JPH051307U - 水密スライドフアスナー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スライドファスナーにおいて、スライダーと
上止との間にスライダーの係合保持手段を施し、確実に
水密性、気密性を保つ。 【構成】 スライダー１の上下翼板７，８を前方へ突出
させ、かつガイドフランジの表面に凸状の係合部１２を
設ける。一方、スライダー１を受入れる上止２のシール
部１８，２１に上下翼板７，８の突出部を嵌入させる嵌
入部１９と、係合部１２と係合する凹状の係止部とを設
け、スライダー１と上止２とを係合保持させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、水中作業用防水服、水密性袋物あるいは水密性、気密性を必要と する場合に用いられる水密スライドファスナーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種の水密スライドファスナーは、スライドファスナーを閉鎖したと き、スライダーを受けとめる形をしたＵ形のガイドフランジをファスナーチェー ン表面に設けることによってスライドファスナーを封緘するようにしたもの（特 公昭４５−２２６８６号公報参照）が知られている。また、スライダーの上下翼 板間の開口部に嵌合する内部シール部と、この開口部を密閉する外周シール部と を設け、かつ外周シール部の両端部に内方に突出する円弧状突部を設けて、スラ イダーのガイドフランジの側壁に当接するようにした水密スライドファスナー（ 実開昭６３−１０３４１１号公報参照）が知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前項で述べた公知の水密スライドファスナーは、まず第一の公知の水密スライ ドファスナーは、スライダー自体はごく普通の形状のもので、特異な形状のもの ではなく、単にファスナーチェーンの端部にスライダーを受けとめるためのＵ形 のガイドフランジをファスナーチェーンの表面に設けたものである。従ってスラ イダーとガイドフランジとは単なる接合であり、しかも接合手段はファスナーチ ェーン表面のみで行われるから、スライダーの表面側に力が加わったとき簡単に スライダーは傾き、しかもスライダーの裏面側から力が加わると容易にスライダ ーが移動し、完全な密閉が達成できない。

【０００４】 また第二の公知例の場合も、スライダー自体はごく普通の形状のものであって 、スライダーのフランジは外周シール部の両端部に設けた円弧状突出部と単に当 接するものであり、スライダーと上止との間にスライダーの係合保持手段が施さ れていないから、スライダーが容易に移動し完全な密閉が達成されない、しかも シール部分はスライダー胴体の上下翼板間の開口部のみであるから密閉効果も低 い。

【０００５】 この考案は、上述の問題点を解消するため考案されたもので、スライダーと上 止との間にスライダーの係合保持手段を積極的に施し、スライダーの移動は意図 的に行う以外移動できず、従って水密性、気密性のある水密スライドファスナー を提供することが目的である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

前記の目的を達成するために、この考案の水密スライドファスナーは、隠蔽タ イプ、あるいは普通のタイプ（例えば特公昭３３−５３２９号公報参照）の水密 性、気密性のあるスライドファスナーであって、スライダー胴体の外表面に係合 部を設け、このスライダーを密嵌する上止におけるシール部に、前記係合部と係 合する係止部を設けた水密スライドファスナーである。

【０００７】 そして、係合部と係止部の具体的構成は、スライダー胴体のガイドフランジの 表面に凸状の係合部を凸設し、上止のシール部にはこの係合部と係合する凹状の 係止部を凹設した水密スライドファスナーである。さらにスライダー胴体の上面 と下面に、ダイヤモンドより前方へ突出する上下翼板を突設し、上止の表裏面に この上下翼板を嵌入させる嵌入部を配設した水密スライドファスナーである。

【０００８】

【作用】

この考案の水密スライドファスナーは、上述のような構成であり、ファスナー チェーンに装着されたスライダーを操作してファスナーチェーンを閉鎖し、スラ イダーを上止に圧接させると、スライダー胴体のガイドフランジに設けた係合部 と、上止のシール部に設けた係止部とが互いに係合し、スライダーの移動が阻止 される。またこの閉鎖操作でスライダー胴体に設けた上下翼板の突出部が上止の シール部に設けた嵌入部に嵌入し挟持され、スライダーと上止との係合を確実な ものにする。そしてファスナーチェーンを開離させるときは、スライダー胴体の 係合部と上止の係止部との係合を解除させるようにスライダーを摺動するもので ある。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の水密スライドファスナーの実施例について、図面を参照しな がら具体的に説明する。

【００１０】 図面は、この考案の水密スライドファスナーの実施例を示したもので、図１か ら図１０に示された水密スライドファスナーは、通常、隠蔽タイプと呼ばれる形 態の水密スライドファスナーである。この隠蔽タイプの水密スライドファスナー は、大別してスライダー１、上止２、防水性テープ３、務歯噛合素子４から構成 され、スライダー１は図９，図１０に示すとおり、スライダー胴体５と引手６か ら形成され、スライダー胴体５の上面には上翼板７、下面には下翼板８がダイヤ モンド９によって連結され、しかも上下翼板７，８の先端はダイヤモンド９より も前方に突出した形態で設けられている。そして、ダイヤモンド９の両側には務 歯噛合素子４などを誘導する誘導溝１０，１０’が形成されるようガイドフラン ジ１１，１１’が下翼板８に立設され、このガイドフランジ１１，１１’の外側 表面に凸状の係合部１２，１２’が縦向きに凸設されており、さらにガイドフラ ンジ１１，１１’の上端には、内向フランジ１３，１３’が曲設されている。ま た上翼板７と内向フランジ１３，１３’との間には防水性テープ３が通過できる テープ誘導溝部１４，１４’が形成されており、上翼板７の上面には引手６を取 付ける取付環１５が立設されている。

【００１１】 上止２は、図１，図３，図５，図６および図８に示すとおり、防水性テープ３ の開口縁に務歯噛合素子４が取着された開口縁端部に成形されている。そして上 止２は防水性テープ３と同一の材質から一体成形され、上止２の入口にはスライ ダー胴体５のテープ誘導溝部１４，１４’に密嵌し、さらにダイヤモンド９を通 過させることができ、通過後はテープ両縁が密接する通路１６と、その先方にダ イヤモンド９を包囲し、かつ図８に示すようにダイヤモンド９の前面と密接する 係合凹部１７が形成された内部シール部１８が成形されている。そして、内部シ ール部１８の上面と下面にはスライダー胴体５の上翼板７および下翼板８の突出 した部分を嵌入し挟持できる嵌入部１９，２０が備えられ、全体がＵ字状を呈す る上外周シール部２１および下外周シール部２２が一体成形されている。また内 部シール部１７におけるスライダー胴体５との嵌合用の嵌合側壁部分には、ガイ ドフランジ１１，１１’の外側表面に凸設した係合部１２，１２’と係合する凹 状の係止部２４，２４’が縦向きに凹設され、スライダー１が上止２に圧接され たときは、係合部１２，１２’と係止部２４，２４’との係合によってスライダ ー１は上止２から離脱することができない。

【００１２】 ファスナーチェーンは、ゴム、軟質合成樹脂フィルム、ゴム引布などの防水性 テープ３の端縁に務歯噛合素子４を取付けるのであるが、その取着手段は図７に 示すように務歯噛合素子４の基部を防水性テープ３が包囲する形態になるよう、 防水性テープ３の外側面から務歯クランプ素子２３をあてがって挟着し、務歯噛 合素子４を防水性テープ３に取着しファスナーチェーンが完成する。

【００１３】 次に図１１，図１２に示された実施例は、普通タイプの水密スライドファスナ ーである。この水密スライドファスナーにあっては、スライダー胴体２４は上翼 板２５と下翼板２６とがダイヤモンド２７によって連結され、上下翼板２５，２ ６の両側縁には務歯２８を誘導するガイドフランジ２９，３０が立設され、かつ 上下翼板２５，２６はダイヤモンド２７よりも前方に突出した形態に形成され、 しかも上下のガイドフランジ２９，３０の外側表面には凸状の係合部３１，３２ が凸設されている。

【００１４】 一方ファスナーチェーンは、防水性テープ３３の縁部に務歯２８が取付けられ 、この務歯２８の上表面および横側面を防水性テープ３３が被覆し隆起条を形成 している。そして隆起条の端部に上止３４が一体成形されており、上止３４は隆 起条に連設されかつ務歯２８が取付けられていない。またスライダーのダイヤモ ンド２７が通過することができ、かつ通過後は両縁部が密接する通路３５と、そ の先方にダイヤモンド２７を包囲しダイヤモンド２７の前面と密接する係合凹部 ３６が形成されたシール部３７が成形されている。シール部３７の上面と下面に はスライダー胴体２４の上翼板２５および下翼板２６の突出部分を嵌入し挟持す る嵌入部３８，３９がＵ字状に成形され、さらにシール部３７におけるスライダ ーのガイドフランジ２９，３０が嵌入される嵌入溝４０の側壁部４１には、ガイ ドフランジ２９，３０の外側表面に凸設された係合部３１，３２と係合する係止 部４２が凹設され、スライダー胴体２４が上止３４に圧接されたときは、係合部 ３１，３２と係止部４２とが係合してスライダーの離脱を阻止する。

【００１５】 第一、第二実施例とも、スライダーのガイドフランジ１１，１１’または２９ ，３０に凸設された凸状の係合部１２，１２’または３１，３２と係合する上止 ２または３４の嵌合側壁部分または４１に凹設された凹状の係止部２４，２４’ または４２との形態を逆にして設置することもできる。この考案で重要なことは スライダーを上止との間に両者を係合させる手段が積極的に施されていればよく 、その形態は問わない。また第二実施例において、係合手段をスライダーの上方 に位置するガイドフランジ２９と上止３４のシール部３７との間において設置し てもよい。

【００１６】

【考案の効果】

この考案の水密スライドファスナーは、以上説明したとおりの構成であり、特 にスライダーの胴体外表面に設けた係合部と、スライダーを密嵌する上止におけ るシール部に設けた係止部とが互いに係合するよう係合保持手段を双方に積極的 に施してあるので、一旦係合すれば多少の外力が加わってもスライダーは摺動す ることができない。従って従来例のようにスライダーと上止とが単に当接するも の、あるいはスライダーを受けとめるガイドフランジをファスナーチェーンの表 面にのみ設けたものと異なり、スライダーの係合保持機能は確実に働くからスラ イドファスナーの密閉効果を向上させることができる。

【００１７】 また、スライダー胴体の上面および下面に設けた上下翼板を突出状態に設け、 この突出部を上止のシール部に設けた嵌入部に嵌入挟持させるので、前記係合保 持手段と相俟ってスライダーに如何なる方向から外力が加わってもスライダーは 微動だもせず完全に水密性，気密性が保持されるから、きわめて実用的な水密ス ライドファスナーが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】開離状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの表側要部の斜視図である。

【図２】閉鎖状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの表側要部の斜視図である。

【図３】開離状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの裏側要部の斜視図である。

【図４】閉鎖状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの裏側要部の斜視図である。

【図５】開離状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの要部平面図である。

【図６】開離状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの要部背面図である。

【図７】閉鎖状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの横断面図である。

【図８】閉鎖状態を示した隠蔽タイプの水密スライドフ
ァスナーの要部の縦断面図である。

【図９】隠蔽タイプの水密スライドファスナー用スライ
ダーの斜視図である。

【図１０】隠蔽タイプの水密スライドファスナー用スラ
イダーで一部を除外した斜視図である。

【図１１】開離状態を示した普通タイプの水密スライド
ファスナーの表側要部の斜視図である。

【図１２】閉鎖状態を示した普通タイプの水密スライド
ファスナーの要部の縦断面図である。

【符号の説明】

１ スライダー ２ 上止 ５ スライダー胴体 ７ 上翼板 ８ 下翼板 ９ ダイヤモンド 11,11' ガイドフランジ 12,12' 係合部 18 内部シール部 19,20 嵌入部 21 上外周シール部 22 下外周シール部 24,24' 係止部 25 上翼板 26 下翼板 27 ダイヤモンド 29,30 ガイドフランジ 31,32 係合部 34 上止 37 シール部 38,39 嵌入部 42 係止部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スライダー胴体の外表面に係合部を設
   け、このスライダーを密嵌する上止におけるシール部に
   前記係合部と係合する係止部を設けたことを特徴とする
   水密スライドファスナー。
2. 【請求項２】 スライダー胴体のガイドフランジの表面
   に凸状の係合部を設け、上止のシール部に前記係合部と
   係合する凹状の係止部を設けた請求項１記載の水密スラ
   イドファスナー。
3. 【請求項３】 スライダー胴体の上面と下面において、
   ダイヤモンドより前方へ突出する上下翼板を突設し、上
   止の表裏面に前記上下翼板を嵌入させる嵌入部を設けた
   請求項１または２記載の水密スライドファスナー。