランドの導入
口、他端部にプリプレグ前駆体の導出口が形成され、内
部はストランドが走行する空胴部になっているダイであ
って、前記空胴部には、ストランドの走行方向に対して
交差する方向に延びる凸曲面部を有する一対のバー部材
を前記凸曲面部を対向させて配置して前記凸曲面部の間
に隙間を形成してなるストランド拡幅部と、前記ストラ
ンド拡幅部の、前記ストランド導入口側に配置した溶融
樹脂充填部とを設けたことを特徴とするストランド拡幅
用ダイが提供され、また、ストランドを、緊張状態で、
前記拡幅用ダイのストランド導入口からダイ内に導入し
て溶融樹脂充填部内を走行させるとともに前記ストラン
ド拡幅部の隙間を通過させてテープ状のプリプレグ前駆
体を形成し、ついで、そのプリプレグ前駆体をダイの導
出口から導出することを特徴とするプリプレグの製造方
法が提供される。
【0011】
【作用】流体力学における流体潤滑の原理によれば、対
向する2つの面の間に潤滑物質を流し、しかも、上記2
つの面の間隔が潤滑物質の流れ方向に沿って狭くなって
いる場合、流れている潤滑物質には、その流れ方向と直
交する方向に潤滑膜圧力が発生して、その潤滑物質を幅
方向に拡幅する。
【0012】本発明のダイにおけるストランド拡幅部
は、上記した絞り膜作用(スクイーズ作用)を利用す
る。すなわち、ストランド拡幅部を構成する1対のバー
部材の各凸曲面部が上記した対向する2つの面に相当
し、また、用いる溶融樹脂が上記した潤滑物質に相当し
ている。
【0013】この各凸曲面部は、溶融樹脂の流れ方向と
交差する方向に延びた状態で所望の間隔を置いて対向し
ているので、各凸曲面部が形成している隙間に流れてく
る溶融樹脂には、この隙間を通過するときに、その流れ
方向と直交する方向に膜圧力が発生する。したがって、
溶融樹脂と一緒にストランドを走行させると、ストラン
ドが各凸曲面部の隙間を通過するときに、絞り膜作用で
溶融樹脂に発生した膜圧力を受けることにより、このス
トランドはその走行方向と交差する方向に拡幅されるよ
うになる。
【0014】同時に、上記ストランドの拡幅は溶融樹脂
と共存する状態で進行するので、拡幅されたストランド
の各単糸は、その周囲を溶融樹脂で取り囲まれることに
なり、ストランドへの溶融樹脂の含浸は非常に円滑に進
む。
【0015】
【実施態様】図1に、本発明のストランド拡幅用ダイを
組込んで、テープ状プリプレグを製造する装置の全体を
概略図として示す。図において、所望本数のストランド
1を送り出しながらストランド1にパウダークラッチで
張力付加することができる送出機2と、ストランド1を
後述するストランド拡幅用ダイ6に導入するためのガイ
ド3と、押出機本体7と、冷却バス8と、乾燥機9と、
巻取り機10とが、この順序で直列に配置されている。
そして、押出機本体7は、ホッパー4とバレル部5とス
トランド拡幅用ダイ6とからなり、ホッパー内の熱可塑
性樹脂がバレル部5で加熱溶融されて、それがストラン
ド拡幅用ダイ6内に押出されるようになっている。
【0016】この装置において、送出機2から連続的に
送り出されたストランド1は、張力付加を受けた緊張状
態で、ガイド3を経由してストランド拡幅用ダイ6に導
入され、そこで拡幅されると同時にバレル部5から供給
された溶融樹脂と複合化されることによりプリプレグ前
駆体に成形され、つづいて、このプリプレグ前駆体は冷
却バス8で冷却され、乾燥機9で乾燥されたのち巻取り
機10で巻取られて目的とするプリプレグになる。
【0017】ストランドは、炭素繊維、ガラス繊維や、
窒化ホウ素繊維、シリコンカーバイト繊維、アルミナ繊
維のようなセラミックス繊維や、鉄繊維、ステンレスス
チール繊維のような金属繊維や、ポリイミド繊維、ポリ
アミドイミド繊維のような有機繊維などの高強度、高弾
性率繊維からなる。ストランドとしては、太さが3〜5
0μm程度の単糸を1000〜50000本程度束ねた
ものが用いられる。その際、撚りがかかっていないも
の、すなわち無撚糸を用いると、後述するダイ内でのス
トランド拡幅を円滑に進めることができて好適である。
また、ストランドとしては、予め、全体を偏平な形状に
したものであってもよい。
【0018】ストランドを送出機2から連続的に送り出
すときには、ストランド1本当り10〜100g程度の
張力をそのストランドに付加して、装置内における走行
を緊張状態で行なわせる。ストランドに含浸させる熱可
塑性樹脂としては、たとえば、ナイロン6やナイロン6
6のようなポリアミド樹脂またはそれらの各種共重合
体、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリブチレンテ
レフタレート樹脂のようなポリエステル樹脂またはそれ
らの各種共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド
イミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェ
ニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル
スルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ
エーテルイミド樹脂、各種のポリオレフィン樹脂などを
用いることができる。
【0019】熱可塑性樹脂は、バレル部5で加熱溶融さ
れてダイ6内に押出されるが、そのときの溶融樹脂の粘
度は、50〜10000ポイズ程度になっていることが
好ましい。この粘度が低すぎると、前記したストランド
拡幅部の隙間において発生する膜圧力が小さくなってス
トランドの拡幅が充分に進まないことがあり、また、溶
融樹脂の粘度が高すぎると、前記隙間において、溶融樹
脂に剪断力が発生してその膜圧力が低下し、同じくスト
ランドの拡幅が充分に進まないことがある。
【0020】つぎに、ストランド拡幅用ダイ6の1例
を、縦断面図として図2に示す。このダイ6は、ヘッド
プロック11とダイ本体12とノズル部13とを、前記
ヘッドブロック11を上流側に配置した上記順序で組合
わせて構成され、その内部には、ストランド1および後
述のストランド拡幅部で成形されたプリプレグ前駆体
1’が走行するための空胴部が形成されている。
【0021】ヘッドブロック11の上流側端部にはスト
ランドの導入口11aが形成され、このヘッドブロック
の内部空胴部11bは、バレル部からの溶融樹脂の押出
口(図示しない)と連通し、また先端部分は、ダイ本体
12のストランド導入口12aと接続している。ヘッド
ブロック11の導入口11aには、空胴部11bに供給
される溶融樹脂のバックフローを防ぐために、中心にス
トランド通過路14aを有し、先端はノズル構造14b
になっている治具14が嵌め込まれている。
【0022】ダイ本体12の内部の空胴部12bには、
一対のバー部材15、15が、凸曲面部15a、15a
を向き合わせた状態で配置されることにより、ストラン
ド拡幅部Aを構成している。したがって、ダイ本体12
における前記ストランド拡幅部Aの上流側の空胴部12
cと、ダイ本体12へのストランド導入口12aと、さ
らにヘッドブロックの空胴部11bとにはバレル部5か
らの溶融樹脂が満ちることになり、全体で、溶融樹脂の
充填部Bが構成されている。
【0023】このストランド拡幅部Aを図3に斜視図で
示す。ストランド拡幅部Aは、一方の面が、ストランド
1の走行方向に対して交差する方向(図では直角方向)
に延びている凸曲面部15aになっている一対のバー部
材15、15を、互いの凸曲面部15a、15aが対向
するように配置して隙間wを形成したものである。各バ
ー部材の凸曲面部15a、15aの曲線形状としては、
べき乗関数、双曲線関数、楕円関数で表現される曲線に
おける対称軸近傍の曲線部分を比例拡大または比例縮小
したような曲線形状や、その曲線形状を左右対称または
非対称に組合わせてなる曲線形状などを採用することが
できる。
【0024】なお、図4で示したように、各バー部材1
5の凸曲面部15aの上流側と下流側の面をそれぞれ平
面15c、15cとし、これらバー部材15、15の各
凸曲面部15a、15aを対向配置してストランド拡幅
部を構成してもよい。各バー部材の凸曲面部間に形成さ
れる隙間wの間隔は、ここに供給されるストランド1を
構成する単糸(モノフィラメント)の直径の3〜150
倍、好ましくは5〜100倍になっている。
【0025】隙間wがストランド1の単糸の直径の3倍
より小さい場合は、ストランド1が隙間wを通過する際
に、ストランド1とバー部材の凸曲面部15a、15a
とが激しく接触する虞れがあり、このことによって、ス
トランド1に毛羽が発生することもあり、得られるプリ
プレグ前駆体1’の品質低下を招くことがある。また隙
間wがストランド1の単糸の直径の150倍より大きい
場合は、ストランド1と一緒に流れてくる溶融樹脂に発
生する膜圧力が小さくなり、そのため、ストランド1の
拡幅が充分に進まないことがある。
【0026】なお、図3では、各バー部材15、15を
ストランド1の走行方向に対し直角に配置した態様を示
してあるが、本発明におけるストランド拡幅部Aはこの
態様に限定されるものではなく、各バー部材とストラン
ドの走行方向とがなす面内において、各バー部材をスト
ランドの走行方向に対し、所望の角度傾けて配置しても
よい。その場合の傾ける角度は、ストランドの走行方向
に対し−45°〜+45°の範囲に設定することが好ま
しい。
【0027】治具14の通路14aを通りノズル構造1
4bからダイ内に導入されたストランド1は溶融樹脂充
填部Bを通過し、溶融樹脂と一緒になってストランド拡
幅部Aにおける隙間wを通過する。そして、この隙間w
を通過する過程で、溶融樹脂に発生する膜圧力によっ
て、ストランド1は、図3の矢印で示したように、スト
ランドの走行方向と交差する方向に拡幅される。そし
て、このとき、一緒に存在する溶融樹脂が各単糸間に含
浸されるので、隙間wを通過したストランドは、拡幅状
態で溶融樹脂と複合したテープ状のプリプレグ前駆体
1’になる。
【0028】このプリプレグ前駆体1’は、ノズル部1
3に形成されている導出口13aから導出される。導出
口13aの断面形状はスリット形状としてもよく、また
円形状であってもよい。導出口13aがスリット形状を
しているときには、そのまま、ある幅をもったテープ状
のプリプレグを成形することができ、また導出口13a
が円形状をしているときには、ストランド拡幅部Aで成
形されたテープ状のプリプレグ前駆体は、この導出口1
3aで再び集束されてガットに連続成形される。
【0029】この導出口13aの断面積を変化させるこ
とにより、製造するプリプレグにおける、繊維の体積含
有率を適宜な値に調節することができる。なお、導出口
13aが円形状である場合には、得られたガットを、加
熱ロールなどによりテープ状に連続賦形してもよく、ま
た、連続的に一定長に切断し、その切断片を射出成形用
のペレットとして用いてもよい。
【0030】図5は別の実施態様のダイを示す縦断面図
である。このダイの場合は、ダイ本体12の空胴部12
b内に、ストランド拡幅部が、ストランド1の走行方向
に2段配置されている。このストランド拡幅部は、図6
で示したように、凸曲面部15aと反対側に位置する面
が、両側端の部分15d、15dを除いて、少し切削さ
れた面15eになっているバー部材15を、凸曲面部1
5aを対向配置して構成されている。
【0031】したがって、このストランド拡幅部では、
図5で示したように、ダイ本体の空胴部12bの内壁と
バー部材15の切削面15eとの間に空間12dが形成
される。このダイの場合には、ヘッドブロックの空胴部
11bに押出された溶融樹脂は、その空胴部11bと、
ダイ本体12のストランド導入口12aと、1段目のス
トランド拡幅部A1 の上流側の空胴部12cを満たし、
さらに、ダイの運転過程で、ストランド拡幅部A1 の空
間12dを通って次の空胴部12eに流れ込んでそこを
満たし、またさらに、ストランド拡幅部A2 の空間12
dを通って残余の空胴部12fをも満たすことになり、
ダイ内の空胴部全体が溶融樹脂充填部Bとなる。
【0032】したがって、1段目のストランド拡幅部A
1 の隙間を通過するストランドは、ここで最初の拡幅と
樹脂含浸が行なわれ、ついで空胴部12eに充満する溶
融樹脂内をその状態を維持して走行したのち、2段目の
ストランド拡幅部A2 の隙間を通過し、そこで、さらに
拡幅と樹脂含浸が進むかまたは1段目のストランド拡幅
部A1 における拡幅状態を維持したのち、次の空胴部1
2fに充満する溶融樹脂の中を走行して導出口13aか
ら導出されていく。
【0033】このように、このダイを用いると、ストラ
ンドの各単糸と溶融樹脂との接触時間は長くなり、各単
糸の溶融樹脂による濡れ状態は良好になるので、得られ
るプリプレグにおける複合状態は向上する。なお、これ
らのストランド拡幅部は上記したような2段配置に限ら
れるものではなく、2以上の偶数段配置してもよい。
【0034】その場合、各ストランド拡幅部を、ストラ
ンド1の走行方法と直交して連続的に配置してもよく、
また、図7で示したように、ストランド1の走行方向に
対して、最初のストランド拡幅部A1 をθの角度で傾け
て配置し、次のストランド拡幅部A2 を前記の傾き角θ
を打ち消すように逆方向に傾けて配置するという配置態
様を繰り返してもよい。
【0035】なお、以上の実施態様はいずれも、ダイ6
を水平配置した場合を示したが、溶融樹脂充填部Bが溶
融樹脂で満ちているならば、ダイ6が垂直方向を向くよ
うに配置してもよい。
【0036】
【実施例】
実施例1 図2で示したストランド拡幅用ダイを用いてテープ状の
プリプレグを、図1の装置で製造した。単糸の太さが1
7μm、単糸の本数が2000本からなるガラス繊維の
無撚ストランド1を用意し、このストランドの10本を
シート状に引き揃えて、ストランド1本当り40g程度
の張力を付加する緊張状態で送出機2からガイド3に送
り出し、ダイ6に導入した。
【0037】ダイ6の溶融樹脂充填部に、溶融したナイ
ロン6(東レ株式会社製の“アミラン”CM1006)
をバレル部5から充填してここに前記ストランドを走行
させ、さらに、凸曲面部がy=0.4x2 で表される曲線
をもつ曲面であり、隙間が0.4mmに調整されているスト
ランド拡幅部の前記隙間を通過させた。このときの溶融
ナイロン6の粘度は300ポイズに調整され、また、ス
トランドの走行速度は10m/分に調節されている。
【0038】ダイの導出口から導出されたプリプレグ前
駆体を、つぎに、冷却バスで冷却し、さらに乾燥機で乾
燥させたのち、巻取り機10で巻取り、幅が105mm、
平均厚みが0.09mmのテープ状プリプレグを連続的に製
造した。このプリプレグにおけるガラス繊維の体積含有
率は約48%であり、また、肌荒れや、単糸の毛羽だち
もほとんど認められず、しかも、単糸間に樹脂が均一に
含浸されていた。
【0039】実施例2 図5で示したような、ストランド拡幅部が2段配置され
ているダイを用いて、テープ状プリプレグを図1の装置
で製造した。単糸の太さが7μm、単糸の本数が120
00本からなる炭素繊維の無撚ストランドを用意した。
【0040】2段に配置したストランド拡幅部の隙間
は、いずれも、0.3mmに調整した。また用いた樹脂は実
施例1と同じナイロン6とし、その粘度を250ポイズ
に調整した。前記ストランドを1本、約30gの張力を
付加して装置内を連続走行させた。走行速度は6m/分
に調整した。
【0041】幅が25mm、平均厚みが0.05mmのテープ
状プリプレグを連続的に製造することができた。このプ
リプレグにおける炭素繊維の体積含有率は約37%であ
り、また、肌荒れや、単糸の毛羽だちもほとんど認めら
れず、しかも、単糸間に樹脂が均一に含浸されていた。
【0042】
【発明の効果】本発明においては、ストランド拡幅用ダ
イのストランド拡幅部を通過するストランドは、このス
トランドと一緒に供給される溶融樹脂が受ける絞り膜作
用によって拡幅され、同時に各単糸間に溶融樹脂が円滑
に含浸される。ストランドがストランド拡幅部のバー部
材と激しく接触することがないので、摩擦などによる毛
羽だちも防止され、得られるプリプレグの肌荒れなどが
起こりにくくなり、また繊維と樹脂との複合状態も良好
になる。
【0043】バー部材の凸曲面部間の隙間の大きさや、
溶融樹脂の粘度を変化させて、前記絞り膜作用が適切に
発生するようにストランドを高速で走行させることもで
きるので、プリプレグを高い生産性の下で製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するときの装置全体の配列を
示す概略図である。
【図2】本発明のストランド拡幅用ダイの1例を示す縦
断面図である。
【図3】ストランド拡幅部の1例を示す斜視図である。
【図4】ストランド拡幅部の他の例を示す斜視図であ
る。
【図5】ストランド拡幅用ダイの他の例を示す縦断面図
である。
【図6】図5のダイに配置するストランド拡幅部の例を
示す斜視図である。
【図7】ストランド拡幅部を2段配置するときの例を示
す概略図である。
【符号の説明】
1 ストランド 1’ プリプレグ前駆体 2 ストランドの送出機 3 ガイド 4 ホッパー 5 バレル部 6 ストランド拡幅用ダイ 7 押出機本体 8 冷却バス 9 乾燥機 10 巻取り機 11 ヘッドブロック 11a ストランドの導入口 11b ヘッドブロック11の空胴部 12 ダイ本体 12a ダイ本体12のストランド導入口 12b ダイ本体の空胴部 12c、12e、12f 空胴部 12d 空間 13 ノズル部 13a プリプレグ前駆体の導出口 14 溶融樹脂のバックフロー防止用治具 14a 治具14のストランド通過路 14b 治具14のノズル構造 15 バー部材 15a バー部材15の凸曲面部 15b バー部材15の他の面 15c 平面 15d バー部材の側端部 15e 切削面 A、A1 、A2 ストランド拡幅部 B 溶融樹脂充填部 w 凸曲面部間の隙間

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端部にストランドの導入口、他端部に
    プリプレグ前駆体の導出口が形成され、内部はストラン
    ドが走行する空胴部になっているダイであって、前記空
    胴部には、ストランドの走行方向に対して交差する方向
    に延びる凸曲面部を有する一対のバー部材を前記凸曲面
    部を対向させて配置して前記凸曲面部の間に隙間を形成
    してなるストランド拡幅部と、前記ストランド拡幅部
    の、前記ストランド導入口側に配置した溶融樹脂充填部
    とを設けたことを特徴とするストランド拡幅用ダイ。
  2. 【請求項2】 前記凸曲面部間の隙間の大きさが、導入
    されるストランドを構成している単糸の直径の3〜15
    0倍である、請求項1のストランド拡幅用ダイ。
  3. 【請求項3】 前記ストランド拡幅部が、ストランドの
    走行方向に複数段設置されている、請求項1のストラン
    ド拡幅用ダイ。
  4. 【請求項4】 前記ストランド拡幅部が、ストランドの
    走行方向と前記凸曲面部の延びる方向とがなす面内にお
    いて前記ストランドの走行方向に対して傾けて配置され
    ている、請求項1、2または3のストランド拡幅用ダ
    イ。
  5. 【請求項5】 ストランドを、緊張状態で、請求項1の
    拡幅用ダイのストランド導入口からダイ内に導入して溶
    融樹脂充填部内を走行させるとともに前記ストランド拡
    幅部の隙間を通過させてテープ状のプリプレグ前駆体を
    形成し、ついで、そのプリプレグ前駆体をダイの導出口
    から導出することを特徴とするプリプレグの製造方法。
JP03292805A 1991-11-08 1991-11-08 ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法 Expired - Fee Related JP3136704B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03292805A JP3136704B2 (ja) 1991-11-08 1991-11-08 ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03292805A JP3136704B2 (ja) 1991-11-08 1991-11-08 ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05131446A true JPH05131446A (ja) 1993-05-28
JP3136704B2 JP3136704B2 (ja) 2001-02-19

Family

ID=17786580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03292805A Expired - Fee Related JP3136704B2 (ja) 1991-11-08 1991-11-08 ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3136704B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100343518B1 (ko) * 2000-02-09 2002-07-18 정호갑 장섬유 복합재 및 그 제조방법과 제조장치
JP2007118216A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Toho Tenax Co Ltd 炭素繊維強化熱可塑性樹脂テープ及びその製造方法
JP2021178882A (ja) * 2020-05-11 2021-11-18 丸八株式会社 繊維強化複合材及びその製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100343518B1 (ko) * 2000-02-09 2002-07-18 정호갑 장섬유 복합재 및 그 제조방법과 제조장치
JP2007118216A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Toho Tenax Co Ltd 炭素繊維強化熱可塑性樹脂テープ及びその製造方法
JP2021178882A (ja) * 2020-05-11 2021-11-18 丸八株式会社 繊維強化複合材及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3136704B2 (ja) 2001-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102466875B1 (ko) 섬유 강화 수지 시트재의 제조 방법
JP3670321B2 (ja) クロスヘッドダイおよび長繊維強化樹脂構造物の製造方法
US5206085A (en) Preformed yarn useful for forming composite articles and process for producing same
JP6454399B1 (ja) 溶融含浸装置及び溶融含浸方法
JP3584065B2 (ja) 長繊維強化樹脂構造物の製造装置及び製造方法
WO1995015255A1 (fr) Procede et appareil de moulage par etirage en continu de tiges en matiere plastique renforcee par fibres portant une rainure helicoidale
US20230241837A1 (en) Continuous Fiber Reinforced Thermoplastic Resin Composite Material and Method for Producing Same
JP5774465B2 (ja) 繊維強化プラスチック製テープの製造方法およびそれに用いる製造装置
CN1182668A (zh) 模制表面紧固件及制造该紧固件的方法
US3844097A (en) Composite spinning
US5433419A (en) Method for forming fiber-reinforced molding pellets
EP0303499B1 (en) Preformed yarn useful for forming composite articles and process of producing same
JP3667294B2 (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂材料の製造装置および製造方法
JP3136704B2 (ja) ストランド拡幅用ダイおよびそれを用いたプリプレグの製造方法
JPH0144144B2 (ja)
JP2007254566A (ja) 長繊維ペレット、その製造方法、及び繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法
JP2001129827A (ja) 長繊維ペレットおよびその製造方法ならびにその製造装置
CN115256924A (zh) 一种纤维分布可控的纤维复合材料3d打印方法
JP3018413B2 (ja) コンポジット用混繊糸の製造方法
JPH06254856A (ja) 長繊維強化合成樹脂ストランドの製造方法
JP2662853B2 (ja) 長繊維強化熱可塑性樹脂成形材料の製造法及び製造装置
JPH0691637A (ja) 繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されたペレットの製造方法および繊維束を熱可塑性樹脂で被覆する装置
JP3237717B2 (ja) 熱可塑性複合材料の製造方法
JP3391408B2 (ja) 熱可塑性複合材料の製造方法
JPH06143273A (ja) 成形材料及びフィラメントワインディング成形品

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees