JPH05115360A - 真空加熱調理方法及び真空加熱包装機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 一般家庭において、汁の濃い煮込み料理が簡
単にでき、また、高温殺菌処理をおこなった保存食品も
容易に製造することができる真空加熱調理方法及び真空
加熱包装機を提供する。 【構成】 食品を収納した袋４を真空容器２内の袋保持
手段３０に保持し、真空ポンプ１１を作動させて真空引
きしながら加熱板５０により加熱した後、前記袋２の開
口部をシールする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、真空加熱調理方法及び
真空加熱包装機に関し、詳しくは、煮込み料理等、汁の
濃い料理を調理するのに好適な調理方法、及び該調理後
に続けて真空包装することができる真空加熱包装機に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、煮込み料理、特に汁の濃い料理を
作る場合には、大気圧下で長時間加熱する方法が一般的
であり、長時間の加熱により水分を蒸発させて汁を煮詰
めている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように汁を長時間かけて煮詰める場合、通常は１００℃
近い温度で加熱を続けることになるため、食品中のビタ
ミンが破壊されたり、蛋白質の変質や香り成分の散逸，
大気中の酸素による酸化等を生じ、さらに醤油を用いた
ものでは、焦げ臭さがでることがあるなどの問題があっ
た。

【０００４】また、このようにして得た煮込み料理を、
高温殺菌処理あるいは真空包装して保存しようとする場
合には、高温殺菌処理あるいは真空包装用の器具を、加
熱用の鍋等とは別に用意する必要があった。

【０００５】そこで本発明は、一般家庭において、汁の
濃い煮込み料理が簡単にでき、また、加熱調理後の高温
殺菌処理や真空包装も容易に行うことができる真空加熱
調理方法及び真空加熱包装機を提供することを目的とし
ている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明の真空加熱調理方法は、真空容器内で真空
引きしながら食品を加熱すること、及び、食品を収納し
た袋を真空容器内に保持し、該真空容器内で真空引きし
ながら加熱した後、前記袋の開口部をシールすることを
特徴としている。

【０００７】また、本発明の真空加熱包装機は、真空排
気手段を備えた真空容器内に食品を収納した袋を保持す
る袋保持手段と、該袋の開口部をシールするシール手段
とを設けるとともに、該真空容器内に加熱手段を設けた
ことを特徴としている。

【０００８】

【作 用】上記のように、真空引きしながら加熱するこ
とにより、低い温度でも水分の蒸発を十分に行え、汁の
濃い煮込み料理を容易に得ることができる。また、水分
を除去した乾燥食品、例えば干し椎茸や高野豆腐を作る
場合にも、水分を迅速に除去することができる。

【０００９】また、真空引きしながら加熱した後、袋の
開口部をシールすることにより、真空包装を行うことが
でき、そのまま保存することができる。さらに、密封後
に高温で加熱することにより、高温殺菌処理を行った保
存食品を製造することもできる。

【００１０】さらに本発明の真空加熱包装機は、一つの
機器で真空加熱や通常の加熱調理、真空包装及び密封後
の高温殺菌処理を選択でき、幅広い調理を行える。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を、図面に示す一実施例に基づ
いて、さらに詳細に説明する。

【００１２】図１乃至図４は、真空加熱包装機の一実施
例を示すもので、図１は断面側面図、図２は同じく斜視
図、図３は同じくシール手段部分の横断面図、図４は同
じく真空排気系の系統図である。

【００１３】この真空加熱包装機は、制御用の機器等を
収納した基台１と、該基台１上に設けられた真空容器２
とから構成されている。

【００１４】上記基台１の内部には、真空ポンプ１１，
ドレン分離器１２等からなる真空排気系と、制御部１
３，トランス１４等を備えた電気回路系が収納されてい
る。また、基台１の前面には、電源スイッチ１５，ブザ
ー１６，スタートボタン１７，取消しボタン１８，ヒー
ターの強弱選択ボタン１９ａ，１９ｂ，タイマー設定ボ
タン２０，加熱操作ボタン２１，シール作動ボタン２２
等の操作スイッチ類、及び設定状態や作動状態、時間等
を表示する表示部２３等を有する操作パネル１０が設け
られている。

【００１５】また、真空排気系は、図４に示すように、
真空容器２と真空ポンプ１１との間に、前記ドレン分離
器１２及び三方電磁弁２４を設けたものであって、三方
電磁弁２４は、真空容器２内を真空ポンプ１１又は大気
に切替え連通させる通路を有するものである。また、ド
レン分離器１２の底部には、ドレン排出弁２５が設けら
れている。

【００１６】前記真空容器２は、前面に蓋３を有する箱
状のものであって、その内部には上方に食品を収納した
袋４を保持する袋保持手段３０と該袋４の開口部をシー
ルするシール手段４０が設けられ、その下方には袋４を
両側から挟むように、ヒーターを組み込んだ一対の加熱
板５０が設けられている。

【００１７】上記袋保持手段３０は、袋４の上部に形成
した孔を係止する左右一対のピン３１，３２からなるも
ので、このピン３１，３２は、通常の状態では袋４を僅
かに弛緩した状態で開口部を僅かに開いた状態で保持し
て、袋４内の真空排気や加熱時の水分の蒸発を容易と
し、後述のヒートシールの際には、一方のピン３１が、
他方のピン３２から離れる方向に移動して袋４の開口部
を閉じ合わせ、確実にシールすることができるように形
成されている。

【００１８】また、シール手段４０は、固定シールバー
４１と可動シールバー４２とからなるもので、両シール
バー４１，４２の少なくともいずれか一方には、ヒート
シール用のヒーターが組み込まれている。前記可動シー
ルバー４２は、図３に示すように、ガイドピン４３によ
り固定シールバー４１方向に移動可能に支持されてお
り、その背面には移動用のエアーバッグ４４が組み込ま
れ、その前面には前記ピン３１を移動させるための楔状
突起４５が設けられている。

【００１９】さらに、真空容器２の内部には、温度セン
サー５１や温度ヒューズ５２が設けられ、蓋３の周囲に
は気密用のパッキング５が設けられている。

【００２０】次に、このように構成した真空加熱包装機
の使い方を説明する。まず、調理済みの食品又は半調理
にかけた食品や原材料を、加熱調理に耐えることがで
き、かつガスバリヤー製を有する積層フィルムからなる
プラスチック製の袋に充填し、これを真空容器２内のピ
ン３１，３２に保持させて、蓋３を閉じる。このとき、
ピン３１は、バネ３３の作用で他方のピン３２側に位置
しており、袋４は開口部を僅かに開いた状態で保持され
る。

【００２１】次に、操作パネルの電源スイッチ１５，ヒ
ーターの強弱選択ボタン１９ａ，１９ｂ，タイマー設定
ボタン２０，加熱操作ボタン２１，シール作動ボタン２
２等の操作スイッチ類を操作して調理内容を選択する。
この選択結果は、表示部２３に表示される。

【００２２】ここでスタートボタン１７を押すと、真空
ポンプ１１が作動するとともに、三方電磁弁２４が開
き、真空容器２内の真空引きを開始し、同時に加熱板５
０が加熱を開始する。加熱中、加熱板５０は、温度セン
サー５１により設定温度になるように制御され、このと
き、表示部２３には加熱中の表示が点灯するとともに、
残り時間が表示される。

【００２３】そして、設定された時間が経過し、真空ポ
ンプ１１及び加熱板５０が作動を停止すると同時にシー
ル手段４０が作動し、前記袋の開口部を熱融着（ヒート
シール）して密封する。即ち、図示しない電磁弁が開い
て可動シールバー４２背面のエアーバッグ４４内に大気
が導入され、可動シールバー４２が固定シールバー４１
方向に移動する。このとき、可動シールバー４２前面の
楔状突起４５が、ピン３１をピン３２から離れる方向に
移動させて袋４の開口部を閉じ合わせ、両シールバー４
１，４２が、袋４の開口部近傍を挟着した状態で、ヒー
トシール用のヒーターが加熱状態となり、袋４の開口部
がヒートシールされる。

【００２４】次いで、表示部２３の加熱中の表示が消
え、加熱終了の表示が点灯し、ブザー１６が鳴るととも
に、三方電磁弁２４が切替わり、真空容器２中に大気が
導入されて真空容器２内が大気圧に戻る。

【００２５】この後、蓋３を開いて袋４を取り出せば、
所望の真空加熱及び真空包装が行われた食品が得られ
る。保存する場合には、そのまま水冷し、冷蔵庫等で保
存することができる。

【００２６】上記のように、真空ポンプ１１を作動させ
て真空引きしながら加熱板５０を作動させて加熱するこ
とにより、水分の蒸発を促進しながら加熱することがで
き、汁の濃い煮込み料理を短時間で得ることができる。
また、煮込み料理に限らず、水分を除去した乾燥食品、
例えば干し椎茸や高野豆腐を作る場合にも、水分を迅速
に除去することができる。

【００２７】なお、このときの加熱温度は、温度を高め
るほど水分の蒸発は促進されるが、高温でなくても、水
分が蒸発する際の蒸発潜熱を補填できる熱量を加える程
度でも良い。

【００２８】また、高温殺菌処理を行う場合には、上記
のように真空加熱及び真空包装を行った後、加熱板５０
の加熱温度を１００℃以上に設定して数分間加熱を継続
するようにすれば良い。さらに、袋４のヒートシールを
行わないように設定しておけば、真空加熱調理を行った
後、そのまますぐに食することができる。

【００２９】なお、加熱板５０を作動させなければ、通
常のチャンバー式真空包装機として用いることもでき、
真空ポンプを１１を作動させなければ、単に加熱するだ
けの調理も行える。

【００３０】このように、本真空加熱包装機によれば、
一つの機器で真空加熱及び真空包装、さらに高温殺菌処
理も行えるので、従来の真空調理や保存食品の製造のよ
うに、複数の機器を用いる必要がなくなり、操作性の向
上が図れるとともに収納の点でも有利である。また、真
空加熱から密封処理までを連続して行えるので、処理時
間の短縮も図れる。

【００３１】また、真空加熱包装機の構成は、上記実施
例に限るものではなく、例えば、加熱手段として加熱板
に代えて湯煎を行うようにしても良く、シール手段も、
袋の開口部を密封できるものならば任意のものを用いる
ことができる。

【００３２】次に、上記実施例に示す真空加熱包装機を
用いてビーフシチューを作った実施例を説明する。

【００３３】まず、耐熱性，ガスバリヤー性を有するプ
ラスチック製の袋にビーフシチューの材料２５０グラム
を入れて前記真空容器２内にセットした。そして、タイ
マー設定ボタン２０で加熱時間を１５分にセットし、ヒ
ーター強ボタン１９ａを押した後、スタートボタン１７
を押して真空包装及び真空加熱調理を開始した。

【００３４】スタートボタン１７を押すと、真空ポンプ
１１が作動して袋内の空気の排出を開始するとともに、
加熱板５０が作動して材料の加熱を開始した。１５分が
経過すると加熱終了の表示が点滅し、シール手段４０が
作動して袋の開口部をヒートシールした後、真空ポンプ
１１が停止した。その後、ブザー１６が鳴って調理の完
了を知らせるとともに、真空容器２内に空気が導入さ
れ、真空容器２内が大気圧に戻された。

【００３５】蓋３を開いて袋を取り出し、水で冷却した
後冷蔵庫に保存した。一週間後に冷蔵庫から袋を取り出
し、湯煎をした後、袋を開いて食したところ、十分に汁
が濃縮され、食感，味共に良好なビーフシチューを食す
ることができた。

【００３６】次に、図５は、真空引きしながら食品を加
熱する方法を実施するための真空加熱装置の一例を示す
ものである。

【００３７】この真空加熱装置は、上記実施例装置と同
様に、制御用の機器等を収納した基台７０と、該基台７
０上に設けられた真空容器７１とから構成されている。

【００３８】前記同様に、上記基台７０の内部には、真
空ポンプ７２，ドレン分離器７３等からなる真空排気系
と、制御部７４，トランス７５等を備えた電気回路系が
収納されており、基台７０の前面には、電源スイッチ，
スタートボタン，温度設定ボタン，加熱時間設定ボタン
等の各種操作スイッチ類や、温度，時間等を表示する表
示部を有する操作パネル７６が設けられている。

【００３９】また、真空容器７１の下部には、鍋等の容
器７７を載置可能なヒーター７８が設けられ、上部に
は、気密用のパッキング７９を介して蓋８０が設けられ
ている。

【００４０】この真空加熱装置は、通常の加熱用の容器
７７に食品材料を入れて真空容器７１内のヒーター７８
上にセットし、蓋８０を装着した後、操作パネル７６の
ボタン，スイッチ等を操作して加熱温度，加熱時間を設
定してスタートさせることにより、真空引きしながらの
加熱調理を行うことができる。

【００４１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明方法によれ
ば、真空容器内で真空引きしながら食品を加熱すること
により、汁の濃い煮込み料理を簡単な操作で、かつ短時
間で作ることができる。さらに、食品を収納した袋を真
空容器内で真空引きしながら加熱した後、前記袋の開口
部をシールすることにより、真空加熱調理から保存食品
の製造までを一つの器具で連続して行うことができ、簡
単な操作で真空加熱調理及び高温殺菌処理を行うことが
できる。

【００４２】また、本発明の真空加熱包装機は、真空排
気手段を備えた真空容器内にシール手段や加熱手段を収
納したので、従来複数の機器を必要としていた真空加熱
調理や高温殺菌処理を一つの器具で連続して行うことが
できるとともに、機器の小型軽量化が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の真空加熱包装機の一実施例を示す縦
断面図である。

【図２】 同じく斜視図である。

【図３】 シール手段部分の横断面図である。

【図４】 真空排気系の系統図である。

【図５】 真空引きしながら食品を加熱する真空加熱装
置の一例を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１，７０…基台 ２，７１…真空容器 ３…蓋
４…袋 １１，７２…真空ポンプ １０，７６…操
作パネル １３…制御部 ３０…袋保持手段
４０…シール手段 ４１…固定シールバー ４２…
可動シールバー ５０…加熱板 ７８…ヒーター

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 真空容器内で真空引きしながら食品を加
   熱することを特徴とする真空加熱調理方法。
2. 【請求項２】 食品を収納した袋を真空容器内に保持
   し、該真空容器内で真空引きしながら加熱した後、前記
   袋の開口部をシールすることを特徴とする真空加熱調理
   方法。
3. 【請求項３】 真空排気手段を備えた真空容器内に食品
   を収納した袋を保持する袋保持手段と、該袋の開口部を
   シールするシール手段とを設けるとともに、該真空容器
   内に加熱手段を設けたことを特徴とする真空加熱包装
   機。