JPH0512054B2 - - Google Patents
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- JPH0512054B2 JPH0512054B2 JP62150967A JP15096787A JPH0512054B2 JP H0512054 B2 JPH0512054 B2 JP H0512054B2 JP 62150967 A JP62150967 A JP 62150967A JP 15096787 A JP15096787 A JP 15096787A JP H0512054 B2 JPH0512054 B2 JP H0512054B2
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- bending
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Links
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Landscapes
- Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は発電・化学プラント用等の配管系に使
用する高周波曲げ管を優れた寸法精度と材質特性
を持たせて製造するための方法に係わる。 [従来の技術] 従来発電・化学プラント用等で必要となる小曲
げ半径を有する曲げ管としては日本工業規格JIS
B 23112312等に規定されている溶接式管継手
(以下エルボと称する)が用いられている。エル
ボの製造は、日本鉄鋼協会編第3版鉄鋼便覧
P.179に掲載されている通常ハンブルグ加工とし
て知られている高温での拡管曲げ加工によつて行
なわれるのが普通である。この方法によつて製造
されるエルボは、寸法精度が良好な上、材質特性
も素管とほぼ同等となつて使用性能的には優れた
ものとなつている。しかるにエルボを利用して配
管を行なう場合には、配管施工上に重大な欠点が
ある。すなわちエルボは最大曲げ角度120°までの
曲がり部のみの鋼管であるため、配管施工時には
エルボ1ケ当りその両端2ケ所ずつを隣接する鋼
管との間で溶接することが必要となる。このため
配管施工時に溶接工数が多くなるとともに、溶接
部の検査工数も増加して工期、工事費ともに不利
になるところが大きな弱点となつている。 エルボの有する上述の欠点を改良するための方
法として、溶接施工ケ所の低減を狙つて、曲げ部
の一端もしくは両端に直管部を有する曲げ管(以
下エルボレスという)の実現が望まれていた。 エルボレスの製造法として冷間曲げによる方法
が考えられるが、曲げ半径の大きいものはともな
く、本発明の対象とする小半径の曲げ管は、曲が
り部の断面形状寸法公差のうち偏平率の公差を満
足できずに実用に適したものを得るには至つてい
ない。 一方、高周波曲げ法を用いるエルボレスの製造
に関しても、例えば特開昭53−135870号公報や特
開昭53−135871号公報による方法が提案されてい
る。それらの方法では、曲げ加工後に強制空冷を
行なつて座屈を防止することで曲げ半径が素管外
径の3倍超の場合には、エルボレス管製造に有効
な方法となつている。しかしながらこの方法によ
つて、曲げ半径が素管外径の3倍以下の小曲げ管
を製造しようとすると座屈現象が発生して形状確
保が困難となつて実用化には至つていない。一方
高周波曲げ加工法において加工直後に水冷するこ
とによつて座屈防止をはかることは可能である
が、この場合には曲げ加工後の、特に表面部硬さ
が著しく高くなるために、曲げ加工後に焼もど
し、もしくは軟化焼鈍などの熱処理が必要となつ
て生産性も悪くコストも高くなるという別の問題
が発生する。 以上のような状況で曲げ半径の小さい高周波曲
げ加工ままで使用できるエルボレス鋼管は実用化
されるに至つていなかつた。 [発明が解決しようとする問題点] 高周波曲げ法により製造し、曲げ加工ままで寸
法形状が良好にしてかつ加工後の熱処理が不用な
エルボレスを得るための製造方法を提供する点に
ある。 [問題点を解決するための手段] 本発明者らは高周波曲げ加工後のエルボレスの
寸法形状を確保した上で、併せて加工ままで使用
上問題になるほどの硬化を生じさせないような高
周波曲げ加工条件について検討した。 まず、高周波曲げ加工によつて素管外径の特に
3倍以下の小半径の曲げ加工を行なつた時に座屈
をおこさず寸法形状の良好な曲げ管を得るために
必要な条件は、素管をいつたん完全なオーステナ
イト化状態に加熱したのち曲げ加工を行ない、曲
げ加工直後に水冷を実施することが必要である。
この水冷は、曲げ加工が終了した部分の変形抵抗
を、後続の現在曲げ加工進行中の部分の変形抵抗
に対して高めとすることによつて、変形領域を曲
げ加工進行中の微少領域のみに限定するために必
要となるもので、その目的から、できるだけ曲げ
加工終了直後の領域を水冷して早くに十分な変形
抵抗差が付与される温度域まで冷却することが要
求される。本発明者らは、これらの点について詳
細に調査を行ない、そこでこの事実を踏まえても
う一方の、曲げ加工後に硬化をおこさせないため
の条件について検討した。水冷によつて硬化する
原因は、冷却過程で焼きが入る(マルテンサイト
組織に変態する)か、焼きが入るまでには至らず
ともベイナイトなどの急冷組織に変態するためで
ある。従つて硬化を防ぐためには、マルテンサイ
トやベイナイトなどの急冷組織への変態を防止す
るか、やむを得ずこれらの急冷組織が生じた場合
には、冷却過程中の適当な温度以上で水冷から空
冷に切り替えることによつて冷却中に焼きもどし
(オートテンパー)をおこさせることが有効であ
る。 以上のような考え方に従つて、硬化を最少限度
におさえるための冷却条件を検討したところ、急
冷組織を発生させないか、又は発生した急冷組織
をその後の冷却中のオートテンパー効果によつて
硬さを低く保つために必要な水冷を停止すべき鋼
管表面温度T(℃)は、鋼管の肉厚t(mm)によつ
て変わり、厚肉材では低温度範囲まで許容される
が薄肉材の場合にはとくに水冷を停止する温度を
高めにとどめる必要のあることが判明した。この
水冷を停止すべき鋼管表面温度Tと鋼管の肉厚t
との関係を定量的に調べた結果、以下のことが明
らかになつた。 加工後水冷された鋼管の温度降下は第1図に定
性的に示すようになる。すなわち水冷ゾーン通過
中に鋼管は外表面から冷却されるため、外表面部
は内表面側に比べて低い温度まで冷却される。水
冷ゾーンを通過した後再び空冷に移ると、温度の
高い内表面側の保有熱によつて外表面側の温度は
いつたん上昇する。この上昇は内外表面部の温度
差が平衡状態に近づくまで続いたのち、やがては
肉厚全体が厚みに応じた冷却速度で自然冷却され
る過程に移行していく。先に述べた、冷却中に急
冷組織を発生させないためには水冷ゾーン通過中
の鋼管外表面部の冷却速度を一定以下の徐冷側に
おさえる必要がある。一方一時的に急冷組織が発
生しても、その後の冷却中にオートテンパーをお
こさせて硬度低下を達成するためには、水冷ゾー
ン通過後の復熱によつて到達する温度が一定値以
上の高温域に入ることが必要である。いずれの場
合にも水冷ゾーン通過後の、鋼管外表面温度(T)が
重要な因子となるので、実験室におけるシミユレ
ーシヨン実験によつて、水冷停止温度と最高硬さ
との関係を詳細に調べた。 第2図がその結果の一例であるが、二種類の網
鋼種の肉厚10mmの鋼管を用いて水冷停止温度の影
響を調べたものである。表面下1mmの点で調べた
最高硬さは水冷停止温度によつて変化し、水冷停
止温度が低温になると著しく上昇することがわか
る。硬さの変化は連続的であるが、ひとつの基準
として、水冷停止温度の高温側と低温側との中間
的な硬さを示す水冷停止温度(第2図のTC)を
採用すると、このTCは特にパイプの肉厚によつ
て変化することが見出された。 TCの肉厚依存性を調べた結果は、近似的に下
記(1)式で表現することができた。 TC=450−30×√(℃) t:mm ……(1) 以上のことから、肉厚t(mm)の素管を用いて
曲げ半径が素管直径の3倍以下の高周波曲げ管を
製造するに当つては、素管をオーステナイト化し
たのち曲げ加工を加え、加工後直ちに外表面部を
水冷して、外表面温度が曲げ加工温度より100℃
低い温度を上限とし(1)式で与えられるTCを下限
とする温度範囲の間で水冷ゾーンをぬけ出すよう
な条件を選ぶことによつて寸法形状も優れ尚かつ
硬さも低い高周波曲げ管を得られることが明らか
になつた。 本発明は上記新知見に基づいて成されたもの
で、その要旨は、高周波曲げ管の製造方法におい
て、母鋼管AC3変態点以上でオーステナイト粒粗
大化温度以下の温度領域に加熱後曲げ加工を行な
い、加工直後から鋼管の外表面温度が曲げ加工温
度より100℃低い温度を上限とし、(1)式から定ま
る温度TCを下限とする温度範囲内になるまで水
冷することを特徴とする高周波曲げ管の製造方法
にある。 なお、本発明法では曲げ管の素管としては継目
無鋼管、電縫鋼管、UO鋼管等を用いることがで
きる。 [作用] 第3図は本発明による曲げ加工を実施するため
の設備の一例を示すもので、1は曲げ加工すべき
鋼管、2は該鋼管を支持案内する案内ローラー、
3は環状で前記鋼管1をその外周から局部的に狭
幅に加熱するとともに曲げ加工直後の部分を水冷
するための冷却設備を備えた加熱コイル、4は先
端部にクランプ5を備えた回転自在の曲げアー
ム、6は管端支持台、7の矢印は3の加熱コイル
からスプレーされる冷却水、斜線部の8は加熱加
工域である。装置はクランプ5に鋼管1の先端部
を緊締し、鋼管1を加熱装置3により局部的に高
温加熱するとともに適宜手段により矢印方向に推
進させることにより鋼管1を曲げ加工できるよう
になつている。 次に本発明の限定理由について説明する。 まず曲げ加工条件であるが、加工温度を確保す
るためにオーステナイト−相でかつ結晶粒の粗大
化しない温度範囲内の加熱にとどめることが必要
である。結晶粒の粗大化を防止し得る加熱温度は
鋼種成分によつて異なるが一般的には950〜1100
℃を上限とする。 曲げ加工後の水冷は、極力曲げ加工直後である
ことが望ましく、水冷までの時間的遅れが生じる
と形状不良の原因となる。しかし水冷を長時間続
けすぎると硬さ上昇を起すので、適正範囲内で水
冷ゾーンを通過するように送り速度もしくは水冷
ゾーン長さを加減することが必要である。曲げ加
工後の水冷は外表面温度が一定の温度範囲内に収
まるように配慮することが本発明の最も重要なポ
イントである。その温度範囲の上限は、寸法形状
を損なわないために必要な制限で、曲げ加工温度
より100℃低い温度となる。また温度範囲の下限
は、曲げ加工後の硬さを低くおさえるために必要
な制限でTC=450−30×√によつて素管肉厚t
に応じて限定される温度となる。 次に本発明を適用するための鋼種成分範囲につ
いて述べる。本発明法は基本的には適用鋼種成分
に絶対的な規制を要求するものではなく汎用性の
広い技術であるが、エルボレスという特殊形状の
鋼管を必要とする使用分野からみた適正成分範囲
例を挙げる。 まずCは鋼管の強度を確保する上で必要な元素
であるがその含有量が0.30%を超えると溶接作業
性を損ねる上曲げ加工後の硬さが著しく高くなる
ので上限を0.25%とする。 Siは脱酸元素として使用される他、高温強度確
保にも有効な元素であるが多量の含有は高周波曲
げ加工性を損なうので上限を0.50%とする。 MnはCについで有効な強化元素であるが、過
度の添加は曲げ加工後の最高硬さを高める上溶接
施工上も問題となるのでその上限を1.50%に規制
する。 P,Sは不純物として混入する元素であるが高
温曲げ加工時の割れ発生防止のため、各々を0.03
%以下に規制する。 Alは脱酸元素として必要な範囲の使用にとど
めるため上限を0.05%とする。 Nは溶接性に支障を生じない範囲の0.015%を
上限とする。 以上の基本成分に加えて選択使用成分について
の以下の規制を設定した。 Nb、Ti、Zrはともに結晶微粒子化効果を有す
る元素であるがその効果の飽和しない0.05%を
各々の添加量の上限とする。 Vは細粒化と強化作用を有するが、0.10%超で
は効果が飽和するので0.10%以下とする。 Cr、Mo、Ni、Cuは強化元素として有効であ
るが、いずれも多量の添加は曲げ加工後の硬さを
上昇させるので各々の上限を0.50%に定めた。 Caは硫化物の形態コントロールを通じて靭性
改善に寄与するが、過度の添加は溶接性の劣化を
もたらすので50ppmを上限とする。 Bは微量添加によつて母材強度を上昇させる効
果があるが30ppmを超えた多量の添加では効果が
飽和するため上限を30ppmとする。 [実施例] 第1表は高周波曲げ加工試験に供した鋼管の成
分と曲げ加工条件を示したものである。7種類の
供試鋼管を用いて第1表内に示された曲げ加工条
件でエルボレスを製作した。水冷停止温度を3種
類ずつ変化させた結果、本発明法の範囲に入る条
件と水冷停止温度が高め側に外れた条件と、同じ
く低め側に外れた条件とをつくり分けた。 これらの結果を本発明法を満足する条件を○△
などの記号で、水冷停止温度が高め側に外れたも
のを◎〓などの二重記号でまた低めに外れたもの
を▲■などの黒塗りの記号で表わして整理した。
第4図は横軸に母管の引張強度(TS)を、縦軸
には曲げ加工後のビツカース硬さ(Hv)をとつ
て上記の結果を図示したものである。 これらのうち二重記号で表わされた水冷停止温
度が高め側に外れた場合のエルボレスは、いずれ
も鋼管内面部にじやばら状の形状不良が発生し
た。従つてこれらの水冷停止温度が曲げ加工温度
より100℃以内にとどまる条件では、硬さは十分
低下するものの形状的に不合格となり、実用には
供せないことが証明された。 形状的に問題のないエルボレスが得られた条件
の中では、本発明法による条件を満足する場合の
結果が、母材強度の同一のものの中では著しく低
い硬さとなつており、使用特性上望ましい特性を
有していることが第4図から明らかに認められ
る。すなわち、母管の強度が高くなれば曲げ加工
後の硬さも高めになる傾向は避け得ないが本発明
法を採用することによつて、与えられた母管の強
度に対しては曲げ加工後、硬さの低いエルボレス
を製造することが可能となり得たわけである。
用する高周波曲げ管を優れた寸法精度と材質特性
を持たせて製造するための方法に係わる。 [従来の技術] 従来発電・化学プラント用等で必要となる小曲
げ半径を有する曲げ管としては日本工業規格JIS
B 23112312等に規定されている溶接式管継手
(以下エルボと称する)が用いられている。エル
ボの製造は、日本鉄鋼協会編第3版鉄鋼便覧
P.179に掲載されている通常ハンブルグ加工とし
て知られている高温での拡管曲げ加工によつて行
なわれるのが普通である。この方法によつて製造
されるエルボは、寸法精度が良好な上、材質特性
も素管とほぼ同等となつて使用性能的には優れた
ものとなつている。しかるにエルボを利用して配
管を行なう場合には、配管施工上に重大な欠点が
ある。すなわちエルボは最大曲げ角度120°までの
曲がり部のみの鋼管であるため、配管施工時には
エルボ1ケ当りその両端2ケ所ずつを隣接する鋼
管との間で溶接することが必要となる。このため
配管施工時に溶接工数が多くなるとともに、溶接
部の検査工数も増加して工期、工事費ともに不利
になるところが大きな弱点となつている。 エルボの有する上述の欠点を改良するための方
法として、溶接施工ケ所の低減を狙つて、曲げ部
の一端もしくは両端に直管部を有する曲げ管(以
下エルボレスという)の実現が望まれていた。 エルボレスの製造法として冷間曲げによる方法
が考えられるが、曲げ半径の大きいものはともな
く、本発明の対象とする小半径の曲げ管は、曲が
り部の断面形状寸法公差のうち偏平率の公差を満
足できずに実用に適したものを得るには至つてい
ない。 一方、高周波曲げ法を用いるエルボレスの製造
に関しても、例えば特開昭53−135870号公報や特
開昭53−135871号公報による方法が提案されてい
る。それらの方法では、曲げ加工後に強制空冷を
行なつて座屈を防止することで曲げ半径が素管外
径の3倍超の場合には、エルボレス管製造に有効
な方法となつている。しかしながらこの方法によ
つて、曲げ半径が素管外径の3倍以下の小曲げ管
を製造しようとすると座屈現象が発生して形状確
保が困難となつて実用化には至つていない。一方
高周波曲げ加工法において加工直後に水冷するこ
とによつて座屈防止をはかることは可能である
が、この場合には曲げ加工後の、特に表面部硬さ
が著しく高くなるために、曲げ加工後に焼もど
し、もしくは軟化焼鈍などの熱処理が必要となつ
て生産性も悪くコストも高くなるという別の問題
が発生する。 以上のような状況で曲げ半径の小さい高周波曲
げ加工ままで使用できるエルボレス鋼管は実用化
されるに至つていなかつた。 [発明が解決しようとする問題点] 高周波曲げ法により製造し、曲げ加工ままで寸
法形状が良好にしてかつ加工後の熱処理が不用な
エルボレスを得るための製造方法を提供する点に
ある。 [問題点を解決するための手段] 本発明者らは高周波曲げ加工後のエルボレスの
寸法形状を確保した上で、併せて加工ままで使用
上問題になるほどの硬化を生じさせないような高
周波曲げ加工条件について検討した。 まず、高周波曲げ加工によつて素管外径の特に
3倍以下の小半径の曲げ加工を行なつた時に座屈
をおこさず寸法形状の良好な曲げ管を得るために
必要な条件は、素管をいつたん完全なオーステナ
イト化状態に加熱したのち曲げ加工を行ない、曲
げ加工直後に水冷を実施することが必要である。
この水冷は、曲げ加工が終了した部分の変形抵抗
を、後続の現在曲げ加工進行中の部分の変形抵抗
に対して高めとすることによつて、変形領域を曲
げ加工進行中の微少領域のみに限定するために必
要となるもので、その目的から、できるだけ曲げ
加工終了直後の領域を水冷して早くに十分な変形
抵抗差が付与される温度域まで冷却することが要
求される。本発明者らは、これらの点について詳
細に調査を行ない、そこでこの事実を踏まえても
う一方の、曲げ加工後に硬化をおこさせないため
の条件について検討した。水冷によつて硬化する
原因は、冷却過程で焼きが入る(マルテンサイト
組織に変態する)か、焼きが入るまでには至らず
ともベイナイトなどの急冷組織に変態するためで
ある。従つて硬化を防ぐためには、マルテンサイ
トやベイナイトなどの急冷組織への変態を防止す
るか、やむを得ずこれらの急冷組織が生じた場合
には、冷却過程中の適当な温度以上で水冷から空
冷に切り替えることによつて冷却中に焼きもどし
(オートテンパー)をおこさせることが有効であ
る。 以上のような考え方に従つて、硬化を最少限度
におさえるための冷却条件を検討したところ、急
冷組織を発生させないか、又は発生した急冷組織
をその後の冷却中のオートテンパー効果によつて
硬さを低く保つために必要な水冷を停止すべき鋼
管表面温度T(℃)は、鋼管の肉厚t(mm)によつ
て変わり、厚肉材では低温度範囲まで許容される
が薄肉材の場合にはとくに水冷を停止する温度を
高めにとどめる必要のあることが判明した。この
水冷を停止すべき鋼管表面温度Tと鋼管の肉厚t
との関係を定量的に調べた結果、以下のことが明
らかになつた。 加工後水冷された鋼管の温度降下は第1図に定
性的に示すようになる。すなわち水冷ゾーン通過
中に鋼管は外表面から冷却されるため、外表面部
は内表面側に比べて低い温度まで冷却される。水
冷ゾーンを通過した後再び空冷に移ると、温度の
高い内表面側の保有熱によつて外表面側の温度は
いつたん上昇する。この上昇は内外表面部の温度
差が平衡状態に近づくまで続いたのち、やがては
肉厚全体が厚みに応じた冷却速度で自然冷却され
る過程に移行していく。先に述べた、冷却中に急
冷組織を発生させないためには水冷ゾーン通過中
の鋼管外表面部の冷却速度を一定以下の徐冷側に
おさえる必要がある。一方一時的に急冷組織が発
生しても、その後の冷却中にオートテンパーをお
こさせて硬度低下を達成するためには、水冷ゾー
ン通過後の復熱によつて到達する温度が一定値以
上の高温域に入ることが必要である。いずれの場
合にも水冷ゾーン通過後の、鋼管外表面温度(T)が
重要な因子となるので、実験室におけるシミユレ
ーシヨン実験によつて、水冷停止温度と最高硬さ
との関係を詳細に調べた。 第2図がその結果の一例であるが、二種類の網
鋼種の肉厚10mmの鋼管を用いて水冷停止温度の影
響を調べたものである。表面下1mmの点で調べた
最高硬さは水冷停止温度によつて変化し、水冷停
止温度が低温になると著しく上昇することがわか
る。硬さの変化は連続的であるが、ひとつの基準
として、水冷停止温度の高温側と低温側との中間
的な硬さを示す水冷停止温度(第2図のTC)を
採用すると、このTCは特にパイプの肉厚によつ
て変化することが見出された。 TCの肉厚依存性を調べた結果は、近似的に下
記(1)式で表現することができた。 TC=450−30×√(℃) t:mm ……(1) 以上のことから、肉厚t(mm)の素管を用いて
曲げ半径が素管直径の3倍以下の高周波曲げ管を
製造するに当つては、素管をオーステナイト化し
たのち曲げ加工を加え、加工後直ちに外表面部を
水冷して、外表面温度が曲げ加工温度より100℃
低い温度を上限とし(1)式で与えられるTCを下限
とする温度範囲の間で水冷ゾーンをぬけ出すよう
な条件を選ぶことによつて寸法形状も優れ尚かつ
硬さも低い高周波曲げ管を得られることが明らか
になつた。 本発明は上記新知見に基づいて成されたもの
で、その要旨は、高周波曲げ管の製造方法におい
て、母鋼管AC3変態点以上でオーステナイト粒粗
大化温度以下の温度領域に加熱後曲げ加工を行な
い、加工直後から鋼管の外表面温度が曲げ加工温
度より100℃低い温度を上限とし、(1)式から定ま
る温度TCを下限とする温度範囲内になるまで水
冷することを特徴とする高周波曲げ管の製造方法
にある。 なお、本発明法では曲げ管の素管としては継目
無鋼管、電縫鋼管、UO鋼管等を用いることがで
きる。 [作用] 第3図は本発明による曲げ加工を実施するため
の設備の一例を示すもので、1は曲げ加工すべき
鋼管、2は該鋼管を支持案内する案内ローラー、
3は環状で前記鋼管1をその外周から局部的に狭
幅に加熱するとともに曲げ加工直後の部分を水冷
するための冷却設備を備えた加熱コイル、4は先
端部にクランプ5を備えた回転自在の曲げアー
ム、6は管端支持台、7の矢印は3の加熱コイル
からスプレーされる冷却水、斜線部の8は加熱加
工域である。装置はクランプ5に鋼管1の先端部
を緊締し、鋼管1を加熱装置3により局部的に高
温加熱するとともに適宜手段により矢印方向に推
進させることにより鋼管1を曲げ加工できるよう
になつている。 次に本発明の限定理由について説明する。 まず曲げ加工条件であるが、加工温度を確保す
るためにオーステナイト−相でかつ結晶粒の粗大
化しない温度範囲内の加熱にとどめることが必要
である。結晶粒の粗大化を防止し得る加熱温度は
鋼種成分によつて異なるが一般的には950〜1100
℃を上限とする。 曲げ加工後の水冷は、極力曲げ加工直後である
ことが望ましく、水冷までの時間的遅れが生じる
と形状不良の原因となる。しかし水冷を長時間続
けすぎると硬さ上昇を起すので、適正範囲内で水
冷ゾーンを通過するように送り速度もしくは水冷
ゾーン長さを加減することが必要である。曲げ加
工後の水冷は外表面温度が一定の温度範囲内に収
まるように配慮することが本発明の最も重要なポ
イントである。その温度範囲の上限は、寸法形状
を損なわないために必要な制限で、曲げ加工温度
より100℃低い温度となる。また温度範囲の下限
は、曲げ加工後の硬さを低くおさえるために必要
な制限でTC=450−30×√によつて素管肉厚t
に応じて限定される温度となる。 次に本発明を適用するための鋼種成分範囲につ
いて述べる。本発明法は基本的には適用鋼種成分
に絶対的な規制を要求するものではなく汎用性の
広い技術であるが、エルボレスという特殊形状の
鋼管を必要とする使用分野からみた適正成分範囲
例を挙げる。 まずCは鋼管の強度を確保する上で必要な元素
であるがその含有量が0.30%を超えると溶接作業
性を損ねる上曲げ加工後の硬さが著しく高くなる
ので上限を0.25%とする。 Siは脱酸元素として使用される他、高温強度確
保にも有効な元素であるが多量の含有は高周波曲
げ加工性を損なうので上限を0.50%とする。 MnはCについで有効な強化元素であるが、過
度の添加は曲げ加工後の最高硬さを高める上溶接
施工上も問題となるのでその上限を1.50%に規制
する。 P,Sは不純物として混入する元素であるが高
温曲げ加工時の割れ発生防止のため、各々を0.03
%以下に規制する。 Alは脱酸元素として必要な範囲の使用にとど
めるため上限を0.05%とする。 Nは溶接性に支障を生じない範囲の0.015%を
上限とする。 以上の基本成分に加えて選択使用成分について
の以下の規制を設定した。 Nb、Ti、Zrはともに結晶微粒子化効果を有す
る元素であるがその効果の飽和しない0.05%を
各々の添加量の上限とする。 Vは細粒化と強化作用を有するが、0.10%超で
は効果が飽和するので0.10%以下とする。 Cr、Mo、Ni、Cuは強化元素として有効であ
るが、いずれも多量の添加は曲げ加工後の硬さを
上昇させるので各々の上限を0.50%に定めた。 Caは硫化物の形態コントロールを通じて靭性
改善に寄与するが、過度の添加は溶接性の劣化を
もたらすので50ppmを上限とする。 Bは微量添加によつて母材強度を上昇させる効
果があるが30ppmを超えた多量の添加では効果が
飽和するため上限を30ppmとする。 [実施例] 第1表は高周波曲げ加工試験に供した鋼管の成
分と曲げ加工条件を示したものである。7種類の
供試鋼管を用いて第1表内に示された曲げ加工条
件でエルボレスを製作した。水冷停止温度を3種
類ずつ変化させた結果、本発明法の範囲に入る条
件と水冷停止温度が高め側に外れた条件と、同じ
く低め側に外れた条件とをつくり分けた。 これらの結果を本発明法を満足する条件を○△
などの記号で、水冷停止温度が高め側に外れたも
のを◎〓などの二重記号でまた低めに外れたもの
を▲■などの黒塗りの記号で表わして整理した。
第4図は横軸に母管の引張強度(TS)を、縦軸
には曲げ加工後のビツカース硬さ(Hv)をとつ
て上記の結果を図示したものである。 これらのうち二重記号で表わされた水冷停止温
度が高め側に外れた場合のエルボレスは、いずれ
も鋼管内面部にじやばら状の形状不良が発生し
た。従つてこれらの水冷停止温度が曲げ加工温度
より100℃以内にとどまる条件では、硬さは十分
低下するものの形状的に不合格となり、実用には
供せないことが証明された。 形状的に問題のないエルボレスが得られた条件
の中では、本発明法による条件を満足する場合の
結果が、母材強度の同一のものの中では著しく低
い硬さとなつており、使用特性上望ましい特性を
有していることが第4図から明らかに認められ
る。すなわち、母管の強度が高くなれば曲げ加工
後の硬さも高めになる傾向は避け得ないが本発明
法を採用することによつて、与えられた母管の強
度に対しては曲げ加工後、硬さの低いエルボレス
を製造することが可能となり得たわけである。
【表】
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 高周波曲げ管の製造において、母鋼管をAC3
変態点以上でオーステナイト粒粗大化温度以下の
温度領域に加熱後曲げ加工を行い、加工直後から
鋼管の外表面温度が曲げ加工温度より100℃低い
温度を上限とし、母鋼管の肉厚t(mm)に応じて
下記(1)式から定まるTCを下限とする温度範囲内
まで水冷することを特徴とする高周波曲げ管の製
造方法。 TC=450−30×√(℃) ……(1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15096787A JPS63313615A (ja) | 1987-06-17 | 1987-06-17 | 高周波曲げ管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15096787A JPS63313615A (ja) | 1987-06-17 | 1987-06-17 | 高周波曲げ管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63313615A JPS63313615A (ja) | 1988-12-21 |
JPH0512054B2 true JPH0512054B2 (ja) | 1993-02-17 |
Family
ID=15508350
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15096787A Granted JPS63313615A (ja) | 1987-06-17 | 1987-06-17 | 高周波曲げ管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS63313615A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104525740B (zh) * | 2014-12-26 | 2017-08-25 | 哈尔滨锅炉厂有限责任公司 | 拉拔缠绕式小弯曲半径弯管模具及弯管方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5835021A (ja) * | 1981-08-25 | 1983-03-01 | Dai Ichi High Frequency Co Ltd | 曲管の製造方法 |
-
1987
- 1987-06-17 JP JP15096787A patent/JPS63313615A/ja active Granted
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5835021A (ja) * | 1981-08-25 | 1983-03-01 | Dai Ichi High Frequency Co Ltd | 曲管の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63313615A (ja) | 1988-12-21 |
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