JPH05111988A - 複合配向ポリエステルフイルム - Google Patents

複合配向ポリエステルフイルム

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JPH05111988A
JPH05111988A JP3274329A JP27432991A JPH05111988A JP H05111988 A JPH05111988 A JP H05111988A JP 3274329 A JP3274329 A JP 3274329A JP 27432991 A JP27432991 A JP 27432991A JP H05111988 A JPH05111988 A JP H05111988A
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JP
Japan
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film
layer
oriented polyester
resin constituting
particles
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Withdrawn
Application number
JP3274329A
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English (en)
Inventor
Yasushi Sasaki
靖 佐々木
Toshitake Suzuki
利武 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Magphane KK
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Nippon Magphane KK
Toyobo Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Magphane KK, Toyobo Co Ltd filed Critical Nippon Magphane KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行性および耐摩耗性に優れ、フィルムをス
リットする際のバリ、ヒゲおよび粉の発生がないフィル
ムを提供する。 【構成】 複数層を有する複合配向ポリエステルフィル
ムである。このフィルムは、最外層の少なくとも一方
(A層)を構成する樹脂中に、実質的に突起を形成し得
る能力を有する粒子不活性粒子が含有されず、かつA層
に隣接する層(B層)を構成する樹脂中に、実質的に突
起を形成し得る能力を有する粒子が含有される。そし
て、A層を構成する樹脂の極限粘度が0.65以上、A
層以外の層を構成する樹脂の極限粘度がいずれも0.6
未満である。さらにA層の厚さ(Ta)とフィルム全体
の厚さ(Tf)の関係は Ta<(1/5)Tf である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合配向ポリエステル
フィルムに関し、より詳しくは、磁気記録用、包装用と
して好適な複合配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは、その物理的・化学的性
質により磁気記録用材料、特に磁気テープ用ベースフィ
ルム材料として好適に使用されている。最近では、磁気
テープ製造工程の高速化に伴い、磁気テープ製造工程中
のカレンダ加工工程における耐摩耗性に一層優れたフィ
ルムが要求されている。カレンダ工程とは、磁性層が形
成されたフィルムの磁性層表面を平滑にする工程であ
る。このカレンダ工程では、極めて高圧力が加わるロー
ル間を、このフィルムが通過するため、一般にフィルム
の表面の磁性層が形成されていない面の表面の突起が削
り落とされて、摩耗粉が発生する。このような削れを防
止する方法して、例えば、特開昭60−195727号
公報にベースフィルムの結晶化度を小さくする方法が開
示されている。しかし、この方法では、磁性層形成後の
ベースフィルムを所定幅にスリットして磁気テープに加
工する際に、ベースフィルムの切断面からの、いわゆ
る、バリやヒゲの発生が著しくなり、かつ粉が生じるた
め得られる磁気テープにドロップアウトが頻発するとい
う問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の点を
解決しようとするもので、その目的は、耐摩耗性に優
れ、フィルムをスリットする際のバリ、ヒゲおよび粉の
発生がないフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の複合配向ポリエ
ステルフィルムは、複数層を有する複合配向ポリエステ
ルフィルムであって、最外層の少なくとも一方の層(A
層)を構成する樹脂中に、実質的に突起を形成し得る能
力を有する粒子が含有されず、該A層に隣接する層(B
層)を構成する樹脂中には、実質的に突起を形成し得る
能力を有する粒子が含有され、該A層を構成する樹脂の
極限粘度が0.65以上、および該A層以外の層を構成
する樹脂の極限粘度がいずれも0.6未満であり、かつ
該A層の厚さ(Ta)とフィルム全体の厚さ(Tf)の
関係が Ta<(1/5)Tf であることを特徴とし、そのことにより上記課題を達成
することができる。
【0005】好適な実施態様においては、前記複合配合
ポリエステルフィルムの、密度ρが1.388g/cm
3以上であり、かつ150℃におけるフィルムの縦方向
の熱収縮率と横方向との熱収縮率の和Yが4.5以上で
あり、かつフィルムの縦方向のF5値と横方向のF5値と
の和Xが Y2+3.2Y≧19.2X−393.6 である。
【0006】次に、本発明を詳しく説明する。
【0007】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、複数層から構成され、2層以上であれば何層でもよ
い。各層を構成する樹脂は、ポリエステルを主成分と
し、他の樹脂が必要に応じて含有される。
【0008】上記ポリエステルは、特に限定されない
が、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタ
レートまたはエチレン−2,6−ナフタレートであるこ
とが好ましい。このポリエステルに含有され得る他の共
重合体成分としては、次のジカルボン酸成分およびグリ
コール成分が挙げられる。ジカルボン酸成分としては、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4’−ジカルボキシルジフェニル、4,4’−ジカルボ
キシルベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシルフェニ
ル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカル
ボン酸などがある。グリコール成分としては、プロピレ
ングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコールなどがある。この他にp−
ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸成分も利
用され得る。さらに他の共重合体成分として、少量のア
ミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート
結合などを含有する化合物が含有されてもよい。上記ポ
リエステルは、単独で使用しても良いが、2種以上用い
ても良い。
【0009】このようなポリエステルの製造方法として
は、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させ
る直接重合法、および芳香族ジカルボン酸のジメチルエ
ステルとグリコールとをエステル交換反応させるエステ
ル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
【0010】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、最外層の少なくとも一方の層(A層)を構成する樹
脂中に、実質的に突起を形成し得る能力を有する粒子が
含有されない。すなわち、即ち、A層を構成する樹脂中
には、粒子が全く含有されないか、粒子が含有されて
も、その粒子は実質的に突起を形成し得る能力を有しな
い粒子である。
【0011】ここでいう実質的に突起を形成し得る能力
を有する粒子とは、その粒子1個によりフィルム表面に
高さ50nm以上の突起を形成し得る能力を有する粒子
をいい、その能力は、走査形トンネル顕微鏡などによっ
て評価することができる。
【0012】本発明の複合配向ポリエステルフィルムに
おいては、上記A層に隣接する層(B層)を構成する樹
脂中に、上記A層表面に実質的に突起を形成し得る能力
を有する粒子が含有される。実質的に突起を形成し得る
能力を有する粒子は、不活性粒子であることが好まし
い。この不活性粒子は、無機粒子であっても有機粒子で
あってもよい。無機不活性粒子の素材としては、Ca、
Mg、SrまたはBaの炭酸塩;Na、K、Mg、C
a、BaまたはAlの硫酸塩;Na、K、Mg、Ca、
Sr、Ba、Al、TiまたはZrのリン酸塩;二酸化
ケイ素;アルミナ;非晶質あるいは結晶質の粘土鉱物、
アルミノシリケート化合物等の複合ケイ酸化合物;ジル
コン、フライアッシュ等の温石綿;ZrまたはTiの酸
化物;Ca、Ba、ZnまたはMnのテレフタル酸塩;
BaまたはPbのクロム酸塩;カーボンブラック、グラ
ファイト等の炭素;ガラス粉、ガラスビーズ等のガラ
ス;ホタル石;ZnS等が挙げられる。これらの中で、
例えば、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、酸
化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、
リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、酸化チタン、
安息香酸リチウム、ガラス粉、粘土(カオリン、ベント
ナイト、白土等)、タルクおよびケイ藻土等が好適であ
る。有機不活性粒子の素材としては、架橋ポリスチレン
樹脂、架橋アクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、シリ
コン樹脂および架橋ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの不活性粒子は、天然品であっても合成品であっ
てもよく、また複合塩の形で用いてもよい。さらに、こ
れらの不活性粒子は単独あるいは2種以上用いてもよ
い。
【0013】上記不活性粒子の平均粒径は、A層および
B層の厚さ、上記不活性粒子の配合量などによって異な
るが、A層に対して突起高さが0.1〜1μm程度の突
起を形成するような粒子径を有すればよい。その平均粒
子径は、通常、0.05〜5.0μmが好ましく、0.
1〜2.5μmがより好ましい。
【0014】上記不活性粒子の含有量は、ポリエステル
100重量部に対して0.05〜40重量部、好ましく
は0.2〜10重量部である。
【0015】A層を構成する樹脂中に、実質的に突起を
形成し得る能力を有する粒子が含有されず、かつB層を
構成する樹脂中に、実質的に突起を形成する能力を有す
る粒子が含有されていることにより、B層を構成する樹
脂中に含有される粒子によって、A層表面に突起が形成
される。A層がこの突起を被覆しているため、フィルム
の耐摩耗性が良好となり、カレンダ加工工程でのフィル
ムの摩耗粉の発生を防止することができる。
【0016】さらにフィルム表面に突起が形成されてい
るため、フィルムの走行性が良好となる。
【0017】本発明の複合配向ポリエステルフィルムに
おいては、A層を構成する樹脂の極限粘度は0.65以
上であり、好ましくは0.7〜1.1の範囲である。極
限粘度が0.65以上である樹脂をA層を構成する樹脂
として用いた場合、フィルムの耐摩耗性が良好となるの
で、カレンダ工程におけるフィルムの摩耗粉の発生を著
しく改善することができる。
【0018】本発明の複合配向ポリエステルフィルムに
おいては、A層以外の層を構成する樹脂の極限粘度はい
ずれの層も0.6未満であり、好ましくは0.5〜0.
6の範囲である。このような樹脂を用いると、フィルム
のスリット工程において、フィルム切断面からのバリ、
ヒゲおよび粉の発生を著しく改善することができる。こ
のようなフィルムを磁気テープに使用した場合、ドロッ
プアウトの発生を防止することができる。
【0019】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、A層の厚さ(Ta)とフィルム全体の厚さ(Tf)
との関係が、次式の通りである。
【0020】Ta<(1/5)Tf。
【0021】A層を片面にのみ有するフィルムの時、T
aが上記範囲を超える場合には、B層を構成する樹脂中
に含有される粒子により、A層表面に突起が形成されな
いため、フィルムの走行性が悪くなる。さらにフイルム
のスリット工程で発生した粉がフィルムに付着し、この
ようなフィルムを用いた磁性テープはドロップアウトが
生じやすくなる。従って、Taを上記範囲内とすること
により、走行性に優れ、かつスリット工程での粉の発生
のないフィルムを得ることができる。A層の下限は特に
限定されないが、耐摩耗性に優れたフィルムを得るため
には、Ta0.1μm以上であることが好ましい。な
お、層の厚さは、2次イオン質量分析法(SIMS)等
により測定することができる。
【0022】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、その密度が0.388g/cm3以上であることが
好ましく、特に1.390g/cm3以上であることが
好ましい。フィルムの密度が1.388g/cm3未満
の場合、フィルムの結晶化度が小さくなり、フイルムの
スリット工程においてバリやヒゲが発生し、その結果、
ドロップアウトが生じやすくなる。
【0023】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、150℃におけるフィルムの縦方向の熱収縮率と横
方向の熱収縮率との和Yが4.5%以上であり、かつフ
ィルムの縦方向のF5値と横方向のF5値との和X、およ
び上記Yとが次式を満足することが好ましい。
【0024】 Y2+3.2Y≧19.2X−393.6。
【0025】ここで、F5値とは、フィルムを5%伸長
するのに要する応力をいう。一般に、F5値と熱収縮率
と間には相関があり、F5値が大きくなると熱収縮率が
増加する傾向がある。しかし、それらは必ずしも一対一
に対応するものではなく、フィルムの製造方法によって
は上記の関係を満足させることができる。本発明の複合
配向ポリエステルフィルムが、上記関係を満足する場
合、フィルムの耐摩耗性が良好となるので、カレンダ加
工工程でのフィルムの摩耗粉の発生を防止することがで
きる。150℃でのフィルムの縦方向の熱収縮率と横方
向の熱収縮率の和Yが4.5%未満の場合、たとえ、フ
ィルムの縦方向と横方向のF5値の和Xとの関係を満足
していても、耐摩耗性に優れたフィルムを得ることがで
きない場合がある。ここで、150℃におけるフィルム
の縦方向の熱収縮率と横方向の熱収縮率は、縦方向に大
きくても横方向に大きくても縦横に同程度であってもよ
い。また、フィルムの縦方向と横方向のF5値は、磁気
テープの種類に応じて設定すればよく、特に限定されな
いが、フィルムの縦方向のF5値および横方向のF5値が
小さすぎると磁気テープのヘッドタッチが不良となるの
で、フィルムの縦方向のF5値および横方向のF5値がい
ずれも10.5kg/mm2以上のであることが特に好
ましい。しかし、フィルムの縦方向と横方向のF5値が
大きすぎる場合、未延伸フィルムを延伸した時に、A層
に添加される不活性粒子とポリエステルとの界面にボイ
ドが発生し、その結果、耐摩耗性が悪くなって、フィル
ムのカレンダ加工工程でフィルムの摩耗粉が発生する。
従って、フィルムの縦方向のF5値と横方向のF5値との
和は30kg/mm2以下であることが好ましい。
【0026】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、105℃におけるフィルム横方向の熱収縮率が0.
5%未満であることが更に好ましい。105℃での横方
向の熱収縮率が0.5%を超える場合には、フィルムを
磁気テープ用として用いと、磁気テープ製造工程でのフ
ィルムの幅方向への熱収縮が著しくなり、生産性が悪く
なる傾向にある。一般に、フィルムの150℃における
熱収縮率を大きくすると、105℃における熱収縮率も
大きくなる傾向にあるが、フィルムの製造方法を適当に
選べば、150℃における熱収縮率を大きくしても、1
05℃における熱収縮率を小さくすることが可能であ
る。
【0027】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、70℃におけるフィルムの縦方向の熱収縮速度が毎
時0.03%未満であることが更に好ましい。フイルム
の縦方向の熱収縮速度が毎時0.03%を超えると、磁
気テープのスキュー特性が悪化する傾向にある。
【0028】本発明の複合配向ポリエステルフィルム
は、磁気テープ用として用いる場合には、フィルムのい
ずれか一方の面に磁性層を形成する。この磁性層は、フ
ィルムのどちらの面に形成しても良いが、A層を片面に
設けてこれを走行面とし、その反対側の面に磁性層を形
成することが特に好ましい。また、磁性層を形成した面
と反対側の面(走行面)には、バックコート層を設けて
もよく、これにより、フィルムがさらに優れた走行性を
有することができる。
【0029】本発明の複合配向ポリエステルフィルムの
製造方法は、任意の方法が採用され、特に限定されない
が、例えば、A層を構成するポリエステルとそれ以外の
層を構成するポリエステルをそれぞれ溶融して積層し、
押出成形して積層フィルムを得、次いで、従来公知の方
法で2軸延伸、熱処理する方法が採用される。延伸順序
は縦横、同時2軸いずれの方法をとってもよい。また横
延伸と縦延伸および同時2軸延伸を適宜組み合わせた3
段階以上の延伸を行ってもよい。熱処理は、テンター中
にて行い、190〜230℃で2〜10秒間行うのが好
適である。また、熱処理と同時に横または縦横両方向に
2〜30%の再延伸を行うことが好ましい。
【0030】熱処理後には、横および縦方向に緩和処理
を行ってもよい。横方向への緩和はテンター中で行うの
が好ましい。フィルムの150℃での熱収縮率を大きく
保ちながら105℃での熱収縮率を小さくするために
は、緩和温度を130〜170℃とすることが有効であ
る。緩和率は、所望の熱収縮率を得るために0.2〜1
0%の範囲で適宜調節すればよい。一方、縦方向への緩
和は、テンター中で横方向への緩和と同時に行ってもよ
いが、加熱ロールでの緩和が好ましい。縦方向への緩和
は、70℃での熱収縮速度を小さくするためには、80
℃〜150℃の温度で行うことが好ましく、緩和率は加
熱ロールと前後のロール間でのテンションコントロール
によって適宜調節すればよい。
【0031】
【作用】本発明の複合配向ポリエステルフィルムは、A
層を構成する樹脂中に、実質的に突起を形成し得る能力
を有する粒子が含有されず、かつB層を構成する樹脂中
に、実質的に突起を形成する能力を有する粒子が含有さ
れている。このB層を構成する樹脂中に含有される粒子
により、A層表面に突起が形成される。従って、フィル
ムの走行性が良好となる。さらにA層がこの突起を被覆
しているため、フィルムの耐摩耗性が良好となり、カレ
ンダ加工工程でのフィルムの摩耗粉の発生を防止するこ
とができる。
【0032】またA層を構成する樹脂の極限粘度を0.
65以上、A層以外の層を構成する樹脂の極限粘度を
0.6未満とすることにより、耐摩耗性に優れ、かつス
リット工程でヒゲ、バリおよび粉の発生のないフィルム
を得ることができる。
【0033】さらに、A層の厚さをフィルム全体の厚さ
の1/5未満とすると、B層を構成する樹脂中に含有さ
れる粒子により、A層表面に突起が形成され、フィルム
の走行性が良好となる。
【0034】
【実施例】本発明を実施例および比較例を挙げて説明す
る。
【0035】ポリエステルの製造 常法により、表1に示す不活性粒子が表1に示す含有量
となるように添加された、固有粘度が0.55の不活性
粒子含有ポリエチレンテレフタレート(PET−1〜P
ET−3)を調製した。また、同様に作成したポリエチ
レンテレフタレートに固相重合を施して、表1に示す不
活性粒子が表1に示す含有量のF5値となるように添加
された固有粘度が0.80の不活性粒子含有ポリエチレ
ンテレフタレート(PET−4〜PET−8)を調製し
た。
【0036】粒子の突起を形成する能力の評価 PET−1およびPET−5以外の上記不活性粒子含有
ポリエチレンテフタレートを、それぞれ乾燥した後、2
90℃で熔融し、これらの熔融ポリエステルを30℃の
ドラム上にキャスティングした。このようにして厚さ2
20μmの未延伸フィルムを得た。引き続きこのフィル
ムを75℃に加熱したロール、および表面温度600℃
の赤外線ヒーター(フィルムから20mm離れた位置に
設置)を用いて加熱し、次いで、低速ロールと高速ロー
ルの間に挿入して縦方向に3.3倍延伸した。更にこの
フィルムをテンター中に導き、100℃で横方向に4.
4倍延伸した。テンター中では、横延伸に引き続いて2
00℃で5秒間の熱処理を施して、厚さ15μmの2軸
延伸配向ポリエステルフィルムを得た。このようにして
得られたフィルム中に含有される粒子の突起を形成する
能力を評価した。その結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1、実施例2、比較例3 表2に示すA層およびB層の各層を構成する不活性粒子
含有ポリエステルを、それぞれ別個に乾燥した後、それ
ぞれ別個の押出機に供給した。そして、各押出機の吐出
量を表2に示す各層の厚さ比率となるように調整した。
290℃でそれぞれのポリエステルを熔融し、これらの
熔融ポリエステルをTダイを用いて共押出し、積層ポリ
エステルフィルムを30℃に調節された冷却ドラム上に
押出されるようにした。このようにして厚さ220μm
の未延伸複合ポリエステルフィルムを得た。引き続きこ
のフィルムを75℃に加熱したロール、および表面温度
600℃の赤外線ヒーター(フィルムから20mm離れ
た位置に設置)を用いて加熱し、次いで、低速ロールと
高速ロールの間に挿入して縦方向に3.3倍延伸した。
更にこのフィルムをテンター中に導き、100℃で横方
向に4.4倍延伸した。テンター中では、横延伸に引き
続いて200℃で5秒間の熱処理を施し、それと同時に
フィルム横方向に10%の再延伸を施した。次いで、テ
ンター中で、フィルム横方向に150℃で5%の緩和処
理を行った。次いで120℃に加熱したロールにフィル
ムを接触させ、加熱ロールとその前後のロールとの間の
張力をコントロールすることによって縦方向への緩和を
行い、厚さ15μmの複合配向ポリエステルフィルムを
得た。
【0039】実施例3 表2に示すA層、B層、C層の各層を構成する不活性粒
子含有ポリエステル用い、Tダイを用いてA層、B層、
C層の順に積層し、3層構造のフィルムをする以外は、
実施例1と同様の方法で複合配向ポリエステルフィルム
を得た。
【0040】実施例4、実施例5および比較例2 表2に示すA層、B層の各層を構成する不活性粒子含有
ポリエステルを用い、熱処理と同時にフィルム横方向に
6%の緩和処理を行い、その後はなんら緩和処理を行わ
なかった以外は、実施例1と同様の方法で複合配向ポリ
エステルフィルムを得た。
【0041】比較例1 ポリエステルとしてPET−2を用い、熱処理と同時に
フィルム横方向に4%の緩和処理を行い、その後はなん
ら緩和処理を行わなかった以外は、粒子の突起を形成す
る能力の評価に用いた方法と同様の方法で複合配向ポリ
エステルフィルムを得た。
【0042】比較例4 表2に示すA層、B層の各層を構成する不活性粒子含有
ポリエステルを用い、各層の厚さ比率を表2に示した厚
さ比率とした以外は、実施例4と同様の方法で複合配向
ポリエステルフィルムを得た。
【0043】比較例5 表2に示すA層、B層の各層を構成する不活性粒子含有
ポリエステルを用い、各層の厚さ比率を表2に示した厚
さ比率とした以外は、実施例1と同様の方法で複合配向
ポリエステルフィルムを得た。
【0044】
【表2】
【0045】実施例1〜5および比較例1〜5で得られ
た複合配向ポリエステルフィルムについて以下に示す特
性を調べた。その結果を表3に示す。
【0046】複合配向ポリエステルフィルムの評価 粒子の突起を形成する能力の有無 フイルム表面に白金パラジュームをの5nmの厚さにス
パッタコーティングした後、セイコー電子工業(株)製
走査型トンネル顕微鏡STA350を用いて、まずこの
装置に付属している光学顕微鏡にて、拡大倍率約200
0倍(対物レンズ50倍)でフィルム表面を観察した。
そしてフィルム表面に単一の不活性粒子により形成され
た突起が多数(約1個/20μm□以上)観察される場
合には、突起を形成する能力があると判断した。ここ
で、単一の粒子でなく、粒子の凝集帯により形成された
突起は、単一粒子の粒径と突起の大きさとが異なるた
め、容易に識別することができる。
【0047】不活性粒子の粒子径 高速攪拌により充分に分散して得られたEGスラリー中
の不活性粒子について、光透過形延伸沈降式粒度分布測
定機SA−CP3型(島津製作所製)を用いて測定した
粒度分布における積算50%の値を粒子径とした。
【0048】フィルムの熱収縮率 フィルムを、縦方向および横方向にそれぞれ幅10mm
長さ100mmの短冊状に切り出して試験片とし、この
試験片を150℃または105℃に保持されたギアオー
ブン中に無緊張状態で放置して、30分後に取り出して
処理前後の試験片の長さから算出した。
【0049】フィルムのF5値 熱収縮率測定に用いたのと同様の試験片を、(株)オリ
エンテック製テンシロンを用いて、100%/分の変形
速度で引っ張り、5%の伸長時の応力を求めた。
【0050】フィルムの70℃における熱収縮速度 フィルムを縦方向に幅4mm長さ50mmに切り出し、
この試験片を真空理工(株)製TM−3000型熱試験
機を用いて、定加重(9.4g)下で熱収縮曲線を求
め、試験片の雰囲気が70℃に達した後(約30分を要
する)、1時間にわたって生じた収縮量をもって熱収縮
速度とした。
【0051】フィルムのカレンダ加工における耐摩耗
性 30cm幅のフィルムを、4段のスーパーカレンダ(線
圧力300kg/cm、走行速度300m/分)で4
0,000mにわたって処理し、弾性ロールに付着した
樹脂粉末量を目視観察して以下のランク付けを行った。 1・・・樹脂粉末がまったく認められない 2・・・かすかに樹脂粉末がみとめられるが極めて微量
である 3・・・少量の樹脂粉末が認められる 4・・・多量の樹脂粉末が認められる。
【0052】フィルムのスリット性 実施例および比較例で得られたフィルムに以下の組成の
磁性層塗布液を、乾燥後5μmの厚みとなるように塗布
・乾燥し、スーパーカレンダー処理後、熱硬化した。得
られたフィルムを1/2インチ幅にスリットし、VHS
ビデオテープを作成した。 1)磁性粉(γ−FE2O3) 2)バインダー(ポリウレタン/ニトロセルロース) 3)硬化剤(3官能イソシアネート) 4)カーボンブラック 5)研磨剤(アルミナ) 6)潤滑剤(ステアリン酸/イソブチルステアレート) 7)溶剤(メチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキ
サノン)。
【0053】スリット端面のバリおよびヒゲの状態を目
視観察して以下のランク付けを行った。 ○・・・バリ・ヒゲがほとんどない △・・・バリ・ヒゲが容易に認められる ×・・・バリ・ヒゲが多い。
【0054】フィルムの走行性 温度23℃、相対湿度65%の条件下、図1の装置を用
いて試験した。図1において、1は長さ40mmのクラ
ンク、2は回転自在のガイドローラ、3は張力検出装
置、4は市販の家庭用VTRの金属ガイドポスト(最大
粗さRt=0.15μm,平均粗さRa=0.008μ
m)であり、幅12.5mmのフィルム5の一端をクラ
ンク1に接続し、他端に重さ50gのウエイト6を吊
し、クランク1を8rpmの速度で回転させ、フィルム
5を100往復させて摩擦係数(μk)を求めた。摩擦
係数を下記のように3段階に評価し、ランク付けした。 ○・・・μk≦0.25 △・・・0.25≦μk≦0.35 ×・・・0.35<μk。
【0055】磁気テープの電磁変換特性 (株)シバソク製TG−7/1型NTSC−TV試験信
号発生器および925D/1型NTSCカラービデオノ
イズ測定器を用い、標準テープに対するクロマS/Nを
測定し、下記の3段階に評価し、ランク付けした。 ○・・・S/N > +3dB △・・・S/N > +1dB ×・・・S/N < +1dB。
【0056】
【表3】
【0057】表3で明らかなように、実施例1〜4で得
られた複合配向ポリエステルフィルムは、走行性および
耐摩耗性に優れ、かつスリット工程でヒゲおよびバリ発
生がないことがわかる。
【0058】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
複合配向ポリエステルフィルムは、走行性および耐摩耗
性に優れ、かつスリット工程でヒゲ、バリおよび粉の発
生がない。従って、包装用または他の工業用に好適に使
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られたフィルムの走行性の評価に用
いた測定機の模式図である。
【符号の説明】
1 クランク 2 ガイドローラ 3 張力検出装置 4 家庭用VTRガイドポスト 5 フィルム 6 ウエイト。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】複合配向ポリエステルフィルムの評価 突起形成能の有無 フィルム表面に白金パラジュームを5nmスパッタコー
ティングした後、セイコー電子工業(株)製走査型トン
ネル顕微鏡STA350を用いて、まず同装置に付属し
ている光学顕微鏡にて拡大倍率約2000倍(対物レン
ズ50倍)でフィルム表面を観察した。次いで、不活性
粒子によって形成された突起が多数(約1個/20μm
2以上)フィルム表面に観察されるものについては、突
起形成能があると判断した。一方、突起が観察困難なも
のについては、粒子の異常凝集体によって形成された突
起が認められない部位を光学顕微鏡で選んだ後、レボル
バーを光学顕微鏡からトンネル顕微鏡のスキャナーに切
替え、同部位20μm2の表面形状をトンネル顕微鏡で
測定した(画素数=256ピクセル×128ライン)。
トンネル顕微鏡測定から得られた表面形状に傾斜補正及
び平滑化処理を施した後、ピーク数の高さ分布及び画素
数の高さ分布(ヒストグラム)を測定した。そして、画
素数が最大となる高さレベルをゼロレベルとして、高さ
が50nm未満 のピーク数が全ピーク数(最大ピーク
数)の95%以上であるものを実質的な突起形成能がな
いものとした。なお、20μm2面積中に存在するピー
ク数が100個に満たないものについては、ピーク数が
100個に達するまで、同様の測定を繰り返した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/704 7215−5D

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数層を有する複合配向ポリエステルフィ
    ルムであって、 最外層の少なくとも一方の層(A層)を構成する樹脂中
    に、実質的に突起を形成し得る能力を有する粒子が含有
    されず、 該A層に隣接する層(B層)を構成する樹脂中に、実質
    的に突起を形成し得る能力を有する粒子が含有され、 該A層を構成する樹脂の極限粘度が0.65以上、およ
    び該A層以外の層を構成する樹脂の極限粘度がいずれも
    0.6未満であり、かつ該A層の厚さ(Ta)とフィル
    ム全体の厚さ(Tf)の関係が Ta<(1/5)Tf である、複合配向ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】前記フィルムの密度ρが1.388g/c
    3以上であり、かつ150℃における前記フィルムの
    縦方向の熱収縮率と横方向の熱収縮率との和Yが4.5
    %以上であり、かつ前記フィルムの縦方向のF5値と横
    方向のF5値との和X、およびYが次式を満足する、請
    求項1または請求項2に記載の複合配向ポリエステルフ
    ィルム。 Y2+3.2Y≧19.2X−393.6。
JP3274329A 1991-10-22 1991-10-22 複合配向ポリエステルフイルム Withdrawn JPH05111988A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019066841A (ja) * 2017-09-29 2019-04-25 東洋紡株式会社 ポリエステルフィルムとその用途

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JP2022028752A (ja) * 2017-09-29 2022-02-16 東洋紡株式会社 ポリエステルフィルムとその用途
JP2022028751A (ja) * 2017-09-29 2022-02-16 東洋紡株式会社 ポリエステルフィルムとその用途

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