JPH05112599A - Wf11243物質、その製法及び生物学的利用 - Google Patents

Wf11243物質、その製法及び生物学的利用

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JPH05112599A
JPH05112599A JP3299552A JP29955291A JPH05112599A JP H05112599 A JPH05112599 A JP H05112599A JP 3299552 A JP3299552 A JP 3299552A JP 29955291 A JP29955291 A JP 29955291A JP H05112599 A JPH05112599 A JP H05112599A
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Akihiko Fujie
江 昭 彦 藤
Shigehiro Takase
瀬 茂 弘 高
Michio Yamashita
下 道 雄 山
Tomoko Nakanishi
西 智 子 中
Masaharu Hashimoto
本 正 治 橋
Masakuni Okuhara
原 正 国 奥
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 化1で示されるポリペプチド化合物(I)。 【化1】 【効果】 この物質は、すぐれた抗真菌作用と抗原虫作
用とを併有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、WF11243物質ま
たはその塩、それらの製法及び用途に関するものであ
る。WF11243物質は、微生物、特にかびの培養物
から分離採取された従来未知の新規物質であり、すぐれ
た抗真菌性及び抗原虫性を示し、真菌及び原虫に由来す
る各種害作用の軽減ないし防止、各種疾病の予防、治療
剤等各種医薬として有用であって、カリニ肺炎の予防、
治療にも非常に有用である。
【0002】したがって本発明は、医薬品、化粧品、飲
食品等各種技術分野において重要な役割を果すものであ
る。
【0003】
【従来の技術】従来より、微生物の培養物からあるいは
化学合成により各種の抗真菌剤が製造されている。これ
らの抗真菌剤としては、すぐれたものもいくつかは認め
られるが、薬効のほかに耐性菌の出現、安全性の問題等
各種の問題点があり、これをすべて完全に解消して満足
しうるものとした抗真菌剤はないのが現状である。
【0004】また最近になって原虫による疾患、特にニ
ューモシスティス カリニ(Pneumocystis
carinii)によってひき起される各種疾患、例
えばカリニ肺炎がクローズアップされ、その予防、治療
法の開発も当業界において強く求められている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】本発明は、上記した技術の現
状に鑑みてなされたものであって、カリニ肺炎その他の
疾患をひき起す病原性微小体であるニューモシスティス
カリニその他原虫類の生育阻害、殺滅に有効な新しい
抗原虫剤のほか、更に、各種の真菌の生育阻害、殺滅に
も有効な従来未知のすぐれた新しい抗真菌剤を開発する
目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に各方面から検討した結果、本発明者らは、安全性の面
から天然物に着目し、微生物の発酵生産物に注目するに
至り、各種微生物を検索した結果、京都府と綾部市で採
取した落葉サンプルから新たに分離したかび・No.1
1243株が培養液中に目的物質を蓄積することを発見
した。そして更にこの物質についてその理化学的性質を
詳細に研究したところ、従来未知の新規物質であること
を確認し、この物質を新たにWF11243物質と命名
し、そして更に研究の結果、その工業的製法を確立し、
本発明を完成するに至った。
【0007】本発明に係るWF11243物質は、下記
表2〜表5に示される理化学的性質を有する新規物質で
ある。
【0008】
【表2】
【0009】
【表3】
【0010】
【表4】
【0011】
【表5】
【0012】また、本発明に係るWF11243物質
は、上記した理化学的性質からみてポリペプチドの性状
を示しているが、その構造決定を試みた結果それに成功
し、下記化2において式(I)で示される推定化学構造
式を得た。
【0013】
【化2】
【0014】本発明に係るWF11243物質は、例え
ば、本発明者らが京都府綾部市で採取した落葉サンプル
から新たに分離した微生物No.11243株によって
生産されるほか、ペプチド合成等化学合成法によっても
製造することができる。
【0015】このNo.11243株は、各種培地上で
抑制的に拡がり、淡オレンジ色の集落を形成する。以下
にNo.11243株の菌学的性質を示す。
【0016】各種培地上での培養性状を下記の表6、表
7に示した。麦芽抽出寒天培地の中心に接種し、25℃
で14日間培養した時の生育はきわめて抑制的で、真径
0.5−1.0cmに拡がった。集落の表面は隆起し、
淡オレンジ色であった。また、無色の粘性の浸出液を生
産した。集落裏面は灰色味オレンジ色であった。アナモ
ルフを生じた。同様の培養をポテト・デキストロース寒
天培地上で行った時は、生育はきわめて抑制的であった
(直径0.5−1.0cm)。集落表面は隆起し、放射
状の溝を生じ、淡オレンジ色であった。また、無色の粘
性の浸出液を生産した。集落裏面は淡黄色であった。ア
ナモルフを生じた。
【0017】
【表6】
【0018】
【表7】
【0019】No.11243株は7−29℃で生育可
能で、最適生育温度は22−26℃である(ポテト・デ
キストロース寒天培地上で測定した)。
【0020】これらの性質を総合的に検討した結果、こ
のNo.11243株を、かびに属するものと同定して
No.11243株と命名し、これを通産省工業技術院
微生物工業技術研究所に寄託した(受託番号 FERM
BP−3373寄託日:1991年4月23日)。
【0021】WF11243物質の生産は、単に説明を
目的として挙げただけの本明細書記載の特定の微生物の
使用に限定されるものではないことを理解すべきであ
る。この発明は、記載の微生物からX線照射、紫外線照
射、N−メチル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジ
ン、2−アミノプリン等の変異処理により取得できる人
工変異株並びに自然変異株を含めてWF11243物質
を生産しうる全ての変異株の使用をも包含するものであ
る。
【0022】本発明に係るWF11243物質は、かび
に属する該物質生産菌(例えばNo.11243株)を
資化しうる炭素及び窒素源を含む栄養培地中に接種し、
好気条件下で培養することにより(例えば、振とう培
養、通気撹拌培養等)、生産せしめることができる。
【0023】炭素源としては、グルコース、シュークロ
ース、澱粉、変性澱粉、フラクトース、グリセリンその
他の炭水化物を使用するのが好ましい。
【0024】窒素源としては、オートミール、酵素エキ
ス、ペプトン、グルテンミール、綿実粉、綿実油粕、大
豆粉、コーンスティープリカー、乾燥酵母、小麦胚芽、
落花生粉、チキン骨肉ミール等を使用するのが好ましい
が、アンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、硫酸
アンモニウム、リン酸アンモニウム等)尿素、アミノ酸
等の無機及び有機の窒素化合物も有利に使用することが
できる。
【0025】これらの炭素源及び窒素源は、併用するの
が有利であるが、純粋なものを必らずしも使用する必要
はない。不純なものには、生長因子や微量要素が含まれ
ている場合などもあり、有利な場合があるからである。
【0026】必要ある場合には、例えば次のような無機
塩類を培地に添加してもよい:炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリ
ウム、マグネシウム塩、銅塩、コバルト塩等。
【0027】特に、培地が強く発泡するのであれば、必
要あるときに、液体パラフィン、動物油、植物油、鉱物
油、シリコン等を添加してもよい。
【0028】目的物質を大量に工業生産するには、他の
発酵生産物の場合と同様に、通気撹拌培養するのが好ま
しい。少量生産の場合は、フラスコを用いる振とう培養
が好適である。
【0029】また、培養を大きなタンクで行う場合、W
F11243物質の生産工程において菌の生育遅延を防
止するため、はじめに比較的少量の培地に生産菌を接種
培養した後、次に培養物を大きな生産タンクに移してそ
こで生産培養するのが好ましい。この場合、前培養に使
用する培地及び生産培養に使用する培地の組成は、両者
ともに同一であってもよいし必要あれば両者を変えても
よい。
【0030】培養は通気撹拌条件で行うのが好ましく、
例えばプロペラやその他機械による撹拌、ファーメンタ
ーの回転または振とう、ポンプ処理、空気の吹込み等既
知の方法が適宜使用される。通気用の空気は滅菌したも
のを用いる。
【0031】培養温度は、本WF11243物質生産菌
が本物質を生産する範囲内で適宜変更しうるが、通常は
1〜40℃、好ましくは14〜36℃で培養するのがよ
い。培養時間は、培養条件や培養量によっても異なるが
通常は約1日〜1週間である。
【0032】発酵終了後、培養物から目的とするWF1
1243物質を回収する。すなわち、菌体は、直接水及
び/又は有機溶媒による抽出、あるいは、これを機械的
に又は超音波等既知の手段を用いて破壊した後、水及び
/又は有機溶媒で抽出した後、常法にしたがって回収、
精製する。培養液の場合は、直接、常法にしたがって回
収、精製すればよい。
【0033】回収、精製方法としては、例えば、水、有
機溶媒、これらの混合溶媒による溶媒抽出;クロマトグ
ラフィー;単一溶媒又は混合溶媒からの再結晶等常法が
適宜単独であるいは組合わせて使用できる。
【0034】WF11243物質の回収、精製は上記の
ように既知の方法を適宜利用して行うが、例えば次のよ
うにしてもよい。培養物をアセトン水で抽出し、中性で
中性吸着樹脂〔例えばHP−20(三菱化成社製)〕に
吸着させ、酸性化アセトン水で溶出し、濃縮し、さらに
酢酸エチルで洗滌した後、ブタノールで抽出し、必要に
応じて中性吸着樹脂による脱着を繰り返し精製する。W
F11243物質は両性物質であり、塩基または酸と反
応して塩を形成することができる。WF11243物質
は遊離の状態(WF11243物質自体)でも回収、精
製することができるし、またそれらの塩としても回収、
精製できる。また、これらは常法により相互に変換する
こともできる。WF11243物質の塩基との塩として
はナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カ
ルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土金属塩など
が挙げられ、酸との塩としては、塩酸塩、硫酸塩等の酸
付加塩が挙げられる。
【0035】この発明の製剤は、有効成分としてWF1
1243物質及び/又はその塩類を直腸投与、経肺(経
鼻ないしバッカル吸入)、点鼻、点眼、外用(局所)、
経口はた非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)な
どの投与または吸入に適した有機あるいは無機担体また
は賦形剤と共に含有する固形、半固形あるいは液状の製
剤の形で用いることができる。有効成分は例えば、錠
剤、ペレット剤、トローチ、カプセル剤、坐剤、クリー
ム剤、軟膏剤、エアゾール剤、吸入用粉末薬、液剤、乳
剤、懸濁剤、その他使用に適した剤形に用いられる慣用
の無毒性の医薬として許容される担体と共に配合するこ
とができる。さらに、必要に応じて補助剤、安定化剤、
粘稠化剤、着色剤および香料を使用することができる。
WF11243物質及び/又はその塩類は疾患の経過ま
たは状態に所望の治療効果を生じるに足りる量を制剤に
含有させればよい。
【0036】この製剤をヒトに適用する場合、静脈内、
筋肉内または経口投与によるのが好ましい。有効成分の
治療有効量は治療される各患者の年令および条件によっ
て変動するが、一般に有効成分を、静脈内投与の場合に
はヒトの体重1kg当り1日量0.01−20mg、筋
肉内投与の場合にはヒト体重1kg当り1日量0.1−
20mg、経口投与の場合にはヒト体重1kg当り1月
量0.5−50mgで感染症の治療または予防のために
投与することができる。
【0037】本発明に係るWF11243物質及び/又
はその塩は、各種の真菌類感染症の予防及び/又は治療
に広く有効であるが、各種の原虫による疾患の予防及び
/又は治療にも広く有効であって、カリニ肺炎その他ニ
ューモシスティスカリニ感染症の予防及び/又は治療に
も特に有用であるが、ニューモシスティスカリニ感染の
治療または予防に当たっては、特に以下の点に留意する
べきである。
【0038】吸入による投与に対して本発明の化合物
は、圧力容器または噴霧器からエーロゾル噴霧の形態で
供給することが便利である。化合物はまた処方すること
ができる粉末として供給することもでき、この粉末組成
物は通気粉末吸入装置によって吸入させることができ
る。吸入に好ましい供給系は計量された服用量吸入エー
ロゾルであり、これは適当な推進薬例えばフルオロカー
ボンまたはヒドロカーボン中化合物の懸濁液または溶液
として処方することができる。
【0039】肺及び気管支に直接治療することがが望ま
しいため、エーロゾル投与が好ましい投与方法である。
通気法もまた特に感染が耳や他の体腔に広がってしまう
場合に望ましい方法である。
【0040】また、非経口投与は静脈内滴注投与を用い
て使用することもできる。
【0041】以下、本発明を実施例について更に詳しく
説明する。
【0042】
【実施例1】
【0043】
【(1)WF11243物質の発酵生産】シュークロー
ス4%、綿実油粕2%、乾燥酵母1%、ペプトン1%、
KH2PO4 0.2%、CaCO3 0.2%、ツィー
ン(Tween)80 0.1%からなる前培養培地を
500ml容エルレンマイヤーフラスコに160mlず
つ分注し、121℃で30分間滅菌した。この各々の培
地にNo.11243株(FERM BP−3373)
の斜面培養物を1白金耳ずつ接種し、25℃で4日間振
とう培養した。
【0044】次に、変性澱粉2%、グルコース0.5
%、綿実油粕1%、グルテンミール1%、KH2PO4
2%、Na2HPO4・12H2O 1.5%、ZnSO4
・7H2O 0.001%、アデカノールLG−109
(旭電化社製)0.025%、シリコンKM70(信越
化学工業社製)0.025%からなる本培養培地を調製
しておき、この本培養地20lを30l容ジャーファー
メンターに注入した。これを121℃で30分間滅菌し
た後、先に得た前培養物を2%接種し、25℃で4日間
培養した。撹拌は200rpm、通気量は20l/分で
行った。培養物中のWF11243物質の量はHPLC
〔カラム:Hibar LiChrosper 100
RP18(Merck社製);溶媒:0.5%NH42
PO4を含む50%アセトニトリル水;検出:UV 2
10nm;流速:1ml/分〕で定量した。検定サンプ
ルは、培養液に等量のアセトンを添加し、濾過した後、
適量まで濃縮したものを用いた。
【0045】
【(2)WF11243物質の抽出、精製】上記の培養
方法で得られた培養物75lに等量のアセトンを加え時
々撹拌しながら室温で、一晩放置後、ろ過することで培
養抽出物を得た。その抽出液に水65lを加え、そのp
Hを6N NaOHでpH6.5に修正後、6.5lの
HP−20(三菱化成社製)に付した。35lの水、4
0%アセトン水27lでカラムを洗浄した後、最終濃度
として0.002NのHClを含む80%アセトン水4
8lで目的物質を溶出した。
【0046】なお、精製は、Candida albi
cansに対する抗菌力、また、HPLC〔カラム:Y
MC Packed Column AM−303(S
−5、120A、ODS)YMC Co.,LTD〕;
移動層:0.5%NH42PO4を含む45%アセトニ
トリル水;検出:UV 210nm;流速:1ml/m
in;リテンションタイム(RT):10.9分〕を指
標に行った。
【0047】上記で得た溶出液を、減圧下で1.9lま
で濃縮し、pHを6.0に修正後、2倍量の酢酸エチル
で洗浄した。次にブタノール1.9lで活性成分を抽出
し、減圧濃縮後、水1lで置換した。その水溶液のpH
を1N HClで3.0に修正後、再度、酢酸エチル1
lでその水溶液を洗浄、次いで、ブタノール1lで活性
成分を抽出した。その有機溶媒層を1%重曹水1lおよ
びpH4の塩酸水1lで洗浄した後、その有機溶媒層を
減圧濃縮した。次にその残渣を50%アセトニトリル水
3.0lで溶解し、1.3lのHP−20のカラムに付
した。カラムを水3.5l、50%メタノール水3.5
l、80%メタノール水3.5lメタノール3.8lで
洗浄した後、最終濃度として0.002NのHClを含
む80%アセトン水2.7lで活性成分を溶出した。次
にその溶出液を減圧濃縮し、その残渣を20%メタノー
ル水5lで溶解後、逆相系担体(YMC・Gel,OD
S−AM,120−S50、YMC Co.,LTD
製)のカラム(500ml)に付した。カラムは予め
0.5%NH42PO4を含む20%アセトニトリル水
で平衡化し、目的物質を含む溶液をチャージ後、0.5
%NH42PO4を含む30%アセトニトリル水1l、
同35%アセトニトル水、1l、同40%アセトニトリ
ル水1lで洗浄、同45%アセトニトリル水、2lで目
的物質を溶出した。
【0048】溶出活性画分280mlを等量の水で希釈
後、再度、逆相系担体(YMC・Gel,ODS−A
M,120−S50)のカラム(180ml)に付し、
0.5%NH42PO4を含む30%アセトニトリル水
0.41、同35%アセトニトリル水0.4l、同40
%アセトニトリ水0.4lでカラムを洗浄後、同43%
アセトニトリル水で展開し、目的物質を溶出した。この
溶出活性画分55mlを等量の水で希釈し、40mlの
HP−20のカラムに付した。このカラムを水180m
lを等量の水で希釈し、40mlのHP−20のカラム
に付した。このカラムを水180mlで洗浄後、最終濃
度として0.002NのHClを含む80%アセトン水
100ml目的物質を溶出した。この溶出液を減圧濃縮
し、アセトンを除去後、凍結乾燥することにより、WF
11243物質の塩酸塩(FR901469物質と称す
る)の白色粉末を72mg得た。
【0049】
【(3)FR901469物質の物理化学的性質】この
ようにして得られたFR901469物質の物理化学的
性質は、表2〜表5に示したとおりである。なお、アミ
ノ酸分析は次のようにして行った。まず、FR9014
69物質1mgを、6N HCl(1ml)を用いて封
管中110℃で20時間加水分解した。加水分解終了
後、反応混合物を蒸発乾固し、これをアミノ酸分析器
(Hitachi 835 Automatic Am
ino−Acid Analyzer)により分析し
た。その結果は、Thr(4)、Gly(1)、Ala
(1)、Val(1)、Tyr(1)、Orn(1)で
あった。そしてその化学構造は、式(I)のように決定
された。
【0050】
【実施例2:FR901469物質の生物学的性質】
【0051】
【(1)抗菌力】FR901469物質の抗菌作用を下
記の96ウェルマルチトレーを使用するマイクロブロス
慣釈法常法により測定した。
【0052】斜面培地で培養した菌より、イーストナイ
トロジェンベースデキストロース(YNBD)培地で試
験菌懸濁液(生菌数2×105個/ml)を調製した。
FR901469物質のYNBD中連続2倍希釈列を作
り各ウェルに100μlずつ加えた。さらに各ウェルに
試験菌懸濁液を100μlずつ加えた後、37℃で24
時間(Candida及びAspergillus属)
又は48時間(Cryptococcus属)培養し
た。培養終了後各ウェルの濁度を測定し、薬剤無添加ウ
ェルの1/2の濁度を示すウェルの薬剤濃度を50%増
殖阻止濃度(IC50)として表わした。結果を下記の表
8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】
【(3)実験マウス感染におけるCand
ida albicansに対するFR901469物
質の感染防御効果】FR901469物質の抗真菌剤と
しての生体での有効性を下記の方法で明らかにした。
【0055】試験動物は、生後4週令、体重18〜21
gのICR系雌マウスを用い、1群が5匹よりなる。生
理食塩水に懸濁したCandida albicans
FP633を、1匹当たり2×106個の生菌数にな
るように、マウスの側尾静脈に注射することにより感染
させた。感染1時間後、FR901469物質の生理食
塩水溶液を皮下注射によりマウスに投与した。この皮下
注射をさらに感染翌日から1日1回、3日間繰り返し
た。感染後14日目のマウスの生存匹数を観察し、得ら
れた結果を下記の表9に示す。
【0056】
【表9】
【0057】
【(4)毒性試験】生後5週令のICR系雌マウス5匹
に、FR901469物質を100mg/kgの投与量
で毎日1回、3日間連続腹腔内注射したが死亡例はな
く、体重増加も無投与マウス群と全く同じであり、WF
11243物質の安全性の高さが確認された。
【0058】
【実施例3:注射剤の製造】 (1)実施例1で製造したFR901469物質 5g (2)食 塩 9g (3)炭酸水素ナトリウム 1g
【0059】(1)〜(4)の全成分を蒸留水100m
lに溶解した後、アンプルに1mlずつ分注して、注射
剤1000本を製造した。
【0060】
【実施例4:吸入エーロゾル剤の製造】式(I)で示さ
れる化合物2重量%、エタノール33重量%、プロペラ
ント(プロパン:イソブタン=70:30混合物)65
重量%を、バルブ装着耐圧容器に充填して吸入エーロゾ
ル剤を製造した。
【0061】
【発明の効果】本発明は、WF11243物質を提供す
るものであるが、この物質は従来未知の新規薬理活性物
質であって、すぐれた抗真菌及び抗原虫作用を示し、医
薬品、化粧品、工業薬品、飲食品の各技術分野において
真菌及び原虫の生育防止ないし抑制、死滅にきわめて有
用である。本発明に係る物質は、このようにすぐれた抗
真菌作用を有すると同時に抗原虫作用も併有する点で特
徴的であり、後者については例えばカリニ肺炎の予防、
治療にも著効がある点で特に特徴的である。
【0062】また本発明に係る有効成分の構造を明らか
にされたので、微生物による工業的製造のほかに有機合
成による製造も可能となり、その結果各種誘導体の製造
も可能となるので、新規化合物の製造及び新規用途の開
発もおおいに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FR901469物質の13C核磁気共鳴スペ
クトルを示す図面である。
【図2】FR901469物質の1H核磁気共鳴スペク
トルを示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12N 1/14 A 7236−4B (C12P 21/02 C12R 1:645) (C12N 1/14 C12R 1:645) C07K 99:00 (72)発明者 橋 本 正 治 茨城県つくば市梅園 2−15−3 (72)発明者 奥 原 正 国 茨城県つくば市梅園 2−14−10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その塩酸塩が下記表1に示される物性を
    有することを特徴とするWF11243物質またはその
    塩。 【表1】
  2. 【請求項2】 下記化1に示される化学式を有するWF
    11243物質またはその塩。 【化1】
  3. 【請求項3】 WF11243物質生産菌を培養してW
    F11243物質を生成せしめ、これを採取することを
    特徴とするWF11243物質またはその塩の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 WF11243物質生産菌が、No.1
    1243株であることを特徴とする請求項3の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 WF11243物質またはその塩を有効
    成分とする抗真菌剤。
  6. 【請求項6】 WF11243物質またはその塩を有効
    成分とする抗原虫剤。
  7. 【請求項7】 原虫がニューモシスティス カリニ(P
    neumocystiscarinii)であることを
    特徴とする請求項6記載の抗原虫剤。
JP3299552A 1991-05-09 1991-10-21 Wf11243物質、その製法及び生物学的利用 Pending JPH05112599A (ja)

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