JPH05120664A - 磁気デイスク及びその製造方法 - Google Patents

磁気デイスク及びその製造方法

Info

Publication number
JPH05120664A
JPH05120664A JP27926591A JP27926591A JPH05120664A JP H05120664 A JPH05120664 A JP H05120664A JP 27926591 A JP27926591 A JP 27926591A JP 27926591 A JP27926591 A JP 27926591A JP H05120664 A JPH05120664 A JP H05120664A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
film
alloy
partial pressure
magnetic disk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27926591A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Yonekawa
隆生 米川
Katsuo Abe
勝男 阿部
Atsusuke Takagaki
篤補 高垣
Noriyuki Shige
則幸 重
Shuichi Kojima
修一 小島
Kenji Furusawa
賢司 古澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP27926591A priority Critical patent/JPH05120664A/ja
Publication of JPH05120664A publication Critical patent/JPH05120664A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】スパッタ磁気ディスクに於て、磁性膜中の酸素
濃度を3原子%以下とすることで高保磁力を有する面内
記録用磁気ディスクを得る。 【構成】非磁性基板にCr下地膜、磁性膜、C保護膜か
らなるスパッタ磁気ディスクのCoCr系金属磁気記録
膜は、スパッタ雰囲気中の水蒸気分圧により、膜中酸素
濃度が増加し、これに伴い保磁力が低下する。この為、
スパッタ雰囲気中の水蒸気分圧を2×10E-6Torr
以下とすることで、磁性膜中の酸素含有量が3原子%以
下の低酸素含有量の磁気記録膜を得る。 【効果】高密度記録に適した高保磁力媒体を持つ磁気デ
ィスクが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパッタ薄膜形成手法
を用いて磁気記録媒体を形成した磁気ディスク、及び磁
気記録媒体の成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の、スパッタ薄膜形成手法を用いて
磁気ディスク用基板上に磁気記録媒体を形成した磁気デ
ィスク、所謂スパッタ磁気ディスクは、次の構成から成
っている。例えば、磁気ディスク用基板として、アルミ
基材にNiPめっきを施したNiPめっき基板やガラス
基板、セラミック基板等の非磁性材料の基板を用いてき
た。磁気記録媒体としては、CrもしくはCrに他の元
素を添加した下地膜上に、Coを主成分としたCoCr
合金にTa、Ptなどの第3元素を添加した磁性膜や、
CoNi合金にCr、Zrなどの第3元素を添加した磁
性膜を連続スパッタ形成することで、一軸異方性を示す
Coのhcp(hexagonal close-packed)結晶構造のc軸
を膜面面内方向に配向させて面内磁気記録用媒体を得て
いる。更に記録媒体上には保護膜としてC(カーボン)
などをスパッタ形成した積層構成をしている。
【0003】また、記録媒体としては、他にも多くの構
成があり、下地膜がなく、直接磁性膜を基板上に形成し
たり、磁性膜にCoPt合金を用いたりする磁気ディス
クも考案されている。
【0004】いずれの方法でも記録膜はスパッタ形成手
法を用いて成膜するため、成膜雰囲気によって磁性膜の
磁気特性が変動する。例えば、以下の公知例が報告され
ている。アイ・イー・イー・イー,トランザクション
オン マグネティックス 22,5(1986年)第1
558頁から第1160頁(IEEE,Trans. on Magnetics,
VOL.22, No.5,(1986) pp1158-1160)には、真空層中の
不純物ガスによって有機フィルム上にスパッタ形成した
垂直記録媒体の垂直方向の異方性磁界が低下することが
記載されている。また、アイ・イー・イー・イー,トラ
ンザクションオン マグネティックス 24,6(19
88年)第2985頁から第2987頁(IEEE, Trans.
on Magnetics, VOL.24,No.6,(1988) pp2985-2987)に
は、酸素や窒素ガスを混入させたスパッタ雰囲気中で成
膜すると、保磁力(以後、Hcと記載する場合がある)
が低下することが示されている。
【0005】また磁性媒体のノイズを低減するために、
特開平2−281414では、磁性層間に1層以上の非
磁性層が存在し、磁性層を分断する様に、磁性層と非磁
性層を交互に積層させた構造の記録膜を持つ磁気ディス
クが考案されている。そして、この非磁性層は、磁性層
間の磁気的な相互作用を分断することのできる程の膜厚
であることが望ましいとされている。これにより、S/
N比の良好な磁気ディスクが得られるとしている。
【0006】また、製造方法に起因する再生出力のうね
りの発生を低減させる方法として、基板表面の円周方向
に微細な加工痕を形成したテクスチャ基板を用いた米国
特許第4735840号明細書に開示された方法があ
る。テクスチャ加工を施す主な理由は、円周方向(加工
方向)に磁気異方性を付与する効果がある。また、テク
スチャ加工を施す他の理由は、ヘッドスライダー面とデ
ィスク面との吸着現象を回避し、ディスク始動回転時の
ヘッド−ディスク間の接線力を低減することが上げられ
る。
【0007】なお、本発明で使用するテクスチャ粗さR
aとは、ディスク基板面の円周方向に加工した微細な加
工痕を半径方向に測定したときの中心線平均粗さのこと
を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した通り、磁性膜
中に酸素が含有すると磁気特性が低下する。しかし、通
常状態の成膜装置は、成膜雰囲気中に磁気特性を低下さ
せる程の酸素は存在しない。また、多量に窒素、酸素が
成膜雰囲気中に存在する場合は、真空槽のリークが考え
られる。従って、通常状態の成膜装置に於て、成膜時に
磁気特性を低下させる原因は、他に存在する。
【0009】一般的にスパッタ装置等の真空器機は、真
空槽壁に付着した大気中の水蒸気により、必ず真空雰囲
気中には水蒸気(以後、水蒸気をH2Oと記載する)が
存在する。更にH2O分子が解離してOH、O2、H2
の分子も存在する。
【0010】一方、スパッタ磁気ディスクを成膜するス
パッタ装置は、量産性を考えて大気中から真空槽中へ基
板、更に基板を複数枚保持した保持具を連続して仕込室
より搬入し、取り出し室よりの搬出を繰り返す、所謂ロ
ードロック方式の真空装置である。発明者らは、これが
要因となって基板や保持具に付着していた水蒸気が真空
槽内で脱離し、スパッタ雰囲気中にH2Oガスの濃度が
高まることを確認した。更にH2Oガスが存在する雰囲
気中でCoCr系の磁性膜を形成すると、スパッタ中に
酸素が膜中に含有したり、スパッタ材と反応したりして
磁性膜の磁気特性、特にHcが低下したり、特性が変動
して成膜プロセス制御が困難な状況になることを確認し
た。
【0011】また、H2O分圧の高い雰囲気中に、成膜
後の下地膜または磁性膜の金属表面を露出させると、H
2O分子が付着したり、表面が酸化されたりして、その
上に積層する膜の結晶成長が阻害される問題が生じた。
特に多層膜構造の磁気記録膜は、層間が多く介在するた
めに上記問題が顕在化した。
【0012】従来、基板に粗さRa(以後、Raは中心
線平均粗さを示す)4nm以上のテクスチャ加工基板を
用いてきた事で、磁気異方性を発生、または磁気ディス
ク面へのヘッド吸着の防止を行ってきた。しかし線記録
密度、トラック密度が高密度になり、更にヘッド浮上量
が0.10μm、トラック幅が10μm以下になると、
粗いテクスチャ基板では、テクスチャ加工溝に伴う再生
出力の不均一が生じるという弊害が発生してきた。
【0013】本発明の目的は、膜中に含有する酸素量を
低減することで、良好な磁気特性を示す磁気記録媒体を
持つ磁気ディスクを提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、膜中に含有する酸素
量を低減させるための成膜方法を提供することにある。
【0015】本発明の他の目的は、テクスチャの粗さを
2nm以下とすることで、高密度記録に適した磁気ディ
スクを提供することにある。
【0016】本発明の他の目的は、膜中や膜の層間に含
有する酸素量を低減した磁性膜を多層積層することで磁
気特性が良好でノイズの小さな磁気記録媒体を持つ磁気
ディスクを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
には、まずスパッタ雰囲気中のH2O分圧を下げる必要
がある。発明者らは、スパッタ雰囲気中の不純物ガスの
大半は基板搬入に伴う槽内持ち込みによるH2Oである
ことを確認した。即ち、大気中で基板、及び基板保持治
具表面にH2Oが付着し、真空層中でこのガスの脱離が
行われるために、真空層中のH2O分圧が上昇する。従
って、H2O分圧を下げるには、持ち込む量を少なくす
る事と、排気する量を大きくすことを同時に実行するほ
うが効果的である。特にHOは、凝固点温度が他のガス
より十分に高いため、冷凍機等のポンプにより大きな排
気速度が得られる。また、HOを選択的に排気すること
も可能である。その他に基板、及び基板搬送治具を成膜
室に搬入する前にスパッタエッチング、紫外線照射等に
よるクリーニングを行なう方法もある。
【0018】一方、成膜速度を高速にして、成膜時のH
2O分圧の影響を低減する方法もある。単位時間に付着
するガス分子の数が同じと考えると、成膜速度が高速で
あれば、膜中に取り込むガス濃度が低くなることは明ら
かである。
【0019】この様な成膜手段を駆使することで、膜中
の酸素濃度、及び層間に局在する酸素を低下させること
ができ、下地膜、磁性膜の結晶成長を疎外する要因を除
くことができる。
【0020】
【作用】スパッタ雰囲気中のH2O分圧を意識的に2×
10E-6Torr以下に低減さる事で、磁性膜中に含有
される酸素濃度を磁気特性に影響を及ぼさない程までに
減じる事ができる。更に、高いH2O分圧の雰囲気で成
膜した時に生じていた下地膜と磁性膜の境界に局在する
酸素がなくなり、膜厚方向で酸素濃度が3原子%以下で
酸素濃度分布は生じることがない為に、結晶配向性に支
障はきたさない。磁性膜をCoCrベースの磁性層と非
磁性層を積層させた多層構造の磁性膜を形成した場合で
も、磁性層と非磁性層の界面に局在する酸素がなくな
り、膜厚方向で酸素濃度が3原子%以下で酸素濃度分布
は生じることはない為、結晶配向性に支障はきたさな
い。この為、低H2O分圧下で成膜した媒体では、円周
方向に磁気異方性が強く生じ、高保磁力の媒体が得られ
る。更に多層構造の磁性膜を形成した記録媒体は、多層
構造にした事による特性の低下は生じなく、ノイズも低
減できる。従って、テクスチャの平均粗さRaが2nm
以下の微少粗さテクスチャ基板でも、円周方向に強く磁
気異方性を生じさせる事が可能である。
【0021】テクスチャ粗さを小さくすることで、ヘッ
ドギャップと磁性膜との距離が空間的に均一となり、ト
ラック一周のヘッド再生出力波形が均一となる作用があ
る。この作用は、ヘッド浮上量が狭く、トラック幅が狭
くなるほど効果が大きい。ヘッド再生出力波形が均一と
なることで、出力、周波数特性などの記録再生性能や、
ヘッドの位置決め精度、エラーレートなど磁気ディスク
装置の信頼性向上にも寄与する。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例1 本発明による成膜手法が有効であることを確認する為
に、H2O分圧を変化させて各種磁性膜を形成した。基
板は、中心線平均粗さRaが2nmのテクスチャ加工を
円周方向に施したNiPめっき基板1を用いた。磁性膜
3は、CoCr(12原子%)Ta(4原子%)、Co
Cr(12原子%)Pt(4原子%)の2種類の磁性膜
を用い、下地膜2は、Crを用いた。また保護膜4は、
C(カーボン)をスパッタ形成した。この様に、記録媒
体を構成するCr下地膜2、CoCr系磁性膜3、C保
護膜4の3層を連続スパッタ成膜してスパッタディスク
を得た。またスパッタ条件は、基板温度230℃、Ar
ガス圧5mTorr、成膜速度をCr下地膜2.8nm
/s、磁性膜1nm/sとし、膜厚構成は、保護膜4を
20nm、磁性膜3を50nm、下地膜2を50nmと
て条件を固定した。
【0023】この条件下で、各種磁性膜についてH2
分圧に対する磁気特性の変化を図1に示す。保磁力Hc
は、H2O分圧の増加に伴いHcが低下する。そして磁
性材料により、スパッタ雰囲気中のH2O分圧に対する
保磁力低下の様子が異なる。特に第3元素としてTaを
添加したCoCrTa媒体は、スパッタ雰囲気中のH2
Oガスに影響されやすい。また、第3元素としてPtを
添加したCoCrPt磁性膜もH2O分圧の増加に伴い
Hcが低下する。しかしCoCrTa磁性膜程大きく低
下しないことがわかった。発明者等は両磁性膜を分析し
た結果、CoCrTa磁性膜は、スパッタ雰囲気中のH
2Oから解離した酸素が磁性膜のTaと結合しやすいた
めに、CoCrPt磁性膜よりスパッタ雰囲気中の影響
を受けやすい事が明らかとなった。この様に、CoCr
系磁性膜は、成膜時のH2O不純物ガスにより大きく特
性を低下させてしまう事が明らかとなった。
【0024】本発明に示したように、H2O分圧を2×
10E-6Torr以下とすることで、CoCrTa磁性
媒体は、1600Oe以上の高保磁力を得ることができ
た。またCoCrPt磁性媒体でもH2O分圧を2×1
0E-6Torr以下とすることで、1800Oe以上の
高保磁力を得ることができた。
【0025】また、各種記録媒体を制御されたH2O分
圧の雰囲気中で成膜したとき、H2O分圧と磁性膜3中
に含有した酸素濃度の関係を図2に示す。磁性膜3中の
酸素含有量は、H2O分圧が高い程、含有量が上がるこ
とがわかる。これは、H2Oガスが放電により水素と酸
素に分離し、酸素または水酸化物が磁性膜と結合してい
るためである事がわかった。
【0026】粗さRaが2nmのテクスチャ加工を施し
たNiPめっき基板1上に記録媒体を成膜して、H2
分圧が磁気異方性に及ぼす影響を図3に示す。磁気異方
性は、H2O分圧が1×10E-5Torr以上になると
ほぼ等方的になる。しかし、2×10E-6Torr以下
であれば、円周方向に磁気異方性が付く事がわかった。
本発明により、H2O分圧を2×10E-6Torr以下
の雰囲気で成膜することで、円周方向の磁気異方性エネ
ルギーが高くなり、この為に円周方向の保磁力が向上
し、高密度記録に対応できる磁気ディスクが得られた。
【0027】次にこれらスパッタディスクの電磁変換特
性を測定した。トラック1周当たりの出力エンベロープ
を図8(a)、図8(b)に示す。両図を比較すると、
テクスチャ粗さRaが2nmのNiPめっき基板に形成
したディスクは、粗さRaが6nmのNiPめっき基板
に成膜したディスクと比較して、トラック1周当りのヘ
ッド出力波形(エンベロープ)が均一であった。テクス
チャ粗さが大きいと、ヘッドギャップと磁性膜との距離
に分布が生じ、トラック1周のヘッド再生出力波形が不
均一となる為である。そしてこの作用は、ヘッド浮上量
が狭くなる程効果が大きかった。そして、このテクスチ
ャ粗さがRa2nm程のNiP基板に記録媒体を形成し
たディスクを磁気ディスク装置に採用することで、ヘッ
ド再生出力波形が均一となり、出力、周波数特性などの
記録再生性能の向上や、ヘッドの位置決め精度、エラー
レートなど磁気ディスク装置の信頼性向上に寄与する事
ができた。
【0028】実施例2 H2O分圧により膜中に含有する酸素濃度が変化する事
を先に示した。そして、磁性膜がCoCrTaの場合
は、特にH2Oガスに影響されやすいことがわかった。
そこで、H2O分圧の異なる条件で成膜したCoCrT
a磁性膜を用いた記録媒体中に含有する酸素濃度の膜厚
方向の分布を分析した。
【0029】まず、図4に示す層構造の様な、磁性膜3
が単層膜である記録媒体の膜厚方向の組成を分析した。
分析は、膜面をスパッタエッチングしながら膜の深さ方
向のオージェ分析(AES:Auger Electron Spectrosc
opy)を行ったもので、この結果を図5に示す。図5
(a)は、H2O分圧が1.8×10E-5Torrの条
件で磁性膜にCoCrTaを成膜した記録媒体、図5
(b)はH2O分圧が9.2×10E-7Torrの条件
で磁性膜にCoCrTaを成膜した記録媒体の分析結果
である。図5(a)(b)より、H2O分圧の高い条件
で成膜した記録媒体は、酸素濃度が膜内で約3から4原
子%になっており、また膜厚方向の分布がCr下地膜と
磁性膜との界面付近で6原子%程に増加していた。これ
に対してH2O分圧の低い条件で成膜した記録媒体は、
膜中酸素濃度が2原子%以下で、更に膜厚方向の酸素濃
度分布がCr下地膜と磁性膜との界面付近で酸素濃度増
加は認められなかった。これら記録媒体の磁気特性を表
1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】低H2O分圧条件の記録媒体は、保磁力
(Hc)、保磁力角形比(S*)共に、高H2O分圧条
件の記録媒体より高いHc、S*を得ることができた。
Cr下地膜と磁性膜との界面付近で酸素濃度が増加する
原因は、Cr下地膜を形成した後に基板を搬送する為の
未成膜時間が約20秒要し、その間に下地膜の表面酸化
が進行したものである。これによりCr下地膜2上に結
晶配向するはずの磁性膜3が、酸素の介在により結晶成
長が阻害されてしまい、磁気特性が低下していること
が、記録媒体のX線回折強度を測定することで明らかと
なった。
【0032】次に、図6に示す層構造の様に、同じ磁性
膜3とCr非磁性膜6を積層した多層構造の磁性層を形
成した場合に対しても、同様の分析を行った。図7
(a)は、H2O分圧が1.1×10E-5Torrの条
件で磁性膜にCoCrTaを成膜した記録媒体、図7
(b)はH2O分圧が9.1×10E-5Torrの条件
で磁性膜のCoCrTa成膜した記録媒体の分析結果で
ある。膜中の酸素濃度は、先の図5(a)(b)の単層
磁性膜媒体とほぼ同じであり、高H2O分圧条件では、
膜中の酸素濃度は3から4原子%であった。そして、高
2O分圧の条件では、Cr下地膜2と磁性膜間3、及
び2層の磁性膜3と非磁性層6間の界面付近に酸素濃度
の増加が認められた。一方、低H2O分圧の条件では、
酸素濃度の局部的な増加はなく、2原子%以下となって
いた。
【0033】この時の記録媒体の磁気特性を表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】低H2O分圧条件の記録媒体は、保磁力
(Hc)、保磁力角形比(S*)共に、高H2O分圧条
件の記録媒体より高いHc、S*を得ることができた。
膜の層間に酸素濃度の高い分布を示す理由は、磁性膜と
非磁性層間で、基板搬送に要する時間が約20秒間要
し、この間に膜表面が酸化されるためである。
【0036】種類の異なる磁性膜を非磁性層を介さずに
多層化した場合も、各層間に酸素の高濃度の部分が存在
し、磁気特性のH2O分圧の影響は、同じ結果が得られ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、基板搬送雰囲気中、及
びスパッタ成膜雰囲気中のH2O分圧を1×10E-6T
orr以下とすることで、下地膜、及び磁性膜の膜中酸
素含有量を低減することができる。そして、酸素含有量
を低減した記録媒体は、高密度の記録が可能な高保磁力
の記録媒体を得ることが可能となった。
【0038】更に、搬送雰囲気中のH2O分圧を2×1
0E-6Torr以下とすることで、記録膜を多層化して
も、磁気特性の低下を回避することができた。
【0039】またこの記録媒体は、テクスチャの粗さが
小さくても円周方向に磁気異方性を付与することが可能
であり、円周方向で高保磁力を示す記録媒体を得ること
ができた。
【0040】また、テクスチャ粗さがRa2nm程の、
微細なNiPテクスチャ基板に記録媒体を形成したディ
スクを磁気ディスク装置に採用することで、ヘッド再生
出力波形が均一となり、出力、周波数特性などの記録再
生性能の向上や、ヘッドの位置決め精度、エラーレート
など磁気ディスク装置の信頼性向上に寄与する事ができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタ雰囲気中のH2O分圧に対する磁気特
性の変化を表す図である。
【図2】H2O分圧と磁性膜中に含有した酸素濃度の関
係を示す図である。
【図3】H2O分圧と磁気異方性の関係を示す図であ
る。
【図4】本発明の一実施例を示し、磁性膜が単層膜であ
る記録媒体の断面層構成を示す図である。
【図5】高H2O分圧中と低H2O分圧中とでそれぞれ成
膜した記録媒体の膜断面方向の酸素濃度分布を示す図で
ある。
【図6】本発明の一実施例を示し、磁性膜が多層膜であ
る記録媒体の断面層構成を示す図である。
【図7】高H2O分圧中と低H2O分圧中とでそれぞれ成
膜した記録媒体の膜断面方向の酸素濃度分布を示す図で
ある。
【図8】テクスチャ粗さの異なるディスクのトラック1
周当りの出力エンベロープの比較を示す図である。
【記号の説明】
1---NiPめっき基板、2---Cr下地膜、3---磁性
膜、4---C保護膜、5---潤滑膜、6---Cr非磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重 則幸 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 小島 修一 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所小田原工場内 (72)発明者 古澤 賢司 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板上に、Cr下地膜、またはCr
    を主成分として第2元素を微量に添加したCr合金下地
    膜と、Coを主成分としてCrが25原子%以下の合金
    に、第3元素としてTaを8原子%以下、またはPtを
    20原子%以下を添加して成る1層以上の合金磁性膜
    と、更にこの上に保護膜、または潤滑剤を塗布した、若
    しくは保護膜上に潤滑剤を塗布した、磁気ディスクにお
    いて、該下地膜、及び該Co合金磁性膜中に含有する酸
    素濃度が3原子%以下で、かつスパッタ形成した多層膜
    の膜厚方向で、酸素含有量が3原子%以下の一定の濃度
    であることを特徴とする磁気ディスク。
  2. 【請求項2】円周方向に形成したテクスチャの半径方向
    の平均粗さRaが2nm以下で、更に円周方向に磁気異
    方性が生じていることを特徴とする請求項1記載の磁気
    ディスク。
  3. 【請求項3】上記合金磁性膜が、組成の異なる多層の磁
    性膜によって構成されていることを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の磁気ディスク。
  4. 【請求項4】上記合金磁性膜が、複数の磁性層と、この
    磁性層間に1層以上の非磁性層より構成された多層膜か
    ら構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の磁気ディスク。
  5. 【請求項5】請求項1から請求項4のいずれかに記載の
    磁気ディスクの製造方法であって、下地膜、及び磁性膜
    のスパッタ雰囲気中、及び基板の搬送雰囲気中のH2
    分圧が2×10E-6Torr以下であることを特徴とす
    る磁気ディスクの製造方法。
JP27926591A 1991-10-25 1991-10-25 磁気デイスク及びその製造方法 Pending JPH05120664A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27926591A JPH05120664A (ja) 1991-10-25 1991-10-25 磁気デイスク及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27926591A JPH05120664A (ja) 1991-10-25 1991-10-25 磁気デイスク及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05120664A true JPH05120664A (ja) 1993-05-18

Family

ID=17608760

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27926591A Pending JPH05120664A (ja) 1991-10-25 1991-10-25 磁気デイスク及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05120664A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6042939A (en) * 1995-03-08 2000-03-28 Takahashi; Migaku Magnetic recording medium and method of manufacturing the same

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6042939A (en) * 1995-03-08 2000-03-28 Takahashi; Migaku Magnetic recording medium and method of manufacturing the same

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2973409B2 (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法
US20050202286A1 (en) Inter layers for perpendicular recording media
JP2006313584A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
EP0710949B1 (en) Magnetic recording medium and its manufacture
US7638020B2 (en) Vertical magnetic recording medium and manufacturing method thereof
US6372367B1 (en) Magnetic recording medium, method for producing the same and magnetic recording apparatus using the same
JP2003288713A (ja) 垂直磁気記録媒体とそれを備えた磁気記録装置及び垂直磁気記録媒体の製造方法並びに製造装置
JPH05143972A (ja) 金属薄膜型磁気記録媒体およびその製造法
JPH05120664A (ja) 磁気デイスク及びその製造方法
US6045931A (en) Magnetic recording medium comprising a cobalt-samarium magnetic alloy layer and method
JPH0773433A (ja) 磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置
JP3657344B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2002324313A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP3962415B2 (ja) 磁気記録媒体および磁気記録再生装置
JPH08212531A (ja) 磁気記録媒体およびその製造方法
JP2003338029A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法および磁気記録再生装置
JPH09265619A (ja) 磁気記録媒体、その製造方法及び磁気記憶装置
JP2004234746A (ja) 垂直磁気記録媒体の製造方法
JPH02154323A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2593590B2 (ja) 磁気記録媒体の製造法
JP2004014014A (ja) 垂直磁気記録媒体
JP3198165B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH0793738A (ja) 磁気記録媒体
JPH0528483A (ja) 金属薄膜型磁気記録媒体の製造法
JP2006085888A5 (ja)