JPH0510888B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電気、通信ケーブル等の接続部を密
封するために使用される熱収縮性シートの製造方
法に関するものである。

一般に、電気、通信ケーブル等の接続部を密封
して外気から保護するために、第１図に示すよう
な熱収縮性シートが使用されている。

この熱収縮性シート１は、幅方向〔図中矢印ａ
−ａの方向〕に熱収縮可能な熱収縮層２と、この
熱収縮層２の内面に設けられた熱融着層３と、前
記熱収縮層２の外面の両側縁部に設けられた突条
４，４とから構成されており、第２図に示すよう
に、ケーブル５，５の接続部６に巻き付けて前記
突条４，４の裏側位置の熱融着層３相互を突きあ
わせ、かつ、前記突条４，４に押圧用ロツド７，
７等を縦添えしてクリツプ８，８…等で挾んだ状
態とし、しかる後に加熱収縮させかつ熱融着させ
るようになつている。

このような熱収縮性シート１を製造する方法の
従来例としては、例えば未架橋ポリエチレンシー
ト（熱融着層３となるべきシート）と、予め延伸
させて熱収縮性を付与した架橋ポリエチレンシー
ト（熱収縮層２となるべきシート）とを重ね合わ
せ、未架橋ポリエチレンシートを加熱加圧するこ
とにより、架橋ポリエチレンシートに熱融着させ
て、前記両シートを一体に貼り合わせる方法があ
る。しかしながら、この方法であると、貼り合わ
せ時の熱によつて架橋ポリエチレンシートに熱収
縮が発生し、熱収縮性シートの寸法安定性が悪く
なるという問題がある。また、両シートの重ね合
わせ時に両シート間に残存する僅かな空気あるい
は加熱するときにシートから発生するガスが、加
熱時に膨張しかつ凝集して気泡をつくり、この気
泡によつて両シート間に未融着部が発生し易い。
即ち、この未融着部が熱収縮性シートの機械的強
度を低下させかつ断熱層となつてケーブル接続部
の密封作業性を低下させるなどのおそれがある。

本発明は前述事情を考慮してなされたもので、
寸法安定性を高め、かつ、気泡を除去して機械的
強度および密封作業性を向上させる熱収縮性シー
トの製造方法の提供を目的とし、パイプ等の心金
の周囲に熱融着層シート材および延伸された熱収
縮層シート材を順に巻き付けてこれら両シート材
の両側縁部の内側を互に離間した状態で平行に固
定した状態とし、熱収縮層シート材の外側より心
金の長さ方向の一端から他端に向けて順次加熱し
ながら熱融着することを特徴とするものである。

以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

第３図および第４図は、本発明を実施するため
に適用される熱収縮性シートの製造装置の一例を
示すものである。この製造装置９は、後述する熱
融着層シート材および熱収縮層シート材を巻き付
ける略パイプ状の心金１０と、前記両シート材の
相対向させられる両側縁部を心金１０に押圧固定
する一対の押圧具１１，１１と、前記心金１０の
外面と間隔をおいて心金１０の長さ方向の一部を
囲繞しかつ心金１０の長さ（第３図矢印イ、の方
向）に沿つて移動自在に設けられた加熱筒１２と
からなる概略構成となつている。そして前記心金
１０は、そのパイプ穴を流体通路１３ａとし得る
パイプ部１３と、このパイプ部１３の長さ方向に
沿つて半径方向外方に突出する板状突出部１４
と、この板状突出部１４の上端に連結されて前記
加熱筒１２を支持する支持板部１５とからなり、
この支持板部１５の上面には加熱筒１２を案内す
るために心金１０の長さ方向に沿つて一対のガイ
ド溝１５ａ，１５ａが設けられている。また、前
記押圧具１１，１１はボルト１１ａ…等によつて
前記板状突出部１４の両側面に着脱自在とされる
とともに、後述するように熱収縮層シート材の両
側縁部の突条４，４を係合させる係合溝１１ｂ，
１１ｂを有するものである。さらに、加熱筒１２
は、一対の円弧板１６ａ，１６ａの内面に反射面
１６ｂを設けこれら円弧板１６ａ，１６ａの湾曲
方向の一側端を相互にヒンジ結合してなる外装部
１６と、この外装部１６の反射面１６ｂに支持さ
れるヒータ部１７，１７と、前記円弧板１６ａ，
１６ａの他側端に前記板状突出部１４を挾む如く
平行に連結されかつ上端に前記ガイド溝１５ａ，
１５ａに係合するローラ１８ａ…が取り付けられ
た連結板部１８，１８とからなるものである。そ
してこの加熱筒１２は、前記ローラ１８ａ…をガ
イド溝１５ａ，１５ａから外して円弧板１６ａ，
１６ａをヒンジを中心に第４図矢印方向に回動さ
せることにより心金１０から取り外すことがで
き、また前述と逆の操作によつて心金１０に取り
付けることができる。なお、第４図中符号１１
ｃ，１４ａは流体通路を示し、符号１４ｂは熱融
着層シート材の両側縁部を板状突出部１４に押し
付けて仮固定するための板ばねを示すものであ
り、また１２ａは電源用コード線である。

このような製造装置９を使用して本発明の熱収
縮性シートの製造方法の一実施例を説明すれば、
第５図に示すように、心金１０のパイプ部１３の
回りに熱融着性を有するプラスチツク材、例えば
ポリエチレンよりなる熱融着層シート材１９をそ
の両側縁部の内側が前記板状突出部１４を挾んで
互に離隔した状態で相対向するように巻き付け
る。そして前記両側縁部を前記板ばね１４ｂ，１
４ｂによつて板状突出部１４の両側面に仮固定す
る。

そして、この熱融着層シート材１９の上に、第
６図に示すように、熱融着層シート材１９よりも
巻き付け方向の長さ（幅）が短かくかつ外面の両
側縁部に一対の突条４，４を有する熱収縮層シー
ト材２０をその突条４，４の内側が前記熱融着層
シート材１９の両側縁部の外側に縦添えされるよ
うに巻き付ける。この熱収縮層シート材２０は、
予め巻き付け方向（幅方向）に一軸延伸されて熱
収縮性を付与されたものであり、例えば架橋ポリ
エチレン等からなるものである。

次いで、前記突条４，４の付近を押圧して、板
状突出部１４、熱融着層シート材１９、熱収縮層
シート材２０を相互に密接させた状態にするとと
もに、第７図の鎖線から実線で示すように押圧具
１１，１１を板状突出部１４に取り付けてその係
合溝１１ｂ，１１ｂを突条４，４に係合させ、両
シート材１９，２０の両側縁部を板状突出部１４
の両側面に押圧し、固定する。

このように熱融着層シート材１９および熱収縮
層シート材２０が巻き付けられた状態の心金１０
の外側に、前記加熱筒１２を取り付け、ヒータ部
１７を作動させて熱収縮層シート材２０の外面側
から加熱しかつこの加熱筒１２を心金１０の長さ
方向の一端から他端に向けて徐々に移動させてい
く。即ち、前記両シート材１９，２０をその長さ
方向の一端から他端に向けて順次加熱する。この
とき熱融着層シート材１９が、溶融状態となると
ともに、熱収縮層シート材２０が熱収縮を起こ
し、第７図の鎖線から実線で示すように、垂れ下
がつた部分のゆるみを吸収して、熱融着層シート
材１９が心金１０の外面に密着して、これを押圧
する。この押圧力によつて両シート材１９，２０
が一体に熱融着する。また、この熱融着が両シー
ト材１９，２０の長さ方向の一端から順次行なわ
れるので、第８図に示すように、両シート材１
９，２０間に発生する気泡Ａが、加熱筒１２の矢
印ロ方向への移動に追われる如く同方向へ移動
し、加熱筒１２が両シート材１９，２０の他端に
達すると、この他端から外部へ押し出されて除去
される。

しかる後に、前記流体通路１１ｃ，１３ａ，１
４ａ等に冷却水等の冷却用媒体を流し、心金１０
を介して両シート材１９，２０を冷却固化させ
る。そして心金１０から取り外し、第９図の鎖線
で示す熱融着層シート材１９の両側縁部が熱収縮
層シート材２０の幅方向に突出する部分１９ａを
切り揃えて除去すると第９図実線のように熱収縮
層２と、熱融着層３とを有し、突条４，４の付近
でくせ付けされた熱収縮性シート１が完成する。

なお、本実施例にあつては、加熱筒が心金に取
り付けられ、心金に対して加熱筒を移動自在とし
た製造装置を適用したが、例えば心金の下方に心
金の長さ方向に沿うガイドレールを別個に設け、
このガイドレールに沿つて加熱筒が移動自在とさ
れる装置や、あるいは固定された加熱筒の軸心線
方向に移動自在とされる心金を設けた装置を適用
してもよい。

以上説明したように、本発明によれば次のよう
な効果を得ることができる。

熱融着層シート材および熱収縮層シート材を
その長さ方向の一端から他端に向けて順次加熱
することにより、両シート材を熱融着するの
で、両シート材間に発生する気泡が除去されて
両シート材全体が確実に熱融着する。従つて熱
収縮性シートの機械的強度およびケーブル接続
部の密封作業性が向上する。

心金に熱融着層シート材を巻き付け、その上
に熱収縮層シート材を巻き付けて、これら両シ
ート材の相対向する両側縁部を心金に固定した
後、両シート材を加熱して一体に熱融着するの
で熱収縮層シート材の熱収縮作用が心金の剛性
によつて妨げられる。従つて心金の外径と熱収
縮性シートの幅寸法とが一定の関係となり、寸
法安定性が高くなる。

予め両端部に曲げくせのつけられた熱収縮性
シートが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は熱収縮性シートの斜視図、第２図はそ
の使用状態の斜視図、第３図および第４図は、本
発明に適用される製造装置の一例を示し、第３図
は斜視図、第４図は第３図の−線に沿う矢視
図、第５図〜第９図は本発明の製造工程の一実施
例を示し、第５図〜第７図は横断面図、第８図は
第７図の−線に沿う矢視図、第９図は横断面
図である。 １……熱収縮性シート、２……熱収縮層、３…
…熱融着層、４……突条、９……製造装置、１０
……心金、１１……押圧具、１２……加熱筒、１
３……パイプ部、１４……板状突出部、１４ｂ…
…板ばね、１７……ヒータ部、１９……熱融着層
シート材、１９ａ……突出する部分、２０……熱
収縮層シート材、Ａ……気泡。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 心金１０の上に熱融着層シート材１９を巻き
   付けてその両側縁部の内側を互に相対向させた
   後、その上に、巻き付け方向に延伸させた熱収縮
   層シート材２０を巻き付け、これら両シート材の
   両側縁部の内側を互に離間した状態で平行に固定
   すると共に前記熱収縮層シート材の外側より心金
   の長さ方向の一端から他端に向けて順次加熱しな
   がら前記両シート材を一体に熱融着することを特
   徴とする熱収縮性シートの製造方法。 ２ 熱融着層シート材１９の上に、この熱融着層
   シート材よりも巻き付け方向の長さが短かい熱収
   縮層シート材２０を巻き付け、両シート材を熱融
   着した後に、熱融着層シート材の巻き付け方向よ
   り突出する部分１９ａを除去することを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の熱収縮性シートの
   製造方法。