JPH0691637A - 繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されたペレットの製造方法および繊維束を熱可塑性樹脂で被覆する装置 - Google Patents

繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されたペレットの製造方法および繊維束を熱可塑性樹脂で被覆する装置

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JPH0691637A
JPH0691637A JP26928492A JP26928492A JPH0691637A JP H0691637 A JPH0691637 A JP H0691637A JP 26928492 A JP26928492 A JP 26928492A JP 26928492 A JP26928492 A JP 26928492A JP H0691637 A JPH0691637 A JP H0691637A
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Kiyomi Ouchi
清美 大内
Katsunori Yamada
勝典 山田
Tsuneo Niinuma
恒夫 新沼
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炭素繊維などの繊維束の周囲が熱可塑性樹脂
により被覆されたペレットを製造する際、太さの不均一
な連続繊維束を使用しても連続して安定した被覆作業を
行うことができ、また周囲の熱可塑性樹脂層の表面に繊
維の毛羽が現れるのを防止できるようにする。 【構成】 複数本の撚糸1を撚った連続繊維束2を、溶
融熱可塑性樹脂4の溜部3内に導入し、溜部3の出口に
設けられたノズル5の孔C内を通過させて引き抜き装置
7により引き抜く。ノズル5は孔Cの開口断面積が可変
自在となって、太さが不均一な連続繊維束2であっても
孔C内を通過させることができ、連続繊維束2の周囲に
全長にわたって安定した溶融熱可塑性樹脂層を形成でき
る。ノズル5を通過した後に冷却装置6により冷却し、
切断して複合材を製造するための繊維含有ペレットが得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維を含有する複合材
(例えば短炭素繊維強化熱可塑性樹脂など)の製造に供
される繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されたペレットを製
造する方法およびこのペレットを製造するための繊維束
を熱可塑性樹脂で被覆する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、熱可塑性樹脂の機械的特性、電気
的特性、摺動特性などの諸特性を改善する目的で、熱可
塑性樹脂に各種繊維を添加した複合材(例えば短炭素繊
維強化熱可塑性樹脂など)が広く使用されている。かか
る複合材を製造する一つの方法として、約3〜10mm
程度の短繊維を熱可塑性樹脂に混合(ブレンド)した
後、押出機などを用いてこの混合物を溶融混練し、押出
機内にて短繊維を熱可塑性樹脂中に均一に分散させて成
形する方法がある。しかしながら、この方法では、短繊
維と熱可塑性樹脂とを混合(ブレンド)するときに、短
繊維が毛玉状になり短繊維を押出機などへ安定して供給
することが不可能になるという問題が生じる。
【0003】このような問題を解決するため、前記複合
材を製造する際、熱可塑性樹脂に混合するものとして、
短繊維を含むペレットまたは短繊維を含むチョップスト
ランドを製造する方法が開発されている。前記ペレット
を製造する方法は例えば特公昭49−41105号公報
に提案されている。このペレットの製造方法は、被覆電
線の製造工程と同様のクロスヘッドダイを用い、1本の
ストランドに集められた複数のガラス繊維から成るロー
ビングを前記クロスヘッドダイに供給し、ロービングの
周囲をシランカップリング剤とガラス繊維を含む溶融熱
可塑性樹脂で被覆し、その後に冷却して任意の長さに切
断するものである。
【0004】また前記チョップストランドを製造する方
法は例えば特開平2−129229号公報に提案されて
いる。このチョップストランドの製造方法は、2〜30
(回/m)の撚りを有する炭素繊維束をサイズ剤濃度
0.5〜30重量%のサイズ剤浴に導入した後乾燥さ
せ、1〜10重量%の濃度のサイズ剤を付与して集束さ
せ、次いで切断するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし特公昭49−4
1105号公報に示された方法では、クロスヘッドダイ
に対して太さが均一な繊維束しか通過させることができ
ないため、例えば途中に結び目などが有るような太さが
不均一な連続繊維束を通過させてその周囲に溶融熱可塑
性樹脂層を形成することは困難である。
【0006】また特開平2−129229号公報に示さ
れた方法では、不連続炭素繊維から製造されたスライバ
ーのような弾性回復の大きい繊維束を使用した場合に、
サイズ剤の量が少ないと撚りが回復し集束が不十分とな
る。集束が不十分であると、複合材の製造工程にて熱可
塑性樹脂と混合(ブレンド)して押出機や射出成形機に
供給する際に、この押出機や射出成形機のホッパー内で
繊維が浮き上り、繊維が熱可塑性樹脂内に定量的に均一
に供給されなくなる。また溶融した熱可塑性樹脂にチョ
ップストランドを供給する場合にも、集束性の低下した
チョップストランドの定量供給が困難になる。
【0007】また短繊維の集束力を強めるためにサイズ
剤を多く使用すると、複合材を製造する際に、サイズ剤
が複合材のマトリックス樹脂に悪影響を及ぼしたり、多
量の溶媒の乾燥のために多大のエネルギーを消費するな
どの不都合を生じる。またこのような方法において、短
繊維を撚って製造した撚糸のように繊維束の表面が毛羽
だっている繊維束を使用した場合には、成形後のチョッ
プストランドの表面に毛羽がそのまま残り充填密度が小
さくなる。よって複合材を製造する際に、チョップスト
ランドを押出機などへ安定して供給できなくなる。
【0008】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、例えば途中に結び目などが形成されることにより
太さが不均一になった繊維束および表面が毛羽だってい
るような繊維束であっても適用できるようにしたペレッ
トの製造方法およびこのペレットを製造するために使用
される繊維束を熱可塑性樹脂で被覆する装置を提供する
ことを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によるペレットの
製造方法は、溶融した熱可塑性樹脂中に太さが不均一な
繊維束を導入する工程と、孔の開口断面積が可変自在と
なったノズル内を通して周囲に前記溶融熱可塑性樹脂の
層が形成された前記繊維束を引き抜く工程と、引き抜い
た後にこれを冷却する工程と、冷却後に切断する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0010】また本発明による装置は、溶融熱可塑性樹
脂の溜部と、この溜部の出口に配置され且つ孔の開口断
面積が可変自在なノズルと、前記溜部内に導入された太
さが不均一な繊維束を前記ノズルの孔内を通過させて引
き抜く引き抜き手段と、前記引き抜き手段により前記ノ
ズルから抜き出され周囲に溶融熱可塑性樹脂層が形成さ
れた繊維束を冷却する冷却部とを有することを特徴とす
るものである。
【0011】上記装置において、ノズルに、両者の間に
孔を形成する相対移動自在な2つのブロックと、前記孔
の開口断面積を縮小する方向に前記両ブロックを付勢す
る付勢手段とを設け、前記孔の繊維束導入側の開口端
に、前記溜部の方向に向かって徐々に広がるテーパ面を
形成するのが好ましい。
【0012】本発明は、溶融した熱可塑性樹脂中に連続
する繊維束を導入して、繊維束の周囲に溶融熱可塑性樹
脂層を形成するが、このとき孔の開口断面積が可変自在
なノズルを使用し、周囲に溶融熱可塑性樹脂層が形成さ
れた連続繊維束をこのノズルの孔内から引き抜く。孔の
開口断面積が可変自在な構造のノズルを使用することに
より、繊維束の途中に結び目などがあって他の部分より
太くなっている場合、この太い部分が前記孔を通過する
ときに孔が広がってその開口断面積が広くなり、繊維束
が容易に通過することができる。よって太さが不均一な
繊維束を使用した場合であっても、繊維束を連続的に安
定して供給でき、また繊維束の全長にわたって熱可塑性
樹脂層を安定して形成できる。
【0013】また、溜部に導入され周囲に溶融熱可塑性
樹脂の層が形成された連続繊維束がノズルの孔内を通過
するときに、溶融熱可塑性樹脂層の表面がノズルの孔の
内面により平滑状に成形される。よって短繊維を撚って
製造した撚糸のように表面が毛羽だっている繊維束を使
用した場合であっても、ノズルの孔を通過した後に毛羽
が溶融熱可塑性樹脂層の表面に現れなくなる。またノズ
ルの孔を通過する際に繊維束の周囲の余分な溶融熱可塑
性樹脂が除去されるので、繊維の充填密度が高いペレッ
トが得られる。
【0014】ここで、本発明によるペレットの製造方法
に使用される連続繊維束の周囲を熱可塑性樹脂で被覆す
る装置の一例を図面により説明する。図1はこの装置の
全体の構造を示している。押出機などの溶融熱可塑性樹
脂供給装置9にて溶融された溶融熱可塑性樹脂4は、溜
部3に供給される。連続繊維束2は、例えばピッチ系炭
素繊維を引き揃えたスライバーに撚りを与えて撚糸1と
し、この撚糸1を2〜3本束ねてさらに撚りが与えられ
たものである。または1本の撚糸1をそのまま連続繊維
束2として使用することも可能である。
【0015】この連続繊維束2は、前記溜部3内の溶融
熱可塑性樹脂4中に導入される。この連続繊維束2は溜
部3の底部3aに設置された孔の断面積が可変なノズル
5および冷却装置6を通過して引き抜き装置7によって
連続的にY方向へ引き抜かれ、繊維束の周囲に熱可塑性
樹脂層が連続形成された被覆繊維束8が形成される。こ
の被覆繊維束8が所望の長さに切断されてペレットが得
られる。このペレットは複合材(例えば短炭素繊維強化
熱可塑性樹脂など)の製造の際に、マトリクス樹脂とな
る熱可塑性樹脂とともに使用するのに好適なものとな
る。
【0016】図2ないし図8は前記ノズル5の構造の一
例を示している。図2と図4は、孔の開口断面積の変化
を示すノズル5の平面図、図3は図2のIII−III
断面図、図5は図4のV−V断面図、図6は図2のVI
−VI断面図、図7はノズル5を斜め上方から見た分解
斜視図、図8はノズル5を上下逆にして示した底部斜視
図である。ノズル5は、2つのブロックAとBに別れて
いる。図7に詳しく示されるように、ブロックAには、
孔Cの内周面の一部を構成する半円筒面11と、これに
連続する垂直面に挟まれた溝12が形成されている。前
記半円筒面11の図示上側(連続繊維束2の導入側)の
開口端には半円錐状のテーパ面13と、このテーパ面1
3と連続し且つ前記溝12の図示上側に連続する斜面溝
14が形成されている。
【0017】ブロックBには、孔Cの内周面の一部を構
成する半円筒面21と、その図示上側(連続繊維束2の
導入側)に連続する半円錐状のテーパ面23が形成され
ている。前記半円筒面21は、細幅の下部摺動部22の
先端に形成され、テーパ面23は上部摺動部24の先端
面に形成されている。上部摺動部24の両側面は、前記
斜面溝14と同じ傾斜角度の摺動傾斜面25となってい
る。
【0018】図6に示すように、ブロックBの下部摺動
部22はブロックAの溝12に隙間なく挿入され、ブロ
ックBの上部摺動部24の摺動傾斜面25は、ブロック
Aの斜面溝14内に隙間なく挿入されて、両ブロックA
とBが相対摺動できるように組み合わされる。そして両
ブロックAとBの合せ部に孔Cが形成される。
【0019】図2と図3は、孔Cの開口断面積が最も小
さくなった状態を示している。このとき孔Cは、ブロッ
クAの半円筒面11とブロックBの半円筒面21とに囲
まれ、断面がほぼ真円形で且つ直管状となる。このとき
の孔Cの内径寸法をd1で示す。またこのとき孔Cの繊
維束導入側には、ブロックAのテーパ面13とブロック
Bのテーパ面23とにより、円錐面状の開口傾斜面が形
成される。このときの開口傾斜面の開口端の内径寸法を
D1で示す。
【0020】図4と図5は、ブロックAとブロックBと
を互いに離れる方向へスライドさせた状態を示してい
る。このとき孔Cは、ブロックAの半円筒面11および
溝12の垂直面の一部と、ブロックBの半円筒面21と
に囲まれ、断面が長円形状で且つ直管状となる。このと
きの孔Cの長径寸法をd2で示している。また孔Cの繊
維束導入側には、ブロックAのテーパ面13および斜面
溝14の一部とブロックBのテーパ面23とで開口傾斜
面が形成される。このときの開口傾斜面の開口端の長径
寸法をD2で示す。ここで、ノズル5における孔Cの開
口断面積とは、内径寸法(d1またはd2)を含む平面
(通過する繊維に垂直な面)での開口断面積をいう。
【0021】図7に示すように、ノズル5における連続
繊維束2の導入側には、金属製の当て板28が設けられ
る。この当て板28は、ブロックAの図示上面にボルト
により固定される。この当て板28には導入穴28aが
形成されている。この導入穴28aは、ブロックAとB
の相対的なスライドにより孔Cの開口断面積が最大にな
ったとき、前記テーパ面13と斜面溝14およびテーパ
面23により囲まれる開口傾斜面の開口端の面積と等し
い寸法かそれ以上の寸法となっている。前記当て板28
がブロックAに固定されることにより、ブロックBは、
ブロックAの斜面溝14と当て板28とで挟まれた状態
で図7の図示上下方向へ抜けることなくスライドできる
ようになる。
【0022】図8に示すように、ブロックAの下面とブ
ロックBの下面との間には、両ブロックを互いに引き付
ける方向へ付勢するスプリング31,31が設けられて
いる。ブロックAの下面にはばね支持板32,32が固
定されブロックBの下面にはばね支持板33,33が設
けられ、スプリング31,31は両ばね支持板32,3
2と33,33の間に掛けられている。このスプリング
31,31により、孔Cの開口断面積が最小になるよう
にブロックAとブロックBが互いに引き付けられる。こ
のスプリング31,31による引き付け力は調整できる
ようにすることが好ましい。この引き付け力の調整のた
めの構造は、例えばばね支持板33,33に調整ボルト
34,34を螺着し、スプリング31,31の一端をこ
のボルト34,34に連結することにより実現できる。
このボルト34,34のねじ込み量を調整することによ
り、スプリング31,31の設定長を可変し、ブロック
AとブロックBとの引き付け力を調整できる。この調整
作業が完了した後に固定ナット35,35を締め付ける
ことにより、ボルト34,34が弛むことなく固定され
る。
【0023】このように、ブロックAとブロックBとの
間に孔Cが形成され、且つブロックAとブロックBがス
プリング31,31により互いに引き付けられることに
より、溶融熱可塑性樹脂4の溜部3内に導入された連続
繊維束2に結び目などがあってこの連続繊維束2に他の
部分より太い部分があったとしても、この太い部分がノ
ズル5の孔C内を容易に通過できるようになる。すなわ
ち周囲に溶融熱可塑性樹脂4が付着した連続繊維束2の
太い部分がノズル5の孔Cに入ると、引き抜き装置7に
よる引き抜き力の分力が孔Cの壁面に作用し、孔Cを押
し広げようとする力が加わる。この力によりブロックA
とブロックBが相互にスライドし、孔Cの開口断面積が
広がり、結び目などによる連続繊維束2の太い部分の通
過が可能となる。結び目などの通過後はスプリング3
1,31の弾性力によりブロックAとブロックBは、元
の相対的な位置すなわち孔Cの開口断面積が最小になる
ように復元される。
【0024】ノズル5の孔Cの大きさ(孔Cの開口断面
積が最小のときの内径寸法d1)は、溜部3に導入され
る連続繊維束2の太さ、ならびに連続繊維束2に対する
熱可塑性樹脂の被覆量などを勘案して決定される。ノズ
ル5の孔Cの断面形状は種々のものが設計可能である
が、図2に示すように開口断面積が最小となった状態で
の孔Cの開口断面の形状は真円形または長円形であるこ
とが好ましい。また孔Cの絞り角すなわちテーパ面1
3,23と斜面溝14の開き角度(図3における角θ)
は好ましくは20〜40°、さらに好ましくは25〜3
5°であり、この角度にすることにより、溶融熱可塑性
樹脂4が被覆された連続繊維束2の太さの変化に追随し
た孔Cの開口断面積の変化が容易となり、装置の安定な
運転が可能となる。
【0025】この装置において、連続繊維束2の被覆に
用いる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、複合材のマ
トリックス樹脂と同種のものを使用するのが好ましい。
連続繊維束2を被覆するための熱可塑性樹脂は、押出機
などの溶融熱可塑性樹脂供給装置9にて溶融され、溜部
3へ供給される。溜部3は、内部の溶融熱可塑性樹脂4
の温度を制御するための温度調節機構を備えたものが好
ましい。この温度の調節により溜部3内での溶融熱可塑
性樹脂4の粘度を2×103(Pa・s)以下に保つこ
とが好ましい。溶融熱可塑性樹脂4の粘度が2×103
(Pa・s)以上では、連続繊維束2への樹脂被覆が不
十分となる。
【0026】溜部3内の溶融熱可塑性樹脂4の温度が高
すぎると樹脂が熱分解するため、溶融熱可塑性樹脂4の
温度は、前記範囲の粘度を与えることのできる温度範囲
内でなるべく低い方が良い。溜部3内の溶融熱可塑性樹
脂4の酸化、熱分解を防ぐために、溶融熱可塑性樹脂4
の上部空間を窒素などの不活性ガスで置換するのも有効
である。また熱可塑性樹脂に安定剤を添加して熱分解を
防止することもできる。さらに溜部3の底部3aは、溶
融熱可塑性樹脂4が溜部3内に長時間にわたって滞留す
るのを防止するため、ノズル5の孔Cに向かって内径が
徐々に減少する円錐面とすることが好ましい。
【0027】本発明で用いられる繊維としては、遠心紡
糸法によって製造されたピッチ系炭素繊維、アスベスト
繊維および各種紡績糸などが挙げられるが、以下におい
ては、遠心紡糸法によって製造されたピッチ系炭素繊維
を例にして説明する。まず5000〜12000本程度
のピッチ系炭素繊維をほぼ平行に引き揃えてスライバー
とした後、20〜120(回/m)の撚りをかけて撚糸
1とする。溜部3とノズル5を通過させて溶融熱可塑性
樹脂4にて被覆するものとして1本の撚糸1を使用して
も運転が可能であるが、撚糸1の引っ張り強度が小さい
場合には、引き抜き装置7の引き抜き力により切れる場
合がある。そこで図1に示すように撚糸1を2〜3本束
ねてこれをさらに10〜80(回/m)撚ったものを樹
脂被覆のための連続繊維束2とすることが好ましい。
【0028】上記装置では、連続繊維束2が溜部3内の
溶融熱可塑性樹脂4中に導入されることにより、連続繊
維束2の周囲に溶融熱可塑性樹脂4の層が形成され、こ
れがさらにノズル5の孔C内を通過する。ノズル5の孔
Cは開口断面積が広がることができ、またスプリング3
1,31の弾性力により孔Cの開口断面積が縮小する復
元力が与えられているため、連続繊維束2に太さの変化
(例えば繊維の結び目による太さの変化)が有っても、
連続繊維束2が連続して孔C内を容易に通過できる。連
続繊維束2がこの孔C内を通過する際に、その周囲の余
分な溶融熱可塑性樹脂が除去され、また連続繊維束2の
周囲を被覆する溶融熱可塑性樹脂の外表面が孔Cの内面
により平滑状に成形される。溶融熱可塑性樹脂の表面が
平滑状に成形されることにより、撚糸1の毛羽が樹脂層
の表面に現れなくなり、また連続繊維束2の周囲から余
分な溶融熱可塑性樹脂が除去されることにより、熱可塑
性樹脂内への繊維の充填密度が高くなる。
【0029】このようにしてノズル5から引き抜かれた
溶融熱可塑性樹脂で周囲が被覆された繊維束は、冷却装
置6により冷却され周囲の溶融熱可塑性樹脂層が固化
し、被覆繊維束8となる。この冷却装置6による冷却方
法は、水冷、空冷など適宜方法で行なわれる。また被覆
繊維束8に引き抜き力を与える引き抜き装置7では、一
対のピンチロールにより被覆繊維束8を挟みロールの回
転力により引き抜きを行うなどの公知の方法が採用され
る。
【0030】複合材(炭素短繊維強化熱可塑性樹脂)を
製造するためのペレットを製造する場合には、上記工程
により製造された周囲が熱可塑性樹脂で被覆された被覆
繊維束8を適当な長さに切断し、切断されたものをペレ
ットとする。この切断時の熱可塑性樹脂層の温度が低す
ぎると、切断時に被覆繊維束8の周囲の熱可塑性樹脂層
が破損されるおそれがあるため、図1に示した被覆繊維
束8の製造工程と前記切断作業とを連続して行い、冷却
装置6による冷却条件などを調節し、被覆繊維束8の周
囲の熱可塑性樹脂層の破損が起こりにくい温度を保持し
ている段階で切断することが好ましい。
【0031】
【実施例】
(実施例1)遠心紡糸法によって製造されたピッチ系炭
素繊維約9000本をほぼ平行に引き揃えたスライバー
に75(回/m)の撚りをかけた撚糸1をボビンに約1
000m巻取った。図1に示した装置を使用して熱可塑
性樹脂の被覆作業を行った。使用したノズル5は図2な
いし図8に示すのと同じ構造であり、開口断面積が最小
となった状態(図2の状態)での孔Cの開口形状は、直
径d1が3.4mmのほぼ真円形であった。また図3に
示す上方の開口傾斜面の絞り角θは30°であった。熱
可塑性樹脂としては、ポリアセタール樹脂(ポリプラス
チック株式会社製の商品名「ジュラコンM90−00
8」)を使用し、溜部3内での溶融ポリアセタール樹脂
の温度を203〜210℃に保った。
【0032】前記ピッチ系炭素繊維の撚糸1を2本使用
しこれに30(回/m)の撚りをかけながら連続繊維束
2として溜部3の溶融ポリアセタール樹脂中に導入し、
開口断面積が可変自在な孔Cを有するノズル5内を通過
させ、さらに冷却装置6を通して引き抜いた。このとき
の引き抜き装置7による引き抜き速度は、7(m/分)
であった。この引き抜き作業により、ピッチ系炭素繊維
の繊維束の周囲がポリアセタール樹脂により被覆された
被覆繊維束8が得られた。この被覆繊維束8では、周囲
のポリアセタール樹脂層の表面に繊維の毛羽が現れなか
った。
【0033】また前記撚糸1として、途中が通常の玉結
びによりつながれたものを使用したため、連続繊維束2
は、前記玉結びの部分にて他の部分よりも太くなってい
たが、この太い部分は支障なくノズル5の孔C内を通過
した。また製造後の被覆繊維束8では、この太い部分の
周囲にも熱可塑性樹脂層が他の部分と同様に平滑に形成
されているのが確認できた。
【0034】また冷却装置6の冷却条件を制御して、製
造後の被覆繊維束8の周囲のポリアセタール樹脂層の温
度を約60〜65℃に保ち、被覆繊維束8をペレタイザ
ーで長さ約3〜4mmに切断して、複合材製造用のペレ
ットを製造した。このようにして製造されたペレットの
ポリアセタール樹脂含有量は、50重量%、ペレットの
充填密度は0.4g/cm3であった。
【0035】(実施例2)実施例1と同様の装置を用
い、熱可塑性樹脂としてはポリフェニレンスルフィド
(PPS)樹脂(呉羽化学工業株式会社製の商品名「フ
ォートロンW−214」)を使用し、溜部3内にて溶融
ポリフェニレンスルフィド樹脂の温度を311℃に保っ
た。また溜部3内の溶融樹脂の上部空間に窒素ガスを吹
き込んで空気と置換しながら運転した。実施例1と同様
のピッチ系炭素繊維の撚糸1を3本使用し、20(回/
m)の撚りをかけながらこれを連続繊維束2として溶融
ポリフェニレンスルフィド樹脂中に導入し、ノズル5お
よび冷却装置6を通して引き抜き装置7により13(m
/分)の速度で引き抜き、ピッチ系炭素繊維による繊維
束2の周囲がポリフェニレンスルフィド樹脂で被覆され
た被覆繊維束8を製造した。
【0036】この実施例においても撚糸1の途中を通常
の玉結びによりつなぎ、部分的に太い連続繊維束2を使
用したが、この太い部分が支障なく連続してノズル5内
を通過し、溶融ポリフェニレンスルフィド樹脂の被覆作
業を連続運転により行うことができた。また結び目によ
り太くなっている部分の繊維束の周囲にポリフェニレン
スルフィド樹脂層が安定して形成されていた。また樹脂
層の表面に繊維の毛羽は現れなかった。
【0037】製造された被覆繊維束8はその周囲のポリ
フェニレンスルフィド樹脂層の温度が約60〜65℃に
なるように制御しながら、ペレタイザーで長さ約3〜4
mmに切断して複合材製造用のペレットを製造した。こ
のようにして製造されたペレットは、ポリフェニレンス
ルフィド樹脂の含有量が36重量%、ペレットの充填密
度が0.35g/cm3であった。
【0038】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、開口断面
積が可変自在なノズルを通して、熱可塑性樹脂中に導入
された繊維束を引き抜いたため、繊維束の途中に結び目
などが有って他の部分より太い部分があっても、この太
い部分がノズルの孔を容易に通過でき、この太い部分を
含め繊維束の周囲全長に熱可塑性樹脂層を安定して形成
することができる。
【0039】また、短繊維を撚って製造した撚糸のよう
に表面が毛羽だっている繊維束の場合でも、毛羽が熱可
塑性樹脂層の表面に現れることはなく、また充填密度の
大きいペレットが得られ、複合材を製造する際にこのペ
レットを押出機などへ安定して供給することができるよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維束を熱可塑性樹脂により被覆する装置の構
成図、
【図2】孔の開口断面積が最小になったときのノズルを
示す平面図、
【図3】図2のIII−III断面図、
【図4】孔の開口断面積が広がった状態を示すノズルの
平面図、
【図5】図4のV−V断面図、
【図6】図2のVI−VI断面図、
【図7】ノズルを斜め上方から見た分解斜視図、
【図8】ノズルを上下逆にして示した底部斜視図、
【符号の説明】
1 撚糸 2 連続繊維束 3 溜部 4 溶融熱可塑性樹脂 5 ノズル 6 冷却装置 7 引き抜き装置 8 被覆繊維束 9 溶融熱可塑性樹脂供給装置 A ブロック B ブロック C 孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融した熱可塑性樹脂中に太さが不均一
    な繊維束を導入する工程と、孔の開口断面積が可変自在
    となったノズル内を通して周囲に前記溶融熱可塑性樹脂
    の層が形成された前記繊維束を引き抜く工程と、引き抜
    いた後にこれを冷却する工程と、冷却後に切断する工程
    とを含むことを特徴とする繊維束が熱可塑性樹脂で被覆
    されたペレットの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融熱可塑性樹脂の溜部と、この溜部の
    出口に配置され且つ孔の開口断面積が可変自在なノズル
    と、前記溜部内に導入された太さが不均一な繊維束を前
    記ノズルの孔内を通過させて引き抜く引き抜き手段と、
    前記引き抜き手段により前記ノズルから抜き出され周囲
    に溶融熱可塑性樹脂層が形成された繊維束を冷却する冷
    却部とを有することを特徴とする繊維束を熱可塑性樹脂
    で被覆する装置。
  3. 【請求項3】 ノズルには、両者の間に孔を形成する相
    対移動自在な2つのブロックと、前記孔の開口断面積を
    縮小する方向に前記両ブロックを付勢する付勢手段とが
    設けられ、前記孔の繊維束導入側の開口端には、前記溜
    部の方向に向かって徐々に広がるテーパ面が形成されて
    いる請求項2記載の繊維束を熱可塑性樹脂で被覆する装
    置。
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