JPH0511852Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、歯科治療等の医療施術に用いられる
レーザメスチツプに関するものである。

［従来の技術］ 従来、レーザメスは光導体等を介してレーザ光
線を内部に導入すると共に、レンズで集束し細い
ビームにして生体疾患組織等に照射させ該組織等
の治療を行う医療関係の用途等で広く使用されて
いる。

そして、このレーザメスは、強力なエネルギー
をもつレーザ光を極めて短時間で対象部位に照射
させるものであるので、通常は、レーザメスの先
端部に位置するチツプと治療対象となる生体組織
等とは非接触の状態でレーザ光を照射し医術者に
よる施術が行われていた。

しかし、施術時患部の感触を得ることができ
ず、施術が非常にやりにくいという問題があり、
このため、例えば「実開昭60−190310号公報」に
は患部と上記チツプとを接触させて治療を行う接
触型レーザメスチツプが開示されている。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、上記従来のレーザメスチツプは、セ
ラミツクスや石英などの非可撓性材料で構成され
ていることから屈曲させて使用することができ
ず、その治療用途が極めて制限されている。特
に、屈曲しているのが一般的な歯牙の根管治療時
等においては、歯髄部深くチツプを挿入する必要
があり、この用途には治療部位に有効にレーザ光
照射ができず、その治療が局部的に制限され治療
そのものがスムーズに行えないといつた問題点を
有していた。また、レーザ光はチツプの先端から
治療部位に照射されるのであるが、従来のレーザ
メスチツプでは、レーザ光がチツプの先端面のみ
からしか照射されない構造となつているので、と
くに上記の根管治療部位等のように屈曲した奥深
い部位を治療する場合には、チツプ先端を治療部
位に高精度で位置合せし、レーザ光を精度よく目
標とする治療部位に照射するのは操作上相当困難
であるといつた問題点も有していた。

そこで本考案は、上記従来のレーザメスチツプ
の欠点の解消のため、レーザメスチツプを可撓
性、柔軟性及び透光生を有する合成重合体で構成
し、例えば歯牙等の根管治療時等においてもチツ
プ前端部からレーザ光を治療対象部位の状態に対
応して該チツプを屈曲させることにより容易に照
射できるようにし、しかもチツプ前端部を極めて
高精度に治療部位に位置合せしなくても適切にレ
ーザ光を治療部位に照射できるようにした接触形
レーザメスチツプを提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案は次の手段を
とるものである。

すなわち、本考案の特殊テーパー状レーザメス
チツプは、チツプが可撓性、柔軟性及び透光性に
優れた合成重合体から構成され、該チツプの先端
部外周面が、光散乱性物質を含有し、且つ該チツ
プ自身の屈折率と同等以上の屈折率を有する合成
重合体でクラツド被覆されていることを特徴とす
るものである。

本考案でいう特殊テーパー状レーザメスチツプ
とは、図に示すように、該チツプ１を、たとえば
入射端面２より先端の出射端面３にかけて円錐状
にまたは円柱状とそれにつづく円錐状に構成した
ものであり、チツプ１自身は可撓性、柔軟性及び
透光性に優れた合成重合体から構成されている。
すなわちレーザ光の入射端面２は、レーザ発生装
置との接続を容易にし、かつ入射光量を高くでき
るため、断面積の大きいものが好ましいが、先端
部は歯牙の根管に挿入するため細く、優れた屈曲
性、つまり可撓性と柔軟性とを併せ持つことが必
要である。そしてチツプ１の先端部の外周面４
が、光散乱性物質５を含有するチツプ１の構成素
材の屈折率と同等以上の屈折率を有する合成重合
体６でクラツド被覆されている。

該チツプにレーザ光が導入されると、そのレー
ザ光はチツプが屈曲していてもその内壁面で全反
射を繰返しながらチツプ先端へと進行するが、そ
の際のレーザエネルギーの伝送効率の点から、チ
ツプは透光性の優れていることが必要である。さ
らに、先端部外周面が本考案の様に光散乱性物質
を含有するチツプの屈折率と同等以上の屈折率を
有する合成重合体でクラツド被覆されていると、
その部分よりレーザ光が適度に漏洩し、先端近傍
をやや幅広く適度にレーザ照射することになる。
ここで、光散乱性物質はレーザ光を散乱する物質
であれば特に限定されないが、光の波長オーダー
の粒径を有する微粒子が好適である。治療部位の
近傍でやや幅広く適度にレーザ照射できると、治
療操作上困難な程にチツプ先端を治療部位に正確
に位置合せする必要がなくなり、チツプを移動さ
せずに治療部位に適度にレーザ光を照射すること
が可能になり、治療操作上極めて有効である。

本考案のテーパー状レーザメスチツプの製造法
については、特に限定されず従来公知の方法が適
用できる。例えば、単一成分より成るテーパー状
物に紫外線硬化、熱硬化、電子線硬化等の方法に
より微粒子等の光散乱性物質を含有する硬化樹脂
をコーテイングする方法、光散乱性物質を含有さ
せた鞘成分を用いた芯鞘構造のテーパー状物を得
て、先端部のクラツド被覆（鞘）のみを残す様に
クラツドを剥がす方法等である。

［作用］ 本考案においては、チツプを可撓性、柔軟性を
有する合成重合体から構成することにより、それ
を屈曲させて従来治療困難であつた生体組織の特
定治療部位へも挿入することが可能となり、ま
た、チツプ自身が透光性に優れた合成重合体で、
かつ、チツプの先端部外周面を光散乱性物質を含
有するチツプの屈折率と同等以上の屈折率を有す
る素材でクラツド被覆することにより、チツプ先
端部のみにおいてその側面よりレーザ光を適度に
漏洩させて幅広く治療部位に照射することがで
き、治療に使用されるレーザ光を全体として低減
させることなく、治療の操作性が大幅に向上され
る。

［実施例］ 以下に、実施例により本考案を更に具体的に説
明する。

ポリメチルメタクリル酸メチル（屈折率：
1.492）を用い、長さ15mm、太径１mm、細径0.5mm
のテーパー状チツプを作り、チツプ先端部のチツ
プ長手方向５mm部分の外周部を0.3μのTiO₂微粒
子を0.1％含有させたポリカーボネート（屈折
率：1.583）を用いクラツド被覆し、図に示した
形状のレーザメスチツプを得た。

レーザ光照射の具体的評価については、人間の
抜歯した小臼歯の歯髄部にドリルで直径２mm、深
さ約15mmの穴を開け、上記テーパー状チツプを、
その穴に挿入し、出力5WのYAGレーザ光を10秒
間照射して行つた。照射後、該歯髄部内面の性状
を観察したところ、歯髄部の奥より６mm深さの所
まで表面凝固が見られた。

［考案の効果］ 本考案の特殊テーパー状レーザメスチツプによ
るときは、チツプ自身が可撓性、柔軟性及び透光
性に優れているので、生体組織等の特定位置、例
えば歯牙の根管位置へも的確にかつ高効率にレー
ザ光を照射させ得るとともに、光散乱性物質を含
有するチツプの屈折率と同等以上の屈折率を有す
る合成重合体をチツプ先端部外周にクラツド被覆
し、その部分のみからレーザ光が適度に漏洩する
ようにしたので、チツプの位置を移動させること
なくチツプ先端近傍をやや幅広く適度にレーザ照
射することが可能となり、生体組織の特定部位へ
のレーザ光照射による治療の操作性を大幅に向上
することができるという効果が得られる。また、
クラツド被覆される素材も合成重合体をベースと
しているから、合成重合体からなるチツプに対
し、被覆性、耐剥離性に極めて優れており、製作
し易く、耐久性、安全性にも極めて優れたテーパ
ー状レーザメスチツプが得られる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案における特殊テーパー状レーザメス
チツプの一構成態様を示す概略図である。 符号の説明、１……レーザメスチツプ、２……
レーザメスチツプ入射端面、３……レーザメスチ
ツプ先端部（出射端面）、４……先端部外周面、
５……光散乱性物質、６……被覆素材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 光伝導体から放出されるレーザ光を受光し、そ
   の先端からレーザ光を治療部位等に照射させるテ
   ーパー状レーザメスチツプにおいて、該チツプが
   可撓性、柔軟性及び透光性に優れた合成重合体か
   ら構成され、該チツプの先端部外周面が該チツプ
   自身の屈折率と同等以上の屈折率を有する合成重
   合体でクラツド被覆され、且つ該被覆材に光散乱
   性物質を含有していることを特徴とする特殊テー
   パー状レーザメスチツプ。