JPH05112859A - 耐食性の優れた自動車排気系アルミめつきステンレス鋼 - Google Patents

耐食性の優れた自動車排気系アルミめつきステンレス鋼

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JPH05112859A
JPH05112859A JP9768791A JP9768791A JPH05112859A JP H05112859 A JPH05112859 A JP H05112859A JP 9768791 A JP9768791 A JP 9768791A JP 9768791 A JP9768791 A JP 9768791A JP H05112859 A JPH05112859 A JP H05112859A
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aluminum
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栄次 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、自動車排気ガス環境で使用される
ステンレス鋼の耐食性を向上するため素地合金成分とア
ルミめっきによって生成したアルミ合金層を有効に利用
することにより耐食性寿命を著しく向上した材料を提供
することにある。 【構成】 自動車排気系材料として、特に凝縮液の生成
する環境でのステンレス鋼の耐食寿命を改善するため、
これまでのクロム含有ステンレス鋼ではなく、素地成分
中にクロムとモリブデンを同時に含有させたステンレス
鋼をアルミめっき処理することにより、表面に生成した
アルミと合金成分との反応によって生成したアルミ合金
層を耐食性向上に利用したものである。本発明鋼は、溶
融アルミめっき工程を利用し、合金成分を適正添加する
ことによって耐食性の優れた安定した材料が製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車排気系の使用さ
れる外面および内面の凝縮液環境において優れた耐食性
を有するアルミめっきステンレス鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで自動車排気系マフラー材料に
は、普通鋼にアルミめっきを施したアルミめっき鋼板が
多く使用されてきたが、凝縮液環境では、アルミめっき
層のうち素地の鉄と反応して生成されたアルミめっき合
金層は素地鉄に対して電位的に貴となるため、防食効果
が充分ではなかった。また、外面からの腐食に対しても
充分ではなかった。
【0003】そこで、従来凝縮液環境ではアルミめっき
鋼板よりも、素地の耐食性を向上させたクロム含有鋼が
提案されてきた。例えば特開昭63−143240号公
報にはCr含有量5%〜10%を基本とする方法、及
び、特開昭63−143241号公報にはCr含有量5
%〜10%の合金鋼の表面を酸化処理して安定酸化物を
生成させて防止する方法が提案されている。また、マフ
ラーなどの外面からの腐食を防止する観点からアルミめ
っきの有効性が提案されている。こうした観点から先行
技術としてステンレス鋼(11%Cr)に溶融アルミを
施したステンレスアルミシートが実用化されている。し
かし、この場合のアルミめっき層(純アルミ層とアルミ
合金層)の防食機能は、凝縮液環境が自動車使用条件に
より環境のpHが低下すると、素地との間の防食電位
(通常アルミ、およびアルミ合金層は素地鋼に対して卑
な電位を有し、素地を防食するが)が逆転して防食効果
が損なわれる。このような問題は、クロム単独添加鋼で
特に顕著である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この欠点を
なくすため(1)ステンレス素材にCr,Moを添加す
ることにより、素材の耐食性を中性から酸性環境にいた
る環境領域でDepa−ssivation pHをよ
り低いpHに移行させることにより、アルミめっき層
(純アルミ層とアルミ合金層からなる)の異種金属接触
による防食機能を高めること。さらに(2)アルミめっ
きステンレス鋼の耐食性を素材中の合金元素と溶融アル
ミニウムとの反応の結果生成する合金層を積極的に利用
するため、意図的にステンレス素材中に合金成分である
Cr,Moを添加することにより、溶融アルミめっき中
に溶融したアルミがステンレス素地成分と反応して合金
層を形成し、この合金層は素地成分Cr,Moを含有
し、それ自身極めて良好な防食機能と耐食性を有するこ
とを知見した。
【0005】本発明はこのような知見に基づいて完成し
たものであり、自動車排気系の外面腐食、および凝縮液
による内面腐食に対して良好な耐食性を有するアルミめ
っきステンレス鋼を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の要旨とするところは、重量%で、C;0.
05%以下、Si;0.2%以下、Mn;1.0%以
下、Cr;10%〜20%、Mo;0.5%〜6.0
%、P;0.025%以下、S;0.010%以下、残
部Feおよび不可避不純物からなり、またはこれにN
b;0.5%以下、Ti;0.5%以下を含有するステ
ンレス鋼素材に溶融Alめっき処理によって80〜12
0ミクロン厚さのアルミめっき層が施されていることを
特徴とする耐食性の優れた自動車排気系アルミめっきス
テンレス鋼にある。
【0007】以下に本発明の成分を限定した理由を説明
する。 Cr;ステンレス鋼の耐食性を確保する基本的成分であ
り、Moとの組合せで10%〜20%とした。Mo;
0.5%以上で素地の全面腐食速度は、10%Cr単独
にくらべて5分の1以下になること、及び局部腐食性も
Moとの共存によって含有量は10%が必須であること
から、最低10%とした。また、上限は、ストレートC
r添加鋼では、製造性の制約から、及び耐全面腐食性、
耐局部腐食性の点から20%を上限とした。
【0008】Mo;Crと同様にステンレス鋼の耐食性
を確保する基本的成分であり、Crとの組合せで0.5
%〜6%の範囲に限定した。Cr添加鋼へのMo添加
は、硫酸イオン、塩化物イオンを含む環境でのステンレ
ス鋼の全面腐食性、局部腐食性をともに著しく抑制する
効果があり、、共存添加が極めて有効である。0.5%
未満では効果がなく、6%超では、製造性、経済性の点
から困難さが伴うため、上限を6%以下とした。
【0009】C;フェライト系ステンレス鋼の粒界腐
食、割れを防止するために0.05%以下とした。 Si;溶融Alめっきのめっき性を向上するため、Si
含有量は0.2%以下に抑える必要があるため、上限を
0.2%とした。 Mn;通常のステンレス鋼の製鋼条件として、1.0%
以下とした。 P;通常のステンレス鋼の製鋼条件として、0.025
%以下とした。 S;通常のステンレス鋼の製鋼条件として、0.010
%以下とした。
【0010】本発明は上記成分に加えて、選択的にNb
およびTiを添加する。 Nb;Alめっきステンレス鋼は溶接して使用される場
合もあり、溶接部の熱影響部の粒界腐食を防止するため
に必須である。Cに対して10倍程度必要なことから、
0.5%以下とした。 Ti;Nbと同様に、Alめっきステンレス鋼は溶接し
て使用される場合もあり、溶接部の熱影響部の粒界腐食
を防止するために必須である。Cに対して10倍程度必
要なことから、Nbと同様に0.5%以下とした。
【0011】本発明では、このような成分鋼に次の条件
でアルミめっきを行う。すなわち、溶融アルミめっき浴
(Al;88〜98%、Si;2〜12%)に上記ステ
ンレス鋼素材の鋼帯を連続的に浸漬処理を行い、適正め
っき厚さに制御する。
【0012】溶融アルミめっきステンレス鋼の防食機能
はアルミめっき層の厚さも有効に作用しているが、本発
明のように凝縮液環境ではアルミ層よりもアルミと素地
成分との反応によって生成したアルミ合金層の防食機能
を有効に利用するため、これを安定的に生成する条件と
して、最低アルミめっき厚さを80ミクロンとした。ま
た、アルミめっき厚さが120ミクロンを超えるとアル
ミめっき層、合金層が厚くなりすぎて加工性が損なわれ
るため120ミクロンとした。
【0013】
【実施例】表1に従来鋼と本発明のAlめっき鋼の耐食
性の比較結果を示した。それぞれの材料の帯状(1.2
mm厚さ、幅100mm)としてAlめっき浴に連続して浸
漬し、120ミクロン厚さに調製された試料を次の試験
により評価した。 (1)外面からの排気系材料の耐食性を乾湿繰り返し型
塩水噴霧試験(塩水噴霧4時間−乾燥2時間−湿潤2時
間・RH98%;1サイクル)により、300サイクル
後の試料表面の赤錆発生有無と腐食深さを判定した。 (2)排気系内面からの凝縮液による耐食性の評価を、
模擬凝縮液中での乾湿繰り返し100サイクル(試験片
を半浸漬状態に置き、沸騰状態で3時間、その後2時間
放置を1サイクルとした)後の腐食深さを評価した。 上記それぞれの試験においてAlめっき試料から、50
×70mmに加工して試験に供した。腐食深さは試験片表
面に観測された最大腐食深さによって評価した。
【0014】
【表1】
【0015】表1の評価結果から、Cr−Moをベース
としたステンレス素材をAlめっきすることにより、耐
食性に極めて優れたアルミめっきステンレス鋼をえるこ
とができた。本発明材料は、自動車排気系のみならず中
性から弱酸性環境までの広い範囲でその防食機能が発揮
される。
【0016】
【発明の効果】本発明鋼は、表1に示したように自動車
排気ガス環境における使用材料の寿命を改善するため合
金成分としてCr,Mo添加を基本とした鋼に溶融アル
ミめっき処理を施すことにより、表面層に生成したアル
ミ合金層を有効に利用した防食法である。本発明鋼は、
表1から明らかのように、外面からの赤錆特性、および
腐食深さは比較鋼にくらべ、いずれも優れた耐食性を示
していた。また、問題となる凝縮液環境での耐食性、す
なわち、局部腐食深さはいずれの本発明鋼も比較鋼に比
べ優れた耐食性を示した。このことから本発明鋼は、エ
ンジン排気ガスのような腐食性の厳しい環境において長
期にわたって優れた耐食性を有し、自動車部品の超寿命
化をはかる上で実用的に極めて有効である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C ;0.05%以下、 Si;0.2%以下、 Mn;1.0%以下、 Cr;10%〜20%、 Mo;0.5%〜6.0%、 P ;0.025%以下、 S ;0.010%以下、 残部Feおよび不可避不純物からなるステンレス鋼素材
    に、溶融Alめっき処理によって80〜120ミクロン
    厚さのAlめっき層が施されていることを特徴とする耐
    食性の優れた自動車排気系アルミめっきステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で C ;0.05%以下、 Si;0.2%以下、 Mn;1.0%以下、 Cr;10%〜20%、 Mo;0.5%〜6.0%、 P ;0.025%以下、 S ;0.010%以下、 Nb;0.5%以下、 Ti;0.5%以下 を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の耐食
    性の優れた自動車排気系アルミめっきステンレス鋼。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009017246A1 (ja) 2007-07-31 2009-02-05 Nisshin Steel Co., Ltd. 高温強度に優れた二輪車排ガス経路部材用Al系めっき鋼板および部材

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