JPH05126241A - 車両用手動変速機 - Google Patents

車両用手動変速機

Info

Publication number
JPH05126241A
JPH05126241A JP3288077A JP28807791A JPH05126241A JP H05126241 A JPH05126241 A JP H05126241A JP 3288077 A JP3288077 A JP 3288077A JP 28807791 A JP28807791 A JP 28807791A JP H05126241 A JPH05126241 A JP H05126241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
speed
gear
shaft
shift
input shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3288077A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2657338B2 (ja
Inventor
Kenji Matsuda
健司 松田
Naoki Uchiyama
直樹 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP3288077A priority Critical patent/JP2657338B2/ja
Publication of JPH05126241A publication Critical patent/JPH05126241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2657338B2 publication Critical patent/JP2657338B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structure Of Transmissions (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 副変速機構を備えた車両用手動変速機におい
て、坂道発進を容易に行なえるようにする。 【構成】 入力軸Msに支持されて油圧クラッチ14に
より入力軸Msに結合可能なギヤ軸13と出力軸Cs間
に主変速ギヤ列Gmを設け、副軸Ss上に入力軸Msの
回転を減速してギヤ軸13に伝達可能な副変速ギヤ列G
sとギヤ軸13側のオーバー回転を許容するワンウエイ
クラッチ39を設ける。坂道発進時に前記油圧クラッチ
14を強制的に係合させることにより、駆動輪から変速
機に逆伝達するトルクで入力軸Msと副軸Ss間にトル
クロックを生じさせ、ドライバーの意思に反して車両が
坂道を下ることを防止する。変速用クラッチCを係合さ
せて入力軸Msを正回転させれば、前記ロックが自動的
に解除されるため、ブレーキ操作を行うことなく車両を
発進させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の前進変速段に対
応して高速・低速の2種類の伝動系を確立し得る副変速
機を備え、油圧クラッチの係合により高速伝動系を、ま
た前記油圧クラッチの係合解除により低速伝動系を確立
するようにした車両用手動変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】入力軸と出力軸とを備える2軸式の手動
変速機において、その前進1速〜4速変速段のうちの2
速〜4速変速段を副変速機構で更に高低2段に変速する
ことにより、前進7段の多段変速を実現するものが知ら
れいる(例えば、特開昭60−30849号公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで手動変速機を
備えた車両は、坂道発進時にブレーキ解放操作と所謂半
クラッチ操作の両方を適切に行わないと、ドライバーの
意思に反して重力で車両が逆方向に移動したり、エンジ
ンが停止したりする場合がある。
【0004】本発明は前記副変速機構を備えた手動変速
機の特性を有効に利用し、坂道発進を容易に行なえるよ
うにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、前記ギヤ軸を介することなく前記入力軸
および出力軸間を連結し得る発進用ギヤ列と、変速用ク
ラッチを介してエンジンに接続された入力軸と、この入
力軸に対して平行に配設された出力軸と、前記入力軸上
に相対回転自在に支持されて主変速ギヤ列を介して前記
出力軸に連結されるギヤ軸と、前記入力軸とギヤ軸間に
高低2段の伝動系を選択的に確立し得る副変速機構とを
備えて成る車両用手動変速機であって、前記入力軸上に
該入力軸と前記ギヤ軸とを結合し得る油圧クラッチを設
けるとともに、前記入力軸の回転を減速して前記ギヤ軸
に伝達し得る副変速ギヤ列を設け、前記副変速ギヤ列に
ギヤ軸側のオーバー回転を許容するワンウエイクラッチ
を介在させて成り、前記油圧クラッチの係合により前記
入力軸とギヤ軸とを直結して前記副変速機構の高速伝動
系を確立し、前記油圧クラッチの解放により入力軸とギ
ヤ軸とを前記副変速ギヤ列を介して結合して前記副変速
機構の低速伝動系を確立する車両用手動変速機におい
て、車両の走行速度を検出する検出手段と、この検出手
段が検出した車両の走行速度が所定値以下の時に前記油
圧クラッチを係合させ、前記副変速機構の高速伝動系を
確立させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0007】図1〜図5に示すように、車両用変速機M
はエンジンEに変速用クラッチCを介して直列に接続さ
れる入力軸Msと、この入力軸Msに対して平行に配設
される出力軸Csおよび副軸Ssを備える。変速用クラ
ッチCはエンジンEのクランクケースの右側面に接合さ
れるクラッチケース1の内部に収納されるとともに、入
力軸Ms、出力軸Cs、および副軸Ssは前記クラッチ
ケース1の右側面に接合されるミッションケース2の内
部に収納され、更にミッションケース2の右側面にはミ
ッションケース右カバー3が接合される。
【0008】変速用クラッチCは、クランクシャフト4
の右端に接続されたクラッチホーイル5と、入力軸Ms
の左端にダンパ6を介して接続されたクラッチディスク
7とを備え、常時はダイヤフラムスプリング8でプレッ
シャプレート9とクラッチホイール5間にクラッチディ
スク7のフェーシング10を挟圧することにより係合し
ており、変速時にレリーズフォーク11でレリーズベア
リング12を左方向に押圧することにより係合が解除さ
れる。
【0009】入力軸Msの右半部外周にはギヤ軸13が
相対回転自在に嵌合し、そのギヤ軸13の右端には後述
の油圧クラッチ14のクラッチインナ15が前記ギヤ軸
13と一体で回転し得るようにスプライン結合される。
入力軸Msはその中央左寄りの部分でクラッチケース1
の端壁にボールベアリング16を介して支持されるとと
もに、その右端寄りの部分でミッションケース2の端壁
に前記クラッチインナ15の外周に設けたローラベアリ
ング17により支持される。出力軸Csの左端はクラッ
チケース1の端壁にローラベアリング18を介して支持
され、その右端はミッションケース2の端壁にボールベ
アリング19を介して支持される。また副軸Ssの左端
はクラッチケース1の端壁にボールベアリング20を介
して支持され、その右端はミッションケース2の側壁に
ローラベアリング21を介して支持される。
【0010】入力軸Msと一体に形成したメイン1速ギ
ヤ22は出力軸Csに相対回転自在に支持したカウンタ
1速ギヤ23に噛合し、このカウンタ1速ギヤ23を1
−2速シフトフォーク67で駆動される1−2速同期機
構S1 のスリーブ24で出力軸Csに結合することによ
り1速変速段が確立される。また入力軸Msと一体に形
成したリバースドライブギヤ25は、リバースアイドル
軸26に摺動自在に支承されてリバースシフトフォーク
69で駆動されるリバースアイドルギヤ27(図1およ
び図5参照)を介して前記スリーブ24に形成したリバ
ースドリブンギヤ28に結合可能であり、これにより後
退変速段が確立される。
【0011】ギヤ軸13に一体に形成したメイン2速ギ
ヤ29は出力軸Csに相対回転自在に支持したカウンタ
2速ギヤ30に噛合し、そのカウンタ2速ギヤ30を前
記1−2速シフトフォーク67で駆動される1−2速同
期機構S1 のスリーブ24で出力軸Csに結合すること
により2速変速段が確立される。ギヤ軸13にはメイン
3速ギヤ31とメイン4速ギヤ32が相対回転自在に支
持され、それらメイン3速ギヤ31とメイン4速ギヤ3
2は出力軸Csにスプライン結合されたカウンタ3速ギ
ヤ33とカウンタ4速ギヤ34に噛合する。そしてギヤ
軸13に設けられて3−4速シフトフォーク68で駆動
される3−4速同期機構S2 のスリーブ35で前記メイ
ン3速ギヤ31とメイン4速ギヤ32をギヤ軸13に選
択的に結合することにより、3速あるいは4速変速段が
確立される。前記1−2速同期機構S1 と3−4速同期
機構S2は周知のもので、スリーブ24,35の摺動に
伴うブロッキングリングとシンクロコーンの摩擦力によ
って同期作用を行うものである。
【0012】而して、前記メイン1速〜4速ギヤ22,
29,31,32、およびカウンタ1速〜4速ギヤ2
3,30,33,34により、入力軸Msと出力軸Cs
間に1速〜4速変速段を選択的に確立するための主変速
ギヤ列Gmが構成される。また、リバースドライブギヤ
25、リバースアイドルギヤア27、およびリバースド
リブンギヤ28により後退用ギヤ列Grが構成される。
尚、前記メイン1速ギヤ22およびカウンタ1速ギヤ2
3、並びにリバースドライブギヤ25、リバースアイド
ルギヤ27、およびリバースドリブンギヤ28は、特許
請求の範囲における発進用ギヤ列に対応する。
【0013】次に、前記2速〜4速変速段に対応して高
低2段の伝動系を確立するための副変速機構mの構造を
説明する。
【0014】入力軸Msと一体に形成したプライマリド
ライブギヤ36は副軸Ssに相対回転自在に支持したプ
ライマリドリブンギヤ37に噛合し、副軸Ssに一体に
形成したセカンダリドライブギヤ38はギヤ軸に一体に
形成したセカンダリドリブンギヤとしての前記メイン2
速ギヤ29に噛合する。プライマリドライブギヤ36の
歯数はそれに噛合するプライマリドリブンギヤ37の歯
数よりも小さく、またセカンダリドライブギヤ38の歯
数はそれに噛合するメイン2速ギヤ29(セカンダリド
リブンギヤ)の歯数よりも大きく設定され、入力軸Ms
からギヤ軸13に駆動力が伝達されるとき、その回転数
はトータルとして減速比1.3〜1.5程度に減速され
る。上記プライマリドライブギヤ36、プライマリドリ
ブンギヤ37、セカンダリドライブギヤ38、メイン2
速ギヤ29(セカンダリドリブンギヤ)は副変速ギヤ列
Gsを構成する。プライマリドリブンギヤ37と副軸S
sの間にはワンウエイクラッチ39が介装され、入力軸
Msから副軸Ssへの駆動力の伝達のみを許容し、副軸
Ssから入力軸Msへの駆動力の伝達を遮断するように
構成される。
【0015】入力軸Msの右端には、ミッションケース
右カバー3の内部に位置するように前記油圧クラッチ1
4が設けられ、この油圧クラッチ14によって前記入力
軸Msとギヤ軸13が相互に結合される。油圧クラッチ
14は入力軸Msの右端に固着したクラッチアウタ40
と、ギヤ軸13の右端に固着した前記クラッチインナ1
5と、クラッチアウタ40とクラッチインナ15間に配
設した複数のクラッチディスク41と、このクラッチデ
ィスク41を押圧して相互に密着させるクラッチピスト
ン42と、このクラッチピストン42を係合方向に付勢
するための油室43と、前記クラッチピストン42を非
係合方向に付勢する戻しばね44から構成される。
【0016】したがって、油室43に圧油を供給するこ
とにより、入力軸Msはクラッチアウタ40、クラッチ
ディスク41、クラッチインナ15を介してギヤ軸13
に結合され、入力軸Msとギヤ軸13は一体で回転す
る。このとき、入力軸Msとギヤ軸13とは副変速ギヤ
列Gsを介しても連結されるが、ワンウエイクラッチ3
9が非係合となることにより前記副変速ギヤ列Gsを介
しての動力伝達は行われない。また油圧クラッチ14が
解放されると、前述のように入力軸Msの回転は副変速
ギヤ列Gsで減速されてギヤ軸13に伝達される。
【0017】出力軸Csの左端に一体に形成されたファ
イナルドライブギヤ45はデフケース46の外周に設け
たファイナルドリブンギヤ47から差動装置Dに入力さ
れ、その差動装置Dの出力はクラッチケース1にボール
ベアリング48で支持した左車軸49とミッションケー
ス2にボールベアリング50で支持した右車軸51から
取り出される。
【0018】図5から明らかなように、入力軸Msを中
心としてその後方に出力軸Csが配設されるとともに、
入力軸Msを中心としてその斜め前下方に副軸Ssが配
設される。また左右の車軸49,51は出力軸Csの後
下方に配設され、リバースアイドル軸26は入力軸Ms
の上方に配設される。
【0019】上述のように、従来出力軸Cs上に設けら
れていた副変速機構mを副軸Ss上に設けたことによ
り、出力軸Csの軸方向寸法が短縮されるだけでなく、
その出力軸Csの右端とミッションケース右カバー3と
の間に後述の油圧制御系Hを収納するためのスペースが
確保される。
【0020】次に、1速〜4速変速段および後退変速段
を確立するためのチェンジ装置について図6〜図11に
より説明する。
【0021】図6はチェンジ装置のチェンジレバーの操
作パターンを示すもので、Nが中立位置、が1速位
置、が2速位置、が3速位置、が4速位置、Rが
後退位置である。
【0022】図7および図8において、チェンジレバー
に連動するチェンジロッド71が、ミッションケース2
に摺動および回転自在に支持される。このチェンジロッ
ド71の先端に固着された作動アーム72は、シフトア
ーム73に一体に形成された被動アーム73aに連接さ
れる。シフトアーム73は、チェンジロッド71と直交
する方向に延びてミッションケース2に固着した支持板
74に支持される支軸75に回動および摺動自在に支承
され、チェンジレバーが図6でセレクト方向Aに操作さ
れるとチェンジロッド71の回動により摺動され、また
シフト方向Bに操作されるとチェンジロッド71の摺動
により回動されるようになっている。
【0023】シフトアーム73の摺動に伴って該シフト
アーム73に設けた駆動アーム73bが移動する軌跡上
には、3つのシフトピース76,77,78が配設され
る。そして、シフトアーム73の駆動アーム73bは、
前記チェンジレバーの−位置セレクト時には、図8
で上方の1−2速シフトピース76の係合溝76aに係
合し、またチェンジレバーのN位置、すなわち−位
置セレクト時には中央の3−4速シフトピース77の係
合溝77aに係合し、またチェンジレバーのR位置セレ
クト時には下方のリバースシフトピース78の係合溝7
8aに係合するようになっている。
【0024】図1を併せて参照すると明らかなように、
上方の1−2速シフトピース76は、前記1−2速同期
機構S1 のスリーブ24に係合する1−2速シフトフォ
ーク67に、また中央の3−4速シフトピース77は、
前記3−4速同期機構S2 のスリーブ35に係合する3
−4速シフトフォーク68に、また下方のリバースシフ
トピース78は前記リバースアイドルギヤ27に係合す
るリバースシフトフォーク69に連結される。
【0025】而して、シフトアーム73の駆動アーム7
3bを上方の1−2速シフトピース76に係合して図7
で左右に回動すれば、1−2速シフトフォーク67を介
して前記1−2速同期機構S1 を1,2速変速段の確立
位置へ作動することができる。またシフトアーム73の
駆動アーム73bを中央の3−4速シフトピース77に
係合して左右に回動すれば、3−4速シフトフォーク6
8を介して前記3−4速同期機構S2 を3,4速変速段
の確立位置へ作動することができる。またシフトアーム
73の駆動アーム73bを下方のリバースシフトピース
78に係合して右方向に回動すれば、リバースシフトフ
ォーク69を介してリバースアイドルギヤ27を休止位
置から後退変速段の確立位置へ作動することができる。
【0026】再び図7および図8において、シフトアー
ム73の駆動アーム73bの両側には一対のインタロッ
ク板79,80が配設される。これらインタロック板7
9,80は、シフトアーム73のボス部73cに相対回
動自在に嵌合されるとともに、支軸75と平行な状態で
支持板74に固着された回止めピン81に摺動自在に嵌
合される。したがって、インタロック板79,80はシ
フトアーム73と共に支軸75上を摺動し得るが支軸7
5周りには回動し得ず、しかもシフトアーム73の回動
を許容する。
【0027】これらインタロック板79,80には、支
軸75と平行なストッパピン82の両端がかしめにより
固着され、このストッパピン82は、シフトアーム73
の一側に設けた規制凹部73d内に配置される。而し
て、シフトアーム73の回動時、その規制凹部73dの
ストッパピン82との当接により、シフトアーム73の
回動角度、したがって各シフトフォーク67,68,6
9シフトストロークが規制される。
【0028】インタロック板79,80は、シフトアー
ム73の先端を間に置いて相対向する規制爪79a,8
0aをそれぞれ備えており、これら規制爪79a,80
aはシフトアーム73が係合する1つのシフトピース
(例えば78)以外の2つのシフトピース(例えば7
6,77)に係合して、該2つのシフトピースの誤作動
を防止するためのものである。
【0029】一方のインタロック板79の外側面と支持
板74との間には第1戻しばね83が縮設される。ま
た、上記インタロック板79と反対側の支軸75の端部
には環状の肩部75aが形成され、この肩部75aとそ
れに隣接するシフトアーム73の端部とに対向して位置
規制板84が配設され、この位置規制板84の外側面と
支持板74との間に第2戻しばね85が縮設される。こ
の第2戻しばね85のセット荷重は、第1戻しばね83
のそれより大きく設定される。
【0030】而して、第1、第2戻しばね83,85お
よび位置規制板84の協働により、シフトアーム73の
駆動アーム73bは、チェンジレバーのN位置に対応す
る位置、すなわち3−4速シフトピース77と係合する
中立位置へ常時付勢される。シフトアーム73を第1戻
しばね83の弾発力に抗して摺動させれば、該シフトア
ーム73の駆動アーム73bは1−2速シフトピース7
6に係合し、またシフトアーム73を第2戻しばね85
の弾発力に抗して摺動させれば、該シフトアーム73の
駆動アーム73bはリバースシフトピース78に係合す
る。シフトアーム73の上記摺動を節度的を行わせるデ
イテント機構86がシフトアーム73と支軸75間に設
けられる。
【0031】図8および図9から明らかなように、1−
2速シフトピース76、3−4速シフトピース77、お
よびリバースシフトピース78は、ミッションケース2
に摺動自在に支持した1−2速シフトロッド(不図
示)、3−4速シフトロッド87、およびリバースシフ
トロッド88に固着される。
【0032】リバースシフトピース78のボス部78b
に植設したピン78cは、ミッションケース2に枢軸8
9を介して枢支した前記リバースシフトフォーク69の
カム溝69aに係合する。しがって、リバースシフトピ
ース78がリバースシフトロッド88と一体で図9の矢
印a方向に摺動すると、ピン78cにカム溝69aを押
圧されたリバースシフトフォーク69が矢印b方向に揺
動し、リバースアイドルギヤ27は矢印c方向に摺動し
てリバースドライブギヤ25およびリバースドリブンギ
ヤ28に噛合する。リバースシフトロッド88の右端に
はバックライトスイッチ90が設けられ、後退変速段を
確立する際のリバースシフトロッド88の矢印a方向へ
の摺動を検出する。
【0033】リバースシフトロッド88と平行に配設さ
れた3−4速シフトロッド87にはボール91が係合す
る3個の凹部87a,87b,87cを備えたディテン
ト機構92が設けられる。3−4速シフトロッド87に
固着された3−4速シフトフォーク68のボス部68a
から延びるアーム部68bは、前記リバースシフトロッ
ド88に摺動自在に嵌合する。そして前記アーム部68
bの内部にはリバースシフトロッド88の3個の凹部8
8a,88b,88cに嵌合するボール93を備えたデ
ィテント機構94が設けられる。
【0034】而して、リバースシフトピース78と3−
4速シフトピース77が共に図9に示す中立位置にある
とき、ディテント機構92のボール91は中央の凹部8
7bに嵌合するとともに、ディテント機構94のボール
93は中央の凹部88bに嵌合する。そして3速変速段
を確立すべく3−4速シフトピース77および3−4速
シフトロッド87が矢印d方向に摺動すると、ディテン
ト機構92,94のボール91,93はそれぞれ凹部8
7c,88aに嵌合し、4速変速段を確立すべく3−4
速シフトピース77および3−4速シフトロッド87が
矢印e方向に摺動すると、ディテント機構92,94の
ボール91,93はそれぞれ凹部87a,88cに嵌合
する。また、後退変速段を確立すべくリバースシフトピ
ース78とリバースシフトロッド88を矢印a方向に摺
動させると、ディテント機構94のボール93は凹部8
8bから凹部88aに移動する。
【0035】図10および図11から明らかなように、
後退変速段の確立時に3−4速シフトフオーク68の4
速変速段確立方向への規定の小ストロークの動きを規定
するために、インタロック板79の規制爪79aの一側
には凹部79bが設けられる。したがって3−4速シフ
トフオーク68が4速変速段の確立方向へ僅かに駆動さ
れる時、3−4速シフトピース77の一部が上記凹部7
9bに進入し、インタロック板79の規制爪79aとの
当接により3−4速シフトフォーク68の前記小ストロ
ークの動きが規定される(図11(b)参照)。
【0036】相対向するシフトアーム73の角部と3−
4速シフトピース77の角部には、それぞれ斜面73
e,77bが形成される。而して、後退変速段の確立を
解除すべく、チエンジレバーを図6のRシフト位置から
N位置へ戻すと、先ずシフトアーム73の駆動アーム7
3bがリバースアイドルギヤ27を休止位置へ戻すよう
にリバースシフトピース78を移動させる。すると、第
1、第2戻しばね83,85および位置規制板84の協
働により、シフトアーム73およびインタロック板7
9,80は図6のN位置に対応する中立位置に戻される
が、その過程でシフトアーム73の斜面73eが3−4
速シフトピース77の斜面77bに衝合して3−4速シ
フトピース77を原位置に復帰させることができる(図
11(c)参照)。
【0037】シフトアーム73が中立位置を占めると、
インタロック板79の規制爪79aの凹部79bは1−
2速シフトピース76に対向する。そこで、該1−2速
シフトピース76が前記凹部79bへ進入することを防
止するために、該1−2速シフトピース76の外側面に
は、規制爪79aの外側面に対向するストッパ76bが
一体に突設される。したがって、凹部79bが1−2速
シフトピース76に対向したときでも、ストッパ76b
と規制爪79aの外側面との当接により、1−2速シフ
トフオーク67の2速変速段確立方向への誤作動を防止
することができる(図11(a)参照)。
【0038】次に、油圧クラッチ14を制御する油圧制
御系Hについて説明する。
【0039】図3から明らかなように、入力軸Msの内
部にはクランクシャフト4により駆動されるオイルポン
プ軸52が同軸に配設され、ミッションケース右カバー
3から外部に延出するオイルポンプ軸52の右端には、
トロコイド式のオイルポンプ53が装着されてポンプケ
ース54により覆われる。そしてミッションケース右カ
バー3の内面には前記油圧制御系Hが収納される。この
ように油圧制御系Hをオイルポンプ53の近傍に配設す
ることにより油路を短縮することが可能となるばかり
か、油圧系統の集中配置によりメンテナンス性能を向上
させることができる。
【0040】図12および図13から明らかなように、
油圧制御系Hはオイルタンク55からオイルを汲み上げ
る前記オイルポンプ53の吐出油により前記油圧クラッ
チ14を制御するもので、レギュレータバルブ56、リ
リーフバルブ57、モジュレータバルブ58、CPCバ
ルブ(クラッチプレッシャーコントロールバルブ)5
9、シフトバルブ60、アキュムレータ61、シフトソ
レノイド62、デューティーソレノイド63、およびフ
ィルタ64,65,66等から構成される。
【0041】図14は電子制御系のブロック図であっ
て、マイクロコンピュータを備えた電子制御ユニットU
には、前記バックライトスイッチ90に加えて、車速セ
ンサ、クラッチスイッチ、ニュートラルスイッチ、エン
ジン回転数センサ、スロットル開度センサ、および水温
センサが接続される。尚、クラッチスイッチはクラッチ
ペダルに設けられるもので、クラッチペダルが踏まれた
こと、すなわちシフトチェンジ操作が行われることを検
出する。またニュートラルスイッチは変速機の内部に設
けられるもので、チェンジレバーがニュートラル位置を
通過する時にONし、シフトチェンジ操作が行われるこ
とを検出する。ニュートラルスイッチはクラッチペダル
を踏まないでシフトチェンジするドライバーがいること
を考慮して設けられるもので、前記クラッチスイッチお
よびニュートラルスイッチの少なくとも一方がONした
時にシフトチェンジが行われると判断される。尚、前記
車速センサは特許請求の範囲における検出手段に対応す
る。
【0042】電子制御ユニットUには、シフトポジショ
ン判別手段、2速〜4速変速マップ、高速伝動系・低速
伝動系判別手段、およびアキュムレータ背圧・クラッチ
圧制御マップが設けられる。そして、この電子制御ユニ
ットUにより前記シフトソレノイド62とデューティー
ソレノイド63が制御される。
【0043】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0044】図1において、チェンジレバーの操作に連
動してスリーブ24が左方向に移動すると、カウンタ1
速ギヤ23が出力軸Csに結合されて1速変速段が確立
され、エンジンEのクランクシャフト4の駆動力は変速
用クラッチC→入力軸Ms→メイン1速ギヤ22→カウ
ンタ1速ギヤ23→出力軸Cs→ファイナルドライブギ
ヤ45→ファイナルドリブンギヤ47→差動装置Dを介
して左右の車軸49,51に伝達される。
【0045】前記スリーブ24を右方向に移動すると、
カウンタ2速ギヤ30が出力軸Csに結合されて2速変
速段が確立される。2速変速段には副変速機構mの高速
伝動系と低速伝動系が確立可能であり、油圧クラッチ1
4の係合時には副変速機構mの高速伝動系が確立する。
すなわち、油圧クラッチ14が係合すると入力軸Msに
相対回転自在に支持したギヤ軸13が該入力軸Msに一
体に結合され、そのギヤ軸13に設けたメイン2速ギヤ
29は入力軸Msに結合される。その結果、エンジンE
のクランクシャフト4の駆動力は変速用クラッチC→入
力軸Ms→油圧クラッチ14→ギヤ軸13→メイン2速
ギヤ29→カウンタ2速ギヤ30→出力軸Cs→ファイ
ナルドライブギヤ45→ファイナルドリブンギヤ47→
差動装置Dを介して左右の車軸49,51に伝達され
る。このとき、入力軸Msとギヤ軸13は副変速ギヤ列
Gsを介しても接続されているが、ギヤ軸13が入力軸
Msに結合されることによりギヤ軸13側がオーバー回
転になるため、副変速ギヤ列Gsに介装したワンウエイ
クラッチ39が切り放されて該副変速ギヤ列Gsは実質
的に機能しない。
【0046】一方、油圧クラッチ14の解放時には副変
速機構mの低速伝動系が確立する。すなわち、油圧クラ
ッチ14が解放されると入力軸Msとギヤ軸13が切り
放されて今度は副変速ギヤ列Gsを介して入力軸Msと
ギヤ軸13が接続され、エンジンEのクランクシャフト
4の駆動力は変速用クラッチC→入力軸Ms→プライマ
リドライブギヤ36→プライマリドリブンギヤ37→ワ
ンウエイクラッチ39→副軸Ss→セカンダリドライブ
ギヤ38→メイン2速ギヤ29(セカンダリドリブンギ
ヤ)→カウンタ2速ギヤ30→出力軸Cs→ファイナル
ドライブギヤ45→ファイナルドリブンギヤ47→差動
装置Dを介して左右の車軸49,51に伝達される。而
して、2速変速段の確立時に油圧クラッチ14を係合あ
るいは解放することにより、副変速機構mに高速伝動系
と低速伝動系を選択的に確立することができる。
【0047】スリーブ35を左方向に駆動するとメイン
3速ギヤ31がギヤ軸13に結合されて3速変速段が確
立されるとともに、該スリーブ35を右方向に駆動する
とメイン4速ギヤ32がギヤ軸13に結合されて4速変
速段が確立される。これら3速および4速変速段が確立
しているとき、前記2速変速段が確立しているときと同
様に、油圧クラッチ14を係合させてギヤ軸13を入力
軸Msに結合することにより高速伝動系を確立し、また
油圧クラッチ14を解放して入力軸Msとギヤ軸13を
副変速ギヤ列Gsを介して接続することにより低速伝動
系を確立することができる。
【0048】また、リバースアイドル軸26に設けたリ
バースアイドルギヤ27を摺動させ、入力軸Msのリバ
ースドライブギヤ25と出力軸Csのリバースドリブン
ギヤ28とに噛合させることにより、後退変速段が確立
される。
【0049】次に、上記油圧クラッチ14を制御する油
圧回路の作用を図13に基づいて説明する。
【0050】オイルポンプ53がオイルタンク55から
汲み上げたオイルの圧力は、レギュレータバルブ56で
調圧されて所定のライン圧となり、余剰のオイルの一部
は潤滑油として供給され、残りはリリーフバルブ57か
らオイルタンク55に逃がされる。ライン圧はモジュレ
ータバルブ58において更に減圧されて制御圧となり、
シフトバルブ60とアキュムレータ61に供給される。
このようにライン圧と制御圧を分離することにより、制
御の自由度を拡大することができる。またアキュムレー
タ61とCPCバルブ59に供給される制御圧は、エン
ジンEのトルクに応じてデューティー制御されるデュー
ティーソレノイド63により調圧される。
【0051】さて、油圧クラッチ14を係合させて副変
速機構mに高速伝動系を確立させるべくシフトソレノイ
ド62を左方向に駆動すると、前記モジュレータバルブ
58で発生した制御圧がシフトバルブ60に作用し、該
シフトバルブ60が開弁する。その結果、レギュレータ
バルブ56で発生したライン圧がCPCバルブ59およ
びシフトバルブ60を介して油圧クラッチ14の油室4
3に供給され、該油圧クラッチ14を係合させる。その
とき、CPCバルブ59には前記デューティーソレノイ
ド63によりエンジンEの運転状態に応じて調圧された
制御圧が背圧として作用するため、該CPCバルブ59
において油圧クラッチ14に供給されるライン圧をきめ
細かく制御することができ、油圧クラッチ14の作動時
の変速ショックが軽減される。また、油圧クラッチ14
の係合時にライン圧がアキュムレータ61を蓄圧して変
速ショックを軽減するが、その際に前記アキュムレータ
61の背圧として前記デューティーソレノイド63によ
りエンジンEの運転状態に応じて調圧された制御圧が作
用するため、前記変速ショックを一層効果的に軽減する
ことができる。
【0052】また、油圧クラッチ14を解放して副変速
機構mに低速伝動系を確立させるべくシフトソレノイド
62を右方向に駆動すると、前記モジュレータバルブ5
8で発生した制御圧がオイルタンク55に逃がされてシ
フトバルブ60が閉弁するとともに、アキュムレータ6
1内のオイルがシフトバルブ60を介してオイルタンク
55に排出され、油室43に油圧が作用しなくなって油
圧クラッチ14が解放される。
【0053】次に、前記シフトソレノイド62とデュー
ティーソレノイド63の制御を図14に基づいて説明す
る。
【0054】先ず、車速センサ、クラッチスイッチ、エ
ンジン回転数センサ、ニュートラルスイッチからの信号
に基づいてシフトポジションが判別されると、そのシフ
トポジションに対応する2速〜4速変速マップが読み出
される。続いて、車速センサ、エンジン回転数センサ、
スロットル開度センサ、および水温センサからの信号に
基づいて、すなわちエンジンEの発生トルク等の運転状
態に基づいて副変速機構mに高速伝動系あるいは低速伝
動系の何れを確立すべきかが判断される。高速伝動系あ
るいは低速伝動系の選択判断がなされると、アキュムレ
ータ背圧・クラッチ圧制御マップから適切なアキュムレ
ータ61の背圧および油圧クラッチ14の作動圧が検索
され、その圧力を得るべくデューティーソレノイド63
がデューティー制御される。また、前記高速伝動系ある
いは低速伝動系の選択判断に基づいてシフトソレノイド
62がON・OFF制御され、高速伝動系を確立すべく
油圧クラッチ14が係合し、あるいは低速伝動系を確立
すべく油圧クラッチ14が解放される。
【0055】図15は前記2速〜4速変速マップを示す
もので、一般に車速が大きくスロットル開度が小さい場
合に高速伝動系が使用されるとともに、車速が小さくス
ロットル開度が大きい場合に低速伝動系が使用される。
また低速伝動系から高速伝動系へのシフトアップ特性
(実線図示)と高速伝動系から低速伝動系へのシフトダ
ウン特性(破線図示)にはヒステリシスが持たされる。
このように2速〜4速変速段において低速伝動系と高速
伝動系を選択的に確立することにより、高速走行時にお
ける燃費低減と低速走行時におけるトルク増加の両立が
図られる。
【0056】前記電子制御ユニットUは、後退変速段の
確立時におけるリバースアイドルギヤ27のギヤ鳴り防
止、シフトチェンジ操作時における同期荷重低減、発進
時における後退防止を行わせるべく、前記油圧クラッチ
14の係合・解放を制御する機能を有する。
【0057】先ず、後退変速段の確立時におけるリバー
スアイドルギヤ25のギヤ鳴り防止機能について、図1
6のフローチャートを参照して説明する。
【0058】変速用クラッチCを解放してチェンジレバ
ーを図6のR位置にシフトすると、図7および図8に示
す前述のチェンジ機構により、図9に示すリバースシフ
トピース78およびリバースシフトロッド88が矢印a
方向に摺動する。するとリバースシフトピース78に設
けたピン78cにカム溝69aを押圧されたリバースシ
フトフォーク69が矢印b方向に揺動することにより、
リバースアイドルギヤ27は休止位置からリバースドラ
イブギヤ25およびリバースドリブンギヤ28に噛合す
る作動位置に向けて矢印c方向に移動し、後退変速段の
後退用ギヤ列Grが確立される。
【0059】このとき、リバースシフトロッド88の矢
印a方向の摺動によりバックライトスイッチ90がON
し、その信号は電子制御ユニットUに入力される(ステ
ップS1)。また、リバースシフトロッド88の矢印a
方向の摺動により、ディテント機構94の中央の凹部8
8bに嵌合するボール93が押圧され、その結果3−4
速シフトフォーク68が3−4速シフトロッド87と一
体で矢印e方向に僅かに摺動する。つまり、3−4速シ
フトフォーク68は実線の位置から鎖線の位置へ向け
て、すなわち4速変速段の確立方向に向けて僅かに移動
し、慣性で回転する入力軸Msを制動して前記リバース
アイドルギヤ27のギヤ鳴りを防止すべく3−4速同期
機構S2 を僅かに作動させる。その際、前記3−4速シ
フトフォーク68と3−4速シフトロッド87のストロ
ークは、図11において説明したインタロック板79の
切欠き79bにより規定される。ここで、上記3−4速
同期機構S2 による入力軸Msの制動が効果的に行われ
るように、以下のようにして油圧クラッチ14が制御さ
れる。
【0060】前記バックライトスイッチ90のON信号
を受けた電子制御ユニットUは、シフトソレノイド62
を駆動して油圧クラッチ14を係合させ、タイマにより
計測される所定時間が経過すると(ステップS3)、前
記油圧クラッチ14を解放する(ステップS4)。そし
て前記油圧クラッチ14が係合している間に、リバース
アイドルギヤ27の摺動によって後退変速段が確立され
る。
【0061】ところで、油圧クラッチ14が解放してい
ると、副変速機構mの副変速ギヤ列Gsを介して低速伝
動系が確立するため、入力軸Msの回転が減速されてギ
ヤ軸13に伝達されることにより該ギヤ軸13のトルク
は増加する。したがって、3−4速同期機構S2 を一時
的に作動させることにより先ずギヤ軸13を制動し、こ
のギヤ軸13の制動力を副変速ギヤ列Gsを介して入力
軸Msに伝達しようとしても、前記減速によりトルクが
増加したギヤ軸13を制動するのは困難であり、その分
だけ3−4同期機構S2 に大きな負荷が加わることにな
る。一方、本発明の如く油圧クラッチ14を係合させて
いると、入力軸Msとギヤ軸13が一体に結合されて前
記副変速ギヤ列Gsによる減速が行われないため、ギヤ
軸13のトルク増加も発生しない。したがって、3−4
速同期機構S2 を一時的に作動させることによりギヤ軸
13を制動する際、その3−4速同期機構S2 に大きな
負荷をかけずにギヤ軸13を容易に制動することができ
る。
【0062】上記作用による効果を図17に基づいて説
明する。時刻t1 でクラッチペダルを踏んでチェンジレ
バーをN位置に戻すと、変速用クラッチCが解放して入
力軸Msの回転は減速を始める。続いて後退変速段への
シフト操作により時刻t2 でバックライトスイッチ90
がONすると、油圧クラッチ14が係合するとともに3
−4速同期機構S2 が作動して入力軸Msの回転は速や
かに減速し、時刻t3 において停止する。したがって、
時刻t4 において作動位置に達したリバースアイドルギ
ヤ27は、ギヤ鳴りすることなくリバースドライブギヤ
25およびリバースドリブンギヤ28に噛合し、後退変
速段がスムーズに確立される。
【0063】一方、油圧クラッチ14の係合と3−4速
同期機構S2 の作動が行われないと、鎖線で示すように
リバースアイドルギヤ27が作動位置に達する時刻t4
においても入力軸Msの回転は停止せず、時刻t4 〜t
5 の間でギヤ鳴りが発生することになる。
【0064】次に、シフトチェンジ操作時における同期
荷重低減機能について説明する。
【0065】クラッチスイッチあるいはニュートラルス
イッチにより、副変速機構mを介する変速段すなわち2
速〜4速変速段へのシフトチェンジが検知されると、電
子制御ユニットUの指令によりシフトソレノイド62が
作動し、1−2速同期機構S 1 あるいは3−4速同期機
構S2 による同期作用が行われる間だけ前記油圧クラッ
チ14が強制的に解放される。
【0066】ところで、シフトチェンジを行うべく変速
用クラッチCを解放してチェンジレバーを中立位置Nに
戻すと、変速用クラッチCのクラッチディスク7、入力
軸Ms、副変速ギヤ列Gs、およびギヤ軸13が慣性で
暫くの間回転する。このとき、もしも油圧クラッチ14
が係合していると、入力軸Msとギヤ軸13が一体に結
合された状態にあるため、1−2速同期機構S1 あるい
は3−4速同期機構S 2 は前記クラッチディスク7、入
力軸Ms、副変速ギヤ列Gs、およびギヤ軸13の全て
の回転を同期させることが必要となる。その結果、1−
2速同期機構S 1 あるいは3−4速同期機構S2 の負荷
が大きくなり、その耐久性に悪影響が及ぶだけでなく、
シフト荷重が増加してシフトフィーリングが悪化する。
【0067】しかしながら、シフトチェンジの際に油圧
クラッチ14を強制的に解放すると入力軸Msとギヤ軸
13の結合が解除されるため、入力軸Msとクラッチデ
ィスク7の回転を同期させることが不要になり、前記1
−2速同期機構S1 あるいは3−4速同期機構S2 の負
荷を軽減することができる。すなわち、油圧クラッチ1
4の解放により、メイン2速ギヤ(セカンダリドリブン
ギヤ)29を一体に有するギヤ軸13と、そのメイン2
速ギヤ29に噛合するセカンダリドライブギヤ38を一
体に有する副軸Ssの回転のみを同期させれば良くな
り、前記1−2速同期機構S1 あるいは3−4速同期機
構S2 の負荷が大幅に軽減される。
【0068】尚、2速〜4速変速段へのアップシフトが
行われる場合には、前述のように油圧クラッチ14の係
合を解除しても、ワンウエイクラッチ39を介して入力
軸Msとギヤ軸13とが結合されるので、上述の同期負
荷の低減効果を得ることができない。しかしながら、ア
ップシフトの際の同期作用は元々入力軸Msの回転を減
速させるものであるため、たとえ前記1−2速同期機構
1 あるいは3−4速同期機構S2 の作用が無くとも、
各部の摩擦力等によりある程度達成されるものである。
したがって、前記アップシフト時におけるワンウエイク
ラッチ39の係合は実用上特に問題にはならない。
【0069】それに対し、ダウンシフトの際の同期作用
は入力軸Msの回転を強制的に増加させるものであるた
め、その同期効果は1−2速同期機構S1 あるいは3−
4速同期機構S2 の作用に全面的に依存することにな
る。したがって、大きな同期効果が必要とされる前記ダ
ウンシフトの際に、前述のように入力軸Msとクラッチ
ディスク7の回転を同期させることが不要になれば、前
記1−2速同期機構S1 あるいは3−4速同期機構S2
の負荷を大幅に軽減することができる。
【0070】次に、発進時における後退防止機能につい
て説明する。
【0071】手動変速機を備えた車両は、坂道発進時に
ブレーキの解放操作と変速用クラッチCの係合操作の両
方を適切に連係させないと、エンジンEが停止したり重
力で車両がドライバーの意思と逆方向に移動する場合が
ある。このような不都合を回避するために、発進時すな
わち車速センサが検出した車速が例えば4km/h以下
の時に、電子制御ユニットUが前記油圧クラッチ14を
強制的に係合させることにより変速機Mをロック状態と
し、これにより前記不都合を回避している。
【0072】例えば上り坂における前進発進時に、1速
変速段を確立し且つ変速用クラッチCを解放した状態で
待機している場合、車速は当然4km/h以下であるた
め油圧クラッチ14が強制的に係合する。1速変速段が
確立し且つ油圧クラッチ14が係合した状態を考える
と、重力で車両が坂道を下る方向に後退しようとするこ
とにより、駆動輪の回転は出力軸Csから前記1速変速
段を介して入力軸Msに伝達され、この入力軸Msを通
常とは逆方向に駆動する。その結果、ワンウエイクラッ
チ39が係合して、入力軸Msのトルクはプライマリド
ライブギヤ36→プライマリドリブンギヤ37→ワンウ
エイクラッチ39→副軸Ss→セカンダリドライブギヤ
38→メイン2速ギヤ29(セカンダリドリブンギヤ)
→ギヤ軸13→油圧クラッチ14を介して入力軸Msに
伝達される。すなわち、入力軸Msと副軸Ss間に閉じ
た動力伝達系が構成され、その結果、入力軸Msはロッ
ク状態となり、ブレーキを作動させなくとも車両がドラ
イバーの意思に反して後退することが防止される。
【0073】この状態から変速用クラッチCを係合させ
てエンジンEの駆動力で入力軸Msを正回転させると、
油圧クラッチ14が係合状態にあることによりワンウエ
イクラッチ39がスリップするため、前記ロックが解除
されて入力軸Msの回転はメイン1速ギヤ22およびカ
ウンタ1速ギヤ23より成る1速変速段を介して出力軸
Csに伝達される。而して、坂道発進時にブレーキの解
放操作と所謂半クラッチ操作を連係させることなく、容
易に車両を発進させることが可能となる。
【0074】尚、下り坂における後退発進時にも、後退
変速段を確立し且つ油圧クラッチ14を強制的に係合さ
せることにより、入力軸Msをロック状態として意思に
反する車両の前進を防止することができる。この場合も
変速用クラッチCを係合させてエンジンEの駆動力を入
力軸Msに伝達するとにより、ワンウエイクラッチ39
をスリップさせて前記ロックを解除し、入力軸Msの回
転を後退用ギヤ列Grを介して出力軸Csに伝達するこ
とができる。
【0075】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は前記実施例に限定されるものでなく、種々の小設計
変更を行うことが可能である。
【0076】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、車両の走
行速度が所定値以下の時に油圧クラッチを強制的に係合
させているので、坂道発進時に変速用クラッチを解放し
且つ所定の変速段を確立した状態において、重力で車両
が坂道を下ろうとする力によって駆動輪から変速機に伝
達されるトルクが入力軸を通常とは逆回転させるように
付勢すると、前記係合した油圧クラッチを介して入力軸
と副軸間にトルクロックが生じ、ドライバーの意思に反
して車両が坂道を下ることが防止される。この状態から
変速用クラッチを係合させて入力軸を正回転させれば、
前記ロックが解除されて車両を発進させることができ
る。したがって、坂道発進の際にブレーキ操作から解放
され、半クラッチ操作のみを適切に行うだけで極めて容
易に坂道発進を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用変速機の線図
【図2】車両用変速機の外形図
【図3】図2の3部拡大図
【図4】図2の4部拡大図
【図5】図2の5方向矢視図
【図6】シフトパターンを示す図
【図7】チェンジ機構の縦断面図
【図8】図7の8−8線断面図
【図9】図8の9−9線矢視図
【図10】チェンジ機構の部分斜視図
【図11】作用の説明図
【図12】図2の12−12線矢視図
【図13】油圧制御系の回路図
【図14】電子制御系のブロック図
【図15】高速・低速伝動系の選択マップ
【図16】油圧クラッチ操作のフローチャート
【図17】後退変速段確立時における入力軸回転数を示
すグラフ
【符号の説明】
Ms・・・入力軸 Cs・・・出力軸 Gm・・・主変速ギヤ列 Gs・・・副変速ギヤ列 S1 ・・・1−2速同期機構 S2 ・・・3−4速同期機構 C・・・・変速用クラッチ E・・・・エンジン U・・・・電子制御ユニット(制御手段) m・・・・副変速機構 13・・・ギヤ軸 14・・・油圧クラッチ 22・・・メイン1速ギヤ(発進用ギヤ列) 23・・・カウンタ1速ギヤ(発進用ギヤ列) 25・・・リバースドライブギヤ(発進用ギヤ列) 27・・・リバースアイドルギヤ(発進用ギヤ列) 28・・・リバースドリブンギヤ(発進用ギヤ列) 39・・・ワンウエイクラッチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変速用クラッチ(C)を介してエンジン
    (E)に接続された入力軸(Ms)と、この入力軸(M
    s)に対して平行に配設された出力軸(Cs)と、前記
    入力軸(Ms)上に相対回転自在に支持されて主変速ギ
    ヤ列(Gm)を介して前記出力軸(Cs)に連結される
    ギヤ軸(13)と、前記入力軸(Ms)とギヤ軸(1
    3)間に高低2段の伝動系を選択的に確立し得る副変速
    機構(m)とを備えて成る車両用手動変速機であって、
    前記入力軸(Ms)上に該入力軸(Ms)と前記ギヤ軸
    (13)とを結合し得る油圧クラッチ(14)を設ける
    とともに、前記入力軸(Ms)の回転を減速して前記ギ
    ヤ軸(13)に伝達し得る副変速ギヤ列(Gs)を設
    け、前記副変速ギヤ列(Gs)にギヤ軸(13)側のオ
    ーバー回転を許容するワンウエイクラッチ(39)を介
    在させて成り、前記油圧クラッチ(14)の係合により
    前記入力軸(Ms)とギヤ軸(13)とを直結して前記
    副変速機構(m)の高速伝動系を確立し、前記油圧クラ
    ッチ(14)の解放により入力軸(Ms)とギヤ軸(1
    3)とを前記副変速ギヤ列(Gs)を介して結合して前
    記副変速機構(m)の低速伝動系を確立する車両用手動
    変速機において、 前記ギヤ軸(13)を介することなく前記入力軸(M
    s)および出力軸(Cs)間を連結し得る発進用ギヤ列
    (22,23,25,27,28)と、車両の走行速度
    を検出する検出手段と、この検出手段が検出した車両の
    走行速度が所定値以下の時に前記油圧クラッチ(14)
    を係合させ、前記副変速機構(m)の高速伝動系を確立
    させる制御手段(U)とを備えたことを特徴とする、車
    両用手動変速機。
JP3288077A 1991-11-01 1991-11-01 車両用手動変速機 Expired - Lifetime JP2657338B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3288077A JP2657338B2 (ja) 1991-11-01 1991-11-01 車両用手動変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3288077A JP2657338B2 (ja) 1991-11-01 1991-11-01 車両用手動変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05126241A true JPH05126241A (ja) 1993-05-21
JP2657338B2 JP2657338B2 (ja) 1997-09-24

Family

ID=17725506

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3288077A Expired - Lifetime JP2657338B2 (ja) 1991-11-01 1991-11-01 車両用手動変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2657338B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2657338B2 (ja) 1997-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3216424B2 (ja) ツインクラッチ式変速機
US4544057A (en) Rotary transmission
US7021169B2 (en) Automatic transmission
JP3502058B2 (ja) 自動変速機
JPS5861349A (ja) 車両用自動変速機
JPH0319420B2 (ja)
JPS58184345A (ja) 車輌用変速装置
JPS628660B2 (ja)
US6856880B2 (en) Automatic shift controller for a vehicle
EP1190888A2 (en) Vehicle transmission system with transmission input clutch
JP3675341B2 (ja) 車両用駆動装置
JPH0121379B2 (ja)
EP0330410A2 (en) Hydraulic control device for an automatic transmission
EP1508468B1 (en) Control apparatus and control method for a changeover gear
JP2607996B2 (ja) 車両用手動変速機
JP2719990B2 (ja) 車両用手動変速機
JP2657338B2 (ja) 車両用手動変速機
JP2922084B2 (ja) 変速ギヤの同期装置
JPS6314221B2 (ja)
JP3402223B2 (ja) 自動変速機の変速制御装置
JPH06330960A (ja) 動力同期装置付変速装置
JPS5854260A (ja) 自動車用自動変速機
JP2900204B2 (ja) 車両用変速機
JP2922082B2 (ja) 変速ギヤの同期装置
US7059988B2 (en) Servo system