JPH05130890A - 真菌の染色方法及びその試薬 - Google Patents

真菌の染色方法及びその試薬

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JPH05130890A
JPH05130890A JP32121491A JP32121491A JPH05130890A JP H05130890 A JPH05130890 A JP H05130890A JP 32121491 A JP32121491 A JP 32121491A JP 32121491 A JP32121491 A JP 32121491A JP H05130890 A JPH05130890 A JP H05130890A
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staining
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fluorescent
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hematoxylin
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JP32121491A
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Yoshikimi Okamoto
至公 岡本
Ken Hirohashi
憲 広橋
Kichiji Karasawa
吉治 唐沢
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BIO MEITO KK
BIOMATE CO
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BIO MEITO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】組織内や、各種の生体液、分泌液中の真菌を蛍
光染料を用いて染色する方法およびその試薬。 【構成】ヘマトキシリンを必須成分とする第1染色液で
あらかじめ試料中の真菌以外の共染され易い部分を染色
してマスキングした後、アニオン性多価フェノ−ル化合
物及びセルロ−ス用蛍光増白剤、または蛍光直接染料を
必須成分とする第2染色液で真菌を染色する方法および
その試薬。 【効果】従来の染色と比べ短時間内(約10分間)で、
簡便に、高度な染色技術を要せず染色が可能で、また染
色した標本は長期の保存に耐える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料中の真菌を選択的
に染色する蛍光染料による染色方法とその試薬に関す
る。
【0002】
【従来の技術】真菌は、カビ、酵母の類であり、各種の
真菌症、例えば、クリプトコッカス髄膜炎、肺アスペル
ギルス症、肺カンジダ症、肺ムコ−ル症、胃腸管カンジ
ダ症、水虫などの病原因子となっている。最近、ステロ
イド剤や抗生物質などの化学療法の進歩や、臓器移植の
際に用いる免疫反応抑制剤の使用などにより、患者の免
疫抵抗性が低下しているため、前記真菌症は増大する傾
向にある。
【0003】医師は、真菌症に感染した疑いのある患者
の分泌物や、体液、組織を採取してこれらの試料を顕微
鏡で鏡検し、真菌の存在を確認することによって真菌症
と診断する。また、このとき、真菌の種類を同定し、治
療法を定める。一般に、真菌に限らず、試料を鏡検する
ときは、コントラストをつけて、見やすくしたり、ある
いは、特定の対象物だけを他から明確に区別するため試
料を染色することは不可欠であり、真菌を鏡検するとき
もこの例に漏れない。従って、真菌を特異的に染色する
方法およびその試薬が要求される。
【0004】従来、一般的に使用されている真菌の染色
方法は以下の原理に基ずいている。真菌の細胞壁は、セ
ルロース、マンナン、キチン等の多糖類を含有してい
る。一方これらの成分は動物細胞や細菌は持っていない
ので、これらの成分に特異的な反応を利用した染色方法
である。すなわち、これらの多糖類をまず酸化開裂し、
生成するアルデヒド基と、(A)シッフ試薬を反応させ
発色するシッフ反応を応用した染色方法と(B)銀イオ
ンを前記アルデヒド基で還元して、多糖類上に銀を析出
させる銀染色法および(C)特定の真菌に対する抗体を
つくり、この抗体に蛍光色素や酵素などのマ−カ−を付
け、染色する免疫染色法等がある。
【0005】(A)は、更に酸化剤の種類やシッフ試薬
の種類によって分類される。 (a)酸化剤として、過ヨ−ソ酸を使用し、シッフ試薬
を反応させるPAS染色法。 (b)過ヨ−ソ酸より更に多糖類の酸化に選択性のある
クロム酸を酸化剤として用い、これにColemanの
フォイルゲン液とアルデヒドフクシンを反応させるグリ
ドリ−染色法。 (c)過マンガン酸カリで酸化した後、蛍光シッフ試薬
を反応させる蛍光シッフ染色法等がある。 (B)も酸化剤や銀イオンを作る溶液の種類によって分
類される。 (d)クロム酸で酸化後、メセナミン銀を反応させるグ
ロコット法。 (e)過マンガン酸カリウムで酸化後、アンモニア銀を
反応させる方法などがある。
【0006】(A)(B)の原理に基ずく染色法は、以
下のような欠点がある。 (1)染色時間が長い。例えば、よく使用される前記
(a)の場合は約1時間同様によく使用される(b)の
場合約2時間、(c)(d)の方法は約2.5時間を要
する。 (2)真菌の種類或は真菌が存在する周囲の条件によっ
て染色できない場合もある。例えば、(a)(b)の方
法では、ノカルジア、アクチノミセスは染色できない。
また、壊死巣内の真菌が染色できない。 (3)染色処理が複雑である。しかも、染色の反応時
間、温度などのわずかな違いが染色結果を大きく左右す
る。また、技術的にも種々の困難さがある。 (4)公害上の問題がある。反応系に酸化反応過程があ
るので、使用後の酸化剤の処理に問題がある。 (5)染色した試料は鏡検の時必ずしも明確に判断でき
ない。例えば(A)の方法は組織切片の真菌を染色する
ときは、真菌以外の部分も容易に染色され易く、組織と
真菌の区別がつきにくいため真菌の存在を見落とすこと
がある。(B)の方法は、しばしば真菌が暗黒色に過染
するため、菌体構造の確認が困難になる。更に真菌の数
が少ないときは、見落とす可能性がある。 (6)染色液は、調製直後は使用できないものもある。
例えば、(a)は、3−4日(b)は、4−5日必要で
ある。また、染色液の長期保存が不可能なものがある。
例えば、(b)では、7日以内が限界である。 (C)の原理に基ずく方法では以下の欠点がある。 (1)高力価の抗血清を作成できる真菌しか染色でき
ず、対象となる真菌の種類が非常に制約される。 (2)操作が複雑で染色時間が前記(A)(B)よりも
更に長い。 (3)非常に高価である。
【0007】一方で、 Darken,M.(Sci
ence 133,1704−5,1961)Maed
a,H.& Ishida,N.(J.Bioche
m.62 276−78,1967)らは、木綿用の蛍
光増白剤が真菌の細胞壁を特異的に染色することを見い
だした。これらの知見により、Hollaender,
H.(Mycopathologia 88,131
−34,1984)や、Monheitらは (Ar
ch.Patho.Lab.Med.108,616−
18,1984) 及びKoch.H.H.& Pim
sler.M.(Lab.Med.18,603−6,
1987) 等により蛍光増白剤であるCalcofl
uor white M2R(米国 アメリカンサイア
ナミド社の登録商標)Blankophor BA26
7%(ドイツ国バイエル社の登録商標) Uvite
x 2B(スイス国 チバガイギ−社の登録商標)を用
いて組織内真菌の蛍光染色に成功した。
【0008】蛍光増白剤を用いて真菌を染色すると従来
の染色法と比べ以下の利点がある。 (1)酸化反応を始めとする煩雑な操作を必要としな
い。 (2)染色時間が短い。 (3)真菌の種類も、また真菌の存在する場所も選ば
ず、一様に染色する。 (4)真菌の数が少なくても、暗視野の中に真菌が光る
ため、容易にその存在が識別でき検出が可能である。 (5)染色液は、調製後直ちに使用でき、しかも長期の
保存も可能である。
【0009】しかし、蛍光染色液も、染色特異性はまだ
完全ではなく、染色する試料が組織に存在する真菌であ
ると、組織の成分、例えばエラスチン、コラ−ゲン、ま
たはホルマリンに長期間固定されていた組織中の赤血球
やリンパ球核も染色される。そこで、Wachsmut
hは、組織の共染された蛍光を消すために、 (1)蛍光染色をした後にエバンスブル−染色液で対向
染色する。 (2)ヘマトキシリン、エオシン染色液で蛍光染色の
前、或は、その後に対向染色する。 の2種類の方法によって共染された大部分の蛍光を減ら
すことに成功した。(Wachsmuch,E.D.H
istochem.J.20,215−21,198
8;Wachsmuch,E.D,Virchows
ArchivB Cell Patho.56,1−
4,1988)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、真菌の
細胞壁に特に親和性を示す蛍光増白剤を用いて真菌を染
色し、共染する部分は対向染色によって減少させる方法
は、従来のシッフ反応を利用する染色法や、銀染色法と
比べると、簡便で、取扱易く、しかも短時間で染色でき
る大きな利点がある。しかし、組織内真菌を染色する場
合、まだ、以下のような欠点がある。 (1)試料を蛍光染色した後、エバンスブル−染色液で
対向染色する方法は、技術的に難しい。すなわち、対向
染色の染色時間が長いと、蛍光染色された真菌の蛍光強
度が低下する。また、対向染色後の水洗時間が長いと、
エバンスブル−の色調が退色して、対向染色効果が落ち
るなど最適の染色効果を得るためにはかなりの習熟を要
する。 (2)試料を蛍光染色する前後に、マイヤ−のヘマトキ
シリン染色液で対向染色をする法は、試料が組織内真菌
の場合、まだ共染される部分が残り、菌の検索が困難で
ある。 (3)従来の蛍光増白剤は、耐紫外線性能が不十分で、
鏡検中に退色するものや数カ月後には退色の著しいもの
がある。
【0011】本発明は、これらの欠点を除いた真菌の蛍
光染色法及びその試薬であって、真菌に対し、特異性が
高く高感度、簡便、短時間で判定が可能でしかも、染色
に熟練を要しない方法とその試薬を提供することを目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するために、以下の方法およびそれを達成する試薬か
らなる。まずはじめに、試料をヘマトキシリンを必須成
分とする第1染色液で染色して、蛍光漂白剤や蛍光直接
染料で共染され易い組織の成分を先に染色することによ
りマスクしておく。次に、アニオン性多価フェノ−ル化
合物とセルロ−ス用蛍光増白剤または直接蛍光染料を必
須成分とする第2染色液で染める。このとき、ヘマトキ
シリンでマスクできなかった部分でなお蛍光増白剤、或
は蛍光直接染料が染着する部分にアニオン性多価フェノ
−ル化合物は優先的に付着して共染されるのを妨げるの
で、蛍光増白剤あるいは蛍光直接染料は、殆ど真菌のみ
に染着する。この方法は、蛍光増白剤、あるいは蛍光直
接染料で共染した部分を後からエバンスブル−などの染
料で対向染色する方法でないため、対向染色に要する微
妙な技術、たとえば、染色時間によって染色結果に差異
が見られることがなく初心者でも簡単に良好な結果が得
られる。また、蛍光直接染料は従来の蛍光増白剤に比較
して、耐紫外線性能、長期保存性が格段に向上する。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明
は、まず、試料をヘマトキシリンを必須成分とする第1
染色液で染色して、試料中の真菌以外の部分の蛍光増白
剤または蛍光直接染料で染色され易い部分を染色してマ
スクする。次にアニオン性多価フェノ−ル化合物とセル
ロ−ス用蛍光増白剤あるいは蛍光直接染料を必須成分と
する第2染色液で染色する方法およびその試薬である。
この様にして試料を蛍光染色して蛍光顕微鏡で鏡検する
と、暗色の背景のもとに、真菌は強い蛍光を出すのでそ
の存在は極めて容易に確認できる。また、もし試料が組
織内真菌の場合、紫外線ランプと通常のタングステンラ
ンプを併用して鏡検すれば、ヘマトキシリンにより染色
された背景の組織と蛍光を発している真菌とを同時に観
察することができる。この場合、真菌が組織のどこに局
在しているかが確認できるので非常に効果的である。
【0014】本発明に用いられるヘマトキシリンを必須
成分とする第1染色液とは、一般にヘマトキシリン染色
液と称するものなら使用可能である。たとえば、アルミ
ニウムヘマトキシリン、鉄ヘマトキシリン、クロムヘマ
トキシリン、燐タングステン酸ヘマトキシリン、モリブ
デンヘマトキシリンなどの染色液である。一般にヘマト
キシリン染色液は、細胞の核を重点的に染色し、細胞
質、細胞間質、各種の繊維質は染色され難いように染色
液が強酸性に調製してある。しかし、本発明は、真菌以
外の部分が蛍光染色されないように、ヘマトキシリンで
マスクするのが目的のため酸性度を弱めておいた方が、
好都合である。このため、通常のヘマトキシリン染色液
より酸成分を極力除くことをが望ましい。具体的には、
ヘマトキシリン、及びその酸化剤である過ヨ−ソ酸ナト
リウムは、通常のヘマトキシリン染色液とほぼ同一の濃
度、すなわち、ヘマトキシリンにおいては、0.05−
1%重量%である。しかし、酸性分としては、ミョウバ
ン類の濃度を通常のヘマトキシリン染色液の5−20%
程度とし、その他の酸性分、例えば、マイヤーのヘマト
キシリン染色液においてはクエン酸を、ギルのヘマトキ
シリン染色液においては氷酢酸を、加えない。本発明に
特に適する組成としては、マイヤ−のヘマトキシリン染
色液のカリウムミョウバン、またはアンモニュウムミョ
ウバンを規定濃度の1/10に減らし、また酸成分とし
てのクエン酸を除いたものが好ましい。
【0015】第1染色液の使用法は、基本的には試料と
第1染色液が約1−2分間接触すればよい。具体的に
は、染色準備の終わった試料の上に第1染色液を滴下し
て試料全体を覆い、室温で約1−2分間放置する。この
接触時間は、例えば、5分程度になっても、染色結果に
差異を生じない。また、第1染色液を滴下して接触させ
る以外に、試料の載ったスライドグラスごと第1染色液
の中に浸積して染色できることは言うまでもない。
【0016】アニオン性多価フェノ−ル化合物及び、セ
ルロ−ス用蛍光増白剤または蛍光直接染料を必須成分と
する第2染色剤においては、アニオン性多価フェノ−ル
化合物の濃度として、1−10重量%、望ましくは、3
−5重量%がよい。またセルロ−ス用蛍光増白剤および
蛍光直接染料の濃度としては、0.01−3.0重量%
望ましくは0.05−1.5重量%がよい。これらを溶
解させる溶媒としては中性から弱アルカリ性の水溶液が
よく、特に染色中に水素イオン濃度を一定に保つために
は緩衝液を使用するのが望ましい。具体的には、濃度1
モル/l、pH6.8−7.5程度の燐酸緩衝液が挙げ
られる。しかし、塩強度や、水素イオン濃度が前記の範
囲にあれば、緩衝液の種類を選ばない。第2染色液は、
試料、特に組織内真菌に対し、浸透を良くして染色時間
を短縮するため、エチレングルコ−ル、等の界面活性剤
を添加することができる。 この場合、添加量は、20
−75重量%、好ましくは、40−60重量%が良い。
その他、必要に応じて防腐剤を添加することができ、防
腐剤を添加することにより長期保存に耐える。
【0017】第2染色液に用いられるセルロース用蛍光
増白剤および蛍光直接染料とは、木綿用或は紙の増白剤
や染料として開発されたもので、その化学構造がセルロ
ースマンナン、キチン等のβ結合を持った多糖類に親和
性のある化合物である。セルロース用蛍光増白剤として
は、ユ−ビテックス2B(UBITEX 2B、スイス
国、チバガイギ−社の登録商標)と呼称されている4,
4´−ビス(2−ジ(2−ハイドロオキシエチル)アミ
ノ−4−(3−スルフォフェニルアミノ)−1,3,5
−トリアジン−6−イルアミノ)−スチルベン−2,2
´−スルフォン酸ナトリウムおよびカルコフルオア ホ
ワイト MR2(CalcofluorWhite M
R2、米国、アメリカンサイアナミド社の登録商法)と
呼称されている4,4´−ビス(2−ジ(2−ハイドロ
オキシエチル)アミノ−4−フェニルアミノ−1,3,
5−トリアジン−6イルアミノ)−スチルベン−2,2
´ジスルフォン酸ナトリウムやブランコフォア RA2
67%(ドイツ国バイエル社の登録商標)等がある。
【0018】また、蛍光直接染料としては、一般式が化
2で表される塩化シアヌルジスチルベン系の化合物およ
びアミノナフタルイミド系の化合物が良い。 化2の
例として、カヤラス ライト イエロ− F8G
[Kayarus LightYellow F8G
日本化薬株式会社(東京)の登録商標] アミノナフタ
ルイミド系化合物の例としてカラ−インデックスナンバ
ーがC.I.AcidYellow 7 である4−ア
ミノ−3−スルホ−無水ナフタリン酸とパラトルイジン
との縮合物がある。耐紫外線性、耐退色性の観点からみ
ると蛍光直接染料の方が蛍光増白剤より望ましい。
【化2】
【0019】第2染色液は、必要に応じて防腐剤を添加
できる。防腐剤は、他の成分に悪影響を与えなければ公
知のものが使用できる。その例としては、窒化ソ−ダ、
フェノ−ル等が挙げられ、その添加量は、それらの防腐
剤の防腐効果に応じて決まるが一般に染色液に対し0.
01−0.5重量%程度添加すればよい。
【0020】第2染色液の使用法は、第1染色液と同様
であり、基本的には第1染色により染色された試料と、
3−10分程度接触していればよく、その接触方法とし
ては第1染色液と同様、スライドグラス上の試料に滴下
するか、染色槽に浸漬すればよい。染色が終了した試料
は、1−5分程度流水で水洗する。この後は、常法にし
たがって、試料を脱水、透徹して、無蛍光の封入剤を用
いて封入すれば蛍光染色した標本が得られる。
【0021】また、共染する部分の少ない試料において
は、第1染色液を使用せず、直接第2染色液のみで染色
しても良い。これは、共染を妨げるアニオン性多価フェ
ノ−ル化合物が第2染色液に含有されているからであ
る。
【0022】本発明の染色方法、及びその試薬によって
染色できる試料としては、氷結あるいはフォルマリン等
で固定をした組織、尿、髄液、各種の生体分泌物、ある
いは皮膚、爪、毛髪中の真菌などがあり、特に真菌が存
在している試料の種類によって染色ができないというも
のはない。
【実施例】
【0023】実施例1 (1)500mlの蒸留水に、0.5gのヘマトキシリ
ンを完全に溶解させ、これに、0.1gの過ヨ−ソ酸ナ
トリウム、5gのカリウムミョウバン、25gの抱水ク
ロラ−ルをこの順序で溶解させ、第1染色液を得た。 (2)250mlの燐酸緩衝液(0.1モル/l,pH
7.2)に0.5gの蛍光直接染料であるカヤラス ラ
イト イエロ− F8G(東京、日本化薬株式会社の登
録商標)250mlのエチレングリコ−ル、20mlの
アニオン性多価フェノ−ル化合物であるユニオナ−ル
L(大阪、ゼンカ株式会社の登録商標)を混合して第2
染色液を得た。
【0024】試料は、フォルマリンで固定し、パラフィ
ンに封入した肺アスペルギルス症の肺の組織切片(約1
0×5mm)をスライドグラス(25×75mm)に貼
付して常法にしたがって、脱パラフィン、水洗をした。
次に、これに第1染色液を2滴(約60μl)滴下し
て、試料全体を第1染色液に浸し、室温で2分間放置し
た後、流水で3分間水洗した。次に、第2染色液を前記
試料の上に2滴(約60μl)滴下して、第1染色液の
場合と同様に、約5分間放置した後、3分間流水で水洗
した。これを常法にしたがって、脱水、透徹、封入し
て、蛍光染色した標本を得た。この標本を蛍光顕微鏡を
用い、V励起法(主波長405nm)で励起して、フィ
ルタ−を装着し鏡検するとアスペルギルスは、暗視野中
に黄緑色の蛍光を発する。次に紫外線ランプと共にタン
グステンランプを併用して鏡検した。すると、黄褐色に
染まった肺組織を背景に、アスペルギルスが黄色の蛍光
を発しアスペルギルスの局在を確認できた。
【0025】比較例1 実施例1において、第1染色液のみをマイヤ−のヘマト
キシリン染色液(実施例1の第1染色液の組成に、更に
カリウムミョウバンを45g,クエン酸0.5gを加え
たもの)に替えて、実施例1と同様にして標本を得た。
これを実施例1と同様に蛍光顕微鏡で鏡検すると実施例
の所見と比較して、アスペルギルス菌の蛍光がやや弱
く、リンパ球核のの蛍光がなお完全にマスクされておら
ず、実施例1の所見が優れていた。
【0026】比較例2 実施例1の第2染色液の組成よりユニオナ−ル Lを除
いた第2染色液を用いて実施例1と同様にして標本を得
て、これを蛍光顕微鏡で鏡検した。すると、組織中のリ
ンパ球核の蛍光は、かなり良くマスクされているが、真
菌以外の全組織成分に、真菌の発する蛍光よりやや暗い
ものの、それと全く同色調の明るい蛍光がみられ、周囲
組織の共染に対するマスク効果が極めて不十分で、組織
中に小数の真菌しか存在しない場合には、その存在の確
認が困難であった。
【0027】実施例2 実施例1の第2染色液中のカヤラス ライト イエロ−
F8Gの代りに、2.5gのユ−ビテックス 2Bを
加え、第2染色液を調製し、これを用いた以外は実施例
1と同様にして肺アスペルギルス組織切片を得た。鏡検
の結果、真菌以外の部分の共染は、実施例1と同様に全
く問題にならず、アスペルギルス菌は暗視野中に青白色
の蛍光を発し、容易にそのその存在が確認された。
【0028】実施例3 実施例1及び実施例2で得られた染色標本の耐紫外線性
能を検討するため、落射式蛍光顕微鏡に前記の標本を装
着し、光源として100Wの水銀ランプを用い40倍の
対物レンズを付け紫外線を30分照射した。すると、実
施例1で得られた標本は、照射前後の蛍光の強度は約2
0%落ちていたが、実施例2で得られた標本は約95%
以上落ちていて、蛍光直接染料の方が蛍光増白剤よりも
耐紫外線性が非常に大きいことが解った。
【0029】実施例4 病理解剖後5年間フォルマリン固定液中に保存されてい
た肺クリプトコッカス症の肺組織および、手術で切除し
た直後のカンジダ感染胃組織をそれぞれ試料として、実
施例1と同様に染色した。両試料とも実施例1の鏡検結
果と同様に非特異性蛍光がマスクされた暗い背景の中
に、クリプトコッカス菌、および、カンジダ菌が黄緑色
の蛍光を発し、その存在と形態が極めて容易に観察でき
た。本染色法とその染色法を用いれば、新旧の組織に関
係なく染色できることが解った。
【0030】実施例5 水虫の患者の患部の剥離表皮の小片を10%水酸化ナト
リウム中に30分間浸漬後蒸留水で遠心洗浄を3回繰り
返し、最後の沈査を3試料に分割した。これにそれぞれ
第2染色液を2滴(約60μl)ずつ滴下して、2分
間、4分間、6分間室温で放置して染色した。次に蒸留
水で3回遠心洗浄した後、沈査をそれぞれスライドグラ
スに塗布し、無蛍光グリセリンで封入の後、実施例1と
同様にして鏡検した。すると、3つの試料はほぼ同程度
に染色し、実用上その差異は無く、暗視野中に暗緑色の
弱い蛍光を発する偏平上皮細胞に混じって、水虫の起因
菌の1種であるトリコフィ−トンの菌糸が、強い黄緑色
の蛍光を発しており、極めて鮮明に観察できた。本試薬
は、本例からも明らかなように、染色条件の僅かな違い
により染色結果が大きく左右されない。また真菌が共染
されにくい環境の下に存在するときは、第1染色液を使
用しなくても、第2染色液中のアニオン性多価フェノ−
ル化合物のマスク効果のみでも有効に働くことを示し
た。
【0031】比較例3 実施例4と同様の染色法を、比較例2で用いた第2染色
液で行った。 染色後0.5%のエバンスブル−の燐酸
緩衝液(pH7.2,0.1モル/l)を用いて時間を
変えて対向染色をした。すなわち、試料を3つに分け、
各々の試料、エバンスブル−染色液とを40、80、1
20秒間接触させ対向染色した。その結果、80秒間の
ものはエバンスブル−によるマスクが適度に行われ、暗
赤色の蛍光を発する表皮層細胞に混じって明るい黄緑色
の蛍光を発するトリコフィ−トンの菌糸が鮮明に観察で
きた。しかし、40秒間のものはマスク効果が不足し
て、非特異蛍光が表皮細胞に多く見られ、また、120
秒間のものは、マスク効果が過剰となり、菌糸の蛍光は
減衰し、良い染色結果は得られず、エバンスブル−染色
液による対向染色は技術的に難しいことが解った。
【0032】実施例6 寒天培地に培養したペニシリウムSPPコロニ−より白
金耳で菌塊を採取し、あらかじめスライドグラスに盛っ
た少量の純アルコ−ル中に懸濁させ、これを乾燥させた
後、軽く火炎固定をした。これに、実施例1で用いた第
2染色液を2滴(約60μl)滴下して、約2分間室温
放置し、染色した。これを水洗、乾燥、封入して実施例
1と同様にして鏡検した。菌体は暗視野中で極めて強い
黄緑色の蛍光を発し、鮮明に観察できた。同様な方法で
患者の腹水、分泌物の観察も可能であった。
【0033】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明
による真菌の染色方法及びその試薬は従来の染色方法に
比べ、短時間に簡便に、特別の技術を要せず、初心者で
も熟練者でも同一の染色結果が得られる。また、組織内
の真菌においては、本発明の試薬のマスク効果が特に有
効に働き、従来の蛍光染色に欠点であった共染はなく、
しかもその染色した標本は蛍光直接染料の場合、長期保
存が可能となった。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真菌の染色方法において、あらかじめヘマ
    トキシリンを必須成分とする第1染色液で、試料中の真
    菌以外の共染され易い部分を染色してマスクした後、一
    般式が、化1で表されるアニオン性多価フェノ−ル化合
    物、およびセルロ−ス用蛍光増白剤または蛍光直接染料
    を必須成分とする第2染色液で試料中の真菌を染色する
    ことを特徴とする染色方法。 【化1】
  2. 【請求項2】第1染色液がマイヤーのヘマトキシリン染
    色液よりクエン酸を除き、カリウムミョウバンまたはア
    ンモニウムミョウバンが規定濃度の10%以下であるあ
    ることを特徴とする請求項1の染色方法。
  3. 【請求項3】セルロース用蛍光増白剤、または、 蛍光
    直接染色液の濃度が0.01−3.0重量%であること
    を特徴とする請求項1の染色方法。
  4. 【請求項4】アニオン性多価フェノ−ル化合物の濃度が
    1−10重量%であることを特徴とする請求項1の染色
    方法。
  5. 【請求項5】セルロ−ス染色用蛍光増白剤が4,4´−
    ビス(2−ジ(2−ハイドロオキシエチル)アミノ−4
    −(3−スルフォフェニルアミノ)−1,3,5−トリ
    アジン−6−イルアミノ)−スチルベン−2,2´−ス
    ルフォン酸ナトリウム、および、4,4´−ビス(2−
    ジ(2−ハイドロオキシエチル)アミノ−4−フェニル
    アミノ−1,3,5−トリアジン−6イルアミノ)−ス
    チルベン−2,2´ジスルフォン酸ナトリウムであるこ
    とを特徴とする請求項1及び請求項3の染色方法方法。
  6. 【請求項6】セルロース用蛍光直接染料が、一般式が化
    2で示される化合物であることを特徴とする請求項1お
    よび請求項3の染色方法。 【化2】
  7. 【請求項7】一般式が、化2で表される化合物のうち、
    カラ−インデックスナンバ−がC.I.Direct
    Yellow 87であることを特徴とする請求項6の
    染色方法。
  8. 【請求項8】第1染色液が、ヘマトキシリンを必須成分
    とする真菌染色試薬
  9. 【請求項9】ヘマトキシリン、過ヨ−ソ酸ナトリウム、
    抱水クロラ−ルおよびカルウムミョウバンまたはアンモ
    ニウムミョウバンを含有する水溶液であることを特徴を
    する請求項8の染色試薬。
  10. 【請求項10】0.1重量%のヘマトキシリン0.95
    重量%のカリウムミョウバン、またはアンモニウムミョ
    ウバン0.02重量%の過ヨ−ソ酸カリウム4.7重量
    %の抱水クロラ−ルを含んだ水溶液よりなることを特徴
    とする請求項9の染色試薬。
  11. 【請求項11】第2染色液が、一般式、化1で表される
    アニオン性多価フェノ−ル化合物、およびセルロース用
    蛍光増白剤または蛍光直接染料を必須成分とすることを
    特徴とする染色試薬。
  12. 【請求項12】一般式が、化1で表されるアニオン性多
    価フェノ−ル化合物蛍光増白剤または蛍光直接染料、燐
    酸緩衝液及びエチレングリコ−ルおよび防腐剤よりなる
    ことを特徴とする請求項11の染色試薬。
  13. 【請求項13】蛍光直接染料が、一般式が化2で表され
    る化合物およびアミノアフタルイミド系の化合物である
    ことを特徴とする請求項12の染色試薬。
  14. 【請求項14】蛍光直接染料のカラ−インデックスナン
    バ−が、 C.I.Direct Yellow 87
    およびC.I.Acid Yellow 7であること
    を特徴とする請求項12の染色試薬。
  15. 【請求項15】0.01重量%のカラ−インデックスナ
    ンバ−が、C.I.Direct Yellow 87
    の蛍光直接染料、50重量%の0.1モル/l pH
    7.2の燐酸緩衝液、45重量%のエチレングリコ−
    ル、4重量%の化1で表されるアニオン性多価フェノ−
    ル化合物よりなることを特徴とする請求項12の染色試
    薬。
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