JPS62135769A - 細胞中の蛋白質とdnaの比率の測定法及び測定用試薬 - Google Patents

細胞中の蛋白質とdnaの比率の測定法及び測定用試薬

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JPS62135769A
JPS62135769A JP27611885A JP27611885A JPS62135769A JP S62135769 A JPS62135769 A JP S62135769A JP 27611885 A JP27611885 A JP 27611885A JP 27611885 A JP27611885 A JP 27611885A JP S62135769 A JPS62135769 A JP S62135769A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、細胞中のDNAと蛋白質の比率の測定方法及
び測定用試薬に関するものであり、さらに詳しくは、肺
癌や子宮癌などの集団検診の際、細胞定量装置を用いて
実施する細胞診断若しくは異常細胞発見(サイトスクリ
ーニング)に利用する細胞染色液から成る試薬及びそれ
を使用した細胞中のDNAと蛋白質との比率を測定する
方法を提供するものである。
〔従来の技術〕
顕微鏡で見る癌細胞の最大の特徴は、正常細胞と比較し
て、核が様々な程度に種火してヘマトキシリン染色によ
り濃染し、且つ核の大きさに比較して細胞質が少ない即
ち核/細胞質比が大きいことであり、この形態学的特徴
が細胞病理学的な癌の診断に利用されている。また、一
般に癌細胞が悪性なほど細胞質の発達が不良であるから
核/細胞質比が大きく、このことが癌の悪性度を推定す
るのに用いられることもある。
さらに、癌細胞の蛋白質の量は癌の種類により多少異な
るので、このことが癌の種類を推定するのに用いられる
こともある。
この癌細胞の特徴を細胞化学の面から眺めると、核の種
火濃染は核のデオキシリポ核酸(DNA)の増量として
、また細胞質の相対的な減少は細胞質の主成分たる蛋白
質の相対的減少として、更に核/細胞質比の増大はDN
A/蛋白質比の増大として把握されるので、このような
細胞化学的な特徴を特殊な装置を用いて定量すれば、そ
れを癌細胞の発見や診断、あるいはその癌の悪性度や種
類を推定するのに応用することが出来る。
昭和50年前後に、細胞を細い水流中に高速で流してレ
ーザー光線を当て細胞を分析する自動細胞分析分離装置
(以下フローサイトメトリーという)が米国および西独
で開発されると共に、同じ頃、細胞核中のDNAをプロ
ピジウムアイオダイド(以下Plと略称)で螢光染色し
、また細胞質中の蛋白質をフルオレラセンイソチオシア
ネート(以下F ITCと略称する)で螢光染色して、
フローサイトメトリーを通して各細胞のDNAおよび蛋
白質を同時に測定することにより、癌細胞を診断したり
、その種類を推定したりする試みが行なわれるようにな
って来た。
昭和55年頃より、米国でこの技術を子宮癌や肺癌の細
胞診断などに利用する試みが始められ、我が国でも極く
近年より、子宮癌についての検討が進み、さらに癌の集
団検診への応用も検討が始まっている。
上記の細胞をprおよびFTTCで染色(以下、PI−
FITC染色と略称する)してフローサイトメトリーで
測定する方法は、PIが細胞のDNAおよびRNAを選
択的に染色し、FITCが細胞質中の蛋白質を選択的に
染色する性質、およびフローサイトメトリー内のレーザ
ー光線の照射下で、DNAに染着したPIは最大波長6
20nmの赤色螢光を、また蛋白質に染着したFITC
は最大波長530nmの黄緑色の螢光を発する性質とを
利用することにより、装置内を高速で流れる個々の細胞
をレーザー光線で照らし、細胞から発した赤色および黄
緑色の螢光の量を夫々同時に検知し、コンピュータで処
理して、細胞中のDNA量および蛋白質量、あるいはD
NA/蛋白質比を求めるものである。
〔本発明が解決しようとする問題点〕
しかし従来の細胞をPI−FITC染色して、フローサ
イトメトリーで細胞中のDNAおよび蛋白質を定量した
りDNA/蛋白質比を求めたりする方法は、光源に高価
なレーザー光線発生装置を必要とするため、診断に要す
る経費が嵩むという欠点を有するばかりでなく、DNA
を染めたPIから発する最大波長620nmの赤色螢光
と、蛋白質を染めたFITCから発する最大波長530
nmの黄緑螢光との間の波長差が90nmと比較的小さ
く、両者の分別の精度がやや低くなる欠点、更に重大な
ことは、PIがDNAとRNAとの両者を染色する性質
を有するため、DNAのみを染色するためには、細胞染
色の工程に先だって、RNA消化酵素を用いて予めRN
Aを消化させておく必要があり、この消化処理は、細胞
を酵素と共に37℃に加温したり多数回の洗浄と遠心沈
澱を繰り返したりするため、染色の全工程に2時間もか
かる上に細胞の障害や損失も生じ、また、市販のRNA
消化酵素はその力価が一定ではないのでRNA除去の効
果も一定しない、などの事情から正確な測定結果(診断
結果)が得難い欠点を有している。
〔問題点を解決す為だめの手段〕
そこで、本発明者らは、ヘマトポルフィリンが細胞中の
蛋白質を選択的に染色して紫外線の照射により最大波長
670nmの赤色螢光を発する性質を有すること及び2
− (2−(4−ヒドロキシフェニル−6−ペンズイミ
タソリル〕−6−<1−メーf−ルー4−ピペラジル)
−ヘンズイミダゾールトリヒドロクロライドまたは4’
、6−ジアミジノ2−2フェニルインドール塩酸塩が細
胞中のDNAを選択的に染色して紫外線の照射により最
大波長470nmの青色螢光を発する性質を有すること
に注目し、これらの性質を利用して細胞中の蛋白質とD
NAとの比率を簡便かつ廉価でしかも短時間内に優れた
精度で検出する方法を見出し、本発明を完成するに至っ
た。
本発明は、細胞をヘマトポルフィリン及び2− (2−
(4−ヒ)’ワキシフェニル−6−ベンズイミダゾリル
)−6−(1−メチル−4−ピペラジル)−ヘンズイミ
ダゾールトリヒドロクロライド(所謂、ヘキスト系試薬
、以下、ヘキスト系試薬と略称する)または4′、6−
ジアミジノ2−2フェニルインドール塩酸塩(以下、D
APIと略称する)を含有する細胞螢光染色液で染色し
、この染色細胞の発する青色螢光及び赤色螢光を測定す
ることにより細胞中の蛋白質とDNAの比率を測定する
方法及びこの測定方法に使用されるヘマトポルフィン及
びヘキスト系試薬またはDAPIを含有する細胞螢光染
色液から成る試薬である。
本発明の試薬には細胞螢光染色液として最初からヘマト
ポルフィリン及びヘキスト系試薬またはDAP Iを含
有するもののほか、ヘマトポルフィリンを含有する染色
液とヘキスト系試薬またはDAP Iを含有する染色′
液とを別々に調製し、これを組み合せたものも含まれる
本発明の細胞螢光染色液は使用条件として紫外線光源を
必要とし、在来の測定機器としては、紫外線光源と52
Jll微分光定量装置とを装着した螢光顕微鏡、あるい
は紫外線ランプのみで作動する節易型フローサイトメト
リー(またはフローセルアナライザー)が利用出来るが
、前記のレーザー光線を用いる本格的フローサイトメト
リーの場合でも、そのレーザー光線発生ランプは調整す
ることにより紫外線をも発射出来るので、それを利用す
ることもできる。
本発明における細胞螢光染色液中にあるヘキスト系試薬
はヘンズイミダゾール系化合物で、その化学構造式は、 〔RはCI(z−N=、Czlls−N=、)IzC=
などを表わし、R′は−OH,−0CH3,−0C21
15,−N(CH3) z、−CI、−NO3などを表
わす〕 で示される。なお、本発明に関する実験例及び実施例に
おいては前記ヘキスト系試薬としてヘキスl−3334
2(前記化学構造式においてはRがC1h−N・Rrが
一0C2113,の化合物)を使用した。
またDAPIはフェニールインドール系化合物でその化
学構造式は、 で示され、共に細胞中のDNAに選択的に結合して最大
波長470nmの青色螢光を発する性質を有する公知の
物質である。従って、本発明において細胞染色液中に含
有される前記ヘキスト系試薬またはDAPIは、これら
の各化合物を使用した従来のDNA染色液と全く同一の
概念で使用されるものであり、溶媒や含有量などは従来
の染色液と同様のものもそのまま使用できる。
他方、本発明の細胞螢光染色液で使用されるヘマトポル
フィリンは、化学構造式 で現わされる1、3.5.8−テトラメチル−2,4、
ビス(α−ヒドロオキシ−エチル)ポルフィン−6,7
−ジプロピオン酸で、水には難溶性、アルコールに易溶
性の物質である。このヘマトポルフィリンを含有する染
色液で細胞を処理し紫外線照射下で螢光顕微鏡で観察す
ると、細胞の核は染色されず細胞質のみが染色され、前
処理により細胞質の蛋白質が予めプロテアーゼで消化さ
れた細胞ではその細胞質が染色されない点から、ヘマト
ポルフィリンは細胞質の蛋白質のみを染色する性質を有
することが明らかである。また、前記へマドポルフィリ
ンを含有する染色液で血液の塗抹標本を処理し、人体中
で最も小型でしかも細胞質中の蛋白質の量が略一定のリ
ンパ球を選んで、この細胞の発する赤色螢光を紫外線光
源の螢光定量顕微鏡で定量したところ一定の測定値が得
られたこと、また、大きさの相違する他の種類の白血球
を同一標本で同一条件で測定したところ細胞の大きさに
比例した測定値が得られたことなどの事実から、ヘマト
ポルフィリンを含有する染色液は、細胞の蛋白質の定性
あるいは定量分析の試薬としても使用し得るものである
ヒト白血球をエタノール固定液で浮遊固定し、ヘマトポ
ルフィリン単染色してスライドグラス上に集め、ツァイ
ス社製の螢光定量顕微鏡でリンパ球の発する波長670
nmの赤色螢光の量を、リンパ球20個につき測定した
第1図はこの螢光量の分布量を示したものであって、こ
れはすなわち、ヘマトポルフィリン単染色によるリンパ
球の蛋白分布図である。この図からリンパ球の蛋白は幅
の狭い分布を示し、その特徴が明瞭に現われている。次
にヒト白血球をエタノール固定液で浮遊固定し、ヘマト
ポルフィリン・ヘキスト染色してスライドグラス上に集
め、ツァイス社製の螢光定量顕微鏡で波長670nmの
赤色螢光の量を、リンパ球および顆粒性白血球の夫々1
00個につき測定した。結果を第2図に示した。この図
を見るに、リンパ球は蛋白質の量が一定してしかも少な
いので鋭いピークを示し、顆粒性白血球は好中球、好酸
球など色々な種類があって蛋白質の量が一定せずまたそ
の量が一般にリンパ球よりやや多いので少し広がった分
布を示している。
更に比較例として、ヒト白証球をエタノール固定液で浮
遊固定し、FITC単染色してスライドグラス上に集め
、ツァイス社製の螢光定量顕微鏡でリンパ球の発する波
長530nmの緑黄色螢光の量を、リンパ球20個につ
き測定した。結果を第3図に示した。この図を見るに蛋
白量の分布は、第1図のヘマトポルフィリン単染色の場
合と類似のものを示している。
本発明の細胞螢光染色液においては、該溶液中における
前記ヘマトポルフィリンが0.01重品%未満の少量に
なると染色能力が不十分となる虞れがあり、また0、0
3重呈%を超えて多♀用いても特に染色強度はさほど増
進しないので、蛋白質染色用の溶液としては、通常0.
01−0.03重量%程度のヘマトポルフィリンの濃度
のものが使用される。尚、前記のへマドポルフィリン含
有の細胞螢光染色液におけるヘマトポルフィリンの細胞
染色能力は、食塩、メルカプトエチルアミン、界面活性
剤などの添加により増強あるいは安定化されるので、必
要に応して前記添加剤を補助剤として添カロする。
本発明の細胞螢光染色液からなる試薬の調整は、例えば
、10−30■のヘマトポルフィリンを10 30cc
のエチルアルコールあるいはメチルアルコールに溶解さ
せ、これを緩衝液〔例えば生理的濃度(0,8重量%)
の食塩を添加したpH7,4の燐酸緩衝液、以下単に食
塩添加の燐酸緩衝液(P B S)という〕あるいは蒸
留水で希釈して100ccとし、これにDNA検出用に
ヘキスト系試薬またはDAP Iの0.5−0.1 m
gを添加することにより調整し得るもので、褐色瓶に入
れておけば室温で長期間安定である。
また、別の細胞螢光染色液から成る試薬の調整は、従来
公知のDNA検出用の細胞螢光染色液であるヘキスト系
試薬またはDAPIを含有する染色液に対して、例えば
、10−30mgのへマドポルフィリンを1O−30c
cのエチルアルコールやメチルアルコールに溶解させ、
これを食塩添加の燐酸緩衝液(PBS)あるいは蒸留水
で希釈して100ccにして調整したものを組み合わせ
ることによって、容易に得られるものである。
前述の本発明の細胞螢光染色液を利用して細胞の染色を
実施する際には、本染色液に細胞を接触させれば良く、
染色用の細胞は、予め固定液で固定されているものであ
っても、あるいは未固定の生細胞のいずれであっても良
いが、エチルアルコール系の固定液で固定したものが最
も強い螢光が得られる。細胞はスライドグラスに塗抹さ
れたものでも、あるいは固定液や緩衝液に浮遊した状態
のものであっても良い。染色時間は常温で約5〜10分
間で十分である。
く実験例1〉 染色液の適正濃度の検討 ■ ヘマトポルフィリンの濃度: 染色する細胞サンプルにはヒトの血液から分離したリン
パ球を高浜式固定液(エチルアルコール3部+0.8%
食塩・2%庶糖水)容液7部の混液)で3時間固定した
ものを償備した。
染色液は、ヘマトポルフィリンの最’4’!/M度が0
.0001%、 0.0005%、 0.001%、 
0.005%、 0.01%、 0.02%、 0.0
3%、 0.04%、 0.05%である9種類のもの
を4!(+if Lだ。これら9種の染色液は、先ずヘ
マトポルフィリン50■を30rr11のエチルアルコ
ールに溶解させ、これに食塩添加の燐酸緩衝液(PBS
)を加えて100m1とすることによす0.05%ヘマ
1−ポルフィリン液を作り、その他の濃度の染色液は、
この0.05%液を、エチルアルコールを30%含む食
塩添加の燐酸緩衝液(PBS)で希釈することにより作
製した。
前記の細胞サンプルを各種濃度のヘマトポルフィリン液
で夫々5分間染色し、燐酸緩衝液で1回洗浄のあとスラ
イドグラスに載せ、10mMメルカプトエチルアミンを
加えた食塩添加の燐酸緩衝?&(PBS)と共にカバー
グラスで封じ、液が乾かないようにカバーグラス周囲を
マニキュア液で封じて顕微鏡標本を作製した。この標本
をコンピュータ連動のツァイス螢光定量顕微鏡で紫外線
照射下でリンパ球の細胞質が発する波長670nmの赤
色螢光の螢光強度を、各標本についてリンパ球20個ず
つ、細胞定量用のプログラム、サイフラン(Cyfla
n)を用いて測定してその平均値を求め、ヘマトポルフ
ィリンの濃度と染色細胞の螢光強度との関係を第4図に
示した。
この結果では、ヘマトポルフィリンの濃度がo、ooo
t%から0.005%まで上がるにつれて螢光強度が比
較的急速に増強するが、0.01%を越えるとその増強
の程度はやや緩やかとなる。螢光顕微鏡で紫外線照射下
で観察する限りでは0.01%の濃度で視覚的には十分
の螢光強度が得られる。定量顕微鏡による測定値では、
それより高濃度でも螢光強度は漸次増強しているものの
、ヘマトポルフィリンは元来水にはfl i8であるか
ら、その濃度を余り高くすると冬期の気温が低い時など
に再結晶する懸念もあり、必要以上の濃度は試薬の無駄
を生じるので、ヘマトポルフィリン染色液中のへマドポ
ルフィリンの実用上の濃度は、0,01%から0.03
%の間が適当である。
■ ヘキスト系試薬およびDAP Iの各濃度;細胞サ
ンプルには前記同様のヒトのリンパ球を用いた。
染色液は、ヘキスト系試薬染色液およびDAPIの最終
濃度がo、oooot%(Q、lppm)、 0.00
005(0,5ppm)、 0.0001%(lppm
)、 0.0005%(5ppm) 。
o、ooi%(10ppm)、 0.002%(20p
pm)、 0.003%(30ppm)、  0.00
5%(50pPm)となるよう食塩添加の燐酸緩衝液(
PBS)で調整した8種類のものを準備した。
前記の細胞サンプルを各種濃度のヘキスト系試薬染色液
およびDAP I液で夫々5分間染色し、前記同様の方
法で顕微鏡標本を作製した。
この標本をコンピュータ連動のツァイス螢光定量顕微鏡
で紫外線照射下でリンパ球の核が発する波長470nm
の青色螢光の螢光強度を各標本についてリンパ球20個
ずつ、細胞定量用のプログラム、サイフラン(Cyfl
an)を用いて測定してそそ平均値を求め、ヘキスト系
試薬およびDAPIの濃度と染色細胞の螢光強度との関
係を第5図及び第6図に示した。
この結果では、ヘキスト系試薬もDAP Iも共にその
濃度が0.0001%(ippm)以下では螢光強度が
不十分であるが0.0005%(5ppm)で十分の強
度に達し、それ以上濃度を高くしても螢光強度は増強し
ない。従ってヘキスト系試薬染色液およびDAP I染
色液の濃度は、いずれも最低0゜0005%(5ppm
)、最高0.001%(10ppm)と思われた。
く実験例2〉 染色液に加える添加剤の効果 ■ 食塩添加の効果: 細胞サンプルとしては前記同様にヒトのリンパ球を固定
したものを準備した。
染色液の溶媒として、食塩を添加しない燐酸緩衝液(P
B)、および食塩を0.8重量%添加した燐酸緩衝液(
PBS)とを用いた。この両種の溶媒にそれぞれヘマト
ポルフィリンおよびヘキスト系試薬を溶解させて0.0
1%へマドポルフィリン・o、oot%ヘキスト系試薬
混合染色液を作製し、これら両種の染色液で5分間染色
したリンパ球を前記同様の方法で顕微鏡標本を作製した
。この標本をコンピュータ連動のツァイス螢光定量顕微
鏡で紫外線照射下でプログラム、サイフラン(Cyf 
1an)を用い、螢光測定装置の増幅を一定にした同一
条件下で、リンパ球の細胞質が発する波長670nmの
赤色螢光(ヘマトポルフィリンによる発色)、および核
が発する470nm青色螢光(ヘキスト系試薬による発
色)の螢光強度を、リンパ球100個ずつについて測定
してその平均値を求めた。
その結果、ヘマトポルフィリンによる赤色の螢光の強度
は、食塩を添加しない染色液で染色されたものでは最低
値37.6、最高値113.0 、平均値65.5、標
準偏差値16.74であり、食塩を添加した染色液で染
色されたものでは最低値39.2、最高値108.0、
平均値67.1、標準偏差値13.53であり、平均値
においては両者に大差はなかったものの、標準偏差値は
食塩を添加した染色液の場合の方がやや小さく、このこ
とは、本来大きさがほぼ一定であるリンパ球の実態によ
り近いデータであると思われた。ヘキスト系試薬による
青色の螢光の強度は、食塩を添加しない染色液の場合は
最低値34.9.最高値67.5.平均値51.1、標
準偏差値7.39、食塩を添加した染色液の場合は最低
値41.4、最高値75.8、平均値54.2、標準偏
差値7.31と、標準偏差値においては両者に大差はな
かったものの、平均値においては食塩を添加した染色液
の場合の方が明らかに高い値を示し、このことは食塩添
加によってDNAのヘキスト系試薬による螢光輝度が向
上したことを示唆した。
■ メルカプトエチルアミン添加の効果螢光染色された
細胞や組織は、紫外線照射を受けると最初は強い螢光を
発するが、一般にこの螢光は紫外線照射を続けると急速
に褪色する。
メルカプトエチルアミンはこの螢光褪色を防止する化合
物として従来より知られている。ヘマトポルフィリンお
よびヘキスト系試薬あるいはDAP Iによって染色さ
れた細胞の核および細胞質も、紫外線で照射すると比較
的急速にその螢光が褪色するので、メルカプトエチルア
ミン添加がこの褪色を防止するか否か、また褪色防止に
必要な濃度について検討した。
細胞サンプルとしては前記同様にヒトのリンパ球を固定
したものを準備した。
染色液の溶媒として、食塩を含まない燐酸緩衝液(PB
)にメルカプトエチルアミンを夫々1 mM、 10m
M、 100mMの濃度に添加したもの、およびそれを
添加しないものの4種類を($備し、これら4種類の溶
媒を用いて0.01%へマドポルフィリン・0.001
%ヘキスト系試薬混合染色液を作製し、これらの染色液
でリンパ球を5分間染色し、食塩を含まない燐酸緩衝液
(PB)で1回洗浄のあとスライドグラスに載せ、食塩
を含まない燐酸緩衝液(PB)で封入して顕微鏡標本を
作製した。この標本をコンピュータ連動のツァイス螢光
定量顕微鏡で紫外線照射下に観察し、任意に選んだ1個
のリンパ球について、直ちにその細胞質が発する波長6
70nmの赤色螢光(ヘマトポルフィリンによる発色)
、あるいは核が発する470nm青色螢光(ヘキスト系
試薬による発色)の最初の螢光強度を測定し、引き続い
て同一リンパ球について、30秒間隔で経時的に5分後
まで螢光強度を測定し、螢光量の減弱を第7図及び第8
図に示した。
その結果では、ヘマトポルフィリンによる細胞質からの
赤色螢光の場合、メルカプトエチルアミンを添加しない
染色液で染色されたリンパ球は、その螢光強度は5分後
には最初の螢光量の27.5%に減弱したのに対し、メ
ルカプトエチルアミンを1mM添加したものでは最初の
螢光量の45.9%、10mM添加では48.4%、1
00mM添加では60.5%を維持しており、メルカプ
トエチルアミン添加が、その濃度に比例して、紫外線照
射下で起こるヘマトポルフィリンの螢光褪色をかなりの
程度防止した。またヘキスト系試薬による核からの青色
螢光の場合、メルカプトエチルアミンを添加しない染色
液の場合は、その螢光強度は5分後には激減して最初の
螢光量の3.4%となり、1mM添加したものでも6.
5%となったが、10mM添加では70,0χ、100
mM添加では86.0%を維持し、メルカプトエチルア
ミン添加は、10mM以上の濃度でヘキスト系試薬に対
して紫外線照射下で起こる螢光褪色を大幅に防止した。
この観察から、ヘマトポルフィリン染色液およびヘキス
ト系試薬(またはDAP I)染色液、あるいは両染色
剤の混合液に添加するメルカプトエチルアミンの濃度は
、実用レベルで10mMが適当である。
〈実験例3〉 ヘマトポルフィリン、ヘキスト系試薬およびDAPIの
螢光の波長特性。特に従来の染色液に用いられているF
ITCおよびPIとの比較。
細胞に結合したヘマトポルフィリン、ヘキスト系試薬お
よびDAP Iが紫外線照射下で発する螢光の波長を知
るため、コンピュータ連動のツァイス螢光定量顕微鏡で
波長測定のプログラム、λ−スキャン(λ−5can)
を用いて測定した。
細胞サンプルとしては前記同様にヒトのリンパ球を固定
したものを準備した。
上記のリンパ球を0.03%ヘマトポルフィリン・ 0
.001%ヘキスト系試薬(あるいはDAP I)混合
染色液、もしくは0.001%FITC・0.003%
PI染色液で10分間染色し、食塩添加の燐酸緩衝液(
PBS)で1回洗浄のあとスライドグラスに載せ、10
mMメルカプトエチルアミンを加えた食塩添加の燐酸緩
衝液(PBS)と共にカバーグラスで封じ、カバーグラ
ス周囲をマニキュアで封じて顕微鏡標本を作製した。こ
の標本を前記の定量顕微鏡で観察し、顕微鏡視野中の測
定用小孔をリンパ球の核部あるいは細胞質部に合わせ、
夫々の部分から発している螢光につき分光測光を行なっ
た。測光は、波長400nmから700nmの間をIQ
nm間陽に分割し、各波長における螢光強度を測定した
。核部からはヘキスト系試薬、DAP IおよびPIに
よる螢光が、また細胞質部からはヘマトポルフィリンお
よびFITCによる螢光が夫々分析された。測定結果ヲ
同じλ−スキャン(λ−5can)のプログラムを使っ
てプロッターライターでグラフとして打ち出したものが
第9〜11図である。また各色素の波長特性を同一のグ
ラフ上で比較したものが第12〜14図である。
この結果から、本発明に用いるヘマトポルフィリンから
は第9図に示すとおり670nmに鋭い最大ピークと6
30nmに第2のピークとを持つ2峰性の波長特性曲線
が、またヘキスト系試薬およびDAPIからは第10及
び第11図に示すとおり共通して470n爪に鋭いピー
クを持つ波長特性曲線が得られ、両方の曲線のピーク間
隔は200nmと大きく、またその裾野の重なり合いは
第12及び第13図に示すとおり極めて小さく、両方の
螢光を分離測定することが容易であると共に、分離測定
の精度が高い事が期待された。それに対し、従来広く用
いられている染色剤のFITCとPIでは、第14図に
示すとおりFITCからの螢光は530nmに鋭いピー
ク、またPIからの螢光は620nmにやや鈍いピーク
を持つ波長特性曲線が得られたが、両方のピーク間隔は
90nmと狭い上に裾野の重なり合いもやや大きく、こ
のことが、PI−FITC染色法を用いてフローサイト
メトリーで螢光量の測定を行なう際に測定精度を悪くし
ている“螢光の洩れ込み”を起すものと思われた。
〈実験例4〉 各細胞螢光染色液で染色した細胞の螢光顕微鏡写真(4
00倍)を図面に示す。第15図はエタノール固定した
エールリッヒ腹水癌細胞の塗抹標本のへマドポルフィリ
ン単染色の螢光顕微鏡写真であって、核の部分が染まら
ず、それを取り巻く細胞質が赤色螢光を発している。癌
細胞であるから、核の形状は正円形ではなく不整形をし
ている。第16図は蛋白消化試験の対称群であって、エ
タノール固定したエールリッヒ腹水癌細胞の塗抹標本を
蛋白消化酵素を含まない食塩添加の燐酸緩衝液(PBS
)に入れて消化試験と同様の処理を行ない、ヘマトポル
フィリン・ヘキスト染色したものの螢光顕微鏡写真であ
る。細胞質はへマドポルフィリンに染まり赤色螢光を発
している。そして核はヘキスト系試薬に染まり青色螢光
を発しているのだが、青色が赤色に比べて強いので、白
っぽく出ている。第17図は蛋白消化試験の試験群であ
って、エタノール固定したエールリッヒ腹水癌細胞の塗
抹標本を蛋白消化酵素(トリプシン)を0.1%含んだ
食塩添加の燐酸緩衝液(PBS)で37℃10分間処E
lし、ヘマトポルフィリン・ヘキスト染色したものの螢
光顕微鏡写真である。細胞質は全く染まらず、核のみが
青色に染まっている。核が少し膨化した輪郭がぼやけて
見えるのは核を取り巻いていた細胞質の蛋白質が消化さ
れて消失したためである。第18図は白血球をヘマトポ
ルフィリンで単染色したものであって、白血球を塗抹せ
ずエタノール固定液に浮遊させて固定し、ヘマトポルフ
ィリン単染色したものの螢光顕微鏡写真である。一般に
スライドグラスに塗抹後固定した標本では、細胞がフラ
イドエノグ状に薄(延ばされて固定されるので核と細胞
質が明瞭に分かれて見えるが、この場合のように浮遊固
定の場合はゆで卯のように丸いまま固定されるので、核
は細胞質の層に包まれて見分けに(い。この標本では、
やや大型のもの(大きい矢印)が顆粒性白血球、やや小
型のもの(小さい矢印)がリンパ球、塵状の小さいもの
が赤血球である。第19図は白血球をFITCで染色し
たものであって、前記同様に固定した白血球を、蛋白質
の染色剤として従来用いられているFITCで染色した
ものの螢光顕微鏡写真である。螢光の強さはヘマトポル
フィリン染色に比べ弱い。第20図はエールリッヒ腹水
癌細胞をヘマトポルフィリン・ヘキスト染色液で染色し
たものであって、エールリッヒ腹水癌細胞の塗抹標本を
エタノール固定し、ヘマトポルフィリン・ヘキスト染色
したものの螢光顕微鏡写真である。癌細胞の特徴として
核が大型で(DNAが多い)、その割りには細胞質が少
ない(DNA/蛋白質比が大きい)。
ヘマトポルフィリンで染められた細胞質の赤色螢光は良
く表現されており、ヘキスト系試薬で染められた核の青
色は螢光が強かったため白っぽく見えている。第21図
はエールリッヒ腹水癌細胞をヘマトポルフィリン・DA
P ■染色液で染色したものであって、エールリッヒ腹
水癌細胞の塗抹標本をエタノール固定し、ヘマトポルフ
ィリン・DAPI染色で10分間染色したものの螢光顕
微鏡写真である。DAPIの染色結果はヘキスト系試薬
のものと全く変わらなかった。
なお、前記の細胞の染色処理において、“ヘマトポルフ
ィリン単染色”としたものは0.03%ヘマトポルフィ
リン染色液での染色を意味し、“ヘマトポルフィリン・
ヘキスト染色”または“ヘマトポルフィリン・DAP 
I染色”としたものは0.03%へマドポルフィリン+
0.0001%ヘキスト系試薬又はDAP Iの混合染
色液を意味する。
次に実施例において細胞中のDNAと蛋白質との比率を
検出するための細胞螢光染色液から成る試薬の具体的構
成を説明し、併せて該試薬を利用して細胞中のDNA/
蛋白質比の測定を実施する手順とその測定結果について
説明する。
〈実施例1〉 (1)本発明の細胞中のDNAと蛋白質との比率を検出
するための細胞螢光染色液から成る試薬は、30mgの
ヘマトポルフィリンを30ccのエチルアルコールに溶
解させ、これを食塩添加の燐酸緩衝液(PBS)で希釈
して100ccとし、これにヘキスト系試薬1mgを溶
解させると、0.03%へマドポルフィリン、o、oo
i%ヘキスト系試薬の細胞螢光染色液から成る試薬が作
製でき、これを褐色瓶に入れておく。
(2)  また、本発明の細胞中のD N Aと蛋白質
との比率を検出するための細胞螢光染色液から成る試薬
は、30■のヘマトポルフィリンを30ccのエチルア
ルコールに溶解させ、これを食塩添加の燐酸緩衝液(P
 B S)で希釈して100ccとしたものをA液とし
、100■のヘキスト系試薬またはDAPIを食塩添加
の燐酸緩衝液(PBS)100ccに溶解させたものを
B液とし、A?!、B液共に、褐色瓶に入れて室温に保
存し、必要に応じ、Aン夜100ccにB/反1 cc
を7昆合すれば、略0.03%へマドポルフィリン、0
.001%ヘキスト系試薬(またはDAP I)の細胞
螢光染色液から成る試薬が作製できる。
細胞中のDNA/蛋白質比の測定を実施する測定装置に
は大別して2種類のものがある。1つは紫外線光源と顕
微分光定量装置を装着した螢光顕微鏡で、他の1つはレ
ーザー光線を用いるフローサイトメトリーである。尚、
後者は高価で大型、かつ多叶の電力と冷却水を消費する
ものであるが、その簡易型として、レーザー光線を用い
ずに紫外線を用い、細胞分離能はないが細胞分析能を有
するところの、フローサイトメーターもしくはセルアナ
ライザーと称するものがある。
まず、紫外線光源と顕微分光装置を搭載した定量螢光顕
微鏡を用いてDNA/蛋白質比の測定を行なう場合は、
染色試料の作製法に塗抹法と浮遊法の2種類がある。ま
ず塗抹法では、液状検体(血液、エールリッヒ腹水型癌
、喀痰、子宮腔部粘液、あるいは固形の腫瘍組織から作
製した細胞浮遊液など)をスライドグラスに塗抹し、直
ちに95%エチルアルコールで10分間以上固定、燐酸
緩衝液にて1回洗浄して、該細胞螢光染色液に約IO分
間浸して染色し、食塩添加の燐酸緩衝液(PBS)で2
回洗浄後、メルカプトエチルアミンを10TIIM含有
する食塩添加の燐酸緩衝液(P B S)をスライドグ
ラスに盛り、カバーグラスをかけ、余分の液をふき取っ
たあと、カバーグラスの下の液が乾かないようにカバー
グラスの周りをマニキュア液などで封じて染色試料を作
製する。次に浮遊法では、液状検体(血液、エールリッ
ヒ腹水型癌、喀痰、子宮腔部粘液、あるいは固形の腫瘍
Mi織から作製した細胞浮遊液など)を0.8−0.9
重量%の食塩を添加した30%エチルアルコール固定液
に入れて3時間以上固定したのちに遠心沈澱して上澄み
を捨て、沈渣に該細胞螢光染色液を1−2 cc入れて
振盪機で約10分間振盪し、再び遠心沈澱して上澄みを
捨て、メルカプトエチルアミンを10mM含有する食塩
添加の燐酸緩衝液(P B S)を加えて洗浄し、遠心
沈澱して上澄みを適当量捨て、沈渣をピペットで混和し
ながら採取してスライドグラスに移し、そのままカバー
グラスをかけて前記同様にしてマニキュア液で封じて染
色試料を作製する。このようにして作製した染色試料を
前記の定量螢光顕微鏡に載せて紫外線光を当て観察する
と、核はDNAに結合したヘキスト系試薬またはDAP
 Iのために青色、細胞質は蛋白質に結合したヘマトポ
ルフィリンのために赤色に見える。顕微分光定量装置の
測定孔ターレット板を回転して、測定しようとする細胞
1個ずつが十分はいるだけの直径の測定孔を選び、この
測定孔を通して個々の細胞が発する青色螢光と赤色螢光
の量を一々測定する。
青色螢光と赤色螢光とを分離して測定する分光定量装置
には2種類ある。その1つは、光増幅管は1本だけ使用
し、この光増幅管の前に連続干渉フィルターを置いてこ
れをスライドさせる方式のもので、まず青色の470n
mのみを通すフィルタ一部分でスライドするのを止めて
測定して青色螢光量の値とし、次に同様にして赤色の6
70nmの螢光のみを通すフィルタ一部分でスライドす
るのを止めて測定して赤色螢光量の値とする。もしコン
ピュータ連動の定量顕微鏡を用いれば、この干渉フィル
ターのスライドは自動的に行ない得る。他の1つは、光
増幅管を2本使用するもので、そのうちの1本の前には
青色螢光を通すフィルターを、また他の1本の前には赤
色螢光を通すフィルターをおき、細胞の発する螢光の光
路を光2分プリズムで2等分して前記2本の光増幅管に
導き、青色と赤色の螢光量を同時に測定するものである
。これらの装置で得られた青色螢光量と赤色螢光量との
比、即ち青色螢光量/赤色螢光量比を求めれば、これが
DNA/蛋白質比に対応する。前述のごとく癌細胞は、
その一般的特徴として、正常細胞よりDNA/蛋白質比
値が大きくなる。また、癌には、扁平上皮癌、腺癌など
、多数の種類があり、その種類によりDNA/蛋白質比
値は特徴的な値を示す。また同じ種類の癌でも、その悪
性度が増すに従って細胞質の形成は不良となり、従って
DNA/蛋白質比値は大きくなる傾向を示す。
〈実施例2) この実施例では、フローサイトメトリーを用いてDNA
/蛋白質比の測定を行なう場合を説明する。この場合、
試料は全て細胞浮遊液を用いるので、液状検体(血液、
エールリッヒ腹水型癌、喀痰、子宮腔部粘液、あるいは
固形の腫癌組織から作製した細胞浮遊液など)を0.8
重量%食塩を添加した30%エチルアルコール固定液に
入れて3時間以上固定したのちに遠心沈澱し、上澄みを
捨て、沈渣に該細胞螢光染色液を1−2cc入れて振盪
機で約10分間振のし、再び遠心沈澱して上澄みを捨て
、メルカプトエチルアミンを10mM含有する燐酸緩衝
液を加えて振盪し、フローサイトメトリーの装置に移す
。フローサイトメトリーは本来レーザー光線を用いる細
胞分析分離装置であるが、これのレーザー光線発生装置
は調節により紫外線を取り出すことが出来るので、ここ
では、そのようにして紫外線を取り出したフローサイト
メトリーでDNA/蛋白質比の測定を行なう過程を説明
する。
フローサイトメトリーの2本の螢光検出器のうちの1本
の前には青色螢光を通すフィルターを、他の1本の前に
は赤色螢光を通すフィルターを置き、コンピュータで指
令して装置を作動させると、細胞は1秒間に500ない
し1000個の速度で1列になって測定部を流れ、そこ
で紫外線の細い光束で照射され、螢光染色された細胞か
ら発した螢光はレンズ集光され、光路2分プリズムで2
等分されて前記の2本の螢光検出器に入り、DNAから
発生した青色螢光と蛋白質から発生した赤色螢光の光量
がコンピュータで計算され、記録もされる。データは常
にオフシログラフ上に表示されるが、表示方法には幾つ
か種類があってコンピュータで選択出来る。その1例は
2次元ドツト表示で、横軸に赤色螢光量(蛋白量)、縦
軸に青色螢光量(DNA量)をとった座標上に、1個1
個の細胞の測定値を1つ1つの点(ドツト)として投影
するものである。正常細胞はDNA量はほぼ一定であり
、蛋白質量は種類により異なるから、その蛋白質量に応
じて横軸方向に向かって一定の分布を示す。癌細胞はD
NA量が多いので縦軸方向に向かって分布すると共に、
癌の種類により蛋白量が異なるので、その蛋白質量に応
じて右方にシフトする。また同じ種類の癌でも、一般に
悪性度の高いものほどDNAは多くなり、そのわりには
蛋白質は少ないので縦軸に添った高い位置に分布するよ
うになる。このように、白血球、正常の扁平上皮細胞、
扁平上皮癌細胞、腺癌細胞などは、その独自のDNAの
量と蛋白質の量に応じて、2次元座標上の一定位置に分
布することになるので、その位置からDNA/蛋白質比
の値を求めることが出来るだけでなく、癌細胞の種類の
推定や、ある細胞群が全体に占める割合なども求めるこ
とができる。フローサイトメトリーの細胞分離能を利用
すると、座標上の特定位置に分布している細胞群、例え
ば癌細胞のみを、喀痰などの検体試料から分離すること
が可能である。
〔発明の効果〕
本発明の細胞中のDNAと蛋白質の比率の測定用試薬と
しての細胞螢光染色液は、細胞の核のDNAを選択的に
染色し、紫外線の照射下で最大波長470nmの青色螢
光を発するヘキスト系試薬またはDAPIと、同じ(細
胞質の蛋白質を選択的に染色し、紫外線の照射下で最大
波長670nmの赤色螢光を発するヘマトポルフィリン
とを利用しているものであって、染色処理後の細胞の測
定を紫外線照射下で実施するものであるから、従来のR
NA消化後にPI−FITC染色してレーザー光線の照
射下で測定するものに比べ、使用する装置も簡単かつ廉
価で、消費電力も小さく、冷却も不要で、細胞中のDN
A/蛋白質比の測定を廉価に実施できる。
また、本発明の細胞螢光染色液による細胞中のDNA/
蛋白質比の測定においては、紫外線照射下において、D
NAと蛋白質からの螢光の波長差200nmを利用して
DNA/蛋白質比を測定するものであるから、従来のR
NA消化後にPI・FITC染色してレーザー光線の照
射下でDNAと蛋白質からの螢光の波長差90nmを利
用して測定する方法と比較して、測定精度が高く、簡単
な操作で高精度の結果が得られる。
更に、本発明の細胞螢光染色液による細胞中のDNA/
蛋白質比の測定においては、細胞核のDNAを選択的に
染色する物質と、細胞質の蛋白質を選択的に染色する物
質とを使用するものであるから、従来のPI・FITC
染色によるDNA/蛋白質比の測定に比較し、染色に先
だって予めRNA消化酵素でRNAを消化する工程が不
必要であり、従って試料を多数回遠心沈澱することも3
7℃に加温することも省くことができ、消化処理に要す
る経費を節減し、RNA消化処理による細胞の損失や傷
害を被ることもなく、また元来効果の不確実なRNA消
化に煩わされることもなく、従ってより正確な測定結果
(診断結果)が得られるのみならず、従来の方法では約
2時間要した細胞染色の全工程の所要時間を約20分で
完結するように短縮したので、多数の試料を処理する集
団検診などに於いて、極めて優れた方法である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ヘマトポルフィリン単染色で見たリンパ球の
蛋白質分布図を示す図、第2図はへマドポルフィリン・
ヘキスト染色で見たリンパ球と顆粒性白血球の蛋白量の
分布を示す図、第3図はFTTC単染色で見たリンパ球
の蛋白量分布を示す図、第4図はヘマトポルフィリン染
色液の濃度とリンパ球の赤色螢光強度との関係を示す図
、第5図はヘキスト系試薬染色液の濃度とリンパ球の青
色螢光強度との関係を示す図、第6図はDAP T染色
液の濃度とリンパ球の青色螢光強度との関係を示す図、
第7図はヘマトポルフィリンによる赤色螢光の褪色率に
及ぼすメルカプトエチルアミンの添加効果を示す図、第
8図はヘキスト系試薬により青色螢光の褪色率に及ぼす
メルカプトエチルアミンの添加効果を示す図、第9図は
細胞に結合したヘマトポルフィリンの紫外線照射による
螢光波長特性曲線を示した図、第10図は細胞に結合し
たヘキスト系試薬の紫外線照射による螢光波長特性曲線
を示す図、第11図は細胞に結合したDAP Iの紫外
線照射による螢光波長特性曲線を示す図、第12図は細
胞に結合したヘキスト系試薬とへマドポルフィリンとの
紫外線照射による螢光波長特性曲線を示す図、第13図
は細胞に結合したDAPIとヘマトポルフィリンとの紫
外線照射による螢光波長特性曲線を示す図で、第14図
は細胞に結合したPIとFITCとの紫外線照射による
螢光波長特性曲線を示す図である。また、第15図は癌
細胞のへマドポルフィリン単染色処理したもの、第16
図は癌細胞の蛋白消化試験の対照群、第17図は癌細胞
の蛋白消化試験群、第18図は白血球のヘマトポルフィ
リン単染色処理、第19図は白血球のFITC染色処理
、第20図は癌細胞のへマドポルフィリン・ヘキスト染
色処理、第21図は癌細胞のへマドポルフィリン・DA
PI染色処理、におけるそれぞれの顕微鏡写真である。 代理人 弁理士 平 木 祐 輔 第4図 ヘマトポルフィリンffi mg/dP  (括弧内は
濃度(’/、) ]第1図 相対的蛍光強度 第2図 第5図 紫外線照射時間 紫外線照射時間 波長 波長 波長 第12図 第13図 波長 第14図 ’101              、−一−(90
nm戸−→波長 第15図 第16図 第17図 第18図 第19図 第20図

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)細胞をヘマトポリフィリン及び2−〔2−(4−
    ヒドロキシフェニル−6−ベンズイミダゾリル〕−6−
    (1−メチル−4−ピペラジル)−ベンズイミダゾール
    トリヒドロクロライドまたは4′,6−ジアミジノ2−
    2フェニルインドール塩酸塩を含有する細胞螢光染色液
    で染色し、この染色細胞が発する青色螢光及び赤色螢光
    を測定することを特徴とする細胞中の蛋白質とDNAの
    比率の測定法。
  2. (2)ヘマトポルフィリン及び2−〔2−(4−ヒドロ
    キシフェニル−6−ベンズイミダゾリル〕−6−(1−
    メチル−4−ピペラジル)−ベンズイミダゾールトリヒ
    ドロクロライドまたは4′,6−ジアミジノ2−2フェ
    ニルインドール塩酸塩とともに食塩、メルカプトエチル
    アミン、界面活性剤から選ぶ補助剤を含有する細胞螢光
    染色液を使用することを特徴とする特許請求の範囲第1
    項記載の測定法。
  3. (3)ヘマトポリフィリンの濃度が0.01〜0.03
    重量%であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記
    載の測定法。
  4. (4)2−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−6−ベ
    ンズイミダゾリル〕−6−(1−メチル−4−ピペラジ
    ル)−ベンズイミダゾールトリヒドロクロライドまたは
    4′,6−ジアミジノ2−2フェニルインドール塩酸塩
    の濃度が0.0005〜0.001重量%であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項記載の測定法。
  5. (5)染色細胞のDNA/蛋白質比を、紫外線光源と顕
    微分光定量装置を装着した螢光顕微鏡あるいはフローサ
    イトメトリー又はフローサイトメーターで測定すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の測定法。
  6. (6)ヘマトポルフィリン及び2−〔2−(4−ヒドロ
    キシフェニル−6−ベンズイミダゾリル〕−6−(1−
    メチル−4−ピペラジル)−ベンズイミダゾールトリヒ
    ドロクロライドまたは4′,6−ジアミジノ−2−2フ
    ェニルインドール塩酸塩を含有する細胞螢光染色液から
    なることを特徴とする細胞中の蛋白質とDNAの比率の
    測定用試薬。
  7. (7)細胞螢光染色液がヘマトポルフィン及び2−〔2
    −(4−ヒドロキシフェニル−6−ベンズイミダゾリル
    )−6−(1−メチル−4−ピペラジル)−ベンズイミ
    ダゾールトリヒドロクロライドまたは4′,6−ジアミ
    ジノ2−2フェニルインドール塩酸塩とともに食塩、メ
    ルカプトエチルアミン、界面活性剤から選ぶ補助剤を含
    有することを特徴とする特許請求の範囲第6項記載の測
    定用試薬。
  8. (8)細胞螢光染色液がヘマトポルフィリン含有染色液
    と2−〔2−(4−ヒドロキシフェニル−6−ベンズイ
    ミダゾリル〕−6−(1−メチル−4−ピペラジル)−
    ベンズイミダゾールトリヒドロクロライドまたは4′,
    6−ジアミジノ2−2フェニルインドール塩酸塩含有染
    色液とを組み合せたものであることを特徴とする特許請
    求の範囲第6項記載の測定用試薬。
  9. (9)ヘマトポリフィリンの濃度が0.01〜0.03
    重量%であることを特徴とする特許請求の範囲第6項乃
    至第8項のいずれか記載の試薬。
  10. (10)2−2−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−
    6−ベンズイミダゾリル〕−6−(1−メチル−4−ピ
    ペラジル)−ベンズイミダゾールトリヒドロクロライド
    または4′,6−ジアミジノ2−2フェニルインドール
    塩酸塩の濃度が0.0005〜0.001重量%である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第6乃至第8項のいず
    れか記載の測定用試薬。
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