JPH0511741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車等の車両の窓をワイパブレー
ドの往復払拭揺動で払拭する車両用ワイパにおけ
る払拭範囲切換え装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする問題点］ 一般に、この種ワイパ装置のなかには、非作動
時にワイパブレードをボンネツト内に格納して運
転者の視界を大きく確保できるようにしたものが
ある。しかるにこのようなものでは、ワイパブレ
ードが上記格納スペースに出入りすることになる
ため、冬期において格納スペース内に積つた雪に
よつてワイパブレードの所定の格納位置に至る揺
動が阻止されてしまい、これによつてワイパブレ
ードやピボツトリンク、あるいはコンロツドやワ
イパモータ等の部材が破損する惧れがある。そこ
で実開昭60−51164号公報に示す如くクランクア
ームとコンロツドとの枢結部に特殊な偏心切換え
手段を形成してワイパアームの格納側反転位置
（下反転位置）における揺動範囲を広狭切換える
できるように構成したものがあるが、このものは
構造が複雑であるうえに、払拭範囲の切換えは、
ワイパアームがオートストツプする格納側ではな
く逆の繰出し側反転位置（上反転位置）にセツト
した状態で行わなければならず作業が煩雑にな
り、特に緊急で適切な切換えが要求とされる夏期
から冬期仕様への切換え作業を、ユーザーが路上
においても簡単かつ容易にできるものではないと
いう欠点もあり問題を有している。

［問題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠
点を一掃することができる車両用ワイパにおける
払拭範囲切換え装置を提供することを目的として
創案されたものであつて、ワイパ軸を中心にワイ
パアームと一体揺動するピボツトリンクにワイパ
モータ側に連動連結のコンロツド先端部を枢支し
て、モータ駆動でワイパアームの往復払拭揺動を
行う車両用ワイパにおいて、前記ピボツトリンク
を、ワイパアームと一体揺動する第一リンクと、
該第一リンクに一端部が、またコンロツド先端部
に他端部がそれぞれ揺動自在に枢支された第二リ
ンクと、第二リンクの第一リンクに対する揺動範
囲を規制する第一、第二のストツパと、第二リン
クの第一リンクに対する揺動を解除ができる状態
でロツクするロツク手段とを用いて形成し、第二
リンクを、格納側反転位置より移動する側に配し
た第一ストツパに接当する状態でロツクされて第
一リンクと一体化する夏期仕様と、ロツク解除さ
れ第一リンクに対して両ストツパによる規制範囲
で揺動する冬期仕様とに切換え可能に構成したこ
とを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、構造が簡
単でしかも夏期から冬期仕様に切換える際の作業
も容易で、迅速かつ確実に行うことができる様に
したものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
する。図面において、１はワイパモータであつ
て、該ワイパモータ１のモータ軸１ａに基端部が
枢結されたクランクアーム２の先端部にはコンロ
ツド３の基端部が枢結されている。このコンロツ
ド３の先端部は後述するようにピボツトリンク４
側に連結されている。このピボツトリンク４の支
軸、つまりワイパ軸４ａには、先端部にワイパブ
レード５が取付けられたワイパアーム６の基端部
が一体的に連結されており、ワイパモータ１の駆
動に伴いワイパアーム６がワイパ軸４ａを支点と
して格納側反転位置（ワイパ停止時にオートスト
ツプとなる側の位置）と該位置から窓面に繰出さ
れた繰出し側反転位置との間を往復揺動すること
でワイパブレード５による窓面の払拭が成される
こと等は何れも従来通りである。

前記ピボツトリンク４のうち、ワイパモータ１
側のピボツトリンク４を構成する第一リンク７は
ワイパ軸４ａを中心にワイパアーム６と一体揺動
するように構成されているが、この第一リンク７
のワイパ軸４ａ側に第二リンク８の一端部が支軸
９によつて揺動自在に枢結されている。そしてこ
の第二リンク８の他端部には、モータ駆動に伴い
Ｗの範囲でリンク作動する前記コンロツド３の先
端部が支軸１０によつて揺動自在に枢結されてい
る。また、１１，１２は第一リンク７に対する第
二リンク８の揺動範囲を角度αの範囲に規制すべ
く第一リンク７に設けた第一、第二のストツパで
ある。そして第一ストツパ１１は、コンロツド３
が矢印Ａ方向に移動し、ワイパアーム６が繰出し
側反転位置に向けて揺動する場合に第二リンク８
が接当してこれ以上の揺動を規制するものであ
り、また第二ストツパ１２は、逆にコンロツド３
が矢印Ｂ方向に移動し、ワイパアーム６が格納側
反転位置に向けて揺動する場合に第二リンク８が
接当して揺動規制するものである。このストツパ
１１，１２は本考案を実施する上では材質等の点
はこだわらないが、実用面を考慮すると弾性を有
する等して後述するように冬期仕様としたとき第
二リンク８が接当する際の衝撃を緩衝するように
構成されるものであることが好ましい。さらに１
３はロツクピンであつて、該ロツクピン１３は、
前述したように第二リンク８が第一ストツパ１１
に接当する位置に位置した状態で実施例では第二
リンク８を貫通して第一リンク７に螺入止着する
ことで第二リンク８の解除可能なロツクができる
ようになつている。また、１４はワイパアーム６
が繰出し側反転位置に達した際における慣性移動
を規制するための第一リンク７のストツパ（第三
ストツパ）である。尚、慣性移動を規制するため
のストツパ手段としては、ワイパ軸４ａと該ワイ
パ軸４ａを支持するブラケツト４ｂとの間に介装
されるＯ−リング（図示せず）による摺動抵抗に
よつて行うようにすることもできることはいうま
でもない。

叙述の如く構成された本考案の実施例におい
て、ワイパアーム６の払拭範囲を夏期仕様とする
場合には、ロツクピン１３によつて第二リンク８
を第一リンクにロツクし一体化しておく。この状
態でワイパモータ１を駆動させ、コンロツド３を
Ｗの範囲でリンク作動させた場合に、第二リンク
８は、第一ストツパ１１に接当する状態で第一リ
ンク７にロツク固定されており、この結果、ワイ
パアーム６は第４図に示す如く格納側反転位置と
繰出し側反転位置との間の角度Ｃの範囲で払拭揺
動することになる。

一方、ロツクピン１３を外して第二リンク８の
ロツク解除をし冬期仕様とすると、第二リンク８
は第一リンク７に対してストツパ１１，１２に規
制される角度αの範囲で独立して揺動できること
に成る。この結果、モータ駆動に伴うワイパアー
ム６の払拭揺動は次のようになる。つまりコンロ
ツド３がＡ方向に移動し、ワイパアーム６が格納
側反転位置から繰出し側反転位置に揺動する過程
では、まず第二リンク８が第一リンク７に対して
揺動し第一ストツパ１１に接当しながらこれをＤ
方向に押圧することになり、これによつて第一リ
ンク７は第二リンク８と一体揺動して繰出し側反
転位置に向けて移動する。そしてワイパアーム６
が繰出し側反転位置に達し第一リンク７が第三ス
トツパ１４に接当すると、コンロツド３は逆にＢ
方向（反Ａ方向）に移動するが、このとき第二リ
ンク８がまず第一リンク７に対してＢ方向に揺動
して第二ストツパ１２に接当し、そして第一リン
ク７をＢ方向に押圧しながら移動し、これによつ
て第一リンク７が第二リンク８と一体的にＥ方向
に移動してワイパアーム６は格納側反転位置に向
けて揺動する。そしてコンロツド３がＢ方向移動
端に達した場合に、第一リンク７は、格納側反転
位置において、第二リンク８が第一ストツパ１１
から第二ストツパ１２に揺動した角度α分だけ前
記夏期仕様の場合よりも少ない位置、つまりワイ
パアーム６は角度αだけ夏期仕様時よりも高い位
置で揺動端と成る。そしてコンロツド３が逆にＡ
方向に移動すると、第二リンク８は第一リンク７
に対してＤ方向に揺動して第一ストツパ１１に接
当して第一リンク７を押圧し、前述した繰出し側
反転位置に向けてのリンク揺動が成されることに
なる。

このように本考案では、第二リンク８を、夏期
仕様では第一リンク７にロツク固定して一体化
し、冬期仕様では第一リンク７に対して一定の範
囲で揺動するようロツク解除することによつて、
格納側反転位置でのその払拭範囲を、ロツクされ
る夏期仕様の場合は広く（低く）なり、またロツ
ク解除される冬期仕様の場合は狭く（高く）なる
よう切換えることができることになる。しかもこ
の切換えは、第二リンク８の第一リンク７に対す
るロツク−ロツク解除という極めて簡単な操作で
良く、そのうえワイパアーム６の位置に関係無く
必要において直ちにロツク解除作業ができ、この
結果、特に迅速な対応が必要な冬期仕様への切換
えを、ユーザーが路上においても素早くしかも簡
単に行うことができる。しかも構造も簡単にでき
るので、安価に提供できることになる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成された
ものであるから、ワイパアームは、格納側におい
て、夏期仕様として第二リンクをロツクして第一
リンクに一体化した場合には下方まで下がつた位
置で反転し、冬期仕様として第二リンクのロツク
解除をした場合には第二リンクが第一リンクに対
して揺動する分、前記夏期仕様の場合よりも上位
置で反転することに成り、従つて、ワイパアーム
をボンネツト内に格納できるようにしたとして
も、冬期仕様に切換えることによつて雪による不
具合を無くすることができる。しかも迅速な対応
が必要な冬期仕様への切換えは、第二リンクのロ
ツク解除操作のみでよいから、仮令ワイパアーム
が格納位置にあつたとしてもユーザーが路上にお
いて素早く容易にしかも確実に行うことができ
る。しかも構造も簡単であるので、安価に提供で
きることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る車両用ワイパにおける払
拭範囲切換え装置の実施例を示したものであつ
て、第１図は車両用ワイパの概略斜視図、第２図
は車両用ワイパの払拭パターン図、第３図はピボ
ツトリンクの要部断面図、第４図は夏期仕様の払
拭状態を示すパターン図、第５図は冬期仕様の払
拭状態を示すパターン図である。 図中、１はワイパモータ、３はコンロツド、４
はピボツトリンク、５はワイパブレード、６はワ
イパアーム、７は第一リンク、８は第二リンク、
１１は第一ストツパ、１２は第二ストツパ、１３
はロツクピンである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ワイパ軸を中心にワイパアームと一体揺動する
   ピボツトリンクにワイパモータ側に連動連結のコ
   ンロツド先端部を枢支して、モータ駆動でワイパ
   アームの往復払拭揺動を行う車両用ワイパにおい
   て、前記ピボツトリンクを、ワイパアームと一体
   揺動する第一リンクと、該第一リンクに一端部
   が、またコンロツド先端部に他端部がそれぞれ揺
   動自在に枢支された第二リンクと、第二リンクの
   第一リンクに対する揺動範囲を規制する第一、第
   二のストツパと、第二リンクの第一リンクに対す
   る揺動を解除ができる状態でロツクするロツク手
   段とを用いて形成し、第二リンクを、格納側反転
   位置より移動する側に配した第一ストツパに接当
   する状態でロツクされて第一リンクと一体化する
   夏期仕様と、ロツク解除され第一リンクに対して
   両ストツパによる規制範囲で揺動する冬期仕様と
   に切換え可能に構成したことを特徴とする車両用
   ワイパにおける払拭範囲切換え装置。