JPH05112687A - 艶消し熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

艶消し熱可塑性樹脂組成物

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JPH05112687A
JPH05112687A JP29757591A JP29757591A JPH05112687A JP H05112687 A JPH05112687 A JP H05112687A JP 29757591 A JP29757591 A JP 29757591A JP 29757591 A JP29757591 A JP 29757591A JP H05112687 A JPH05112687 A JP H05112687A
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JP
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mol
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mole
residue
weight
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JP29757591A
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English (en)
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Terutaka Tanaka
輝隆 田中
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MONSANT KASEI KK
Original Assignee
MONSANT KASEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定割合のビニル芳香族化合物、マレイミド
系化合物および無水マレイン酸からなる共重合体、特定
割合のビニル芳香族化合物およびシアン化ビニル化合物
からなる共重合体、特定割合のゴム状弾性体にビニル芳
香族化合物およびシアン化ビニル化合物からなるマトリ
ックス樹脂をグラフト重合した共重合体に環状イミノエ
ーテル化合物を共重合したAS樹脂を特定量配合した艶
消し熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 本発明の樹脂組成物から得られる成形品は表
面が艶消しされ、しかも耐熱性および耐衝撃性に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は耐熱性および耐衝撃性
に優れ、表面が艶消しされ、例えば自動車内装部品用に
好適な熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン−無水マレイン酸共重合体(S
MA樹脂)はアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン
共重合体(AS樹脂)等と相溶性が良好であり、かつ熱
変形温度が高く、即ち耐熱性に優れていることが知られ
ている。このため、SMA樹脂にABS樹脂、AS樹脂
等をブレンドした組成物は、耐熱性に優れ、かつ耐溶剤
性の良好な成形品を提供するが、高温における安定性に
劣り、例えば230℃以上に加熱すると発泡や重量減等
を起すので、通常の射出成形材料として使用した場合、
商品価値の高い成形品を得ることが困難であった。
【0003】高温安定性の改良法として、SMA樹脂に
含まれる無水マレイン酸残基をイミド化し、マレイミド
にする方法が特公平2−42854号公報等に提案さ
れ、この方法によって高温安定性を有した耐熱、耐衝撃
性樹脂を得ることが可能となった。しかしながら、この
ような耐熱、耐衝撃性樹脂の主用途である自動車部品特
に自動車内装部品は、安全上の要求、および高級感指向
から、表面が艶消しであることが要望され、上記の耐
熱、耐衝撃性樹脂は艶が有りすぎるため、自動車内装部
品などの用途には不向きであった。
【0004】このため、上記耐熱、耐衝撃性樹脂に、金
属酸化物を添加するとか、さらには金属酸化物とビスア
ミド化合物を添加することにより艶消し樹脂を得る方法
が特開昭62−243651号、特開平2−19163
4号、特開平2−191657号の公報に提案されてい
る。しかし、この方法は艶消し剤として無機物を使用し
ているため、得られる樹脂の耐衝撃性が低下するという
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はマレイミド系
の耐熱、耐衝撃性樹脂の耐熱性、耐衝撃性などの特性を
低下させることなく、艶消しされた樹脂組成物を得るこ
とを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その発明の要旨とするところは
(A)ビニル芳香族化合物残基90〜50モル%、マレ
イミド系化合物残基10〜50モル%、無水マレイン酸
残基0.1〜20モル%およびこれらと共重合可能なビ
ニル化合物残基0〜30モル%の範囲内からなり、合計
で100モル%となるマレイミド系化合物含有共重合体
(これをA成分という)、(B)ビニル芳香族化合物残
基90〜40モル%、シアン化ビニル化合物残基10〜
60モル%およびこれらと共重合可能なビニル化合物残
基0〜30モル%の範囲内からなり、合計で100モル
%となる共重合体(これをB成分という)並びに(C)
ビニル芳香族化合物残基90〜40モル%、シアン化ビ
ニル化合物残基10〜60モル%およびこれらと共重合
可能なビニル化合物残基0〜30モル%の範囲内からな
り、合計で100モル%となるマトリックス樹脂90〜
30重量%が、ゴム状弾性体10〜70重量%にグラフ
ト共重合されてなるグラフト共重合体(これをC成分と
いう)からなる組成物であって、その合計量100重量
部につきA成分が5〜90重量部、B成分が0〜50重
量部、C成分が5〜90重量部の割合で含有される組成
物100重量部に、(D)環状イミノエーテル残基0.
1〜10モル%、アクリロニトリル残基10〜60モル
%およびスチレン残基90〜40モル%の範囲内からな
り、合計で100モル%となる共重合体(これをD成分
という)を0.05〜3重量部配合してなる艶消し熱可
塑性樹脂組成物に存する。
【0007】本発明組成物のA成分の共重合体のビニル
芳香族化合物残基となる化合物としては、スチレンが最
も一般的であるが、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、t−ブチルスチレン、ハロゲン化スチレン又は
これらの混合物を用いることができる。A成分における
ビニル芳香族化合物残基の含有量は90〜50モル%で
なければならない。この量が90モル%より多いと耐熱
性が損なわれ、一方50モル%より少ないと、そのA成
分は他の成分との相溶性に劣り、耐衝撃性の良好な組成
物とすることができない。
【0008】本発明組成物のA成分のマレイミド系化合
物残基となる化合物としては、N−フェニルマレイミド
が最も一般的であるが、マレイミド、N−アルキルマレ
イミド、N−芳香族誘導体マレイミド又はこれらの混合
物を用いることができる。A成分におけるマレイミド系
化合物残基の含有量は10〜50モル%の範囲内でなけ
ればならない。この量が10モル%より少ないと耐熱性
向上効果がなく、一方、50モル%より多いと、得られ
る樹脂組成物の成形性、特に流動性が著しく劣り、実用
的価値が損なわれる。
【0009】A成分の共重合体に含まれる無水マレイン
酸残基は0.1〜20モル%でなければならない。この
量が0.1モル%より少ないと、本発明組成物のD成分
の共重合体を含有させても、その組成物に艶消し効果が
充分発揮されず、また20モル%より多くなると得られ
る樹脂組成物の熱安定性が悪くなる。
【0010】A成分の共重合体に含まれる共重合可能な
ビニル化合物残基となる化合物としては、極性基を有す
るビニル単量体、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化
合物があげられる。A成分における上記の共重合可能な
ビニル化合物残基の含有量は0〜30モル%であり、こ
の量が30モル%より多いと、組成物成分との相溶性の
低下が起こり、良好な組成物が得られない。
【0011】上記A成分の共重合体を得るには、従来か
ら知られている一般的な方法に従って製造することがで
きる。例えば(1)共重合体の構成成分である各単量体
を混合して、溶液重合、塊状重合などにより共重合させ
る、(2)初めにビニル芳香族単量体、無水マレイン
酸、場合によってはこれらと共重合可能なビニル化合物
とを、それぞれ所定量組合わせて共重合体を製造し、次
いでこの共重合体にアニリン等を反応させて上記共重合
体に含まれる無水マレイン酸を所定量イミド化するなど
の方法を採ることができる。
【0012】次に本発明樹脂組成物を構成するB成分の
共重合体は、ビニル芳香族化合物残基90〜40モル
%、シアン化ビニル化合物残基10〜60モル%および
これらと共重合可能なビニル化合物残基0〜30モル%
からなる。このB成分は本発明の樹脂組成物の成形加工
時における流動性を向上させるものであり、このB成分
は上記A成分と相溶性を持っていることが肝要である。
【0013】上記B成分を構成るすシアン化ビニル化合
物残基としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等の残基があげられる。またB成分を構成するビニル
芳香族化合物残基となる化合物としては、上記A成分に
おける説明に例示したと同じものが使用される。更に、
これらと共重合可能なビニル化合物としては、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリ
ル酸エステルがあげられる。
【0014】上記B成分に含まれるビニル芳香族化合物
残基、シアン化ビニル化合物残基およびこれらと共重合
可能なビニル化合物残基の組成割合は上記の範囲内であ
ることがB成分とA成分との相溶性を確保するのに必要
である。上記の範囲外であるとA成分との相溶性が劣
り、本発明の樹脂組成物の性能、特に機械特性が低下す
るので好ましくない。B成分の共重合体は従来から知ら
れている一般的方法に従って製造することができる。例
えばAS樹脂製造技術として知られる回分式又は連続式
の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などから適
宜選択した方法による。また、B成分の製造はA成分の
共重合体の製造に連続して行なうブレンド法により行な
うことができる。
【0015】本発明組成物のC成分におけるシアン化ビ
ニル化合物残基となる化合物としては、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等があげられる。ビニル芳香族
化合物残基となる化合物としては、上記A成分の共重合
体について例示されたと同じものが用いられる。こられ
と共重合可能なビニル化合物残基となる化合物として
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル
酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
等のメタクリル酸エステルがあげられる。
【0016】C成分において、ゴム状弾性体の粒子にグ
ラフトするマトリックス樹脂はビニル芳香族化合物残基
90〜40モル%、シアン化ビニル化合物残基10〜6
0モル%およびこれらと共重合可能なビニル化合物残基
0〜30モル%からなるが、これら組成分が上記範囲内
にあることが、本発明組成物の他の成分との相溶性を確
保するのに必要であり、上記範囲外であると、他の成分
との相溶性が悪く、物性が低下する。
【0017】C成分のグラフト共重合体において、ビニ
ル芳香族化合物残基及びシアン化ビニル化合物残基(更
に必要に応じ、これらと共重合可能なビニル化合物残
基)からなるマトリックス樹脂をグラフトさせるゴム状
弾性体としては、ポリフタジエン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、
ブチルアクリレート、エチルアクリレート、ペンチルア
クリレート等のアクリル酸エステル系共重合体、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共
役ジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、塩素化ポリ
エチレンゴム等があげられる。通常、ABS樹脂、AA
S樹脂、AES樹脂、ACS樹脂と称せられるものが、
上記ゴム状弾性体から得られるグラフト共重合体に包含
される。
【0018】C成分中のゴム状弾性体粒子含有量は10
〜70重量%の範囲内とする。この含有量が10重量%
より少ないと、得られる組成物の耐衝撃性が低くなりす
ぎ、実用価値が低下する。一方、70重量%より多くな
ると、成分A、成分Bとの相溶性が悪くなって混練が困
難となり、良好な組成物が得られない。
【0019】本発明におけるC成分は、(1)ゴムラテ
ックスの存在下にビニル芳香族化合物、シアン化ビニル
化合物および必要に応じて、これらと共重合可能なビニ
ル化合物を加えて乳化重合する方法、(2)ビニル芳香
族化合物、シアン化ビニル化合物および必要に応じて、
これらと共重合体可能なビニル化合物に、ゴム弾性体を
溶解したものを塊状、又は塊状−懸濁重合する方法、
(3)トルエン、キシレンのような重合不活性な溶媒中
にゴム状弾性体を溶解し、ビニル芳香族化合物、シアン
化ビニル化合物および必要に応じて、これらと共重合可
能なビニル化合物を共重合する溶液重合による方法等に
より得ることができる。
【0020】本発明組成物のD成分における環状イミノ
エーテル残基は下記(1)の構造式で表わされるもので
ある。
【0021】
【化1】
【0022】上記(1)式において、R1 ,R2 ,R3
およびR4 は水素、炭素数1〜4個のアルキル基、又は
ベンゼン核等のアリール基であって、mおよびnは0〜
5の整数であり、m+n=1〜5の整数であり、R1
2 ,R3およびR4 は同一であっても異なっていても
よい。上記環状イミノエーテル基の中で好適なのはオキ
サゾリニル基〔上記(1)式において、mおよびnが1
であり、R1 ,R2 ,R3 およびR4 が水素であるも
の〕である。そして、オキサゾリニル残基を有するD成
分の共重合体を製造するに当って使用されるオキサゾリ
ン化合物としては、2−アルケニル−2−オキサゾリ
ン、具体的には2−イソプロペニル−2−オキサゾリ
ン、2−ビニル−2−オキサゾリンがあげられる。
【0023】本発明組成物のD成分において、スチレン
残基が90〜40モル%、アクリロニトリル残基が10
〜60モル%の範囲内で含まれていることは、他の成分
の重合体との相溶性を確保する上で必要である。上記の
範囲外であると、特にA成分の共重合体との相溶性が劣
り、本発明組成物の性能、特に機械物性が低下するので
好ましくない。そして、D成分におけるアクリロニトリ
ル残基/スチレン残基の組成比の値と上記A成分におけ
るシアン化ビニル化合物残基/ビニル芳香族化合物残基
の組成比の値とが著しくかけ離れるときは相溶性が不良
となり、物性低下のおそれがでてくるので、上記両者の
値は同一乃至近似のものとなるよう調整するのが好まし
い。
【0024】D成分である環状イミノエーテルを共重合
したアクリロニトリル−スチレン共重合体は、上記に具
体的に例示したようなアルケニル基を有する環状イミノ
エーテルとアクリロニトリルおよびスチレンとを回分式
又は連続式の乳化重合、懸濁重合、塊状重合などから適
宜選択された重合法によって製造される。
【0025】上記D成分における環状イミノエーテル残
基は、成分A中の無水マレイン酸残基と反応することに
より艶消し効果が生ずるものと考えられる。そしてD成
分における環状イミノエーテル残基の含有量は0.1〜
10モル%であることが必要である。この量が0.1モ
ル%より少ないと、反応が不充分で艶消し効果が充分発
揮されない。また10モル%より多いと、他の成分との
相溶性が劣り好ましくない。
【0026】本発明の組成物では、A成分、B成分およ
びC成分は、その合計量100重量部において、A成分
が5〜90重量部、B成分が0〜50重量部、C成分が
5〜90重量部の割合いになるよう配合する。この組成
比で配合を行なうことにより耐熱性と耐衝撃性のバラン
スのとれた組成物が得られる。
【0027】そして、D成分は、上記A成分、B成分お
よびC成分の合計量100重量部に対し0.05〜3重
量部の割合で配合される。この量が0.05重量部未満
であると艶消し効果が充分でなく、一方3重量部より多
くなると、著しく高粘度となったり、ゲル化したりする
ので好ましくない。上述のように、D成分における環状
イミノエーテル残基は、A成分の無水マレイン酸残基と
反応して艶消し効果を発揮すると考えられるので、この
作用面からみるときは、D成分の配合は、D成分中の環
状イミノエーテル基の当量が組成物におけるA成分中の
無水マレイン酸残基の当量よりも少なくなるように配合
するのが好ましいといえる。
【0028】本発明組成物を得るため、A〜D成分を混
練する場合にはバンバリーミキサー、加圧ニーダー等の
回分式混練機、又は単軸押出機、二軸押出機等の連続式
混練機が用いられる。混練は、A成分、B成分およびC
成分を予め混練し、これにD成分を添加して混練する方
法、全ての成分を一度に混練する方法、任意の成分で混
練を繰り返し、最終的に所望の組成にする方法など、任
意の方法を選んで行なうことができる。
【0029】本発明の樹脂組成物は、さらに、染料、顔
料等の着色剤、ガラス繊維、滑剤、帯電防止剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤などを加えることができる。そして
本発明の組成物は、射出成形法、押出成形法、真空成形
法、圧縮成形法等の通常の成形手段で成形することがで
きる。
【0030】
【実施例】
実施例1〜6および比較例1〜8 以下の実施例および比較例で用いられる各組成分は次の
ようにして製造されたものである。 (1)含マレイミド樹脂(A成分)およびAS樹脂(B
成分):300リットル重合缶に、スチレン69kgと
無水マレイン酸1.9kgを仕込み、攪拌下に窒素置換
しながら内温を95℃に昇温する。内温を95℃に保持
しつつ、この重合缶に、460分を要して無水マレイン
酸10kgを一定の速度で連続的に添加し、塊状重合に
よって重合反応を行なった。無水マレイン酸の連続添加
終了時の重合率は44重量%、生成した重合物中の無水
マレイン酸残基は31モル%であった。次いでこの重合
缶にアクリロニトリル21kgを、20分を要して添加
した後、攪拌下、窒素置換しながら内温を90℃にし、
更に20分間保持した。20分経過した時点で測定した
重合缶の未反応モノマー中の無水マレイン酸濃度は0.
1%以下であった。
【0031】この重合缶に、ポリビニルアルコール系懸
濁剤30g、ポリアクリル酸エステル系懸濁剤30gお
よび硫酸ナトリウム300gを含む水70gを加えて、
重合系を懸濁状態に転換する。この懸濁系を110℃に
昇温し、この温度で120分間ストリッピングを行った
後、アクリロニトリル8kgを添加する。その後、60
分を要して内温を150℃に昇温し、この温度で更に1
20分間のストリッピングを行なった。この系にアニリ
ン9kgおよび25%アンモニウム2kgを加えて15
5℃の温度で60分間保持し、共重合体の無水マレイン
酸残基をイミド化するための反応を行った。
【0032】得られた重合体は、分析の結果、N−フェ
ニルマレイミド残基27モル%、マレイミド残基2モル
%、無水マレイン酸残基2モル%およびスチレン残基6
9モル%からなる共重合体(A成分)76重量%と、ア
クリロニトリル残基41モル%およびスチレン残基59
モル%からなる共重合体(B成分)24重量%との混合
物であった。この混合物を実施例および比較例で使用し
たが、後記実施例および比較例に係わる表1及び表2で
は、混合比に応じて、それぞれの使用量を分けて記載し
た。また、これら表では、A成分を含マレイミド樹脂、
B成分をAS樹脂と表示する。
【0033】(2)ゴム成分含有AS樹脂(C成分):
C成分としては次の2種類の樹脂を用いた。 (イ)スチレン残基55モル%およびアクリロニトリル
残基45モル%からなるマトリックス樹脂77重量%を
スチレン−ブタジエンゴム粒子23重量%にグラフト共
重合してなるグラフト共重合体。
【0034】(ロ)スチレン残基55モル%およびアク
リロニトリル残基45モル%からなるマトリックス樹脂
85重量%をエチレンプロピレンゴム15重量%にグラ
フト共重合してなるグラフト共重合体。なお、下記表1
および表2では上記(イ)のC成分をABS樹脂、上記
(ロ)の樹脂をAES樹脂と略記する。
【0035】(3)オキサゾリニル基含有AS樹脂(D
成分):オキサゾリン化合物として2−ビニル−2−オ
キサゾリンを用い、アクリロニトリルおよびスチレンと
共重合した共重合体を使用した。このものはオキサゾリ
ニル残基4.4モル%、スチレン残基56.6モル%お
よびアクリロニトニル残基39.0モル%よりなり、G
PC(ポリスチレン換算)による数平均分子量が5万、
重量平均分子量が15万であった。このものを下記表1
および2ではオキサゾリニル基含有ASと略記する。
【0036】実施例1〜6および比較例1〜8では、上
記の各組成分を表1および2に示す割合(単位は重量
部)で使用し、それぞれタンブラーで混合し、この混合
物を二軸押出機で混練しペレット化した。なお、比較例
4では、艶消し剤として酸化マグネシウムを配合した。
得られた樹脂組成物からテストピースおよび平板を成形
し、テストピースについてアイゾット衝撃強さおよび荷
重たわみ温度を測定し、平板について光沢を測定した。
【0037】上記諸物性は次の方法に従って測定した。
即ちアイゾット衝撃強さはJISK−7110に従い、
その強さの単位はkg−cm/cmである。この物性を
下記表では単に衝撃強さと略記する。荷重たわみ温度は
JIS K−7207に従い、単位は℃である。この物
性を下記表では単にたわみ温度と記す。光沢はJIS
K−7105に従って測定し、その単位は%である。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】上記表1および2から次のことが明らかで
ある。即ち比較例1,2,3および8はオキサゾリニル
基含有ASが存在しない組成物であり、艶消し効果がな
い。比較例4は酸化マグネシウムを艶消し剤に用いたも
のであり、艶消し効果は良好であるが、耐衝撃性の低下
が著しい。比較例5はオキサゾリニル基含有ASの配合
割合が少なすぎるため、艶消し効果が不充分である。
【0041】比較例6はオキサゾリニル基含有ASの配
合割合が大きすぎ、このため流動性が著しく低下し、良
好な成形品が得られず、従って物性測定も行なわなかっ
た。比較例7は含マレイミド樹脂(A成分)が含まれて
おらず、荷重たわみ温度が低く、艶消し効果が充分でな
い。一方、本発明実施例によるものは、良好な艶消し効
果が得られ、その他の物性も良好である。
【0042】
【発明の効果】 (1)本発明の樹脂組成物から得られる成形品は、表面
が艶消しされ、しかも耐熱性、耐衝撃性に優れている。 (2)本発明の樹脂組成物から得られる成形品は表面に
艶むらがなく、外観が良好である。 (3)本発明の樹脂組成物は、無機充填剤の添加によっ
て艶消し加工されたものに比べ、機械物性、特に耐衝撃
性の低下がなく、良好な性能を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 35/06 LJW 7921−4J 51/04 LKY 7142−4J 55/02 LME 7142−4J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ビニル芳香族化合物残基90〜5
    0モル%、マレイミド系化合物残基10〜50モル%、
    無水マレイン酸残基0.1〜20モル%およびこれらと
    共重合可能なビニル化合物残基0〜30モル%の範囲内
    からなり、合計で100モル%となるマレイミド系化合
    物含有共重合体(これをA成分という)、 (B)ビニル芳香族化合物残基90〜40モル%、シア
    ン化ビニル化合物残基10〜60モル%およびこれらと
    共重合可能なビニル化合物残基0〜30モル%の範囲内
    からなり、合計で100モル%となる共重合体(これを
    B成分という)並びに (C)ビニル芳香族化合物残基90〜40モル%、シア
    ン化ビニル化合物残基10〜60モル%およびこれらと
    共重合可能なビニル化合物残基0〜30モル%の範囲内
    からなり、合計で100モル%となるマトリックス樹脂
    90〜30重量%が、ゴム状弾性体10〜70重量%に
    グラフト共重合されてなるグラフト共重合体(これをC
    成分という)からなる組成物であって、その合計量10
    0重量部につきA成分が5〜90重量部、B成分が0〜
    50重量部、C成分が5〜90重量部の割合で含有され
    る組成物100重量部に、 (D)環状イミノエーテル残基0.1〜10モル%、ア
    クリロニトリル残基10〜60モル%およびスチレン残
    基90〜40モル%の範囲内からなり、合計で100モ
    ル%となる共重合体(これをD成分という)を0.05
    〜3重量部配合してなる艶消し熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 環状イミノエーテル残基がオキサゾリニ
    ル残基である請求項1記載の艶消し熱可塑性樹脂組成
    物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008521996A (ja) * 2004-12-02 2008-06-26 チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド 低線膨脹性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂組成物

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