JPH0511081U - レーダ受信機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 受信信号レベルが大きい場合にもレーダ受信
機を飽和させることなく、かつ雑音指数が小さく最小探
知信号レベルが小さいレーダ受信機を得る。 【構成】 レーダ受信機の低雑音増幅器の前後に２つの
スイッチを備え、２つのスイッチの他のポートどうしを
接続する構成とし、受信信号レベルが大きい時には、２
つのスイッチにより低雑音増幅器がない経路に切換え
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電波を放射し、その電波を受信し目標を識別するレーダ装置におい て利用されるレーダ受信機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図５は、従来のこの種レーダ受信機の構成を示すブロック図である。図におい て、１はレーダ送信機、２はサーキュレータ、３はアンテナ、４はステップアッ テネータ、５は低雑音増幅器、６はアナログ信号処理回路、７は利得調整回路で ある。ここで、４〜７がレーダ受信機の構成要素である。

【０００３】 次に動作について説明する。図５においてレーダ送信機１から出力した送信信 号は、サーキュレータ２を通してアンテナ３に送られ、アンテナ３より空間に放 射される。空間に放射された電波は、目標に反射しアンテナ３により受信され、 受信信号としてサーキュレータ２を介しレーダ受信機に入力する。レーダ受信機 に入力した受信信号は、受信信号レベルが大きい信号のときに低雑音増幅器５ま たはアナログ信号処理回路６が飽和することを防止するためのステップアッテネ ータ４を通り、低雑音増幅器５に入力し増幅される。低雑音増幅器５で増幅され た受信信号は、アナログ信号処理回路６において、信号処理の容易な出力レベル および周波数のビデオ信号に変換され出力される。一方、利得調整回路７は、ア ナログ信号処理回路６のビデオ出力を検知し、低雑音増幅器５またはアナログ信 号処理回路６が飽和するレベルになるときにステップアッテネータ４を動作させ る制御信号を発生する。ステップアッテネータ４は、通常レーダ受信機では数チ ャンネルの同じ系があり、各チャンネルの位相をステップアッテネータ４の動作 、非動作によらず合わせることが必要があるため、２つのスイッチにより２つの 損失の違う経路を切換えることにより挿入損失を変える。

【０００４】 ここで、レーダの最小探知信号レベルはレーダ受信機の雑音指数により決定さ れる。レーダ受信機の雑音指数ＮＦは次式で表わされる。

【０００５】

【数１】

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

従来のこの種レーダ受信機は、以上のように構成されているので、ステップア ッテネータ４の挿入損失が、最低スイッチ２つの挿入損失分あり、雑音指数が大 きく、最小探知信号レベルが大きいという課題があった。

【０００７】 この考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、受信信 号レベルが大きい場合にレーダ受信機を飽和させることなく、かつ雑音指数が小 さく最小探知信号レベルが小さいレーダ受信機を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後に２つ のスイッチを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい時に、低雑音 増幅器がない経路に切換えるものである。

【０００９】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポート 間に固定アッテネータとを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい 時に、固定アッテネータの経路に切換えるものである。

【００１０】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポート 間に周波数フィルタとを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい時 に、周波数フィルタの経路に切換えるものである。

【００１１】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、低雑音増幅器の電源を切るスイッチとを備え、２つのスイ ッチにより受信信号レベルが大きい時に、低雑音増幅器がない経路に切換えると ともに、低雑音増幅器の電源を切るものである。

【００１２】

【作用】

この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後に２つ のスイッチを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい時に、低雑音 増幅器がない経路に切換えるものであるので、レーダ受信機が飽和することがな いとともに、受信信号レベルが小さいときに、低雑音増幅器の前の挿入損失がス イッチ１つ分であるため、雑音指数が小さくなる。

【００１３】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポート 間に固定アッテネータとを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい 時に、固定アッテネータの経路に切換えるものであるため、任意の利得およびア ッテネーション値を実現することができる。

【００１４】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポート 間に周波数フィルタとを備えたものであるので、レーダの使用周波数帯域外での 発振を防止することができる。

【００１５】 また、この考案におけるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の前後 に２つのスイッチと、低雑音増幅器の電源を切るスイッチとを備え、２つのスイ ッチにより受信信号レベルが大きい時に、低雑音増幅器がない経路に切換えると ともに、低雑音増幅器の電源を切るものであるので、スイッチのアイソレーショ ンが悪い場合にも低雑音増幅器が飽和せず、受信信号レベルが小さくなった時の レーダ受信機の回復時間を小さくすることができる。

【００１６】

【実施例】

実施例１． 図１は、この考案の一実施例のレーダ受信機の構成を示すブロック図である。 図において、１〜３および５〜７は、上記従来レーダ受信機と全く同一のもので あり、８は第１のスイッチ、９は第２のスイッチである。ここで、５〜９がレー ダ受信機の構成要素である。

【００１７】 次に動作について説明する。図１においてレーダ送信機１から出力した送信信 号は、サーキュレータ２を通してアンテナ３に送られ、アンテナ３より空間に放 射される。空間に放射された電波は、目標に反射しアンテナ３により受信され、 受信信号としてサーキュレータ２を介しレーダ受信機に入力する。受信信号レベ ルが小さいときには、第１のスイッチおよび第２のスイッチは低雑音増幅器５に 接続されたポート側に倒れ、受信信号は低雑音増幅器により増幅されてアナログ 信号処理回路６に入力される。受信信号レベルが大きいときには、第１のスイッ チおよび第２のスイッチは低雑音増幅器５がない経路のポート側に倒れ、受信信 号は増幅されずにアナログ信号処理回路６に入力される。アナログ信号処理回路 ６では、信号処理の容易な出力レベルおよび周波数のビデオ信号に変換され出力 される。一方、利得調整回路７は、アナログ信号処理回路６のビデオ出力を検知 し、アナログ信号処理回路６が飽和するレベルになったときに第１のスイッチ８ および第２のスイッチ９を低雑音増幅器５がない経路のポート側に切換える制御 信号を発生する。

【００１８】 ここで、レーダの最小探知信号レベルはレーダ受信機の雑音指数により決定さ れる。受信信号レベルが小さいときのレーダ受信機の雑音指数ＮＦは次式で表わ される。

【００１９】

【数２】

【００２０】 数２において、従来レーダ受信機における数１のステップアッテネータ４の挿 入損失の２分の１が低雑音増幅器５の利得分の１となり、受信機の雑音指数が小 さくなる。

【００２１】 実施例２． 図２は、この考案の他の実施例のレーダ受信機の構成を示すブロック図である 。図において、１〜３および５〜９は、上記実施例１と全く同一のものであり、 １０は固定アッテネータである。ここで、５〜１０がレーダ受信機の構成要素で ある。

【００２２】 次に動作について説明する。受信信号レベルが小さいときの動作は、実施例１ と同様である。受信信号レベルが大きいときには、第１のスイッチおよび第２の スイッチは固定アッテネータ１０に接続されたポート側に倒れ、受信信号は固定 アッテネータ１０により減衰されてアナログ信号処理回路６に入力される。図２ によれば、実施例１と同様な動作が期待できるとともに、低雑音増幅器５の利得 分より更に大きな減衰量を得ることができる。

【００２３】 実施例３． 図３は、この考案の他の実施例のレーダ受信機の構成を示すブロック図である 。図において、１〜３および５〜９は上記実施例１と全く同一のものであり、１ １は周波数フィルタである。ここで、５〜９および１１がレーダ受信機の構成要 素である。

【００２４】 次に動作について説明する。周波数フィルタ１１は、受信信号の周波数帯域を 通過させるものであり、受信信号に対する動作は、実施例１と同様である。低雑 音増幅器５が使用周波数帯域外で利得が大きく、第１のスイッチ８の２出力間ま たは第２のスイッチの２入力間のアイソレーションが悪い場合に、その周波数の 雑音は、周波数フィルタ１１で減衰される。図３によれば、実施例１と同様な動 作が期待できるとともに、低雑音増幅器５が使用帯域外で利得が大きく、第１の スイッチ８の２出力間または第２のスイッチの２入力間のアイソレーションが悪 い場合に、使用周波数帯域外での発振を防止することができる。

【００２５】 実施例４． 図４は、この考案の他の実施例のレーダ受信機の構成を示すブロック図である 。図において、１〜３および５〜９は上記実施例１と全く同一のものであり、１ ２は電源、１３は電源スイッチである。ここで、５〜９および１３がレーダ受信 機の構成要素である。

【００２６】 次に動作について説明する。電源スイッチ１３は、受信信号が大きいときに低 雑音増幅器５にバイアスがかからないように動作するものであり、受信信号に対 する動作は、実施例１と同様である。第１のスイッチ８が、低雑音増幅器５がな い経路に接続されているときの入力ポートから低雑音増幅器５が接続されている 出力ポートへのアイソレーションが悪い場合においても、低雑音増幅器５が飽和 することがないため、低雑音増幅器５が非飽和状態に戻るための回復時間がなく なり、受信信号が小さくなった時に、直ちにレーダ受信機を低雑音増幅器５を通 した特性に戻すことができる。図４によれば、第１のスイッチ８の入出力間アイ ソレーションが悪い場合にも、回復時間の小さいレーダ受信機を実現することが できる。

【００２７】 実施例５． 上記実施例２〜実施例４を組合せた場合においても、それぞれの実施例の効果 を期待できることはいうまでもない。

【００２８】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によるレーダ受信機は、レーダ受信機の低雑音増幅器の 前後に２つのスイッチを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大きい時 に、低雑音増幅器がない経路に切換えるものであるので、レーダ受信機が飽和す ることがないとともに、受信信号レベルが小さいときに、低雑音増幅器の前の挿 入損失がスイッチ１つ分であるため、雑音指数が小さくなる。

【００２９】 また、この考案におけるレーダ受信機として、レーダ受信機の低雑音増幅器の 前後に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポ ート間に固定アッテネータとを備え、２つのスイッチにより受信信号レベルが大 きい時に、固定アッテネータの経路に切換えるものを用いれば、任意の利得およ びアッテネーション値を実現することができる。

【００３０】 また、この考案によるレーダ受信機として、レーダ受信機の低雑音増幅器の前 後に２つのスイッチと、２つのスイッチの低雑音増幅器の接続されていないポー ト間に周波数フィルタとを備えたものを用いれば、レーダの使用周波数帯域外で の発振を防止することができる。

【００３１】 また、この考案におけるレーダ受信機として、レーダ受信機の低雑音増幅器の 前後に２つのスイッチと、低雑音増幅器の電源を切るスイッチとを備え、２つの スイッチにより受信信号レベルが大きい時に、低雑音増幅器がない経路に切換え るとともに、低雑音増幅器の電源を切るものを用いれば、スイッチのアイソレー ションが悪い場合にも低雑音増幅器が飽和せず、受信信号レベルが小さくなった 時のレーダ受信機の回復時間を小さくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例によるレーダ受信機の構成
を示すブロック図である。

【図２】この考案の他の実施例によるレーダ受信機の構
成を示すブロック図である。

【図３】この考案の他の実施例によるレーダ受信機の構
成を示すブロック図である。

【図４】この考案の他の実施例によるレーダ受信機の構
成を示すブロック図である。

【図５】従来のこの種のレーダ受信機の構成を示すブロ
ック図である。

【符号の説明】

５ 低雑音増幅器 ６ アナログ信号処理回路 ７ 利得調整回路 ８ 第１のスイッチ ９ 第２のスイッチ １０ 固定アッテネータ １１ 周波数フィルタ １３ 電源スイッチ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アンテナからの受信信号を入力とする第
   １のスイッチと、第１のスイッチの１つの出力端子に接
   続された低雑音増幅器と、低雑音増幅器の出力端子と第
   １のスイッチの他の出力端子とに接続された第２のスイ
   ッチと、第２のスイッチの出力端子に接続され信号処理
   の容易な信号に変換するアナログ信号処理回路と、アナ
   ログ信号処理回路の出力を検知し、第１のスイッチおよ
   び第２のスイッチを制御する制御信号を発生する利得調
   整回路とを備えたレーダ受信機。
2. 【請求項２】 アンテナからの受信信号を入力とする第
   １のスイッチと、第１のスイッチの１つの出力端子に接
   続された低雑音増幅器と、第１のスイッチの他の出力端
   子に接続された固定アッテネータと、低雑音増幅器の出
   力端子と固定アッテネータの出力端子とに接続された第
   ２のスイッチと、第２のスイッチの出力端子に接続され
   信号処理の容易な信号に変換するアナログ信号処理回路
   と、アナログ信号処理回路の出力を検知し、第１のスイ
   ッチおよび第２のスイッチを制御する制御信号を発生す
   る利得調整回路とを備えたレーダ受信機。
3. 【請求項３】 アンテナからの受信信号を入力とする第
   １のスイッチと、第１のスイッチの１つの出力端子に接
   続された低雑音増幅器と、第１のスイッチの他の出力端
   子に接続された周波数フィルタと、低雑音増幅器の出力
   端子と周波数フィルタの出力端子とに接続された第２の
   スイッチと、第２のスイッチの出力端子に接続され信号
   処理の容易な信号に変換するアナログ信号処理回路と、
   アナログ信号処理回路の出力を検知し、第１のスイッチ
   および第２のスイッチを制御する制御信号を発生する利
   得調整回路とを備えたレーダ受信機。
4. 【請求項４】 アンテナからの受信信号を入力とする第
   １のスイッチと、第１のスイッチの１つの出力端子に接
   続された低雑音増幅器と、低雑音増幅器の電源端子に接
   続された電源スイッチと、低雑音増幅器の出力端子と第
   １のスイッチの他の出力端子とに接続された第２のスイ
   ッチと、第２のスイッチの出力に接続され信号処理の容
   易な信号に変換するアナログ信号処理回路と、アナログ
   信号処理回路の出力を検知し、第１のスイッチおよび第
   ２のスイッチおよび電源スイッチを制御する制御信号を
   発生する利得調整回路とを備えたレーダ受信機。