JPH051177A - タイヤトレツド用ゴム組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ウェットスキッド抵抗性、ころがり抵抗性、
耐摩耗性、およびアイススキッド抵抗性をバランスよく
向上させることが可能なタイヤトレッド用ゴム組成物を
提供すること。 【構成】 本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、結
合スチレン量10〜30重量％のスチレン−ブタジエン共重
合体ゴム60〜80重量部とガラス転移点が−85℃以下のブ
タジエンゴム及びハロゲン化ブチルゴムの40〜20重量部
とからなり、全ゴム分が 100重量部であって、前記ブタ
ジエンゴムと前記ハロゲン化ブチルゴムとの配合割合を
重量比で70／30〜30／70としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ウェットスキッド抵抗
性、ころがり抵抗性（燃費性）、耐摩耗性および氷雪路
制動性（アイススキッド抵抗性）等に優れたタイヤトレ
ッド用ゴム組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車の低燃費性の要求と、走行
安全性の要求から、自動車タイヤのトレッド用ゴム材料
にはころがり抵抗が小さい、即ち、ヒステリシスロスが
小さく、かつウェットスキッド抵抗の大きいゴム材料
が、換言すれば高温時の tanδが小さく低温時の tanδ
が大きなゴム材料が要求されている。また、最近では、
さらなる燃費向上の要求から、軽量化のために高耐摩耗
性であるゴム材料が要求されている。

【０００３】しかし、トレッド用ゴム材料に要求される
ころがり抵抗性とウェットスキッド抵抗性は二律背反の
関係にある。そこで従来、ポリマーの分子設計面、配合
面等より、種々の改良がなされてきた。例えば、低燃費
タイヤのタイヤ材料用のゴムとしてヒステリシスロスの
少ないゴム材料が求められ、なかでもタイヤのヒステリ
シスロスの50％以上を占めるといわれるトレッド部に
は、ゴム成分としてヒステリシスロスの少ない天然ゴ
ム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ガラス
転移点（Tg）の低いスチレン−ブタジエン共重合体ゴ
ム、およびこれらのブレンド物などが使用されてきた。
さらに、ゴム組成物としては、比較的粒子径の大きいカ
ーボンブラックを比較的少ない配合量で配合し、かつ、
アロマティックオイル等の軟化剤の配合量もできるだけ
少なくしたゴム組成物がこれまでは使用されてきた。

【０００４】ところで、最近、タイヤに対してより多く
の機能がいっそう高いレベルで求められるようになっ
た。例えば、上述のようにして開発された低燃費タイヤ
において、その低燃費性能を低下させることがなく、か
つ、安全性の面からは湿潤路面および積雪・氷結路面な
どの各種路面に対応できる高い制動性能および軽量化に
対応するための高耐摩耗性等がさらに強く望まれてい
る。

【０００５】しかし、上述したようにヒステリシスロス
の少ない天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエ
ンゴム、 Tg の低いスチレン−ブタジエン共重合体ゴム
をトレッド部に使用した場合には、特に湿潤路面での制
動性（ウェットスキッド抵抗性）が劣り、走行安全性が
低下してしまうという欠点があった。また、粒子径の大
きなカーブンブラックを使用した場合には、低燃費性能
は優れるものの、湿潤路面での制動性および耐摩耗性と
いった特性の低下が避けられなかった。さらに、これま
での低燃費タイヤのトレッド部ゴムは、軟化剤の配合量
を少なくしているため低温になると硬くなり易く、この
ため積雪や氷結した路面での制動性（アイススキッド抵
抗性）も十分に満足できるレベルには達していなかっ
た。

【０００６】一方、タイヤの低燃費性能とウェットスキ
ッド抵抗性の両特性を満足させる材料として、最近では
１,2−ビニル結合を50％以上含有するいわゆる高ビニル
ポリブタジエンゴムや高ビニルスチレン−ブタジエン共
重合体ゴムが提案されている。しかし、これらのゴム
は、いずれも高いガラス転移点（Tg）を有するため、耐
摩耗性に劣り、しかも低温で硬化し易く、積雪・氷結路
面での制動性能に著しく劣り、したがって、上述したよ
うな全ての特性を満たすにはやはり不十分である。

【０００７】このように、現在では、低燃費性能、湿潤
路面での高い制動性、耐摩耗性、積雪・氷結路面での高
い制動性といった特性を全て満足するタイヤは提案され
ていない。特に、これまでは、路面が積雪や氷結のため
に滑り易くなる冬期においては、低燃費タイヤを含む一
般タイヤでは、これらの路面における制動性が非常に小
さく、スノータイヤの使用を余儀なくされていた。しか
し、使用者のタイヤ交換にかける時間と手間はかなりも
のであり、一般夏タイヤで上記の３つの特性を満足する
オールシーズン用のタイヤの出現が非常に切望されてい
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
要求に応じるためになされたものであって、走行時のタ
イヤトレッド部の発熱が少なく、低燃費性に優れ、しか
も湿潤路面での制動性および積雪・氷結路面での制動性
を共に著しく改善した。特にウェット性能に優れかつ耐
摩耗性にも優れたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供す
ることを目的とする。この組成物は、夏冬を問わず通期
に亘って使用可能ないわゆるオールシーズン用の空気入
りタイヤのトレッド用として有用である。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のタイヤトレッド
用ゴム組成物は、結合スチレン量10〜30重量％のスチレ
ン−ブタジエン共重合体ゴム60〜80重量部とガラス転移
点が−85℃以下のブタジエンゴムおよびハロゲン化ブチ
ルゴムの40〜20重量部とからなり、全ゴム分が１00重量
部であって、前記ブタジエンゴムと前記ハロゲン化ブチ
ルゴムとの配合割合を重量比で70／30〜30／70としたこ
とを特徴とする。

【００１０】以下、本発明の構成につき詳しく説明す
る。 (１) スチレン−ブタジエン共重合体ゴム（ＳＢＲ)。 結合スチレン量10〜30重量％のものである。結合スチレ
ン量が10重量％未満では、ゴム組成物のウェットスキッ
ド抵抗性が低下し、湿潤路面におけるタイヤの制動性能
を悪化させることになる。一方、30重量％を越えると、
湿潤路面での制動性が大きくなる反面、積雪・氷結路面
での制動性および耐摩耗性が悪化する。 （２）ブタジエンゴム（ＢＲ)。

【００１１】ガラス転移点が−85℃以下のものである。
−85℃超の場合には、ゴム組成物の耐摩耗性が悪化し、
かつ低温時の硬度が高くなり、積雪・氷結路面での制動
性が不十分となる。ガラス転移点が−85℃以下のブタジ
エンゴムとしては、例えば、通常のCo, Ni, Ti等の触媒
での重合による高シスブタジエンゴム、Li系触媒を用い
て重合された低シスブタジエンゴムが使用される。 （３）ハロゲン化ブチルゴム（Ｈ−IIＲ，Ｈはハロゲン
を表わす）。

【００１２】例えば、クロロブチルゴム、臭素化ブチル
ゴムなどである。 （４) 本発明のゴム組成物は、上記ＳＢＲ60〜80重量部
と上記ＢＲおよび上記Ｈ−IIＲの40〜20重量部からな
る。全ゴム分は１00重量部である。この範囲外の配合割
合は、低燃費性（ころがり抵抗性）、湿潤路面での制動
性（ウェットスキッド抵抗性）、積雪・氷結路面での制
動性（アイススキッド抵抗性）のいずれかの特性が悪く
なるので好ましくないからである。

【００１３】また、上記ＢＲと上記Ｈ−IIＲとは、重量
比で70／30〜30／70の割合で配合する。この場合、上記
ＢＲをｘ重量部、上記Ｈ−IIＲをｙ重量部とすると、
ｘ、ｙは下記に示す式 (a)〜(d) の条件を満足すること
が好ましい。 ｙ≧ -ｘ＋20 (a) ｙ≦ -ｘ＋40 (b) ｙ≧ 3/7ｘ (c) ｙ≦ 7/3ｘ (d) (５) さらに、本発明においては、補強剤として、カー
ボンブラックをゴム分100重量部に対して30〜80重量部
添加してもよい。

【００１４】カーボンブラックの配合量が30重量部未満
では、タイヤとして十分な湿潤路面での制動性、耐摩耗
性が得られない。一方、80重量部を越えるとタイヤの低
燃費性が悪化し、加えて、トレッド部の硬度が低温で高
くなるため氷結路面で滑り易くなり、好ましくないから
である。 (６) 本発明のゴム組成物は、通常のゴム工業で用いら
れる配合剤である加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化
防止剤、軟化剤等を含んでいてもよい。また、このゴム
組成物は、乗用車用タイヤをはじめ、トラック・バス用
タイヤなど全てのタイヤに適用できるものであり、タイ
ヤの種類には特に限定されるものではない。

【００１５】以下に実施例を示す。

【実施例】下記表１に示す配合内容（重量部）でそれぞ
れの成分を配合し、加硫促進剤と硫黄を除く原料ゴムお
よび配合剤を1.７Ｌのバンバリーミキサーで４、５分間
混合した後、この混合物に加硫促進剤と硫黄とを加えて
８インチの試験用練りロール機で４分間混練し、ゴム組
成物を得た。これらのゴム組成物を 160℃で30分間ブレ
ス加硫して、目的とする試験片を調製し、各種試験を行
い、その物性を測定した。この結果及びポリマーの配合
内容を下記表３に示す。使用したＳＢＲの特性は表２に
示す。

【００１６】表 １ ポリマー 100 重量部 カーボンブラック(N339) 50 重量部 酸化亜鉛 3 重量部 ステアリン酸 1.5重量部 芳香族系オイル 5 重量部 加硫促進剤 ^* 1.0重量部 硫 黄 1.75重量部 注）* Ｎ−シクロヘキシル−２−ベンゾチアジルスルフ
ェンアミド(ＣＢＳ)測定物性は、リュプケ反発弾性、−
10℃の硬度、低温脆化温度およびピコ摩耗とした。

【００１７】リュプケ反発弾性は、０℃の値が低いほど
ウェット性能は良く、60℃の値が大きくなると、ころが
り抵抗が良くなることを示している。ピコ摩耗は、耐摩
耗性指数で示し、値が大きいほど耐摩耗性が良いことを
示している。−10℃の硬度は、値が小さいほど低温でや
わらかく、積雪・氷結路面での制動性が良いことを示
す。低温脆化温度は、脆化温度が低いほど耐寒性が優れ
ていることを示す。

【００１８】

【００１９】

【００２０】表３から明らかなように、実施例１、２は
比較例に比し、何れもリュプケ反発弾性のバランスが良
く、耐摩耗性、硬度（−10℃）および低温脆化温度も比
較例１に比べて良い。実施例１、２以外の配合系では、
（比較例２〜５）、上記物性のいずれかが悪化してしま
い、好ましくない（比較例２、３では０℃の反発弾性
が、比較例４、５では０℃の反発弾性を除いたすべての
特性が悪くなってしまう）。また、溶液配合ＳＢＲを使
用した実験番号８−12でも同様の結果が得られた。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように本発明のゴム組成物
は、特定のＳＢＲと特定のＢＲおよびＨ−IIＲとを特定
の割合で配合してなるために、ウェットスキッド抵抗
性、ころがり抵抗性、耐摩耗性、およびアイススキッド
抵抗性をバランスよく向上させることが可能となる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 結合スチレン量10〜30重量％のスチレン
   −ブタジエン共重合体ゴム60〜80重量部とガラス転移点
   が−85℃以下のブタジエンゴムおよびハロゲン化ブチル
   ゴムの40〜20重量部とからなり、全ゴム分が１00重量部
   であって、前記ブタジエンゴムと前記ハロゲン化ブチル
   ゴムとの配合割合を重量比で70／30〜30／70としたタイ
   ヤトレッド用ゴム組成物。