JPH05125092A - 生体膜蛋白質の可溶化剤 - Google Patents

生体膜蛋白質の可溶化剤

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JPH05125092A
JPH05125092A JP34931691A JP34931691A JPH05125092A JP H05125092 A JPH05125092 A JP H05125092A JP 34931691 A JP34931691 A JP 34931691A JP 34931691 A JP34931691 A JP 34931691A JP H05125092 A JPH05125092 A JP H05125092A
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JP
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sugar
monoester
cholic acid
acid
sucrose
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JP34931691A
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Hideo Ishiwatari
英夫 石渡
Tomisaburo Sumino
富三郎 角野
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FINE LAB KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生体膜蛋白質をその生理活性を出来るだけ損な
うことなく穏やかにかつ強力に溶解する可溶化剤の創
成。 【構成】コール酸類の糖または糖アルコール類モノエス
テルを上記目的に使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体膜蛋白質の可溶化剤
として極めて好適なコール酸類の糖または糖アルコール
類モノエステルの創製に関する。更に詳しくはコール酸
又はデオキシコール酸とシュクロース、トレハロース、
マルチトールより選ばれた糖または糖アルコールのモノ
エステルを生体膜蛋白質の可溶化剤として使用すること
特徴とする。
【0002】
【従来の技術】生体(細胞)膜構成の蛋白質に関する研
究においては、まづその蛋白質可溶化剤の選択が不可欠
の要件であり今までも各種の界面活性剤が用いられつ来
た。その典型的なものはSDS(ソジゥム ラウリルサ
ルフェート)であり、その強力な可溶化力の故に現在も
特定の領域では多用されている。しかしこの種の陰イオ
ン界面活性剤は一般にその強力さの反面にその蛋白質の
高次構造に対する変性作用を持つので、膜蛋白質をその
生理活性を維持しつつ可溶化し単離するという目的には
殆ど使用できない。このような膜蛋白質に対する変性作
用は一般に陽イオン界面活性剤,陰イオン界面活性剤,
両性界面活性剤,,非イオン界面活性剤の順に緩和ある
いは低下することが既に判明しているので、変性作用の
少ない、穏やかな可溶化剤の選択は殆ど非イオン界面活
性剤の中よりなされている。現にこの種の生体(細胞)
膜蛋白質可溶化剤として次のようなものが市販されてい
る。 (1)Triton X−100 (2)オクチル−β−D−グルコシド (3)オクチル−β−D−チオグルコシド (4)シュクロース・モノカプレートまたはモノラウレ
ート
【0003】
【発明が解決しようとする課題】処で一口に生体(細
胞)膜蛋白質といってもその種類は厖大な数にのぼり、
その生理活性もその繊細度合において千差万別なので、
その可溶化剤の選択幅も広くなり上記例の非イオン界面
活性剤でもなお不都合な場合が多い。近年、頓にその重
要性を増している生理活性の高い蛋白質複合体を単量体
に解離させることなく分離精製するには特に穏やかな界
面活性剤を必要とする。その意味で生体膜蛋白質に対す
る強力な可溶化力を保持しつつ、その蛋白質の高次構造
には殆ど影響を与えることのない、普遍性の高い新規な
膜蛋白質可溶化剤の出現が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの分野に
おける多数の関係論文、例えば“サーマルスタビリティ
オヴ ロドプシン アンド オプシン イン ノーベ
ルデタージェント”ウイレム ジェ.デ グリップ[メ
ソッヅ イン エンチモロジィ,81巻256−265
ページ、1982] (Thermal Stability of Rod
opsin and Opsin in Some N
ovel Detergents,by willem
J.De Grip,METHODS IN ENZ
YMOLOGY,VOL.81,256−265、19
82)を鋭意調査あるいは追試した結果、上記の要件に
叶う代表的な可溶化剤としては先の非イオン界面活性剤
特に糖誘導体も有効であるが、コール酸ナトリゥム,デ
オキシコール酸ナトリゥム,およびジギトニンが特に優
秀であることを再認識するに至った。
【0005】尤もコール酸,デオキシコール酸はアルカ
リ塩でのみ使用可能で酸性液では使えず、ジギトニンは
天然物のため一定高純度のものが入手しがたく、また透
析による除去性に劣るという欠点があった。本発明者は
これらコール酸類およびジギトニンがいずれもステロイ
ド環誘導体であることに着目して、鋭意検討の結果、コ
ール酸またはデオキシコール酸の糖または糖アルコール
モノエステルを合成し、これらがジギトニンと同等ある
いはそれ以上に、強い可溶化力と穏やかで生理活性能力
に優れた生体(細胞)膜蛋白質可溶化剤であることを発
見した。
【0006】本発明において疎水性原料にコール酸また
はデオキシコール酸を選んだ理由を更にいえば、これら
はステロイド系多環状有機酸のために平面状の広がりを
もち、蛋白質複合体の表面に疎水結合して、通常の直鎖
型脂肪族系の界面活性剤の場合に多い内部構造の破壊を
起こさずに可溶化し得ると考えたからである。またこれ
らはその分子量が409,393と、有機酸としてはか
なり大きな部類に属しながら、それぞれ3ケと2ケの水
酸基を有するオキシ酸あるためにその内在的親水性が、
疎水結合に基ずく蛋白質可溶化にあたり緩衝的にその生
理活性保護に役立つことも期待されたからである。
【0007】また本発明における親水性原料としての糖
または糖アルコールとしては、これを用いコール酸類の
モノエステルとした場合に充分な水溶性を与え、かつ高
純度で入手できる範囲のものに限定した。具体的には
シュクロース,トレハロース,マルチトールなどの水酸
基数 8〜9ケの非還元糖または糖アルコールである。
【0008】以上の疎水性原料および親水性原料の組み
合わせによって6種類の可溶化剤が得られ、それぞれ多
少の違う性質があり生体膜の種類に応じて最適のものを
選ぶことができる。
【0009】なお生体膜蛋白質の可溶化剤として既にシ
ュクロースエステルの市販されていることは先記した
が、それらはカプリル酸,カプリン酸,またはラウリン
酸など直鎖中級脂肪酸の蔗糖モノエステルであって、本
発明におけるコール酸またはデオキシコール酸などステ
ロイド骨格を疎水構造とするオキシ酸の蔗糖モノエステ
ルは、その先例に属さず全く独自の発想に基ずくもので
ある。
【0010】
【実施例1】 シュクロース・コール酸モノエステル
の製造 5LフラスコにN−メチルピロリドン3Lを入れ、これ
にグラニュー糖855g(2.5モル),コール酸メチ
ル422g(1モル)を加えて加熱溶解する。つぎにこ
れを90〜95℃とし、微粉にした炭酸カリウム12g
を添加したのち減圧30〜50mHgで激しく撹拌しつ
つ、フラスコ付属の冷却管内で充分な還流が行われるよ
うに管理する。3時間ののち加熱をとめ常圧に戻し、液
温が50℃以下になれば酢酸10.5gを加え、よく撹
拌して中和を行う。次に減圧下に加熱してN−メチルピ
ロリドンを出来るだけ蒸留回収するとフラスコ内に淡褐
色ペースト状の反応物が残る。これをメチルエチルケト
ン3L中によく撹拌しつつ注加すると多量の不溶分が析
出する。これを濾過し更にこれをメチルエチルケトンで
洗い乾燥すると990gの固形分が得られた。これは未
反応の蔗糖およびモノエステル(少量のジエステル等を
含む)なので、十分量のエチルアルコールと加熱撹拌の
のち冷却し濾過する。この濾液を濃縮して粗製のシュク
ロース・コール酸モノエステル345gが得られた。こ
の粗製モノエステルを常法によりセファデックスLH−
20カラムを用い95%エチルアルコールで分別溶出す
ると目的物が高純度で得られた。収量276g
【0011】
【実施例2】 マルチトール・デオキシコール酸モノ
エステルの製造 5Lフラスコに3LのN−メチルピロリドンおよび10
0mlのピリジンを入れ、これにマルチトール850g
を加えて加熱溶解したのち30℃以下に冷却する。これ
をよく撹拌しつつ昇温をできるだけ避けながらデオキシ
コール酸クロライド415gを少量づつ添加して反応さ
せる。全量添加後 さらに 1時間撹拌ののち、減圧下
に加熱してN−メチルピロリドンを出来るだけ蒸留回収
する。その後実施例1と同様に処理してマルチトール・
デオキシコール酸モノエステル292gを得た。
【0012】
【作用】以上のようにして得られた目的物モノエステル
類の膜蛋白質可溶化剤としての優秀性は、代表例にシュ
クロース・コール酸モノエステルを用い以下に説明する
実施例によって確認された。
【0013】
【実施例3】 光化学系複合体の可溶化と精製 光合成細菌において光エネルギー変換を行う光化学系複
合体は5〜10種の蛋白質および色素から構成されてい
る。これらの中で最も単純な組成をもつRhodosp
irillum rubrumの光化学系複合体をクロ
マトホア(光合成色素顆粒)から、コール酸蔗糖エステ
ル(以下CSEという)を用いて可溶化し、以下の全工
程をこの界面活性剤存在下で精製した。R.Rubru
mから調製したクロマトホア懸濁液(1.5mM バク
テリオクロロフィル)10mlに、50mMトリス塩酸
緩衝液(pH8.0)を含む1%CSE溶液10mlを
加えて、氷冷下1時間撹拌した。次に3分間の超音波処
理(20KHz)を行ったのち100,000Xgで9
0分間の超遠心によって得られた上清に硫酸アンモニゥ
ムを25%飽和になるように加えて、生じた沈澱を採取
した。この沈澱をCSE溶液5mlに溶解させ、セファ
アクリルS−400カラム(2.6X9.0cm)を用
い、CSE溶液を展開液として分子篩クロマトグラフィ
ーを行った。最後に0.5%CSE溶液および1%セパ
ライン(pH3.5〜10)存在下で12時間等電点電
気泳動を行った。等電点における失活を避けるために、
pH勾配が平衡に達する以前に電気泳動を停止し分画を
行い、各フラクションについてその吸光度(878n
m)および光学比活性(ΔA873/A280)を測定
した結果を 図−1に示す。即ちここでは、各フラクシ
ョン(横軸)毎の878nmにおける吸光度をもってバ
クテリオクロロフィルの定量値(左縦軸)を、励起光5
90nmにおける873nmの明暗光吸収変化で光化学
活性値(右縦軸)を示している。この結果次の点がわか
った。 1分画を行って得られた光化学複合体はクロマトホア結
合時と等しい比活性を示し、ほぼ100%回収された。 2また蛋白質として5種のサブユニット(H−,M−,
L−,α−およびβ−サブユニット)のみを含み、極め
て高純度であった。
【0014】
【実施例】 可溶化剤の比較 比較のため実施例3と同様の方法を下記に示す市販の蛋
白質可溶化剤を用いて行いその光化学複合体の、処理前
後の相対的な光学比活性率を求めて次の結果を得た。 可溶化剤の種類 相対的光学活性率% Triton X 100 35 オクチル−β−グルコシド 62 シュクロースモノカプレート 74 ジギトニン 100 CSE 100
【0015】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、コール酸
類の糖または糖アルコール類モノエステルが生体膜蛋白
質の可溶化剤としてその可溶化力およびその生理活性保
全力において優れており、当該分野の今後の発展に寄与
する効果が大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】光活性蛋白質複合体の可溶化精製における最終
の等電点電気泳動図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コール酸類の糖または糖アルコール類モ
    ノエステルよりなる生体膜蛋白質の可溶化剤
  2. 【請求項2】 コール酸類としてコール酸およびデオキ
    シコール酸を含む請求項1記載の生体膜蛋白質の可溶化
  3. 【請求項3】 糖または糖アルコールとしてシュクロー
    ス、トレハロース、マルチトールなど水酸基数8または
    9個の非還元糖または糖アルコールを含む請求項1記載
    の生体膜蛋白質の可溶化剤
JP34931691A 1991-10-31 1991-10-31 生体膜蛋白質の可溶化剤 Pending JPH05125092A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012133695A1 (ja) 2011-03-31 2012-10-04 クニミネ工業株式会社 タンパク質結晶化条件探索剤及びタンパク質結晶化条件探索方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012133695A1 (ja) 2011-03-31 2012-10-04 クニミネ工業株式会社 タンパク質結晶化条件探索剤及びタンパク質結晶化条件探索方法

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