JPH0513125B2 - - Google Patents

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JPH0513125B2
JPH0513125B2 JP60204927A JP20492785A JPH0513125B2 JP H0513125 B2 JPH0513125 B2 JP H0513125B2 JP 60204927 A JP60204927 A JP 60204927A JP 20492785 A JP20492785 A JP 20492785A JP H0513125 B2 JPH0513125 B2 JP H0513125B2
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JP
Japan
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dental composition
composition according
photopolymerizable dental
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JP60204927A
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JPS6263506A (ja
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Kenichi Hino
Junichi Yamauchi
Koji Nishida
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Publication of JPH0513125B2 publication Critical patent/JPH0513125B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用性) 本発明は新規な重合開始剤を含むことによつ
て、可視光線の照射により重合硬化させることの
できる光重合性歯科用組成物に関する。本歯科用
組成物は、歯科用複合充填材料、歯冠用材料、人
工歯材料、う蝕予防用充填材料、義歯床、印象材
等として用いられる。 (従来技術) 従来、歯牙窩洞の修復に用いる歯科用光硬化型
複合材料としては、重合性単量体、光重合開始剤
および粒状充填剤を配合した液状又はペースト状
材料であつて、紫外線や可視光線の照射により重
合硬化させることのできるものが幾つか使用に供
されてきた。近年、紫外線硬化型のものは紫外線
の人体為害性が指摘されたため使用されなくな
り、可視光線硬化型のものが主に用いられてい
る。 従来提案された可視光線硬化型組成物に用いら
れる光重合開始剤としては、α−ジケトンとアミ
ンとからなるもの(特開昭48−49875号)や、フ
ルオレノンまたはα−ジケトンと有機過酸化物と
からなるもの、さらにこれにアミンを併用するも
の(特開昭57−203007号)、芳香族ケトン、隣位
ケトアルドニル化合物、多核キノンなどを増感剤
とし、これに促進剤のヘテロ環状メルカプタンを
加えたもの(特開昭53−702号)などがある。 (本発明が解決しようとする問題点) しかしながら、これらの光重合開始剤の実用的
性能は未だに不充分である。たとえばα−ジケト
ン−アミン系、α−ジケトン−有機過酸化物系お
よび隣位ケトアルドニル化合物−ヘテロ環状メル
カプタン系では硬化速度が不十分であり、実用性
に欠ける。また、α−ジケトン−有機過酸化物−
アミンの3成分系では硬化速度は大きいものの、
保存安定性が極めて悪く、かかる光重合開始剤を
含む組成物を一包装内に保存することができない
という問題点がある。このように保存安定性に欠
ける場合には、例えばα−ジケトンと過酸化物を
一包装に、アミンを他の包装に分けて保存し、使
用時に両成分を混合することが考えられるが、操
作が繁雑になるので好ましくない。また、歯科修
復用材料に要求される性能の一つとして歯質に対
する接着性がある。したがつて、光重合性の歯科
用組成物に対しても上記の性能と共に歯質に対す
る接着性の高いことが望まれる。 したがつて、本発明が解決しようとする問題点
は、硬化速度が速く、歯質との接着性に優れしか
も保存安定性に優れた光重合性歯科用組成物を得
ることである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者らは、鋭意検討した結果下記の光重合
性歯科用組成物を得ることによつて、上記の問題
点を解決した。すなわち、本発明は、重合性単量
体と該単量体を可視光線により重合せしめうる開
始剤を含んでなる組成物において、該開始剤が(イ)
α−ジケトン、キノンおよびこれらの誘導体から
選択される少なくとも一種の光増感剤、(ロ)分子内
に少なくとも一個のチオール基を有する化合物お
よび(ハ)有機過酸化物を主要成分とすることを特徴
とする光重合性歯科用組成物である。 本発明において重合性単量体は目的・用途に応
じて適宜選択されるが、通常(メタ)アクリル酸
エステル系モノマーが用いられる。しかし、これ
以外にもα−シアノアクリル酸、クロトン酸、桂
皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸など
の1価又は2価アルコールとのエステル類、さら
にN−イソブチルアクリルアミドなどのような
(メタ)アクリルアミド類、酢酸ビニルなどのよ
うなカルボン酸のビニルエステル類、ブチルビニ
ルエーテルのようなビニルエーテル類、N−ビニ
ルピロリドンのようなモノ−N−ビニル化合物、
スチレン誘導体なども用いうる。 上述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー
としては下記のような一官能性、多官能性のもの
およびウレタン(メタ)アクリレート系モノマー
が好ましく用いられる。 (i) 一官能性 (メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸n−もしくはi−プロピル、(メタ)アクリル
酸n−もしくはi−もしくはt−ブチル、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートなど。 (ii) 二官能性 一般式 (ここでn:1〜14の整数、R1:水素又はメ
チル基)で示されるエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ドデカエチレングリコー
ル、テトラデカエチレングリコール等のジ(メ
タ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリ
レート、2,2−ビス〔p−(γ−メタクリロキ
シ−β−ヒドロキシプロポキシ)フエニル〕プロ
パン、ビスフエノールAジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、2,2−ジ(4−メタクリロキシポリエト
キシフエニル)プロパン(1分子中にエトキシ基
2〜10)、1,2−ビス(3−メタクリロキシ−
2−ヒドロキシプロポキシ)ブタンなど。 (iii) 三官能性以上 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレートなど。 (iv) ウレタン(メタ)アクリレート系 ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート
単量体2モルとジイソシアネート1モルの反応生
成物、両末端NCOのウレタンプレポリマーとヒ
ドロキシル基を有する(メタ)アクリレート単量
体の反応生成物なども挙げられ、かかる反応生成
物として次式の構造を有するものが挙げられる。 (ここでR1は水素またはメチル基、R2はアル
キレン基、R3は有機残基である。)具体的なもの
として、特公昭51−36960号に記載されている2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ートとメタクリル酸オキシプロピルとの反応生成
物、特公昭55−33687号に記載されている両末端
イソシアネートのウレタンプレポリマーとメタク
リル酸−2−オキシエチルとの反応生成物が挙げ
られる。また、特開昭56−152408号に開示されて
いるような四官能性のモノマーも用いられる。 本発明において用いられる光増感剤は、その紫
外可視吸収スペクトルにおいて380〜500umに明
らかな吸収を有するα−ジケトン、キノンもしく
はそれらの誘導体の少なくとも1種である。これ
らの増感剤は一般式
【式】
【式】
【式】
【式】
【式】
【式】
【式】または
【式】(式中Aは炭素 数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、2個のA
は同一であつても、異なつてもよく、2個のAど
うしが互いに結合して環状構造を形成していても
よい。また、式中A′は水素炭素数1〜4のアル
コキシ基または炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基
を表わし、A′は一つの環で2〜4個存在するが
複数のA′は同一であつても、異なつてもよい。)
で表わされる。これらの増感剤には、例えば、ジ
アセチル、ベンジル、2,3−ペンタンジオン、
2,3−もしくは3,4−ヘキサンジオン、2,
3−もしくは3,4−ヘプタンジオン、2,3
−、3,4−もしくは4,5−オクタンジオンの
ような鎖状のα−ジケトン化合物、カンフアーキ
ノン〔1,7,7−トリメチルビシクロ〔2,
2,1〕ヘプタン−2,3−ジオンの通称名〕や
ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジオ
ンのような脂環式α−ジケトン化合物、さらには
9,10−フエナントラキノン、9,10−アントラ
キノン、アセナフテンキノン、αまたはβ−ナフ
トキノンなどのような多核キノン、2−メチル−
1,4−ナフトキノン(ビタミンK3)、2−t−
ブチル−9,10−アントラキノン、2−エチルア
ントラキノン、1−クロルアントラキノン、1,
2−ベンズアントラキノン、2−メチルアントラ
キノン、2−メチル−3−フイチル−1,4−ナ
フトキノン(ビタミンK1)、2−メチル−3−ゲ
ラニルゲラニル−1,4−ナフトキノン(ビタミ
ンK2)、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,
4−ベンゾキノン(補酵素Q0)などの多核キノ
ンの誘導体が含まれる。 これらのなかでもアントラキノン、ナフトキノ
ン、アセナフテンキノン、フエナントラキノン、
1,2−ベンズアントラキノンまたはこれらのア
ルキル置換(アルキル基の炭素数1〜20)誘導体
とかカンフアキノン、2,3−ペンタンジオン、
2,3−もしくは3,4−ヘキサンジオン、2,
3−もしくは3,4−ヘプタンジオンまたは2,
3−、3,4−もしくは4,5−オクタンジオ
ン、ベンジル等が特に好ましい。これらの増感剤
は重合性単量体に対し0.01〜5重量パーセントの
範囲で使用される。 次に、本発明において用いられる分子内に少な
くとも1個のチオール基を有する化合物として、
次の化合物が挙げられる。 (イ) 一般式B−SH(式中Bは炭素数1〜20の脂肪
族炭化水素基または炭素数1〜20の芳香族炭化
水素基を表わし、これらの炭化水素基は炭素数
20以下のアルキル基、アリール基、ヒドロキシ
ル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコ
キシカルボニル基、アシル基、ジアルキルアミ
ノ基、アミノ基、メルカプト基、ハロゲノ基、
カルバモイル基、ニトロ基などを有していても
よい。) (ロ) 一般式
【式】〔式中Dは
【式】部分と共に5または6員環を 形成しており、かつDは単結合または二重結合
によつて結合しているかまたは1個の芳香環の
一部を形成している2個又は3個の炭素原子、
または、1個の炭素原子に結合された1個の窒
素原子からなり、Xは−O−,−S−、
【式】
【式】または
【式】(Rは Hまたは炭素数1〜4の低級アルキル基)を表
わす〕で表わされる化合物。 (ハ) 一般式
【式】(式中、Eは炭素数1〜 20の置換基を有することがあるフエニル基また
は炭素数1〜20のアルキル基を表わす)で表わ
される化合物。 具体的には以下のものが例示される。 前記(イ)で示されるものとして、1−オクタデカ
ンチオール、1−ドデカンチオール、1−エイコ
サンチオールなどのアルキルメルカプタン;シク
ロヘキシルメルカプタンなどのシクロアルキルメ
ルカプタン;チオフエノール、ナフタレン−2−
チオール、2−ナフタセンチオール、4−コラン
スレンチオール(1,2−ジヒドロベンズ〔h〕
アセアントリレン−4−チオール)などのアリー
ルメルカプタン;ベンジルメルカプタン、ナフタ
セン−2−イルメタンチオール、1,2−ジヒド
ロベンズ〔h〕アセアントリレン−4−イルメタ
ンチオールなどのアリールアルキルメルカプタ
ン;チオクレゾール、ブチルベンゼンチオール、
p−エイコシルチオフエノール、p−フイチルチ
オフエノールなどのアルキルアリールメルカプタ
ン;2−メルカプトエタノール、3−メルカプト
−1,2−プロパンジオールなどのヒドロキシル
基置換メルカプタン;メトキシベンゼンチオー
ル、2−メトキシエタンチオールなどのアルコキ
シ基置換メルカプタン;2−メルカプト酢酸、3
−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸など
のカルボキシル基置換メルカプタン;3−メルカ
プトプロピオン酸エチルなどのアルコキシカルボ
ニル基置換メルカプタン;4−メルカプトアセト
フエノンなどのアシル基置換メルカプタン;N,
N−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩、N,
N−ジイソプロピルアミノエタンチオール塩酸塩
などのジアルキルアミノ基置換メルカプタン;4
−アミノチオフエノールなどのアミノ基置換メル
カプタン;1,4−ブタンジチオール、1,9−
ノナンジチオールなどのチオール基含有メルカプ
タン;クロロチオフエノール、ブロモチオフエノ
ール、フルオロチオフエノールなどのハロゲン置
換メルカプタン;4−アセトアミドチオフエノー
ルなどのカルバモイル基置換メルカプタン;4−
ニトロチオフエノールなどのニトロ基置換メルカ
プタンなどが挙げられる。 前記(ロ)で示されるものとして、2−メルカプト
チアゾリン、2−メルカプトピリジン、2−メル
カプトキノリン、2−メルカプトイミダゾール、
2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、1−
H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、
2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプ
トベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズイミ
ダゾール、2−メルカプト−1−エチルベンズイ
ミダゾール、2−メルカプト−1−ブチルベンズ
イミダゾールなどが挙げられる。なかでも、2−
メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトベ
ンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾ
ールが好ましい。 前記(ハ)で示されるものとして、チオ安息香酸、
チオプロピオン酸、ヘンエイコサンチオイツクS
−酸、p−エイコシルベンゼンカルボチオイツク
S−酸などが挙げられる。 また、フルフリルメルカプタン、メチルフルフ
リルメルカプタンも用いられるが、できるだけ臭
気の弱いものが好ましい。 これらのチオール基を有する化合物は重合性単
量体に対し0.1〜10重量%の範囲で重合系に応じ
て最適の濃度が決定されて用いられる。 本発明において、硬化速度をさらに大きくする
ため、あるいは硬化物の物性を向上させるため、
光増感剤とチオール基を有する化合物に加えて有
機過酸化物を用いることが望ましい。従来のα−
ジケトンとアミンよりなる光重合開始剤において
は有機過酸化物を加えると、アミンと過酸化物に
よるレドツクス反応により保存安定性が極度に低
下することになる。これに対し本発明による光重
合開始剤では有機過酸化物を併用しても、保存安
定性が低下することはほとんどなく、1年以上の
保存安定性が得られる。本発明によれば、硬化速
度と保存安定性にすぐれる光重合開始剤が提供で
きるが、かかる性能は、従来技術では全く予想で
きないことであつた。 本発明において用いられる好ましい有機過酸化
物としては、ジアシルパーオキサイド類やパーオ
キシエステル類が挙げられるが、特に過酸化ベン
ゾイル、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−
ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサンなどの安息香酸の誘導体と考えられる過酸
化物が好適である。これらの過酸化物は重合性単
量体に対し0.1〜10重量パーセントの濃度で使用
するのが好ましい。 本発明の組成物には上述の重合性単量体および
光重合開始剤の他に目的に応じて各種の充填剤が
加えられてもよい。この充填剤は有機物であつて
も無機物であつてもよく、有機物としてはポリ
(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリ
ル酸エチルなどの他に、後述の無機充填剤をポリ
マーで被覆した材料であつてもよい。また無機物
としては、二酸化ケイ素、アルミナ、各種ガラス
類、セラミツクス類、珪藻土、カオリン、モンモ
リロナイト等の粘土鉱物、活性白土、合成ゼオラ
イト、マイカ、弗化カルシウム、リン酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化
チタンなどよりなる粉末状、繊維状、薄片状のも
のであり、その最大粒子径が100μ以下のものが
用いられるが、粒子径の小さいものとしては、数
mμの微粒子状のものも用いられる。さらに、無
機充填剤を使用する場合には表面処理して用いら
れることが望ましい。表面処理剤としてはγ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセ
トキシシランおよびビニルトリ(メトキシエトキ
シ)シラン等のシラン化合物が用いられ、シラン
化は通常の方法により行なわれる。これらのフイ
ラーはモノマーに対し1〜7倍重量使用するのが
好ましい。 また本発明の組成物には所望により重合禁止
剤、着色剤、紫外線吸収剤等を添加することがで
きる。上述の組成物は通常供給者により予め一つ
のペースト又は液に混合され、遮光された1容器
に充填して医師に供給されるが、必要に応じて2
容器に充填して供給することもできる。医師は本
発明の樹脂組成物を歯牙に適用した後常法により
照射器より放射される可視光により重合硬化させ
ることができる。 (実施例) 実施例1および比較例1 60重量部、ネオペンチルグリコールジメタクリレ
ート(以下NPGと称する)40重量部、カンフア
ーキノン0.5重量部および過酸化ベンゾイル(以
下BPOと称する)1.0重量部よりなるモノマー混
合物を原液として調合し、このものにさらに表1
記載の量のメルカプトベンゾキサゾール(以下
MBOと称する)をそれぞれ加えた組成物を調製
した。得られた組成物に光を照射して、組成物が
硬化するまでの照射時間を測定した。光源として
は、歯科用の可視光線照射器(デルメトロン社製
オプチラツクス、ハロゲンタングステンランプ使
用、フイルターにより500mm以上の波長の光は減
衰させてある)を用い、照射口を鉛直上方に向け
て固定して使用した。各モノマー組成物はガラス
製サンプル管(内径10mm、高さ30mm、ガラス肉厚
約0.8mm)に入れて前記照射口の上に接触させて
置き、下方より光を照射することにより硬化させ
た。硬化時間の測定はモノマー組成物の中央に熱
電対(C.A.直径0.5mm)を挿入して重合熱による
温度上昇をモニターし、温度が最高の値を示した
時間(ピークの頂点)を硬化時間とみなした。結
果を表1に示した。
【表】 実施例2および比較例2 2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキ
シ−2−ヒドロキシプロボキシ)フエニル〕プロ
パン(以下Bis−GMAと称する)50重量部、
NPG50重量部とカンフアーキノン0.5重量部より
なるモノマー混合液を調合して原液とし、このも
のにさらに表2に記載のメルカプタンおよび
BPOをそれぞれ加えた組成物を調製した。得ら
れた組成物に実施例1と同様の方法で光を照射し
て硬化時間を測定し、結果を表2に示した。
【表】
【表】 実施例3および比較例3 実施例2と同じモノマー混合物100.5重量部に
MBOを1重量部加えたものを新たな原液として
調合し、このものにさらに表3に記載の有機過酸
化物をそれぞれ加えた組成物を調製し、得られた
組成物に実施例1と同様の方法で光を照射して、
硬化時間を測定した。結果を表3に示した。
【表】 実施例4および比較例4 Bis−GMA50重量部とトリエチレングリコー
ルジメタクリレート(以下3Gと称する)50重量
部とを混合した原液と、この原液100重量部に
対し、MBOを2重量部、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンを
1.5重量部混合した原液とを調合し、これらの
原液に表4に記載の各種増感剤を添加した組成物
について、実施例1の方法により硬化時間を測定
した。
【表】 実施例5および比較例5 表5−1に示す組成の歯科用コンポジツトレジ
ンを調製した。コンポジツトレジンの調製は、そ
れぞれの成分をガラス製乳鉢で混合、練和して行
つた。調製したペーストをデシケーター中で真空
脱泡し、ついで24時間暗所に保存した。次にそれ
ぞれのペーストを内径4mm、深さ6mmの円筒型ス
テンレス製金型に充填し、実施例1に記載の歯科
用照射器を用いて40秒間光を照射した。そののち
金型より硬化したレジンをとり出し、未硬化のペ
ーストをアセトンを含んだ紙でふきとつたのち、
ノギスを用いて硬化した部分の長さを測定し、硬
化深度とした。また、それぞれのペーストを内径
4mm、深さ4mmの円筒型黄銅製金型(10コ)にス
ライドグラスを当てて光を照射できるようにして
充填し、スライドプロジエクター(1KW、ハロ
ゲンランプ使用)で金型の表と裏の開口部より各
1分間ずつ光を照射してペーストを硬化させ、37
℃にて24時間保存したのち金型より硬化物をとり
出し、インストロン万能試験機を用いて圧縮強度
の測定を行なつた。さらに以下の方法によりそれ
ぞれのペーストの牛歯エナメル質に対する接着強
度を測定した。牛前歯唇面を耐水研磨紙にて研磨
し、エナメル質の平滑な面を出した。この面に直
径5mmの穴をあけた粘着テープを貼り、接着面積
を規定したのち、40%リン酸水溶液を塗布し、45
秒後に水洗乾燥したのち、市販の歯科用接着剤
(商標名クリアフイルニユーボンド)を塗布した。
次に光硬化ペースト(約0.2g)を接着剤を塗布し
た面に置き、ガラス板を用いてペーストを接着面
全体におし広げて約1〜2mmの厚みのペーストの
層とし、実施例1に記載の照射器を用いて40秒間
光を照射した。約5分後にガラス板を硬化したレ
ジンよりはがし、そのレジンにステンレス丸棒
(直径7mm、長さ4〜5cm)を市販の歯科用接着
剤(登録商標;パナビアEX)を用いて接着し、
一夜37℃水中に浸漬したのちに、インストロン万
能試験機で接着力を測定した。結果を表5−2に
示した。
【表】 実施例 6および比較例 6 表6に示す組成の光重合性組成物を調製し、保
存安定性を調べた。結果を表7に示す。保存安定
性は黒色のポリプロピレン製のシリンジに入れ、
恒温器内に保存したのち固化の有無を調べた。
【表】
【表】 * 組成物が赤く変色している。
以上の結果より、本発明の組成物が保存安定性
に優れていることが明らかである。 (発明の効果) 本発明の組成物は上述のような特定の光重合開
始剤を含有することにより、硬化速度が速い、歯
質への接着性がよい、硬化物の着色がないなどの
特性を有するほか保存安定性にもすぐれている。
本発明の組成物は種々の歯科用修復材料、たとえ
ば、歯牙窩洞を充填修復するための歯科用複合充
填材料、歯冠用材料、人工歯、う蝕予防用充填材
料、義歯床、印象材等として有用である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重合性単量体と該単量体を可視光線により重
    合せしめうる開始剤を含んでなる組成物におい
    て、該開始剤が(イ)α−ジケトン、キノンおよびこ
    れらの誘導体から選択される少なくとも一種の光
    増感剤、(ロ)分子内に少なくとも一個のチオール基
    を有する化合物および(ハ)有機過酸化物を主要成分
    とすることを特徴とする光重合性歯科用組成物。 2 該α−ジケトン、キノンおよびこれらの誘導
    体が一般式【式】 【式】【式】 【式】【式】 【式】 【式】または 【式】 〔式中、Aは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基
    を表わし、2個のAは同一であつても、異なつて
    いてもよく、また2個のAどうしが互いに結合し
    て環状構造を形成していてもよい。また、式中
    A′は水素、炭素数1〜4のアルコキシ基、また
    は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表わし、
    A′は一つの環で2〜4個存在するが、複数の
    A′は同一であつても、異なつていてもよい〕で
    表わされる化合物である特許請求の範囲第1項記
    載の光重合性歯科用組成物。 3 該光増感剤がアントラキノン、ナフトキノ
    ン、アセナフテンキノン、フエナントラキノン、
    1,2−ベンズアントラキノンまたはこれらのア
    ルキル置換誘導体である特許請求の範囲第2項記
    載の光重合性歯科用組成物。 4 該光増感剤がカンフアーキノン、2,3−ペ
    ンタンジオン、2,3−もしくは3,4−ヘキサ
    ンジオン、2,3−もしくは3,4−ヘプタンジ
    オン、2,3−、3,4−もしくは4,5−オク
    タンジオンまたはベンジルである特許請求の範囲
    第2項記載の光重合性歯科用組成物。 5 該チオール基を有する化合物が一般式B−
    SH〔式中、Bは(イ)炭素数1〜40の置換もしくは非
    置換の脂肪族炭化水素基または(ロ)炭素数1〜40の
    置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基を表わ
    す〕で表わされる化合物である特許請求の範囲第
    1項記載の光重合性歯科用組成物。 6 該チオール基を有する化合物が一般式
    【式】〔式中Dは【式】部 分と共に5または6員環を形成しており、かつD
    は単結合または二重結合によつて結合しているか
    または1個の芳香環の一部を形成している2個ま
    たは3個の炭素原子、または1個の炭素原子に結
    合された1個の窒素原子からなり、Xは−O−,
    −S−,【式】【式】または【式】 (RはHまたは低級アルキル)を表わす〕で表わ
    される化合物である特許請求の範囲第1項記載の
    光重合性歯科用組成物。 7 該チオール基を有する化合物が2−メルカプ
    トベンゾキサゾール、2−メルカプトベンゾチア
    ゾールまたは2−メルカプトベンゾイミダゾール
    である特許請求の範囲第6項記載の光重合性歯科
    用組成物。 8 該チオール基を有する化合物が一般式
    【式】〔式中Eは炭素数1〜20の置換基を 有することがあるフエニル基または炭素数1〜20
    のアルキル基を表わす〕で表わされる化合物であ
    る特許請求の範囲第1項記載の光重合性歯科用組
    成物。 9 該有機過酸化物がジアシルパーオキサイド類
    またはパーオキシエステル類である特許請求の範
    囲第1項記載の光重合性歯科用組成物。 10 該有機過酸化物が過酸化ベンゾイル、t−
    ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオ
    キシイソフタレートまたは2,5−ジメチル−
    2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンで
    ある特許請求の範囲第9項記載の光重合性歯科用
    組成物。 11 充填剤を含有してなる特許請求の範囲第1
    項記載の光重合性歯科用組成物。
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