JPH05111319A - 田植機の苗供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 苗載台上における苗の移送を正確かつ円滑に
行うとともに、苗の自重で下部の苗が押し潰されるのを
防止する。 【構成】 下部は傾斜角度が一定で、これより上部は徐
々に傾斜が緩くなる苗載台を備え、該苗載台の下部に所
定の苗送り力かつ所定の苗送り速度で苗を下方に移送す
る下苗送りベルトを設けるとともに、苗載台の上部に前
記下苗送りベルトに連動し、該下苗送りベルトよりも苗
送り力が小さくかつ苗送り速度が速い上苗送りベルトを
設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、田植機の植付部に設け
られ、所定の苗取出口に苗を順次供給する田植機の苗供
給装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】田植機の苗供給装置は、ポット苗等を縦
横に整列させて載せる斜めに傾斜した苗載台と、該苗載
台上の最下段の苗を受ける苗受板とを備え、苗載台が左
右に往復動を行ない最下段の苗を苗受板の適所に形成し
た苗取出口に１株分づつ供給するとともに、苗載台が左
右行程の端部に到達すると、苗載台の下部に設けた苗送
りベルトが所定量移動して苗載台上の苗を１段下方に移
送するように構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】苗載台の傾斜度は、苗
送りベルトが設けられている下部は一定で、これよりも
上部は徐々に緩くなっているのが一般的である。これ
は、苗群全体の重量で下部の苗が押し潰されないように
するためである。しかしながら、上記のように苗載台の
上部における苗の滑落を規制すると、苗送りベルトで苗
送りをする際に上部の苗が下部の苗に追随せず苗と苗と
の間に上下の隙間が生じ、苗供給がうまく行なえないお
それがある。従来より、これら苗載台下部の苗が押し潰
されるのを防止することと、苗送り時に苗と苗との間に
上下の隙間が生じないようにすることの両方を効果的に
達成するのが課題となっていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明
にかかる苗供給装置は、下部は傾斜角度が一定で、これ
より上部は徐々に傾斜が緩くなる苗載台を備え、前記苗
載台の下部に所定の苗送り力かつ所定の苗送り速度で苗
を下方に移送する下苗送りベルトを設けるとともに、苗
載台の上部に前記下苗送りベルトに連動し、該下苗送り
ベルトよりも苗送り力が小さくかつ苗送り速度が速い上
苗送りベルトを設けたことを特徴としている。

【０００５】

【作用】苗送り時には、苗載台の下部に設けた下苗送り
ベルトと上部に設けた上苗送りベルトが互いに連動して
作動し、苗載台上の苗を下方に移送する。上苗送りベル
トは下苗送りベルトよりも苗送り速度が大きいので、上
部の苗と下部の苗との間に隙間が生じない。また、上苗
送りベルトは下苗送りベルトよりも苗送り力が小さく、
しかも苗載台は下部は傾斜角度が一定で、これより上部
は徐々に傾斜が緩くなるよう形成されているので、上部
の苗が下部の苗を押して下部の苗が潰れたり、上部の苗
が苗載台から浮き上がったりすることがない。

【０００６】

【実施例】以下、図面にあらわされた実施例について説
明する。この田植機１は、動力車両２の後部に設けた昇
降用リンク装置３に植付部４が取り付けられ、全体で乗
用型田植機として構成されている。植付部４は、植付部
フレームを兼ねる伝動ケース６、苗供給装置としての苗
載台７および苗受板８、植付装置９，…等を備え、ロー
リング軸１０によってリンク装置３にローリング可能に
装着されている。圃場面の凹凸に応じてリンク装置３が
適宜上下動することにより、植付部４が常に一定高さに
保持される。

【０００７】苗載台７は、前側が上位となるよう傾斜し
た状態で苗載台支持フレーム１２と苗載台支持レール１
３に左右に滑動自在に支持されており、伝動ケース６に
内蔵した横送り機構によって全体が左右に往復動するよ
うに構成されている。なお、横送り機構は、外周部に螺
旋状の溝が形成されたロールカム軸１４と、該溝に係合
する爪が一体に取り付けられた横送り軸１５等からな
り、ロールカム軸１４が回転することにより横送り軸１
５が左右に往復動し、該横送り軸と一体に苗載台が移動
するのである。苗載台７の苗載せ面は植付条数分の苗載
部１７，…に仕切られている。そして、各苗載部１７，
…に対応する苗取出口１８，…が形成された苗受板８
が、苗載台７の下端部に隣接して苗載台支持フレーム１
２に固定して設けられている。苗受板８を含む苗載台７
の下部（範囲Ａ）は傾斜が一定で、それより上部（範囲
Ｂ）は徐々に傾斜が緩くなっている。

【０００８】苗載台７には、上、下苗送りベルト２０
ａ，２０ｂが各苗載部１７，…ごとに一対づつ設けられ
ている。上苗送りベルト２０ａの外周面は平滑に形成さ
れているが、下苗送りベルト２０ｂの外周面にはポット
苗６０の底面に係合する突起２１，…が一定間隔で形成
されている。両苗送りベルト２０ａ，２０ｂはそれぞれ
駆動ローラ２３ａ，２３ｂと従動ローラ２４ａ，２４ｂ
に張架されており、駆動ローラ軸に取り付けたアーム２
５ａ，２５ｂ同士が連結ロッド２６で互いに連結されて
いる。苗載台７が左右行程の端部に到達すると、ロール
カム軸１４の端部に取り付けた駆動アーム２７が下苗送
りベルト２０ｂの連動アーム２５ｂに係合して該連動ア
ームを回転させ、下苗送りベルト２０ｂを所定方向に所
定量移動させるとともに、連動アーム２５ｂの回転が連
結ロッド２６を介して連動アーム２５ａに伝えられ、上
苗送りベルト２０ａも所定方向に所定量移動させる。す
なわち、上、下苗送りベルト２０ａ，２０ｂは間歇的に
連動して移動するのである。連結ロッド２６の端部が嵌
合する連動アーム２５ｂの穴２８は長穴になっているの
で、下苗送りベルト２０ｂよりも若干遅れて上苗送りベ
ルト２０ａが作動する。また、連動アーム２５ａの方が
連動アーム２２ｂよりも短く回転量が大きいので、上苗
送りベルト２０ａの方が下苗送りベルト２０ｂよりも移
動速度が若干大きい。下苗送りベルト２０ｂ，２０ｂの
間隔部には、苗の残量が所定量以下になったことを検出
する苗位置センサ２９が設けられている。

【０００９】苗載台７の上に苗箱２箱分程度のポット苗
６０，…を載置して植付部４を駆動すると、植付装置９
の動作に同期して苗載台７が左右に往復動して、苗受板
８の上に位置する最下段の苗が順次苗取出口１８に供給
される。苗載台７が左右行程の端部に到達して最下段の
苗が全て苗取出口１８に供給されると、上下苗送りベル
ト２０ａ，２０ｂが作動して苗群６０，…を下方に１段
分だけ移送する。以後、上記動作が繰り返される。苗載
台７上の苗の残量が少なくなったならば、予備苗載台
（図示を省略）の苗を補給する。この際に、上苗送りベ
ルト２０ａは外周部に突起がなく平滑に形成されている
ので、苗を苗載台７上に容易に滑り込ませることができ
る。

【００１０】なお、苗載台の形状、苗載台下部の傾斜角
度θおよびは下苗送りベルト２０ｂの軸間距離Ｌは、次
のようにして決定された。すなわち、苗送りベルト作動
時に摩擦によって苗を下方に送る力は３．８kgｆ以上で
ある必要があること、苗送りベルト非作動時に苗の自重
により苗が苗載台上を滑落する力は１．３kgｆ以下であ
ることが好ましいこと、例えばポリプロピレン製の苗載
台上を苗が円滑に滑落するにはその傾斜角度が４５°以
上であることが実験的に確認され、θ＝４８°、Ｌ＝２
１０mmとするとともに、苗載台上部の斜度を徐々に緩く
した。斜度を緩くしたことにより苗送り力が不足するの
補助するため、苗載台７の上部に上苗送りベルト２０ｂ
を設けた。下苗送りベルト２０ｂは外周面に突起２１，
…が形成されているが、上苗送りベルト２０ａは外周面
が平滑に形成されているので、上苗送りベルト２０ａよ
りも下苗送りベルト２０ｂの方が苗送り力が大きく、し
かも上苗送りベルト２０ａは下苗送りベルト２０ｂより
も若干遅れて作動するようになっているので、上部の苗
が下部の苗を強く押すことがなく、下部の苗が潰れるの
を防止している。また、上苗送りベルト２０ａは下苗送
りベルト２０ｂよりも苗送り速度が大きいので、苗送り
時に上部の苗と下部の苗との間に隙間が生じることがな
く、苗供給が確実に行われる。

【００１１】植付装置９は、伝動ケース６の後端部に設
けたロータリケース３０と、該ロータリケースの両端部
に設けた一対の植込杆３１，３１を備えてなる。ロータ
リケース３０は伝動ケース６に支承されたロータリケー
ス取付軸３２に一体に取り付けられている。ケース内に
は、ロータリケース取付軸３２に取り付けた太陽ギヤ３
４と、該太陽ギヤに噛合するカウンタギヤ３５，３５
と、該カウンタギヤに噛合する遊星ギヤ３６，３６とが
内蔵されており、該遊星ギヤに嵌着した植付杆取付軸３
８に植付杆３１が一体に取り付けられている。ロータリ
ケース軸３２が回転することにより、ロータリケース３
０全体が回転するとともに、植込杆３１，３１が一定姿
勢のまま円周運動を行う。なお、カウンタギヤ３５およ
び遊星ギヤ３６は非円形ギヤであり、植込杆３１の移動
速度は円周軌跡の上部で遅く下部で速くなっている。

【００１２】植込杆３１には、軌跡の上部で前記苗取出
口１８に供給された苗を挟持し、軌跡の下部でこれを圃
場に開放する一対の植込爪４０，４０と、苗開放時に一
対の植込爪４０，４０の間に突出して苗を圃場側に押し
出す苗押出具４２が設けられている。一対の植込爪は、
植込杆ケースに固定された固定爪と該固定爪に対して開
閉する可動爪とからなっている。可動爪４０を取り付け
た開閉軸４４には、植込杆取付軸３８に取り付けた開閉
カム４５に係合するカムフォロア４６が先端部に形成さ
れた開閉アーム４７が設けられている。開閉カム４５で
アーム４７を揺動させて開閉軸４４を回動させることに
より、可動爪４１が間歇的に開閉する。開閉軸４４は開
閉タイミング調節ボルト４９で位置決めされており、開
閉タイミング調節ボルト４９を回して開閉カム４５に対
する開閉アーム４７の位置を変えることにより可動爪４
１の開閉タイミングを調節することができる。図中の５
０は開閉アーム復帰用スプリング、５１，５２は開閉ア
ーム位置調節用スプリングである。また、苗押出具４２
はスプリング５５にて下方に付勢された苗押出軸５４に
取り付けられている。そして、植込杆取付軸３８に取り
付けた押出カム５７に係合するカムフォロア５８と一体
に設けた押出アーム５９の先端部が苗押出軸５４に止着
されている。押出カム５７で押出アーム５９を揺動させ
ることにより、苗押出具４２が間歇的に下方に突出す
る。

【００１３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる苗供給装置は、苗載台の上部と下部に上苗送り
ベルトと下苗送りベルトをそれぞれ設け、上苗送りベル
トの方が下苗送りベルトよりも苗送り力が小さくかつ苗
送り速度を大きく設定することにより、苗載台の苗が円
滑に下方に移送されるとともに、下部の苗が押し潰され
るのを防止できるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例である乗用田植機の側面図で
ある。

【図２】図１に示した乗用田植機の植付部の要部の側面
図である。

【図３】図２におけるＸ矢視図である。

【図４】植付装置の断面図である。

【図５】図４におけるＹ−Ｙ断面図である。

【図６】図４におけるＺ−Ｚ断面図である。

【符号の説明】

１ 乗用田植機 ２ 動力車両 ３ リンク装置 ４ 植付部 ７ 苗載台 ８ 苗受板 ９ 植付装置 ２０ａ 上苗送りベルト ２０ｂ 下苗送りベルト ３１ 植込杆 ４０ 植込杆 ４２ 苗押出具 ６０ 苗

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下部は傾斜角度が一定で、これより上部
   は徐々に傾斜が緩くなる苗載台を備え、前記苗載台の下
   部に所定の苗送り力かつ所定の苗送り速度で苗を下方に
   移送する下苗送りベルトを設けるとともに、苗載台の上
   部に前記下苗送りベルトに連動し、該下苗送りベルトよ
   りも苗送り力が小さくかつ苗送り速度が速い上苗送りベ
   ルトを設けたことを特徴とする田植機の苗供給装置。