JPH0512136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、乗用車両等の運転者を、衝突等の事
故時における衝撃を緩和して可及的に傷害事故か
ら守るシートベルト用ロツク装置に係り、特に装
着したシートベルトを運転者の好みに応じてテン
シヨンレスの状態と、テンシヨン状態の何れにも
選択切り替え可能にしたシートベルト用ロツク装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の乗用車両等のシートベルト用ロツク装置
として、シートベルトを巻回し、フレームに回転
自在に軸支され、ベルト引き込み用弾機によつて
常時ベルト引き込み方向に付勢されたドラムと、
上記ドラムを緊急時にロツクしてベルトの延び出
しを止める緊急ロツク機構を備えたシートベルト
用ロツク装置が一般に知られている。

しかしながら、上記シートベルト用ロツク装置
では、シートベルトを装着した運転者がベルト引
き込み用弾機の付勢力によるシートベルトのテン
シヨンで常時身体に圧迫感を受けることになり、
長時間運転時等に疲労が増大するという欠点があ
る。

また、緊急ロツク機構は、緊急時の車両の衝撃
加速度を検知して揺動するセンサーと、該センサ
ーと連動してドラム両端部に周設した切り欠き爪
と係合する係合爪とにより、ドラムを緊急時にロ
ツクする構造であるため、悪路走行時にも緊急時
と同様、緊急ロツク機構の前記センサーが揺動し
て作用するため、センサーと連動する係合爪がド
ラム両端部の切り欠き爪を１ピツチずつシートベ
ルトの引き込み方向に送り、シートベルトが次第
にドラムに巻き取られ、運転者が過度に圧迫され
るいわゆる巻き締まり現象が生じる、という欠点
があつた。

そこで、例えば実公昭59−11807号公報、実公
昭59−7158号公報、および実公昭59−33417号公
報に開示された考案は、上記欠点を解消するべく
考案されたものであるが、いずれもシートベルト
のテンシヨン状態のみの改善、もしくは巻き締ま
り現象のみの改善に関するものであつて、シート
ベルトを装着した運転者の好みに応じて装着した
ベルトをテンシヨンレスの状態と、テンシヨン状
態とに切り替え選択できるようにしたものではな
い。

ところが、近時、運転者の間では、緊急時には
シートベルトをロツクできるものでありながら、
運転中はテンシヨンレス状態の方が疲労感がなく
てよいと感じる運転者や、テンシヨン状態の方が
シートベルトの装着感があつて安心できる、とい
う運転者もあり、このため運転中にベルトをテン
シヨン状態、またはテンシヨンレス状態に自由に
選択切り替えできるシートベルト用ロツク装置の
出現が強く要望されるに至つた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は上記のごとき実情に鑑み、従来の欠点
を解消すると共に、運転者の要望に応えるべく創
案されたものであつて、その目的とするところ
は、運転者が装着したベルトを単に引き出すとい
う極めて簡単な操作により、テンシヨンレスの状
態と、テンシヨン状態とに切り替えられるように
構成し、シートベルトを装着した運転者の好みに
応じたシートベルト装着状態にすることができる
シートベルト用ロツク装置を提供しようとするも
のである。

〔問題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案が採用した技
術的手段は、シートベルトを巻回し、フレームに
回転自在に軸支され、ベルト引き込み用弾機によ
り常時ベルト引き込み方向に付勢されたシートベ
ルト巻取り用のドラムと、上記ドラムを緊急時に
ロツクする緊急ロツク機構を備えたシートベルト
用ロツク装置において、前記フレームに軸支した
ドラム軸の一端部に、後記のカム受動子に係合し
てベルトの引き込みをロツクするＶ字状の係合溝
と、同カム受動子の作用方向を転換させる凹字状
の転換溝とを外周に形成した円盤状のカム板を固
設すると共に、支軸を中心として先端が前記カム
板外周に倣つて首振りする前記カム受動子を、定
常位置復帰用弾機を介して先端が常にカム板の前
記係合溝に係合する定常位置に復帰するべく付勢
してフレームに軸支し、ベルトの引き出し操作に
より、カム受動子がカム板の係合溝に係合してカ
ム板のベルト引き込み方向の回転をロツクし、装
着したベルトがテンシヨンレスになる状態と、カ
ム受動子が前記転換溝で作用方向を転換されてカ
ム板のベルト引き込み方向の回転が自由となり、
装着したベルトがベルト引き込み用弾機により引
き込み方向に付勢されるテンシヨン状態とに切り
替え可能に構成したシートベルト用ロツク装置を
特徴とするものである。

〔考案の作用〕

従つて本考案によれば、緊急時に運転者を保護
することを目的としたシートベルト用ロツク装置
のシートベルトを、テンシヨンレス状態と、テン
シヨン状態とに切り替え可能にしたことによつ
て、シートベルトの装着状態を運転者の好みに応
じてテンシヨンレス状態、またはテンシヨン状態
のいずれにも選択任意であると共に、テンシヨン
レス状態に切り替えておけば、悪路走行時等にお
いてシートベルト巻き締まり現象を防止すること
ができ、常に安全かつ快適な運転が約束される。

〔考案の実施例〕

本考案の構成を図面に示された実施例について
説明する。

第１図、第２図は、運転者１が乗用車両２内に
着座し、後述する緊急ロツク機構３６を備えたシ
ートベルト３を装着した状態を示す側面図および
正面図で、車内側壁下方に取付けられたシートベ
ルト用ロツク装置４には、ベルト未装着時にシー
トベルト３を引き込み、シートベルト用ロツク装
置４内に収納する後述の渦巻き型のベルト引き込
み用弾機１８が内蔵されており、ベルト装着時に
は車内側壁上方に突出して固定されたベルト支持
金具５を介して、上記シートベルト３の一端部に
取付けられたベルト接続金具６をベルト接続支持
金具７に挿入して接続固定する際に、上記シート
ベルト３は、装着する運転者１の体格および座席
８の座席スライド機構９による座席位置とで決ま
るベルト長に調節される。

また、ベルト未装着時にはベルト３は、シート
ベルト用ロツク装置４内のベルト引き込み用弾機
１８の付勢力により、ベルト３の一端部のベルト
接続金具６がベルト支持金具５の位置に至るまで
巻き上げられ、この状態で一定の引き込み力を保
つて保持される。

次にシートベルト用ロツク装置４の構成を詳細
に説明する。

第３図は上記シートベルト用ロツク装置４の分
解斜視図、第４図は同装置の一側面図、第５図は
同装置の他側面図で、シートベルト巻取り用のド
ラム１０の両側には外周に切り欠き爪１１を形成
したラチエツト１２が固設され、ドラム１０の中
心部にはドラム軸１３を嵌挿する軸孔１４が形成
され、ドラム１０はドラム軸１３によつてフレー
ム１５に支持され、ドラム軸１３と一体に回転自
在となつている。フレーム１５の一側部には保護
カバー１７内に収納され、保護カバー１７に外端
部が固定され、内端部が前記ドラム軸１３のすり
割り１９に固定された渦巻きばねで成るベルト引
き込み用弾機１８が、常時ドラム１０をベルト引
き込み方向に付勢して組込まれている。

また、ドラム軸１３の反ベルト引き込み用弾機
側には、外周に後述するカム受動子２１に係合す
るＶ字状の係合溝３４と、同カム受動子２１の作
用方向を転換させる凹字状の転換溝３５をそれぞ
れ直径方向対称位置に形成した円盤状のカム板２
０が固設されている。

前記カム受動子２１は、支軸１６を中心として
先端が前記カム板２０の外周に倣つて首振りする
ようにカム板２０側のフレーム１５に取付けられ
ると共に、先端が常にカム板２０の前記係合溝３
４に係合する定常位置に復帰するべく、対向する
定常位置復帰用弾機２２，２３によつて弾持され
ている。

３７は緊急ロツク機構で、該緊急ロツク機構３
７は、軸２５によつて回動可能にフレーム１５の
両側板に軸支され、下側中央部に円盤状の受動部
２６が下方に突出されると共に、両端部にドラム
１０両側のラチエツト１２外周の切り欠き爪１１
と緊急時に係合する係合爪２７が形成された緊急
ロツク板２４と、該緊急ロツク板２４の下方に配
設され、フレーム１５に固定される保護箱３３の
上蓋２８の上面中央部に形成された短中空円筒座
３１に、緊急ロツク板２４の受動部２６下面に接
して部分球面状の作動子３０が揺動自在に着座さ
れ、該作動子３０の中心部から下方に垂下された
吊り棒２９の下端に保護箱３３内に収められたウ
エイト３２が吊られた緊急作動部３６とから成る
もので、緊急時車両が大きな衝撃加速度を受けた
場合、ウエイト３２の慣性傾動に伴つて部分球面
状の作動子３０が傾動して緊急ロツク板２４の受
動部２６を持ち上げ、緊急ロツク板２４の係合爪
２７をドラム１０両側のラチエツト１２外周の切
り欠き爪１１に係合させ、ドラム１０のベルト引
き出し方向の回転をロツクするようになつてい
る。

保護箱３３は車両が障害物等を乗り越す場合、
車両が大きく動揺してウエイト３２が過剰に動揺
するのを防止するためのものである。

次に、装着したシートベルトを運転者の好みに
応じてテンシヨンレス状態と、テンシヨン状態の
何れにも選択切り替え可能にする本考案装置のカ
ム板２０とカム受動子２１の作用について第６図
Ａ〜Ｆを参照して説明する。

シートベルト３が引き込み状態にある時、カム
受動子２１は図Ａに示した引き込み作用方向にあ
る。ここでベルト３を装着するべく運転者がベル
ト３を引き出すと、カム板２０が図Ｂに示すよう
に矢線イ方向に回転し、カム受動子２１の先端が
カム板２０の凹字状の転換溝３５に合致すると転
換溝３５に作用されてカム受動子２１は矢線ロ方
向に回動してベルト引き出し作用方向に転換さ
れ、以下ベルト３の引き出しに伴なつてカム受動
子２１は図Ｃに示すように、カム板２０のＶ字状
の係合溝３４および凹字状の転換溝３５を次々と
乗り越してベルト３が引き出されていく。

ここでベルト３をテンシヨンレスの状態で使用
する場合、ベルト３を必要長さ引き出した後ベル
ト３を適宜引き込ませ、図Ｄに示すようにカム板
２０のＶ字状の係合溝３４にカム受動子２１の先
端を係合させることによつて、ベルト３の引き込
み力がロツクされて装着したベルト３はをテンシ
ヨンレスの状態となる。

ベルト３をテンシヨンレスからテンシヨン状態
に切り替えるには、図Ｄに示すロツク状態からカ
ム受動子２１の先端が凹字状の転換溝３５に合致
する図Ｅの状態にベルト３を適宜引き出した後ベ
ルト３を引き込ませると、カム受動子２１は凹字
状の転換溝３５によつて図Ｆに示す矢線ハ方向に
回動してベルト引き込み作用方向に転換され、ベ
ルト３にベルト引き込み用弾機１８の引き込み力
が作用してベルト３はテンシヨン状態で使用でき
る。

なお、上記実施例では、車両が受ける衝撃加速
度によつて傾動するウエイト３２の慣性力によつ
て作動する緊急ロツク機構３６を用いたシートベ
ルト用ロツク装置としたが、緊急ロツク機構はこ
れに限定されるもではなく、他の電気的、機械的
機構を利用したものであつても勿論差し支えな
い。

〔考案の効果〕

以上詳述したように本考案のシートベルト用ロ
ツク装置は、シートベルトを巻回し、フレームに
回転自在に軸支され、ベルト引き込み用弾機によ
り常時ベルト引き込み方向に付勢されたシートベ
ルト巻取り用のドラムと、上記ドラムを緊急時に
ロツクする緊急ロツク機構を備えたシートベルト
用ロツク装置において、前記フレームに軸支した
ドラム軸の一端部に、後記のカム受動子に係合し
てベルトの引き込みをロツクするＶ字状の係合溝
と、同カム受動子の作用方向を転換させる凹字状
の転換溝とを外周に形成した円盤状のカム板を固
設すると共に、支軸を中心として先端が前記カム
板外周に倣つて首振りする前記カム受動子を、定
常位置復帰用弾機を介して先端が常にカム板の前
記係合溝に係合する定常位置に復帰するべく付勢
してフレームに軸支し、ベルトの引き出し操作に
より、カム受動子がカム板の係合溝に係合してカ
ム板のベルト引き込み方向の回転をロツクし、装
着したベルトがテンシヨンレスになる状態と、カ
ム受動子が前記転換溝で作用方向を転換されてカ
ム板のベルト引き込み方向の回転が自由となり、
装着したベルトがベルト引き込み用弾機により引
き込み方向に付勢されるテンシヨン状態とに切り
替え可能に構成したから、シートベルトを装着す
る運転者の好みに応じた装着状態が選択できると
共に、テンシヨンレス状態とした場合には、悪路
走行等でシートベルトが巻き締り現象を起すのを
防止することができ、常に安全かつ快適な運転が
約束されるものでありながら、緊急時にはテンシ
ヨンレス状態およびテンシヨン状態のいずれの場
合においても、シートベルト用ロツク装置として
の本来の機能を発揮することができる等、極めて
有効な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るシートベルト用ロツク装置
の一実施例を示すもので、第１図および第２図
は、シートベルトの装着状態を示す側面図および
正面図、第３図はシートベルト用ロツク装置の分
解斜視図、第４図は同装置の一側面図、第５図は
同装置の他側面図、第６図Ａ〜Ｆは本考案装置の
カム板とカム受動子の作用を説明する図である。 ３……シートベルト、１０……シートベルト巻
き取り用のドラム、１３……ドラム軸、１５……
フレーム、１６……カム受動子の支軸、２１……
カム受動子、２２，２３……定常位置復帰用弾
機、３４……Ｖ字状の係合溝、３５……凹字状の
転換溝、３７……緊急ロツク機構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートベルトを巻回し、フレームに回転自在に
   軸支され、ベルト引き込み用弾機により常時ベル
   ト引き込み方向に付勢されたシートベルト巻取り
   用のドラムと、上記ドラムを緊急時にロツクする
   緊急ロツク機構を備えたシートベルト用ロツク装
   置において、前記フレームに軸支したドラム軸の
   一端部に、後記のカム受動子に係合してベルトの
   引き込みをロツクするＶ字状の係合溝と、同カム
   受動子の作用方向を転換させる凹字状の転換溝と
   を外周に形成した円盤状のカム板を固設すると共
   に、支軸を中心として先端が前記カム板外周に倣
   つて首振りする前記カム受動子を、定常位置復帰
   用弾機を介して先端が常にカム板の前記係合溝に
   係合する定常位置に復帰するべく付勢してフレー
   ムに軸支し、ベルトの引き出し操作により、カム
   受動子がカム板の係合溝に係合してカム板のベル
   ト引き込み方向の回転をロツクし、装着したベル
   トがテンシヨンレスになる状態と、カム受動子が
   前記転換溝で作用方向を転換されてカム板のベル
   ト引き込み方向の回転が自由となり、装着したベ
   ルトがベルト引き込み用弾機により引き込み方向
   に付勢されるテンシヨン状態とに切り替え可能に
   構成したことを特徴とするシートベルト用ロツク
   装置。